コンクリートには鉄筋コンクリートと無筋コンクリートが有ります。
世の中の重要な構造物の多くは鉄筋コンクリートで作られています。
鉄筋コンクリートってなんだろうと思うでしょう。日本語になる時に重要な言葉が1つ省かれてしまっているからわかりにくいんですね。
英語表記では steel reinforced concreteで、鉄筋「補強」コンクリートとなります。コンクリートの弱いところを鉄筋で強く補っているわけです。
あれだけ頑丈に見えるコンクリートにも弱いところがあるというのは意外ですよね。
じゃあ、どんな力に弱いのかと言うと「引っ張る力に弱い」んです。
学生時代に消しゴムで遊んだ記憶がありませんか?その時板となっている消しゴムを曲げると曲げたところの真ん中から「びっ」と裂けていきます。
そこが「引っ張り」で消しゴムが破壊されたところ。
上の方の皺の寄った部分が「圧縮」されたところ。
鉄筋コンクリートはこの引っ張られるところに鉄筋を配置します。場所は最も引っ張られる力が強い場所、つまり1番下がいいんです。
ここで鉄筋のもつ弱点が問題となります。
「錆び(腐食)」です。鉄は水と酸素があると錆びていきます。コンクリートの端の方にあると1番構造的には有利(引っ張りに効く)なのですが、鉄筋が露出するとあっという間に錆びてしまいます。
そこで鉄筋をコンクリートでガードすると言う考えが出てきます。
実はコンクリートと鉄は非常に相性が良いんです。
コンクリートはその原材料のセメントがアルカリ性のため強いアルカリ性で、鉄筋が酸化するのを防げます。鉄筋をコンクリートという鎧で水と酸素から切り離し、アルカリのゆりかごでしっかり支えるんですね。
ここでジレンマがでてきます。
- 鉄筋保護するためには —> コンクリートの深いところが良い
- 構造的に有利にするためには —> コンクリートの浅いところが良い
これを「鉄筋被り」といいます。
一般的にコンクリート構造物の合理的な設計をすると、鉄筋が保護されるのに必要なコンクリート被りを確保できるギリギリのラインを狙います。
これは健全なコンクリートである場合にのみこの理論が成り立ちます。
ブロック塀には空洞部分にコンクリートを詰めますが、これが果たして本当にしっかりと鉄筋を保護できている状態かわからないのです。そもそもコンクリートちゃんと入ってるの?鉄筋保護確実にできてますか?
というのが、はっきり言ってよくわからない。
このブログの投稿のブロック塀ははっきり言ってきちんとコンクリートorモルタルが充填できてないですね。
上の写真は破損したブロック塀を上から見たところですがおそらく10mmあった鉄筋が腐食してなくなっていたり、わずか数mmになってしまっている写真です。
見た目はレンガを張ったちょっと良い感じの塀ですが
実際は結構厳しい。
ブロック塀の事を調べれば調べるほど、この構造はコンクリート工学的にみて非常に厳しいと思わざるを得ないです。
#塀のねっこ
#ブロック塀
#コンクリートで守れる命がある