プレキャストコンクリートの作り方
あまりお話ししたことがなかったので、プレキャストコンクリートの作り方をさらっと触れてみたいと思います。
コンクリートの最初
コンクリートは練った瞬間はドロドロの状態で強度を持ちません。
そのドロドロの状態を生コンクリートと言います。
英語だとフレッシュコンクリートです。なんとなく新鮮な感じがしませんか?
コンクリートは新鮮さが命で時間が過ぎる毎にどんどん品質が悪化していきます。
コンクリートプラント(バッチャープラントなどと業界ではいいます)のすぐそばに製造ラインがあり早ければ練ってから数分後には打設が完了してしまうのが、プレキャストコンクリートのメリットです。
コンクリートの硬化
先程、生コンは練ったそばから品質が劣化していくと書きましたが、これは硬化が進み始めているからなんです。コンクリート中には分単位で硬化する成分、時間単位で硬化する成分、日単位で硬化する成分、年単位で硬化する成分と様々な硬化要因があります。
製造時には超短期発現強度のものが問題となり、硬化が進むにつれ徐々にコンクリートが堅くなっていきます。(流動性がわるくなる)
コンクリートの硬化はセメントと水の水和反応で、この反応速度は温度によって大きく左右されます。
そのため寒い冬はコンクリートの強度が出にくく、工事がしにくい物となります。
逆説的にこのことが工場製コンクリートの発達を促してきました。
工場では囲いがあり、熱源を用意するのがカンタンだからです。
プレキャストコンクリートの促進養生
プレキャストコンクリートは高価な鋼製型枠を使って製造されます。
塀のねっこの型枠は高さ2.5mの製品用だと1台250万円ぐらいとなります。これはシンプルな型枠仕様でこのくらいになり、大型で凝った型枠仕様にすると1台500万円ほどかかってしまいます。
そのため、高価な型枠を少しでも有効利用するために蒸気養生という手法がとられます。
簡単に言うとボイラーで作った蒸気を用い型枠をスチームサウナの中に入れてしまいます。
こうすることにより1日に2本程度1つの型枠から製品を作ることも出来ます。
促進養生(蒸気養生)のメリット
蒸気養生のメリットは以下の通りです。
- 高価な型枠の有効利用
- 納期の短縮
- 冬期での安定した強度発現
促進養生(蒸気養生)のデメリット
蒸気養生のデメリットは以下の通りです。
- ボイラー代がかかる
- 型枠が痛む
- 表面気泡の発生が増える
- 長期強度が低下する
長期強度の低下はちょっと混乱させてしまうかもしれません。
短期の脱型強度が出る時間は短縮できるのですが、コンクリートの持つ強度そのものは蒸気養生を行うと低下してしまいます。
原因は「目に見えない微細なクラック」が発生しているのではないかと私は考えています。
また、コンクリート中の水分を超短期強度発現成分が食ってしまうからではないかとも思っていましたが、水中養生を行っても改善しないようですのでどうもこれは違うようです。
蒸気養生はメリットデメリットがあり、それを行うには様々な判断が必要となります。
なにげく皆様の近くに居るプレキャストコンクリート製品もいろんな考えて作られています。
また、プレキャストコンクリートのお話しをさせてくださいね。