北海道のがけ条例——崖の近くに建てられるか

北海道のがけ条例

北海道でがけの近くに家を建てる・買う人へ——最初に答えから。

まず、自分の土地にがけ条例がかかりそうかを確かめる。崖の高さ・角度と建物までの距離を入れると、条例の数字に当たりそうかと、相談先が分かります。結果は窓口に持っていけるPDFにできます(無料・登録不要)。
がけ条例 かんたん判定で確かめる(無料)

がけ条例とは

北海道の「がけ条例」とは

窓口に行く前に。擁壁の図面と構造計算書は当社が用意します。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます。窓口には、その図面を持って行けます。 土のねっこ(L型擁壁) やまがみ(土砂待受擁壁) 擁壁を相談する ☎ 0120-1181-46
見積・相談を依頼する(無料)☎ 0120-1181-46(平日9〜18時)

北海道の「がけ条例」とは、北海道建築基準法施行条例 第6条の2のことです。高さ2メートルを超え、30度を超える崖の近くに建てるときは、原則として崖から一定の距離を保つことが求められます。

擁壁が要るかどうかは、条例の当てはめで決まります。擁壁の種類と、確かめる順は「擁壁の選び方」にまとめています。

図で見る——押すと、その話へ飛びます

まず、何から始める?契約の前に、建築士へ電話
まず、何から始める?
北海道にがけ条例はある?実体は施行条例第6条の2
北海道にがけ条例はある?
都市計画区域の外なら外れる?外でも、かかり得ます
都市計画区域の外なら外れる?
どこからが「がけ」ですか2mを超える・30度を超える
どこからが「がけ」ですか
がけの上に建てるときは起点は、がけの下端です
がけの上に建てるときは
がけの下に建てるときは起点は、がけの上端です
がけの下に建てるときは
何メートル離せばいい?高さの2倍以上の水平距離
何メートル離せばいい?
2倍が取れない。もうだめ?3つの号のどれかで外れます
2倍が取れない。もうだめ?
擁壁があれば離さなくていい?第2号。距離の義務は外れます
擁壁があれば離さなくていい?
がけの下なら、道は増える?第3号は、がけの下だけ
がけの下なら、道は増える?
レッドゾーンなら外れる?2つは別々に効きます
レッドゾーンなら外れる?
守らないと、どうなりますか罰金は50万円以下。原則設計者
守らないと、どうなりますか
条件を満たせば安心ですか法第19条第4項が残ります
条件を満たせば安心ですか
市でも同じですか4市では適用されません
市でも同じですか
どこに聞けばいい?10市はその市、ほかは道へ
どこに聞けばいい?
いつ、誰に相談しますか売買契約の前に動きます
いつ、誰に相談しますか

まずすること

北海道のがけ条例で、まずやること

先にすることは、3つです。がけ条例がかかっても、建てられないと決まったわけではありません。まず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、がけから離す配置や擁壁(ようへき=がけの土が崩れないよう支える壁)の費用を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って建築行政の窓口へ、条例の当てはめを確かめる。

窓口や建築士に行く前に、図面はご用意できます。擁壁の図面と構造計算書は当社でご準備できます。持って行ける形でお渡しします。
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擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(この条の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。

相談先

北海道では、どこに相談すればいいですか

相談先は、土地がどの市町村にあるかで分かれます——建築主事を置く10市(けんちくしゅじ=建築確認を行う職員。札幌市・函館市・小樽市・釧路市・苫小牧市・室蘭市・旭川市・帯広市・北見市・江別市)なら、その市の建築行政の窓口(市役所の建築指導・建築確認を受け持つ課)。それ以外の市町村なら、土地のある地域を受け持つ北海道の総合振興局・振興局の建設指導課か、道の建設部住宅局建築指導課(電話011-204-5578)です(特定行政庁=許可・認定や是正命令を受け持つ人で、市町村長か都道府県知事。建築確認の審査をするのは建築主事等で、特定行政庁とは別の役割です。限定特定行政庁の29市町では、木造住宅など小規模な建築物はその市町の窓口。後述)。

ただし、10市のうち札幌市・函館市・小樽市・旭川市の4市には、この条例は適用されず、市の条例にもがけからの距離を定める条はありません(後述)。限定特定行政庁の29市町に土地がある方へ——その市町が小規模な建築物について自前の条例を定めているかどうかは、この記事では確かめていません。まず、その市町の建築の窓口で、どの条例が当たるかを確かめてください。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。

①北海道の「がけ条例」は、北海道建築基準法施行条例(昭和35年北海道条例第33号)の第6条の2です。②かかるのは、高さ2メートルを超えるがけ(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地)に接し、または近接する敷地に建築物を建てるときです(延べ面積10平方メートル以内の物置・納屋・畜舎などは除きます)。③そのとき条文が求めるのは擁壁ではなく、建築物の外壁面とがけとの間にがけの高さの2倍以上の水平距離を保つこと。④どこから測るかは、がけの上と下で入れ替わります——がけの上に建てるならがけの下端(かたん=斜面がふもとの地面と接するところ)から、がけの下に建てるならがけの上端(じょうたん=斜面が上の平らな地面と接するところ)から。⑤距離が取れなくても、道はあります。条文が挙げる3つの場合——がけの形状・土質により安全上支障がないと認められる/がけ崩れ等のおそれのない構造の擁壁を設けるか、これに代わる措置を講ずる/がけの下に建てる場合に、主要構造部を鉄筋コンクリート造等として安全上支障がないと認められるか、がけと建物の間に適当な流土止め(りゅうどどめ=崩れた土砂を建物の手前で受け止める構造物)を設ける——のどれかに当たれば、第6条の2の距離の義務は外れます。建築できるかは、ほかの規制も含めて別に判断します——災害危険区域・土砂災害の区域・法第19条第4項は別に確認してください。⑥札幌市・函館市・小樽市・旭川市の区域には、この条例は適用されません(第2条第1項)。4市とも、市の建築基準の条例にがけからの距離を定める条はありません——ただし建築基準法第19条第4項(がけ崩れ等のおそれがある場合の措置)は残ります。釧路市・苫小牧市・室蘭市・帯広市・北見市は、市の条例に同じ趣旨の条(2倍以上)があります。江別市には、市の施行条例が無いため、道の条例が適用されます。⑦条文は2026年9月4日に、北海道例規類集で確認しました。

崩れてきた土砂を建物の手前で受け止める施設については、土砂災害特別警戒区域で求められる構造にまとめています(それがこの条の施設に当たるかは、窓口で確かめてください)。

北海道にがけ条例はある

「がけ条例」の実体は、北海道建築基準法施行条例の第6条の2です

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契約の前に、建築士へ電話
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北海道にがけ条例はある?
北海道にがけ条例はある?

北海道に、「がけ条例」という題名の条例はありません。北海道建築基準法施行条例(昭和35年7月30日 北海道条例第33号)の第6条の2(がけ付近の建築物)がその中身です。根拠は建築基準法第40条——その地方の気候・風土の特殊性などにより、この章(法第2章。建築物の敷地・構造・建築設備)の規定やこれに基づく命令の規定だけでは建築物の安全・防火・衛生の目的を十分に達しがたいと認める場合に、地方公共団体が条例で建築物の敷地・構造・建築設備の制限を付け加えられる、という規定です。条例第1条は、この第40条(法第88条第1項で準用する場合を含む)と、法第43条第3項・法第56条の2第1項の3つを根拠に挙げています。

実体は施行条例 第6条の2
実体は施行条例 第6条の2

実体は施行条例第6条の2

第6条の2は、条例が最初から持っていた条ではありません。昭和48年の改正(北海道条例第57号)で追加され、昭和49年1月1日から施行されています。目次では「第1節の2 がけ付近の建築物」として、第6条(大規模建築物の敷地と道路との関係)のあとに置かれています。条番号を探すときは、「第6条」ではなく「第6条の2」です。

都市計画区域の外なら外れる

都市計画区域の外でも、第6条の2はかかり得ます——窓口で確かめてください。市の条例がある区域は別です

都市計画区域の外なら外れる?
都市計画区域の外なら外れる?

(適用の除外)
第2条 この条例は、法第4条第1項又は第2項の規定により建築主事を置く市町村が法第40条、法第43条第3項及び法第56条の2第1項の規定による条例を定めたときは、当該市町村の区域には、適用しない。
2 この条例は、法第97条の2第1項又は第2項の規定により建築主事又は建築副主事を置く市町村が建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「令」という。)第148条第1項に規定する建築物又は工作物について法第40条、法第43条第3項及び法第56条の2第1項の規定による条例を定めたときは、当該市町村の区域内における当該建築物又は工作物には、適用しない。
3 第4条から第6条まで、第27条、第33条及び第40条の規定は、都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域には適用しない。

北海道建築基準法施行条例 第2条

第3項が区域を限っている条の並びは「第4条から第6条まで、第27条、第33条及び第40条」です。第6条の2は、この並びに入っていません——並びが「第6条」で終わっているので、そのあとに置かれた第6条の2は入りません。同じ条例の第62条・第62条の2は、緩和の対象を「第6条」と書いて「第6条の2」を書いておらず、条例は第6条と第6条の2を書き分けています。この並びに第6条の2が入っていない以上、都市計画区域・準都市計画区域の外だから、という理由では外れません。ただし、道がこの読みを説明した資料は、探した範囲では見つかりませんでした——都市計画区域の外の土地は、第6条の2が当たるかを窓口で確かめてください。

外でも、かかり得ます
外でも、かかり得ます

第1項・第2項は、市町村の側に条例があるときの適用除外です。第1項は、建築主事を置く市町村(法第4条第1項・第2項)が同じ根拠で条例を定めたとき、その市町村の区域には道の条例を適用しない。第2項は、法第97条の2により建築主事等を置く市町村(限定特定行政庁=小規模な建築物の確認などだけを受け持つ市町)が、令第148条第1項の建築物(小規模な木造建築物など)について条例を定めたとき、その建築物には適用しない。道内で第1項の候補になるのが建築主事を置く10市、第2項の候補になるのが限定特定行政庁の29市町です。ただし、どちらの項も「条例を定めたとき」が条件です——その市町村が対象の条例を定めていなければ、道の条例はそのままかかります。江別市がその例で、市の施行条例が無いため、道の条例が適用されます(後述)。10市の中身は、あとの節で1市ずつ書きます。

どこからが「がけ」ですか

どこからが「がけ」か——高さ2メートルを「超える」、勾配30度を「超える」。岩を除く言葉はありません

どこからが「がけ」ですか
どこからが「がけ」ですか

どこからが「がけ」ですか

(がけ付近の建築物)
第6条の2 高さが2メートルを超えるがけ(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地をいう。以下この条において同じ。)に接し、又は近接する敷地に建築物(延べ面積が10平方メートル以内の物置、納屋、畜舎その他これらに類するものを除く。以下この条において同じ。)を建築する場合にあっては、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、当該建築物の外壁面とがけとの間に、がけ上にあってはがけの下端から、がけ下にあってはがけの上端から、がけの高さの2倍以上の水平距離を保たなければならない。

北海道建築基準法施行条例 第6条の2(本文)

①勾配は「30度を超える」——30.0度ちょうどは当たりません。②高さは「2メートルを超える」——2.0メートルちょうども当たりません(「以上」ではありません)。③定義に、岩を除く言葉がありません。硬い岩の斜面でも、高さ2メートル超・30度超なら、条文の上では「がけ」です。岩だから最初から外れるのではなく、次の節の第1号(形状・土質)で外れ得る、という順番です。④「接し、又は近接する敷地」——がけが隣の土地にあっても、近接すればかかります。敷地ががけに接していなくても同じです。

2mを超える・30度を超える
2mを超える・30度を超える

小屋には除外があります。延べ面積10平方メートル以内の物置・納屋・畜舎その他これらに類するものは、この条の「建築物」から除かれます。裏を返すと、10平方メートルを超えるものや、10平方メートル以内でも物置・納屋・畜舎その他これらに類するものに当たらない建物は、除かれません。

条文が書いていないこともあります。がけの高さをどこからどこまで測るか、途中に平らな段がある斜面を1つのがけと数えるか——どちらも条例には書かれていません。目の前の斜面が30度を超えるか、2メートルを超えるか、岩か土か——見ただけでは決まりません。土質を調べて図にするのは地盤調査と建築士、条例の当てはめを判断するのは、あとに出てくる建築行政の窓口です。

がけの上に建てるときは

かかる範囲は「がけの高さの2倍」——起点が、がけの上と下で入れ替わります

がけの上に建てるときは
がけの上に建てるときは

言葉を決めておきます。下端(かたん)は、がけの斜面がふもとで下の地面と接するところ。上端(じょうたん)は、がけの斜面が上の平らな地面と接するところです。断面図の上で、どこが下端でどこが上端かが決まります。

起点は、がけの下端です
起点は、がけの下端です

がけの上に建てるなら、起点は「がけの下端」です。がけの下に建てるなら、起点は「がけの上端」です。言いかえると、起点は、いつも自分がいる側とは反対側の端です。測る先は、条文のとおり「当該建築物の外壁面」——壁の外側の面までです。

がけの下に建てるときは
がけの下に建てるときは
起点は、がけの上端です
起点は、がけの上端です
建てる位置距離の起点保つ距離
がけの上に建てるがけの下端から外壁面までがけの高さの2倍以上
がけの下に建てるがけの上端から外壁面までがけの高さの2倍以上

がけの上に建てるとき、起点を取り違えると、必要な水平距離を長く見積もります。がけの上に建てるなら、測り始めるのは手前の上端ではなく、向こう側の下端です。起点が反対側の端なので、斜面の水平幅も、必要な水平距離に含めて数えます(斜面の水平幅=上端と下端の水平のへだたり)。手前の上端から2倍を取ると、斜面の水平幅のぶんだけ余計に離すことになり、土地に余裕があるのに、あきらめてしまいます。がけの下に建てるときも同じです——起点は上端で、やはり斜面の水平幅が中に入ります。がけは「30度を超える」ものなので、段のない斜面なら、その水平幅は2倍の範囲に収まります。つまり、上端から先にも、まだ離す距離が要ります。ただし段になった斜面の数え方は、前に書いたとおり条例にありません——その場合の水平幅は、断面図の上で確かめることになります。高さ2メートルを少し超えるがけなら、下端から4メートルあまり。高さ5メートルのがけなら、下端から10メートルです。条文は「2倍以上」なので、ちょうど2倍なら適合します。

何メートル離せばいい

義務の形は「離す」です——擁壁は、距離が要らなくなる3つの道のひとつ

何メートル離せばいい?
何メートル離せばいい?

条文が命じているのは「水平距離を保たなければならない」です。「擁壁を設けなさい」とは書いていません。擁壁(ようへき=がけの土が崩れないように留めるコンクリートなどの壁)は、次に引く3つの号のひとつとして現れます。

この土地の擁壁を検討する方へ

「安全な擁壁」の図面と構造計算書を、当社でご準備できます。工場で造る鉄筋コンクリートのL型擁壁「土のねっこ」(高さ500〜3,000mm)。高さ1メートル以下なら「土地分け丸」。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます。この条に合うかどうかは、窓口で決まります。

当社はコンクリート製品のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。図面が無ければ、手書きの絵と写真で大丈夫です。絵に段差の高さと長さを書き込み、住所も添えてください。

土のねっこの製品ページ → 図面か現場の情報を送って、使える製品と概算を聞く(無料)

高さの2倍以上の水平距離
高さの2倍以上の水平距離

(1) がけの形状又は土質により建築物の安全上支障がないと認められる場合
(2) がけにがけ崩れ等の生ずるおそれのない構造の擁壁を設ける場合又はこれに代わる措置を講ずる場合
(3) がけ下に建築物を建築する場合において、当該建築物の主要構造部の全部若しくは一部を鉄筋コンクリート造若しくはこれに類する構造とすることによって建築物の安全上支障がないと認められるとき又はがけと当該建築物との間に適当な流土止めを設けるとき。

北海道建築基準法施行条例 第6条の2 第1号〜第3号

読む順番はこうなります。①まず2倍の距離が取れるか。取れれば、第6条の2にはそれで適合します。②取れないなら、3つの号のどれに当てはめるか。③どれにも当てはまらないときは、その配置案では第6条の2に適合しません——配置を変える、対策を変える余地は残ります。

2倍が取れない。もうだめ?
2倍が取れない。もうだめ?
3つの号のどれかで外れます
3つの号のどれかで外れます

3つの号のどれかで外れます

擁壁があれば離さなくていい

第1号——がけの形状・土質により、安全上支障がないと認められる場合

硬い岩盤や、ゆるい勾配など、がけそのものの性質で支障がないと認められる場合です。条文は「認められる場合」と書くだけで、誰が、どの手続で認めるかを書いていません。同じ条例の第4条(敷地の形態)が「知事が安全上支障がないと認めたとき」と書いているのと違い、第1号には知事の認定の手続がありません。道が公表している審査基準の一覧(令和8年6月1日作成)にも、この条例で載っている条は第4条第1項・第6条・第23条・第33条・第48条・第49条第1項・第56条・第61条第1項の8つで、第6条の2は載っていません。別に認定を申請する手続は、条例にも審査基準にも見当たりません。第1号に当たるかどうかは、確認申請の審査の中で判断されます。ただし確認申請が要らない建築物でも、条例に合わせる義務そのものは残ります——確認申請は手続の規定だからです。設計者に適合を確かめてもらい、道の建築行政の窓口へ前もって相談してください。形状や土質を測って図にするのは、地盤調査と建築士の仕事です。

第2号——がけ崩れ等のおそれのない構造の擁壁を設けるか、これに代わる措置を講ずる

擁壁があれば離さなくていい?
擁壁があれば離さなくていい?
第2号。距離の義務は外れます
第2号。距離の義務は外れます

条文が求める擁壁は「がけ崩れ等の生ずるおそれのない構造」のものです。擁壁の構造の基準は、建築基準法施行令第142条第1項にあります。同項は道を2つ書いています。ひとつは同項各号の基準に適合する構造方法——腐食しない材料、水抜穴、構造計算などです。もうひとつは、これと同等以上に擁壁の破壊及び転倒を防止できるものとして国土交通大臣が定めた構造方法。条文は、この2つを「又は」でつないでいます——大臣が定めた構造方法でなければならない、ということではありません。高さが2メートルを超える擁壁は、令第138条第1項第5号の工作物です。都市計画区域や準都市計画区域などの中では、原則として、建物とは別に確認申請が要ります(法第88条第1項が準用する法第6条第1項第3号)。

ただし、法第88条第4項の適用除外があります。宅地造成及び特定盛土等規制法(第12条第1項・第16条第1項・第30条第1項・第35条第1項)、都市計画法(第29条第1項・第2項・第35条の2第1項本文)、特定都市河川浸水被害対策法(第57条第1項・第62条第1項)、津波防災地域づくりに関する法律(第73条第1項・第78条第1項)の許可を受けなければならない場合の擁壁については、工作物の確認・検査等の規定を適用しません(法第6条から第7条の5まで、法第18条(第1項・第41項を除く)、法第89条に係る部分)。言いかえると、上に挙げた許可が要る場合の擁壁は、工作物の確認が外れます——外れるのは擁壁ぶんだけで、建物の確認申請は別です。ただし、法第20条は除外されていません——擁壁の構造耐力の規定は、そのまま残ります。道の条例第6条の2がかかることと、擁壁の確認申請が要ることは別です。ここを混ぜると、費用と期間を多く見積もります——造成の許可と併せて、必要な手続を窓口に確かめてください。

「これに代わる措置」の中身は、条例に書かれていません。擁壁と同じ役目を果たす措置を、設計者が示し、窓口が判断します。すでに擁壁がある土地でも、「擁壁があるから大丈夫」とは読めません。いつ・どの基準で造られたものか、がけ崩れ等のおそれのない構造といえるかは、設計者に確かめてもらう話です。

がけの下なら、道は増える

第3号——がけの下に建てるときだけ。建物を鉄筋コンクリート造等にするか、流土止めを設ける

がけの下なら、道は増える?
がけの下なら、道は増える?

がけの下なら、道は増える?

第3号は、がけの下だけ
第3号は、がけの下だけ

第3号は「がけ下に建築物を建築する場合」に限られます。がけの上に建てる場合には、第3号は使えません——がけの上なら、第1号か第2号のどちらかです。がけの下では、道が2つあります。ひとつは、建物の主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段。建物の構造上重要な部分)の全部または一部を鉄筋コンクリート造かこれに類する構造にして、安全上支障がないと認められるとき。「全部若しくは一部」なので、がけに面する側だけを固める設計もあり得ます——認められるかは、確認申請の審査の判断です(確認申請が要らない建築物なら、設計者と窓口で確かめます)。もうひとつは、がけと建物との間に適当な流土止めを設けるとき。流土止め(りゅうどどめ)は、崩れてきた土砂を建物の手前で受け止める構造物で、ふつうの境界の塀ではありません。何が「適当」かは条文に書かれていません——設計者が図で示し、窓口が判断します。

3つのどれかに当たれば、第6条の2の距離の義務は外れます——建てられるかは別に確認

2倍の距離が取れなくても、第1号〜第3号のどれかに当たる計画が成立すれば、第6条の2の距離の義務は外れます。擁壁を設ければ、またはこれに代わる措置を講ずれば、がけの上でも下でも第2号です。がけの下なら、建物を鉄筋コンクリート造等にする道と、流土止めを設ける道(第3号)も加わります。がけの形状・土質で支障がなければ第1号です。どれかに当たれば、第6条の2については原則として建てられます。ただし、建築できるかは、ほかの規制を含めて別に判断します——建築基準法第19条第4項の措置、土砂災害の区域の規制(令第80条の3)、災害危険区域の規制、盛土規制法の許可は、この条例とは別に残ります。設計は建築士の仕事で、工事費も別に要ります。

もうひとつ、条例の側に、第6条の2を軽くする特例はありません。第4章(雑則)の緩和・特例の条を1つずつ見ても、第6条の2を対象にしたものは無く、第20条(既存の建築物に対する制限の緩和)が対象にしているのは第19条(多雪区域内の木造の柱の小径等)だけです。この記事が扱っているのは、これから建てる場合です(新築・増築・改築・移転)。すでに建っている建物に、この条例がどうかかるかは扱っていません——気になる場合は、この記事に書いた窓口へお尋ねください。

レッドゾーンなら外れる

土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の規制は、この条例とは別に効きます

レッドゾーンなら外れる?
レッドゾーンなら外れる?

レッドゾーンなら外れる?

名前のよく似た2つを分けておきます。土砂災害警戒区域(イエロー)と土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は、「特別」の2字しか違いませんが、別のものです。この記事で「レッドゾーン」と書くのは、「特別」が付くほうだけです。

2つは別々に効きます
2つは別々に効きます

北海道建築基準法施行条例は、この区域に触れていません。条例の全文に「土砂災害」の語は出てこず、第6条の2にも、レッドゾーンの中だから外れる・重くなる、という定めはありません。かわりに、建築基準法施行令第80条の3が別に働きます。レッドゾーンの中で居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋。住宅なら、ふつう当てはまります)を有する建築物を建てるときは、外壁及び構造耐力上主要な部分のうち、知事が定めた土石等の高さ以下で衝撃が作用すると想定される部分(同条はこれを「外壁等」と呼びます)を、想定される衝撃が作用しても破壊を生じないものとして国土交通大臣が定めた構造方法にすること。ただし、土石等の高さ以上の高さがあり、外壁等と同等以上の耐力を有するものとして大臣が定めた構造方法を用いる門または塀を、衝撃を遮るように設けた場合は、この限りでない——という規定です。2倍の距離を取って第6条の2に適合していても、この構造の規制は残ります。反対に、令第80条の3に適合しても、第6条の2の距離の義務は外れません——2つは別々に効きます。

もうひとつ、都市計画区域の外でも、建築確認が要る場合があります。土砂災害防止法第25条は、レッドゾーン内の居室を有する建築物を、建築基準法第6条第1項第3号の区域内の建築物とみなして、確認・検査の規定を適用すると定めています(第1号・第2号の建築物を除く)。「都市計画区域の外だから確認は要らない」とは読めません。なお、敷地が区域の内外にまたがるときの扱いは、この第25条があわせて適用している建築基準法第91条(敷地の過半がどちらに属するかで決める規定)によります——窓口で確かめてください。これは、令第80条の3の構造の規定まで敷地の過半で外れる、という意味ではありません。

自分の土地がどちらかは、目で見ても分かりません。どちらでもないこともあります。北海道は、指定した区域を北海道土砂災害警戒情報システムで公開しています。指定の内容を記載した図書は、土砂災害防止法第9条第7項により、関係する市町村の事務所で縦覧できます。土地を買う前なら、不動産会社にも「この区域に入るか」を確かめてください。

レッドゾーンでどんな構造が求められるかは、土砂災害特別警戒区域で求められる構造にまとめています(区域に入るかどうかの判定と、この条例の当てはめは、上の窓口で確かめてください)。

許可済みの工事

許可を受けた工事でできたがけを外す定めは、この条例にはありません——盛土規制法は別に効きます

第6条の2にも、第2条にも、第4章(雑則)にも、盛土規制法や都市計画法の許可を受けた工事でできたがけを第6条の2から外す定めはありません(条例の全文に「宅地造成」「盛土」の語は出てきません)。許可を受けて造成された土地のがけでも、第6条の2の当てはめは同じです——擁壁があるなら第2号、というふうに、3つの号で判断します。

造成そのものには、宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)が別に効きます。北海道は、市町村ごとに規制区域(宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域)を指定し、道の都市計画課のページで市町村別に公表しています(札幌市・旭川市・函館市は、市が公表しています)。がけを削る・土を盛る工事を伴う計画なら、規制区域に入るか、許可が要るかを、道の建設部まちづくり局都市計画課(電話011-204-5563)か、その市に確かめてください。

守らないと、どうなりますか

罰則も是正命令も、設計者だけの話ではありません(第63条の罰金は50万円以下)

守らないと、どうなりますか
守らないと、どうなりますか

守らないと、どうなりますか

第63条 第4条第1項若しくは第3項(第5条第2項において準用する場合を含む。)、第5条第1項、第6条から第8条まで、第10条、第13条から第15条まで、第16条第1項、第17条第1項若しくは第2項、第19条、第21条、第22条第1項若しくは第2項、第23条、第24条、第26条第1項若しくは第2項、第27条、第28条、第33条第1項、第34条、第35条、第36条第1項、第37条、第38条、第40条から第46条まで、第47条第1項若しくは第3項から第5項まで又は第51条から第55条までの規定に違反した場合における当該建築物又は建築設備の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物又は建築設備の工事施工者)は、50万円以下の罰金に処する。

北海道建築基準法施行条例 第63条第1項

第63条は、第6条の2を名指ししていません。並びの中の「第6条から第8条まで」——第6条の2は、第6条と第8条の間に置かれた条です。ただし、第6条の2がこの範囲に入ることを道が明示した資料は、探した範囲では見つかりませんでした——罰則が当たるかどうかは、道の窓口で確かめてください。第63条が当たる場合、名宛人(なあてにん=この罰則を受ける人)は原則、設計者——設計図書を用いずに、または設計図書に従わずに工事を施工した場合は工事施工者です。額は50万円以下の罰金です。

罰金は50万円以下。原則設計者
罰金は50万円以下。原則設計者

第63条第2項は、その違反が建築主または建築設備の設置者の故意によるものであるときは、設計者または工事施工者を罰するほか、建築主等にも同じ刑を科すると定めています。第64条は両罰規定です。法人の代表者、または法人・人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第63条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人にも第63条の刑を科します。

是正命令は、建築主・所有者などが相手方になり得ます(法第9条第1項)

罰金の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、建築主、工事の請負人(下請人を含みます)、現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者に対して、工事の施工の停止を命じ、または相当の猶予期限を付けて除却(じょきゃく=取り壊し)・移転・改築・使用禁止その他の是正に必要な措置を命ずることができる、と定めています。故意は要件ではありません。設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていませんが、設計者が現場管理者を兼ねていれば名宛人になり得ます。命令に違反した場合は、法第98条第1項第一号により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。命令を出す特定行政庁(とくていぎょうせいちょう)は、役所ではなく人です——原則として、建築主事または建築副主事を置く市町村の区域ではその市町村長、それ以外の区域では都道府県知事をいいます。ただし、限定特定行政庁(法第97条の2により建築主事等を置く市町村)の区域内の政令で定める建築物については都道府県知事です(建築基準法第2条第35号)。北海道内なら、10市の市長か、限定特定行政庁29市町の長か、北海道知事です。

条件を満たせば安心ですか

第6条の2の距離の義務が外れても、建築基準法第19条第4項は残ります

条件を満たせば安心ですか
条件を満たせば安心ですか

条件を満たせば安心ですか

4 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。

建築基準法 第19条第4項

この規定は、道の条例が適用される区域でも、10市の区域でも働きます。(法第85条の応急仮設建築物など、法が適用されない場合を除きます。)条例の第6条の2に当たらない土地でも、がけ崩れ等による被害を受けるおそれがあるなら、擁壁の設置その他安全上適当な措置が要ります。求められているのは擁壁だけではなく、「その他安全上適当な措置」を含みます。「2メートルを超えないから何もしなくてよい」とは読めません。次の節で書く札幌市も、自分のページでこの第19条第4項を挙げています。

法第19条第4項が残ります
法第19条第4項が残ります

市でも同じですか

札幌市・函館市・小樽市・旭川市では、この条例は適用されません——市の条例に、がけからの距離の規制はありません

市でも同じですか
市でも同じですか

第2条第1項のとおり、建築主事を置く市が自前の条例を定めると、その市の区域には道の条例が適用されません。道内で建築主事を置く市は、道が公表している「道内の特定行政庁」(令和8年4月1日現在)によると、札幌市・函館市・小樽市・釧路市・苫小牧市・室蘭市・旭川市・帯広市・北見市・江別市の10市です。10市を1市ずつ当たると、3つに分かれました。

4市では適用されません
4市では適用されません
市市の条例がけからの距離を定める条
札幌市札幌市建築基準法施行条例無し(旧要綱も2023年5月31日に廃止)
函館市函館市建築基準条例無し(令和8年7月1日現在の条文。別に災害危険区域の条例あり)
小樽市小樽市建築基準法施行条例無し
旭川市旭川市建築基準法施行条例無し
釧路市建築基準法施行条例(釧路市)第5条(がけ付近の建築物)2倍以上
苫小牧市苫小牧市建築基準法施行条例第4条の2(がけ附近の建築物)2倍以上
室蘭市室蘭市建築基準法施行条例第4条の2(崖付近の建築物)2倍以上
帯広市帯広市建築基準法施行条例第6条(がけ付近の建築物)2倍以上
北見市北見市建築基準法施行条例第6条(崖付近の建築物)2倍以上
江別市市の施行条例は無し北海道建築基準法施行条例 第6条の2が適用

札幌市——市が「がけ条例を定めていない」と公表しています

札幌市では、がけ附近に計画することを理由とした建築基準法に基づく独自の制限(いわゆる「がけ条例」)を定めておりません。

札幌市「がけ附近における建築に関する制限について」

札幌市建築基準法施行条例(昭和35年3月31日条例第23号)の全文に、「がけ」「崖」の語はありません。市のページは、以前あった「札幌市がけ附近における建築物の建築に関する指導要綱」(旧がけ地要綱)を令和5年5月31日をもって廃止したと書き、あわせて建築基準法第19条第4項において敷地内の安全性は確保されなければならないため、設計する建築士が安全性を担保するために旧要綱を参考にすることも考えられる、と書いています。「規制が無い=何もしなくてよい」ではありません。窓口は、札幌市都市局建築指導部建築確認課(電話011-211-2846)です。

函館市・小樽市・旭川市——条例に、がけの条がありません

函館市の建築基準条例は「函館市建築基準条例」(昭和35年条例第10号)です。この条例の全文を、2026年9月4日に函館市例規集で読みました(第1条から第64条まで、附則まで)——「がけ」「崖」「傾斜地」「擁壁」の語は一つもありません。目次にもがけの節はなく、第1条が根拠に掲げる建築基準法の条は法第40条・法第43条第3項・法第56条の2第1項・法第69条で、法第39条(災害危険区域)は入っていません。「傾斜」の語は出てきますが、いずれも傾斜路(段差に代えて設けるスロープ。第47条第4項第1号ほか)で、がけの話ではありません。例規集の本文検索でも、「がけ」を含む現行の例規は函館市災害危険区域の指定等に関する条例1本だけでした。読んだのは、函館市例規集に載っている令和8年7月1日現在の条文です——それ以後に改正があったかどうかは、見ていません。設計を始める前に、最新の条文を函館市建築行政課で確かめてください。市の建築行政課が擁壁について公表している「関係法令等」も、挙げているのは建築基準法第19条第4項と宅地造成等規制法(現・盛土規制法)で、市の条例は挙げていません。災害危険区域の条例のほうは、あとの節で書きます。窓口は、函館市都市建設部建築行政課(電話0138-21-3392)です。小樽市建築基準法施行条例(昭和43年3月22日条例第16号)は、目次に「がけ」の節が無く、本文にも「がけ」「崖」「災害危険区域」の語がありません。旭川市建築基準法施行条例(昭和44年10月18日条例第45号)も同じです。

4市に距離の規制が無いからといって、建てられると決まったわけではありません。建築基準法第19条第4項、令第80条の3(レッドゾーン)、盛土規制法、各市の開発の指導は、別に効きます。4市の土地でも、がけがあるなら、断面図を持って市の窓口へ——順番は同じです。

5市の条例

釧路市・苫小牧市・室蘭市・帯広市・北見市——市の条例に、同じ趣旨の条があります

5市の条は、高さ2メートル超・30度超・外壁面まで2倍以上で、道の第6条の2と同じ内容です。3つの号も同じ趣旨です。表記には違いがあり、苫小牧市は「こえる」「附近」とひらがな・旧字、室蘭市・北見市は「崖」と漢字で書いています。罰則は、釧路市(第62条)・苫小牧市(第60条)・室蘭市(第61条)ががけの条を名指しして50万円以下の罰金、北見市(第61条)・帯広市(第66条)も50万円以下の罰金です。室蘭市は、運用方針を公表しています——がけの高さは下端を通る30度の勾配を超える部分について下端から最も高い部分までの垂直距離とすること、擁壁に代わる措置の例、流土止めの構造と位置などが、図つきで書かれています。これは室蘭市の条例の運用です——道の条例が適用される区域で同じ扱いになるかは、道の窓口で確かめてください。

江別市——市の施行条例が無く、道の条例が適用されます

江別市の「建築条例・規則・基準」のページは、確認申請の際に従う規定として北海道建築基準法施行条例と江別市建築基準法施行細則を挙げており、「江別市建築基準法施行条例」という名前の条例はありません。江別市例規類集の第9類第2章(建築・住宅)にも、施行細則はあっても施行条例はありません(令和8年4月28日現在)。市の「確認申請の手続き」のページも、道の条例第6条の2の適用を受ける建築物には、がけとの状況を示す断面図を添付するよう案内しています。窓口は、江別市建築指導課建築確認係(電話011-381-1042)です。

限定特定行政庁の29市町——小規模な建築物は、市町の条例の有無で変わり得ます

道のページによると、法第97条の2により建築主事等を置く市町(限定特定行政庁)は、石狩市・北広島市・千歳市・恵庭市・当別町・森町・岩見沢市・砂川市・深川市・三笠市・長沼町・名寄市・士別市・富良野市・東神楽町・留萌市・稚内市・網走市・紋別市・美幌町・遠軽町・登別市・伊達市・白老町・音更町・芽室町・幕別町・中標津町・根室市の29市町です(令和8年4月1日現在)。第2条第2項のとおり、これらの市町が令第148条第1項の建築物(小規模な木造建築物など)について条例を定めていれば、その建築物には道の条例が適用されません。29市町が定めているかどうかは、この記事では確かめていません。これらの市町に土地がある方は、その市町の建築の窓口で、どの条例が当たるかを確かめてください。

災害危険区域

災害危険区域(法第39条)は、道の条例にはありません——市の条例です

建築基準法第39条は、地方公共団体が条例で津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定できると定めています。北海道建築基準法施行条例には、この定めがありません。第1条が根拠に挙げているのは法第40条・第43条第3項・第56条の2第1項の3つで、法第39条は入っておらず、条例の全文に「災害危険区域」の語も出てきません。

指定しているのは市の条例です。この記事で当たった範囲では、札幌市は札幌市建築基準法施行条例の第65条で、白石区東米里と厚別区厚別町山本の一部を災害危険区域に指定しています。理由は出水(第66条。第1種区域=出水による危険が著しい区域)で、がけ崩れではありません。制限は居室の床面の高さ——敷地の接する道路の路面の中心を基準に、第1種区域は1.5メートル以上、第2種区域は1メートル以上(第67条)——などで、居室を有しない建築物には適用されません(第71条)。函館市には函館市災害危険区域の指定等に関する条例(平成16年11月17日条例第106号)があり、区域は市長の告示で定めます。この条例は、区域内で居室を有する建築物を建てる場合に、基礎と主要構造部(屋根および階段を除きます)を鉄筋コンクリート造またはこれに類する構造とすることを求め、ただし書で、がけ(こう配が30度を超える傾斜地)との間に土留めを設けたとき、またはがけ崩れによる被害を受けるおそれのないときは、この限りでないとしています——ここでは高さ2メートルの要件がありません。区域の場所は、函館市建築行政課で確かめてください。ほかの市町村の災害危険区域は、この記事では当たっていません。土地のある市町村の窓口で確かめてください。

どこに聞けばいい

窓口は、10市の建築行政の課と、道の総合振興局・振興局です

どこに聞けばいい?
どこに聞けばいい?

道が公表している「道内の特定行政庁」のページは、10市と29市町の名前と、道が受け持つ範囲を載せています。10市の区域は、その市の建築行政の窓口です。限定特定行政庁の29市町は、木造住宅など小規模な建築物の確認・検査をその市町が受け持ち、それ以外は道が受け持ちます。それ以外の市町村は、道が受け持ちます——道のページによると、小規模な建築物は総合振興局・振興局、規模の大きい建築物は本庁です。道の窓口は、建設部住宅局建築指導課 建築基準・審査係(電話011-204-5578)と、各総合振興局・振興局の建設指導課です。窓口の一覧は道内の特定行政庁のページにあります。

10市はその市、ほかは道へ
10市はその市、ほかは道へ

10市はその市、ほかは道へ

がけに近接するときは、確認申請に断面図が要ります(細則第10条)

(確認申請書等の添付書類)
第10条 条例第6条の2の規定の適用を受ける建築物に係る確認申請書又は計画通知書には、その計画に係る建築物の敷地とがけ(高さ2メートルを超えるものに限る。)との状況を示す断面図(当該がけの形状又は土質についても記載してあるもの)を添付しなければならない。

建築基準法施行細則(昭和48年北海道規則第9号) 第10条第1項

北海道の建築基準法施行細則は、第6条の2の適用を受ける建築物の確認申請書に、敷地とがけとの状況を示す断面図——がけの形状または土質も記載したもの——を添えるよう定めています。この断面図が、建築士に用意してもらうものの中身です。条例の当てはめは、この断面図の上で決まります。だから、目測では決まりません。なお、この細則は建築主事を置く市町村の区域には適用されず(細則第2条第1項)、10市ではそれぞれの市の細則によります。江別市も、市のページで同じ断面図の添付を案内しています。

契約の前に

売買契約の前に、専門家と確かめること

いつ、誰に相談しますか
いつ、誰に相談しますか

この表は、自分で判定するためのものではありません——測って図にするのは建築士、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口です。個別の判断は、建築士と窓口にご確認ください。

窓口に行く前に。擁壁の図面と構造計算書は当社が用意します。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます。窓口には、その図面を持って行けます。 土のねっこ(L型擁壁) やまがみ(土砂待受擁壁) 擁壁を相談する ☎ 0120-1181-46

売買契約の前に動きます
売買契約の前に動きます

確かめること

売買契約の前に、何を確かめればいいですか

  • ①その土地は、どの市町村にあるか。札幌市・函館市・小樽市・旭川市なら道の条例は適用されず、市の条例に距離の規制はありません——ただし法第19条第4項は残ります。釧路市・苫小牧市・室蘭市・帯広市・北見市なら市の条例の同じ趣旨の条。江別市とそれ以外の市町村なら道の第6条の2(限定特定行政庁の29市町は、小規模な建築物について市町の条例の有無を確かめる)
  • ②敷地の中や隣に、勾配30度を超え、高さ2メートルを超えるがけがあるか。目測ではなく、現況の測量図と断面図で。岩でも「がけ」に当たり得ます
  • ③建てる位置が、がけの高さの2倍の範囲に入るか。起点は、がけの上なら下端、がけの下なら上端、測る先は外壁面です。ちょうど2倍なら適合します
  • ④がけが隣の土地にあってもかかります。敷地ががけに接していなくても、近接すれば同じです
  • ⑤距離が取れないなら、3つの号のどれに当てはめるか——第1号(形状・土質)、第2号(擁壁か、これに代わる措置)、第3号(がけの下だけ。鉄筋コンクリート造等か、流土止め)。どれかに当たれば、第6条の2については原則として建てられます(法第19条第4項・令第80条の3・災害危険区域・盛土規制法は別に確認)
  • ⑥すでに擁壁があるなら、いつ・どの基準で造られたか。設計者による安全性の判断が要ります
  • ⑦売主に、擁壁や造成の書類が残っているかを聞く——確認済証・検査済証・盛土規制法(旧宅地造成等規制法)の許可はあるか。契約後でも確認はできますが、購入判断や価格交渉に反映するため、契約の前に聞いてください
  • ⑧その土地が土砂災害警戒区域(イエロー)・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に入っていないか。北海道土砂災害警戒情報システムで見て、最後は市町村の窓口の図書で。レッドゾーンで居室のある建物なら、令第80条の3の構造が別に要ります
  • ⑨その土地が災害危険区域に入っていないか(札幌市・函館市は市の条例。ほかの市町村は、その市町村の窓口で)
  • ⑩がけを削る・土を盛る工事を伴うなら、盛土規制法の規制区域に入るか、許可が要るかを、道の都市計画課か市に。許可が要る場合の擁壁は、工作物の確認が外れます(法第88条第4項)——外れるのは擁壁ぶんだけで、建物の確認申請は別。法第20条の構造の規定も残ります
  • ⑪確認申請には、がけの形状または土質についても記載した断面図が要ります。道へ出す場合の根拠が細則第10条で、10市・限定特定行政庁の市町・指定確認検査機関へ出す場合は、それぞれの図書の要件を確かめます(細則第2条)。提出先は、10市ならその市、限定特定行政庁の29市町なら小規模な建築物はその市町、それ以外は道の総合振興局・振興局か本庁、または指定確認検査機関です
  • ⑫第6条の2の距離の義務が外れても、建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれがある場合は、建築基準法第19条第4項の措置は別に要ります

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、がけから離す配置や擁壁の費用を、土地の値段に織り込みにくくなります。すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に。がけの高さと、がけからの距離は、現況の測量図と断面図がないと自分では判断できません——測量と図面は建築士に、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口に、お尋ねください。どれくらい日数がかかるかは、がけの状態と計画で変わりますので、この記事では示せません。建築士と窓口に、最初に「いつごろ答えが出るか」を聞いてください——それが分かって初めて、売買契約の日取りを動かせます。

レッドゾーン内で居室を有する建築物について、令第80条の3に対応する2つの方法——外壁等を所定の構造にするか、土石等の高さ以上の高さで、外壁等と同等以上の耐力を有するものとして国土交通大臣が定めた構造方法による門・塀を、衝撃を遮るように設けるか——と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(条例の第6条の2の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。

お問い合わせ

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土のねっこが使えるか、図面か、段差の高さと長さ・現場の写真・住所からお答えします。図面と構造計算書は当社でご準備できます。

当社はコンクリート製品のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。

全国に配送します(沖縄・北海道・離島を除く)

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出典

条文は2026年9月4日に、北海道例規類集の本文(「令和7年4月1日施行」と表示されているもの)で確認しました。法律と政令は同じ日にe-Gov法令検索で確認しています。道の「道内の特定行政庁」「審査基準」「盛土規制法の規制区域」のページ、札幌市のがけのページ、小樽市・旭川市・釧路市・室蘭市・帯広市・北見市の条例本文、苫小牧市の条例(PDF)、江別市のページと例規類集の目次、室蘭市の運用方針(PDF)、函館市建築基準条例と函館市災害危険区域の指定等に関する条例の本文(函館市例規集)、函館市建築行政課のページと「関係法令等」(PDF)も、同じ日に開いて確かめました。帯広市の条例第66条(罰則)だけは、2026年9月6日に帯広市例規集で読みました。

確かめきれていないことが4つあります。ひとつ、第2条第3項の「第4条から第6条まで」に第6条の2が入らないという読みと、第63条の「第6条から第8条まで」に第6条の2が入るという読みは、条文の並びからの読みで、道がそう説明した資料は見つけられませんでした——都市計画区域の外の土地と、罰則の当てはめは、道の窓口で確かめてください。ふたつ、限定特定行政庁の29市町が、令第148条第1項の建築物について自前の条例を定めているかは、1市町も当たっていません。みっつ、函館市の災害危険区域が、市内のどこにあるかは分かっていません。条例の全文(第1条から第3条まで、附則まで)は2026年9月4日に函館市例規集で読みましたが、その第2条は区域は市長が告示すると定めるだけで、告示そのものは見ていません——自分の土地が入るかどうかは、函館市建築行政課で確かめてください。あわせて、函館市の2つの条例で読んだのは令和8年7月1日現在の条文で、それ以後の改正は見ていません。よっつ、道内の179市町村の災害危険区域の全体は当たっていません。当たったのは札幌市・函館市・小樽市・旭川市の4市だけです。

北海道のレッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)については、区域図の調べ方・建築の決まり・待ち受け擁壁・補助金・相談先を北海道のレッドゾーンのページにまとめています。

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