北海道北見市のがけ条例とレッドゾーン——崖の近くに建てられるか

北見市のがけは、第6条

北見市で、崖の近くに家を建てる・土地を買う前に、確かめること。

北海道北見市の「がけ条例」とは、北見市建築基準法施行条例 第6条のことです。崖の近くに建てるときは、原則として崖から一定の距離を保つことが求められます。

崖の規定がかかっても、建てられないと決まったわけではありません。まず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、崖から離す配置や擁壁(ようへき=崖の土が崩れないよう支える壁)の費用を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って北見市の建築指導課の窓口へ、条例の当てはめを確かめる。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。

擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(この条の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。

その土地が北見市内なら、北見市建築基準法施行条例 第6条(崖付近の建築物)です。②かかるのは、高さが2メートルを超える崖(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地)に接し、または近接する敷地に建築物を建てるときです(延べ面積が10平方メートル以内の物置、納屋、畜舎その他これらに類するものは除きます)。③そのとき条文が求めるのは、擁壁を設けることではなく、建築物の外壁面と崖との間に、崖の高さの2倍以上の水平距離を保つことです。④どこから測るかは、崖の上に建てるか下に建てるかで入れ替わります——崖上なら崖の下端から、崖下なら崖の上端から。⑤2倍の距離が取れなくても、道は3つあります。条文が挙げるのは、第1号(崖の形状または土質により、建築物の安全上支障がないと認められる場合)第2号(崖に崖崩れ等の生ずるおそれのない構造の擁壁を設ける場合、またはこれに代わる措置を講ずる場合)第3号(崖下のみ。鉄筋コンクリート造等とすることによって安全上支障がないと認められるとき、または適当な流土止めを設けるとき)です——擁壁や流土止めを設けさえすれば外れる、という書き方ではありません。どれかに該当すれば、第6条の距離の義務は外れ、この条については原則として建てられますただし、建築の可否そのものが決まるわけではありません。⑥ただし、建築基準法第19条第4項(がけ崩れ等のおそれがある場合の措置)、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の構造規制、盛土規制法の許可は、別に残ります。⑦条文は2026年9月5日に、北見市例規類集の本文で確認しました。

北見市内なら、北見市建築基準法施行条例 第6条です

北見市内なら、北見市建築基準法施行条例 第6条です
北見市建築基準法施行条例 第6条。満たせるのはこの条まで。ほかの区域・法令は別に確認

「がけ条例」という題名の条例はありません。北見市では、北見市建築基準法施行条例(平成18年3月5日 条例第172号)の第2章第2節「崖付近の建築物」=第6条が、その中身です。条例は「崖」と漢字で書いています——「がけ」で例規類集を探すと見つからないことがあるので、先に書いておきます。根拠は建築基準法第40条——その地方の気候・風土の特殊性などにより、法第2章の規定などだけでは建築物の安全・防火・衛生の目的を十分に達しがたいと認める場合に、地方公共団体が条例で建築物の敷地・構造・建築設備の制限を付け加えられる、という規定です。条例第1条は、この第40条(法第88条第1項で準用する場合を含む)と、法第43条第3項・法第56条の2第1項を根拠に挙げています。

(崖付近の建築物)
第6条 高さが2メートルを超える崖(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地をいう。以下この条において同じ。)に接し、又は近接する敷地に建築物(延べ面積が10平方メートル以内の物置、納屋、畜舎その他これらに類するものを除く。以下この条において同じ。)を建築する場合にあっては、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、当該建築物の外壁面と崖との間に、崖上にあっては崖の下端から、崖下にあっては崖の上端から、崖の高さの2倍以上の水平距離を保たなければならない。
(1) 崖の形状又は土質により建築物の安全上支障がないと認められる場合
(2) 崖に崖崩れ等の生ずるおそれのない構造の擁壁を設ける場合又はこれに代わる措置を講ずる場合
(3) 崖下に建築物を建築する場合において、当該建築物の主要構造部の全部若しくは一部を鉄筋コンクリート造若しくはこれに類する構造とすることによって建築物の安全上支障がないと認められるとき、又は崖と当該建築物との間に適当な流土止めを設けるとき。

北見市建築基準法施行条例 第6条

都市計画区域の外でも、第6条はかかります

(適用の除外)
第2条 次条から第5条まで、第22条、第25条及び第33条の規定は、都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域には適用しない。

北見市建築基準法施行条例 第2条

この条例には、都市計画区域と準都市計画区域の外には適用しない条を、名指しで並べた条があります。並んでいるのは第3条から第5条まで(「次条から第5条まで」)、第22条、第25条、第33条——第6条は、この並びに入っていません。「第5条まで」で切れており、そのあとの第6条は含まれません。都市計画区域の外でも、準都市計画区域の外でも、第6条は働きます。ただし、市がそう明記した資料は、探した範囲では見つけられませんでした——都市計画区域の外の土地は、窓口で確かめてください

どこからが「崖」か——高さ2メートルを「超える」、勾配(こうばい)30度を「超える」

条文は「崖」を「地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地」と定義し、そのうえで高さが2メートルを超えるものを第6条の対象にしています。押さえるところは4つです。

  • 勾配は「30度を超える」——30.0度ちょうどは当たりません
  • 高さは「2メートルを超える」——2.0メートルちょうども当たりません(「以上」ではありません)
  • 自然の崖か、人が切ったり盛ったりしてできた斜面かを分ける言葉は、条文にありません。造成でできた斜面も、数字が当たれば「崖」です
  • 岩を除く言葉も、条文にはありません。硬い岩の斜面でも、高さ2メートル超・30度超なら、条文の上では「崖」です。土質は、第1号(形状・土質による除外)のほうで効きます——「うちは岩だから外れる」と、条文からは読めません

そして、条文には崖の高さをどこからどこまで測るかの定義がありません下端(かたん)=斜面がふもとの地面と接するところ上端(じょうたん)=斜面が上の平らな地面と接するところですが、斜面の途中に緩いところや小段(こだん=斜面の途中の平らな部分)があるとき、上下をひとつの崖として見るのか、二つに分けて見るのかは、断面図の上で窓口が判断します「途中に平らな道があるから、うちの崖は低いほうだけ」とは限りません。この判定は、目測ではできません。

除かれるのは、延べ面積10平方メートル以内の物置・納屋・畜舎などだけです

条文の括弧書きは「延べ面積が10平方メートル以内の物置、納屋、畜舎その他これらに類するものを除く」です。ここに住宅は入りません。10平方メートルは、たたみ6畳ぶんほど。物置でも、10平方メートルを超えれば対象ですし、10平方メートル以内でも「物置、納屋、畜舎その他これらに類するもの」に当たらない用途なら対象です。「小さいから大丈夫」と自分で決めないでください。

距離の起点は、崖の上と下で入れ替わります——ここが、いちばん間違えやすいところです

がけの上に建てるとき、距離をどこから測るか
がけの上に建てるとき、距離をどこから測るか

条文は「当該建築物の外壁面と崖との間に、崖上にあっては崖の下端から崖下にあっては崖の上端から、崖の高さの2倍以上の水平距離を保たなければならない」と書いています。

がけの下に建てるとき、距離をどこから測るか
がけの下に建てるとき、距離をどこから測るか
  • 崖の上に建てるなら、起点は「崖の下端」です。崖の上端ではありません
  • 崖の下に建てるなら、起点は「崖の上端」です。崖の下端ではありません
  • どちらの場合も、建物から見て遠いほうの端が起点になります。近いほうの端から測るのではありません
  • 測る先は建築物の外壁面です。敷地の境界線でも、建物の中心でもありません
  • 2倍以上」なので、ちょうど2倍なら適合します

たとえば高さ3メートルの崖なら、6メートルです。崖の上に建てるなら、崖の下端から水平に6メートル。崖の下に建てるなら、崖の上端から水平に6メートル。起点をどちらか一方に決めてしまうと、必要な距離を取り違えます。

そして、条文は「崖に接し、又は近接する敷地」と書いています——崖が敷地の中になくても、その崖に敷地が「接し、又は近接する」と判断されれば、対象になり得ます。「うちの土地の中に崖は無い」は、それだけではこの条が外れる理由になりません(反対に、隣の土地に崖があれば必ずかかる、というものでもありません——「接し、又は近接する」に当たるかは、断面図と配置図で個別に判断されます)。反対に、この条文が対象にしているのは「建築物を建築する場合」で、敷地の造成そのものを対象にする言葉は、第6条の中にはありません(造成には、後で書く盛土規制法などが別に効きます)。

2倍の距離が取れなくても、道は3つあります

先に答えを書きます。第6条は「次の各号のいずれかに該当する場合を除き」と書いていて、3つの号のどれかに当たれば、距離の義務は外れ、この条については原則として建てられます「離せないから建てられない」ではありません。ただし——「原則として」と書くのには理由があります。外れるのは第6条の距離の義務だけで、建築基準法第19条第4項、土砂災害特別警戒区域の構造規制、盛土規制法の許可は、別に確認してください。役割は分かれます——どの号で通すかの案を作り、必要な図面と計算を示すのは設計者(建築士)です。その案が号に当てはまるかどうかは、市の窓口への相談と、確認申請の対象になる計画では建築主事等(けんちくしゅじとう=建築確認を行う市の職員)または指定確認検査機関(していかくにんけんさきかん=建築確認を行う民間の機関)の審査で確かめます——設計者だけで決まるものではありません。

第1号——崖の形状または土質により、安全上支障がないと認められる場合

条文は「安全上支障がないと認められる場合」とだけ書いています。何度以下なら支障がないか、どの土質なら支障がないか——数字は、条文には書かれていません。だから、この号は読者が自分で判定できる号ではありません。土質を見分けるのは地盤の調査と建築士の仕事です。条文に「市長が認めたとき」のような主語はなく、この号だけを取り出して受ける認定の手続もありません——設計者が調査と図で「支障がない」ことを示し、それが第1号に当てはまるかを確かめるのは市の窓口(または指定確認検査機関)です。「岩に見えるから第1号でいける」と決めて設計を進めないでください。先に窓口へ、断面図を持って相談してください。

第2号——崖崩れ等の生ずるおそれのない構造の擁壁を設けるか、これに代わる措置を講ずる場合

これが、崖の上でも下でも使える道です。ただし、条例には擁壁の規模や構造が書かれていません——「崖崩れ等の生ずるおそれのない構造の擁壁」という書き方です。何をもって「おそれのない構造」とするかは、設計者が図と計算で示し、窓口が判断します

手がかりになるのは、法令の側の基準です。建築基準法施行令第142条は、法第88条第1項で確認の対象になる工作物(こうさくぶつ=建築物以外の、擁壁や煙突などの構築物)のうち擁壁についての技術的基準を定めています。満たし方は2通りです。ひとつは、条文が並べる号に適合する構造方法——第1号「鉄筋コンクリート造、石造その他これらに類する腐食しない材料を用いた構造とすること」、第3号「擁壁の裏面の排水を良くするため、水抜穴を設け、かつ、擁壁の裏面の水抜穴の周辺に砂利その他これに類するものを詰めること」、第5号「その用いる構造方法が、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて確かめられる安全性を有すること」など。もうひとつは、「これと同等以上に擁壁の破壊及び転倒を防止することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法」を用いることです。号を全部そろえる道しかない、という条文ではありません。そして高さが2メートルを超える擁壁は、都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区や、知事が指定する区域の中なら、令第138条第1項第5号により法第88条第1項の工作物の確認の対象になります(法第88条第1項は、擁壁について法第6条第1項を同項第3号の建築物に係る部分に限って準用しています——これらの区域の外なら、2メートルを超えても工作物の確認の対象ではありません)——擁壁そのものにも手続きがあります

「昔から石積みがあるから安心」ではありません。いつ、どの基準で造られたものかが分からない土留めは、「おそれのない構造の擁壁」として通るとは限りません。確認済証・検査済証・許可の書類が残っているかを、契約の前に売主に聞いてください。

第3号——崖の下に建てる場合だけの道です(鉄筋コンクリート造等、または流土止め)

第3号は「崖下に建築物を建築する場合において」と書かれています——崖の上に建てる場合には使えません。中身は2つです。

  • 当該建築物の主要構造部(しゅようこうぞうぶ=壁・柱・床・はり・屋根・階段)の全部もしくは一部を鉄筋コンクリート造もしくはこれに類する構造とすることによって、建築物の安全上支障がないと認められるとき
  • 崖と当該建築物との間に適当な流土止め(りゅうどどめ=崩れた土砂を建物の手前で受け止める構造物)を設けるとき

「適当な」の中身は、条文に書かれていません。どこに、どの高さで、どんな構造で設けるかは、崖の形状と土質から、崩れてくる土砂の量を見込んで決めるものです。塀を立てれば済む、という話ではありません。設計者が図で示し、窓口が判断します。

条例に数字が書かれていない、ということの意味

崖の判定と離す距離について、条文が数字で書いているのは「高さ2メートル超」「30度超」「2倍以上」です。このほか、対象から除かれるものの条件に「延べ面積が10平方メートル以内」という数字があります。一方、3つの号のほうには、角度も、擁壁の厚さも、流土止めの高さも、書かれていません

これは、読者にとって良い知らせでも悪い知らせでもあります。良いほうは、「この角度なら建てられない」という線が、条例には引かれていないこと——計画しだいで道は残ります。悪いほうは、自分では答えが出せないこと。だから、順番がひっくり返らないようにしてください。設計を固めてから窓口に行くのではなく、断面図ができた時点で、配置を決める前に相談する。2倍の距離が取れるかどうかで、建物の位置も、間取りも、擁壁の要否も、費用も変わります。

市が公表している運用の手引きは、探した範囲では見つけられませんでした。市の公式サイトのサイト内検索と、建築確認申請まわりのページを当たりましたが、がけの高さの算定方法や、土質と勾配の対応表のような、数字を補う資料は見つかっていません(窓口で配っている紙の資料の有無までは、確かめていません)。だから、「どこまでやれば第1号・第2号・第3号に当たるか」は、まず市の窓口に聞いてください——確認申請を出す計画なら、提出先となる建築主事等または指定確認検査機関にも確かめます。これは、記事や本で代えられる部分ではありません。

確認申請には、崖の形状・土質を記載した断面図が要ります(細則第4条)

(確認申請書等の添付書類)
第4条 条例第6条の規定の適用を受ける建築物に係る確認申請書又は計画通知書には、その計画に係る建築物の敷地と崖(高さ2メートルを超えるものに限る。)との状況を示す断面図(当該崖の形状又は土質についても記載してあるもの)を添付しなければならない。

北見市建築基準法施行細則 第4条第1項

北見市建築基準法施行細則(平成18年3月5日 規則第190号)は、条例第6条の適用を受ける建築物の確認申請書に、敷地と崖との状況を示す断面図——崖の形状または土質も記載したもの——を添えるよう定めています。これが、建築士に用意してもらうものの中身です。崖の高さも、勾配も、外壁面までの水平距離も、この断面図の上で決まります。目測では決まりません。どの図書をどの様式で出すかは、市の窓口と、確認を出す先(市または指定確認検査機関)で確かめてください

建築士が設計した一戸建ての住宅でも、この条は「審査を省ける規定」には挙げられていません。建築基準法第6条の4(建築物の建築に関する確認の特例)と施行令第10条は、建築主事等の審査を要しない規定を定める仕組みで、法第39条から第41条までに基づく条例の規定については特定行政庁(とくていぎょうせいちょう=許可・認定や是正命令を受け持つ行政庁。建築主事を置く市の区域では、その市の長です。法第2条第35号。同号にはただし書があり、法第97条の2・第97条の3により建築主事等を置く市町村——いわゆる限定特定行政庁——の区域内の政令で定める建築物については、都道府県知事が特定行政庁です)が規則で定めるものが対象です。北見市の細則第5条がその「規則で定める規定」として挙げているのは条例第10条・第11条・第16条・第17条・第27条第2項及び第3項・第28条(および別の区分で条例第10条・第11条・第16条第1項及び第3項・第17条・第27条第3項〈第3号を除く〉・第37条)で、条例第6条は挙げられていませんいずれにせよ、条例に適合させる義務は、審査の有無にかかわらず残ります。

レッドゾーンと、法第19条第4項は、別に残ります

第6条の距離を取っても、あるいは3つの号のどれかに当たっても、次の3つは別に残ります。

  • 建築基準法第19条第4項——「建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない」。この規定に、崖の高さや角度の下限はありません——高さ2メートル以下でも、30度以下でも、かかり得ます
  • 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)——指定するのは北海道知事です。区域内で居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋。住宅ならふつう当てはまります)を有する建築物を建てるときは、建築基準法施行令第80条の3の構造の規定が別にかかります(土砂災害防止法と法施行令による全国共通の仕組みで、この条例とは別です)
  • 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)——こちらは構造の規制ではなく、警戒避難体制の区域です。ただし、第6条に当たるかどうかは、区域の内外とは関係なく決まります——イエローゾーンに入っていないことは、第6条が外れる理由になりません

令第80条の3が求めているのは、こういうことです(条文そのものではなく、要点です)。レッドゾーン内の居室を有する建築物外壁及び構造耐力上主要な部分のうち、都道府県知事が区域の指定のときに定めた「土石等の高さ」以下の部分で、土砂災害の原因となる自然現象により衝撃が作用すると想定される部分(条文はこれを「外壁等」と呼びます)の構造は、自然現象の種類・知事が定めた最大の力の大きさ土石等の高さに応じて、想定される衝撃が作用しても破壊を生じないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いなければならない。ただし、土石等の高さ以上の高さの門または塀(外壁等と同等以上の耐力を有するものとして大臣が定めた構造方法によるものに限ります)を、衝撃を遮るように設けた場合は、この限りでない——。2倍の距離を取って第6条に適合していても、この構造の規制は残ります。反対に、令第80条の3に適合しても、第6条の距離の義務は外れません。

「特別」の2字しか違いませんが、レッドゾーンとイエローゾーンは別のものです。自分の土地がどちらかは、目で見ても分かりません。どちらでもないこともあります。北海道は、指定した区域を北海道土砂災害警戒情報システムで公開しています。指定の内容を記載した図書は、土砂災害防止法第9条第7項により、関係する市町村の事務所で縦覧できます。最終確認は、その図書で行ってください。土地を買う前なら、不動産会社にも「この区域に入るか」を確かめてください。レッドゾーン内で建てる場合の構造の考え方と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。

もうひとつ、都市計画区域の外でも、建築確認が要る場合があります。土砂災害防止法第25条は、レッドゾーン内の居室を有する建築物を、建築基準法第6条第1項第3号の区域内の建築物とみなして、確認・検査の規定を適用すると定めています(同項第1号・第2号に掲げるものを除く)。「都市計画区域の外だから確認は要らない」とは読めません。なお、敷地が区域の内外にまたがるときの扱いですが、「敷地の過半」は、第25条の条文には書かれていません——第25条が適用する建築基準法第91条が、敷地が区域の内外にわたる場合は敷地の過半の属する区域の規定によると定めています(ちょうど半分は「過半」ではありません——ちょうど半分になる場合にどちらの規定によるかは、この記事では確かめられませんでした。窓口で個別に確かめてください)。

レッドゾーンでどんな構造が求められるかは、土砂災害特別警戒区域で求められる構造にまとめています(区域に入るかどうかの判定と、この条例の当てはめは、上の窓口で確かめてください)。

崖を削る・土を盛る工事を伴うなら、盛土規制法は別に効きます

第6条は「建築物を建築する場合」の規定です。造成そのものには、宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)が別に効きます。北海道は、市町村ごとに規制区域(宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域)を指定して、道の都市計画課のページで公表しています。自分の土地が規制区域に入るかどうかは、そこで当たりを付けて、市の窓口で確かめてください。

ひとつ気をつけたいのは、擁壁の確認の扱いです。建築基準法第88条第4項により、盛土規制法第12条第1項などの許可を受けなければならない場合の擁壁については、法第88条第1項のうち確認・検査に関する部分が適用されません。外れるのは、擁壁についての工作物の確認です——建築物そのものが確認を要する計画であれば、その確認申請は別に要ります(建築物について確認が要るかどうかは、別の判定です)。

既存の建物を増築・改築すると、第6条がかかることがあります

既存不適格(きそんふてきかく=建てたときは適法だった建物)には、建築基準法第3条第2項により、その適合しなくなった規定が原則として適用されません。ただし増築・改築・移転・大規模の修繕・大規模の模様替をすると、法第3条第3項第3号・第4号により、その扱いは切れるのが原則です。

条例の側にも、第6条を軽くする特例は見当たりませんでした。既存の建築物のための緩和は2つ置かれていますが、第17条の2が対象にしているのは第17条(木造の柱の小径等)だけ、第51条が対象にしているのは第45条から第49条まで(特別の配慮を要する特殊建築物の利用者用の出入口・廊下・階段・便所などの規定)だけです。第5章(雑則)の緩和・特例の条(第53条〜第59条)が挙げている条の並びにも、第6条はありません用途を変更する場合も、建築基準法第87条第2項により、法第40条に基づく条例の規定は準用されます——工事を伴わない用途変更でも、条例は付いてきます。既存不適格の建物の用途変更については、法第87条第3項が列挙する規定(またはそれらに基づく条例規定)が原則として準用され、増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替をする場合(第1号)や、政令で指定する類似の用途相互間の変更で一定の条件を満たす場合(第2号)は、この準用から除かれます。第1号に当たるときは、法第3条第3項で判断します。個別の当てはめは、建築指導課で確かめてください。

違反すると、設計者だけでなく建築主・所有者にも及び得ます

第61条 第3条第1項若しくは第3項(第4条第2項において準用する場合を含む。)、第4条第1項、第5条から第9条まで、第12条から第14条まで、(中略)又は第45条から第49条までの規定に違反した場合における当該建築物又は建築設備の設計者(設計図書を用いないで工事を施行し、又は設計図書に従わないで工事を施行した場合においては、当該建築物又は建築設備の工事施行者)は、50万円以下の罰金に処する。
2 前項に規定する違反があった場合において、その違反が建築物の建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施行者を罰するほか、当該建築物の建築主又は建築設備の設置者に対して同項の刑を科する。

北見市建築基準法施行条例 第61条(強調・中略は引用者)

第6条は、罰則の対象です——第61条は「第5条から第9条まで」と書いており、第6条はこの範囲に入ります。名宛人(なあてにん=この罰則を受ける人)は原則設計者で、設計図書を用いない・従わない施行では工事施行者に替わります。違反が建築主等の故意によるときは、設計者または工事施行者を罰するほか、建築主等にも同じ刑が科されます(第61条第2項)。法人の代表者や、法人・人の代理人、使用人その他の従業者が業務に関して違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、法人または人にも同じ刑が科されます(第62条)。これを両罰規定(りょうばつきてい=行為をした人だけでなく、その法人や雇い主にも同じ罰金を科す定め)といいます。

是正命令は、建築主・所有者なども対象になり得ます(法第9条第1項)

罰則の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含みます)もしくは現場管理者、または当該建築物もしくは建築物の敷地の所有者、管理者もしくは占有者に対して措置を命ずることができる、と定めています。故意かどうかは、この条の要件ではありません。命じられるのは工事の施工の停止のほか、除却(じょきゃく=取り壊し)・移転・改築・増築・修繕・模様替・使用禁止・使用制限その他、違反を是正するために必要な措置です。建てたあとに除却や使用禁止を命じられ得るのは、建築主・所有者などです——設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていませんが、設計者が現場管理者を兼ねていれば名宛人になり得ます命令に従わないと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(法第98条第1項第1号)。

そして、確認申請が要らない計画でも、条例に適合させる義務は残ります。建築確認は「計画が法令に合っているかを、着工前に見てもらう手続き」で、確認が要らないこと=規定がかからないこと、ではありませんここを取り違えると、建ててしまってから第6条の違反が見つかる、ということが起こり得ます。着工の前に、窓口で確かめてください。

窓口——北見市 都市建設部 建築指導課です

  • 条例第6条の当てはめ・確認申請の相談——都市建設部 建築指導課 0157-25-1154。〒090-8501 北見市大通西3丁目1番地1・北見市役所本庁舎3階。市は「建築指導課では、建物に関して次のような相談を受けています」として、建物を建てる際の手続き(建築確認申請等)に関すること建物の指導および相談に関すること、建物の解体・耐震・空家に関すること、建築基準法について、を挙げています。土地を買う前に、まずここです
  • 土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定——指定するのは北海道知事です。区域の図書は、市の事務所で縦覧できます

窓口へ持って行くものは、3つです。現況の測量図(崖の位置と敷地の関係が分かるもの)、②敷地と崖との状況を示す断面図(崖の形状・勾配・高さ、そして土質を書き込んだもの。必要な方向と枚数は、提出先に確かめてください)、③建物の配置案(外壁面から崖までの水平距離が書き込んであるもの)。「崖があるみたいなんですが」だけでは、答えは返ってきません——条例の当てはめは、図の上でしか決まらないからです。図を作るのは建築士の仕事です。不動産会社に測量図があるかを、まず聞いてください。

売買契約の前に、専門家と確かめること

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、崖から離す配置や擁壁の費用を、土地の値段に織り込みにくくなります。この一覧は、自分で判定するためのものではありません——測って図にするのは建築士、条例の当てはめは北見市建築指導課の窓口です。確認申請そのものは、業務の範囲内であれば指定確認検査機関にも出せます(建築基準法第6条の2)——条例の当てはめを事前に相談するなら、上の窓口です。

  • ① その土地は北見市内か。北見市内なら、読むのは北見市建築基準法施行条例 第6条です
  • ② 敷地の中や隣に、勾配が30度を超え、高さが2メートルを超える土地があるか。目測ではなく、現況の測量図と断面図で造成でできた斜面も、岩の斜面も、条文の上では「崖」に当たり得ます
  • ③ 建てる位置は、崖の高さの2倍の水平距離を取れるか。起点は崖の上なら下端、崖の下なら上端——建物から遠いほうの端です。測る先は外壁面ちょうど2倍なら適合します
  • ④ 崖が隣の土地にあっても、敷地がその崖に「接し、又は近接する」と判断されれば、対象になり得ます。条文が要件にしているのは、崖が誰の土地にあるかではなく、敷地が崖に接し、又は近接することです
  • ⑤ 距離が取れないなら、3つの号のどれに当てはめるか——第1号(形状・土質により安全上支障がないと認められること)、第2号(崖崩れ等の生ずるおそれのない構造の擁壁、またはこれに代わる措置)、第3号(崖の下だけ。鉄筋コンクリート造等により安全上支障がないと認められるとき、または適当な流土止め)。どれかに当たれば、第6条については原則として建てられます——擁壁や流土止めを設けさえすればよい、という書き方ではありません
  • ⑥ 3つの号のどれにも、条例は数字を書いていません。「何度以下ならよい」「擁壁は何センチ」を自分で決めないでください。設計者が図と計算で示し、窓口が判断します
  • ⑦ すでに擁壁や土留めがあるなら、いつ・どの基準で造られたかを調べる。確認済証・検査済証・許可の書類が残っているかを、契約の前に売主に聞いてください
  • ⑧ 高さが2メートルを超える擁壁を新たに造るなら、工作物の確認(法第88条第1項・令第138条第1項第5号)が別に要ります——ただし、都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区や知事が指定する区域の中に限ります(法第6条第1項第3号)。ただし盛土規制法などの許可を受けなければならない場合の擁壁は、確認の部分が適用されません(法第88条第4項)
  • ⑨ 確認申請には、崖の形状・土質を記載した断面図が要ります(細則第4条第1項)。都市計画区域・準都市計画区域の外の土地でも、第6条はかかります(第2条の並びに第6条が入っていないため)——ただし窓口で確かめてください
  • ⑩ レッドゾーン・イエローゾーンに入っていないか。北海道土砂災害警戒情報システムで当たりを付け、最終確認は市で縦覧できる図書で。レッドゾーンで居室のある建物なら、令第80条の3の構造が別に要ります
  • ⑪ 崖を削る・土を盛る工事を伴うなら、盛土規制法や都市計画法の許可が要るかを、市の窓口へ
  • ⑫ 建築確認が不要でも、条例の適合義務は残ります。違反すれば、条例第61条の罰則(50万円以下の罰金)や、建築基準法第9条の是正命令の対象になり得ます
  • ⑬ 第6条の距離の義務が外れても、法第19条第4項の措置は別に要ります。「条例をクリアした=安全」ではありません

どれくらい日数がかかるかは、崖の状態と計画で変わりますので、この記事では示せません。売買契約の日程が見えているなら、契約に署名する前に建築士へ相談し、断面図の作成にかかる日数と、窓口へ相談に行ける日を先に押さえてください。建築士と窓口に、最初に「いつごろ答えが出るか」を聞いてください——それが分かって初めて、売買契約の日取りを動かせます。擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(第6条の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。

この記事で扱っていないこと

正直に、範囲を書いておきます。この記事が読んだのは、北見市の条例・細則の本文と、建築基準法・施行令・土砂災害防止法・盛土規制法の条文です。そこから外れることは、書いていません。

  • 個別の土地に第6条がかかるかどうかの判定——これは、現況の測量図と断面図がないと決まりません。この記事では決められません
  • 土砂災害の区域が、市内のどこにあるか——指定するのは北海道知事で、区域の範囲はこの記事では当たっていません
  • 費用と工期——崖の状態と計画で変わるため、目安も示していません。建築士に見積もってもらってください
  • すでに建っている建物への当てはめ——原則だけ書きました。実際の扱いは、建物ごとに違います

参考にした資料(2026年9月5日に原文を確認)

同じ道の記事

製品・技術・見積についてご相談ください

お電話でのご相談(フリーダイヤル・平日9:00〜18:00) 0120-1181-46(イイヘイヨロ)

ご相談・お見積は無料です。原則1〜2営業日以内にご返信します。