福島県のがけ条例とレッドゾーン——崖の近くに建てられるか

福島県のがけは、第5条

福島で崖の近くに家を建てる・買う人へ——最初に答えから。

先にすることは、3つです。がけ条例がかかっても、建てられないと決まったわけではありませんまず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、擁壁(ようへき=がけの土が崩れないよう支える壁)の費用を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って建築行政の窓口へ、条例の当てはめを確かめる。相談先は、土地がどの市町村にあるかで分かれます——福島市・郡山市・いわき市なら、その市の建築の窓口(福島市 開発建築指導課 024-572-5724、郡山市 開発建築法務課 024-924-2371、いわき市 建築指導課 0246-22-7516)、会津若松市・須賀川市は、建物の規模で市と県に分かれ、それ以外の市町村は所在地を受け持つ県の建設事務所(建築住宅課)です。窓口の一覧は、この記事の後半の表にあります。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。

①福島の「がけ条例」は、福島県建築基準法施行条例(昭和26年福島県条例第60号)の第5条です。②かかるのは、高さ2メートルを超えるがけ下端(かたん=斜面がふもとの地面と接するところ)から、がけ高の2倍以内の場所に建築物を建てる、または建築物の敷地を造成するときです。③そのとき条文が求めるのは、離す距離ではなく構造耐力上安全な擁壁を設けることです。④測る起点は、がけの上に建てても下に建てても「下端」で、上端(じょうたん=斜面が上の平らな地面と接するところ)からではありません。⑤擁壁が要らなくなる場合が3つあります——堅固な地盤を切った斜面など、安全上支障がないと認められるがけ、がけの下で、下端から20メートルを超えて離す場合、そして土砂災害警戒区域(イエロー)土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の中に建てる場合です——ただし、この3つ目で外れるのは第5条第2項の擁壁の義務だけで、がけ崩れ等による被害を受けるおそれがあれば建築基準法第19条第4項の措置は要り、レッドゾーンで居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)のある建物には令第80条の3の構造規制がかかります。⑥条例に合う擁壁を設ければ、第5条第2項については原則として建てられます——ただし擁壁の構造(第3項)・水抜穴(第4項)・排水(第5項)の定めは残り、建築基準法第19条第4項・災害危険区域は別に確認してください。⑦福島市・郡山市・いわき市や、会津若松市・須賀川市は、建築確認を自分で扱う特定行政庁(=許可・認定や是正命令を受け持つ人。市町村長か都道府県知事)の区域ですが、がけの条例は、そこでも県のこの条例です——福島市・郡山市は、市のページで県条例第5条を挙げています(いわき市は、市のページで直接は確かめられていません)。条文は2026年9月4日に、福島県例規集(内容現在 令和8年7月17日)と、県が公表している「福島県建築基準法施行条例とその解説」(PDF)で確認しました。

「がけ条例」の実体は、福島県建築基準法施行条例の第5条です

「がけ条例」の実体は、福島県建築基準法施行条例の第5条です
福島県建築基準法施行条例 第5条。満たせるのはこの条まで。ほかの区域・法令は別に確認

福島県に、「がけ条例」という題名の条例はありません。福島県では、福島県建築基準法施行条例(昭和26年8月7日 福島県条例第60号)の第5条(がけ)がその中身です。第5条は、条例の「第2章 敷地及び道路」に置かれています。根拠は建築基準法第40条——その地方の気候・風土の特殊性などにより、この章(法第2章。建築物の敷地・構造・建築設備)の規定やこれに基づく命令の規定だけでは建築物の安全・防火・衛生の目的を十分に達しがたいと認める場合に、地方公共団体が条例で建築物の敷地・構造・建築設備の制限を付け加えられる、という規定です。

2 この条例中次条から第四条まで、第十七条、第二十一条、第二十二条、第三十四条及び第四十三条の十三の規定は、都市計画区域外の地域については、適用しない。

福島県建築基準法施行条例 第2条第2項

都市計画区域の外では適用しない条が列挙されていますが、この列挙に第5条は入っていません。用途地域の外でも、山あいでも、がけと距離の条件に当たれば第5条は働きます。もうひとつ、仮設建築物でも第5条は外れません。第46条は、法第85条第6項・第7項の許可を受けた仮設建築物について、第3条の2・第4条・第34条・第40条から第40条の4まで・第40条の6・第40条の7を適用しないと定めていますが、この列挙にも第5条は入っていません。ただし、法第85条第1項・第2項の仮設建築物は別です——第1項は、非常災害区域等の中で災害の発生した日から1月以内に工事に着手する応急仮設建築物等について建築基準法令の規定(法・命令・条例)を適用しないとし、第2項は、災害時の公益上必要な応急仮設建築物や、工事を施工するために現場に設ける事務所・下小屋・材料置場等について法第40条を適用しないとしています。この条例の第5条は、法第40条にもとづくものです。

積雪や雪崩についての条は、この条例にはありません——県が公表している条文(解説つき・全46ページ)の全文で「雪」の字は0件で、県例規集を「雪崩」で検索しても、この条例は出てきません。垂直積雪量は福島県建築基準法施行細則の第19条で定められていますが、構造計算に使う数値であって、がけの規定ではありません。

どこからが「がけ」か——勾配30度を「超える」。高さ2メートルを「超える」

第五条 この条において「がけ」とは、地表面が水平面に対し三十度を超える角度をなす土地をいい、「がけ高」とは、がけ下端よりその最高部までの高さをいう。

福島県建築基準法施行条例 第5条第1項

押さえるところは3つです。①勾配は「三十度を超える」——30.0度ちょうどは当たりません。②高さの条件は、次に読む第2項にあります——「高さ二メートルを超えるがけ」で、2.0メートルちょうども当たりません(「以上」ではありません)。③「がけ高」は、がけの下端から最高部までを測ります。そして、「硬い岩盤だから外れる」という定めは、第5条にありません(県が公表している条文の全文を機械で数えて、「岩」の字は0件でした)。ただし、土質がまったく関係しないわけではありません——第2項第1号が「堅固な地盤を切つて斜面とするがけ又は特殊な構造によるがけで安全上支障がないと認められる場合」を挙げています。土質が出てくるのは、あとに出てくる県の指導指針(条例ではなく運用)のほうです。

角度も高さも、自分で判定しないでください。目の前の斜面が30度を超えるか、どこが下端でどこが最高部か——これは見ただけでは決まりません。測って図にするのは測量と建築士、条例の当てはめを判断するのは、あとに出てくる建築行政の窓口です。

段になった斜面と、擁壁の上にある斜面——県内の特定行政庁が、数え方をそろえています

福島県特定行政庁等連絡会議(県・福島市・郡山市・いわき市・会津若松市・須賀川市と指定確認検査機関3社で構成)の取扱い集「2-1 がけの判断方法と高さ等の取り方について」(制定 令和7年1月16日・施行 令和7年4月1日)が、4つのケースを図で示しています。ひとつは、勾配が一定でない2段以上の法面(のりめん=切土や盛土でできた人工の斜面)です——下段の法面の下端から30度の面を想定し、上段の法面の下端がその面より上にあれば一体の法面とみなす、と書いています。一体とみなせば、がけ高は30度を超える区間の全体の高さになり、がけ近接の範囲はその2倍になります。この取扱い集が図の「ケース2」として示しているのは、下段の法面が30度以下の断面です——だから、上段の法面についてだけ判定しています「別々なら上段だけ」ではありません——別々に扱う場合も、それぞれの法面が、がけの条件に当たるか(30度を超えるか、高さが2メートルを超えるか)を確かめます。もうひとつは、建築基準法等に適合する擁壁の上に法面がある場合(擁壁を築造したときからある法面に限ります)——擁壁の部分はがけ高に含めず、その上の法面だけでがけかどうかを判定する、としています。上の法面が30度を超えていても高さ2メートル以下なら、がけに当たりません。「適合する擁壁」として挙がっているのは、建築基準法・宅地造成及び特定盛土等規制法・急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律の技術基準による擁壁、都市計画法の開発許可を受けた擁壁、他法令(道路法・河川法等)により構造上の安全性が確認された擁壁の5つです。そのうえで取扱い集は、こう釘を刺しています。

なお、当該擁壁の上部に建築する場合においては、築造時の想定以上の荷重が擁壁にかかる可能性があることから、建築することについて、管理者への確認や設計者により構造上の安全性を確認することが必要である。

福島県特定行政庁等連絡会議 取扱い集 2-1(令和7年4月1日施行)

「擁壁があるから大丈夫」とは読めません。擁壁の上に建物を載せると、その擁壁を設計したときの前提が変わります。すでにある擁壁については、いつ・どの基準で造られたものかを、設計者に確かめてもらってください。

かかる範囲は「がけの下端から、がけ高の2倍以内」——起点は、上に建てても下に建てても下端です

上に建てても下に建てても、起点は下端です
上に建てても下に建てても、起点は下端です

2 高さ二メートルを超えるがけの下端からの水平距離ががけ高の二倍以内の場所に建築物を建築し、又は建築物の敷地を造成する場合は、構造耐力上安全な擁壁を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない
一 堅固な地盤を切つて斜面とするがけ又は特殊な構造によるがけで安全上支障がないと認められる場合
二 がけの下に建築物を建築する場合において、当該建築物とがけ下端との水平距離が二十メートルを超える場合
三 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成十二年法律第五十七号)第七条第一項に規定する土砂災害警戒区域又は同法第九条第一項に規定する土砂災害特別警戒区域に建築する場合

福島県建築基準法施行条例 第5条第2項

言葉を決めておきます。下端(かたん)は、がけの斜面がふもとで下の地面と接するところ。上端(じょうたん)は、がけの斜面が上の平らな地面と接するところです。断面図の上で、どこが下端でどこが上端かが決まります。

そのうえで条文の起点を読むと、「がけの下端からの水平距離」の一本だけです。がけの上に建てる場合と下に建てる場合で、起点を分けていません。がけの上に建てるときも、測るのは下端からです——がけの斜面そのものの横幅も、2倍の中に入ります。県の指導指針も、「がけ近接」を「がけの下端からがけの高さの2倍の範囲」と定義し、がけ上・がけ下の両側に範囲を図示しています。

建てる位置距離の起点擁壁の義務がかかる範囲
がけのに建てるがけの下端から水平距離が、がけ高の2倍以内
がけのに建てるがけの下端から水平距離が、がけ高の2倍以内(ただし下端から20メートルを超えれば、第2号で外れます)

数字の読み方に、2つ注意があります。ひとつ、条文は「二倍以内」です——これは義務がかかる範囲の数字なので、2倍ちょうどの位置も、範囲に入ります。高さ5メートルのがけなら、下端から10メートルまでです。ふたつ、対象は「建築物を建築し、又は建築物の敷地を造成する場合」——建物を建てる前の造成も対象です。県の解説は、この項をこう説明しています。

がけ高2mを超える敷地に建築物を建築するときは、その保有距離として「がけ高」の2倍以内に建築したり建築物の敷地を造成することを禁止しているが、所定の擁壁を築造すれば、建築することができる。

福島県建築基準法施行条例とその解説(福島県)第5条の解説(2)

義務の形は「擁壁を設ける」です——離す距離は書かれていません

条文が命じているのは「構造耐力上安全な擁壁を設けなければならない」です。「がけから離しなさい」とは書いていません。だから、読む順番はこうなります。①まず、第2項ただし書の3つに当たるか(堅固な地盤など・がけ下で20メートル超・土砂災害の区域)。当たれば、擁壁の義務は外れます。②当たらないなら、範囲に入る計画には擁壁が要ります——配置を変えて範囲の外に出るか、擁壁を設けるかです。③擁壁の中身は、第3項から第5項までで決まります。④その擁壁が高さ2メートルを超えるなら、原則として工作物の確認が別に要ります(建築基準法第88条第1項・同法施行令第138条第1項第5号)。郡山市のページも、「高さ2メートルを超える擁壁を築造する場合には、建築確認が必要となります」と書いています。ただし、除かれるものがあります——法第88条第4項は、盛土や開発などの許可を受けなければならない擁壁について、第6条から第7条の5までに係る部分等を適用しないとしています(同項が挙げているのは、盛土規制法第12条第1項・第16条第1項・第30条第1項・第35条第1項、都市計画法第29条第1項・第2項・第35条の2第1項本文、特定都市河川浸水被害対策法第57条第1項・第62条第1項、津波防災地域づくりに関する法律第73条第1項・第78条第1項の許可です)。外れるかどうかは、その擁壁自身がこの許可の対象かで決まります——許可を受けた造成地の中なら全部外れる、という意味ではありませんどの手続で安全性を確かめる計画になるかを、申請先に確かめてください。確認が要らない場合でも、構造の安全性の義務は残ります(法第88条第1項は、第20条も準用しています)。

条例に合う擁壁を設ければ、第5条第2項については原則として建てられます——構造・水抜穴・排水の定めは残ります

先に答えを書きます。条例に合う擁壁を設ければ第5条第2項については原則として建てられます。県の解説も「所定の擁壁を築造すれば、建築することができる」と書いています。条件は3つです。ひとつ、その擁壁が第3項の構造(次に引きます)に適合し、第4項の水抜穴・透水層第5項の排水設備を備えていること。ふたつ、確認が必要な擁壁(高さ2メートル超。法第88条第4項の除外は上のとおり)なら、工作物の建築確認を受けること。みっつ、第5条の義務が満たせても、ほかの規制は別に確認すること——建築基準法第19条第4項の措置、土砂災害の区域の規制、災害危険区域の規制は、この条とは別に残ります。

3 前項の擁壁の構造は、建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号。以下「令」という。)第百四十二条の規定によるほか、土の摩擦角が三十度以下(土質が堅固で支障がない場合は四十五度以下)で基礎と地盤との摩擦係数が〇・三以下(土質が良好で支障がない場合は〇・五以下)の場合にも安全でなければならない。

福島県建築基準法施行条例 第5条第3項

令第142条は、高さ2メートルを超える擁壁の技術的基準です。第1項は道を2つ書いています。ひとつは同項各号の基準に適合する構造方法——鉄筋コンクリート造・石造その他これらに類する腐食しない材料を用いた構造、石造なら裏込めコンクリート、水抜穴と砂利等、準用規定への適合、構造計算で確かめられる安全性です。もうひとつは、これと同等以上に擁壁の破壊及び転倒を防止することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法です。条文はこの2つを「又は」でつないでいます。第5条第3項は、そのうえに土の条件を1つ重ねています——土の摩擦角(=土がどれだけ崩れずに踏みとどまるかを表す土質の数値)が30度以下、基礎と地盤との摩擦係数(=擁壁の底が地盤の上で滑りにくいかを表す数値)が0.3以下という、悪い側の土質を仮定しても安全であることです(土質が堅固・良好で支障がなければ、それぞれ45度以下・0.5以下)。どの数値を使えるかは、地盤調査と構造計算の話で、設計者が判断します。

4 擁壁を設ける場合には、次の各号の規定によらなければならない。
一 壁面の面積三平方メートル以内ごとに耐水材料を用いた水抜穴を設けること。
二 水抜穴の裏面の周辺その他必要な箇所に砂利等の透水性の層を設けること。
5 前項の擁壁の上部又はがけの上部若しくは斜面の上部には、適当な排水設備を設けなければならない。

福島県建築基準法施行条例 第5条第4項・第5項

第4項は、擁壁の裏に水をためないための定めです——壁面3平方メートル以内ごとに水抜穴、その裏側に砂利等の透水性の層。県の解説は、水抜穴について「75φ以上が望ましい」(内径7.5センチメートル以上)と書いていますが、この数値は解説の推奨であって、条文ではありません。第5項は、擁壁の上部、がけの上部、斜面の上部に排水設備を求めています。がけの上に建てるとき、雨水をがけに流さない造りが要る、ということです。県の解説はさらに、がけ上の敷地について「既存のがけ又は擁壁が構造耐力上支障がないこと」——たとえば建物の基礎が擁壁に荷重・土圧等の不利な影響を及ぼさないこと——を求めています。ただし書で擁壁が要らない場合にも、第5項の排水設備が及ぶかどうかは、条文からは読み切れませんでした。計画がその形になるなら、窓口で確かめてください。

擁壁が高さ2メートルを超えると、建築基準法施行令第138条第1項第5号の工作物になり、法第88条第1項により法第6条の確認申請が原則として要ります(法第88条第4項の許可の対象となる擁壁は、除かれます)。会津若松市・須賀川市(限定特定行政庁)では、須賀川市のページによれば高さ3メートル以下の擁壁までを市が扱い、それを超えるものは県の建設事務所か指定確認検査機関です。

擁壁が要らなくなる場合は3つです(第2項ただし書)

第1号は、「堅固な地盤を切つて斜面とするがけ又は特殊な構造によるがけで安全上支障がないと認められる場合」です。誰が、どの手続きで認めるかは、条例に書かれていません——認定申請の様式も、この条についてはありません。手がかりは県の指導指針です。指針は「二号関係」として、土質が次の表に当たり、勾配が(い)欄の角度を越え(ろ)欄の角度以下の場合は、がけ上端から垂直距離5メートル以内の部分は堅固な地盤とみなし擁壁の設置を要しない、と書いています。

この表だけを見て「この角度なら擁壁が要らない」と読まないでください。指針が書いているのは、(い)を越え(ろ)以下なら、上端から5メートル以内の部分を堅固な地盤とみなすということまでです。勾配が(い)欄以下のときにどうなるかは、指針の文面に書かれていません。そして、目の前の斜面がどの土質かは、見ただけでは決まりません——調べて図にするのは地盤調査と建築士、当てはめは窓口です。

土質(い)欄(ろ)欄
軟岩(風化の著しいものを除く)60度80度
風化の著しい岩40度50度
砂利、真砂土、関東ローム、硬質粘土その他これらに類するもの35度45度

第2号は、がけの下に建てる場合で、建物とがけ下端との水平距離が20メートルを超えるときです。「超える」なので、20メートルちょうどは外れません。この号が効くのは、がけ高が10メートルを超えるときです——がけ高が10メートル以下なら、2倍の範囲がそもそも20メートルに届かないからです。第3号は、土砂災害警戒区域または土砂災害特別警戒区域に建てるときで、次の節で読みます。

県の指導指針には、条例に無い道が書かれています——条例ではなく、運用です

先に打ち消しから書きます。次に挙げるのは条例の条文ではなく、県が示している指導指針(「がけに近接して建築する建築物の指導指針」60住第518号、昭和60年5月11日、改正 昭和61年7月10日)です。指針の本文は条例の旧名「福島県建築基準条例」と、旧法名「宅地造成等規制法」のままで、令和7年4月1日施行の取扱い集が根拠として引いているので、いまも使われています。福島市のページは、この指針を「福島県建築基準法施行条例第5条のがけに関する基準について解説したもの」と紹介しています。

指針の第3条は、がけ上・がけ下に建てる場合に、建築基準法施行令または宅地造成等規制法(現在の宅地造成及び特定盛土等規制法)の技術基準による擁壁等を設置し、その安全を図らなければならないとしたうえで、ただし書に3つを置いています。1つ目は、条例のただし書にはない道です——がけ上に建てる建物の基礎を鉄筋コンクリート造とし、がけの下端から水平距離でがけの高さの10分の7倍以上離し、かつがけの下端と基礎とを結ぶ線の勾配を30度以下にしたもの。2つ目は、条例の第1号と同じ「堅固な地盤を切って斜面とするがけ又は特殊な構造によるがけ」。3つ目は、がけ下で、下端との水平距離ががけの高さの2倍又は20メートルを超えるもの。さらに第4条は、既存の擁壁・土留等が鉄筋コンクリート造・コンクリート間知練積み造・石造等ではらみ・沈下・風化等がない場合に、がけ上の建物の基礎を鉄筋コンクリート造とし、下端から高さの2分の1倍以上、上端から1メートル以上離し、下端と基礎とを結ぶ線を45度以下にすれば第3条を適用しない、としています。第8条は2段の擁壁について、下段の下端と上段の下端を結ぶ線が30度を超えるときは一体の擁壁とみなす、と書いています。

これらの道が、条例第5条第2項のどの号に当たるとして扱われるのかは、指針に書かれていません。指針は「一般的な指導指針として具体的規定を定めたもの」と自分で書いています。使えるかどうかは、計画ごとに窓口で確かめてください。指針が擁壁等の技術基準として引いている「宅造法」は旧法名で、現在は宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)です。

土砂災害警戒区域(イエロー)・特別警戒区域(レッドゾーン)の中では、第5条第2項の擁壁の義務が外れます——安全の義務が消えるのではありません

第2項第3号は、土砂災害警戒区域(イエロー)土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の両方を挙げています。「特別」の2字が付くかどうかで規制の重さが大きく違う区域ですが、この号については、どちらに入っていても第5条第2項の擁壁の義務は外れます。県の解説は、その理由を、建築基準法施行令第80条の3にもとづく告示(平成13年3月30日 国土交通省告示第383号)の構造方法によれば安全上支障がないとされているためだ、と説明しています(解説はこの告示の題名を「居住を有する建築物」と書いていますが、告示の題名は「居室を有する建築物」です。国土交通省が公表している告示の本文で確かめました)。

ここを「区域に入っていれば擁壁は要らない」と読まないでください。外れるのは第5条第2項の義務だけで、代わりに別の規定が働きます。ひとつは建築基準法第19条第4項——県の解説自身が「第5条第2項の規定が適用除外となる土砂災害警戒区域等に建築する場合も」擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない、と注意を書いています。もうひとつは、レッドゾーンの中で居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋。住宅なら、ふつう当てはまります)を有する建築物に適用される令第80条の3です。外壁と構造耐力上主要な部分のうち、知事が定めた土石等の高さ以下で衝撃が作用すると想定される部分(条文は「外壁等」と呼びます)を、想定される衝撃が作用しても破壊を生じないものとして国土交通大臣が定めた構造方法にしなければなりません。ただし書として、土石等の高さ以上の高さの門又は塀(大臣が定めた構造方法を用いるものに限ります)を、外壁等に作用する衝撃を遮るように設けた場合は、この限りでない、とあります。この構造の規制は、擁壁の有無にかかわらず残ります。イエローだけの土地には令第80条の3は当たりませんが、法第19条第4項は当たります。

もうひとつ、手続きの話です。「都市計画区域の外だから確認は要らない」と思っていた計画が、区域の指定で変わります。土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の第25条は、レッドゾーンの中で居室を有する建築物を、建築基準法第6条第1項第3号の区域内の建築物とみなして、確認・検査の規定を当てはめます——都市計画区域の外であっても建築確認の対象になります。県の解説も、福島市の建築確認申請のガイドも、同じことを書いています。ただし、法第6条第1項第1号・第2号に当たる建築物は、この「みなし」から除かれています——もともと確認が要るからです。また、敷地が区域の内外にまたがるときの扱いは、この第25条があわせて適用している建築基準法第91条(敷地の過半がどちらに属するかで決める規定)によりますので、窓口で確かめてください。これは、令第80条の3の構造の規定まで敷地の過半で外れる、という意味ではありません。

自分の土地がどちらの区域かは、目で見ても分かりません。どちらでもないこともあります。福島県砂防課の土砂災害警戒区域等の指定箇所のページに、指定と追加の状況が載っています(2026年6月30日更新。令和8年度も追加指定が続いています)。区域の境界は、所在地の市町村の窓口か、県の建設事務所で必ず確かめてください。土地を買う前なら、不動産会社にも「この区域に入るか」を確かめてください。レッドゾーン内の居室を有する建築物について、令第80条の3に対応する2つの方法(外壁等を所定の構造にするか、門・塀で衝撃を遮るか)と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています(この条例の第5条第2項第3号との関係は、この記事のとおりです)。

許可を受けた工事でできたがけ——条例には適用除外がありません。指針と取扱い集が扱います

第5条には、盛土規制法や都市計画法の許可を受けた工事でできたがけを外す定めがありません——第1項から第5項まで、そのような文言はありません。かわりに、運用の側に2つあります。ひとつは指針の第9条で、「都市計画法に基づく開発許可を受けて築造された施行区域内に生ずるがけについては適用しない」と書いています——ただし外れるのは指針で、条例が外れるとは書いていません。もうひとつは、上で読んだ取扱い集です——建築基準法等に適合する擁壁(盛土規制法の技術基準による擁壁、開発許可を受けた擁壁などの5つ)の上に法面がある場合は、擁壁の部分をがけ高に含めず、残りの法面だけで判定します。造成地で「許可を受けた擁壁がある」土地は、この扱いに乗り得ます。いつ・どの許可で造られ、許可の内容どおりに施工されたかは、書類で確かめる話です——売主に検査済証などが残っているかを聞いてください。

罰則——第5条の違反は、条例の罰金の列挙に入っていません。それでも是正命令と確認の義務は残ります

第四十八条 第三条、第四条、第七条、第九条、第十一条から第十三条まで、第十六条から第十八条まで、第二十条から第二十二条まで、第二十四条から第二十五条まで、第二十八条から第三十条まで、第三十二条から第三十八条まで、第四十条から第四十条の四まで、第四十条の六、第四十条の七、第四十三条、第四十三条の三から第四十三条の八まで、第四十三条の十二又は第四十四条の規定に違反した場合におけるその建築物、工作物又は建築設備の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し又は設計図書に従わないで工事を施行した場合においては、その建築物、工作物又は建築設備の施工者)は、五十万円以下の罰金に処する。

福島県建築基準法施行条例 第48条第1項

列挙を1つずつ当てると、第5条は入っていません(第3条・第4条の次は第7条です)。つまり、第5条に違反しても、この条例の50万円以下の罰金はかかりません。列挙に入っているのは、あとに出てくる第43条の12(災害危険区域内の建築の禁止)のほうです。第48条第2項は、列挙された条の違反が建築主・工作物の築造主・建築設備の設置者の故意によるときは、設計者・工事施工者のほか建築主等にも同じ刑を科すると定め、第49条は両罰規定です——ただし、法人または人の代理人・使用人その他の従業者の違反行為を防止するため、その業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があったときは、その法人または人については罰しません。

「罰金が無いから守らなくてよい」とは読めません。3つの筋が残ります。ひとつ、この条例は建築基準法第40条にもとづく条例なので、その違反は法第6条第1項がいう「建築基準法令の規定」(法・命令・条例の規定)の違反です。確認申請で第5条に合わない計画は確認済証が出ません。ふたつ、確認が必要な擁壁(高さ2メートル超。法第88条第4項の許可の対象は除かれます)について、確認を受けなければならないのに受けずに工事をすれば、法第99条第1項第一号(1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)の対象です。みっつ、次に書く是正命令です。

是正命令は、建築主・所有者などが相手方になり得ます(法第9条第1項)

特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

建築基準法 第9条第1項

条例に罰金の定めが無くても、是正命令の相手方は別です。相手方は建築主、工事の請負人(下請人を含みます)現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者の4系統で、故意は要件ではありません。命じられるのは、当該工事の施工の停止または相当の猶予期限を付けた除却(じょきゃく=取り壊し)・移転・改築・使用禁止などです。法第88条第1項により、この第9条は擁壁などの工作物にも準用されます。命令に違反した場合は、法第98条第1項第一号により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。

この記事が扱っているのは、これから建てる場合です(新築・増築・改築・移転と、敷地の造成)。すでに建っている建物に、この条例がどうかかるかは扱っていません既存不適格(きそんふてきかく=建てたときは適法だった建物)には、建築基準法第3条第2項により、その適合しなくなった規定が原則として適用されません。ただし増築・改築・移転・大規模の修繕・大規模の模様替をすると、法第3条第3項第3号・第4号により緩和が切れて条例が適用されるのが原則です。県が公表している条文で見る限り、条例側の既存不適格の緩和は第43条の10だけで、対象は第43条の3から第43条の8まで(特別の配慮を要する特殊建築物)です——第5条についての緩和の定めは見当たりません。気になる場合は、この記事に書いた窓口へお尋ねください。

第5条の擁壁の義務が外れても、がけ崩れ等による被害を受けるおそれがあれば建築基準法第19条第4項の措置が要ります

4 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。

建築基準法 第19条第4項

この規定は、県の区域でも5市の区域でも働きます。(法第85条第1項の応急仮設建築物など、法が適用されない場合を除きます。)条例の第5条に当たらない土地でも、ただし書で擁壁の義務が外れた土地でも、がけ崩れ等による被害を受けるおそれがあるなら、擁壁の設置その他安全上適当な措置が要ります。求められているのは擁壁だけではなく、「その他安全上適当な措置」を含みます。「2メートルを超えないから何もしなくてよい」とは読めません。おそれの有無も、どの措置で足りるかも、あなたが決めるものではありません——がけと地盤を調べて図にするのは建築士等、条例と法の当てはめを判断するのは所管の建築行政の窓口と申請先です。

特定行政庁は県と5市に分かれますが、がけの条例は全域で県の条例です

特定行政庁(とくていぎょうせいちょう)は、役所ではなく人です——原則として、建築主事または建築副主事を置く市町村の区域ではその市町村長、それ以外の区域では都道府県知事をいいます(建築基準法第2条第35号)。同号にはただし書があり、法第97条の2第1項もしくは第2項などの規定により建築主事等を置く市町村(限定特定行政庁)の区域内の政令で定める建築物については、都道府県知事が特定行政庁です。福島県内では、県のページ(2026年3月11日更新)によれば、福島市・郡山市・いわき市は各市が特定行政庁会津若松市・須賀川市は「平屋建て延べ面積200平方メートル以下等の小規模な建築物」について各市が特定行政庁、それ以外は県建設事務所建築住宅課です。県の解説によれば、いわき市(昭和46年4月1日)・郡山市(昭和47年4月1日)・福島市(昭和48年4月1日)は法第4条第1項により、会津若松市(昭和56年8月1日)・須賀川市(昭和58年4月1日)は法第97条の2により、建築主事を置いています。

会津若松市・須賀川市の受け持ちは、令和7年4月1日の法改正で変わりました。会津若松市のページ(2025年3月31日更新)は、市が所管する建築物が建築基準法施行令第148条により法第6条第1項第2号の一部と第3号になったと書き、須賀川市のページ(2026年3月31日更新)は、第2号のうち木造(地階を除く階数2以下・延べ面積300平方メートル以下・高さ16メートル以下)と第3号の建築物、工作物は煙突10メートル以下・広告塔等10メートル以下・擁壁3メートル以下を市が扱い、それ以外は県中建設事務所か指定確認検査機関へ、と書いています。上の条件に当てはまる2階建ての木造住宅は市、その条件を外れる鉄骨造の住宅や大きな建物は県、と分かれます——ただし第3号に当たる建築物は、構造を問わず市です(知事の許可が要る計画は除かれます——令第148条第1項の括弧書き)。どちらになるかは、規模と構造の両方で決まります。

第二条 この条例は、法第四条第一項又は第二項の規定により建築主事を置いた市町村が法第三十九条第一項及び第二項、法第四十条、法第四十三条第三項、法第五十六条の二第一項並びに法第八十八条第一項において準用する法第四十条の規定に基づく条例でこの条例の規定に相当する内容の制限の付加及び指定をしたときは、その制限の付加及び指定の効力が発生した時から、当該市町村の区域については、適用しない。

福島県建築基準法施行条例 第2条第1項

この条例は、市の名前を挙げて適用を外す作りではありません。建築主事を置いた市が、相当する内容の条例を自分で作ったときに、その市の区域で外れる——という条件です。福島市は、市で適用される条例・規則の一覧に福島県建築基準法施行条例を挙げ(2026年4月24日更新)、郡山市は、がけの建築制限のページで「建築基準法第40条に基づく福島県建築基準法施行条例第5条」を根拠に挙げています(2025年4月1日更新)。つまり、この2市には、がけについて市独自の条例はなく県の第5条が働いています。いわき市については、市のページの建築基準法関連の一覧に、市の建築基準法施行細則はあっても「建築基準条例」や「がけ」の項目は無く、また、いわき市は上の取扱い集を作った連絡会議の構成員です——ただし、いわき市が県条例第5条を適用していることを、いわき市自身のページで直接は確かめられていません。会津若松市・須賀川市は、法第4条ではなく法第97条の2により建築主事を置く市なので、第2条第1項がいう「法第四条第一項又は第二項の規定により建築主事を置いた市町村」には、文言上は当たりません(会津若松市の建築基準法施行細則も、第1条で「法第97条の2の規定に基づき市が行うこととなる事務」について定めるとしています)。

災害危険区域——県の条例は、急傾斜地崩壊危険区域の中で知事が認めた区域です。いわき市には、津波の条例があります

第四十三条の十一 法第三十九条第一項の規定により災害危険区域として指定する区域は、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四十四年法律第五十七号)第三条の規定による急傾斜地崩壊危険区域として指定した区域内で急傾斜地の崩壊による危険の著しい区域として知事が認めた区域とする。

福島県建築基準法施行条例 第43条の11第1項

第四十三条の十二 災害危険区域内においては、居室を有する建築物は、建築してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合であつて知事が安全上支障がないと認めて許可したときは、この限りでない。

福島県建築基準法施行条例 第43条の12(本文)

建築基準法第39条は、地方公共団体が条例で津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定できると定めています。県の条例は、その入れ物を急傾斜地崩壊危険区域(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第3条により知事が指定する区域)の中に限り、その中で危険の著しい区域として知事が認めた区域を災害危険区域としています。指定は関係市町村長の意見を聞いたうえで行い(第2項)、告示によって効力を生じます(第3項・第4項)。区域の中では居室を有する建築物は建築できません——ただし、建築物の主要構造部を鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造とする場合(第1号)、または急傾斜地の崩壊に対する防護施設または防止施設を講じた場合(第2号)で、知事が安全上支障がないと認めて許可したときは、この条については建てられます。許可の申請は、福島県建築基準法施行細則第6条の2により「災害危険区域内の建築物許可申請書(第三号様式)」を知事に出します(その様式の中の書き出しは「条例第43条の3の規定による許可」と古い条番号のままですが、細則本文が指しているのは第43条の12です)。第43条の12の違反は、第48条第1項の罰金の対象です。県がこの条で実際にどこを指定しているかは、確かめられませんでした——下の「確かめきれなかったこと」に書きます。急傾斜地崩壊危険区域そのものに入っているかどうかは、県の建設事務所で確かめてください。

いわき市には、市の災害危険区域の条例があります——いわき市災害危険区域に関する条例です。これは津波による災害の危険が著しい区域を市長が指定するもので、第1種・第2種・第3種に分かれます。第1種区域では住居の用に供する建築物と旅館業の施設を建築できず、第2種・第3種区域では住居用建築物を規則で定める構造にしなければなりません。市のページによれば、平成25年1月15日付けで久之浜町末続・久之浜町金ケ沢・江名字走出(第2種区域)、錦町須賀(第3種区域)が指定されています。これは津波の制度で、がけの条例とは別です。福島市・郡山市に災害危険区域の条例があるかは確かめていません。

窓口は、5市の建築の窓口と、県の7つの建設事務所です

県のページ「建築行政に関する問合せ先一覧」(2021年3月4日掲載)の区分けに、2026年9月4日に各市・各建設事務所のページで確かめた担当課名と電話番号を当てたものです。須賀川市は、県の一覧では「建築住宅課」ですが、市のページでは「まち共創課」が窓口になっているので、市のページに従いました。

建築物の所在地窓口電話
福島市福島市 都市政策部 開発建築指導課 建築審査係024-572-5724
郡山市郡山市 都市構想部 開発建築法務課024-924-2371
いわき市いわき市 都市建設部 建築指導課0246-22-7516(指導係)/0246-38-9095(建築審査係)
会津若松市(市が扱う規模の建築物)会津若松市 建設部 建築住宅課0242-39-1307
会津若松市(それ以外)、会津坂下町、湯川村、柳津町、会津美里町、三島町、金山町、昭和村県 会津若松建設事務所 建築住宅課0242-29-5461
須賀川市(市が扱う規模の建築物)須賀川市 まち共創課 都市政策係0248-88-9154
須賀川市(それ以外)、田村市、鏡石町、天栄村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町県 県中建設事務所 建築住宅課024-935-1462
二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村県 県北建設事務所 建築住宅課024-521-2575
白河市、西郷村、泉崎村、中島村、矢吹町、棚倉町、矢祭町、塙町、鮫川村県 県南建設事務所 建築住宅課0248-23-1636
喜多方市、北塩原村、西会津町、磐梯町、猪苗代町県 喜多方建設事務所 建築住宅課0241-24-5727
下郷町、桧枝岐村、只見町、南会津町県 南会津建設事務所 建築住宅課0241-62-5337
相馬市、南相馬市、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、新地町、飯舘村県 相双建設事務所 建築住宅課0244-26-1223

確認申請の提出先は、各特定行政庁の建築主事のほか、指定確認検査機関(民間の確認検査機関)も選べます。県のページは「申請を予定している特定行政庁又は指定確認検査機関に、まずは相談・お問い合わせください」と書いています。県内の建築基準法の相談先の一覧はがけ、道路、積雪量など建築基準法に関するよくある相談・問合せ(福島県建築指導課)にあります。

確認申請に、がけの図書を添えることを規則で定めている市があります(郡山市)

(5) 高さが2メートルを超えるがけに近接して建築物を建築する場合は、がけの上下端から当該建築物の水平距離及びがけの形状を示す図書

郡山市建築基準法施行細則 第2条第2項第5号

郡山市では、確認申請書にがけの上下端から建物までの水平距離と、がけの形状を示す図書を添えなければなりません。この図書が、建築士に用意してもらうものの中身です。県の福島県建築基準法施行細則には、「がけ」の語を含む条文も様式もありません(県例規集を「がけ」で本文検索して出てくるのは、この条例の第5条と、畜舎の特例に関する条例の第3条、漁業調整規則の3件だけです)。県の区域では、指針の図(がけの高さ・がけ近接の範囲)に沿った断面図と配置図を建築士に用意してもらい、何を添えるかは建設事務所に確かめてください。会津若松市の建築基準法施行細則にも「がけ」の語はありません。福島市・いわき市・須賀川市の細則は、確かめられていません(下に書きます)。

売買契約の前に、専門家と確かめること

この表は、自分で判定するためのものではありません——測って図にするのは建築士、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口です。個別の判断は、建築士と窓口にご確認ください。

  • ①その土地は、どの市町村にあるか。福島市・郡山市・いわき市なら市の建築の窓口、会津若松市・須賀川市なら建物の規模で市か県建設事務所かが分かれ、それ以外は上の表の県建設事務所 建築住宅課です
  • ②敷地の中や隣に、勾配30度を超え、高さ2メートルを超えるがけがあるか。目測ではなく、現況の測量図と断面図で。段になった斜面は、取扱い集の数え方で一体のがけとみなされることがあります
  • ③建てる位置(または造成する範囲)が、がけの下端から、がけ高の2倍以内に入るか。起点は、上に建てても下に建てても下端で、2倍ちょうども範囲に入ります
  • ④条文は、がけが自分の敷地の中にあるかどうかを区別していません——隣の土地のがけでも、範囲に入れば同じです。窓口で確かめてください
  • ⑤範囲に入るなら、擁壁の計画——第3項の構造(令第142条・土の条件)、第4項の水抜穴と透水層、第5項の排水設備。高さ2メートルを超える擁壁は、原則として工作物の確認申請が別に要ります(法第88条第4項の許可の対象は除かれます)
  • ⑥擁壁が要らなくなるただし書の3つに当たるか——堅固な地盤(指針の表と「上端から5メートル以内」)、がけ下で下端から20メートル超、土砂災害の区域。指針の「7/10倍・30度」の道が使えるかは、窓口で
  • ⑦すでに擁壁があるなら、いつ・どの基準で造られ、はらみ・沈下・風化がないか売主に、確認済証・検査済証などの書類が残っているかを聞く——契約後でも確認はできますが、購入判断や価格交渉に反映するため、契約の前に聞いてください
  • ⑧その土地が土砂災害警戒区域(イエロー)・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に入っていないか。県砂防課の指定箇所のページと、市町村・建設事務所で。入っていれば第5条第2項の擁壁の義務は外れますが、がけ崩れ等による被害を受けるおそれがあれば法第19条第4項の措置は要り、レッドゾーンで居室のある建物なら令第80条の3の構造が要ります
  • 急傾斜地崩壊危険区域と、その中の災害危険区域(県条例第43条の11)に入っていないか——県の建設事務所で。いわき市の沿岸なら、津波の災害危険区域
  • ⑩第5条の擁壁の義務が外れても、がけ崩れ等による被害を受けるおそれがあれば、建築基準法第19条第4項の措置が別に要ります(おそれの有無を判断するのは建築士と窓口です)
  • ⑪郡山市では、確認申請にがけの水平距離と形状を示す図書を添えます。ほかの区域でも、何を添えるかを窓口に確かめてから図面を作ってもらってください
  • ⑫建築士と窓口に、最初に「いつごろ答えが出るか」を聞く——それが分かって初めて、売買契約の日取りを動かせます

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、擁壁の費用や、範囲の外へ配置を変える手間を、土地の値段に織り込みにくくなります。すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に。がけの高さと、がけからの距離は、現況の測量図と断面図がないと自分では判断できません——測量と図面は建築士に、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口に、お尋ねください。どれくらい日数がかかるかは、がけの状態と計画で変わりますので、この記事では示せません。

擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(条例の第5条の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。

出典

条文は2026年9月4日に、福島県例規集(内容現在 令和8年7月17日と表示されているもの)の本文検索と、県が公表している「福島県建築基準法施行条例とその解説」(PDF)の2つを突き合わせて確認しました。第5条は全5項・全号、第2条・第43条の11・第43条の12(本文)・第46条・第47条・第48条・第49条を例規集の正文で読み、解説PDFの条文と一致することを確かめています。法律と政令は同じ日にe-Gov法令検索(法令API)で、告示第383号は国土交通省が公表している本文で、指針・取扱い集・各市のページ・各建設事務所のページも同じ日に開いて確かめました。確かめきれなかったことが8つあります。

  • ①県条例第43条の11による災害危険区域が、実際にどこに指定されているか——指定は告示で行われますが、県例規集の本文検索と県建築指導課のページでは指定の一覧が見つかりませんでした。「指定されている」とも「されていない」とも、この記事は書いていません。
  • いわき市が県条例第5条を適用していることを、いわき市自身のページで直接は確かめられていません(市の建築基準法関連のページ一覧に「建築基準条例」の項目が無いことと、市が取扱い集を作った連絡会議の構成員であることまでです)。
  • 福島市・いわき市・須賀川市の建築基準法施行細則の本文は、各市の例規集がJavaScriptでしか開けず、機械では読めませんでした——確認申請にがけの図書を求める定めがあるかは、窓口で確かめてください。
  • 第43条の12の第1号・第2号第43条の10、第48条第2項以下の正文は、例規集の本文検索で第43条の12第2号・第48条第2項・第49条は読みましたが、第43条の12第1号と第43条の10は県の解説PDFの条文でしか読んでいません。
  • ⑤会津若松市・須賀川市が第2条第1項の「法第四条第一項又は第二項の規定により建築主事を置いた市町村」に当たらないという読みは、条文の文言と法第97条の2の条文からのもので、県に確認したものではありません。
  • ⑥指針第3条第2号の表で、勾配が(い)欄以下のときの扱いは、指針の文面に書かれていません。
  • ⑦ただし書で擁壁が要らない場合にも第5項の排水設備が及ぶかは、条文と解説からは決めきれませんでした。
  • ⑧原子力災害に伴う帰還困難区域などの立入り・建築の制限は別の法制度で、ここでは触れません。

この8つは、所管の窓口で確かめてください。

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