福井のがけ条例——福井県建築基準条例第3条の3

福井の崖の決まりは第3条の3です

福井で崖の近くに家を建てる・買う人へ——最初に答えから。

先にすることは、3つです。がけ条例がかかっても、建てられないと決まったわけではありませんまず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、擁壁(ようへき=がけの土が崩れないよう支える壁)の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう——まだ建築士に心当たりが無いなら、先に売主・仲介の不動産会社へ「測量図と、がけの高さが分かる資料はありますか」と聞くところから。そのうえで、その図面を持って計画地を所管する建築行政の窓口へ、条例の当てはめを確かめる。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。確かめる中身は、この記事の最後の「売買契約の前に、専門家と確かめること」にまとめてあります。

①福井の「がけ条例」は、福井県建築基準条例(昭和36年4月7日 福井県条例第21号)第3条の3「崖附近の建築物」です(災害危険区域の第3条・第3条の2と同じ章に並んでいます)。②高さ3メートルを超える崖の上か下に建てるとき崖の高さの2倍以内に入るなら、原則として安全な擁壁が要ります(高さ4メートルの崖なら8メートル以内。起点は、がけ下に建てるなら崖の上端、がけ上なら崖の下端です)。条文の形でいうと、崖の下端(かたん)または上端(じょうたん)に隣接する崖以外の土地で、建築物を建築する計画に伴い崖の高さの2倍以内の位置に建築物を建築し、もしくは建築物の敷地を造成するときは、原則として安全な擁壁(ようへき=がけの土が崩れないように支える構造物。塀とは役割が違います)を設けなければなりません——ただし、対象から抜かれる建築物と、適用しない場合が条文に置かれています(後述)。第3条の3が求める「安全な擁壁」を設ければ、第3条の3の関係では原則として建てられます——ただし「安全な擁壁」の中身を定めた規定は、条例にも県細則にもありませんので、何を基準に見るかは窓口で確かめてください。なお第3条の3は第1項と第2項からなり、第2項は義務を足す項ではなく、第1項を適用しない場合を定めた項です(がけ上は建築物の基礎が崖の崩壊に影響を及ぼさないとき、がけ下は主要構造部を鉄筋コンクリート造もしくはこれに類する構造とするか、崖と建築物との間に適当な流土止めを設けたとき)。災害危険区域・土砂災害の区域・法第19条第4項も別に確認してください。③建設地が福井市内なら特定行政庁(原則として、建築主事または建築副主事を置く市町村の区域ではその市町村長、それ以外の区域では都道府県知事。ただし、法第97条の2により建築主事または建築副主事を置く市町村(限定特定行政庁)の区域内では、政令で定める建築物の特定行政庁は都道府県知事です——法第2条第35号ただし書)は福井市長(窓口は福井市の建築指導の担当課)、それ以外の16市町なら県の土木事務所(7か所)行政への相談窓口です——建築確認は、業務の範囲内であれば指定確認検査機関(民間の確認検査機関)にも申請できます(法第6条の2)。

★「2倍以内」は、離す距離ではありません。福井の第3条の3は、距離を空けよとは書いていません——2倍以内にかかるなら、原則として擁壁を設けよという定めです(外れ方は3つ——本則の括弧書き・第1項ただし書・第2項)。そして建築物の建築計画に伴って、建築物または建築物の敷地の造成が2倍以内に入る場合も対象になります——第3条の3は「崖以外の土地に建築物を建築する場合であつて」を先に置いているので、建築計画を伴わない独立した造成だけに及ぶとは、条文からは断定できません——造成だけの計画がかかるかは、窓口で確かめてください。この記事は、県が公開している条例のPDF(令和6年3月最終改正)と県例規集の現行条文を突き合わせて読んだ整理です(2026年8月29日に原文を確認しました)。

「がけ条例」の実体は、福井県建築基準条例の第3条の3です

福井の崖の決まりは第3条の3です
「がけ条例」という名前の条例はありません。福井県では福井県建築基準条例(昭和36年福井県条例第21号)第3条の3です。第3条・第3条の2も同じ第2章にあります。

「がけ条例」という名前の条例はありません。福井県建築基準条例は、その第1条で、建築基準法第39条第1項および第2項、第40条(第88条第1項において準用する場合を含む。)、第43条第3項ならびに第56条の2第1項による制限その他法の施行に必要な事項を定めるものとしています。崖の規定は、条例の第2章「災害危険区域等における建築物」に置かれた第3条(災害危険区域の指定)・第3条の2(災害危険区域内の建築物)・第3条の3(崖附近の建築物)の3か条です——災害危険区域も、同じ条例の中にあります(別条例ではありません)。

区域によって条例の適用を外す定めは、見当たりません。条例本文と県の建築基準法施行細則を読んだ範囲では、特定の市町では条例の全部または一部を適用しないという条はありませんでした。福井市内でも県条例が働きます——福井市の建築基準法施行細則は、確認申請書の添付図書を定める第4条第1号で、県条例の第3条の2および第3条の3を名指ししています。

(1) 福井県建築基準条例(昭和36年福井県条例第21号。以下「県条例」という。)第3条の2及び第3条の3に該当する建築物を建築する場合は、崖の形状及び土質並びに擁壁の構造等安全上支障がないことを明示した図書

福井市建築基準法施行細則 第4条第1号(確認の申請書の添付図書)

県に確認申請を出す場合の添付図書は、県の細則が定めています。

(1) 建築物を建築する敷地が災害危険区域または高さが3メートルを超える崖に接する場合 崖の形状および擁壁等の構造を明示した図書

建築基準法施行細則(昭和47年4月25日 福井県規則第41号)第4条第1号・県公式PDF

条例は「崖の下端/上端に隣接する崖以外の土地」という書き方、細則は「敷地が…崖に接する場合」という書き方で、言い回しが違います。この2つが同じ範囲を指すのかどうかは、条文を並べただけでは決まりません——計画地が境目にあるなら、崖の位置を入れた配置図を持って窓口に確かめてください。

窓口は建設地で分かれます。県の受付窓口の案内は、「建設地が福井市内の場合は特定行政庁が福井市となります」として、福井市内の計画を福井市役所建設部建築事務所建築指導課へ、それ以外の16市町を県の土木事務所の建築課・建築営繕課へ振り分けています——福井(永平寺町を含む)・三国(あわら市・坂井市)・奥越(大野市・勝山市)・丹南本所(越前市・池田町・南越前町)・丹南 鯖江丹生土木部(鯖江市・越前町)・敦賀(敦賀市・美浜町・若狭町のうち旧三方町の地域)・小浜(小浜市・高浜町・おおい町・若狭町のうち旧上中町の地域)の7か所です。県の細則も、建築主事等の所管区域を「建築主事等が所属する土木事務所の管轄区域(福井市の区域を除く。)」と定めています(第2条)。なお、福井市の例規集の体系目次で見るかぎり、市独自の建築基準条例はありません——「第11類 第1章 土木・建築」に載る建築関係は、施行細則・特別用途地区建築条例・建築協定条例・建築審査会条例・地区計画条例・中高層紛争条例・旅館建築規制条例・耐震改修細則で、建築基準条例も災害危険区域条例もありません。福井市以外の16市町の例規集は確認していません——市町独自の定めがあるかどうかは、建設地の市町の担当課にも確かめてください。

どこからが「崖」か——勾配が30度をこえる傾斜地。高さ3メートル超は適用の条件です

「崖」は勾配が30度をこえる傾斜地です
定義は第3条の2の括弧書き「崖(勾配が30度をこえる傾斜地をいう。次条において同じ。)」。高さ3メートル超は定義ではなく、第3条の3が適用される条件の側にあります。実際の上端・下端と高さは、測量図をもとに確かめてください。

「崖」の定義は、第3条の2の括弧書きに置かれています。同じ括弧書きが「次条において同じ」と続けているので、この定義は第3条の3にも及びます。数字は「こえる」「超える」です——30.0度ちょうどの斜面、3.0メートルちょうどの高さは、当たりません。

崖(勾配が30度をこえる傾斜地をいう。次条において同じ。)

福井県建築基準条例 第3条の2(括弧書き)

定義に高さは入っていません。「高さ3メートルを超える」は定義ではなく、第3条の3が適用される条件の側にあります。したがって、勾配が30度をこえる傾斜地であれば条例上の「崖」に当たり、そのうち高さが3メートルを超えるものについて第3条の3がかかります。「3メートルを超える」であって「3メートル以上」ではありません——条文の上では、測量の結果、崖の高さがちょうど3.0メートルと判断される場合は第3条の3の対象外です。実際の上端・下端と高さは、測量図をもとに確かめてください。

硬岩盤を外す限定は、条例に書かれていません。第3条の2の括弧書きは「勾配が30度をこえる傾斜地」だけで、岩盤に関する除外はありません。県の建築基準法施行細則にも、その除外はありません。硬岩盤(風化の著しいものを除く。)を「崖」から外す定義を置く法令は別にあります(宅地造成及び特定盛土等規制法施行令第1条第1項)が、福井県建築基準条例はその定義を引いていません。岩盤の斜面を実際にどう扱っているかは、条文からは読み取れません——地質の資料を添えて、所管の窓口に確かめてください。

そして、第3条の3の「崖」に当たらない斜面や、2倍の範囲の外でも、安全の検討が不要になるわけではありません。建築物が崖崩れ等による被害を受けるおそれのある場合には、建築基準法第19条第4項により、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければなりません。個別の計画がその「おそれのある場合」に当たるかは、崖の状態・距離・地盤・建物の計画などによって判断されます。

義務の形は「2倍以内なら、原則として安全な擁壁を設ける」——離す距離の定めではありません

安全な擁壁を設ければ原則建てられます
「◯メートル離せば足りる」という定めは、この条にはありません。起点は、がけ下なら崖の上端から、がけ上なら崖の下端から。建物が2倍の外でも、敷地の造成が2倍以内に入れば擁壁が要ります。なお「安全な擁壁」の中身を定めた規定は、条例にも県細則にもありません(図は一例)。「建てられます」は、第3条の3 の義務を満たすという意味です——法第19条第4項・災害危険区域・土砂災害の区域は、別に確認してください。

次の条文で、第1項の本則にある2つの括弧書きが対象から抜いているのは居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)を有する建築物です——がけ下は災害危険区域内・土砂災害特別警戒区域内にあるもの、がけ上は災害危険区域内にあるものに限られます。倉庫・車庫・物置のような居室のない建築物は、抜かれません

(崖附近の建築物)
第3条の3 高さ3メートルを超える崖の下端に隣接する崖以外の土地に建築物(居室を有する建築物であって災害危険区域内または土砂災害特別警戒区域内にあるものを除く。)を建築する場合であって、崖の上端からの水平距離が、崖の高さの2倍以内の位置に建築物を建築し、もしくは建築物の敷地を造成するとき、または高さ3メートルを超える崖の上端に隣接する崖以外の土地に建築物(居室を有する建築物であって災害危険区域内にあるものを除く。)を建築する場合であって、崖の下端からの水平距離が、崖の高さの2倍以内の位置に建築物を建築し、もしくは建築物の敷地を造成するときは、崖の形状もしくは土質または建築物の位置、規模もしくは構造に応じて安全な擁壁を設けなければならない。ただし、崖の形状または土質により安全上支障がない場合は、この限りでない。
2 前項の規定は、崖の上端に隣接する崖以外の土地に建築物を建築する場合において、当該建築物の基礎が崖の崩壊に影響を及ぼさないとき、および崖の下端に隣接する崖以外の土地に建築物を建築する場合において、当該建築物の主要構造部(崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分を除く。)を鉄筋コンクリート造もしくはこれに類する構造とし、または崖と当該建築物との間に適当な流土止めを設けたときは、適用しない。

福井県建築基準条例 第3条の3(県例規集の現行条文)

起点は上下で入れ替わります。崖の下端に隣接する土地(がけ下)に建てるときは崖の上端からの水平距離、崖の上端に隣接する土地(がけ上)に建てるときは崖の下端からの水平距離を見て、それが崖の高さの2倍以内の位置なら第3条の3がかかります。たとえば高さ4メートルの崖なら、起点から8メートル以内です。

かかったときに求められるのは、距離ではなく擁壁です。条文は「崖の形状もしくは土質または建築物の位置、規模もしくは構造に応じて安全な擁壁を設けなければならない」と書いています。「◯メートル離せば足りる」という定めは、この条にはありません。第3条の3の条文の中で、2倍以内に入ったうえで擁壁の義務が外れる仕組みは、本則の括弧書きで対象から抜けるか、第1項ただし書か、第2項の3つです(次の節)——これとは別に、法第85条などの条例の外の適用除外があります

建物の計画があるなら、建物本体が2倍の外にあっても、敷地の造成が2倍以内に入れば擁壁が要ります。だから造成の設計段階で決まります。条文は「建築物を建築し、もしくは建築物の敷地を造成するとき」と並べています。建物を建てる前の、建築物の敷地を造成する段階から、この条の射程に入ります。

「安全な擁壁」の中身は、条例にも県細則にも書かれていません。だから、聞き方が決まっています——資料3点(このあとの①②③)を持って、「この擁壁で扱えるか」「何の基準で見ているか」の2つを聞いてください。なお、造成の区域・規模・内容によっては、盛土規制法の許可・届出と福井県の技術的基準が別にかかります。宅地造成の技術基準や大臣認定を引く文言は、福井県建築基準条例の条文には書かれていません。「県の基準ではこうです」と言える資料を、県のページからは見つけられませんでした——探したのは、県の「建築基準関係例規集」ページの掲載物、建築住宅課のページ、県の「建築確認申請に関する事前相談について(事前相談のポイント)」ページの3か所です。土木事務所の窓口で配られている資料や、建築士会経由の資料までは確認していません。相談に行くときは、①崖の高さ・勾配・土質が分かる資料(測量図・地質調査結果)、②既にある擁壁の確認済証・検査済証・構造図、③崖と建物の位置関係を入れた配置図を持って、「この擁壁で第3条の3の『安全な擁壁』として扱えるか」「何の基準で見ているか」を聞いてください。

適用が外れる場所は3つ——本則の括弧書き・第1項ただし書・第2項

擁壁を設けずに済むのは3つの場合
第3条の3の中では3か所です(①本則の括弧書き・②第1項ただし書・③第2項)——条例の外の適用除外は別にあります。①の区域は災害危険区域・土砂災害特別警戒区域で、抜かれるのは「居室を有する建築物」に限られますがけ上の括弧書きに土砂災害特別警戒区域は入りません)。③がけ下は鉄筋コンクリート造もしくはこれに類する構造適当な流土止めのどちらかで足ります。

福井の第3条の3には「号」がありません。除外は3か所に分かれて置かれています。3つは働き方が違います——①はそもそも対象から抜く、②は義務を免除する、③は第1項を適用しない。②③に当たれば、第3条の3の擁壁の義務は外れます。①で抜かれるのは災害危険区域内・土砂災害特別警戒区域内の居室を有する建築物で、そちらでは第3条の2や令第80条の3が別にかかるためです

  • ① 本則の括弧書き(対象から抜く)——がけ下は「居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)を有する建築物であって災害危険区域内または土砂災害特別警戒区域内にあるものを除く」。がけ上は「居室を有する建築物であって災害危険区域内にあるものを除く」。この括弧書きで抜かれるのは「居室を有する建築物」に限られます
  • ② 第1項ただし書——「崖の形状または土質により安全上支障がない場合は、この限りでない。」本則が「崖の形状もしくは土質または建築物の位置、規模もしくは構造に応じて」と3つを並べているのに対し、ただし書が挙げているのは「崖の形状」「土質」の2つです
  • ③ 第2項(適用しない)——がけ上は当該建築物の基礎が崖の崩壊に影響を及ぼさないとき。がけ下は当該建築物の主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段。建物の構造上重要な部分)(崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分を除く。)を鉄筋コンクリート造もしくはこれに類する構造とし、または崖と当該建築物との間に適当な流土止めを設けたとき——この2つは「または」で結ばれており、どちらかに当たれば、擁壁の義務は外れます

居室のない建物は、①では抜かれません。倉庫・車庫・物置のように居室を有しない建築物は、災害危険区域内でも土砂災害特別警戒区域内でも、本則の括弧書きでは除外されず、原則として第3条の3の対象です(第1項ただし書や第2項に当たる場合は別です)。第1項ただし書や第2項に当たるかは、別途、崖の形状・土質や建物の構造から判断します。

①で抜かれた建築物が、無規制になるわけではありません。抜かれるのは区域内にある居室を有する建築物なので、災害危険区域内なら同じ条例の第3条の2(基礎および主要構造部を鉄筋コンクリート造またはこれに類する構造とし、居室を崖に直接面させない)が、土砂災害特別警戒区域内なら建築基準法施行令第80条の3が、それぞれ条例の擁壁義務とは別にかかります。

第2項の括弧書きは、読み違えると意味が逆になります。「主要構造部(崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分を除く。)」——鉄筋コンクリート造等にすべきは、おそれのある部分の側です。「おそれのある部分を除く」と読むと反対になります。

レッドゾーンとの関係——居室を有する建築物は、がけ下では外れ、がけ上では外れません

レッドゾーンはがけ下だけ外れます(令第80条の3は残ります)
レッドゾーンは、規制が軽い区域ではありません。条例の擁壁の義務ががけ下で外れる場合でも、令第80条の3が別にかかります。がけ下の括弧書きには土砂災害特別警戒区域が入っていますが、がけ上の括弧書きには入っていません——この非対称を説明した福井県の資料は、見つけられませんでした。レッドゾーン内で居室を有する建築物を建てるなら、建築基準法施行令第80条の3がもともとかかります。

福井の条例は、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)を2か所で切り離しています

  • 第3条——災害危険区域として指定する区域は、知事が指定した急傾斜地崩壊危険区域から土砂災害特別警戒区域を除いたもの。つまりレッドゾーンは、福井県の災害危険区域ではありません。したがって第3条の2(災害危険区域内の構造規制)はレッドゾーンには及びません
  • 第3条の3の括弧書き(がけ下だけ)——「居室を有する建築物であって災害危険区域内または土砂災害特別警戒区域内にあるものを除く」。レッドゾーン内の居室を有する建築物は、がけ下では第3条の3の擁壁義務の対象から外れます

がけ上の括弧書きには、レッドゾーンが入っていません。がけ上(崖の上端に隣接する崖以外の土地)で抜かれるのは「居室を有する建築物であって災害危険区域内にあるもの」だけで、土砂災害特別警戒区域は挙がっていません。この非対称がなぜ置かれているのかを説明した福井県の資料は、県の「建築基準関係例規集」ページの掲載物・建築住宅課のページ・県の「建築確認申請に関する事前相談について(事前相談のポイント)」ページの3か所を見た範囲では、見つけられませんでした——条文の文言としてこうなっている、というところまでが確かなことです。

条例から外れることと、規制が無くなることは別です。レッドゾーン内で居室を有する建築物を建てる場合には、条例とは別に、建築基準法施行令第80条の3がもともとかかります——条例が外れた代わりに働く規定ではありません。加えて、レッドゾーンでは、住宅(自己の居住の用に供するものを除く)や、高齢者・障害者・乳幼児など特に防災上の配慮を要する人が利用する社会福祉施設・学校・医療施設(政令で定めるもの)を建てるための土地の区画形質の変更(特定開発行為)の許可(土砂災害防止法第10条第1項。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う開発行為と、仮設建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為には、許可が要りません(同項ただし書、同法施行令第5条)。特定開発行為でなくなるわけではありません。用途が未確定で、これら以外の用途であることが確定していない予定建築物も含みます)や、同法第25条による建築確認の追加建築基準法第6条第1項第3号に規定する区域を除く特別警戒区域であること・居室を有する建築物であること(同項第1号又は第2号に掲げるものを除きます)・居室を有する建築物の全部または一部が区域内にあること・敷地の過半が区域内であることが条件で、敷地の過半が区域外なら追加の対象になりません。第1号・第2号の建築物は、レッドゾーンと関わりなくもともと法第6条で確認が要ります)が問題になります。

福井県の指定は、土砂災害警戒区域11,752箇所、うち土砂災害特別警戒区域10,444箇所です(令和8年3月3日現在・県公表。内訳は土石流4,542/3,537、急傾斜地7,057/6,907、地すべり153/0)。最新の指定と区域の境界は、県が公表する公示図書で確認してください——県のページによると、指定された箇所ごとの公示図書は本庁砂防防災課・最寄りの土木事務所・市役所・町役場で縦覧されています。県が公開している「福井県土砂災害警戒区域等管理システム」は、県のページに令和7年1月21日時点のデータと注記されています。レッドゾーン内の居室を有する建築物について、令第80条の3に対応する2つの方法——外壁等(外壁・構造耐力上主要な部分のうち、土石等の高さ等以下で、土砂災害の原因となる自然現象〔河道閉塞による湛水を除く〕により衝撃が作用すると想定される部分)を所定の構造にするか、土石等の高さ等以上の高さで、外壁等と同等以上の耐力を有するものとして国土交通大臣が定めた構造方法による門・塀を、衝撃を遮るように設けるか——と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。

災害危険区域は同じ条例の第3条の2——禁止ではなく、鉄筋コンクリート造等の構造規制です

災害危険区域は禁止ではありません
第3条の2です。①は鉄筋コンクリート造またはこれに類する構造。ただし書は崖崩れによる被害を受けるおそれのない場合。区域は急傾斜地崩壊危険区域から土砂災害特別警戒区域を除いたもの(第3条)。切土・盛土等は急傾斜地法第7条の許可が要ることがあり、窓口は土木事務所の管理課・管理用地課(福井市内は福井土木事務所 管理課)です。

(災害危険区域の指定)
第3条 法第39条第1項の規定により災害危険区域として指定する区域(以下「災害危険区域」という。)は、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の規定により知事が指定した急斜地崩壊危険区域(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第9条第1項の規定により知事が指定した土砂災害特別警戒区域(以下「土砂災害特別警戒区域」という。)を除く。)とする。

福井県建築基準条例 第3条

※ 引用中の「急斜地崩壊危険区域」は、県のPDFと県例規集のどちらも同じ表記です。急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第3条第1項が指定する区域の名称は「急傾斜地崩壊危険区域」で、県の砂防のページや指定の告示もその表記を使っています。

(災害危険区域内の建築物)
第3条の2 災害危険区域内において居室を有する建築物を建築する場合には、当該建築物の基礎および主要構造部は、鉄筋コンクリート造またはこれに類する構造とし、かつ、当該居室は、崖(勾配が30度をこえる傾斜地をいう。次条において同じ。)に直接面していないものでなければならない。ただし、崖崩れによる被害を受けるおそれのない場合は、この限りでない。

福井県建築基準条例 第3条の2

福井の災害危険区域は、建築の禁止ではありません。区域内で居室を有する建築物を建てる場合に、①基礎および主要構造部を鉄筋コンクリート造またはこれに類する構造とし、②その居室が崖に直接面していないことの2つを求める構造規制です。ただし書は「崖崩れによる被害を受けるおそれのない場合」とだけ定めていて、判断の材料を崖側・建物側のどちらかに限っていません(建物の位置・構造・防護措置などが関係しないとは、条文からは言えません)。

区域の中では、建築基準法系とは別の許可もかかります。急傾斜地崩壊危険区域内で、「水を放流し、又は停滞させる行為その他水のしん透を助長する行為」、急傾斜地崩壊防止施設以外の施設または工作物の設置・改造、のり切・切土・掘さく・盛土、立木竹の伐採、木竹の滑下・地引による搬出、土石の採取・集積などを行う場合は、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(急傾斜地法)第7条により原則として知事の許可が必要です(非常災害のための応急措置、区域指定の際すでに着手している行為、政令で定めるその他の行為は、ただし書で除かれます)。窓口は、建築の窓口とは課が違います——福井市以外の16市町は、建築=管轄の土木事務所の建築課・建築営繕課、急傾斜地法第7条の許可=同じ土木事務所の管理課・管理用地課です。福井市内は役所が分かれます——建築=福井市役所建設部建築事務所建築指導課、急傾斜地の許可=福井土木事務所 管理課。区域の詳細な位置も、管轄の土木事務所に問い合わせる案内になっています。

条例第29条の既存不適格の緩和は第3条の2・第3条の3に及ばず、仮設の特例も条例にはありません

条例の緩和は崖の条に届きません
第29条の対象は第24条から第27条までで、第3条の2・第3条の3は入っていません。条例本文に「仮設」の語は0件——法第85条第6項・第7項の許可の適用除外の列挙にも、法第39条・第40条は入っていません。条例に無くても、既存不適格は法第3条第2項、増改築は法第3条第3項で判断します。

一般の仮設興行場・博覧会建築物・仮設店舗等を新築する場合は、法第85条第6項・第7項の許可の制度です——同項の適用除外の列挙には法第39条・第40条が入っておらず、福井県条例にも独自の仮設の適用除外がないので、許可を受けただけで第3条の2・第3条の3が外れるとはいえません。既存の建築物を一時的に他の用途で使う場合は、法第87条の3を別に確かめます——同条第6項・第7項では法第87条第2項が適用されないので、一時的な用途変更だけを理由として県条例が新たに準用されることはありません。条例の既存不適格(きそんふてきかく=建てたときは適法だった建物)の緩和は第29条ですが、その対象は第24条から第27条までに限られています(第4章「特別の配慮を要する特殊建築物」の出入口・通路・廊下・階段の規定)。第3条の2・第3条の3は入っていません。また、条例本文に「仮設」の語は出てきません——県公式PDFと県例規集HTMLの両方で数えて0件で、仮設興行場等について条例の適用を除く条はありません(「第85条」が現れるのは平成17年条例第39号の附則の改め文の中に限られます)。

これから新しく家を建てる人は、この段落を飛ばして構いません——建て替え・増築を考えている人が読むところです。条例に無くても、法の側の適用関係は別にあります。既存不適格建築基準法第3条第2項で、法・命令・条例の規定の施行または適用の際に現に存する建築物もしくはその敷地、または現に建築・修繕・模様替の工事中の建築物もしくはその敷地が、その規定に適合しない場合に、その規定の適用を受けないという仕組みです。「前からある建物だから条例全体が外れる」ではありません。増築・改築等をする場合の扱いは法第3条第3項によります。もっとも増築・改築の側では、法第86条の7第1項の法定緩和がこの条例には届きません——同項が列挙しているのは法第20条・第21条・第48条といった法自身の条で、法第39条・第40条に基づく条例の規定は入っていません(同条第2項・第3項も同じです)。施行令第137条の2以下も、それぞれ法の個別の条に対応するものです。法第86条の7の中で、第3条の2・第3条の3に届く緩和は第4項の移転です——同項が対象にする「建築基準法令の規定」には条例が含まれ(法第6条第1項の定義)、施行令第137条の16の範囲(同一敷地内の移転か、交通上・安全上・防火上・避難上・衛生上及び市街地の環境の保全上支障がないと特定行政庁が認める移転)であれば、法第3条第3項にかかわらず適用されません。用途変更は、工事を伴わなくても法第87条第2項により第39条第2項・第40条に基づく条例の規定が準用され、法第3条第2項の適用を受けない建築物の用途変更については法第87条第3項により原則として準用されます(同項各号に当たる場合は準用から除かれます)。号ごとに結論が違います——第1号(増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替を伴う場合)は、用途変更の側ではなく法第3条第3項で判断します。第2号(政令で指定する類似の用途相互間で、修繕・模様替をしないか、それが大規模でない場合)は、その用途変更だけを理由に条例が遡って適用されることはありません第3号は法第48条(用途地域)に関する例外で、がけの規定には関わりません。仮設建築物については、法第85条第1項・第2項の国法上の適用除外があります——第2項が適用を除く規定には法第39条および法第40条(どちらもこの条例の委任の根拠)が含まれます——ただし条文は「第四十条の規定」とだけ書いていて、「同条に基づく条例の規定」とは書いていません(福井県が公表している解釈は見つけられませんでした)。この第2項の列挙には、法第19条も入っています——これに当たる仮設建築物には、さきに書いた法第19条第4項の措置義務も及びません。なお第2項にもただし書があり、防火地域又は準防火地域内にある延べ面積50平方メートルを超えるものには、法第62条の適用があります。第1項と第2項は、形がまるで違います。第1項は、特定行政庁が指定する非常災害区域等の中で、災害により破損した建築物の応急の修繕、または災害が発生した日から1か月以内に工事に着手する応急仮設建築物——国・地方公共団体・日本赤十字社が災害救助のために建築するものか、被災者が自ら使用するもので延べ面積30平方メートル以内のもの——について、建築基準法令の規定を広く適用しないものです。ただし、防火地域内に建築する場合は、この適用除外はありません。第2項は全部を外すのではなく、列挙された規定だけを外す形で、対象は災害があった場合に建築する停車場・官公署その他これらに類する公益上必要な用途の応急仮設建築物と、工事を施工するために現場に設ける事務所・下小屋・材料置場等です(防火地域・準防火地域内で延べ面積50平方メートルを超えるものには、法第62条の適用があります)。「建築」には新築だけでなく増築・改築・移転が含まれます(法第2条第13号)。個別の計画でどれに当たるかは、所管の窓口で確認してください。

罰則は第35条。名宛人は、まず設計者です

罰金は原則設計者、命令は建築主・所有者等
第35条です。第3条の2から第22条までおよび第24条から第27条までの違反が対象で、第3条(区域の指定)は列挙に入っていません。第3項は両罰で、法人・人にも罰金が科されます(相当の注意および監督が尽されたことの証明があったときは除かれます)。罰金が建築主に及ぶのは故意のとき。是正命令(法第9条第1項)の相手方は建築主・工事の請負人・現場管理者・所有者・管理者・占有者で、故意は要件ではありません——命令違反は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法第98条第1項第一号)。

第35条 第3条の2から第22条までおよび第24条から第27条までの規定に違反した場合における当該建築物または工作物の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、または設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物または工作物の工事施工者)は、20万円以下の罰金に処する。
2 前項に規定する違反があった場合において、その違反が建築主または工作物の築造主の故意によるものであるときは、当該設計者または工事施工者を罰するほか、当該建築主または工作物の築造主に対しても前項の刑を科する。
3 法人の代表者または法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人または人の業務に関して、前2項の違反行為をした場合においては、その行為者を罰するほか、その法人または人に対して本条の刑を科する。ただし、法人または人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し、相当の注意および監督が尽されたことの証明があったときは、その法人または人については、この限りでない。

福井県建築基準条例 第35条(罰則)

崖の規定は、罰則の射程に入っています。「第3条の2から第22条まで」に、第3条の2(災害危険区域内の建築物)と第3条の3(崖附近の建築物)が両方含まれます(枝番の並びは第3条の2→第3条の3→第4条)。一方、第3条(区域の指定)は、第35条第1項が列挙する条には入っていません。刑は20万円以下の罰金。名宛人(なあてにん=命令や罰則を受ける人)は、第一に設計者、設計図書を用いない・従わない施工なら工事施工者、建築主(築造主)は故意のときに限り同じ刑が科されます。第3項は両罰で、代理人・使用人その他の従業者の違反について法人・人が相当の注意および監督を尽くしたことの証明があれば、法人・人については科されません。

そして建築確認の対象となる計画では、第3条の2・第3条の3への適合も原則として確認審査の対象です。確認特例の適用は、建築物・設計者の区分に応じて建築基準法第6条の4・施行令第10条で決まり、法第39条から第41条までに基づく条例規定のうち特定行政庁が規則で定めた規定が審査省略の対象になり得ます。条例への適合義務は、審査の範囲とは別に生じます。建築確認が不要なことだけを理由に第3条の3が適用外になるわけではありません。違反すれば是正命令(建築基準法第9条。除却(じょきゃく=取り壊し)・使用禁止などの措置を含みます)や罰則の対象になり得ます。

是正命令は、建築主・所有者などに来ます(法第9条第1項)

罰則の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、当該建築物の建築主、工事の請負人(下請人を含みます)・現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者に対して措置を命ずることができる、と定めています。故意かどうかは、この条の要件ではありません。命じられるのは工事の施工の停止のほか、除却・移転・改築・増築・修繕・模様替・使用禁止・使用制限その他、違反を是正するために必要な措置です。建てたあとに除却や使用禁止を命じられ得るのは、建築主・所有者などです——設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていません命令に従わないと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(法第98条第1項第一号)。条例の罰金より重い額です。

売買契約の前に、専門家と確かめること

売買契約の前に、専門家と確かめること
このチェック項目は、自分で判定するためのものではありません——測って図にするのは建築士条例の当てはめは所管の建築行政の窓口です。個別の判断は建築士と、建設地を所管する建築指導の窓口へ——福井市内は福井市役所建設部建築事務所建築指導課、それ以外の16市町は管轄の土木事務所の建築課・建築営繕課です——土木事務所は福井・三国・奥越・丹南・敦賀・小浜の6か所で、丹南は本所と鯖江丹生土木部に分かれるので受付は7か所です。福井市以外の16市町の例規は確認していません

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。もう契約したけれど、引渡し(決済)がまだなら、その前に。契約書にどんな条件が付いているかは、契約した不動産会社に確かめてください。測量図・断面図をそろえて相談するまでには、日数がかかります——契約日が決まっているなら、その日程を先に不動産会社へ伝えてください。がけの高さと、がけからの距離は、現況の測量図と断面図がないと自分では判断できません——測量と図面は建築士に、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口に確かめてください。どこを上端・下端とみるかも、窓口に確かめてください。

  • ① 計画地の上か下に、勾配が30度をこえる傾斜地があり、その高さが3メートルを超えるか(第3条の2の括弧書きの定義+第3条の3の適用条件。ちょうど3.0メートルは第3条の3の対象外。硬岩盤を外す限定は条例に書かれていないので、岩盤の斜面は窓口へ)
  • ② 建てる位置が、がけ下なら崖の上端から、がけ上なら崖の下端から、崖の高さの2倍以内に入るか。入るなら「離す」ではなく安全な擁壁を設けるのが原則です(第3条の3第1項)。建物の工事前に敷地を造成する段階でも当たり得ます——ただし第3条の3は「崖以外の土地に建築物を建築する場合であつて」を先に置いており、建築計画を伴わない独立した造成だけに及ぶとは、条文からは断定できません
  • ③ 既に擁壁があるなら、確認済証・検査済証・構造図と現況をそろえる。「安全な擁壁」の中身を定めた規定は条例にも県細則にもないので、資料を持って「この擁壁で第3条の3の擁壁として扱えるか」「何の基準で見ているか」を土木事務所(福井市内は市の建築指導課)に聞いてください
  • ④ 擁壁を設けずに済ませたいなら、本則の括弧書き(次の⑤)・第1項ただし書・第2項のどれかに当たるか。ただし書は崖の形状または土質による安全上支障がない場合(建築物側の事情は挙がっていません)。第2項は、がけ上なら基礎が崖の崩壊に影響を及ぼさないとき、がけ下なら主要構造部(崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分を除く。)を鉄筋コンクリート造もしくはこれに類する構造とするか崖と建築物との間に適当な流土止めを設けたとき
  • ⑤ 建てるものに居室があるか。本則の括弧書きで抜かれるのは「居室を有する建築物」に限られます。倉庫・車庫・物置など居室のない建築物は、区域内でも括弧書きでは除外されず、原則として第3条の3の対象です(ただし書・第2項に当たるかは別途)
  • ⑥ 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に入っていないか。入っていて居室を有する建築物なら、がけ下では第3条の3の括弧書きで外れますが、がけ上では外れません(外れないなら②の擁壁に戻ります)。いずれの場合も建築基準法施行令第80条の3はもともとかかります。あわせて土砂災害防止法第10条第1項の特定開発行為の許可同法第25条による建築確認の追加(法第6条第1項第3号の区域を除く特別警戒区域で、居室を有する建築物のうち同項第1号・第2号に掲げるものを除くもの。居室を有する建築物の全部または一部が区域内にあり、かつ敷地の過半が区域内のとき)の要否を確認。区域と境界は県が公表する公示図書で(本庁砂防防災課・最寄りの土木事務所・市役所・町役場で縦覧)
  • ⑦ 災害危険区域(=土砂災害特別警戒区域を除いた急傾斜地崩壊危険区域)に入っていないか。入っていて居室を有する建築物なら、基礎および主要構造部を鉄筋コンクリート造またはこれに類する構造とし、居室を崖に直接面させない(第3条の2。ただし書は崖崩れによる被害を受けるおそれのない場合)。区域内の切土・盛土・工作物の設置・立木竹の伐採等は、急傾斜地法第7条により知事の許可が要る場合があり、窓口は土木事務所の管理課・管理用地課です(建築の窓口とは課が違います)
  • ⑧ 条例の「隣接する崖以外の土地」と、県細則の「敷地が…崖に接する場合」のどちらで見られるか。言い回しが違うので、計画地が境目にあるなら、崖の位置を入れた配置図と測量図を持って窓口で確認を
  • ⑨ 既存の建物を増改築するなら、第3条の2・第3条の3については、条例第29条の緩和は使えません(第29条の対象は第24条から第27条まで)。建築基準法第3条第2項の既存不適格・法第3条第3項で判断します(増築・改築でも、法第86条の7第1項の法定緩和はこの条例には届きません。届くのは移転の第4項・施行令第137条の16です)。用途変更は法第87条第2項・第3項。仮設・一時使用は、法第85条第1項・第2項、同条第6項・第7項、および法第87条の3を区別して確かめます(条例に独自の仮設の特例はありません)
  • ⑩ 窓口は、建設地が福井市内なら福井市、それ以外の16市町なら県の土木事務所。福井市は、市の例規集の体系目次で見るかぎり独自の建築基準条例を持っていませんが、福井市以外の16市町の例規は確認していません——市町独自の定めの有無は、建設地の市町の担当課にも確かめてください

個別の敷地でどう当たるかの判断は、建築士と、建設地を所管する建築指導の窓口(福井市内は福井市役所建設部建築事務所建築指導課、それ以外は管轄の土木事務所の建築課・建築営繕課)にご確認ください。ここで挙げているのは、行政の相談窓口です。建築確認そのものは、業務の範囲内であれば指定確認検査機関にも申請できます——その確認は法第6条第1項の確認とみなされます(法第6条の2第1項)。ただし条例の当てはめやただし書の判断は、所管の行政庁にも確かめてください。擁壁の選び方も合わせてどうぞ。

出典

  • 福井県建築基準条例(福井県例規集・現行条文。第1条・第3条・第3条の2・第3条の3・第29条・第35条)
  • 福井県建築基準条例【令和6年3月最終改正】(県公式PDF)
  • 建築基準法施行細則【令和7年3月最終改正】(県公式PDF。第2条・第4条第1号)
  • 福井県 建築基準関係例規集(掲載元ページ)
  • 福井県 建築確認申請、完了(中間)検査申請の受付窓口について(特定行政庁と土木事務所の振り分け)
  • 福井県 建築確認申請に関する事前相談について(事前相談のポイント)
  • 福井市例規集 体系目次 第11類 第1章 土木・建築
  • 福井県 土砂災害防止法 区域指定(福井県集計。令和8年3月3日現在)
  • 福井県 急傾斜地崩壊危険区域内での一定行為の許可申請について(許可の対象行為と管轄の土木事務所)
  • 建築基準法(e-Gov法令検索・第2条・第3条・第6条・第6条の2・第6条の4・第9条・第19条第4項・第39条・第40条・第43条・第56条の2・第85条・第86条の7・第86条の8・第87条・第87条の2・第87条の3・第88条・第91条)

擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(条例の第3条の3の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。

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