佐賀県のがけ条例——建築基準法施行条例 第3条

佐賀でがけの近くに家を建てる・買う人へ——最初に答えから。

先にすることは、3つです。がけ条例がかかっても、建てられないと決まったわけではありませんまず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、がけから離す配置や擁壁(ようへき=がけの土が崩れないように留めるコンクリートなどの壁)の費用を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って建築行政の窓口へ、条例の当てはめを確かめる。相談先は、土地のある市町で分かれます——佐賀市なら、佐賀市の建築指導課ほかの19市町は、県の土木事務所です(この記事の窓口の節に表を置きました)。指定確認検査機関(民間の確認検査機関)へ確認申請を出す予定なら、その機関にも相談できます。高さも距離も、目測で判断しないでください。確かめる中身は、この記事の最後の「売買契約の前に、専門家と確かめること」にまとめてあります。

①佐賀の「がけ条例」は、建築基準法施行条例(昭和46年佐賀県条例第25号)の第3条です。②かかるのは、建築物が、高さ2メートルをこえるがけに接し、または近接する場合。③そのとき条文が求めるのは擁壁ではなく、がけの高さの1.5倍以上の水平距離を保つこと。④どこから測るかは、がけの上か下かで入れ替わります——がけの上にあるならがけの下端(かたん=斜面がふもとの地面と接するところ)から、がけの下にあるならがけの上端(じょうたん=斜面が上の平らな地面と接するところ)から。⑤この条例には、がけの勾配(傾き)の数値がありません——高さ2メートルをこえること以外に、条文も県の解説も角度を書いていません。だから、自分では線を引けません。距離が取れなくても、道はあります。第3条第3項第1号——建築物の用途・規模・構造、または擁壁やがけ等の状況により、建築物の安全上支障がない場合には、第1項・第2項を適用しない、と条文が定めています。当てはまれば、第1項の距離の義務も、第2項の「距離を増やす」義務も外れます——第3条については原則として建てられます。⑦土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の中で居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋。住宅なら、ふつう当てはまります)のある建物を建てる場合も、第3条は適用されません(第3項第2号)——ただしこれは「規制が無くなる」という意味ではありません。建築基準法施行令第80条の3の構造規制が別にかかります。⑧急傾斜地崩壊危険区域は、この条例では災害危険区域です(第2条の2第1号)——その中では、住居の用に供する建築物は原則として建築できません(第2条の3第1項)——ただし同項にはただし書があり、災害防止上必要な措置を講ずることにより安全上支障がないと認められる場合は、この限りでないとしています。当てはまるかは、窓口に確かめてください。がけ条例より重い制限です。⑨県内で県の条例が適用されない市町はありません——佐賀市を含めて、県内20市町すべてに第3条がかかります市町が独自に上乗せの条例や要綱を持っていないかは、この記事では当たっていません——市町の担当課にも確かめてください)。条文は2026年9月4日に、佐賀県例規全集の本文と、県が公表している条例の解説(PDF)の2つを突き合わせて確認しました(記事の最後の「確かめきれなかったこと」でも、この順で書いています)。

「がけ条例」の実体は、建築基準法施行条例の第3条です

「がけ条例」という題名の条例はありません。佐賀県では、建築基準法施行条例(昭和46年8月13日 佐賀県条例第25号)の第3条(がけに近接する建築物)がその中身です。題名に「佐賀県」が付きません——例規集での題名は「建築基準法施行条例」だけです。探すときは、佐賀県例規全集の第10編 土木/第6章 建築/第1節 通則の中を見てください。

根拠は建築基準法第40条——その地方の気候・風土の特殊性などにより、法第2章(建築物の敷地・構造・建築設備)の規定やこれに基づく命令の規定だけでは建築物の安全・防火・衛生の目的を十分に達しがたいと認める場合に、地方公共団体が条例で建築物の敷地・構造・建築設備の制限を付け加えられる、という規定です。条例第1条は、この法第40条を含む4つ(ほかに法第39条第1項・第2項、法第43条第3項、法第56条の2第1項)を根拠に挙げています。第3条が置かれているのは、第2章「建築物の敷地及び構造」の先頭です。

都市計画区域の外でも、第3条はかかります

第21条が区域を限っているのは、第4章についてです——条文は「この章の規定は、都市計画区域及び準都市計画区域内に限り、適用する」と書いており、第21条は第4章(建築物の敷地と道路との関係。第21条〜第27条)の中にあります。第3条は第2章(建築物の敷地及び構造)にあります——この区域限定はかかりません。ほかに区域で適用を限る条は、この条例を通して読んだ範囲では見当たりませんでした。つまり都市計画区域の外でも、準都市計画区域の外でも、第3条は働きます。用途地域のない山あいの土地でも、高さと距離の条件に当たれば対象です。

県の「建築基準法に関する取扱い」(8訂版・2026年4月)も、確認申請の扱いについて「確認申請は、都市計画区域内外にかかわらず『敷地』単位とする」と書いています。「市街化区域の外だから関係ない」とは読めません。

どこからが「がけ」か——高さは「2メートルをこえる」。勾配の数値は、条例にありません

(がけに近接する建築物)
第3条 建築物が2メートルをこえる高さのがけに接し、又は近接する場合は、がけの上にあってはがけの下端から、がけの下にあってはがけの上端から建築物との間にそのがけの高さの1.5倍以上の水平距離を保たなければならない。
2 がけの上にある鉄筋コンクリート造等の重量建築物については、前項の数値を安全上支障がない程度に増大しなければならない。
3 前2項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
(1) 建築物の用途、規模及び構造又は擁壁若しくはがけ等の状況により建築物の安全上支障がない場合
(2) 特別警戒区域内において居室を有する建築物を建築する場合

建築基準法施行条例(佐賀県) 第3条

押さえるところは3つあります。①高さは「2メートルをこえる」——2.0メートルちょうどは当たりません(「以上」ではありません)。ただし、ここで外れるのは条例第3条だけです。がけ崩れ等による被害を受けるおそれがあれば、建築基準法第19条第4項の措置は別に残ります(あとの節で読みます)。②「がけ」の勾配の数値が、条文にありません。ほかの条にも定義は置かれておらず、県が公表している「佐賀県建築基準法施行条例の解説」も、第3条について角度を書いていません。③「接し、又は近接する」の主語は「建築物」です——条文は「敷地が」ではなく「建築物が……がけに接し、又は近接する場合」と書いています。

②を、自分で判定しないでください。目の前の斜面が条例のいう「がけ」に当たるかは、条文の数値からは決まりません。測って図にするのは建築士、当たるかどうかを判断するのは、建築行政の窓口か、確認申請を出す先です。「30度より緩いから外れる」と自分で決めないでください——その30度は、佐賀の条例には書かれていません。

手がかりは、県の別の制度のページにあります。県の「がけ地近接等危険住宅移転事業」(2026年5月1日更新)は、対象となる区域のひとつを「建築基準法施行条例に基づき建築を制限している高さ2mを越える自然がけに接している区域」とし、その範囲を「がけの上にある場合は、がけの下端から、がけの下にある場合は、がけの上端から水平距離で、そのがけの高さの1.5倍以内の距離にあり、少なくとも住宅の一部がかかること」と書いています。第3条と同じ起点・同じ1.5倍です。ただし「自然」の限定は、条例の第3条には書かれていません——移転事業の側の対象の切り方です。

かかる範囲は「がけの高さの1.5倍」——起点が、がけの上と下で入れ替わります

がけの上に建てるとき、距離をどこから測るか
がけの上に建てるとき、距離をどこから測るか

言葉を決めておきます。下端(かたん)は、がけの斜面がふもとで下の地面と接するところ。上端(じょうたん)は、がけの斜面が上の平らな地面と接するところです。断面図の上で、どこが下端でどこが上端かが決まります。

がけの下に建てるとき、距離をどこから測るか
がけの下に建てるとき、距離をどこから測るか

そのうえで、条文は起点を「がけの上にあっては」「がけの下にあっては」で分けています。がけの上にあるなら、起点は「がけの下端」がけの下にあるなら、起点は「がけの上端」。言いかえると、起点は、いつも自分がいる側とは反対側の端です。

建築物の位置距離の起点保つ距離
がけのにあるがけの下端からがけの高さの1.5倍以上
がけのにあるがけの上端からがけの高さの1.5倍以上

起点を取り違えると、保つべき距離を誤って見積もります。がけの上にあるときの起点は、手前の上端ではなく反対側の下端です——ですから斜面の水平幅も、この水平距離に算入されます。手前の上端から3メートル空けたつもりでも、下端から測る距離は「上端からの距離+斜面の水平幅」になるだけなので、がけが高いと足りていないことがあります——たとえば高さ4メートル・斜面の水平幅2メートルのがけなら、必要なのは下端から6メートル(1.5倍)。上端から3メートルは下端から5メートルにしかならず、足りません。逆に、斜面の水平幅が長ければ、1.5倍の線が斜面の途中で終わることもあります。高さ2メートルを少しこえるがけなら下端から3メートルあまり、高さ5メートルのがけなら下端から7.5メートルです。どちらに転ぶかは、現況の測量図と断面図の上でしか決まりません。

どこまでを測るかは、県の解説が図で示しています。解説の図1は、水平距離の測り方を「外壁または柱の外面までの距離とする」と注記しています。基礎や庇の先ではなく、外壁面(壁が無いなら柱の外面)まで、ということです。これは条文ではなく、県の解説の図の注記です——申請先が同じ取り方をするかは、申請先に確かめてください。

義務の形は「離す」です——擁壁は、義務が外れる道のひとつ

条文が命じているのは「水平距離を保たなければならない」です。「擁壁を設けなさい」とは書いていません。擁壁は、第3条第3項第1号の中に「擁壁若しくはがけ等の状況により」という形で出てきます——擁壁を設ければ、第1号に当たり得ます——義務そのものではなく、義務が外れる側の手がかりとして置かれています。

だから、読む順番はこうなります。①まず、1.5倍の距離を取れるか取れれば第3条第1項に適合します。②取れないなら、第3項第1号に当てはめる——建築物の用途・規模・構造、または擁壁やがけ等の状況により、建築物の安全上支障がないと認められること。③どちらにも当てはまらないときは、その配置案では第3条に適合しません——配置を変える、擁壁を設ける、建物の構造を変える余地は残ります。

第3項第1号——「安全上支障がない」と認められるとき

条文が挙げているのは、建築物の用途、規模及び構造と、擁壁若しくはがけ等の状況の2系統です。建物の側から確かめる道と、がけの側から確かめる道の、両方があります。擁壁を設けてがけの状況を変えるのは後者、建物の構造を変えるのは前者です。

安全上支障がないと認められれば、第1項の距離の義務も、第2項の「距離を増やす」義務も外れます(第3項は「前2項の規定は」と書いています)——第3条については原則として建てられます。条件は、それを確かめるのが読者ではないことです——調べて図にするのは地盤調査と建築士、当てはめを判断するのは申請先です。災害危険区域・土砂災害の区域・法第19条第4項は、別に確認してください。

条例には、どう確かめれば「支障がない」と認められるかの基準がありません。県の解説にも、切土の勾配の表や土質の区分は置かれていません。だから、何をそろえれば通るかは、申請先に先に聞いてください——設計に入ってから聞くと、やり直しになります。県の解説は、災害危険区域の第2条の3第1項について「設計者において、安全性支障がない証明を提出してください」と書いています。これは第2条の3についての記述ですが、証明を出すのは設計者だという役割の分け方は、第3条を考えるうえでも参考になります。

第2項——がけの上の重い建物は、距離を「増やす」ことになります

第2項は、がけの上にある鉄筋コンクリート造等の重量建築物について、第1項の数値を安全上支障がない程度に増大しなければならないと定めています。1.5倍が上限ではありません。建物が重ければ、1.5倍より広く取ることになります。

どこまで増やすかの数値は、条文にありません。「安全上支障がない程度に」としか書かれておらず、県の解説も倍率を示していません。ここも、設計者と申請先が決めるところです。なお、第2項は第3項第1号・第2号に当たれば適用されません——第3項は「前2項の規定は」と書いており、第1項と第2項の両方を外します。

土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)——居室のある建物なら第3条は外れますが、令第80条の3の構造規制が来ます

名前のよく似た2つを分けておきます。土砂災害警戒区域(イエロー)と土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は、「特別」の2字しか違いませんが、別のものです。この記事で「レッドゾーン」と書くのは、「特別」が付くほうだけです。条例第2条の3第3項は、レッドゾーンを「特別警戒区域」と呼んでおり、第3条第3項第2号もその呼び方を引き継いでいます。県は2025年5月20日現在で、土砂災害警戒区域12,909、うち特別警戒区域11,617を指定しています(内訳は土石流3,473・2,925、急傾斜地の崩壊9,089・8,692、地滑り347・0)。指定に係る公示図書(区域範囲を図示したものなど)は、佐賀県河川砂防課及び各土木事務所で閲覧できます。

第3条第3項第2号は、特別警戒区域内において居室を有する建築物を建築する場合には、第1項・第2項を適用しないと定めています。居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋。住宅なら、ふつう当てはまります)のある建物なら、レッドゾーンの中では1.5倍の距離を保つ義務が外れます。逆に、居室のない建物(倉庫や車庫など)は、この第2号に当たりません——レッドゾーンの中でも、第3条第1項の1.5倍の距離の義務は残ります。

ここが、いちばん誤って安心しやすいところです。「レッドゾーンなら条例が外れる」は、規制がゆるくなるという意味ではありません。県の解説は、第3条第3項第2号にこう注記しています——「適用されませんが、この場合、令第80条の3、平13国交告第383号を遵守する必要があります」。距離の義務が、建物の構造の義務に置き換わるのです。

その建築基準法施行令第80条の3は、レッドゾーン内で居室を有する建築物を建てる場合に、外壁及び構造耐力上主要な部分(土石等の高さ等以下で、衝撃が作用すると想定される部分。条文は「外壁等」と呼びます)を、知事が定めた最大の力の大きさ等と土石等の高さ等に応じて、想定される衝撃が作用しても破壊を生じないものとして国土交通大臣が定めた構造方法にするよう求めています。ただし書は、土石等の高さ等以上の高さの門または塀(外壁等と同等以上の耐力を有するものとして大臣が定めた構造方法によるものに限る)を、衝撃を遮るように設ければ、この限りでないとしています。大臣が定めた構造方法が、県の解説がいう平成13年国土交通省告示第383号です。

もうひとつ、手続きの上でも変わります。土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第25条により、レッドゾーン内の居室を有する建築物は、都市計画区域の外でも建築確認の対象になります(建築基準法第6条第1項第1号・第2号に当たるものは、もともと対象です)。「確認は要らない土地だと思っていた」が通りません。

自分の土地がどちらかは、目で見ても分かりません。どちらでもないこともあります。県は、地理情報システム「安図くん」(あんずくん)で位置を確かめられると案内し、調べたい特別警戒区域内の範囲をクリックすると「公示図書」のボタンが表示されると書いています。同時に県は、最新の情報については反映されていない場合があるので管轄の土木事務所管理課に尋ねるように、とも断っています。土地を買う前なら、不動産会社にも「この区域に入るか」を確かめてください。レッドゾーン内の居室を有する建築物について、令第80条の3に対応する2つの方法——外壁等を所定の構造にするか、土石等の高さ等以上の高さの門・塀を衝撃を遮るように設けるか——と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。

許可を受けた工事でできたがけを、第3条の外に置く定めはありません

第3条には、宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)や都市計画法の許可を受けた工事として造られたがけを、第3条の外に置く定めがありません。第3条が見るのは、いま目の前にあるがけとの距離と、第3項第1号の「安全上支障がない」に当たるかです。許可を受けて造成された宅地の擁壁でも、それだけで外れるのではなく、その擁壁を含めた状況で安全上支障がないと認められるかを確かめることになります。すでにある擁壁については、いつ・どの許可(または確認)で造られたかを、設計者に確かめてもらってください。

擁壁そのものを造るときの手続きも、別にあります。建築基準法第88条第1項は、政令で指定する工作物について法の規定を準用しており、県の「建築基準法に関する取扱い」は、擁壁の申請の単位を「異なる構造種別の擁壁が混在する場合や、同じ構造でも独立している場合は別々に申請する」「基礎を共有している擁壁は1つの申請とする」と整理しています。また、現場打ちの鉄筋コンクリート造擁壁と、宅地造成及び特定盛土等規制法施行令第17条に基づく国土交通大臣認定を取得した既製品の鉄筋コンクリート造擁壁は、構造種別が異なるものとして扱うとも書いています。擁壁の申請が何件になるかで、費用と日数が変わります。

盛土規制法の側は、佐賀県では令和8年(2026年)1月5日から規制区域の運用が始まっています。県のページ(2026年8月21日更新)は、主に山間部・傾斜部を「特定盛土等規制区域」に指定(とくていもりどとうきせいくいき=盛土等の工事に許可や届出が要る区域)しており、「宅地造成等工事規制区域」の指定はありませんと書いています。区域の中では、一定規模以上の盛土等は原則として許可や届出が必要です——県は「令和8年1月5日(運用開始日)以降、一定規模以上の盛土・切土や一時的な土石の堆積に関する工事を行う場合は、あらかじめ許可申請(法第30条第1項)又は届出(法第27条第1項)を行う必要があります」と案内しています。規模の線引きは県の図表にありますので、当たるかどうかは窓口に確かめてください。また県は、確認申請について「盛土規制法第30条第1項及び第35条第1項は建築基準関係規定であることから、適合性を確認する必要があります」と案内しています。がけの工事に許可が要るかどうかは、条例第3条とは別の話です——窓口は市町で分かれます。県は、佐賀市・鳥栖市・伊万里市・大町町・玄海町を除く15市町に受付業務の権限を移譲しており、工事箇所がその15市町にあるならその市町の窓口へ、それ以外の5市町なら県の建設・技術課 盛土担当へ申請書等を提出するよう案内しています。

罰金の名宛人は原則、設計者。違反建築物には、建築主・所有者らへ除却等の是正命令が出ることがあります

第32条 第2条の3、第3条第1項、第6条から第16条の2まで(第16条の3においてこれらの規定を準用する場合を含む。)、第16条の4、第18条から第20条まで、第22条、第23条、第24条第1項若しくは第2項、第25条第1項若しくは第2項(第16条の3においてこれらの規定を準用する場合を含む。)、又は第26条第1項若しくは第2項(第27条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定に違反した場合における当該建築物、工作物又は建築設備の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物、工作物又は建築設備の工事施工者)は、20万円以下の罰金に処する。
2 前項に規定する違反があった場合において、その違反が建築主、工作物の築造主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主、築造主又は設置者に対して同項の刑を科する。

建築基準法施行条例(佐賀県) 第32条

並んでいるのは「第3条第1項」です。第3条第2項(重量建築物の距離を増やす義務)は、この罰則の列挙に入っていません。罰則の名宛人(なあてにん=この罰則を受ける人)は原則、設計者——設計図書を用いずに、または設計図書に従わずに工事を施工した場合は工事施工者です。刑は20万円以下の罰金です。第2項は、その違反が建築主・工作物の築造主・建築設備の設置者の故意によるものであるときは、設計者または工事施工者を罰するほか、建築主等にも同じ刑を科すると定めています。

第33条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して、前条の違反行為をした場合においては、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して前条の刑を科する。ただし、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し、相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があったときは、その法人又は人については、この限りでない。

建築基準法施行条例(佐賀県) 第33条

第33条は両罰規定です——行為者を罰するほか、その法人または人にも第32条の刑を科します。ただし書の免責には、範囲があります。免責されるのは、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の違反行為について、防止のため相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があったときです。法人の代表者自身の違反は、このただし書に含まれていません——条文が「代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため」と書いているからです。

仮設の建築物についても、定めがあります。第29条は、第2章・第3章・第4章及び第4章の2の規定は、法第85条第6項の規定による許可を受けた仮設興行場等については、適用しないとしています。第3条は第2章にありますので、法第85条第6項の許可を受けた仮設興行場等には、第3条はかかりません。第28条には緩和の定めもあり、法第3条第2項によりこの条例の適用を受けない建築物について増築・改築・移転・大規模の修繕・大規模の模様替えをする場合に、特定行政庁(とくていぎょうせいちょう=建築確認や是正命令を受け持つ役所の長。あとの窓口の節で読みます)が建築物及び敷地の状況によりやむを得ないと認めるものについては、この条例の制限を緩和することができるとしています。これは特定行政庁が認めたときの話で、自分で当てはめて外せるものではありません。

是正命令は、建築主・所有者などが相手方になり得ます(法第9条第1項)

罰金の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、建築主、工事の請負人(下請人を含みます)、現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者に対して、工事の施工の停止を命じ、または相当の猶予期限を付けて除却(じょきゃく=取り壊し)・移転・改築・使用禁止その他の是正に必要な措置を命ずることができる、と定めています。故意は要件ではありません。設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていませんが、設計者が現場管理者を兼ねていれば名宛人になり得ます。命令に違反した場合は、建築基準法第98条第1項第一号により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。

この記事が扱っているのは、これから建てる場合です(新築・増築・改築・移転)。すでに建っている家をがけから離す・建て替えることについては、県が「がけ地近接等危険住宅移転事業」を案内しています(県のページの更新日は2026年5月1日)。対象は、①この条例に基づき指定された急傾斜地崩壊危険区域等の災害危険区域(指定の日以前に建築された住宅に限る)、②この条例に基づき建築を制限している高さ2メートルを越える自然がけに接している区域(がけの上なら下端から、下なら上端から水平距離で1.5倍以内にあり、少なくとも住宅の一部がかかるもの。県の案内は「条例が施行された昭和46年8月13日以前に建築された住宅に限ります」としています。この日付は、県の資料どうしで食い違っています——8月13日は条例の公布日で、条例の附則が定める施行日は同年11月1日です。この記事では、どちらかに決めることはしません。対象になる建築の時期は、実施する市町に確かめてください。)、③土砂災害特別警戒区域(指定の日以前に建築された住宅に限る)の3つです。3つに共通する条件として、県は対象となる住宅を「地すべり等の防止に関する防災工事が施されていないこと」としています。①②③のどれも、建築の時期に限りがあります——新しい住宅は対象になりません。建物助成費は、建設費そのものではなく利子補助です——県の表では、金融機関等からの借入金の利子に相当する額が補助対象経費とされています。そのうえで補助の限度額は、県の表では除却費等費(危険住宅の除却等に要する費用)が97万5千円建物助成費住宅建設費325万円土地取得費96万円敷地造成費は限度額の記載なしで、括弧書きの465万円・206万円・60万8千円急傾斜地崩壊危険区域及び出水による災害危険区域人家が10戸未満の場合の限度額です。建物助成費の補助対象経費は、県の表では新たな住宅の建設又は購入(これに必要な土地の取得を含む。)のために金融機関等から借り入れた場合の借入金利子(年利率8.5%を限度)に相当する額とされています。事業主体は市町です——国が2分の1、県が4分の1、市町が4分の1を負担します。県は「市町によっては、本制度を実施していない場合があります」「市町によっては、限度額が上記と異なる場合があります」と断っています。お住まいの市町の担当課に確かめてください。

第3条の距離の義務が外れても、がけ崩れ等による被害のおそれがあれば建築基準法第19条第4項の措置が要ります

4 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。

建築基準法 第19条第4項

この規定は、県内のどこでも働きます(法第85条の応急仮設建築物など、法が適用されない場合を除きます)。条例の第3条に当たらない土地でも、がけ崩れ等による被害を受けるおそれがあるなら、擁壁の設置その他安全上適当な措置が要ります。求められているのは擁壁だけではなく、「その他安全上適当な措置」を含みます。「2メートルをこえないから何もしなくてよい」とは読めません。高さ2.0メートルちょうどのがけも、第3条からは外れますが、この第19条第4項からは外れません。おそれの有無も、どの措置で足りるかも、読者は決められません——がけと地盤を調べて図にするのは建築士等、当てはめを判断するのは所管の建築行政の窓口と申請先です。

擁壁を工作物として造るときは、建築基準法施行令第138条第1項第5号に該当する高さ2メートルを超える擁壁については、同令第142条第1項が道を2つ書いています。ひとつは、同項各号に掲げる基準に適合する構造方法——鉄筋コンクリート造、石造その他これらに類する腐食しない材料を用いた構造とすること、擁壁の裏面の排水をよくするため、水抜穴を設け、かつ、その周辺に砂利などを詰めること、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算で安全性を確かめること、などです。もうひとつは、これと同等以上に擁壁の破壊及び転倒を防止することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法。条文はこの2つを「又は」でつないでいます——大臣が定めた構造方法でなければならない、ではありません。どちらの道を使うかは、擁壁の設計を頼む建築士に確かめてください。

佐賀市も、県の条例の第3条です——県内20市町すべてにかかります

この条例には、建築主事を置く市町村の区域には適用しない、という条がありません。条例を通して読んだ範囲では、区域や市町で適用を外す定めは見当たりませんでした。佐賀県内で建築主事を置き、特定行政庁になっているのは佐賀市だけですが、その佐賀市にも第3条はかかります。

佐賀市も、自分のページでそう書いています。市の「建築基準法に関連する例規及び設計に用いる数値について」(2026年6月23日更新)は、佐賀県建築基準法施行条例について「佐賀市内の建築物又はその敷地等においてもこの条例に基づく規制がかかりますので、建築基準法に基づく手続き等を行う際には内容の確認をお願いします」と案内しています。市の佐賀市建築基準法施行細則(平成17年10月1日 規則第167号)も、第1条で建築基準法・同施行令・同施行規則及び建築基準法施行条例(昭和46年佐賀県条例第25号)の施行に関し必要な事項を定めると書いています。

佐賀市が自前で定めている建築の条例は、がけのものではありません。市のページに並んでいるのは、佐賀市特別用途地区建築条例(法第49条第1項)、佐賀市特別工業地区条例(法第49条第2項・第50条)、佐賀市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例(法第68条の2第1項)です——いずれも法第40条の条例ではなく、がけからの距離を定めるものでもありません。この記事が当たったのは、市のこのページと市の細則までです。

ほかの19市町については、市町独自のがけの条例があるかを、この記事では当たっていません。19市町は建築主事を置いていないので、条例の当てはめを相談する窓口は県の土木事務所です。その市町の建築や都市計画の担当課にも、独自の定めが無いかを確かめてください。

災害危険区域——急傾斜地崩壊危険区域は、この条例では災害危険区域です

(災害危険区域の指定)
第2条の2 法第39条第1項の規定による災害危険区域は、次の各号に掲げる区域とする。
(1) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の規定に基づき指定された急傾斜地崩壊危険区域
(2) 前号の急傾斜地崩壊危険区域に隣接する区域で急傾斜地の崩壊による危険の著しい区域につき関係市町長の意見をきき知事が告示で指定する区域
(3) 前各号に定める区域を除くほか、津波、高潮、出水、地すべり等による危険の著しい区域につき関係市町長の意見をきき知事が告示で指定する区域

建築基準法施行条例(佐賀県) 第2条の2

建築基準法第39条第1項は、地方公共団体が条例で津波・高潮・出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定できると定め、同条第2項は、その区域内での住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、その条例で定めるとしています。佐賀県の条例は、第1号で、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第3条第1項により指定された急傾斜地崩壊危険区域を、そのまま災害危険区域にしています。知事の告示による別の指定を待たずに、急傾斜地崩壊危険区域に指定された時点で、災害危険区域になります。

(災害危険区域内における建築物の建築の制限)
第2条の3 災害危険区域内においては、住居の用に供する建築物は、建築してはならない。ただし、災害防止上必要な措置を講ずることにより安全上支障がないと認められる場合は、この限りでない。
2 災害危険区域内においては、居室を有する建築物(住居の用に供するものを除く。)を建築する場合は、特定主要構造部を鉄筋コンクリート造又はこれに準ずる構造とし、かつ、災害危険区域内における災害に対し安全な構造としなければならない。ただし、災害危険区域の状況等により当該建築物が被害を受けるおそれがない場合は、この限りでない。
3 前2項の規定は、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第9条第1項の規定により指定された土砂災害特別警戒区域(以下「特別警戒区域」という。)については、適用しない。

建築基準法施行条例(佐賀県) 第2条の3

この第2条の3第1項は、第3条より重い制限です。第3条第1項は距離を保てば適合しますが(がけの上の重量建築物には、第2項による距離の増大が別に要ります)、第2条の3第1項は住居の用に供する建築物そのものを禁じています。ただし書は、災害防止上必要な措置を講ずることにより安全上支障がないと認められる場合は、この限りでないとしています。県の解説は、この場合について「設計者において、安全性支障がない証明を提出してください」と書いています。原則は禁止で、証明を出して初めてただし書に入る、という順番です(第2条の3第1項)。

第2項は、住居以外で居室を有する建築物についての定めです——住宅を建てる方には、この項はかかりません(住居は第1項です)。第2項は、特定主要構造部(とくていしゅようこうぞうぶ)を鉄筋コンクリート造又はこれに準ずる構造とし、かつ災害危険区域内における災害に対し安全な構造とするよう求めています。ただし書は、区域の状況等により被害を受けるおそれがない場合は、この限りでないとしています。県の解説は、第2項が「住居の用に供するもの」を除いている理由を「第1項の規定を受けるため」と説明しています。なお特定主要構造部は、主要構造部の全部と同じ意味ではありません——壁・柱・床・はり・屋根・階段のうち、防火上及び避難上支障がないものとして政令で定める部分を除いた部分です(建築基準法第2条第9号の2イ)。

第3項は、第1項と第2項を、レッドゾーンについては適用しないとしています。ここも誤って安心しやすいところです。県の解説は「土砂災害特別警戒区域内にある災害危険区域は、上記1)と2)は適用されません」と書いたうえで、「この場合、令第80条の3、及び平13国交告第383号の規定を遵守する必要があります」と続けています。禁止が外れる代わりに、建物の構造の義務が来ます。

第2号・第3号の指定の状況は、県の解説が書いています。第2号(急傾斜地崩壊危険区域に隣接する区域)は、「これまでに指定している区域はありません」第3号は15か所で、内訳は伊万里市(出水1・地すべり1)、玄海町(地すべり1)、唐津市(出水1)、唐津市の旧肥前町(地すべり1)、多久市(出水1)、神埼市の旧背振村(出水5)、神埼市の旧神埼町(出水1)、吉野ヶ里町(出水2)、武雄市の旧山内町(地すべり1)です。どれもがけ崩れではなく、出水と地すべりです。県の解説は、詳しくは管轄の土木事務所建築課(伊万里土木事務所については管理課建築担当)に尋ねるよう案内しています。

第1号の急傾斜地崩壊危険区域は、これとは別に、県内に多数あります。県の解説は箇所数を挙げず、「区域の確認につきましては管轄の土木事務所管理課までお尋ねください」としています。この記事では、県内の指定箇所数を確かめられませんでした。区域の中では、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第7条第1項により、のり切・切土・掘さく・盛土・立木竹の伐採などに知事の許可が要ります。建築の窓口と、砂防の窓口の、2つを回ることになります。

窓口は、佐賀市の建築指導課と、県の5つの土木事務所に分かれます

特定行政庁(とくていぎょうせいちょう)は、役所ではなく人です——建築主事または建築副主事を置く市町村の区域ではその市町村長、それ以外の区域では都道府県知事をいいます(建築基準法第2条第35号)。同号にはただし書があり、法第97条の2第1項若しくは第2項または法第97条の3第1項若しくは第2項の規定により建築主事等を置く市町村の区域内の政令で定める建築物については都道府県知事が特定行政庁です(法第97条の3は特別区に関する規定なので、佐賀県内では働きません)。佐賀県内なら、佐賀市長か、佐賀県知事です。

県が公表している窓口の一覧(2026年8月3日更新)は、次のとおりです。一覧に「限定特定行政庁」(受け持つ建築物の種類が限られる特定行政庁)の記載はありません——県のページにも佐賀市のページにも、限定である旨の注記は見当たりませんでした。県内20市町のうち、市長が特定行政庁なのは佐賀市だけです。

申請窓口所管する市町電話
佐賀市都市戦略部 建築指導課(佐賀市栄町1-1)佐賀市0952-40-7171
佐賀土木事務所 建築課(佐賀市八戸2-2-67)小城市・多久市0952-24-4369
東部土木事務所 建築課(鳥栖市元町1234-1)鳥栖市・基山町・上峰町・みやき町・神埼市・吉野ヶ里町0942-83-4398
唐津土木事務所 建築課(唐津市二タ子3-1-5)唐津市・玄海町0955-73-2865
伊万里土木事務所 管理課(伊万里市新天町122-4)伊万里市・有田町0955-23-4721
杵藤土木事務所 建築課(武雄市武雄町昭和265)武雄市・大町町・江北町・白石町・鹿島市・嬉野市・太良町0954-22-4185

窓口の時間に、注意が要ります。県は令和7年4月1日から、各土木事務所の建築課および管理課建築担当の窓口対応時間を「9時00分~12時00分、13時00分~15時00分」に変更しました(対象は佐賀・東部・唐津・伊万里・杵藤の5つ。佐賀市は対象外です)。県は「現場検査、調査等により担当者が不在の場合もありますので、あらかじめ電話にてご予約をお願いします」と案内しています。ふらりと行って相談できるとは限りません——電話で予約してから行ってください。県は、電話相談も窓口対応時間内にするよう求めています。

民間の指定確認検査機関へ出す道もあります。県の一覧も「民間の指定確認検査機関への申請も可能です」と書いています。ただし条例の当てはめの相談は、特定行政庁の窓口が受けます——県の一覧の表は「特定行政庁の窓口です」と注記されています。

確認申請にがけの断面図を求める規定は、県と佐賀市の細則には見当たりません

建築基準法施行細則(佐賀県)と佐賀市建築基準法施行細則を「がけ」「崖」「断面図」で通して見ましたが、がけの断面図を確認申請に添えるよう求める規定は、どちらにも見当たりませんでした。県の「建築基準法に関する取扱い」(8訂版)と佐賀市追補版にも、確認申請にがけの断面図を求める項目はありませんでした。ただし県の8訂版には、道路の幅員の取り方についての「崖地の高さについて」という項があります(法第42条の項)——「崖とみなす(2mを超える)場合」は「崖と道路の境界から一方後退」とされています。条例第3条とは別の話ですが、道路に接して高さ2メートルを超える崖があるなら、この項に当たるかどうかを、あわせて窓口に確かめてください。佐賀市追補版には、この項はありません。

だからといって、図面が要らないわけではありません。第3条は距離で決まる規定で、その距離は現況の測量図と断面図の上でしか確かめられません。何を出せばよいかは細則に書かれていないので、窓口に先に聞いてください。県は、令和7年4月1日以降の確認申請に添えるチェックリストを公表しており、そこに何を求めているかも、あわせて確かめられます。

売買契約の前に、専門家と確かめること

この表は、自分で判定するためのものではありません——測って図にするのは建築士、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口です。個別の判断は、建築士と窓口にご確認ください。

  • ①その土地の建築確認を扱うのは、佐賀市か、県の土木事務所か。指定確認検査機関に出す予定なら、その機関へも。行く前に電話で予約を
  • ②敷地の中や隣に、高さ2メートルをこえるがけがあるか。目測ではなく、現況の測量図と断面図で勾配の数値は条例にないので、当たるかどうかは窓口に
  • ③建てる位置が、がけの高さの1.5倍の範囲に入るか。起点は、がけの上なら下端、がけの下なら上端。県の解説の図は、外壁または柱の外面までを測るとしています
  • ④建てるのががけの上の鉄筋コンクリート造等の重量建築物なら、1.5倍より広く取ることになります(第3条第2項)。どこまで増やすかは設計者と窓口に
  • ⑤距離が取れないなら、第3条第3項第1号の「安全上支障がない」に当てはめられるか。何をそろえれば認められるかは条例にも解説にも基準がないので、申請先に先に聞く
  • ⑥すでに擁壁があるなら、いつ・どの許可(または確認)で造られたか。確認済証・検査済証・開発検査済証が残っているか。設計者による安全性の判断が要ります
  • 売主に、擁壁の書類が残っているかを聞く。契約後でも確認はできますが、購入判断や価格交渉に反映するため、契約の前に聞いてください
  • ⑧その土地が急傾斜地崩壊危険区域に入っていないか。入っていれば、この条例では災害危険区域で、住居の用に供する建築物は原則として建築できません(第2条の3第1項)——ただし書に当たれば第2条の3第1項については原則として建てられますので、当てはまるかを窓口で確かめる。住居以外で居室のある建物には、第2項の構造の義務があり、レッドゾーンの中なら第3項で第1項・第2項が外れて令第80条の3が来ます——土木事務所管理課で
  • ⑨その土地が土砂災害警戒区域(イエロー)・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に入っていないか。安図くんで位置を見て、公示図書(区域範囲を図示したものなど)と土木事務所管理課で確かめる
  • ⑩レッドゾーンの中で居室のある建物を建てるなら、第3条は外れますが、令第80条の3の構造規制が来ます(平成13年国土交通省告示第383号)。居室のない建物は、第3条の1.5倍が残ります
  • ⑪県が指定する第3号の災害危険区域に入っていないか、最新の指定を窓口で確かめる——土木事務所建築課で。参考までに、県の解説(最終改正 令和6年4月1日)では15か所(伊万里市・玄海町・唐津市・多久市・神埼市・吉野ヶ里町・武雄市の一部)ですが、いまも同じかは、この記事では確かめていません
  • ⑫盛土や切土を伴うなら、盛土規制法の特定盛土等規制区域に入っていないか(令和8年1月5日から運用)。確認申請では、盛土規制法第30条第1項・第35条第1項への適合が確かめられます
  • ⑬第3条の距離の義務が外れても、がけ崩れ等による被害のおそれがあれば、建築基準法第19条第4項の措置が別に要ります高さ2.0メートルちょうどのがけも、第19条第4項からは外れません
  • すでに家が建っているなら、県の「がけ地近接等危険住宅移転事業」が使えるかを、実施する市町に聞く——対象になる建築の時期に限りがありますので、新しい住宅は対象になりません

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、がけから離す配置や擁壁の費用を、土地の値段に織り込みにくくなります。すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に。がけの高さと、がけからの距離は、現況の測量図と断面図がないと自分では判断できません——測量と図面は建築士に、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口に、お尋ねください。どれくらい日数がかかるかは、がけの状態と計画で変わりますので、この記事では示せません。建築士と窓口に、最初に「いつごろ答えが出るか」を聞いてください——それが分かって初めて、売買契約の日取りを動かせます。

擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(条例の第3条の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。

出典

確かめきれなかったこと

条文は2026年9月4日に、佐賀県例規全集の本文と、県の「佐賀県建築基準法施行条例の解説(抄)」(PDF)の2つを突き合わせて確認しました。第3条の文言は両者で一致しています(数字の表記だけが、例規集は「2メートル」「1.5倍」、解説は「二メートル」「一・五倍」です)。法律・政令は同じ日にe-Gov法令検索で、県の取扱い・窓口一覧・土砂災害の指定状況・盛土規制法の運用・移転事業のページ、佐賀市の例規のページと市の細則は、同じ日にそれぞれの公表元で読みました。そのうえで、確かめきれていないことが7つあります。

  • ひとつ、「がけ」の勾配について、県が内部で用いている運用基準があるか——県の条例・解説・取扱い、佐賀市の例規のページと細則・追補版を見た範囲では見当たりませんでしたが、窓口の運用まで当たったわけではありません
  • ふたつ、第3条第3項第1号の「安全上支障がない」に当たるかの判断基準——切土の勾配の表や土質の区分など、当てはめの目安は、当たった資料の中に見当たりませんでした
  • みっつ、佐賀市以外の19市町に、独自のがけの条例や指導要綱があるかは当たっていません。読んだのは佐賀市の例規のページと市の細則だけです
  • よっつ、県内の急傾斜地崩壊危険区域の指定箇所数は、県の公表物では確かめられませんでした(区域ごとの確認は土木事務所管理課へ、と案内されています)
  • いつつ、県の解説が挙げる第3号の災害危険区域15か所が、いまも同じかは、県の告示までは当たっていません。解説の最終改正は令和6年4月1日です——締めの一覧では、市町名は参考にとどめました——最新の指定は窓口で確かめてください
  • むっつ、市町が法第39条に基づく独自の災害危険区域の条例を持っているかは当たっていません
  • ななつ、県が公表している条例のPDF版——条例本文そのもののPDFは県のページで見つけられず、例規全集の本文と解説(抄)の引用文で突き合わせました

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