ブロック塀の問題点を見ていくと、どうもポイントは基礎にありそうです。
正確にいうと、基礎と基礎につながる塀の接合部、となります。

ブロック塀は大きく分け、皆さんの目に触れる塀の部分と、目に触れない基礎の部分で成り立っています。

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「出世基礎 土地分け丸」 は難しいブロック塀の法令をすべて準拠してクリアした製品です。

 

基礎の基準

基礎は129mm以上の厚さで350mm(根入れ300)の高さできちんと作る必要があります。
これは守ったほうがいいのではなく、守らなくてはならない建築基準法で定められた項目です。

建築学会の推奨基準はもう少し厳しく、350mmから500mm、地上部にプラス50mmと規定されています。
つまり400mmから550mmの基礎高ということですね。

建築基準法施行令を読むと明確には書いていませんが、基礎部分はブロックを使わずコンクリートだけで作り上げる必要があるようです。これは鉄筋被りから求められます。
建築学会基準では明確にRC基礎、つまり生コンを使った基礎が明確に求められています。
 
基礎部に関しての鉄筋被りは60mm、そして鉄筋は9mm以上とされています。
鉄筋は主筋と呼ばれる垂直の鉄筋と、配力筋と呼ばれる水平方向2本が入りますので、2本分考慮が必要です。
 
これから単純に導き出される基礎部の最低厚さは60mm+60mm+9mm+9mm=138mm
 
 
ただし、基礎部立ち上がり部分(垂直部)は40mmの鉄筋被りが必要とされています。
その場合40mm+40mm+9mm+9mm=98mm

ブロックでの基礎構築は鉄筋保護の観点から問題があるのだと思います。ブロックの空洞部分は60mmから70mm程度しかなく、10mmの鉄筋を入れた場合、わずか25mm~30mmの鉄筋被りしかなくなります。地中部分は地下水の影響などでさびやすいためこのようになっているのでしょう。

ここの部分はきちんと作るとお金がかかります。

ブロック塀に必要な基礎のスペック

基礎の大きさ

 建築基準法施行令建築学会基準
構造鉄筋コンクリート(RC)構造
(ブロック不可)
鉄筋コンクリート(RC)構造
(ブロック不可)
形状規定なしI形基礎
L形基礎
逆T形基礎
基礎高さ35cm以上別表
基礎地中部分30cm以上 
基礎地上部分指定なし5cm以上
基礎幅9.9cmより大きく
(40mm(鉄筋被り)+40mm(鉄筋被り)+9mm(鉄筋))
12cmより大きく
(塀より幅広いこと。)
鉄筋径鉄筋径9mmD10以上
鉄筋端部加工端部フック加工し縦筋横筋へフックをかける 
鉄筋配置基礎は横筋が必要+壁体から伸びる縦筋を横筋に鍵かけ(フック) 

ブロック塀の塀高さ(m)と最小限根入れ深さ(mm) (建築学会)

塀の高さ(m) 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2
I形基礎 350 400 450 500    
L形、逆T基礎 350 350 350 350 400 450

ブロック塀の縦筋間隔 (建築学会)

控壁 ブロック塀の高さ 縦筋間隔(D10) 縦筋間隔(D13) 横筋間隔(D)
付き 1.6以下 800   800
  1.6-2.2 400   800
無し 1.2以下 800   800
  1.2-1.6 400 800 800

基礎の実態

ここでブロック施工を行う会社のホームページを見ると基礎の価格が載っています。

(例)
「ブロック基礎」 4000円
「布基礎」 9000円

などと書かれています。
この安いほうのブロック基礎は厚さ(高さ)が100mm、200mmというとても信じられないスペックの基礎のようです。

「布基礎」と書かれた高額な方がおそらく建築基準法に準じたような基礎になるのだと思われます。

外構工事を行う企業は「うちが正しい」と一生懸命謳っていますが、このような価格表示を見た瞬間に私はがっかりしてしまいます。

安いほうの基礎はなんなんだ
顧客はこれを見てどちらかを選ばされるのか?と。

基礎の働き

基礎がきちんとあることで基礎の重さと土による抑えが効きます。
基礎がなければあの重さの構造物が地震時にはグラグラ揺すられた時倒れてしまいます。

安い基礎、ではなく違法な基礎をホームページで一生懸命公開しているところに外構業界の闇が見えます。
地震のたびにブロック塀が倒れるのは当たり前です。根っこの基礎がないのですから。

経験より 歴史に学ぼう ブロック塀

顧客はコストを下げたいのは当たり前です。
それをきちんと説明して必要な措置をするのが本当ですよね。

自分の経験で問題なくても、歴史的にブロック塀はパタパタ倒れています。経験を過信せず、せめて法律を守ってブロック塀を作ってもらいたいと思います。

危険ブロック塀を撲滅しましょう。

参考資料

建築基準法施行令 (絶対にまもらなければいけないルールです)

第六十二条の六

コンクリートブロツクは、その目地塗面の全部にモルタルが行きわたるように組積し、鉄筋を入れた空胴部及び縦目地に接する空胴部は、モルタル又はコンクリートで埋めなければならない。

2 補強コンクリートブロック造の耐力壁、門又はへいの縦筋は、コンクリートブロックの空胴部内で継いではならない。ただし、溶接接合その他これと同等以上の強度を有する接合方法による場合においては、この限りでない。
(帳壁)
第六十二条の七 補強コンクリートブロツク造の帳壁は、鉄筋で、木造及び組積造(補強コンクリートブロツク造を除く。)以外の構造耐力上主要な部分に緊結しなければならない。
(塀)

第六十二条の八 (へい)

補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ一・二メートル以下の塀にあつては、第五号及び第七号を除く。)に定めるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
 
一 高さは、二・二メートル以下とすること。
 
二 壁の厚さは、十五センチメートル(高さ二メートル以下の塀にあつては、十センチメートル)以上とすること。
 
三 壁頂及び基礎には横に、壁の端部及び隅角部には縦に、それぞれ径九ミリメートル以上の鉄筋を配置すること。
 
四 壁内には、径九ミリメートル以上の鉄筋を縦横に八十センチメートル以下の間隔で配置すること。
 
五 長さ三・四メートル以下ごとに、径九ミリメートル以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの五分の一以上突出したものを設けること。
 
六 第三号及び第四号の規定により配置する鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、縦筋にあつては壁頂及び基礎の横筋に、横筋にあつてはこれらの縦筋に、それぞれかぎ掛けして定着すること。ただし、縦筋をその径の四十倍以上基礎に定着させる場合にあつては、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。
 
七 基礎の丈は、三十五センチメートル以上とし、根入れの深さは三十センチメートル以上とすること。
 

*2019/11/28
鉄筋被り部分の計算に配力筋が抜けていたため、計算を修正しました。
基礎立ち上がりの鉄筋被りの記述と計算を追加しました。

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