神奈川県のがけ条例——崖の近くに建てられるか

神奈川県のがけ条例

神奈川で崖の近くに家を建てる・買う人へ——最初に答えから。

まず、自分の土地にがけ条例がかかりそうかを確かめる。崖の高さ・角度と建物までの距離を入れると、条例の数字に当たりそうかと、相談先が分かります。結果は窓口に持っていけるPDFにできます(無料・登録不要)。
がけ条例 かんたん判定で確かめる(無料)

がけ条例とは

神奈川県の「がけ条例」とは

窓口に行く前に。擁壁の図面と構造計算書は当社が用意します。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます。窓口には、その図面を持って行けます。 土のねっこ(L型擁壁) やまがみ(土砂待受擁壁) 擁壁を相談する ☎ 0120-1181-46
見積・相談を依頼する(無料)☎ 0120-1181-46(平日9〜18時)

神奈川県の「がけ条例」とは、神奈川県建築基準条例 第3条のことです。勾配が30度を超え、高さが2メートルを超える崖の下端から、崖の高さの2倍以内に建てる(または敷地を造成する)ときは、原則として安全な擁壁を設けることが求められます——第1項ただし書と第2項の例外があり、この条例が適用されない市が12あります。

擁壁が要るかどうかは、条例の当てはめで決まります。擁壁の種類と、確かめる順は「擁壁の選び方」にまとめています。

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まず、何から始める?契約の前に、建築士へ電話
まず、何から始める?
神奈川にがけ条例はある?実体は建築基準条例第3条
神奈川にがけ条例はある?
条文が変わったって本当?2026年4月に変わりました
条文が変わったって本当?
どこからが「崖」ですか2mを超える・30度を超える
どこからが「崖」ですか
どこから測るのですか上でも下でも下端から
どこから測るのですか
何メートル離せばいい?離すのではなく、擁壁を設ける
何メートル離せばいい?
結局、建てられますか擁壁を設ければ義務は満たせる
結局、建てられますか
擁壁なしで済む道は?ただし書は崖の「部分」だけ
擁壁なしで済む道は?
建物の側で何かできる?崖の上なら基礎で(第2項)
建物の側で何かできる?
崖の上の敷地で要ることは?排水の措置も要ります(第3項)
崖の上の敷地で要ることは?
レッドゾーンなら外れる?居室ありなら第1項は外れます
レッドゾーンなら外れる?
市でも同じですか12の市では適用されません
市でも同じですか
守らないと、どうなりますか罰金は50万円以下。原則設計者
守らないと、どうなりますか
条件を満たせば安心ですか法第19条第4項が残ります
条件を満たせば安心ですか
どこに聞けばいい?県の5つの窓口と、12市
どこに聞けばいい?
いつ、誰に相談しますか売買契約の前に動きます
いつ、誰に相談しますか

まずすること

神奈川県のがけ条例で、まずやること

最初の分かれ道は、市です。その土地は、次の12市の中にありますか——横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市・藤沢市・鎌倉市・平塚市・小田原市・茅ヶ崎市・厚木市・秦野市・大和市。はい=その市の建築基準条例によります(この記事では読んでいません)。この場合も、やることは同じです——所在地、がけの高さと勾配が分かる現況の測量図・断面図、建物の配置案、敷地を造成するかどうか、レッドゾーンなどの区域指定に入っているかを持って、その市の建築指導の窓口へ、土地の売買契約を結ぶ前に相談してください。いいえ=以下は神奈川県建築基準条例の話です。

先にすることは、3つです。がけ条例がかかっても、建てられないと決まったわけではありません。まず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、擁壁(ようへき=がけの土が崩れないよう支える壁)の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って計画地を所管する県の土木事務所へ、事前に相談する。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。

窓口や建築士に行く前に、図面はご用意できます。擁壁の図面と構造計算書は当社でご準備できます。持って行ける形でお渡しします。
見積・相談を依頼する(無料)☎ 0120-1181-46(平日9〜18時)

  • 建築士・設計者——崖の高さと距離を測って図にし、土質を調べ、擁壁や基礎を設計し、条例に適合するかを検討します。県の解説も「設計者と審査者が本解説で示す考え方を参照し、個々の建築物における条例の規定適合性の判断を適切に行うこと」を目的に書かれています
  • 県の土木事務所の建築指導の担当課(課名は事務所ごとに違います。あとの表に書きました)——事前の相談先です。区域の状況や、県の運用の考え方を確かめられます
  • 建築主事・建築副主事又は指定確認検査機関——建築確認が必要な計画では、建築主事・建築副主事又は指定確認検査機関が適合性を審査します(法第6条・第6条の2)。確認済証の交付前には着工できません。確認が必要かどうかは、所在地・用途・階数・規模・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の指定によって変わります

条例の要点

神奈川県のがけ条例の要点は何ですか

①神奈川の「がけ条例」は、神奈川県建築基準条例(昭和35年神奈川県条例第28号)の第3条です。②この条は、2026年4月1日に改正されたものが動いています——崖の高さが3メートル超から2メートル超に下がり、崖の下に建てるときの起点が「崖の上端」から「崖の下端」に変わりました。③かかるのは、崖(勾配が30度を超える傾斜地で、高さが2メートルを超えるもの)の下端から、崖の高さの2倍以内に建築物を建てる場合と、建築物の敷地を造成する場合です。④そのとき条文が求めるのは離れることではなく、「崖の形状若しくは土質又は建築物の位置、規模若しくは構造に応じて、安全な擁壁を設けなければならない」——擁壁(ようへき=崖の土が崩れないように支える構造物。塀とは役割が違います)の設置です。ただし、建築物を建てる場合は、崖の上では基礎が崖に影響を及ぼさない設計、崖の下では主要構造部の鉄筋コンクリート造又は適当な流土止めによって、第1項を適用しない場合があります(第2項)。敷地の造成だけの場合には、この第2項の道は使えません。どの方法が成立するかは、設計者と審査者が個別に判断します。⑤第1項がかかる場合は、安全な擁壁を設ければ、第1項の擁壁の義務は満たせます。第1項ただし書に当たる部分や、第2項が成立する場合は、第1項の擁壁の義務が外れます——この条例を理由に建てられない、と決まるわけではありません。崖の上に建築敷地がある場合は、第3項の排水の措置が別に要ります(レッドゾーン内で居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)を有する建築物を建てる場合の第3項の扱いは、県への確認が必要です)。実際に建てられるかは、この条例だけでは決まりません——第3項のほか、建築確認、レッドゾーンの構造の規制(令第80条の3)、土砂災害の区域・急傾斜地崩壊危険区域・災害危険区域、建築基準法第19条第4項を、建築士と県の土木事務所に確かめてください。⑥この条例が適用されない市が12市あります(横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市・藤沢市・鎌倉市・平塚市・小田原市・茅ヶ崎市・厚木市・秦野市・大和市)。それぞれの市の条例によります。⑦県の条例がかかる21市町村の窓口は、県の5つの相談窓口です(土木事務所が4か所と、厚木土木事務所の東部センター)。条例は2026年9月1日に、神奈川県公報(令和7年12月23日 号外第70号)と県の新旧対照表・解説で確認しました。なお、下端(かたん)は崖の下側の縁、上端(じょうたん)は崖の上側の縁のことですが、この2点は県の解説が30度の線で定義しています——見た目の縁とはずれることがあります(後の「どこからが『崖』か」の節に書きました)。

崩れてきた土砂を建物の手前で受け止める施設については、土砂災害特別警戒区域で求められる構造にまとめています(それがこの条の施設に当たるかは、窓口で確かめてください)。

どんな擁壁にするかは、擁壁の選び方で見られます(この条に合うかどうかは、下に書いた窓口で確かめてください)。

神奈川にがけ条例はある

「がけ条例」の実体は、神奈川県建築基準条例の第3条です

まず、何から始める?
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契約の前に、建築士へ電話
契約の前に、建築士へ電話

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神奈川にがけ条例はある?
神奈川にがけ条例はある?

「がけ条例」という名前の条例はありません。神奈川県では、神奈川県建築基準条例の第3条(崖付近の建築物)がその中身です。根拠は建築基準法第40条——地方公共団体が、条例で建築物の敷地・構造の制限を付け加えられる、という規定です。

実体は建築基準条例 第3条
実体は建築基準条例 第3条

実体は建築基準条例第3条

第3条の条文に「都市計画区域内」の限定はありません。用途地域の外でも、崖と距離の条件に当たれば働きます。

条文が変わったって本当

2026年4月1日に、条文が変わりました——古い解説を読まないでください

条文が変わったって本当?
条文が変わったって本当?

神奈川県は、令和7年12月23日に神奈川県条例第84号を公布しました。第3条関係の改正規定は、令和8年4月1日に施行されました(=2026年4月1日)(第36条第1項・第48条第1項など一部の改正規定は、公布の日から施行されています)。第3条は、この改正で大きく変わっています。改正前の解説も検索結果に残っています——読むときは、資料の日付と施行日を確かめてください。

2026年4月に変わりました
2026年4月に変わりました
どこが改正前(〜2026年3月31日)改正後(2026年4月1日〜)
崖の高さ高さ3メートルを超えるがけ高さが2メートルを超えるもの
崖の勾配第3条の条文には無い勾配が30度を超える傾斜地(第3条の括弧書きに明記)
崖の下に建てるときの起点崖の上端から崖の下端から(崖の上と同じ)
崖の上部の盛土の除外高さ2.5メートル以下・こう配45度以下高さ1メートル以下・勾配30度以下
災害危険区域の条第2条の2・第2条の3両方とも削除

県が公表している解説は、改正の理由をこう書いています——崖の高さを3メートルから2メートルに下げたのは、建築確認申請が要る規模(高さ2メートル超)の擁壁を築造することを想定したから。崖の下の起点を「崖の下端」にそろえたのは、土砂災害防止法による崖下側の土砂災害警戒区域の指定範囲の起点と同じで、実際の地形から特定しやすいから、と説明しています。

着工の時期による経過的な扱いとして、県の解説が書いているのは図3-6の取り扱いだけです。図3-6は、崖が崩れて流れ出た土が積もる高さを見積もる方法の一例(あとの第2項の節に出てきます)で、その算定例は令和8年3月31日以前に着工したものにのみ適用できる、と括弧書きで断られています。図3-7から図3-9の方法や、ほかの検討方法まで同じ扱いになるとは書かれていません。

どこからが「崖」ですか

どこからが「崖」か——高さ2メートルを「超える」、勾配30度を「超える」

どこからが「崖」ですか
どこからが「崖」ですか

崖(勾配が30度を超える傾斜地であつて、高さが2メートルを超えるものに限る。以下同じ。)の下端からの水平距離が、崖の高さの2倍以内の位置に建築物を建築し、又は建築物の敷地を造成する場合(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第9条第1項の規定により知事が指定した土砂災害特別警戒区域内において居室を有する建築物を建築する場合を除く。)には、崖の形状若しくは土質又は建築物の位置、規模若しくは構造に応じて、安全な擁壁を設けなければならない。

神奈川県建築基準条例 第3条第1項(本文)

条文の括弧書きにある「居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)」は、あとのレッドゾーンの節で効いてきます。押さえるところは3つです。①勾配は「30度を超える」——30.0度ちょうどは当たりません。②高さは「2メートルを超える」——2.0メートルちょうどは当たりません(「以上」ではありません)。③条文の括弧書きに硬岩盤(こうがんばん。風化の程度を含め、該当するかどうかは地質資料・調査で確かめます)を外す定めはありません——「岩だから外れる」とは書かれていません。岩かどうかは、あとに出るただし書の第1号(崖の形状又は土質により安全上支障がない部分)の中で扱われます。

2mを超える・30度を超える
2mを超える・30度を超える

2mを超える・30度を超える

ちょうどの数字で外れても、安心はできません。30.0度ちょうど、2.0メートルちょうどで当たらないのは、県条例第3条だけです。崖崩れ等による被害を受けるおそれがあれば、建築基準法第19条第4項による安全上適当な措置が別に要ります。

県の解説は、崖の上端・下端をこう定義しています——「崖の下端」は、傾斜地の勾配が30度を超えはじめる点。「崖の上端」は、その下端を含む水平面に対して30度の角度をなす線が、地表面とはじめて交わる点。この2点を結ぶ線より上の土地の部分について、下端と最高点の高低差が2メートルを超えるかどうかを見ます。自然の崖か、人が造った崖かは問いません。

山あいなどで崖が段々に続く場合、いちばん下の段の下端を通る30度の斜線より下に、上の段の下端があるものは、一体の崖として扱いません(県の解説の図3-2)。どこまでを1つの崖と数えるかで、高さが変わります。ここは目測では決まりません——測量図と断面図が要ります。

どこから測るのですか

かかる範囲は「崖の下端から、崖の高さの2倍以内」——上も下も、起点は下端です

どこから測るのですか
どこから測るのですか

ここが2026年4月の改正でいちばん変わったところです。改正前は「崖の下端(がけの下にあつては、がけの上端)から」で、崖の下に建てるときだけ起点が上端に入れ替わっていました。改正後は崖の上に建てるときも、下に建てるときも、起点は「崖の下端」です。

上でも下でも下端から
上でも下でも下端から

県の解説は、この範囲を「崖附近」と呼び、崖の下端からの水平距離が崖の高さの2倍以内の範囲と書いています。高さ2メートルを少し超える崖なら、下端から4メートルあまり。高さ5メートルの崖なら、下端から10メートルです。

この範囲に入るのは、建築物を建てる場合だけではありません。条文は「建築物を建築し、又は建築物の敷地を造成する場合」と書いています——建物を建てる前の、敷地の造成の段階から対象になります。

何メートル離せばいい

義務の形は「離す」ではなく、「安全な擁壁を設ける」です

何メートル離せばいい?
何メートル離せばいい?

条文が命じているのは「安全な擁壁を設けなければならない」で、「2倍以上離しなさい」ではありません。「崖の高さの2倍以内」は、規制が働く範囲を示す言葉です。範囲に入ること自体は禁止ではありません。安全な擁壁を設ければ、第1項の擁壁の義務を満たせます。ただし、第3項の排水の措置は別に残ります。実際に建てられるかは、建築確認やレッドゾーンの構造の規制(令第80条の3)、ほかの法令を含めて、別に確かめます。

この土地の擁壁を検討する方へ

「安全な擁壁」の図面と構造計算書を、当社でご準備できます。工場で造る鉄筋コンクリートのL型擁壁「土のねっこ」(高さ500〜3,000mm)。高さ1メートル以下なら「土地分け丸」。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます。この条に合うかどうかは、窓口で決まります。

当社はコンクリート製品のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。図面が無ければ、手書きの絵と写真で大丈夫です。絵に段差の高さと長さを書き込み、住所も添えてください。

土のねっこの製品ページ → 図面か現場の情報を送って、使える製品と概算を聞く(無料)

離すのではなく、擁壁を設ける
離すのではなく、擁壁を設ける

離すのではなく、擁壁を設ける

擁壁の中身について、県の解説はこう整理しています。新しく造るなら、建築基準法および盛土規制法施行令の技術基準に適合する擁壁(県の「宅地造成及び特定盛土等規制法 審査基準・行政指導指針」によることができます)。すでにある擁壁なら、盛土規制法施行令(または旧宅地造成等規制法施行令)の技術基準に適合する擁壁として築造したあと、その擁壁の築造工事について検査済証の交付を受けたもので、いまも適切に管理されているもの——そのうえで設計者による安全性の判断が必要です。「擁壁があるから大丈夫」とは、条文からも解説からも読めません。

結局、建てられますか

結局、建てられますか

結局、建てられますか
結局、建てられますか
擁壁を設ければ義務は満たせる
擁壁を設ければ義務は満たせる

擁壁を設ければ義務は満たせる

建築基準法施行令第142条が適用される擁壁では、同条第1項各号の基準に適合する構造方法を用いるのが通常の道です。これと同等以上に擁壁の破壊・転倒を防止できるものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる道もあります。後者だけが必須という規定ではありません。なお、これは後段の令第80条の3が定める外壁・門・塀の構造方法とは別の規定です。

検査済証がなければ造り直し、と決まったわけではありません。県の解説は、既存の擁壁で検査済証の交付を受けていない場合や、「神奈川県盛土規制法基準・指針」によって造られているか判断できない場合について、国土交通省の「宅地擁壁の健全度評価・予防保全マニュアル」や「2025年版 建築物の構造関係技術基準解説書」3.12.5 擁壁の内容等が判断の参考になる、と書いています。個別に評価する余地があるということで、自動的に安全な擁壁と認められるわけではありません。評価するのは設計者で、確認審査で適合を判断するのは建築主事・建築副主事又は指定確認検査機関です。なお、県の解説は、都市計画法の開発許可や盛土規制法の許可を取った区域の中にも、「神奈川県盛土規制法基準・指針」によらずに任意で設置された擁壁があるため、擁壁ごとに安全な擁壁か適切に判断する必要がある、設置当時は安全な擁壁でも、設置当時に想定されていたものより大きな荷重が擁壁にかかる場合等はもう一度擁壁の安全性を検討する必要がある、とも書いています。

擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(この条の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。

擁壁なしで済む道は

第1項ただし書——擁壁の義務が外れるのは、崖の「部分」です

擁壁なしで済む道は?
擁壁なしで済む道は?

ただし、次の各号のいずれかに該当する部分については、この限りでない。
(1) 崖の形状又は土質により安全上支障がない部分
(2) 崖の上部の盛土の部分で、高さが1メートル以下、斜面の勾配が30度以下であり、かつ、その斜面を芝又はこれに類するもので覆つたもの

神奈川県建築基準条例 第3条第1項(ただし書)

ただし書が外すのは、崖の全部ではありません。条文は「次の各号のいずれかに該当する部分については、この限りでない」と書いています——要件に当たる部分だけが、擁壁の義務から外れます。同じ崖でも、当たらない部分には第1項がそのままかかります。

ただし書は崖の「部分」だけ
ただし書は崖の「部分」だけ

ただし書は崖の「部分」だけ

第1号は、崖の形状や土質から安全上支障がない部分です。県の解説は、土質試験等に基づいて地盤の安定計算をし、崖の安全性が確かめられた場合は、この号に当たるとしています。参考として盛土規制法施行令の別表第一を挙げ、切土の場合は、土質に応じた角度を安息角として採用できると書いています。安息角(あんそくかく)は、その土が擁壁なしで崩れずに保っていられる斜面の角度のことです。

土質擁壁を要しない勾配(崖の高さ H>5mの場合)擁壁を要しない勾配(崖の最高点から下方の垂直距離 H≦5mの部分)
軟岩(風化の著しいものを除く。)60度以下80度以下
風化の著しい岩40度以下50度以下
砂利、真砂土、関東ローム、硬質粘土その他これらに類するもの35度以下45度以下

この表は、県の解説が参考として引いたものです(盛土規制法施行令の別表第一。解説はこれに「一部表現変更」と断り書きを付けています——見出しの言い回しは、政令の別表第一そのものとは違います)。条例の条文そのものではありません。盛土の場合は、崖の安定計算をしたうえで、擁壁の設置が必要ないことの確認が要ると解説は書いています。どちらに当たるかを決めるのは、読者ではありません——土質調査と安定計算をし、条例に適合するかを検討するのは設計者、確認審査で適合を判断するのは建築主事・建築副主事又は指定確認検査機関です。

第2号は、崖の上部の盛土の部分です。高さ1メートル以下・勾配30度以下・斜面を芝などで覆ったものの3つがそろって、はじめて外れます。県の解説は「類するもの」を石張り、モルタル吹付け、植栽、板柵工その他の措置と説明し、既存の崖の上に盛土をする場合は、盛土を含めた崖の安全性が確認できた場合に限ると断っています。

建物の側で何かできる

第2項——建築物の側で安全の措置をとったときは、第1項の擁壁の義務は外れます

建物の側で何かできる?
建物の側で何かできる?

2 前項の規定は、崖の上に建築物を建築する場合において、当該建築物の基礎が崖に影響を及ぼさないとき、又は崖の下に建築物を建築する場合において、当該建築物の主要構造部(崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分を除く。)を鉄筋コンクリート造とし、又は崖と当該建築物との間に適当な流土止めを設けたときは、適用しない。

神奈川県建築基準条例 第3条第2項

造成だけのとき

造成だけのときも、第2項は使えますか

第2項は、建築物を建築する場合の規定です。敷地の造成だけをする場合を外す規定ではありません——造成だけなら、第1項がそのままかかります。県の解説は、この項を「崖が隣接地にある場合等で、擁壁を築造できないときを想定した規定」と位置づけていますが、これは解説が示す想定場面であって、条文に書かれた成立要件ではありません。条文が挙げているのは、次の3つの場合です——このどれかが成立すれば、擁壁を設けなくても、第1項の擁壁の義務を満たせます(成立するかを判断するのは設計者と審査者です)。外れるのは第1項の擁壁の義務だけです。建てられるかどうかは、これだけでは決まりません——第3項の排水の措置や、建築確認、ほかの法令は、別に残ります。

崖の上なら基礎で(第2項)
崖の上なら基礎で(第2項)

崖の上なら基礎で(第2項)

崖の下なら鉄筋コンクリート造
崖の下なら鉄筋コンクリート造
崖の下なら、流土止めでも
崖の下なら、流土止めでも
  • 崖の上に建てるとき——当該建築物の基礎が崖に影響を及ぼさないとき
  • 崖の下に建てるとき——主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段。構造上重要でない間仕切壁・間柱・最下階の床などは除かれます。法第2条第5号)のうち、崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分を除いた部分を鉄筋コンクリート造とするとき
  • 崖の下に建てるとき——崖と建築物との間に適当な流土止めを設けたとき

鉄筋コンクリート造で対応するときは、開口部に制限があります。県の解説は、崖の下に建てる場合について、基礎立上げ部分等には、原則として開口部を設けることはできないとしています。ただし、開口部からの土砂の流入を防ぐ流土止め等を設ける場合や、土砂により大きな被害を受けないと考えられる部分(小開口となる給排気口や床下換気口等)は除かれます。

「流土止め」は、境界の塀のことではありません。崖崩れで流れ出た土を受け止める構造物です。県の解説の現行の例(図3-7)は、流出土の堆積想定高さを求め、土砂の回り込みを考えて、流土止めの高さ・構造・配置・延長を検討する考え方を示しています。高さの2倍以上に延長する方法は参考例で、敷地ごとに設計者が判断します。ロックフェンスと「崖の下端から1.5メートル以上」は、改正前の図3-6の中の数値と配置の例です。図3-6の算定・配置例をそのまま用いる取り扱いは、令和8年3月31日以前に工事に着手したものに限られます(何をもって「工事に着手」とするかは、県の土木事務所に確かめてください)。2026年4月1日以降に着工する計画では、図3-7以降の例か、ほかの工学的に適当と考えられる手法で個別に検討します——県の解説は、図3-6〜9は「単純化した例」で、「実際は、計画敷地の状況により設計者の責任において、適切な検討を行う必要があり、ここに掲載する検討方法の他にも工学的に適当と考えられる手法を用いることができる」と書いています。ロックフェンス等の構成そのものが一律に認められなくなったとは、県の解説には書かれていません。どれだけの土が積もるかを見積もり、構造・高さ・配置を決めるのは設計者です。第2項の3つの道も、読者が選べる選択肢ではありません。

あわせて県の解説は、建築基準法以外の法令に基づいて整備された法面保護工や擁壁(法面=のりめん。切土や盛土でできた人工の斜面)についても、適切に維持保全され、傾きやひび割れ、はらみ等がないことから崖崩れによる被害を及ぼすおそれがないと判断できる場合は、その崖の下の建築物は条例の適用を受けないとしています。

具体例として挙がっているのは、①急傾斜地法により県が実施する急傾斜地崩壊防止工事が完了した法面、②土砂災害防止法による許可を受け、検査済証の交付を受けた対策工事済みの法面(②は切土工による高さ2メートル超5メートル未満の崖が存在する許可の場合を除く)です。ただし解説は、この列挙のあとに「など」と書いています——この2つに限る書き方ではありません。そして「各法を所管する法面の管理者に安全性の確認を行うこと」と続けています。確かめる相手は、その法面を管理している人です——自分の目で見て決めるものではありません。

崖の上の敷地で要ることは

崖の上に敷地があるなら、排水の措置も要ります(第3項)

崖の上の敷地で要ることは?
崖の上の敷地で要ることは?

3 崖の上にある建築敷地には、崖の上部に沿つて排水溝を設ける等崖への流水又は浸水を防止するため適当な措置を講じなければならない。

神奈川県建築基準条例 第3条第3項

改正前の第3項は「高さ3メートルをこえるがけの上にある建築敷地には」でしたが、改正でこの高さの限定が削られました。いまは第3条の「崖」(勾配30度超・高さ2メートル超)の上にある建築敷地なら、排水の措置が要ります。条文が名指ししているのは建築敷地です——建物をどこに置くかではなく、敷地が崖の上にあるかどうかで決まります。敷地の一部だけが崖の上にある場合に、どこまで措置が要るかは、条文にも県の解説にも書かれていません——県の土木事務所に確かめてください。

排水の措置も要ります(第3項)
排水の措置も要ります(第3項)

第3項は、第1項のただし書や第2項では外れません。ただし書は第1項にかかるもので、第2項は「前項の規定は……適用しない」と書いています。擁壁が要らなくなっても、排水の措置は別に残ります。

レッドゾーンなら外れる

レッドゾーン内で居室のある建築物を建てる場合は、第3条第1項の擁壁義務から外れます——代わりに令第80条の3がかかります

レッドゾーンなら外れる?
レッドゾーンなら外れる?

レッドゾーンなら外れる?

第3条第1項の括弧書きは、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内において居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)を有する建築物を建築する場合を、第1項の擁壁の義務から外しています。除外を書いているのは、第1項の括弧書きです。県の解説は理由を「法の規定により建築物の安全性が担保されることから、本条の適用を除外している」と書いています。

居室ありなら第1項は外れます
居室ありなら第1項は外れます

外れるのは「居室を有する建築物を建築する場合」に限ります。レッドゾーンの中でも、倉庫や車庫など居室のない建築物を建てる場合や、敷地の造成だけをする場合は、第1項がかかります。

第3項の排水の措置まで外れるかは、断定できません。除外を書いた括弧書きは第1項の中にあり、第3項には、レッドゾーンによる除外が書かれていません。一方で県の解説は「本条の適用を除外している」と書いています。崖の上のレッドゾーンで建てる計画なら、排水の措置が要るかどうかを、県の土木事務所に確かめてください。

第1項が外れても、「規制が軽くなる」わけではありません。明確に外れるのは、この条例の第3条第1項の擁壁の義務です。第3項の扱いは前記のとおり、県への確認が必要です。そしてレッドゾーンでは、建築基準法施行令第80条の3による構造の規制が別に働きます。条例が外れたぶん、法の規制が入るという関係です。

レッドゾーンでどんな構造が求められるかは、土砂災害特別警戒区域で求められる構造にまとめています(区域に入るかどうかの判定と、この条例の当てはめは、上の窓口で確かめてください)。

レッドゾーンの構造の規制(令第80条の3)——外壁等を固めるか、門・塀で遮るか

令第80条の3は、原則として、外壁及び構造耐力上主要な部分(土石等の高さ等以下で、土砂災害の原因となる自然現象〔河道閉塞による湛水を除く〕により衝撃が作用すると想定される部分に限られます。条文はこれを「外壁等」と呼びます)を、国土交通大臣が定めた構造方法とする規定です。ただし、土石等の高さ等以上の高さの門または塀(外壁等と同等以上の耐力を有するものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものに限ります)が、その衝撃を遮るように設けられている場合は、外壁等に関するこの構造の規制を外すことができます(同条ただし書)。「土石等の高さ等」は、区域ごとに県が指定の際に定め、告示図書に記載された数値です。

県条例の流土止め——県条例第3条第1項の擁壁の義務を外すための措置です。レッドゾーンの門・塀——令第80条の3の外壁等の構造の規制を外すための措置です。この二つは、同じ制度ではありません。どちらも普通の境界塀で足りるものではありません。

確認申請

レッドゾーンでは、確認申請も要りますか

確認申請の側も変わります。都市計画区域の外でも建築確認が要る場合があります。土砂災害防止法第25条は、特別警戒区域(建築基準法第6条第1項第3号に規定する区域を除く。)内における居室を有する建築物(同項第1号又は第2号に掲げるものを除く。)を、同項第3号により知事が指定する区域内の建築物とみなして、法第6条から第7条の5まで・第18条・第89条・第91条・第93条を適用する、と定めています。この列挙の中に法第91条が入っています。この追加の建築確認が要るかどうかの判断には、敷地が区域の内外にわたるときに敷地の過半が属する区域の規定によるという法第91条の扱いが関係します。ただし、敷地や建物がレッドゾーンの内外にわたる場合に、令第80条の3がどの部分にかかるかまで、この一文だけで一律に決まるものではありません——計画地を所管する特定行政庁(=是正命令など、建築基準法上の行政の権限を担う人。市町村長か都道府県知事のどちらかで、誰がこれに当たるかは後の「相談の窓口」の節に書きました。建築確認の審査をする人とは、別の役割です)に確かめてください。

レッドゾーン内で特定開発行為をしようとするときは、原則として、あらかじめ知事の許可が要ります(土砂災害防止法第10条第1項)。特定開発行為とは、開発行為(かいはつこうい=主として建築物を建てるなどの目的で行う、土地の区画形質の変更。都市計画法第4条第12項)のうち、そこで建築が予定されている建築物の用途が制限用途であるものです。土地の区画形質を変えない計画なら、この許可の話は出てきません(建築確認やレッドゾーンの構造の規制は、別に残ります)。当たるかどうかは、下に書いた窓口で確かめてください。制限用途は、開発行為をする者が自ら居住するためのものを除く住宅と、高齢者・障害者・乳幼児その他の特に防災上の配慮を要する者が利用する社会福祉施設・学校・医療施設です(施設のほうは、政令で定めるものに限られます——学校は特別支援学校と幼稚園、医療施設は病院・診療所・助産所です)。条文はこれを「以外の用途でないもの」という二重の否定で書いています——用途がまだ決まっていない計画が外れる、とは読めません(同条第2項)。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う開発行為と、仮設建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為には、この許可は要りません(同条第1項ただし書・同法施行令第5条)。

ここでいう「自己」は、開発行為をする人です——許可を受けるのは「特定開発行為をしようとする者」だからです(第10条第1項)。要らなくなるのは、この特定開発行為の許可だけです。自分が住むための家を、自分で計画して建てるなら、この許可は要りません。売るために住宅を建てる開発(買う人が住む家)は「自己の居住の用に供するもの」に当たりません——原則として許可の対象です。この許可のほかに、建築確認、レッドゾーンの令第80条の3による構造の規制、県条例第3条(居室のない建築物や、敷地の造成だけの場合)、ほかの法令は、別に確かめます。

指定のときに、すでに特定開発行為に着手していた場合について、法が定めているのは届出です——指定の日から起算して21日以内に、知事へ届け出なければなりません(同法第14条第1項)。非常災害のための応急措置と、仮設建築物のための開発行為は、この届出の対象からも外れます。許可も届出も、窓口は県の説明では所在地を所管する県の土木(治水)事務所です。

レッドゾーン内の居室を有する建築物について、令第80条の3に対応する2つの方法——外壁等(外壁・構造耐力上主要な部分のうち、土石等の高さ等以下で、土砂災害の原因となる自然現象〔河道閉塞による湛水を除く〕により衝撃が作用すると想定される部分)を所定の構造にするか、土石等の高さ等以上の高さで、外壁等と同等以上の耐力を有するものとして国土交通大臣が定めた構造方法による門・塀を、衝撃を遮るように設けるか——と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。

災害危険区域

災害危険区域の条は、2026年4月1日に削除されました

改正前の条例には、急傾斜地崩壊危険区域を災害危険区域として指定する第2条の2と、その区域内の建築物の構造を定める第2条の3がありました。2026年4月1日の改正で、両方とも削除されています。

県の解説は理由をこう書いています——土砂災害防止法の施行から特別警戒区域の指定までの間、崖崩れによる被害を防止するため、急傾斜地崩壊危険区域を災害危険区域としてきたが、特別警戒区域の指定が令和3年度までに完了したため。

県が所管する区域では、「急傾斜地崩壊危険区域=災害危険区域」ではなくなりました(市町村が建築基準法第39条にもとづく条例で災害危険区域を指定しているかは、この記事では確かめていません——計画地の市町村役場でも確かめてください)。ただし急傾斜地崩壊危険区域そのものは残っています——区域内での切土・盛土・工作物の設置などには、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第7条第1項により知事の許可が要ることがあります。窓口は建築の窓口とは別で、所在地を所管する県の土木事務所・治水事務所です。担当課の名前は事務所によって違います——県の許認可案内では、急傾斜地崩壊危険区域は「急傾斜地第一課・第二課」、砂防指定地は「許認可指導課」と分かれています。電話で用件を言って、担当につないでもらってください。なお、同項ただし書により、非常災害のために必要な応急措置として行う行為、区域の指定の際すでに着手している行為、政令で定めるその他の行為は、許可の対象から外れます。ただし、手続が無くなるとは限りません——このうち区域の指定の際すでに着手していた行為は、指定の日から起算して14日以内に、知事へ届け出なければなりません(同条第3項)。非常災害のための応急措置と、政令で定めるその他の行為は、この届出の対象からも外れています。国または地方公共団体は、同条第4項により許可ではなく協議によります。

「指定の日」がいつで、14日をどう数えるか——ここでいう「指定の日」は、区域の指定が公示によって効力を生じた日です。知事は指定をするとき国土交通省令で定めるところにより区域を公示し(同法第3条第3項)、指定は、その公示によって効力を生じます(同条第4項)。数え方の目印は、条文の「その指定の日から起算して」という書き方です。民法第138条は、期間の計算方法について「法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う」とし、民法第140条は「期間の初日は、算入しない」を原則としています。急傾斜地法第7条第3項の「その指定の日から起算して」は、起算日を条文の側で定めた書き方で、指定の日を1日目として数えます。ただし、この届出について、国や県が数え方を示した資料は見つかりませんでした——日にちが際どいときは、区域を所管する県の窓口(急傾斜地法の許可の窓口)に、指定の公示日と提出期限を確かめてください。なお、この届出をしなかったり、うその届出をしたりすると、同法第29条第2号により1万円以下の罰金です。

市でも同じですか

12の市では、この条例は適用されません

市でも同じですか
市でも同じですか

(適用の除外)
第53条 この条例は、法第4条第1項又は第2項の規定により建築主事を置く市町村が法第40条又は法第43条第3項の規定に基づき条例を定めたときは、その条例の効力が発生した時から、当該市町村の区域内においては、適用しない。

神奈川県建築基準条例 第53条第1項

次の12市では、神奈川県建築基準条例は適用されません。それぞれの市の条例によります。

12の市では適用されません
12の市では適用されません

12の市では適用されません

横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市・藤沢市・鎌倉市・平塚市・小田原市・茅ヶ崎市・厚木市・秦野市・大和市

この12市の基準の数字が県と同じとは限りません。崖の高さ・勾配・距離の取り方が、市ごとに違うことがあります。お住まいの土地が上の12市にあるなら、その市の建築指導の窓口で確かめてください。

その窓口は、次のとおりです。課の名前とリンク先は、2026年9月6日に各市の公式ページで確かめました。各市の条例の中身は、この記事では読んでいません——崖の高さ・勾配・距離の取り方は、必ずその市に確かめてください。

市建築指導の窓口
横浜市建築局建築指導部情報相談課
川崎市まちづくり局指導部建築審査課
相模原市建築審査課
横須賀市都市部建築指導課
藤沢市計画建築部建築指導課
鎌倉市都市調整部建築指導課
平塚市建築指導課
小田原市都市部建築指導課審査係
茅ヶ崎市都市部建築指導課審査担当
厚木市都市みらい部建築指導課建築審査係
秦野市都市部建築指導課建築指導担当
大和市まちづくり部建築指導課

電話番号は、この記事には載せていません(担当ごとに番号が分かれている市があり、記事を読む時点で変わっていることもあります)——上のリンク先で確かめてください。

県の条例がかかるのは、残る21市町村です——逗子市、三浦市、葉山町、伊勢原市、寒川町、大磯町、二宮町、愛川町、清川村、海老名市、座間市、綾瀬市、南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町。

守らないと、どうなりますか

罰則は第59条——50万円以下の罰金。名宛人は原則、設計者です

守らないと、どうなりますか
守らないと、どうなりますか

第59条第1項は、違反した条を列挙したうえで、その建築物、工作物又は建築設備の設計者を50万円以下の罰金に処すると定めています。設計者のあとには括弧書きがあり、認定建築材料等と異なる建築材料・建築物の部分を引き渡した場合はその引渡しをした者、設計図書を用いないで、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合は工事施工者が名宛人になります——ただし、設計図書と違う認定建築材料等を引き渡され、それを使って施工したときは、工事施工者への置き換えから外れます(この場合は材料等の引渡しがあったときなので、前段の「引き渡した者」への置き換えが働きます)。列挙の中に「第3条第1項若しくは第3項」が入っています——擁壁の義務と、排水の措置の両方が対象です。列挙の中に「第3条第2項」はありません(第2項は、第1項を適用しないことを定めた規定です)。

罰金は50万円以下。原則設計者
罰金は50万円以下。原則設計者

名宛人(なあてにん=この罰則を受ける人)は原則として設計者ですが、施工の方法や、認定建築材料等の引渡しの状況によって、工事施工者や材料等の引渡者が対象になる場合があります。建築主・工作物の築造主・建築設備の設置者は、その違反が故意によるときに、第59条第2項で同じ刑が科されます。法人については同条第3項の両罰規定(りょうばつきてい=行為をした人のほかに、その法人にも罰金を科す定め)があります。

是正命令は、建築主・所有者なども対象になり得ます(法第9条第1項)

罰則の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、当該建築物の建築主、工事の請負人(下請人を含みます)・現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者に対して、工事の施工の停止や、除却(じょきゃく=取り壊し)・移転・改築・使用禁止その他の是正に必要な措置を命ずることができる、と定めています。故意は要件ではありません。設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていませんが、設計者が現場管理者を兼ねていれば名宛人になり得ます。命令に違反した場合は、法第98条第1項第一号により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。

条件を満たせば安心ですか

条例が外れても、建築基準法第19条第4項は残ります

条件を満たせば安心ですか
条件を満たせば安心ですか

条件を満たせば安心ですか

4 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。

建築基準法 第19条第4項

これは、がけ崩れ等への安全措置を定めた国の法律の規定です——建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合に、擁壁の設置その他安全上適当な措置を求めるものです。(ただし、この規定にも、適用されない場合と、条例で緩和される場合があります——くわしくは、すぐ下の「この規定が働かない場合」をご覧ください。)条例の第3条に当たらない土地でも、崖崩れ等による被害を受けるおそれがあるなら、擁壁の設置その他安全上適当な措置が要ります。求められているのは擁壁だけではなく「その他安全上適当な措置」を含みます。「2メートルを超えないから何もしなくてよい」とは読めません。

法第19条第4項が残ります
法第19条第4項が残ります

この規定が働かない場合——法第19条第4項にも、次の例外があります。法第3条第1項の文化財等の建築物。法第3条第2項の、その規定の施行・適用の際にすでに存在していた建築物や敷地(いわゆる既存不適格。ただし同条第3項各号に当たるものは除かれ、第一号は「改正後の規定の適用の際、これに相当する従前の規定に違反していたもの」です)。法第85条第1項の、非常災害区域等で災害の発生した日から1か月以内に工事に着手する応急の修繕・応急仮設建築物(防火地域内は除きます。応急仮設建築物は、国・地方公共団体・日本赤十字社が災害救助のために建てるものと、被災者が自ら使う延べ面積30平方メートル以内のものです)。法第85条第2項の、災害時の公益上必要な応急仮設建築物と、工事現場の事務所・下小屋・材料置場などの仮設建築物。第85条は、第1項と第2項で対象も要件も違います——「応急仮設建築物なら外れる」とは読めません。

もうひとつ、条例で外したり緩めたりできる仕組みがあります。法第41条は、法第6条第1項第三号の区域の外(都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区・知事が指定する区域の、いずれにも入らない土地)で、市町村が国土交通大臣の承認を得て条例を定め、区域を限って法第19条を適用しない、または制限を緩和することを認めています(法第6条第1項第一号の建築物と、同項第二号の建築物のうち木造以外のものには使えません)。自分の土地がどれに当たるかは、窓口で確かめてください。

どこに聞けばいい

相談の窓口は、県の5つです——土木事務所が4か所と、厚木土木事務所の東部センター

どこに聞けばいい?
どこに聞けばいい?

県が特定行政庁(原則として、建築主事または建築副主事を置く市町村の区域ではその市町村長、それ以外の区域では都道府県知事。ただし、建築主事等の事務の権限を一部だけ与えられた市町村(限定特定行政庁)の区域内の政令で定める建築物については都道府県知事)となる21市町村では、次の窓口が受け持ちます。

県の5つの窓口と、12市
県の5つの窓口と、12市
窓口所管する市町村電話
横須賀土木事務所 計画建築部 まちづくり・建築指導課逗子市、三浦市、葉山町046-853-8800
平塚土木事務所 計画建築部 建築指導課伊勢原市、寒川町、大磯町、二宮町0463-45-3150
厚木土木事務所 計画建築部 まちづくり・建築指導課愛川町、清川村046-223-1711
厚木土木事務所 東部センター まちづくり・建築指導課海老名市、座間市、綾瀬市0467-79-2843(直通)
県西土木事務所 計画建築部 まちづくり・建築指導課南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町0465-83-5111

全県の総括は神奈川県 県土整備局 建築住宅部 建築指導課(横浜市中区日本大通1)です。建築確認そのものは、業務の範囲内であれば指定確認検査機関(民間の確認検査機関)にも申請できます(法第6条の2)。ただし、条例の当てはめの相談は、上の土木事務所です。

契約の前に

売買契約の前に、専門家と確かめること

いつ、誰に相談しますか
いつ、誰に相談しますか

この一覧は、自分で判定するためのものではありません——測って図にし、条例に適合するかを検討するのは建築士・設計者、確認審査で適合を判断するのは建築主事・建築副主事又は指定確認検査機関です。その前の相談は、県の土木事務所へ。

窓口に行く前に。擁壁の図面と構造計算書は当社が用意します。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます。窓口には、その図面を持って行けます。 土のねっこ(L型擁壁) やまがみ(土砂待受擁壁) 擁壁を相談する ☎ 0120-1181-46

売買契約の前に動きます
売買契約の前に動きます

確かめること

売買契約の前に、何を確かめればいいですか

  • ①その土地は、12市(横浜・川崎・相模原・横須賀・藤沢・鎌倉・平塚・小田原・茅ヶ崎・厚木・秦野・大和)の中か、外か。中なら、その市の条例です
  • ②敷地の中や隣に、勾配30度を超え、高さ2メートルを超える崖があるか。目測ではなく、現況の測量図と断面図で
  • ③建てる位置が、崖の下端から水平距離で崖の高さの2倍以内に入るか。崖の上でも下でも、起点は下端です
  • ④敷地の造成だけでも対象です。建物より先に造成する計画なら、その段階から
  • ⑤範囲内に入るなら、次の三つを建築士・設計者に検討してもらう。①安全な擁壁を設ければ、第1項の義務を満たせます。②第1項ただし書に当たる部分は、その部分の義務が外れます(崖の形状又は土質により安全上支障がない部分/崖の上部の盛土の部分で、高さ1メートル以下、勾配30度以下、かつ斜面を芝等で覆ったもの)。③建築物を建てる場合、第2項が成立すれば義務が外れます(崖の上なら、基礎が崖に影響を及ぼさないこと/崖の下なら、崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分を除いた主要構造部を鉄筋コンクリート造とすること、または崖と建築物との間に適当な流土止めを設けること。条文は「前項の規定は……適用しない」)。①は義務を満たす道、②③は義務が外れる道です。敷地の造成だけの場合は、第2項は使えません——造成だけなら、第1項の擁壁の義務がそのままかかります。崖の上に敷地があるなら、第3項の排水の措置が別に要ります。実際に建てられるかは、建築確認やレッドゾーンの構造の規制、ほかの法令を含めて別に確かめます
  • ⑥レッドゾーンで居室を有する建築物を建てるなら、外壁等による方法か、門・塀で衝撃を遮る方法かを、令第80条の3に沿って検討する。必要な高さと力は県の指定図書で確認する
  • ⑦すでに擁壁があるなら、その擁壁の築造工事の検査済証があるか、いま適切に管理されているか。設計者による安全性の判断が要ります。検査済証がなくても、国のマニュアル等を参考に個別に評価する余地はあります
  • ⑧その土地が土砂災害警戒区域・特別警戒区域・急傾斜地崩壊危険区域に入っていないか。県の最新の指定図書で
  • ⑨条例が外れても、がけ崩れ等による被害を受けるおそれがある場合は、建築基準法第19条第4項の措置が別に要ります
  • ⑩いまある建物を増築・改築・用途変更する計画や、仮設の建築物なら、第3条がどう掛かるかを別に確かめる。工事を伴わない用途変更でも、建築基準法第87条第2項により、法第40条に基づく条例の規定は準用されます(既存不適格の建物の用途変更は、同条第3項のほうです)。この記事が読んだのは、これから新築する場合と、建築物の敷地を造成する場合の当てはめです——条例には、既存の建築物や仮設の建築物についての緩和・適用除外を置いた条が、第4章(雑則)に別にあります。建物の建築年・確認済証・検査済証と、いまの図面を持って、県の土木事務所で、その条がかかるかを確かめてください
  • ⑪その土地ですでに工事が始まっているなら、区域の指定日と工事に着手した日、指定のときにどこまで進んでいたかを確かめる。レッドゾーンの指定のときに着手済みの特定開発行為は指定の日から21日以内に届出(土砂災害防止法第14条第1項)、急傾斜地崩壊危険区域の指定のときに着手済みの行為は指定の日から起算して14日以内に届出(急傾斜地法第7条第3項)。指定の日は、土砂災害の区域なら県の告示図書・土砂災害情報ポータルで、急傾斜地崩壊危険区域なら県の土木(治水)事務所で確かめる。着手した日だけでは、期限は決まりません

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に。崖の高さと、崖からの距離は、現況の測量図と断面図がないと自分では判断できません——測量・図面・条例適合の検討は建築士に、事前の相談は県の土木事務所に、お尋ねください。適合しているかを審査で判断するのは、建築主事・建築副主事又は指定確認検査機関です。

お問い合わせ

相談と見積(無料)

土のねっこが使えるか、図面か、段差の高さと長さ・現場の写真・住所からお答えします。図面と構造計算書は当社でご準備できます。

当社はコンクリート製品のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。

全国に配送します(沖縄・北海道・離島を除く)

お電話でも受け付けています。☎ 0120-1181-46(平日9:00〜18:00)

出典

条例の条文は2026年9月1日に、神奈川県公報(令和7年12月23日 号外第70号)と、県の新旧対照表・第3条等の解説(令和8年3月31日)で確認し、2026年9月6日に、県法規集の現行本文で確認し直しました(最終改正 令和7年12月23日条例第84号)。土砂災害防止法(第10条・第14条・第25条)と同法施行令(第5条・第6条)、急傾斜地法第7条、都市計画法第4条第12項、建築基準法第9条第1項・第98条第1項第一号は、2026年9月3日にe-Gov法令検索で確認しました。12市の条例は、この記事では読んでいません。

神奈川県のレッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)については、区域図の調べ方・建築の決まり・待ち受け擁壁・補助金・相談先を神奈川県のレッドゾーンのページにまとめています。

神奈川県内の市の記事

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