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ブロック塀

ブロック塀を作るためのルール

ブロック塀はそのルールに則って作れば安全であると言われています。
そのルールは現在ふたつあり、一つは建築基準法施行令、もう一つが建築学会の基準です。

ブロック塀を作るに当たり重要なのが次のポイントです。

  • 基礎
  • 鉄筋
  • 控壁

この3点をキーワードにブロック塀を安全に作る基準をまとめていきます。

ワンポイント解説

鉄筋の重ね継手

 鉄筋の問題は多くありますが、わかりにくくどこでも行われている問題が鉄筋の重ね継手の問題です。
 ブロック塀の決まりでは縦筋は基礎から天頂部まで一本の鉄筋が切れ目なく施工される必要があります。
 しかしながら、多くのブロック塀構築現場では基礎を作った状態で30cm程度鉄筋を基礎上端から出し、そこにブロックを積み新たに鉄筋を追加する手法がとられます。
 通常のコンクリート造ではこの手法は重ね継手と呼ばれる手法で問題がありません。(鉄筋系の40倍の長さ同士が必要です。10mm鉄筋であれば400mずつ重ねます)
 ブロック塀で禁止されているのはここに事故が多いからです。大阪の寿永小学校での事故も重ね継手の問題があるようです。

なぜ重ね継手が禁止?

重ね継手がブロック塀において禁止されている技術的理由はハッキリしていませんが、コンクリートに携わる者として考察をしてみます。

1,モルタルの強度が低い(強度管理されていない)
2,空洞部への密実なモルタル充填が難しい

この2点になるのではないかと思います。

重ね継手禁止の理由 -1-
 モルタルの強度が低い(強度管理されていない)

ざっくりとした結論から

重ね継手をする場合、溶接してしまえば一体性はばっちりです。しかしそれは大変なので下の鉄筋と上の鉄筋を重ねてモルタルという接着剤を通じ1本の鉄筋として一体性があるように振舞うことを期待します。しかしモルタルの強度が低いとどうでしょう?簡単に抜けてしまいます。

 通常コンクリートはテストピースを作って圧縮強度を図らなければ強度はわかりません。ブロック塀を作るときはほとんどが小型のミキサー、もしくは手練りでのモルタル製造だと思われます。
 配合もおおよその容積管理と練った感触でのスランプ(水量)管理と思われます。
 コンクリートの基本原則としてセメントに水をどのくらい入れたか、ということでそのコンクリート(モルタル)の強度が決まります。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、セメントというものが粉末糊(ノリ)と考えてもらえるとわかりやすいのではないかと思います。粉末のノリに水を混ぜて接着剤を作るわけです。

水が少ない場合
 接着力は強いんですが、べたべたして取り扱いにくいものになります。

 強度=大:作業性=悪

水が多い場合
 接着力が弱いけれど、さらさらして使いやすい。

  強度=小:作業性=良

あっちをとればこっちが取れないという状況になりますが、どちらがいいわけでも悪いわけでもなく、コンクリートを作るときは目的に応じた強度と作業性を定めて配合を決めていきます。

 おそらく多くの現場ではモルタルは作業性重視(スランプ重視)となっており、強度管理ができていないと思われます。

 簡単に言うと強度が低い可能性が高いわけです。
強度が低いと鉄筋をブロック塀につなぎとめているモルタルからすっぽりと簡単に抜け落ちてしまうわけです。このような状態では地震の時に危険ですね。
 その信頼性の低さが重ね継手が禁止される理由の一つになっているのではないでしょうか。

重ね継手禁止の理由 -2-
  空洞部への密実なモルタル充填が難しい

主筋(縦筋)部にはモルタルを充填していくわけですが、ブロック積みの場合その空間が狭く空洞部にみっちりとモルタルを充填することが難しくなっています。

 そもそも、ブロック積みでモルタルをきちんと充填することは難しく古くなったブロック塀を見るとモルタルがきちんと充填されていないものをよく見ます。もちろんモルタルがきちんと充填されていない部分は鉄筋がさびてしまっています。 

ブロック塀で空洞部にきちんとモルタルを充填できない理由はいくつかあり、コンクリート構造物としては圧倒的に構築が難しいものといえるのではないかと考えます。

1,充填されたかよくわからない

 通常の型枠を用いたコンクリート構造物は、コンクリート打設後に型枠を外すと充填不良が一目でわかります。
 ブロック塀は型枠をあけるという工程が不可能ですので、ブロック塀では充填不良があってもわかりません。そのためいい加減な工事でも充填については誰にもその良不良は判断できません。

2,充填作業がしにくい
2-a,空洞部が7x10cmぐらい(120mm厚)で投入しにくい

 そもそも狭い空間なのですが、10mmほどの鉄筋が入っており片側3~5cm程度しか余裕がありません。そこに小手を使って放り込む形で充填していきますが完璧を目指すにはとても難しい方法です。ここで重ね継手があるとさらに状況は悪化し鉄筋が2本となり構造は複雑に、投入口は狭くなるという悪循環に陥ります。

2-b,バイブレータがかけられない

上で書きましたように空間が狭くバイブレータを用いた締め固めが簡単にはできません。そのため鉄筋をたたいたり、ブロックをたたいたりして振動を伝えますが完璧にするには心もとない手法です。

2-c,目地が崩れる

ブロック塀を構築中は目地が柔らかい状態であるということが大きな問題の一つです。そのため、うえで出てきたバイブレータや叩いての締め固めをしっかりと行うと目地モルタルまで崩れてしまいうまくありません。

コンクリートは一定の振動を与えることで流動性が増すため(柔らかくなる)、コンクリート打設時には振動を一般的にはあたえます。そのことで型枠の隅々までコンクリートをいきわたわせるのですが、ブロック塀の築造中は充填したいが振動を与えると、目地崩れの問題が生じそれができません。

これらのような理由から、ブロック塀内では充填不良が大量に発生することが容易に想像できます。つまりスの多い状態です。

前述しましたがモルタルという接着剤を介し一体に振舞う鉄筋継手ですから、スの多いモルタルでは接着剤がまばらにしかついていない状態になります。このような状況では信頼性は全くありませんね。

結論

重ね接手をするには、ブロック塀のモルタル充填では接着材の接着力と、接着面積が足りないことが容易に想定できるため、ブロック塀の重ね継手は法律で明確に禁止されている。

基礎

基礎-建築基準法施行令

塀の高さ 基礎根入れ 基礎高さ
(m) (mm) (mm)
 1.2未満 除外規定あり除外規定あり
1.4 300 350
1.6 300 350
1.8 300 350
2.0 300 350
2.2 300 350

鉄筋

鉄筋-建築基準法施行令

共通事項

四辺への配筋 壁頂、基礎、壁の端部には9mm以上の横筋を配置

端部加工 鉄筋はかぎ状におりまげ(引き抜き防止)それぞれ端部の鉄筋に引っかける

かぎ加工の省略 縦筋の基礎定着は40D以上の定着長(9mmの場合360mm)がある場合は基礎の横筋へのかぎ掛けを省ける

重ね継手の禁止 溶接など以上の強固な接合以外は鉄筋の重ね継手は禁止

塀の高さ 鉄筋径 鉄筋ピッチ (縦横)
0.2 9 800
0.4 9 800
0.6 9 800
0.8 9 800
1.00 9 800
1.2 9 800
1.4 9 800
1.6 9 800
1.8 9 800
2.0 9 800
2.2 9 800

鉄筋-建築学会基準

建築学会基準

共通事項

・D10以上の異形鉄筋

・横筋間隔は800mm以下

・横筋は横筋用ブロックに配置し、塀端部で控壁、控え柱、門柱に定着

・頂部には横筋を配置

・空洞ブロック内における縦筋の重ね継手の禁止

・縦筋の定着 基礎に定着させ壁頂横筋に余長4D以上で180度フックで鍵かけ、90度フックの場合は余長10D

塀の高さ 鉄筋径 控壁無 控壁有
       
0.2 D10 0.8 0.8
0.4 D10 0.8 0.8
0.6 D10 0.8 0.8
0.8 D10 0.8 0.8
1.00 D10 0.8 0.8
1.2 D10 0.8 0.8
1.4 D10 0.4 0.8
1.6 D10 0.4 0.4
1.8 D10 0.4 0.4
2.0 D10 0.4
2.2 D10 0.4

控壁

控壁-建築基準法施行令

間隔 3.4m以下
突出量 高さの1/5以上
対象 高さ1.2m以下を除く

塀の高さ 控壁の間隔 控壁の必要突出量 鉄筋
0.2
0.4
0.6
0.8
1.00
1.2
1.4 3.4 0.28 9
1.6 3.4 0.32 9
1.8 3.4 0.36 9
2.0 3.4 0.4 9
2.2 3.4 0.44 9

控壁-建築学会基準

塀の高さ 控壁の間隔 控壁の必要突出量 鉄筋
0.2
0.4
0.6
0.8
1.00
1.2
1.4 3.4 0.28 9
1.6 3.4 0.32 9
1.8 3.4 0.36 9
2.0 3.4 0.4 9
2.2 3.4 0.44 9

建築基準法施工令 全文

第六十二条の六

1 コンクリートブロックは、その目地塗面の全部にモルタルが行きわたるように組積し、鉄筋を入れた空胴部及び縦目地に接する空胴部は、モルタル又はコンクリートで埋めなければならない。
2 補強コンクリートブロック造の耐力壁、門又はへいの縦筋は、コンクリートブロックの空胴部内で継いではならない。ただし、溶接接合その他これと同等以上の強度を有する接合方法による場合においては、この限りでない。
(帳壁)
第六十二条の七 補強コンクリートブロック造の帳壁は、鉄筋で、木造及び組積造(補強コンクリートブロック造を除く。)以外の構造耐力上主要な部分に緊結しなければならない。
(塀)

第六十二条の八 (へい)


補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ一・二メートル以下の塀にあっては、第五号及び第七号を除く。)に定めるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。

1 高さは、二・二メートル以下とすること。
2 壁の厚さは、十五センチメートル(高さ二メートル以下の塀にあっては、十センチメートル)以上とすること。
3 壁頂及び基礎には横に、壁の端部及び隅角部には縦に、それぞれ径九ミリメートル以上の鉄筋を配置すること。
4 壁内には、径九ミリメートル以上の鉄筋を縦横に八十センチメートル以下の間隔で配置すること。
5 長さ三・四メートル以下ごとに、径九ミリメートル以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの五分の一以上突出したものを設けること。
6 第三号及び第四号の規定により配置する鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、縦筋にあっては壁頂及び基礎の横筋に、横筋にあってはこれらの縦筋に、それぞれかぎ掛けして定着すること。ただし、縦筋をその径の四十倍以上基礎に定着させる場合にあっては、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。
7 基礎の丈は、三十五センチメートル以上とし、根入れの深さは三十センチメートル以上とすること。

建築基準法施工令

当社補足内容
モルタル(目地・充填)第62条の6コンクリートブロックは、その目地塗面の全部にモルタルが行きわたるように組積し、鉄筋を入れた空洞部及び縦目地に接する空洞部は、モルタル又はコンクリートで埋めなければならない。
重ね継ぎ手の禁止2補強コンクリートブロック造の耐力壁、門又はへいの縦筋は、コンクリートブロックの空洞部内で継いではならない。ただし、溶接接合その他これと同等以上の強度を有する接合方法による場合においては、この限りでない。
ブロック塀の決まり第62条の8補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ1.2m以下の塀にあつては、第5号及び第7号を除く。)に定めるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
塀の高さ高さは、2.2m以下とすること
塀の厚さ壁の厚さは、15cm(高さ2m以下の塀にあつては、10cm)以上とすること。
塀端部の鉄筋壁頂及び基礎には横に、壁の端部及び隅角部には縦に、それぞれ径9mm以上の鉄筋を配置すること。
塀内部の鉄筋壁内には、径9mm以上の鉄筋を縦横に80cm以下の間隔で配置すること。
控え壁長さ3.4m以下ごとに、径9mm以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの5分の1以上突出した
ものを設けること。
鉄筋の末端処理第3号及び第4号の規定により配置する鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、縦筋にあつては壁頂及び基礎の横筋に、横筋にあつてはこれらの縦筋に、それぞれかぎ掛けして定着すること。
ただし、縦筋をその径の40倍以上基礎に定着させる場合にあつては、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。
基礎の規模基礎の丈は、35cm以上とし、根入れの深さは30cm以上とすること。

出典 e-Gov
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325CO0000000338_20180401_429CO0000000156&openerCode=1#507