塀のねっこについて、よくいただく質問に順に答えます。くわしい背景は連載「塀のねっこマニアックス」にあります。
塀のねっことは、どんな塀か
基礎と壁を一体で工場製作した、L型のプレキャストコンクリート塀です。
現場でやることは、掘る・整地する・据え付ける・埋め戻すの4つだけです。ブロックを積む工程も、型枠を組んで打つ工程もありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構造 | 基礎と壁を一体化したL型プレキャストコンクリート塀 |
| 高さ | 500〜3,000mm(100mm刻み) |
| 壁厚・底版厚 | 150mm |
| 製品長 | 標準2,000mm、短尺1,000mm(長さはミリ単位で製造できます) |
| 重量 | 約558〜3,457kg(高さ・端部形状による) |
ブロック塀と、何が違うのか
作る場所が違います。ブロック塀は現場で積み、塀のねっこは工場で一体に作ります。
現場で積む塀は、品質が施工者の技量と手順に左右されます。工場で一体に作る塀は、基礎と壁のつなぎ目がありません。
高さは、どこまで作れるのか
塀のねっこは500〜3,000mmです。ブロック塀は法律で2.2m以下と決まっています。
補強コンクリートブロック造の塀の高さは、建築基準法施行令第62条の8で2.2m以下と定められています。塀のねっこはブロックを積む塀ではありません。建築基準法・同施行令および関連告示に準拠し、高さごとに構造計算をして寸法を決めます。
当社がおすすめしているのは地上高2,000mm(製品高2,500mm)です。災害・防犯・目隠しのどれにも届く高さだからです。
底版の幅は、どれだけ要るのか
高さで決まります。高さ2,000mmなら、境界からおよそ950mmです。
| 高さ H | 底版幅 B | 根入れ Df | 最大地上高 | 必要地耐力 kN/㎡(背面土 有/無) |
|---|---|---|---|---|
| 500 mm | 350 mm | 300 mm | 200 mm | 24 / 14 |
| 1,000 mm | 500 mm | 400 mm | 600 mm | 34 / 24 |
| 1,500 mm | 700 mm | 450 mm | 1,050 mm | 41 / 29 |
| 2,000 mm | 950 mm | 500 mm | 1,500 mm | 41 / 32 |
| 2,500 mm | 1,300 mm | 500 mm | 2,000 mm | 39 / 32 |
| 3,000 mm | 1,700 mm | 500 mm | 2,500 mm | 38 / 31 |
底版幅は直線部の値です。端部がR形状になると大きくなります(高さ2,000mmで 直線950mm/片端R1,000mm/両端R1,100mm)。100mm刻みの全表は製品ページにあります。上表は公開済みの標準寸法で、採用前には案件条件に合わせた最新図面をご案内します。
底版の幅が取れない現場は、どうするのか
建築基準法に準拠したブロック塀基礎「土地分け丸」と、ブロック塀で計画します。
境界際に底版ぶんの幅が取れない現場が多かったことから開発した製品です。底版が入る現場は塀のねっこ、入らない現場は土地分け丸。どちらの現場でも、法律の基準に沿った塀を計画できます。
▶ 土地分け丸を見る
地震には、どこまで耐えるのか
水平震度kh=0.6、地面が600Galで揺れることを見込んで設計しています。
2019年12月、金沢工業大学との共同研究で、実物大の試験体を振動台に載せました。日本建築センター模擬波(BCJ L2)の設計目標350Galを超える地震動を含む挙動を確認しています。公開動画では、熊本地震(益城町)の再現波による加振で、測定加速度670Galを記録しています。
試験時の供試体・設置方法・地盤・入力波などの条件と、実案件の条件は同一とは限りません。加振ごとの記録と、どこで損傷が出たかは技術・検証・実績のページにあります。
▶ 実験の記録を見る / ▶ 地震で塀が倒れるのはなぜか(連載2)
浸水は、止められるのか
止められます。ただし敷地をぐるりと水密にすることは、現実には難しいです。
2021年、三和コンクリート工業株式会社と共同で、塀のねっこ6基によりプールを構成しました。水深0.5mと1.0mで接続部の止水方法を比較し、JIS A 4716のWs-1・Ws-2相当の漏水量と、水深1.0mで転倒しないことを確認しています。
一方で、敷地周囲を完全に水密化することは現実的ではなく、敷地内へ降った雨で内側の水位が上がることもあります。出入口や排水とあわせて考える必要があります。
▶ 塀で浸水は止められるのか(連載3) / ▶ 浸水対策に用途を絞った製品「水守」
火には、強いのか
コンクリートは燃えません。防火に用途を絞った製品もあります。
工場や危険物施設の防火区画には、用途を限定した防火塀「火の守」があります。
▶ 火事に強い塀とは何か(連載6) / ▶ 火の守を見る
防犯には、効くのか
高さのある塀は、外からの視線と侵入をさえぎります。
ただし塀だけで防犯が完結するわけではありません。門扉、庭の見通し、照明、カメラとあわせて考えるものです。
音は、防げるのか
隙間が少なく重いため、音を通しにくい塀です。
外から入る音だけでなく、敷地から出る音——エアコンやエコキュートの運転音——を外に出しにくくする使い方もあります。
値段は、どう決まるのか
製品・基礎・据え付け・運搬の合計で決まります。一律の単価はご案内していません。
延長、高さ、地盤、搬入条件で変わるためです。条件が分かれば概算見積をご案内できます。設計・見積に費用はかかりません。ご注文をいただくまで費用は発生しません。
搬入と据え付けは、どうなるのか
納品は車上渡しです。荷下ろし用のクレーンは、お客様の手配でご準備ください。
高さ2,000mm・製品長2,000mmの直線品で1本およそ2,070kg、高さ3,000mmでは約3,330kgあり、人の手では下ろせません。先に搬入経路と揚重の条件を確認します。
当社では現在、施工工事の受注は行っていません。信頼の置ける施工店をご紹介できます。住宅の場合は、家を建てた工務店やハウスメーカーにご相談いただくのがいちばん早いです。
敷地は2m単位ではないが、合わせられるのか
合わせられます。長さ方向はミリ単位で製造できます。
敷地の図面をいただき、製品を1つずつ並べる「製品展開図」を作ります。余る分は敷地に合う長さに加工し、コーナー部もそのときに決めます。この展開図をもとに見積を作り、ご了承をいただいてから製造に入ります。
古いブロック塀から、建て替えられるのか
できます。既存の撤去、地盤、境界、搬入条件を確認して計画します。
危険なブロック塀の撤去や改修に、補助を出している市区町村があります。制度の有無も条件も市区町村ごとに違うので、窓口へ直接お問い合わせください。
どんな条件で設計しているのか
従来公開してきた設計条件は、次のとおりです。
| 項目 | L型 厚さ150・200 | 逆T型 厚さ150・200 | 逆T型 平置き(根入れゼロ) |
|---|---|---|---|
| 周辺土・埋戻し土の土質 | 砂質土 | 粘性土 | 記載なし |
| 内部摩擦角 φ | 30° | 0° | 記載なし |
| 単位体積重量 γ | 18 kN/㎥ | 17.5 kN/㎥ | 記載なし |
| 摩擦係数 μ | 0.55 | 0.55 | 0.45 |
| 水平震度 kh | 0.6 | 0.6 | 0.6 |
| 基準風速 | 50 m/s | 50 m/s | 50 m/s |
| 地下水位・根入れ | 地下水位=底版以下 | 地下水位=底版以下 | 平置き(根入れゼロ) |
準拠する規準類は次のとおりです。
- 建築基準法、同施行令、及び関連告示
- 鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説
- 壁式鉄筋コンクリート造設計・計算規準・同解説
- 建築基礎構造設計指針
- 建築物荷重指針・同解説
- 他、関連指針
「記載なし」は、従来公開仕様に項目が示されていないという意味です。図と数値は従来公開していた仕様です。製造条件が変更される可能性があるため、採用前に必ず最新図面をご確認ください。
もっとくわしく:塀のねっこマニアックス
塀と災害、塀と暮らし、コンクリートそのものについて、1回に1つの主題でまとめています。
- 塀はいつから、なぜ建てられてきたのか(連載1)
- 地震で塀が倒れるのはなぜか(連載2)
- 塀で浸水は止められるのか(連載3)
- 土砂災害に塀は効くのか(連載4)
- 台風の風で塀はどうなるのか(連載5)
- 火事に強い塀とは何か(連載6)
- 高い塀は防犯に効くのか(連載7)
- 塀で視線と音は防げるのか(連載8)
- コンクリートとは何でできているのか(連載9)
- コンクリートはSDGsに向いているのか(連載10)
▶ 資料をダウンロードする(塀のねっこ パンフレット 54ページ/納入・施工記録 60ページ)
お電話でのご相談(フリーダイヤル・平日9:00〜18:00) 0120-1181-46(イイヘイヨロ)