滋賀県大津市のがけ条例——大津市建築基準条例 第2条

大津市で、がけの近くに家を建てる・土地を買う人へ——最初に答えから。

先にすることは、3つです。がけの規定がかかっても、建てられないと決まったわけではありません。まず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、擁壁(ようへき=がけの土が崩れないよう支える壁)の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って大津市の建築指導の窓口へ、条例の当てはめを確かめる。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。確かめる中身は、この記事の最後の「売買契約の前に、専門家と確かめること」にまとめてあります。

その土地は大津市内ですか。はい=大津市建築基準条例 第2条です滋賀県建築基準条例は適用されません(同条例第36条の2第1項)。②大津市の第2条は、居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)を有する建築物が高さ2メートルを超えるがけに近接する場合に、がけの上にあってはがけの下端(かたん=斜面の低いほうの足元)から、がけの下にあってはがけの上端(じょうたん=斜面の高いほうの縁)から、建築物との間にがけの高さの2倍以上の水平距離を保たなければならないと定めています。③義務の形は「擁壁を設けなさい」ではなく「離しなさい」です——2倍以上あければ、第2条第1項については原則として建てられます。④離せないときは、第1項ただし書の2つの号か、がけの下に建てる場合の第2項の4つの号のどれかに当たれば、第1項は適用されません。⑤ただし、災害危険区域レッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)・イエローゾーン(土砂災害警戒区域)・建築基準法第19条第4項は、別に残ります。(条例は2026年9月5日に大津市例規集の現行条文で確認しました)。

大津市内なら、大津市建築基準条例 第2条です

「がけ条例」という名前の条例はありません。大津市では、建築基準法第40条などに基づく大津市建築基準条例の第2条(がけに近接する建築物)が、がけに近い建築物の決まりです。滋賀県建築基準条例(昭和47年3月30日滋賀県条例第26号)は、大津市の区域では適用されません——同条例第36条の2第1項が、市の名前を名指しして外しています括弧書きも、ただし書もありません——外れるのは条例全体です。規制が無くなるのではなく、読む条例が入れ替わります。大津市内の土地について調べるときは、大津市の条文の数字で読んでください。

(適用除外)
第36条の2 この条例の規定は、大津市の区域においては、適用しない。

滋賀県建築基準条例 第36条の2第1項

(がけに近接する建築物)
第2条 居室を有する建築物が高さ2メートルを超えるがけ(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地で、硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外のものをいう。以下同じ。)に近接する場合には、がけの上にあってはがけの下端から、がけの下にあってはがけの上端から、当該建築物との間に当該がけの高さの2倍以上の水平距離を保たなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

大津市建築基準条例 第2条第1項(本文)

どこからが「がけ」か——30度超・高さ2メートル超。硬岩盤を除く定めがあります

大津市の条文は、「がけ」を「地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地で、硬岩盤(こうがんばん=かたい岩の地盤。風化の著しいものを除く。)以外のもの」と定義し、そのうえで高さ2メートルを超えるものを第2条第1項の対象にしています。30.0度ちょうど・2.0メートルちょうどは、当たりません(条文はどちらも「超える」です)。

大津市の定義には、硬岩盤を「がけ」から除く定めがあります。ただし「風化の著しいものを除く」という括弧書きが付いています——硬岩盤であっても、風化が著しければ「がけ」に当たり得ます。そして、硬岩盤かどうか・風化が著しいかどうかを、読む人が自分で決めることはできません。土質の見分けは地盤の調査と建築士の判断で、その当てはめは市の窓口です。「うちは岩だから大丈夫」で終わらせないでください。

もうひとつ、大津市の条文には対象の限定があります。第1項が対象にしているのは「居室を有する建築物」です。居室とは、居住・執務・作業などに継続して使う部屋のことで、納屋・車庫・物置だけの建物には、第1項の距離の義務はかかりません。ただし建築物の一部に居室があれば、その建物は「居室を有する建築物」です——車庫の上に部屋を載せる計画は、居室を有する建築物です。

条文は自然のがけと人の手でできた斜面を区別していません。切土や盛土でできた斜面も、角度と高さが当てはまれば「がけ」です。敷地の中にあるか外にあるかも限っていません——隣地や道路の向こう側のがけでも、距離が当てはまれば規定はかかります。

距離の起点は、がけの上に建てるなら下端、がけの下に建てるなら上端です

がけの上に建てるとき、距離をどこから測るか
がけの上に建てるとき、距離をどこから測るか

条文は、「がけの上にあってはがけの下端から、がけの下にあってはがけの上端から」と書いています。起点が入れ替わります。たとえば高さ4メートルのがけなら、どちらの場合も8メートル以上を保つのが原則です。どちらの端が起点かを図面で決めることが、最初の山場になります。

がけの下に建てるとき、距離をどこから測るか
がけの下に建てるとき、距離をどこから測るか

そして、条文が求めているのは「保つ」ことです。「2倍以内なら擁壁を設けなさい」という書き方ではありません。2倍以上の水平距離を保てば、それで第1項は満たします。擁壁が出てくるのは、離せないときに使うただし書の第2号のほうです。

2倍以上離せば、第2条第1項については原則として建てられます

いちばん素直な道は、離すことです。がけの高さの2倍以上の水平距離を保てば、第2条第1項については、原則として建てられます「原則として」と書くのには、理由があります——これは第2条第1項の義務を満たすという意味で、建築基準法第19条第4項、災害危険区域、土砂災害の区域は、別に確認してください。

敷地が狭くて離せないときの道も、条文に用意されています。第1項ただし書に2つ、そしてがけの下に建てる場合について第2項に4つ、合わせて6つの出口があります。どれも「認められる」ことが要件なので、設計者が資料で示し、窓口や審査で確かめられます。

第1項ただし書は2つ——形状・土質か、擁壁その他の措置か

  • 第1号(形状・土質)——がけの形状又は土質により当該建築物の安全上支障がないと認められる場合条文は、どの土質なら何度まで、という表を持っていません。「安全上支障がない」ことを示す資料は設計者の側が用意します
  • 第2号(擁壁その他の措置)——がけに擁壁の設置その他の当該建築物の安全上必要な措置が講ぜられていると認められる場合条文は「がけに」と書いています——建物側ではなく、がけの側に措置を講じる道です。擁壁の規模や構造の数字は、条文には書かれていません——何をもって「安全上必要な措置」とするかは、設計者と窓口で確かめてください

がけの下に建てる場合は、第2項の4つの号があります

第2項は、がけの下に建てる場合だけの規定です。「がけの下に居室を有する建築物を建築する場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、当該がけについては、前項の規定は、適用しない」と書かれています。「当該がけについては」なので、複数のがけに囲まれた敷地では、がけごとに見ます。

  • 第1号(外壁等が衝撃に耐える)——当該建築物の外壁及び構造耐力上主要な部分(がけの崩壊による衝撃が作用すると想定される部分に限る。以下「外壁等」)の構造が、がけの崩壊により想定される衝撃が作用した場合においても破壊を生じない構造方法であると認められるとき建物そのもので受け止める道です
  • 第2号(門または塀で遮る)——前号に定める構造方法を用いる外壁等と同等以上の耐力を有する構造方法を用いていると認められる門又は塀を、がけの崩壊により当該建築物の外壁等に作用すると想定される衝撃を遮るように設けるとき条文が「門又は塀」と書いています——建物の手前で受け止める道です。ただし「同等以上の耐力」が要件なので、ふつうの塀では足りません
  • 第3号(衝撃が作用しない)——前号に掲げるもののほか、明らかに当該建築物の外壁等にがけの崩壊による衝撃が作用しないと認められるとき「明らかに」が付いています
  • 第4号(レッドゾーンの中で建てるとき)——土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第9条第1項の規定により指定された土砂災害特別警戒区域(土砂災害の発生原因となる自然現象の種類が急傾斜地の崩壊であるものに限る。)内において当該建築物を建築するとき読み違えやすい号です——レッドゾーンの中だから安全になる、という意味ではありません。レッドゾーンの中では、居室を有する建築物に、建築基準法施行令第80条の3の構造の規制が別にかかりますそして括弧書きに注意してください——急傾斜地の崩壊を原因とするレッドゾーンに限られます。土石流や地滑りを原因とするレッドゾーンでは、この号には当たりません

この6つは、素人が自分で判定するための一覧ではありません。どれに当たるかを確認するのは設計者(建築士)で、確認申請の対象となる計画では建築主事等または指定確認検査機関の審査で見られます。条例の当てはめの相談先は、大津市の建築指導の窓口です。

災害危険区域では、住居の用に供する建築物は原則として建てられません(第32条・第33条)

大津市建築基準条例 第32条は、建築基準法第39条第1項の災害危険区域を、地すべり、土石流又は急傾斜地(傾斜度が30度以上であって、上端と下端との高低差が5メートル以上の土地)の崩壊により、既存の建築物又は将来建築される建築物に係る災害の発生する危険の著しい区域であって、市長が指定するものと定めています。指定は告示によって効力を生じます

(建築の制限)
第33条 災害危険区域内においては、住居の用に供する建築物は建築してはならない。ただし、当該建築物の構造若しくは敷地の状況又は急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第2条第3項に規定する急傾斜地崩壊防止工事の施行により、がけ崩れ等による被害を受けるおそれがないものとして市長が許可したときは、この限りでない。

大津市建築基準条例 第33条

災害危険区域の中では、住居の用に供する建築物は原則として建築禁止です。第2条の距離とは、規制の強さが違います。市長の許可があれば、第33条については建てられますが、許可の要件は「がけ崩れ等による被害を受けるおそれがないもの」と認められることです。指定の状況は変わり得ます——土地を選ぶ段階で、大津市の窓口と告示で確かめてください。

レッドゾーン・イエローゾーンと、法第19条第4項は、別に残ります

第2条の距離を保っても、次の3つは別に残ります。

  • 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)——指定するのは滋賀県知事です。区域内で居室を有する建築物を建てる場合、建築基準法施行令第80条の3の構造規制がかかります(土砂災害防止法と法施行令による全国共通の仕組みで、この条例とは別です)
  • 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)——こちらは構造規制ではなく、警戒避難体制の区域です。ただし、第2条のがけに当たるかどうかは、区域の内外とは関係なく決まります——イエローゾーンに入っていないことは、第2条が外れる理由になりません
  • 建築基準法第19条第4項——建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合は、擁壁の設置その他安全上適当な措置が別に必要です。この規定に、がけの高さの下限はありません——高さ2メートル以下でも、かかり得ます。居室の有無も問いません

レッドゾーンでは、確認申請そのものが増えることがあります。土砂災害防止法第25条は、こういう仕組みです(条文そのものではなく、要点です)——特別警戒区域(建築基準法第6条第1項第3号に規定する区域を除く。)内における居室を有する建築物同項第1号又は第2号に掲げるものを除く。)を、同項第3号の区域内の建築物とみなして、法第6条から第7条の5まで・第18条・第89条・第91条・第93条を適用します。つまり、都市計画区域の外で通常は建築確認の対象にならない規模でも、確認が必要になり得ます「敷地の過半」は、第25条の条文には書かれていません——第25条が適用する法第91条が、敷地が区域の内外にわたる場合は敷地の過半の属する区域の規定によると定めています(ちょうど半分は「過半」ではありません)。

区域に入っているかどうかは、大津市や滋賀県が公開している土砂災害の地図で当たりを付けられます。ただし、最終確認は滋賀県の告示図書(法定図書)で行ってください——地図は更新の時点が古いことがあります。レッドゾーン内で建てる場合の構造の考え方と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。

既存の建物の増築・改築——大津市は、がけの条について細かい緩和を持っています

既存不適格(きそんふてきかく=建てたときは適法だった建物)には、建築基準法第3条第2項により、その適合しなくなった規定が原則として適用されません。ただし増築・改築・移転・大規模の修繕・大規模の模様替をすると、法第3条第3項第3号・第4号により緩和が切れて条例が適用されるのが原則です。

大津市建築基準条例 第36条は、その第2項・第3項・第8項で、第2条第1項について明文の緩和を置いています。条を号ごとに列挙する形ではなく、第2条第1項だけを名指しで扱う項が3つあるという形です。

  • 第2項(小さな増築・改築)——法第3条第2項により第2条第1項の適用を受けない建築物について、増築又は改築に係る部分の床面積の合計が、適用を受けない期間の始期における延べ面積の20分の1(50平方メートルを超える場合にあっては、50平方メートル)を超えない範囲内で増築・改築をする場合において、①増築又は改築に係る部分が第2条第1項に適合すること②増築又は改築に係る部分以外の部分の構造耐力上の危険性が増大しないことの両方を満たすときは、法第3条第3項にかかわらず第2条第1項は適用しない
  • 第3項(大規模の修繕・大規模の模様替)——法第3条第2項により第2条第1項の適用を受けない建築物について、当該建築物の構造耐力上の危険性を増大させない大規模の修繕又は大規模の模様替をする場合においては、法第3条第3項にかかわらず第2条第1項は適用しない
  • 第8項(構造上分かれている部分)——法第3条第2項により第2条第1項の適用を受けない建築物であって、令第36条の4に規定する建築物の部分(特定部分)が2以上あるものについて増築等をする場合、増築等をする特定部分以外の特定部分に対しては、法第3条第3項にかかわらず第2条第1項は適用しない

どれも、条件が細かく付いています。「20分の1」と「50平方メートル」のどちらが効くか、「構造耐力上の危険性が増大しない」といえるかは、設計者が図面と計算で示す話です。当てはまるかどうかは、窓口で確かめてください。

建築基準法の側の緩和も見ておきます。法第86条の7第1項が列挙しているのは法第20条・第21条・第48条といった法自身の条で、法第39条・第40条に基づく条例の規定は入っていません——この条例には届きません(同条第2項・第3項も同じです)。法第86条の7のほうで、この条例に届くのは第4項(移転)です——同項が対象にする「建築基準法令の規定」には条例が含まれます(法第6条第1項の定義)。同一敷地内の移転か、交通上・安全上・防火上・避難上・衛生上・市街地の環境の保全上支障がないと特定行政庁(とくていぎょうせいちょう=役所ではなく人。建築基準法第2条第35号により、原則として建築主事等を置く市町村の区域ではその市町村長、それ以外の区域では都道府県知事。ただし同号のただし書で、限定特定行政庁の区域内の政令で定める建築物については、都道府県知事が特定行政庁になります)が認める移転では、法第3条第3項にかかわらず既存不適格の扱いが継続します(施行令第137条の16)。どの移転でも扱いが続く、という意味ではありません。

用途変更——工事を伴わない用途変更でも、建築基準法第87条第2項により、法第39条第2項・第40条に基づく条例の規定は用途変更に準用されます。既存不適格の建物の用途変更については、法第87条第3項が列挙する規定(またはそれらに基づく条例規定)が原則として準用され、増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替をする場合(第1号)や、政令で指定する類似の用途相互間の変更で一定の条件を満たす場合(第2号)は、この準用から除かれます。第1号に当たるときは、法第3条第3項で判断します。大津市の第2条第1項は「居室を有する建築物」が対象なので、居室のない建物に居室を作る用途変更は、適用関係が変わり得ます——窓口で確かめてください。

罰金は原則、設計者に。ただし建築主の故意なら、建築主にも科されます(第39条)

第39条 第2条から第6条まで、第8条から第12条まで、第14条から第27条まで、第29条から第31条まで又は第33条の規定に違反した場合における当該建築物、工作物又は建築設備の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、その建築物、工作物又は建築設備の工事施工者)は、20万円以下の罰金に処する。

大津市建築基準条例 第39条第1項

第2条は「第2条から第6条まで」に入っているので、罰則の対象です。名宛人(なあてにん=この罰則を受ける人)は原則設計者で、設計図書を用いない・従わない施工では工事施工者に替わります。額は20万円以下の罰金です。災害危険区域の第33条も、同じ第39条の列挙に入っています。

ただし、罰金を受けるのが設計者だけとは限りません。同条第2項は、その違反が建築主(工作物なら築造主、建築設備なら設置者)の故意によるものであるときは、設計者または工事施工者を罰するほか、その建築主に対しても前項の刑を科すると定めています。同条第3項は両罰規定(りょうばつきてい=行為をした人と、その勤め先の両方を罰する定め)で、法人の代表者または法人もしくは人の代理人・使用人その他の従業者がその法人の業務に関して第1項・第2項の違反行為をした場合、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても同じ刑を科しますこの条には、注意・監督を尽くしたときの免責のただし書がありません(読んだ範囲では)。

是正命令は、建築主・所有者などに来ます(法第9条第1項)

罰則の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、当該建築物の建築主、工事の請負人(下請人を含みます)・現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者に対して措置を命ずることができる、と定めています。故意かどうかは、この条の要件ではありません。命じられるのは工事の施工の停止のほか、除却(じょきゃく=取り壊し)・移転・改築・増築・修繕・模様替・使用禁止・使用制限その他、違反を是正するために必要な措置です。建てたあとに除却や使用禁止を命じられ得るのは、建築主・所有者などです——設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていませんが、設計者が現場管理者を兼ねていれば名宛人になり得ます命令に従わないと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(法第98条第1項第1号)。

そして、確認申請が要らない計画でも、条例の適合義務は残ります——確認特例(法第6条の4・施行令第10条)による審査の省略は、建築物・設計者の区分と、法第39条から第41条までに基づく条例規定のうち特定行政庁が規則で定めた規定の範囲で決まり、審査が省略される場合でも適合の義務は別に生じます。確認申請の提出先は特定行政庁の建築主事等だけではなく、指定確認検査機関にも出せますが、どちらに出しても条例の適合義務は同じです。

窓口——大津市の建築指導の担当課です

  • 条例第2条の当てはめ・確認申請の相談——大津市 都市計画部 建築指導課 077-528-2774(市役所本館3階)。市は、がけ条例を説明したページの担当課として、この課を明記しています。図面を持って、売買契約の前に相談してください
  • 建築計画概要書の閲覧——建築指導課(市役所本館3階)の管理係。閲覧は無料、写しは1件500円と市が案内しています。過去にどんな計画で確認を受けた土地かは、ここで分かります
  • 土砂災害警戒区域・特別警戒区域の相談——滋賀県 大津土木事務所 管理調整課 077-524-2813(大津合同庁舎)。市役所ではなく、県の事務所です——市が配っているがけ条例の案内も、土砂災害防止法の担当としてこの事務所を挙げています
  • 災害危険区域の指定の有無と、第33条ただし書の許可——大津市。指定するのも許可するのも市長です(条例第32条・第33条)
  • 土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定(告示図書)——滋賀県。区域を指定するのは県知事です

売買契約の前に、専門家と確かめること

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、離す距離や擁壁の費用と配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。この一覧は、自分で判定するためのものではありません——測って図にするのは建築士、条例の当てはめは大津市の窓口です。

  • ① その土地は大津市内か。大津市内なら、読むのは大津市建築基準条例 第2条です(滋賀県建築基準条例は適用されません
  • ② 敷地の中や周りに、地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地で、高さが2メートルを超えるものがあるか。硬岩盤(風化の著しいものを除く)は「がけ」から外れますが、風化が著しければ当たり得ます硬岩盤かどうかは、自分で決められません
  • ③ 建てるのは居室を有する建築物か。建物の一部に居室があれば、居室を有する建築物です
  • ④ がけの高さの2倍以上を保てるか。起点は、がけの上に建てるなら下端、がけの下に建てるなら上端です。保てれば、第2条第1項については原則として建てられます
  • ⑤ 保てないなら——第1項ただし書の2つの号(形状・土質/がけに擁壁の設置その他の措置)に当たるか。擁壁の寸法は条文に書かれていませんので、何をもって「安全上必要な措置」とするかを窓口で確かめてください
  • ⑥ がけの下に建てるなら、第2項の4つの号も見ます——外壁等が衝撃で破壊を生じない構造/同等以上の耐力を有する門又は塀で遮る/明らかに衝撃が作用しない/急傾斜地の崩壊を原因とするレッドゾーンの中で建てるとき「当該がけについては」なので、がけごとに見ます。第4号は「レッドゾーンなら安全」という意味ではありません——居室を有する建築物には、令第80条の3の構造規制が別にかかります
  • ⑦ 既存の擁壁があるなら、検査済証等の資料と現況の確認から。古い石積みがあることは、それだけでは「安全上必要な措置が講ぜられている」証明になりません
  • ⑧ 災害危険区域に指定されていないか。指定されていれば、住居の用に供する建築物は原則として建築できません(条例第33条)。市長の許可がある場合を除きます
  • ⑨ レッドゾーン・イエローゾーンに入っていないか。地図で当たりを付け、最終確認は滋賀県の告示図書
  • ⑩ 既存の建物の増築・改築・用途変更は、適用関係を窓口で。条例第36条第2項・第3項・第8項に、第2条第1項についての緩和があります。どれも条件が細かく付いています
  • ⑪ 建築確認が不要でも、条例の適合義務は残ります。違反すれば、条例第39条の罰則(20万円以下の罰金)や、建築基準法第9条の是正命令の対象になり得ます。確認申請は指定確認検査機関にも出せますが、適合義務は変わりません

参考にした資料(2026年9月5日に原文を確認)

  • 大津市建築基準条例(大津市例規集・現行条文。第1条・第2条・第32条・第33条・第35条・第36条・第39条)
  • 建築基準法(e-Gov法令検索・第3条・第4条・第6条・第6条の4・第9条・第19条第4項・第39条・第40条・第86条の7・第87条・第88条・第91条・第98条)

擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(条例第2条の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。

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