擁壁の選び方

RETAINING WALL GUIDE

【無料の判定アプリ】自分の土地で確かめる。崖の高さ・角度・距離を入れると、その県と市の条例のどこに当たるかを整理して、窓口に持っていける資料にします(登録不要)。

がけ条例の判定アプリを開く(無料)

擁壁の種類と選び方

擁壁(ようへき)は、高低差のある土地で、土が崩れないように支える壁です。主な種類は、L型・逆L型・重力式・もたれ式・間知ブロック積みの5つ。どれかは、断面の形と天端(上から見た厚み)が手がかりになります。擁壁が要るなら、製品と図面・構造計算書は当社でご準備できます。全国対応です。

宅地造成地に設置されたプレキャストコンクリート擁壁(土のねっこ)
宅地造成地に設置されたプレキャストコンクリート擁壁(土のねっこ)。地盤・高さ・荷重・排水などの条件に合わせて計画します。

擁壁とは

WHAT IS A RETAINING WALL?

擁壁とは、何ですか

擁壁(ようへき)は、段差の土が崩れないように支える壁です。後ろの土が壁を押す力(土圧)を受け止めて、切土(山を削る)や盛土(土を盛る)でできた段差を安定させる壁です。

例えば山の斜面に宅地を造ろうとすると、それぞれの土地は水平にする必要が出てきます。山に作られた段々畑をイメージしてもらうと分かりやすいでしょう。

ちょっと極端な例に思えるかもしれませんが、大分では平地が少なく斜面が多いため、擁壁が必要となる場面があります。また、横浜などの都市部にも傾斜地があり、擁壁が多く使われています。

石積みで段差を支える棚田の景観
棚田の石積みも、段差を支える構造の身近な例です。

この写真もよく見ると、中央付近の田で石を積んで田んぼが崩れないように支えているのが見えます。

土留め・塀と、何が違いますか

段差の土を支える壁なら、土留めと擁壁はほぼ同じ物を指します。土留めのほうが広い呼び名で、擁壁は法令が使う言葉です(法律と擁壁のタブ)。辞書・法令ごとの書き方は「土留めとは」にまとめました。塀は境界や目隠しのための物で、土を支えません(塀と擁壁のタブ)。

FIRST CHECK

種類より先に確認すること

高低差と必要高さ

段差の高さと長さを、メジャーで測ります。上の土地と下の土地は、どちらの持ち物ですか。

地盤・荷重・排水

上に家や車が載りますか。雨水はどこへ流れますか。地盤が軟らかいと分かっていれば、それも教えてください。

法規・設計条件

道路沿いですか、隣の土地との境ですか。盛土規制法の区域の中で、許可が要る工事ですか(自治体の窓口で聞けます)。

段差や擁壁のある土地を買う前に見ること(図面・築造時期・許可の記録)は、法律と擁壁のタブにあります。

WHY RETAINING WALLS

当社製品の早見

高低差で、まず絞れます

どれに当たるかは、高低差・地盤・荷重・法規で決まります。段差の高さ・上に載る物・場所(道路沿いか、隣地か)が分かれば、図面が無くても、分かる範囲の条件でご相談いただけます。製品で法令への適合が決まるものではありません。

法律と擁壁

RETAINING WALLS IN LAW

法律では、擁壁をどう扱っていますか

盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)の施行令は、擁壁を、崖面を覆う物として扱います。施行令は崖をこう定めます。

この政令において、「崖」とは地表面が水平面に対し三十度を超える角度をなす土地で硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外のものをいい、「崖面」とはその地表面をいう。

宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第1条第1項

盛土規制法の許可(工事の前に自治体から受ける許可)が要る工事のうち、盛土で高さ1mを超える崖、切土で高さ2mを超える崖、盛土と切土を同時にして高さ2mを超える崖ができるもの(施行令第3条第1号〜第3号)では、崖面を擁壁で覆うのが原則です(第8条第1項第1号「擁壁を設置し、これらの崖面を覆うこと」)。擁壁は「鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造又は間知石練積み造その他の練積み造」の3つです(同項第2号)。無筋コンクリートは鉄筋を入れないコンクリート、間知石(けんちいし)は奥行きのある擁壁用の石です。練積みは、石やブロックの裏や目地にコンクリートやモルタルを詰めて積む積み方です(上限は練積み造の上限のタブ)。この3つ以外の擁壁は、国土交通大臣が同等以上と認めた大臣認定擁壁に限られます(第17条)。擁壁が要らない崖面もあります(要る擁壁・要らない擁壁のタブ)。

L型擁壁や積みブロックが使われた住宅造成地
住宅造成地では、現場条件に応じてL型擁壁や積みブロックなどが使い分けられます。

この写真は新興住宅街の造成の様子ですが、さまざまな擁壁が使われているのがわかります。手前は現場打ちのL型擁壁、その奥は古い積みブロック、そのさらに奥は一部新しく積みブロックが積まれているのがわかります。

擁壁のある土地を買う前に、何を見ますか

すでにある擁壁は、外観だけでなく図面、築造時期、地盤、排水、ひびやふくらみの有無で見ます。土地を買う前なら、図面と築造時期は売主か仲介に、許可や確認の記録は自治体の窓口(宅地・建築の担当課)に聞きます。図面が無い擁壁は、写真と段差の高さを送っていただければ見ます。安全かどうかの判定は、擁壁に詳しい建築士か、自治体の建築の窓口に相談してください。

高さは、擁壁の前面の上端から下端までの垂直距離です(第1条第4項)。下端は「擁壁の前面の下部が地盤面と接する部分」なので、地面の下に埋まっている部分(根入れ)は高さに入りません。

建築基準法では、「高さが二メートルを超える擁壁」が工作物です(建築基準法施行令第138条第1項第5号)。この擁壁には、腐食しない材料で造る・水抜穴を設ける・構造計算で確かめる、という基準がかかります(第142条)。都市計画区域などの中では、造る前に建築確認の申請も要ります(建築基準法第88条第1項・第6条第1項第3号)。盛土規制法の許可や開発許可(都市計画法の、建物を建てるために土地を造成する工事の許可)を受ける工事の擁壁は、確認申請ではなく、その許可の審査で確かめます(建築基準法第88条第4項。くわしくは「2mを超えると」のタブ)。

出典 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(令和5年5月26日施行の版)第1条第1項・第4項・第3条第1号〜第3号・第8条第1項第1号・第2号・第17条、建築基準法施行令(令和7年12月1日施行の版)第138条第1項第5号・第142条第1項、建築基準法(令和8年5月27日施行の版)第6条第1項第3号・第88条第1項・第4項(e-Gov法令検索(盛土規制法施行令)・(建築基準法施行令)・(建築基準法)、2026年10月10日閲覧)

要る擁壁・要らない擁壁

REQUIRED OR OPTIONAL

うちの段差に、擁壁は要りますか

盛土規制法が擁壁を求めるのは、これから盛土や切土をする工事です(工事の前に許可を受けます。法第12条第1項)。いまある段差に手を付けないなら、許可も要らず、擁壁を造る決まりもかかりません。ただし宅地造成等工事規制区域(盛土規制法で都道府県などが指定する区域)の中では、土地の持ち主に土地を安全に保つ努力の義務があり(法第22条第1項)、崩れるおそれが大きい土地には擁壁の設置などを命じられることがあります(法第23条第1項)。家を建てる・建て替えるときは、がけ条例(崖のそばに家を建てるときの、都道府県などの決まり)が別にかかり、崖から離すか、擁壁を造るかを求められることがあります(県ごとの中身はがけ条例かんたん判定で)。崩れが心配なら、段差の高さと写真を送ってください。

宅地造成等工事規制区域では、盛土・切土の工事のうち次のものに許可が要ります(施行令第3条。土石の堆積は第4条)。

許可が要る工事(施行令第3条)崖面を擁壁で覆う義務
盛土で、高さ1mを超える崖ができる(第1号)要る
切土で、高さ2mを超える崖ができる(第2号)要る
盛土と切土を同時にして、高さ2mを超える崖ができる(第3号)要る
上の崖ができなくても、高さ2mを超える盛土(第4号)外れる
面積500㎡を超える盛土・切土(第5号)外れる
宅地造成等工事規制区域。第8条第1項第1号は第4号・第5号を括弧書きで除く

第4号・第5号の工事は、許可は要りますが、擁壁の義務からは外れています。崖面ができたときは、第15条第1項の措置で侵食から守ります(条文は任意擁壁と法面のタブ)。特定盛土等規制区域は、許可が要る規模が違います(盛土で2m超の崖、切土で5m超の崖など。第28条第1項)。くわしくは盛土規制法の全国ガイド。

出典 宅地造成及び特定盛土等規制法(令和7年6月1日施行の版)第12条第1項・第22条第1項・第23条第1項 e-Gov法令検索/同法施行令(令和5年5月26日施行の版)第3条第1号〜第5号・第4条・第8条第1項第1号・第15条第1項・第23条・第28条第1項 e-Gov法令検索(いずれも2026年10月10日閲覧)

擁壁が要らない崖面

WHEN NO WALL IS NEEDED

擁壁が要らない崖面は、どれですか

要る擁壁・要らない擁壁。許可が要る工事では、急な崖は擁壁で覆い、緩い斜面は表面を守る
許可が要る工事の原則。急な崖は擁壁で覆い、緩い斜面は表面を守る(例外は本文)

政令の崖は、30度を超える角度の土地です(硬岩盤を除く。ただし風化の著しい岩盤は崖に入る。第1条第1項。原文は「法律と擁壁」のタブ)。30度は、横に約1.7m進んで1m上がる勾配です。段差の高さと、斜面の水平の長さをメジャーで測れば比べられます。30度以下の地表面は政令の言葉では崖ではなく、崖面に擁壁を求める第8条第1項第1号はかかりません。図の緩い斜面がこれで、許可が要る工事では植栽や芝張りなどで雨水の侵食から守ります(第15条第2項)。

施行令第8条第1項第1号では、崖(30度超)でも擁壁が要らない崖面が3つあります。

  • 切土で、土質ごとに決まった角度以下の崖面。それより急でも上限の角度以下なら、上端から5m以内の部分は要りません(角度と設置義務の表)
  • 地盤の安定計算で、擁壁が要らないと確かめた崖面
  • 崖面崩壊防止施設(第14条)で覆った崖面。擁壁で崖を支えにくい所に擁壁の代わりに置く施設で、住宅地のように変形を許せない土地の造成では使えません(山梨県の手引)

このほか、都道府県などが規則で、災害の防止に支障がない土地に限って、擁壁の代わりの措置を定めていることがあります(第20条第1項)。

30度を超えていても、許可の要らない小さな工事や規制区域の外は、この条文の外です。そのときは、がけ条例と建築基準法(高さ2mを超える擁壁は工作物)で確かめます。自分の土地がどれに当たるかは、盛土規制法かんたん判定とがけ条例かんたん判定で確かめられます。最後に決めるのは窓口(自治体の宅地・開発・建築の担当課)です(くわしくは用途と確認先のタブ)。

擁壁が要る段差は土のねっこ(工場製の鉄筋コンクリートL型。製品の高さ500〜3,000mm)、約70cmまでの段差は土地分け丸、緩い法面の保護はヒルズブロック。高さは目安で、地盤・荷重・排水・法規で変わります。図面と構造計算書は当社でご準備できます。 段差の高さと写真を送って、要る擁壁を聞く(無料) ☎ 0120-1181-46

出典 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(令和5年5月26日施行の版)第1条第1項・第8条第1項第1号・第14条・第15条第2項・第20条第1項 e-Gov法令検索/建築基準法施行令(令和7年12月1日施行の版)第138条第1項第5号 e-Gov法令検索/山梨県『盛土規制法に基づく許可申請等の手引き【技術的基準編】』(令和7年4月)56ページ PDF(いずれも2026年10月10日閲覧)

任意擁壁と法面

OPTIONAL WALLS AND SLOPES

「任意擁壁」とは、何ですか

任意擁壁(任意設置擁壁)は、法律が擁壁を求める崖面の外に、工事主(工事を注文した人、または自分で工事をする人)が自分の判断で造る擁壁です。法律が求める崖面(第8条第1項第1号)に造る擁壁が、義務設置擁壁です。どちらも法令の用語ではなく、一部の自治体の手引が使う呼び名です(出典は下の箱)。政令の条文の見出しには「設置しなければならない擁壁」(第11条)、「任意に設置する擁壁」(第13条)の語があります。

「2m以下なら任意擁壁」と説明されることがありますが、政令は高さで義務と任意を分けていません。任意設置擁壁でも、許可が要る工事で高さが2mを超えるものには、建築基準法施行令第142条(腐食しない材料・水抜穴・構造計算)が準用されます(第13条)。2m以下は政令に構造の定めがなく、自治体が構造形式を指定していることがあります。重要事項説明などで「任意擁壁」と書かれていたら、①法律で求められた擁壁か、自分の判断で造った擁壁か ②高さが2mを超えるなら、許可か確認の記録があるか ③図面と計算書があるか、を売主か設計者、窓口に確かめてください。記録や図面が無ければ、写真を送ってご相談ください。

擁壁と法面は、何が違いますか

緩い勾配の法面の表面に、薄く敷き並べた張りブロックの断面
法面の表面を覆う張りブロック

擁壁は土を立てて支える物です。法面(のりめん)は、切土や盛土で土を斜めのまま置いたときの斜面の表面で、そこを削られないように守るのが法面保護です。施行令は、崖面を覆う義務の擁壁(第8条第1項第2号)のうち鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート造のものに、「土圧、水圧及び自重」で壊れない・転倒しない・滑らない・沈下しないことを構造計算で確かめるよう求めます(第9条第1項)。擁壁で覆わない崖面は、こう定めています。

法第十三条第一項の政令で定める宅地造成に関する工事の技術的基準のうち崖面について講ずる措置に関するものは、盛土又は切土をした土地の部分に生ずることとなる崖面(擁壁又は崖面崩壊防止施設で覆われた崖面を除く。)が風化その他の侵食から保護されるよう、石張り、芝張り、モルタルの吹付けその他の措置を講ずることとする。

宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第15条第1項

擁壁が要らない崖面にも、表面を守る措置は要ります。その方法の一つが張りブロックです。どの方法が合うかは、土質・水・勾配で決まります(くわしくは張りブロックのタブ)。

擁壁の図面と構造計算書は当社でご準備できます。任意設置擁壁でも、2mを超える擁壁でも、条件を伺って図面にします。大臣認定擁壁も手配できます。

擁壁を相談する(無料)☎ 0120-1181-46(平日9:00〜18:00)

出典 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(令和5年5月26日施行の版)第8条第1項第1号・第2号・第9条第1項・第11条・第13条・第15条第1項、建築基準法施行令(令和7年12月1日施行の版)第142条(e-Gov法令検索(盛土規制法施行令)・(建築基準法施行令))/山梨県『盛土規制法に基づく許可申請等の手引き【技術的基準編】』(令和7年4月)27・31ページ PDF/浜松市『盛土規制法の手引』第3編 第8章 8-3・8-10ページ PDF(いずれも2026年10月10日閲覧)

種類一覧

WALL TYPES

擁壁の種類は、どう分かれますか

ふだんは形式で呼びます。主なものは、L型・逆L型・逆T型・重力式・もたれ式・間知(けんち)ブロックの練積み(ねりづみ。コンクリートで固めて積む)です。違いは、後ろの土が押す力(土圧)を何で受けるかです。法令のほうは造りで分けます。鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート造(鉄筋を入れないコンクリート)・練積み造です(盛土規制法施行令第8条第1項第2号)。いまある擁壁が心配な方は、種類が何でもいまある擁壁の点検のタブで見てください。

L型擁壁。底版に載った土が重しになる。後ろの土が押す力を、底版の上の土の重さで受ける
L型擁壁は、底版に載った土が重しになる
方式支え方・向く場面・確かめること
L型支え方:底版(ていばん。たて壁の下の板)を土の側へ出し、その上に載った土が重しになる
向く場面:敷地を広く使いたい段差(境界いっぱいに寄せる所)
確かめること:構造計算書か、大臣認定の認定書があるか(売主か設計した人に聞く)。後ろに底版を入れる場所があるか
逆L型支え方:底版を前に出して踏ん張る
向く場面:後ろに隣地や建物が迫り、底版を土の側へ出せない場所
確かめること:前の用地。同じ段差でも根入れが深くなり、背の高い擁壁が要ることがある
逆T型支え方:後ろの土の重さと、前の底版で支える
向く場面:前にも後ろにも底版を置ける場所
確かめること:前後の用地と地盤
重力式支え方:壁そのものの重さで土を支える
向く場面:基礎の地盤が良い場所
確かめること:地盤。体積が要る
もたれ式支え方:背面の地山(もとの地盤)に寄りかかって立つ
向く場面:比較的安定した地山や切土
確かめること:背面が崩れないか。自治体が切土に限る・高さの上限を決めていることがある
間知ブロック(練積み)支え方:斜めに積み、コンクリートで一体にして土を留める
向く場面:斜面の足もとの小さな崩れを止める所(道路の目安。設計要領では「ブロック積(石積)擁壁」)。宅地では、練積み造の上限のタブにある高さまで認められている
確かめること:勾配ごとの高さの上限(練積み造の上限のタブ)。いまある物なら、練積みか空積みか(間知ブロックのタブ)
向く場面の出典は下の出典欄。挙げていない行は当社の見方

工場製のL型が向く場面

敷地を広く使いたい。工期を短くしたい。どちらかなら、工場で作るL型擁壁が向きます。ただし、地盤・擁壁の高さ・上に載る荷重・施工できる幅で、答えは変わります。工場製のL型は、約70cmまでの段差なら土地分け丸(L型)、それより高い段差なら土のねっこ(製品の高さ3,000mmまで)です。

「擁壁ブロック」は、何を指しますか

「擁壁ブロック」と呼ばれる物のうち、よく出てくるのは次の3つです。

  • 間知ブロック:奥行き(控え)のあるブロック。コンクリートで固めて積めば、上の練積み造の擁壁になります。
  • 型枠ブロック:中に鉄筋を入れてコンクリートを詰め、一体の壁にするブロック。国土交通大臣の認定を受けた物があります(施行令第17条の大臣認定擁壁)。
  • 塀用の空洞ブロック:建築用コンクリートブロック(JIS A 5406)。規格の適用範囲(壁・基礎・塀・門柱その他)に、擁壁は挙がっていません。施行令第8条第1項第2号が挙げる擁壁の造りにも、空洞ブロックを積んだ塀は入っていません。

いまブロック塀で土を留めている所があれば、写真を送ってご相談ください。

出典 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(令和5年5月26日施行の版)第8条第1項第2号・第10条・第17条・別表第四 e-Gov法令検索/国土交通省中部地方整備局『道路設計要領(設計編)』第4章 土工(v201503)4-13ページ 表-4-Ⅲ-6(重力式・もたれ式・間知の「向く場面」。間知は1文目) PDF/国土交通省「大臣認定擁壁の概要」の認定一覧(令和8年3月現在) PDF/JIS A 5406:2023『建築用コンクリートブロック』1 適用範囲 閲覧用PDF(いずれも2026年10月10日閲覧)

形で見る

SHAPE GUIDE

用途で選ぶ、当社の擁壁

  • 宅地造成・道路沿いの高低差(高さ0.5〜3m) → 土のねっこ(工場製のL型擁壁)
  • 約70cmまでの段差・敷地の境界 → 土地分け丸(小型擁壁・境界コンクリート・塀の基礎)
  • 崖から崩れてくる土砂を、家の手前で受ける(レッドゾーン) → 待受擁壁のやまがみ(山守)

図面と構造計算書は当社でご準備できます。全国対応。当社は擁壁のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。図面が無ければ、段差の高さと長さ、現場の写真と住所から始められます。図面か現場の情報を送って、使える製品と概算を聞く(無料)

形で見る、擁壁と法面保護

プレキャストコンクリート製L型擁壁の形状
L型擁壁
壁と底版がL字形につながり、底版上の土の重さも利用して土圧に抵抗します。
重力式擁壁。壁そのものの重さで土を支える。後ろの土が押す力を、厚い壁の重さで受ける
重力式擁壁
壁そのものの重さで土を支えます。
間知ブロックを斜めに積み、コンクリートで一体にした練積み擁壁。後ろの土が擁壁を押す
間知ブロックの練積み擁壁:土圧を負担
斜めに積み、コンクリートで一体にして背面の土を留めます。
張りブロック。斜面の表面を守る。土を支える物ではない。足もとに基礎を置く
張りブロック:法面表面を保護
斜面の表面を守る物で、土を支える物ではありません。

L型・逆L型・逆T型

CANTILEVER WALLS

L型・逆L型・逆T型は、どう違いますか

L型・逆L型・逆T型は、底版(ていばん。たて壁の下の板)をどちらへ出すかで分かれます。

片持ばり式擁壁 たて壁と底版とからなる鉄筋コンクリート製の擁壁。たて壁の位置により逆T型、L型、逆L型と呼ばれる。

埼玉県『道路設計の手引き(道路編)』第5章 5-1-3 用語の定義

L型擁壁

L型擁壁。底版に載った土が重しになる。後ろの土が押す力を、底版の上の土の重さで受ける
L型擁壁。底版に載った土が重しになる(3枚の図は同じ縮尺)

たて壁と底版がL字につながり、底版は支える土の側へ出します。後ろの土は擁壁を前へ押します。底版と、その上に載った土がひとかたまりになって、この押す力に逆らいます。底版に載った土が重しになるので、重力式のように壁そのものを重くしなくて済みます。壁は鉄筋で曲げに耐えるので、重力式より薄くできます。現場打ちもプレキャスト(工場製)も鉄筋コンクリートで、違うのは作る場所です。工場で作る物は天候に左右されにくく、現場で造る物は、鉄筋の組み方や、固まるまで乾かさないように守る養生など、現場の管理がそのまま品質になります。許可が要る工事の擁壁と高さ2mを超える擁壁は、どちらで作っても構造計算で確かめます(大臣認定擁壁を除く。盛土規制法施行令第9条、建築基準法施行令第142条第1項第5号)。薄い壁で倒れない理由と値段の決まり方は「L型擁壁」の記事に書きました。

逆L型擁壁

逆L型擁壁。底版を前に出して踏ん張る。後ろの土が押す力を、前に出した底版で受ける
逆L型擁壁。底版を前に出して踏ん張る

底版を、土の側ではなく前に出して踏ん張ります。後ろに底版を出さないので、後ろを掘る量を抑えられる場合があります。隣地がすぐ後ろにある場所や、境界いっぱいに寄せたい場所で検討します。前に用地が要ります。底版の上に土が載らないぶん、同じ段差でも必要な断面が大きくなることがあります。工場製の土のねっこ 逆Lは、同じ段差ならL型より背の高い製品を、深く埋めて使います。工事をする空間や、隣の建物への影響も確かめます。どちらにするか、どの大きさにするかは、地盤と荷重を見て設計で決めます。

逆T型擁壁

逆T型擁壁。後ろの土の重さと、前の底版で支える。底版を後ろと前の両方に出す
逆T型擁壁。後ろの土の重さと、前の底版で支える

たて壁の下の底版を、後ろ(土の側)と前(つま先版)の両方に出します。後ろの底版に載った土が重しになり、前の底版でも踏ん張ります。前にも後ろにも底版を置ける場所で使います。L型のほうは、国土交通省北陸地方整備局の設計要領が、用いる箇所を「擁壁が用地境界に接する等、つまさき版を設けることができない箇所。」としています。当社の土のねっこには、L型・逆L型・逆T型があります。

約70cmまでの段差は土地分け丸 L型(製品の高さ500〜1,000mm。地面に埋める分があるので、地上に見える段差は約70cmまで)、それより高い段差は土のねっこ(工場製のL型。製品の高さ3,000mmまで)、底版を土の側へ出せない場所は土のねっこ 逆L。図面と構造計算書は当社でご準備できます。 図面か現場の情報を送って、使える製品と概算を聞く(無料) ☎ 0120-1181-46

出典 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(令和5年5月26日施行の版)第8条第1項第2号・第9条第1項・第17条 e-Gov法令検索/建築基準法施行令 第142条第1項第5号 e-Gov法令検索/埼玉県『道路設計の手引き(道路編)』第5章 5-1-3 用語の定義(PDFの3ページ目) PDF/国土交通省北陸地方整備局『設計要領』第5章 5-2-1 表5.5(PDFの4ページ目) PDF/土木学会『コンクリートライブラリー148』p.345 PDF/土のねっこ・土のねっこ 逆Lの製品ページ(寸法表)(いずれも2026年10月10〜11日閲覧)

重力式・もたれ式

GRAVITY WALLS

重力式・もたれ式は、どんな擁壁ですか

どちらも、コンクリートの重さで土圧(後ろの土が押す力)を支える擁壁です。重力式は後ろに寄りかからず自分の重さで立ち、もたれ式は背面の地山(じやま。もとの地盤)に寄りかかります。

重力式擁壁

重力式擁壁。壁そのものの重さで土を支える。後ろの土が押す力を、厚い壁の重さで受ける
重力式擁壁。壁そのものの重さで土を支える

重力式擁壁 躯体自重により土圧を支持する無筋コンクリート製の擁壁。

埼玉県『道路設計の手引き(道路編)』第5章 5-1-3 用語の定義

躯体自重は、擁壁そのものの重さです。形は単純で、無筋コンクリート(鉄筋を入れない)で設計するのがふつうです。鉄筋がさびて膨らむ壊れ方が起きないかわりに、体積が要ります。無筋でも、許可が要る工事で崖面を覆う擁壁なら、鉄筋コンクリートと同じ構造計算で、破壊・転倒・滑り・沈下が起きないことを確かめます(盛土規制法施行令第9条)。

「重力式擁壁の標準図」は、誰の標準図ですか

盛土規制法と建築基準法の政令・告示に、擁壁の標準図は載っていません(練積み造だけは、施行令第10条と別表第四が勾配・高さ・厚さを決めています)。標準図と呼ばれるのは、国の『土木構造物標準設計』(建設省制定)、県や市の標準図、メーカーの製品図です。当社が読んだ富山県と神戸市の標準図は、高さ・上に載る荷重・地盤の条件が合うときだけ使えます。広島県の技術的基準は、建設省制定の『土木構造物標準設計』を使い、定めた数値を土質試験などで確かめた場合は、構造計算書を省略できるとしています。ただし、宅地で地震時の検討が要るときは、その標準設計の条件に地震時が入っているかも確かめます。使えるかは、土地のある都道府県や市の、盛土規制法か開発許可の担当課で確かめてください(用途と確認先のタブ)。

もたれ式擁壁

もたれ式擁壁。背面の地山に寄りかかり、壁の重さで後ろの土の押す力に耐える
もたれ式擁壁。背面の地山(もとの地盤)に寄りかかって立つ

背面の地山や裏込め土(壁の裏に詰めた土)に支えられながら、自分の重さで土圧に耐えます。寄りかかる相手が要るので、国土交通省中部地方整備局の『道路設計要領(設計編)』は、選定上の目安として「比較的安定した地山や切土部に用いる」としています。自治体によっては、もたれ式を切土(もとの地盤を削ってできた崖)に限り、高さの上限を決めています(広島県の技術的基準など)。

重力式・もたれ式は、設計を擁壁に詳しい建築士や土木の設計事務所に、工事を施工業者に頼みます。当社が作っているのは、工場製のL型擁壁「土のねっこ」です。L型で納まる段差なら、高さと長さ、現場の写真から製品の候補と概算をお答えします。採用する寸法は地盤や荷重を確かめて決め、図面と構造計算書も当社でご準備できます。図面か現場の情報を送って、使える製品と概算を聞く(無料)

出典 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(令和5年5月26日施行の版)第8条第1項・第9条第1項・第10条・別表第四 e-Gov法令検索/埼玉県『道路設計の手引き(道路編)』第5章 5-1-3 用語の定義(PDFの3〜4ページ目) PDF/国土交通省中部地方整備局『道路設計要領(設計編)』第4章 土工(v201503)4-13ページ 表-4-Ⅲ-6 PDF/富山県『土木構造物標準設計図』(令和6年1月)PDFの73ページ目 PDF/神戸市『宅地造成等に関する工事許可申請の手引き』技術基準編 第14章「標準擁壁」(PDFの1〜2ページ目) PDF/広島県『盛土規制法の技術的基準』(PDFの16ページ目=標準設計、17ページ目=もたれ式) PDF(いずれも2026年10月10日閲覧)

間知ブロック

MASONRY BLOCK WALLS

間知ブロック擁壁は、どんな擁壁ですか

間知ブロック(けんちブロック)は、奥行き(控え)のあるコンクリートブロックです。積めば擁壁に、のり面に張れば張りブロックになります。擁壁にするときは、斜めに積んで裏や目地をコンクリートで固め、一体の壁にして土を留めます。法令の名前は「間知石練積み造その他の練積み造」です(盛土規制法施行令第8条第1項第2号)。

間知ブロックを斜めに積み、コンクリートで一体にした練積み擁壁。後ろの土が擁壁を押す
間知ブロックの練積み擁壁。斜めに積み、コンクリートで一体に

練積みと空積み

積み方どう積むか・法令では
練積み(ねりづみ)どう積むか:ブロックの裏や目地にコンクリートを詰めて、一体の壁にする
法令では:施行令第8条第1項第2号の擁壁の造りの1つ(形は第10条)
空積み(からづみ)どう積むか:コンクリートで固めず、積んだだけ
法令では:第8条第1項第2号の列挙に無い。国の健全度判定マニュアルは、空石積み擁壁を「宅地造成等規制法等の技術的基準に適合しない、いわゆる不適格擁壁」の1つに数える
練積みと空積み(盛土規制法施行令、国の健全度判定マニュアル)

施行令第10条第2号は、組積材(石やブロック)の控え長さを30cm以上とし、「コンクリートを用いて一体の擁壁とし」、背面を栗石(くりいし)・砂利・砂利混じり砂で裏込め(壁の裏側に詰めること)するよう定めます。練積みか空積みかは、図面や工事の記録が手がかりになります。記録が無いときや、造り替えが要るかを知りたいときは、擁壁に詳しい建築士か自治体の建築の窓口に見てもらってください。見るところはいまある擁壁の点検のタブです。

布積みと谷積み

積み方には、布積み(ぬのづみ)や谷積み(たにづみ)などがあります。布積みは「各段の高さをそろえて積み、横目地が水平に一直線となる石の積み方。」、谷積みは「石を組み合わせて積む方法で、一定の谷ができるように石を斜めにして積む方法。」です(国土交通省河川局の石積み構造物の資料)。施行令第10条は、積み方までは決めていません。いまある擁壁なら、布積みでも谷積みでも見るところは同じです(国の『わが家の宅地点検』の項目に積み方の別はありません)。

形は法令で決まります

構造計算で一つずつ設計するのではなく、法令で決められた勾配・厚さ・根入れ(地面の下に埋める深さ)・裏込めに合わせて造ります(盛土規制法施行令第10条・別表第四)。勾配ごとの高さの上限は練積み造の上限のタブ、天端(てんば。擁壁のいちばん上の面)の厚さと根入れの深さは天端の厚みのタブにあります。壁が前にふくらむ「はらみ出し」のおそれがあるときの決まりもあります。

前二号に定めるところによつても、崖の状況等によりはらみ出しその他の破壊のおそれがあるときは、適当な間隔に鉄筋コンクリート造の控え壁を設ける等必要な措置を講ずること。

宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第10条第3号

この控え壁は、第2号の控え長さ(ブロックの奥行き)とは別の物です。いまある間知ブロック擁壁のひびやふくらみが心配なときは、次のいまある擁壁の点検のタブです。新しく造る段差なら、工場製のL型「土のねっこ」も候補です。

出典 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(令和5年5月26日施行の版)第8条第1項第2号・第10条第1号〜第4号・別表第四 e-Gov法令検索/国土交通省『宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル』(令和4年4月)PDFの4ページ目「3.擁壁の種類」 PDF/国土交通省河川局河川環境課『河川の景観形成に資する石積み構造物の整備に関する資料』(平成18年8月)PDFの5〜6ページ目 PDF/国土交通省『わが家の宅地安全マニュアル』のうち『わが家の宅地点検② ~擁壁編~』(紙面7〜9ページ) PDF(いずれも2026年10月10日閲覧)

いまある擁壁の点検

CHECK YOUR WALL

いまある擁壁は、大丈夫ですか

間知ブロックでも鉄筋コンクリートでも、見るのは3つです。どう造られているか(工法)、ひび・ずれ・ふくらみ・傾き(変状)、水抜き穴と排水溝(排水)です。おかしな所が無くても、地震や大雨のあとはもう一度見てください。

間知ブロックを斜めに積み、コンクリートで一体にした練積み擁壁。後ろの土が擁壁を押す
間知ブロックの練積み擁壁の断面。見るところは下の工法・変状・排水

国土交通省の『わが家の宅地安全マニュアル』のうち『わが家の宅地点検② ~擁壁編~』は、こう見るよう勧めています。

項目『わが家の宅地点検』の書き方
工法「擁壁が次のような場合は、不安定なものが多く注意が必要です。」として、石を積み重ねただけなど、コンクリートで一体化していない空積み擁壁、ブロックなどで継ぎ足して造られた増し積み擁壁(擁壁の上に載せたブロック塀の話は「擁壁の上にブロック1〜2段は大丈夫?」の記事)、上部に床版(しょうばん。擁壁の上から前へ張り出したコンクリートの板)を張り出した張出し床版付擁壁、擁壁のすぐ上に別の擁壁が設けられている二段擁壁を挙げています。空積みは「高さが高くなるほど不安定になります。」
変状ひび割れ、目地の前後・上下のずれ、ふくらみ、傾きや折れがあれば「強度が不足しているおそれがあり、注意が必要です。」
排水擁壁の上や下の排水溝に土がたまっていないか、水抜き穴があるか、詰まっていないか(決まりは水抜き穴のタブ)。
いまある擁壁の点検(国土交通省『わが家の宅地点検』紙面7〜9)

浜松市の手引には「練積み造擁壁の破壊は、基礎の不備による不同沈下、基礎の滑り出しに起因するものが多い」とあります(不同沈下は、場所によって沈み方が違うこと)。平成16年新潟県中越地震の調査報告(国総研・建築研究所)は「斜面に設けられた空積・練積やブロック積みの擁壁の変状や崩壊が多く見られた」と書いています。

擁壁に当てはまる所があったら、どうしますか

変状を見つけたら、また空積み・増し積みなどの工法や排水の詰まりに当てはまったら、早めに自治体の建築の窓口(建築指導課など)か、擁壁に詳しい建築士に、いまの擁壁が安全かを聞いてください。土地を買う前なら、売主か仲介の会社に、擁壁の図面や、許可を受けた工事の検査済証があるかを尋ねてください。工事に許可が要るかは、都道府県や市の、盛土規制法か開発許可の担当課です。『わが家の宅地点検』は「変状の程度や原因に応じて、元の状態に戻す補修や、より強い擁壁にする補強、必要な場合は安定した構造の擁壁への造り替えなどの対策を行いましょう。」と書いています。造り替えるなら、工場製の鉄筋コンクリートL型「土のねっこ」が候補です。何が使えるか、概算でいくらかかるかをお答えし、図面と構造計算書も当社でご準備できます。何年もつか、工事費の目安は「擁壁の耐用年数」「擁壁の工事費用」の記事にまとめました。

造り替えの相談をお受けします。いまの擁壁の写真と、場所(住所)・高さ・長さを教えてください。図面が無くても大丈夫です。 いまある擁壁の写真を送って、造り替えを相談する(無料) ☎ 0120-1181-46

出典 国土交通省『わが家の宅地安全マニュアル』のうち『わが家の宅地点検② ~擁壁編~』(紙面7〜9ページ) PDF/国土交通省国土技術政策総合研究所・独立行政法人建築研究所『平成16年新潟県中越地震建築物被害調査報告(速報)の概要』3ページ PDF/浜松市『宅地造成及び特定盛土等規制法の手引』(令和8年4月)第3編 第8章 擁壁に関する技術的基準 8-80ページ 補足 PDF/国土交通省『宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル』(令和4年4月) PDF/宅地造成及び特定盛土等規制法 第17条第2項(検査済証) e-Gov法令検索(いずれも2026年10月10日閲覧)

角度と設置義務

SLOPE ANGLE

角度によって、擁壁の設置義務が外れることがあります

崖の勾配が緩ければ、擁壁を設けなくてよい場合があります。その角度の境目が、法令の表にそのまま書かれています。ただし、角度は入口の1つにすぎません。角度の例外から外れても、それだけで「擁壁が必ず要る」とは決まりません。

先に、この表がかかる範囲です。これは盛土規制法の許可対象となる工事等で生じる崖面についての基準です。擁壁の設置義務がかかるのは、同法施行令第3条第1号から第3号——盛土で高さ1mを超える崖を生ずるもの、切土で高さ2mを超える崖を生ずるもの、盛土と切土を同時にして高さ2mを超える崖を生ずるもの——にあたる工事の部分です(第8条第1項第1号は、同令第3条第4号・第5号の盛土・切土を除いています)。

そのうえで、もう1つ条件があります。角度による例外が使えるのは切土をした土地の部分に生ずる崖です。盛土をした部分の崖には、この角度の例外は使えません。

土質擁壁を要しない勾配の上限擁壁を要する勾配の下限
軟岩(風化の著しいものを除く)60度80度
風化の著しい岩40度50度
砂利、真砂土、関東ローム、硬質粘土その他これらに類するもの35度45度

宅地でよく出てくるのは3段目です。35度と45度が、角度による例外の境目になります。

角度による例外は、3つの帯に分かれます

勾配(3段目の土質の場合)角度による例外は
35度以下角度による例外に該当
35度を超え45度以下その上端から下方に垂直距離5m以内の部分に限り、角度による例外に該当
45度を超える角度による例外には該当しない
盛土規制法の許可対象工事等における、切土崖面の擁壁設置義務の例外基準(同法施行令第8条第1項第1号イ)。「該当しない」は「擁壁が必ず要る」という意味ではありません。45度を超えても、下に挙げる安定計算や崖面崩壊防止施設による例外があります。

真ん中の帯には、5mという条件が付いています。条文はこう書いています。

切土をした土地の部分に生ずる崖又は崖の部分であつて、その土質が別表第一上欄に掲げるものに該当し、かつ、次のいずれかに該当するものの崖面/(1)その土質に応じ勾配が別表第一中欄の角度以下のもの/(2)その土質に応じ勾配が別表第一中欄の角度を超え、同表下欄の角度以下のもの(その上端から下方に垂直距離五メートル以内の部分に限る。)

宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第8条第1項第1号イ

この2つのほかに、擁壁を設けなくてよい崖面が2つ挙げられています。土質試験その他の調査・試験にもとづく地盤の安定計算で、崖の安定を保つために擁壁の設置が必要でないと確かめられた崖面。そして、第14条第1号により崖面崩壊防止施設が設置された崖面です。

崖が上下に分かれているときの数え方も、同じ条にあります。第8条第2項は、イ(1)に該当する崖の部分——つまり中欄の角度以下の緩い部分——によって上下に分けられている場合、その緩い部分は存在せず、上下の崖の部分は連続しているものとみなすとしています。緩い段をはさんでも、5mの数え方は途切れません。

擁壁が要らない範囲でも、表面を守る決まりがあります

擁壁を設けなくてよいということは、何もしなくてよいという意味ではありません。この節の対象となる盛土・切土の工事では、擁壁等で覆わない崖面について、施行令第15条により侵食防止措置が必要です。同条は、崖面が風化その他の侵食から保護されるよう、石張り、芝張り、モルタルの吹付けその他の措置を講ずることとしています。張りブロックはその一種で、土圧を受け持つ設計ではありません。見た目が間知ブロックに似ていても、役割が違います。

練積み造の上限

練積み造(間知ブロック積みなど)の擁壁には、勾配と高さの上限があります

練積み造の擁壁について、同令の別表第四は勾配ごとに高さと下端部分の厚さの基準を定めています。勾配の区分は3つで、それぞれに高さの上限があります。

勾配別表第四にある高さの上限
七十度を超え七十五度以下3m以下
六十五度を超え七十度以下4m以下
六十五度以下5m以下
宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 別表第四より。高さの上限は、第一種・第二種・第三種のどの土質でも勾配ごとに同じです(下端部分の厚さは土質ごとに違います)。

上限は勾配だけではありません。高さにもあります。第10条第1号は、擁壁の勾配・高さ・下端部分の厚さを別表第四の基準に適合させることを求めています。別表第四が用意しているのは、上の表までです。勾配または高さが表の範囲から外れると、適合させる区分がありません。その場合は、別の構造形式か、適用できる認定擁壁を検討することになります。

「土のねっこ」は、宅地造成擁壁として利用できます。構造計算書と図面は当社でご準備できます。大臣認定擁壁も、当社で手配できます。どちらが合うかは条件で決まるので、図面を見て答えます。 擁壁を相談する ☎ 0120-1181-46

角度は、擁壁が要るかどうかだけでなく、どの形式が使えるかにも効いてきます。実際の判断は、土質調査と設計、そして所管する行政への確認によります。

張りブロック

SLOPE FACING BLOCKS

張りブロックは、擁壁ですか

張りブロックは擁壁ではありません。土を支える物ではなく、緩い斜面の表面に張りつけて、雨や風化で土が削られるのを防ぐ部材です。

法面保護とは、何ですか

法面は、土を斜めのまま置くと表面が雨で削られ、風化します。これを防ぐのが法面保護です。盛土規制法の許可が要る工事では、擁壁で覆わない崖面にも、侵食を防ぐ決まりがあります(施行令第15条第1項。条文は任意擁壁と法面のタブ)。のり面保護工には、のり面緑化工・構造物によるのり面保護工・のり面排水工があります(国土交通省『盛土等防災マニュアル』)。構造物によるのり面保護工には、石張・ブロック張工、モルタルやコンクリートの吹付工などがあり(大分市の運用基準 表2-17)、張りブロックはブロック張工です。

張りブロック。緩い斜面の表面を覆う
張りブロックは斜面の表面を守る

張りブロックと間知ブロックは、何が違いますか

勾配が1:1(45度)かそれより緩い法面にプレキャスト(工場製)のブロックを張りつけたものが「コンクリートブロック張り」、練積み(石やブロックの裏にコンクリートやモルタルを詰めて積む積み方)で1:1より急なものが「コンクリートブロック積」です(国土交通省の土木工事共通仕様書)。間知ブロックを積んだ練積み擁壁は、土圧を受け持つ擁壁です(施行令第8条第1項第2号。上限は練積み造の上限のタブ)。ブロック張工は「法面保護であり、大きな土圧には抵抗できない。」(国土交通省四国地方整備局の工法シート)。小さな段差でも、土を支える役目は張りブロックに持たせません。土を支えるのは擁壁です。高さの目安は、約70cmまでの段差が土地分け丸、それより高い段差が土のねっこで、地盤・荷重・排水・法規で変わります(擁壁とはのタブの早見)。

張りブロックの「緩い」(45度かそれより緩い)と、政令の崖(30度を超える)は別の線で、45度より緩くても30度を超えれば政令の崖です。盛土1m超・切土2m超などの崖ができる許可の工事では、崖面は擁壁で覆うのが原則です(第8条第1項第1号)。切土の角度の例外か、地盤の安定計算で擁壁が要らないと確かめた崖面なら、表面を守る措置(第15条第1項)の一つとして張りブロックが候補になります。どの措置にするかは設計者が決め、窓口が審査します。

どんな斜面に使いますか

斜面そのものは安定した勾配で立っていて、表面だけが雨で削られたり、はがれたりしやすい土(粘着力のない土砂、崩れやすい粘土、泥岩などの軟らかい岩)に使います。湧き水が多い斜面は、ブロックの裏に水がたまらないよう、先に排水を考えます。斜面に沿ってずり落ちる向きの力がかかるので、足もとに基礎を置きます。

当社のヒルズブロック

ヒルズブロックを使った法面
ヒルズブロックで仕上げた法面

ヒルズブロックは、当社のプレキャストコンクリート張りブロックです。1m×1mの大判で厚さ100mm。端で寸法が合うように、幅の違う3種(250・500・750mm)を組み合わせます。意匠登録済みです。「擁壁として使えますか」とよく聞かれます。ヒルズブロックは張りブロックです。表面を守れる斜面かは、法面の勾配・背面(ブロックの裏の土)・排水・地盤を含めて現場ごとに確かめます。全国に配送します(沖縄・北海道・離島を除く)。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。

ヒルズブロックを見る →

出典 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(令和5年5月26日施行の版)第1条第1項・第3条第1号〜第3号・第8条第1項第1号・第2号・第15条第1項 e-Gov法令検索/国土交通省『盛土等防災マニュアル』(技術的助言 令和5年5月26日 別添5)9ページ PDF/大分市『大分市盛土規制法に関する許可制度運用基準』第2編 技術基準編 表2-17 PDF/国土交通省『土木工事共通仕様書(案)』(令和8年3月)第3編 3-2-5-3 Webページ/国土交通省四国地方整備局 工法シート「ブロック張工法」PDF/鳥取県『急傾斜地崩壊防止工事技術指針』(令和6年3月)第6章 PDF/ヒルズブロックの製品ページ(いずれも2026年10月10日閲覧)

天端の厚み

TOP THICKNESS

天端の厚みは、見分ける手がかりの一つです

上から覗いたときの厚み——天端(てんば)の厚みは、種類によって違います。ただし、厚みだけで種類が決まるわけではありません。

種類天端の厚みその数字の性質
プレキャストL型擁壁おおむね 100〜250mm程度製品の規格。全国一律の法定値はありません
練積み造(間知石など)40cm以上(第一種・第二種)
70cm以上(第三種)
法令が定める最低値
現場打ちコンクリート擁壁設計ごとに決まります天端厚についての法定値はありません

性質の違う数字が並んでいます。練積み造の40cm・70cmは法令の最低値、プレキャストの数値はメーカーの規格、現場打ちは設計値です。例えば、当社の宅地造成用L型擁壁の天端幅は150mm・200mmです(製品ページに公開している仕様)。

練積み造には、法令に数字があります

擁壁の上端の厚さが、擁壁の設置される地盤の土質が、同表上欄の第一種又は第二種に該当するものであるときは四十センチメートル以上、その他のものであるときは七十センチメートル以上であること

宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第10条第1号

土質の区分は、同令の別表第四にあります。第一種は「岩、岩屑、砂利又は砂利混じり砂」、第二種は「真砂土、関東ローム、硬質粘土その他これらに類するもの」、第三種は「その他の土質」です。

同じ第10条には、石材その他の組積材の控え長さを30cm以上とすること、コンクリートを用いて一体の擁壁とすること、その背面に栗石・砂利・砂利混じり砂で有効に裏込めすることも書かれています。

根入れも、練積み造の規定です

第10条第4号です。これは練積み造の擁壁についての決まりで、すべての擁壁に共通する数値ではありません。岩盤に接着して設置する場合を除き、擁壁の前面の根入れの深さは次のとおりです。

地盤の土質根入れの深さ
第一種・第二種擁壁の高さの15%以上、かつ35cm以上
第三種擁壁の高さの20%以上、かつ45cm以上

15%と35cmは、どちらか一方ではなく、両方を満たす必要があります。高さ2mなら15%は30cmですが、35cmに満たないので35cm。高さ3mなら45cmとなり、こちらは15%のほうが効きます。

大臣認定を受けた擁壁は、構造の規定が置き換わります

構造材料又は構造方法が第八条第一項第二号及び第九条から第十二条までの規定によらない擁壁で、国土交通大臣がこれらの規定による擁壁と同等以上の効力があると認めるものについては、これらの規定は、適用しない

宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第17条

適用されなくなるのは、条文が挙げている第8条第1項第2号と、第9条から第12条までの構造の規定です。大臣認定擁壁は、これらに代えて認定の仕様を適用します。擁壁を設置すること自体を定めた第8条第1項第1号や、崖面の侵食防止(第15条)、任意に設ける擁壁への準用(第13条)まで外れるわけではありません。

大分県の『盛土規制法運用の手引』(令和8年4月・91ページ)は、この「特殊の材料又は構法による擁壁」の例としてプレキャスト製品による鉄筋コンクリート造擁壁を挙げ、「大臣認定擁壁については、政令に基づく技術的基準の適用はありません」としています。条文の上で適用が外れるのは、上に挙げた規定です。認定を受けた製品は、認定の仕様に従います。

L型の寸法

DRAINAGE HOLES

L型擁壁の寸法は、どこで決まるのか

「L型擁壁の標準図」「寸法表」を探してここに来られた方へ、先に結論を書きます。法令に、L型擁壁の寸法表はありません。数字が条文にあるのは、天端の厚みで見た練積み造のほうです。コンクリートで作る擁壁——L型、逆L型、重力式——は、条文が寸法を決めるのではなく、構造計算で確かめる形になっています。

前条第一項第二号の鉄筋コンクリート造又は無筋コンクリート造の擁壁の構造は、構造計算によつて次の各号のいずれにも該当することを確かめたものでなければならない。/一 土圧、水圧及び自重(以下この条及び第十四条第二号ロにおいて「土圧等」という。)によつて擁壁が破壊されないこと。/二 土圧等によつて擁壁が転倒しないこと。/三 土圧等によつて擁壁の基礎が滑らないこと。/四 土圧等によつて擁壁が沈下しないこと。

宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第9条第1項

確かめるのは4つです。壊れない、倒れない、滑らない、沈まない。この4つを満たす形を探した結果が、底版の幅であり、たて壁の厚さです。先に寸法があって、そこへ現場を合わせるのではありません。

どこまで余裕を見るかも、条文に書いてあります

土圧等による擁壁の転倒モーメントが擁壁の安定モーメントの三分の二以下であることを確かめること。/土圧等による擁壁の基礎の滑り出す力が擁壁の基礎の地盤に対する最大摩擦抵抗力その他の抵抗力の三分の二以下であることを確かめること。

宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第9条第2項第2号・第3号

転倒も滑りも「三分の二以下」。裏返すと、倒す力の1.5倍の踏ん張りを持たせるということです。ぎりぎりで釣り合う形は、条文の側が認めていません。

計算に入れる数値の出どころ

土圧等については、実況に応じて計算された数値。ただし、盛土の場合の土圧については、盛土の土質に応じ別表第二の単位体積重量及び土圧係数を用いて計算された数値を用いることができる。

宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第9条第3項第1号

土圧は、その現場の実況で計算するのが原則です。盛土なら別表第二の値を使ってもよい、と書かれています。基礎の摩擦係数は別表第三、材料と地盤の許容応力度は建築基準法施行令の長期の値によります(同条第3項第2号・第3号)。現場が違えば、入れる数値が変わります。

だから「標準図」は、誰の標準図かを見てください

出回っているL型擁壁の標準図は、県や市の土木部門が出しているもの、メーカーが自社製品について出しているものです。法令が定めた全国共通の標準図ではありません。同じ高さでも、土質、上に載る荷重、地下水、地盤の許容応力度が違えば、必要な底版の幅も壁の厚さも変わります。標準図は「その条件のときの答え」であって、そのままご自分の現場の答えになるとは限りません。

2mを超えると

高さが2mを超えると、工作物の確認が要ります

建築基準法施行令は、高さが2mを超える擁壁を工作物として指定しています(第138条第1項第5号)。その技術的基準が第142条です。

一 鉄筋コンクリート造、石造その他これらに類する腐食しない材料を用いた構造とすること。/三 擁壁の裏面の排水を良くするため、水抜穴を設け、かつ、擁壁の裏面の水抜穴の周辺に砂利その他これに類するものを詰めること。/五 その用いる構造方法が、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて確かめられる安全性を有すること。

建築基準法施行令 第142条第1項

ここでも決め手は構造計算です。大臣認定を受けた製品を使う道もありますが、認定がなくても、構造計算で安全性を確かめる道があります。

値段が高さだけで決まらないのも、同じ理由です

「1mあたりいくら」でお答えできないのは、同じ1mでも、背面が盛土か切土か、上に車が載るか、地下水があるか、地盤が何かで、必要な形が変わるからです。形が変われば、コンクリートも鉄筋も変わります。逆に言えば、その4つを教えていただければ、設計価格はお出しできます。

図面と構造計算書は当社でご準備できます。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます。L型擁壁は「土のねっこ」、約70cmまでの段差・境界は「土地分け丸」です。

土のねっこ(L型擁壁) 土のねっこ逆L 土地分け丸(約70cmまでの段差や境界向け)

L型擁壁の概算を相談する(無料)☎ 0120-1181-46(平日9:00〜18:00)

耐用年数

擁壁の耐用年数——国税庁の表に「擁壁」という行はありません

「擁壁の耐用年数」で探してここに来られた方へ。減価償却資産の耐用年数等に関する省令を、全文当てました。「擁壁」という語は、1回も出てきません。あるのは「構築物」の中の区分で、材料と何に使うかで年数が分かれています。擁壁に当たりうるものを抜き出すと、こうなります。

構築物の区分細目・耐用年数
鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造のもの細目:岸壁、さん橋、防壁(爆発物用のものを除く。)、堤防、防波堤、塔、やぐら、上水道、水そう及び用水用ダム
耐用年数:50年
同上細目:高架道路、製塩用ちんでん池、飼育場及びへい
耐用年数:30年
同上細目:その他のもの
耐用年数:60年
コンクリート造又はコンクリートブロツク造のもの細目:岸壁、さん橋、防壁(爆発物用のものを除く。)、堤防、防波堤、トンネル、上水道及び水そう
耐用年数:30年
同上細目:下水道、飼育場及びへい
耐用年数:15年
同上細目:その他のもの
耐用年数:40年
石造のもの細目:下水道、へい及び爆発物用防壁
耐用年数:35年
同上細目:その他のもの
耐用年数:50年
土造のもの細目:へい
耐用年数:20年

見ていただきたいのは、同じコンクリートでも15年と40年が並んでいるところです。擁壁を「へい」とみるか、「防壁」とみるか、「その他のもの」とみるかで、15年にも30年にも60年にもなります。

どれを当てるかは、税務の判断です。当社では決められません。税理士と、所轄の税務署にお確かめください。

税法の年数は、壊れるまでの年数ではありません

省令の名前のとおり、これは減価償却のための年数です。実際にいつまで持つかは、土圧と地盤に合った設計か、そのとおりに施工されたか、そして背面の水が抜けているかで変わります。水抜き穴の話(水抜き穴には、決まりがあります)を載せているのは、そのためです。詰まった擁壁と、抜けている擁壁は、同じ年数では語れません。

直すか、造り直すかで迷ったとき

外から見て分かるのは、ひび、前へのはらみ出し、水抜き穴の詰まり、天端のずれ、背面の沈みです。ただし、外から見えるものだけでは、残っている力は分かりません。築造時の図面、構造計算書、地盤の資料が残っていれば、そこから当たれます。残っていない場合は、現況を測って計算し直すことになります。

造り直す場合、高さが2mを超える擁壁は工作物の確認が要ります(L型擁壁の寸法のとおり、建築基準法施行令 第138条第1項第5号)。図面と構造計算書は当社でご準備できます。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます。

いまの擁壁を見てほしい、という相談もお受けします。写真と、場所(住所)・高さ・長さを教えてください。図面が無くても大丈夫です。

擁壁のことを相談する☎ 0120-1181-46(平日9:00〜18:00)

水抜き穴の決まり

水抜き穴には、決まりがあります

擁壁の壁面に、穴が並んでいるのを見たことがあると思います。あれは飾りではありません。

まず、どの擁壁に、どの決まりがかかるかです。ここを飛ばすと、数字を取り違えます。

どんな擁壁かかかる決まり
盛土規制法で設置が義務づけられる擁壁宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第12条(下の数値基準)
盛土規制法の許可を要する工事の中で任意に設ける、高さ2mを超える擁壁同施行令第13条により、建築基準法施行令 第142条を準用
建築基準法第88条の工作物に当たる擁壁(高さ2m超)建築基準法施行令 第142条(工作物としての規定)
大臣認定を受けた擁壁認定の仕様によります

2つ目と3つ目は、入口が違います。盛土規制法施行令第13条が準用するのは、法第12条第1項または第16条第1項の許可を受けなければならない宅地造成に関する工事により設置する擁壁で、高さが2mを超えるもの(義務設置のものを除く)です。これとは別に、建築基準法施行令第138条第1項第5号が「高さが二メートルを超える擁壁」を法第88条第1項の工作物に指定していて、この経路でも第142条がかかります。

盛土規制法が「特定盛土等」として扱う工事にも、擁壁の同じ決まりが及びます。同施行令第18条(宅地造成等工事規制区域内の特定盛土等)と第30条第1項(特定盛土等規制区域内の特定盛土等)が、第7条から第17条までの規定を準用(=同じ規定を当てはめること)しているためです。(特定盛土等規制区域では、第13条にある許可の根拠を法第30条第1項・第35条第1項に読み替えます。)

この2つの経路に当たらなくても、表の1行目の、設置が義務づけられる擁壁には、高さにかかわらず第12条がかかります(第17条の大臣認定を受けた擁壁は、認定の仕様によります)。表のどれにも当たらない擁壁には、これらの政令による技術的基準は直接は適用されません。ただし、自治体の条例や開発の審査基準が別にかかる場合があります。安全上必要なときは、義務設置の擁壁の基準に準じて設計します。どの決まりがかかるかは、設置が義務づけられるものか、許可を要する工事か、高さはいくらかを、設計者と計画地を所管する窓口で確かめて判断します。

水抜き穴の数と並べ方

義務設置の擁壁にかかる数値

第八条第一項第一号の規定により設置される擁壁には、その裏面の排水を良くするため、壁面の面積三平方メートル以内ごとに少なくとも一個の内径が七・五センチメートル以上の陶管その他これに類する耐水性の材料を用いた水抜穴を設け、かつ、擁壁の裏面の水抜穴の周辺その他必要な場所には、砂利その他の資材を用いて透水層を設けなければならない

宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第12条

壁面3平方メートルに1個。内径7.5cm以上。そして穴の周りに透水層を作ります。

冒頭の「第八条第一項第一号の規定により設置される擁壁には」が効いています。すべての擁壁に一律にかかる数字ではありません。

数え方

法令が定めているのは面積あたりの個数で、穴と穴の横方向の間隔ではありません。

例えば、地上に見えている壁面が高さ2m・長さ10mの垂直な擁壁なら、壁面積は20平方メートルです。20を3で割って切り上げるので、水抜き穴は少なくとも7個。ただし、それをどう並べるかは、この条文には書かれていません。

並べ方は、行政の手引に書かれています

大分県の『盛土規制法運用の手引』(令和8年4月・90ページ)は、第12条の解説としてこう書いています。

  • 壁面の面積 3㎡ に 1 箇所以上、千鳥状に配置すること
  • 内径は、75mm以上とすること
  • 擁壁の下部地表面近く及び湧水等のある箇所に特に重点的に配置すること
  • 地盤面下の壁面で地下水の流路にあたっている壁面がある場合は、有効に水抜穴を設けて地下水を排出すること

一直線に等間隔ではなく、千鳥です。そして下のほうと、水が出ている場所に多く置く。水は下に溜まるからです。ただし、これは大分県の運用です。千鳥配置は、法令が全国一律に定めた配置ではありません。計画地を所管する行政の基準をご確認ください。

透水層についても、同じ手引に寸法があります。

  • 擁壁天端から30cm程度下方から、最下段の水抜穴の下端まで設けること
  • 砕石を用いる場合は、透水層の厚さを30cm以上とすること
  • 透水層の最下部には、不透水層となる止水コンクリートを設けること

なぜ抜くのか

擁壁の背面に水が溜まると、背面の土の重さが増え、土の強度が下がります。そのうえで水圧が加わります。設計で見ている土圧に、上乗せされることになります。水抜き穴は、その水を擁壁の外へ出すためのものです。

穴の数を確かめるときは、間隔だけでは判断できません。地上に見えている壁面の面積、穴の総数、配置、そしてその擁壁にどの決まりがかかっているかを、あわせて見る必要があります。

建築基準法施行令のほう

擁壁の裏面の排水を良くするため、水抜穴を設け、かつ、擁壁の裏面の水抜穴の周辺に砂利その他これに類するものを詰めること

建築基準法施行令 第142条第1項第3号

砂利を詰めることまで書かれていますが、「3平方メートルに1個」「内径7.5cm以上」という数字はありません。その数字は、宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第12条のほうにあります。

プレキャスト

PRECAST OR CAST-IN-PLACE

プレキャスト擁壁とは|現場打ち擁壁との違い

鉄筋コンクリート製の擁壁には、工場で製品をつくって現場へ運ぶプレキャストと、現場で型枠・鉄筋を組み、コンクリートを打設する現場打ちがあります。

宅地造成用擁壁「土のねっこ」の製品資料には、「建築基準法、宅地造成マニュアル準拠」「鉄筋かぶり40mm以上」と記載しています。宅地造成・開発への使用については「大分県、大分市にて確認済」としています——確認の時期・部署・対象条件までは公開していません。お住まいの自治体で使えるかどうかは、計画ごとに窓口へご確認ください。製品には水抜き穴があります。裏込め・透水マット・根入れなどの排水と施工の条件は、地盤・荷重・排水条件に基づいて計画ごとに決めます。

窓口に行く前に。擁壁の図面と構造計算書は当社でご準備できます。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます。 擁壁を相談する ☎ 0120-1181-46

擁壁の技術的基準は、根拠となる法律で分かれます。盛土規制法の許可工事などで設置が義務づけられる擁壁には、同法施行令第8条から第12条が適用されます。これとは別に、建築基準法第88条の工作物として扱われる擁壁には、同法施行令第142条が適用されます。同条第1項が求めるのは各号の基準に適合する構造方法で、これと同等以上のものとして国土交通大臣が定めた構造方法も認められます。鉄筋のかぶり厚さの最低値は、令第142条第2項が準用する令第79条にあります(直接土に接する壁は4cm以上)。定義と部位ごとの数字は、下の「用途によって確認先と設計条件が変わります」でまとめて説明します。

比較項目プレキャスト・現場打ち
製造プレキャスト:管理された工場で製造し、完成品を現場へ搬入します。
現場打ち:現場で型枠・配筋・打設・養生を行います。
工程プレキャスト:据え付けを中心に工程を組みやすく、現場作業の短縮につながります。
現場打ち:形状への対応幅が広い一方、打設と養生の期間が必要です。
品質管理プレキャスト:工場の製造工程で材料、配筋、寸法、強度などを管理します。
現場打ち:天候や施工条件を踏まえ、現場ごとの管理が重要になります。
計画時の確認どちらも、構造計算、地盤、基礎、排水、搬入・施工条件、関係法令や許認可の確認が必要です。

外から見て、プレキャストか現場打ちかの見当をつける手がかりもあります。プレキャストは工場で作った部材を運んできて据え付けるので、壁面に製品どうしの縦の継ぎ目が繰り返し現れます。

宅地造成用のL型擁壁には、製品長2,000mmのものが多くあります。約2mごとに継ぎ目が並んでいれば、プレキャストである可能性が高くなります。ただし、短尺品もコーナー品もあり、高さの変わる区間では長さの違う製品が入ります。現場打ちにも施工目地や型枠の継ぎ目があります。外から見ただけで断定することはできません。

プレキャストは「置けば終わり」という製品ではありません。規格への適合だけでなく、現場条件に合う設計、基礎、接合、背面処理、排水、据え付け管理まで含めて計画します。

用途と確認先

USE AND RULES

用途によって確認先と設計条件が変わります

外観が似たプレキャストL型擁壁でも、宅地造成・開発向けと道路向けでは、想定する用途、確認する基準、製品仕様が異なります。

一見すると外見はほとんど同じなのですが、準拠している基準が違います。宅地に使えるかどうかは、商品名だけでは決まりません。適用する基準、認定や構造計算、現場の条件、そして所管する行政の審査で判断します。

鉄筋のかぶり厚さとは、コンクリートの表面から、いちばん外側にある鉄筋の表面までの距離です。腐食の防止、鉄筋とコンクリートの付着、構造性能、施工の条件を踏まえて決め、法令上の最低値を満たす必要があります。建築基準法施行令第79条第1項は、直接土に接する壁・柱・床・はりと布基礎の立上り部分は4cm以上、基礎は捨コンクリートの部分を除いて6cm以上と定めています。擁壁には、同令第142条第2項がこの第79条を準用します。部位によって数字が違うので、計画に使う製品の仕様は図面でお確かめください。なお、同令第79条第2項により、この最低値と同等以上の耐久性と強度を持つものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材と、大臣の認定を受けた部材には、この最低値は適用されません。

かぶり厚さと部材の厚さは、別の設計要素です。同じ外形でも、鉄筋をどこに置くかでかぶりは変わります。かぶりを大きく取ると鉄筋の位置が内側に寄るので、必要な構造性能を保つために、部材の厚さや配筋を調整することがあります。どこまで取るかは、必要な性能と法令上の最低値の両方から決まります。

道路向け製品を宅地へ、または宅地向け製品を道路へ自動的に転用できるとは限りません。認定書、製品仕様書、設計条件をそろえ、計画地を管轄する自治体、道路管理者、設計者などへ早い段階で確認してください。

用途区分主な確認先・確認資料・条件の例
宅地造成・開発主な確認先:自治体の宅地・開発・建築関係窓口、設計者
確認資料・条件の例:盛土規制法(正式名称:宅地造成及び特定盛土等規制法)、建築基準法、自治体の条例・技術基準、認定条件、許可や確認の要否など。
道路・道路付帯施設主な確認先:道路管理者、設計者
確認資料・条件の例:道路土工構造物技術基準と関連する指針、製品仕様、荷重・排水・維持管理条件など。
既存擁壁の利用主な確認先:自治体、設計者、調査・診断の専門家
確認資料・条件の例:図面や検査記録、劣化・傾き・ひび割れ・ふくらみ・排水状態、現在の計画で安全性を確認できるかなど。

技術・検証・実績(実物大試験・共同研究・受賞)を見る →

大臣認定擁壁とは

盛土規制法施行令第17条に基づき、特殊な材料や構法を用いる擁壁について、国土交通大臣が同施行令に定める擁壁と同等以上の効力があると認める制度です。認定の有無だけで現場への適否が決まるものではなく、認定条件、設計条件、自治体の審査、施工・品質管理を合わせて確認します。

国土交通省「大臣認定擁壁」(外部サイト) 国土交通省「盛土規制法に関する法令等」(外部サイト) e-Gov法令検索「宅地造成及び特定盛土等規制法」(外部サイト) e-Gov法令検索「宅地造成及び特定盛土等規制法施行令」(外部サイト) e-Gov法令検索「建築基準法施行令」(外部サイト) 国土交通省「道路土工構造物技術基準」(外部サイト)

法令、告示、自治体の運用、技術基準は改定されることがあります。実際の計画では必ず最新情報をご確認ください。

盛土・切土を伴う計画では、盛土規制法の全国ガイドに許可対象の規模、擁壁の基準、47都道府県の窓口をまとめています。

塀と擁壁

WALL OR RETAINING WALL

塀と擁壁は、支えるものが違います

比較項目塀・擁壁
主な役割塀:境界の表示、目隠し、防犯など。
擁壁:高低差のある土地で土圧に抵抗し、土を支えること。
見え方塀:表裏の両面が地上に見えます。
擁壁:片側が背面土に接し、外から見えるのは反対側の面です。
設計で重視する条件塀:自重、風圧、地震時の安全性、基礎など。
擁壁:土圧、上載荷重、地盤、滑動・転倒・支持力、排水など。
副次的な役割塀:火災予防・防犯・浸水防止・目隠し・意匠・車の進入防止・防風・防音
擁壁:フェンス基礎(フェンスの荷重を見込んで設計した場合)
素材塀:コンクリート・アルミ板・竹・樹脂
擁壁:鉄筋コンクリート・無筋コンクリート・石材・コンクリートブロック(擁壁用として適合を確認したもの。塀用の空洞ブロックとは別です)
費用高さ・長さ・地盤・基礎・排水で大きく変わります。一律の比較はできません。

擁壁の上へ塀を設ける場合は、擁壁と塀を別々に考えるだけでは不十分です。追加される荷重や基礎の納まりを含め、全体として確認してください。

種類が分かったら、製品で絞れます。 土砂待受擁壁 → やまがみ L型擁壁 → 土のねっこ 約70cmまでの段差や境界 → 土地分け丸 現場に合う製品・見積を相談する ☎ 0120-1181-46

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擁壁の納品・価格の記事(2本)
施工業者さんと家の持ち主が、できあがったコンクリートの塀の前で握手

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