高知のがけ条例——高知県建築基準法施行条例第5条

高知の崖の決まりは第5条です

高知で、崖の近くに家を建てる・買う人へ——最初に答えから。

先にすることは、3つです。がけ条例がかかっても、建てられないと決まったわけではありませんまず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、擁壁(ようへき=がけの土が崩れないよう支える壁)の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って計画地を所管する建築行政の窓口へ、条例の当てはめを確かめる。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。確かめる中身は、この記事の最後の「売買契約の前に、専門家と確かめること」にまとめてあります。

①高知の「がけ条例」は高知県建築基準法施行条例(昭和63年条例第3号)の第5条です。②求められるのは距離を離すことではなく、擁壁(ようへき=がけの土が崩れないように支える構造物。塀とは役割が違います)を設けること——高さ3メートルを超える崖(勾配が30度を超える傾斜地)について、崖の下に建てるなら崖の上端(じょうたん)から、崖の上に建てるなら崖の下端(かたん)から、水平距離が崖の高さの2倍以内の区域内に建てるときは、原則として、崖の形状又は土質に応じて安全な擁壁を設けなければなりません(ただし書の第1号から第3号までのいずれかに当たれば、この限りではありません)。③崖の形状又は土質に応じた安全な擁壁を設ければ、第5条の関係では原則として建てられます(ただし書の第1号から第3号までのいずれかに当たれば、擁壁そのものが要りません)。ただし、災害危険区域・土砂災害の区域・建築基準法第19条第4項は別に確認してください。④この条例は高知市の区域にもかかります——高知市は特定行政庁(建築主事または建築副主事を置く市町村の区域ではその市町村長、それ以外の区域では都道府県知事)ですが、市建築指導課の「建築指導課所掌事務関係条例等一覧」は先頭に「高知県建築基準法施行条例」を置き、市のがけの制限の根拠として同条例第5条を案内しています。条文と数字は、2026年8月29日に高知県例規集の出力(内容現在 令和8年5月31日)で確認しました。

「がけ条例」の実体は、高知県建築基準法施行条例の第5条です

高知の崖の決まりは第5条です
「がけ条例」という名前の条例はありません。高知では高知県建築基準法施行条例(昭和63年条例第3号)の第5条(崖付近の建築物)です。災害危険区域の第3条・第4条は同じ条例の第2章で、章が違います。高知市の区域にもかかります——高知市は別の特定行政庁ですが、市の条例一覧が、がけの制限の根拠として第5条を案内しています。

「がけ条例」という名前の条例はありません。高知では、条例の第3章「建築物の敷地及び構造等に関する制限の付加」に置かれた第5条(崖付近の建築物)がそれに当たります。高知市の案内は、この第5条の関係法令として建築基準法第40条(地方公共団体の条例による制限の附加)を挙げています。条例の第1条に区域を限る定めはなく、第5条にも適用区域の限定は置かれていません。高知県建築基準法施行細則にも、市の区域について条例の適用を除く定めは置かれていません(細則の全文で確認しました。細則が高知市の区域を除いているのは、し尿浄化槽の区域指定〔第19条〕と垂直積雪量〔第19条の2〕で、がけの規定とは別です)。なお、この条例には施行日が令和9年8月1日の未施行の改正がありますが、現行の全文と令和9年8月1日時点の全文を突き合わせたところ、本則で変わるのは手数料の納付の時期を定める第33条の1か所だけで、第3条・第4条・第5条・第19条・第20条・第36条の条文は変わりません。建築確認の対象となる計画では、この条例への適合も原則として確認審査の対象です。確認特例の適用は、建築物・設計者の区分に応じて建築基準法第6条の4・施行令第10条で決まり、法第39条から第41条までに基づく条例規定のうち特定行政庁が規則で定めた規定が審査省略の対象になり得ます。条例への適合義務は、審査の範囲とは別に生じます。

窓口は、計画地で分かれます。高知県内の特定行政庁は高知県と高知市の2つです(全国建築審査会協議会の特定行政庁一覧・令和8年4月1日現在。法第4条第1項設置市が高知市、法第4条第2項設置市と法第97条の2設置市はなし)。県の建築主事等の事務分掌は高知県建築基準法施行細則第2条が定めており、幡多土木事務所に所属する建築主事等の所管区域は「宿毛市、土佐清水市、四万十市並びに幡多郡大月町、三原村及び黒潮町」、それ以外の区域(高知市を除く)は県土木部建築指導課が問い合わせ先とされています(県のページの案内)。なお条例第34条は、計画の通知書・確認の申請書・各種の届出書や申請書の受理という事務(第1号〜第7号)を、建築物等の敷地が都市計画区域を有する市町村(高知市を除く。)の区域内にある場合に限って当該市町村が処理することとし、第2項で日高村にも別に移しています。ただし、申請等を電子情報処理組織を使用する方法(=オンラインでの申請)により行う場合は、この移譲の対象から外れます(同条第1項ただし書・第2項ただし書)。そして、移されているのは受理の事務であって、特定行政庁が変わるわけではありません。県が公開する「建築基準法令に関する標準的な運用」(令和8年1月1日)も、冒頭で「高知県(高知市を除く。)における」と対象を限っています。

どこからが「崖」か——「勾配が30度を超える傾斜地」で、高さが3メートルを超えるもの

「崖」は30度を超える傾斜地です
定義は第5条の括弧書き「勾配が30度を超える傾斜地をいう。以下この条において同じ。」。高さは「3メートルを超える」もので、3メートルちょうど・30度ちょうどは「超える」に当たりません。第5条には、硬岩盤を除く定めも、他の法令の定義を引く定めも置かれていません。第5条の「崖」に当たらない斜面でも、がけ崩れ等による被害を受けるおそれがあれば、建築基準法第19条第4項の安全上適当な措置が要ります(高さの下限はありません)。

(崖付近の建築物)
第5条 高さ3メートルを超える崖(勾配が30度を超える傾斜地をいう。以下この条において同じ。)の下に建築物を建築する場合において、崖の上端(崖の上に建築する場合にあっては、崖の下端)からの水平距離が崖の高さの2倍以内の区域内に建築するときは、崖の形状又は土質に応じて安全な擁壁を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
(1) 崖の形状又は土質により安全上支障がない場合
(2) 崖の上に建築物を建築する場合であって、当該建築物の基礎等が崖の安全性に影響を及ぼさないとき。
(3) 崖の下に建築物を建築する場合であって、当該建築物の主要構造部(崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分を除く。)を鉄筋コンクリート造その他これに類する構造としたとき。

高知県建築基準法施行条例 第5条

「崖」の意味は、この条文の括弧の中にあります——「勾配が30度を超える傾斜地をいう。以下この条において同じ。」。第5条の条文には、硬岩盤を除く定めも、他の法令の定義を引く定めも置かれていません(条例の全文で確認しました。条例第2条は「この条例において使用する用語の意義は、この条例で定めるものを除くほか、法、政令及び省令において使用する用語の例による。」と定めていますが、「崖」はこの条例が第5条で自ら定めている用語です)。高さは「3メートルを超える」もので、ちょうど3メートルは「超える」に当たりません。勾配も「30度を超える」です。県土木部建築指導課の資料も、対象となる崖を「高さ3メートルを超え、勾配が30度を超える傾斜地」と書いています。

ただし、第5条の「崖」に当たらない斜面でも、安全の検討が不要になるわけではありません。建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれがある場合には、建築基準法第19条第4項により、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければなりません。高さの下限はありません。個別の計画がその「おそれのある場合」に当たるかは、斜面の状態・距離・地盤・建物の計画などによって判断されます。

義務の形は「2倍以内なら、原則として安全な擁壁」——ただし3つの例外があります

安全な擁壁を設ければ原則建てられます
「◯メートル離せば足りる」という定めは、この条にはありません。起点は、崖の下に建てるなら崖の上端から、崖の上に建てるなら崖の下端から。ただし書の3つの号のいずれかに当たれば、この限りではありません。「2倍以内」なので、ちょうど2倍の位置も範囲の中です。確認申請には崖の上端又は下端から建築物までの水平距離・崖の形状・崖の土質を示す図書を添えます(細則第3条)。なお「安全な擁壁」の技術基準を示した県の文書は、県のサイトで探した範囲では見つかりませんでした(図は一例)。「建てられます」は、第5条の義務を満たすという意味です——法第19条第4項・災害危険区域・土砂災害の区域は、別に確認してください。

条文が求めているのは、崖から一定の距離を離すことではなく、一定の範囲の中に建てるなら擁壁を設けることです。範囲は水平距離で決まります——崖の下に建築する場合は崖の上端から、崖の上に建築する場合は崖の下端から、崖の高さの2倍以内。起点が上下で入れ替わります。たとえば高さ5メートルの崖なら、その起点から水平距離10メートル以内が範囲です。「2倍以内」なので、ちょうど2倍の位置も範囲の中に入ります。そして、この範囲の中に建てるときに原則として求められるのが「崖の形状又は土質に応じて安全な擁壁」です(ただし書の3つの号のいずれかに当たれば外れます)。安全な擁壁を設ければ、第5条の関係では原則として建てられます(盛土規制法・土砂災害防止法・災害危険区域・建築基準法第19条第4項は、別に確認してください)。

条文の本文は「崖……の下に建築物を建築する場合において」と書き出し、起点の括弧書きで「崖の上に建築する場合にあっては、崖の下端」と定めています。県土木部建築指導課の資料と高知市の案内は、いずれもこれを崖の下に建築する場合と崖の上に建築する場合の両方として示しています——県の資料は「崖の下に建築する場合は、崖の上端からの水平距離が崖の高さの2倍以内」「崖の上に建築する場合は、崖の下端からの水平距離が崖の高さの2倍以内」と書き分けています。崖の上に建てる計画も、この条の対象として扱われているということです。

確認申請のときに何を出すかは、細則に書かれています。

(崖等に建築する建築物に係る確認申請書に添付する図書)
第3条 条例第5条に規定する崖又は当該崖の上若しくは下に接する土地に建築する建築物に係る法第6条第1項の規定による確認の申請をする場合は、崖の上端又は下端から当該建築物までの水平距離並びに崖の形状及び土質を示す図書を添えなければならない。

高知県建築基準法施行細則 第3条

添付が求められるのは①崖の上端又は下端から当該建築物までの水平距離②崖の形状③崖の土質を示す図書です。対象は条例第5条に規定する崖に建築する建築物と、当該崖の上若しくは下に接する土地に建築する建築物で、細則は「2倍以内」という言い方をしていません。②と③は、第5条本文の「崖の形状又は土質に応じて安全な擁壁」と、ただし書第1号の「崖の形状又は土質により安全上支障がない場合」に直接つながる資料です。細則が求めているのは、水平距離・崖の形状・崖の土質を示す図書です——測量図と土質の資料を別々の図書にすることまでは定めていません。図書の種類や書き方は、申請先に確かめてください。

対象は「建築物」。居室の有無も用途も、条文は問いません

倉庫も車庫も建築物なら対象です
第5条が対象にするのは「建築物」で、「居室を有する」「住居の用に供する」といった限定は置かれていません——倉庫や車庫も、条文の上では対象に入ります。同じ条例でも災害危険区域の第4条は「住居の用に供する建築物」と用途を絞っています。ここでいう「建築」には、新築だけでなく増築・改築・移転も含まれます(建築基準法第2条第13号)。

第5条が対象にするのは「建築物」です。「居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)を有する」「住居の用に供する」といった限定は、第5条には置かれていません——倉庫や車庫も、条文の上では対象に入ります(同じ条例でも、災害危険区域の第4条は「住居の用に供する建築物」と用途を絞っています。後述します)。また、ここでいう「建築」には新築だけでなく、増築・改築・移転も含まれます(建築基準法第2条第13号)。第5条の条文は、崖が誰の土地にあるかを問うていません——崖が他人の土地にあっても、義務は建てる側にかかります。その場合、擁壁をどこに設けられるかは土地の権利の問題として別に出てくるので、設計の早い段階で建築士と所管の窓口に相談してください。

擁壁設置義務が外れる3つの例外——当たるかどうかを判断するのは、県の資料では設計者です

擁壁が外れる3つ、決めるのは設計者
ただし書の3つの号は、いずれか1つに当たれば擁壁の義務が外れる並びです(第2号を使うために第1号も満たす必要はありません)。③の主要構造部からは崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分が除かれます当たるかどうかを判断するのは設計者で、建築確認を要する場合はその判断がされていることを建築主事が確認する、と県が明記しています。ただし、その判断をどの図書で示すかは県の資料に書かれていません——これは県が所管する区域の資料で、高知市には同じ記載がありません。申請先へ。

ただし書の3つの号は、それぞれ使える場面が違います。

  • 第1号——崖の形状又は土質により安全上支障がない場合。崖の上・崖の下のどちらでも使えます
  • 第2号——崖の上に建築物を建築する場合であって、当該建築物の基礎等が崖の安全性に影響を及ぼさないとき。崖の上に建てる場合だけの号です。この号が見ているのは「基礎等が崖の安全性に影響を及ぼさない」かどうかです(第1号から第3号は、いずれか1つに当たれば擁壁の義務が外れる並びです。第2号を使うために第1号も満たす必要はありません。建築基準法第19条第4項など、ほかの規定による安全上の義務は別に確かめます)
  • 第3号——崖の下に建築物を建築する場合であって、当該建築物の主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段。建物の構造上重要な部分)(崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分を除く。)を鉄筋コンクリート造その他これに類する構造としたとき。崖の下に建てる場合だけの号です。対象は主要構造部で、そのうち崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分は除かれます。構造は「鉄筋コンクリート造その他これに類する構造」です

そして、この3つに当たるかどうかを誰が判断するのかを、県が明記しています。

※これらは設計者が判断することとしており、建築確認を要する場合は、その判断がされていることを建築主事が確認します。

高知県土木部建築指導課「よくあるお問い合わせについて 2023.03版」2頁「◇「がけ条例」について」

ただし書に当たるかどうかを決めるのは設計者で、建築主事は「その判断がされていること」を確かめる立場だと県が書いています。ただし書に当たると判断した根拠を、どの図書で示す必要があるかは、県の資料には書かれていません——申請先に確かめてください。これは高知県土木部建築指導課の資料で、対象は県が特定行政庁として所管する区域です。高知市は別の特定行政庁で、市のがけのページに同じ記載はありません——高知市内で計画するなら、ただし書の判断を誰がどう示すか、どの資料を添えるかを市建築指導課に確かめてください。細則第3条が求める崖の形状・土質の図書は、その根拠の入口です。規制の範囲に既に擁壁がある場合も、それが第5条の「安全な擁壁」といえるかは、確認済証・検査済証などの資料と現況の確認からです。なお、第5条の「安全な擁壁」の技術基準を示した県の文書は、2026年8月29日に県のサイトで探した範囲では見つかりませんでした——県土木部建築指導課が公開する「建築基準法令に関する標準的な運用」(令和8年1月1日・全14項目)に崖・擁壁の項目はなく、県が公開する「高知県盛土規制法に関する技術的基準」にも「条例」の語は一度も出てきません(どちらも全文を検索して確かめました。同基準は盛土規制法の擁壁等の技術的基準を定めるもので、条例第5条を受けたものではありません)。この記事が見つけた範囲では、県ががけ条例そのものを説明している公開資料は、上に引いた1枚です。どの基準で「安全な擁壁」を示すかは、設計の早い段階で所管の窓口に確認してください。

擁壁を作る工事には、盛土規制法が重なることがあります

擁壁工事は規模により盛土規制法の許可も
盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)です。高知県は岩礁及び無人島を除く県内全域を規制区域に指定し、令和7年4月1日から規制を開始しています(高知市内は高知市長が規制区域を指定し、許可等を行います)。施工規模が許可の対象なら確認済証の発行に許可証の写しの添付が必要と県が案内し、令和7年4月1日以降に、高知県建築指導課へ建築確認申請を提出する場合はセルフチェックシートの添付を求めています。盛土規制法の窓口は、高知市内は高知市です

第5条が求める擁壁を実際に築造するとき、その造成工事の規模によっては、盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)の許可や届出が別に必要になります。高知県は岩礁及び無人島を除く県内全域を規制区域に指定し、令和7年4月1日から規制を開始しています(宅地造成等工事規制区域と特定盛土等規制区域の両方を設定。造成宅地防災区域の指定はありません)。高知市内は、中核市として高知市長が規制区域を指定し、許可等を行います。

建築確認との関係は、法令の側にも県の案内にもあります。建築基準法施行令第9条第9号は、宅地造成及び特定盛土等規制法の第12条第1項、第16条第1項、第30条第1項及び第35条第1項建築基準関係規定に挙げています(2026年8月29日にe-Gov法令検索で確認)。県はこれを受けて、建築確認申請の敷地において建築に伴う造成をする場合、その施工規模がこれらの許可の対象規模であれば、確認済証の発行には盛土規制法の許可証の写しの添付が必要と案内しています。県は許可対象となる施工規模を事前に判断するセルフチェックシートを作成し、令和7年4月1日以降に高知県建築指導課へ建築確認申請を提出する場合は添付を求めています(添付がない場合も、審査で同等の内容の確認が必要になるとされています)。手続きが必要な場合の事前相談先は県土木部都市計画課です。擁壁の設計と、造成の許可と、建築確認は、別々の手続きが同じ計画に重なります——順番を決めてから動くことになります。

レッドゾーンは別の法律。条例第5条には、レッドゾーンの適用除外がありません

レッドゾーンでも第5条は外れません
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)・土砂災害警戒区域(イエローゾーン)は土砂災害防止法の区域で、この条例とは入口も基準も別です。そのうえで条例の第5条にも第4条にも、土砂法の区域に触れる文言はありません。レッドゾーン内で居室を有する建築物を建てるなら建築基準法施行令第80条の3の構造規制がかかり、土砂災害防止法第25条により建築確認の要否も変わります(敷地の過半がどちらに属するかを含みます)。

土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)・土砂災害警戒区域(イエローゾーン)は土砂災害防止法の区域で、この条例とは入口も基準も別です。そのうえで——高知県建築基準法施行条例の第5条にも第4条にも、土砂法の区域に触れる文言はありません(条例の全文で確認しました)。「レッドゾーンだからがけ条例は適用しない」という規定は、この条例の中にはありません。高知市の案内も、災害危険区域/高さ3メートルを超えるがけ付近/土砂災害特別警戒区域を、それぞれ別の根拠法令を付けた別々の行として並べています。計画地がレッドゾーンで、かつ第5条の範囲にもかかるときに、実務としてどちらの手続きがどう重なるかは、区域の図と計画図を持って所管の窓口で確認してください。

レッド側の決まりは全国共通の仕組みです。区域内で居室を有する建築物を建てる場合、建築基準法施行令第80条の3の構造規制がかかります。また土砂災害防止法第25条により、特別警戒区域(建築基準法第6条第1項第3号に規定する区域を除く。)内における居室を有する建築物(同項第1号又は第2号に掲げるものを除く。)は、同項第3号の規定に基づき都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域内における建築物とみなして、法第6条から第7条の5まで・第18条・第89条・第91条・第93条の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)が適用されます。適用される規定に法第91条(建築物の敷地が区域、地域又は地区の内外にわたる場合の措置)が入っています——同条は、敷地が区域の内外にわたる場合に、敷地の過半が属する区域の規定を、その建築物又は敷地の全部について適用するという定めです。須崎市が掲載する1枚図も、居室を有する建築物について、都市計画区域外では、建築物がレッドゾーンにかかり、かつレッドゾーンが敷地の半分を超える場合は建築確認申請が必要、建築物がかかってもレッドゾーンが敷地の半分以下の場合と建築物がレッドゾーンにかからない場合は不要と分けています(法第6条第1項第1号〜第2号の建築物と、都市計画区域内のそれ以外の建築物は、いずれの場合も必要と整理されています。令第80条の3の構造規定の適用は、建築物がレッドゾーンにかかるかどうかで有・無が分かれています)。同図の注記は、法第6条第1項第1号・第2号以外の建築物について、「都市計画区域外」の欄に付されたものです——居室が無いというだけで確認が不要になるわけではありません。第1号・第2号の建築物や、都市計画区域内の建築物は、別の理由で確認が要ります(須崎市が窓口として掲載している資料で、県の運用としての文書ではありません)。このほか、レッドゾーン内で住宅(自己の居住の用に供するものを除く)や、高齢者・障害者・乳幼児その他の特に防災上の配慮を要する者が利用する社会福祉施設・学校・医療施設(政令で定めるものに限る)を予定建築物とする開発行為(用途が未定など、これら以外の用途であることが確定していない予定建築物も含みます)は特定開発行為に当たり、土砂災害防止法第10条第1項の知事の許可(申請は第11条、許可基準は第12条、完了検査は第18条)が必要になります。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う開発行為と、仮設建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為には、許可が要りません(同項ただし書、同法施行令第5条)。特定開発行為でなくなるわけではありません。

県は、「土砂災害警戒区域等」のページで土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定が令和4年3月に完了したと説明しています。県土木部防災砂防課の市町村別集計(令和6年10月11日現在)では、警戒区域が20,014箇所(土石流5,833・急傾斜13,862・地すべり319)、特別警戒区域が18,581箇所(土石流4,981・急傾斜13,600)です。ただし、この集計が置かれているページの表題は「土砂災害警戒区域等の解除及び指定について」——指定は完了したあとも解除・追加が公表されています。最新の指定は県が公表する図書で確認してください(区域の位置は県の土砂災害危険度情報〔危険箇所マップ〕で見られます)。イエローゾーンとレッドゾーンでは規制の内容が違うので、どちらに入るかを区域図で確かめることになります。レッドゾーン内の居室を有する建築物について、令第80条の3に対応する2つの方法——外壁等(外壁・構造耐力上主要な部分のうち、土石等の高さ等以下で、土砂災害の原因となる自然現象〔河道閉塞による湛水を除く〕により衝撃が作用すると想定される部分)を所定の構造にするか、土石等の高さ等以上の高さで、外壁等と同等以上の耐力を有するものとして国土交通大臣が定めた構造方法による門・塀を、衝撃を遮るように設けるか——と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。擁壁の選び方も合わせてどうぞ。

災害危険区域は同じ条例の第2章。ただし「急傾斜地崩壊危険区域=災害危険区域」ではありません

住居を建てるなら、災害危険区域も見る
がけの第5条(第3章)と災害危険区域(第2章)は、同じ条例の別の章です。急傾斜地崩壊危険区域がそのまま災害危険区域になるのではありません——その内側で知事が指定した区域です(第2号は津波・高潮・出水等)。第4条ただし書は「構造、敷地の状況及び災害防止措置の状況により安全上支障がない場合」——「又は」ではなく「及び」です。高知市のFAQでは令和7年4月時点で指定なし県内のほかの市町村の指定の有無は、この記事では確かめていません日高村は村の別条例で、床の高さの規制と着工前の村長の認定があります。

(災害危険区域の指定等)
第3条 法第39条第1項の規定による災害危険区域(以下この章において「災害危険区域」という。)は、次に掲げる区域とする。
(1) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の規定に基づき指定された急傾斜地崩壊危険区域内における急傾斜地の崩壊による危険の著しい区域として知事が指定した区域
(2) 津波、高潮、出水等による危険の著しい区域として知事が指定した区域
2 知事は、災害危険区域を指定するときは、当該災害危険区域を告示するとともに、その旨を関係市町村長に通知するものとする。これを廃止するときも、同様とする。
(略)
(災害危険区域内の建築制限)
第4条 災害危険区域内においては、住居の用に供する建築物を建築してはならない。ただし、建築物の構造、敷地の状況及び災害防止措置の状況により安全上支障がない場合は、この限りでない。

高知県建築基準法施行条例 第3条・第4条

がけの第5条と災害危険区域の第3条・第4条は、同じ条例の中の別の章です(第2章が災害危険区域、第3章が制限の付加)。読み違えやすいのは第3条第1号の作り方で、急傾斜地崩壊危険区域がそのまま災害危険区域になるのではありません——急傾斜地崩壊危険区域の内側で、「急傾斜地の崩壊による危険の著しい区域として知事が指定した区域」が災害危険区域です。二段構えです。第2号は、津波・高潮・出水等による危険の著しい区域として知事が指定した区域です。第1号も第2号も、知事の指定があって初めて災害危険区域になります。その指定は告示され、関係市町村長に通知されます(第3条第2項)——計画地が入るかどうかを確かめる先は、この告示と図面です。

第4条の建築制限は、対象が「住居の用に供する建築物」——第5条が建築物全般を対象にするのに対し、こちらは用途で絞られています。ただし書の要件は「建築物の構造、敷地の状況及び災害防止措置の状況により安全上支障がない場合」で、「又は」ではなく「及び」で並んでいます——3つがそろって、はじめて当たります。

指定の実際は、区域ごとに確かめることになります。高知市のコールセンターFAQでは、令和7年4月時点で、この条例による災害危険区域の指定はないとされています——最新の指定状況は高知市建築指導課に確かめてください。市建築指導課の条例一覧も「災害危険区域(高知市内 指定なし)」と記載しています(更新日2025年3月31日)。県内のほかの市町村について、指定の有無をこの記事では確かめていません——計画地が入るかどうかは、指定の告示・図面で確認してください。

また、市町村が自分の条例で災害危険区域を定めている例があります。日高村は「日高村災害危険区域の指定等に関する条例」(令和5年1月1日施行)で、日高村水害に強いまちづくり条例に基づく日高村浸水予想区域を建築基準法第39条第1項の災害危険区域に指定しました(第3条)。制限の形は用途の禁止ではなく床の高さです——「災害危険区域内において、建築物を建築する場合においては、居室の床の高さは、規則に定める基準高以上としなければならない。」(第4条)。適用除外は居室を有しない建築物と、敷地及び周囲の状況により特に村長が災害防止上支障がないと認めた建築物(第5条第1項)。同条第2項には、指定の際に現に存する建築物を増築する場合について、増築に係る部分で周囲の状況によりやむを得ないと認められるもの増築に係らない既存部分を外す定めもあります。着工前に村長の認定が必要で(第6条)、違反には設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合はその工事施工者)に対する20万円以下の罰金があり、建築主の故意なら建築主にも、法人等には両罰の定めがあります(第8条)。

県は、この区域を「4号確認必要区域」——県のページの言葉では、建築基準法第6条第1項第4号の建築物について同項又は同法第6条の2第1項の規定による確認を受けなければならない区域——に指定し、令和5年1月1日から施行しています。県と村の資料によると、この指定により、区域内では、それまで確認が不要だった規模の建築物にも建築確認が必要になりました。あわせて、村内(都市計画区域外)の建築確認申請について、書面による申請書等の受理が県から日高村に移されています(電子情報処理組織を使用して行う申請等は、条例第34条による受理事務の移譲の対象外です。指定確認検査機関(民間の確認検査機関)へ申請する場合も別です)。ただし、この「4号」は改正前の建築基準法の号番号です——2026年8月29日にe-Gov法令検索で確認した現行の法第6条第1項は第1号から第3号までで、第4号はありません。現在どの規模の建築物に確認が要るかは、日高村建設課または県建築指導課に確認してください。

なお、急傾斜地崩壊危険区域の内側での切土・盛土や工作物の設置などには、条例とは別に急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第7条第1項の知事の許可が必要になることがあります(砂防担当の窓口へ)。

既存の建物・用途変更・仮設——第19条の緩和は、第4章にしか効きません

条例第19条の緩和は、崖の条に届きません
条例第19条の緩和は第4章(第11条〜第17条)だけに効きます——崖の第5条(第3章)も、災害危険区域の第4条(第2章)も入っていません。既存不適格は法第3条第2項で、外れるのはその規定であって条例の全部ではありません。増築・改築等をすると法第3条第3項により原則として適用されます(法第86条の7第1項の法定緩和は、この条例には届きません。届くのは移転の第4項と施行令第137条の16です)。用途変更は法第87条第2項・第3項で判断します。

①既存不適格(きそんふてきかく=建てたときは適法だった建物)——条例の規定の施行・改正のときに適法に存在し、または工事中で、その施行・改正によって適合しなくなった建築物には、建築基準法第3条第2項により、その適合しなくなった規定が原則として適用されません(外れるのはその規定であって、条例の全部ではありません)。増築・改築・移転・大規模の修繕・模様替をすると、法第3条第3項第3号・第4号により緩和が切れて条例が適用されるのが原則です。もっとも増築・改築の側では、法第86条の7第1項の法定緩和がこの条例には届きません——同項が列挙しているのは法第20条・第21条・第48条といった法自身の条で、法第39条・第40条に基づく条例の規定は入っていません(同条第2項・第3項も同じです)。施行令第137条の2以下も、それぞれ法の個別の条に対応するものです。条例に届くのは移転です——法第86条の7第4項が対象にする「建築基準法令の規定」には条例が含まれ(法第6条第1項の定義)、施行令第137条の16の範囲(同一敷地内の移転か、交通上・安全上・防火上・避難上・衛生上及び市街地の環境の保全上支障がないと特定行政庁が認める移転)であれば、法第3条第3項にかかわらず適用されません。

ここで読み違えやすいのが条例第19条です。第19条は「法第3条第2項の規定によりこの条例の規定の適用を受けない建築物について増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替えをする場合で、特定行政庁がその建築物又は敷地の状況によりやむを得ないと認めたときは、第4章の規定による制限を緩和することができる」と定めています。第4章は「都市計画区域内の建築物の敷地等と道路との関係についての制限の付加」(第11条〜第17条)です——がけの第5条(第3章)も、災害危険区域の第4条(第2章)も、この緩和の対象に入っていません(条例の目次と第19条で確認しました)。

②用途変更——工事を伴わない用途変更でも、建築基準法第87条第2項により、法第39条第2項・第40条に基づく条例の規定は用途変更に準用されます。がけの第5条だけでなく、災害危険区域内の住居を制限する第4条も対象です(区域内の建物を住居の用途に変える場合に問題になります)。既存不適格の建物の用途変更は、法第3条第2項により法第87条第3項が列挙する規定(またはそれらに基づく条例規定)の適用を受けない建築物について、同項により原則としてこれらの規定が準用されます。増築・改築・大規模の修繕・模様替をする場合や、政令で指定する類似の用途相互間の変更で一定の条件(同項第2号)を満たす場合はこの準用から除かれます号ごとに結論が違います——第1号(増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替を伴う場合)は、用途変更の側ではなく法第3条第3項で判断します。第2号(政令で指定する類似の用途相互間で、修繕・模様替をしないか、それが大規模でない場合)は、その用途変更だけを理由に条例が遡って適用されることはありません第3号は法第48条(用途地域)に関する例外で、がけの規定には関わりません。

③仮設・災害時——特定行政庁が指定する非常災害区域等の内では、法第85条第1項により、災害により破損した建築物の応急の修繕と、国・地方公共団体・日本赤十字社が災害救助のために建築する応急仮設建築物・被災者が自ら使用するために建築する延べ面積30平方メートル以内の応急仮設建築物について、建築基準法令の規定が適用されません。応急仮設建築物の建築は「その災害が発生した日から1か月以内に工事に着手するもの」に限られますが、災害により破損した部分の修繕であれば、工事に着手する時期にかかわらず適用されないと国土交通省の通知(国住指第27号・平成23年4月5日)が示しています。ただし書の除外は、防火地域内に建築する場合に掛かります。第1項・第2項の応急仮設建築物を工事完了後3か月を超えて存続させるには、その超えることとなる日前に特定行政庁の許可が必要です(同条第3項。期限前に申請し、その日までに処分がされないときは、処分がされるまで存続できます——同項ただし書)。これとは別に、災害があった場合に建築する停車場・官公署その他これらに類する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物と、工事を施工するために現場に設ける事務所・下小屋・材料置場その他これらに類する仮設建築物——第2項は非常災害区域等の内であることを要件にしていません——には、法第85条第2項により、法第39条及び第40条の規定を含む同項が列挙する規定と、第3章の規定が適用されません——条例第3条・第4条は法第39条、第5条は法第40条の委任を受けた規定です(同項ただし書により、防火地域又は準防火地域内にある延べ面積50平方メートルを超えるものには法第62条の適用があります)。この経路に当たるかどうかは、所管の窓口で確認してください。このほか条例第20条は、法第85条第6項及び第7項の規定による仮設興行場等、法第87条の3第6項の規定による興行場等並びに同条第7項の規定による特別興行場等について、この条例の規定を適用しないと定めています(章を限らず、条例の全部が外れる書き方です)。

罰則は第36条。「この条例の規定(第18条の規定を除く。)」の包括型です

罰則の対象は原則、設計者です
第36条第1項は、違反の対象を条ごとに列挙せず「この条例の規定(第18条の規定を除く。)」と包括的に書いています。除かれるのは第18条(中高層建築物の日影規制)だけで、崖の第5条も、災害危険区域の第4条も当然に対象です。罰金額は20万円以下で、拘禁刑の定めはありません。第3項は両罰で、法人・人にも同じ罰金刑が科されます(代理人・使用人その他の従業者の違反行為を防止するため相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があった場合の、法人又は人への刑は除かれます)。罰金が建築主にも及ぶのは建築主の故意のとき。是正命令(法第9条第1項)の相手方は建築主・工事の請負人・現場管理者・所有者・管理者・占有者で、故意は要件ではありません——命令違反は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法第98条第1項第一号)。

(罰則)
第36条 この条例の規定(第18条の規定を除く。)に違反した建築物の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、その建築物の工事施工者)は、20万円以下の罰金に処する。

高知県建築基準法施行条例 第36条第1項

第36条第1項は、違反の対象を条ごとに列挙せず、「この条例の規定(第18条の規定を除く。)」と包括的に書いています。除かれるのは第18条(第5章・中高層建築物の日影規制)で、がけの第5条も、災害危険区域の第4条も、当然に罰則の対象になります。名宛人(なあてにん=命令や罰則を受ける人)は原則設計者で、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合は工事施工者に替わります。違反が建築主の故意によるときは、設計者又は工事施工者を罰するほか、建築主にも同じ罰金刑が科されます(第2項)。法人の代表者や、法人若しくは人の代理人・使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して違反行為をした場合は、行為者を罰するほか、その法人又は人にも第1項の罰金刑が科されます(第3項)——ただし書で除かれるのは、代理人・使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があった場合の、法人又は人への刑に限られます(法人の代表者の違反行為は、このただし書に入っていません)。罰金額は20万円以下で、拘禁刑の定めはありません。

そして、建築確認が不要なことだけを理由に、第5条が適用外になるわけではありません——適合の義務は、審査の有無にかかわらず残ります(法第3条第1項の文化財建築物等、法第85条第1項・第2項の適用除外、条例第20条の特例は別です)。違反すれば是正命令(建築基準法第9条。除却(じょきゃく=取り壊し)・使用禁止などの措置を含みます)や罰則の対象になり得ます。

是正命令は、建築主・所有者などに来ます(法第9条第1項)

罰則の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、当該建築物の建築主、工事の請負人(下請人を含みます)・現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者に対して措置を命ずることができる、と定めています。故意かどうかは、この条の要件ではありません。命じられるのは工事の施工の停止のほか、除却・移転・改築・増築・修繕・模様替・使用禁止・使用制限その他、違反を是正するために必要な措置です。建てたあとに除却や使用禁止を命じられ得るのは、建築主・所有者などです——設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていません命令に従わないと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(法第98条第1項第一号)。条例の罰則は罰金だけですが、こちらは拘禁刑もあります。

売買契約の前に、専門家と確かめること

売買契約の前に、専門家と確かめること
この表は、自分で判定するためのものではありません——測って図にするのは建築士条例の当てはめは所管の建築行政の窓口です。個別の判断は建築士と、建築地を所管する建築指導の窓口へ——高知市内は高知市建築指導課、宿毛市・土佐清水市・四万十市・大月町・三原村・黒潮町は県幡多土木事務所の建築指導担当、それ以外は県土木部建築指導課です。ただし書に当たるかどうかは設計者が判断します(県の資料)。建築確認そのものは、業務の範囲内であれば指定確認検査機関にも申請できます(法第6条の2第1項)——条例の当てはめやただし書の判断は、所管の行政庁にも確かめてください。

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。がけの高さと、がけからの距離は、現況の測量図と断面図がないと自分では判断できません——測量と図面は建築士に、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口に確かめてください。どこを上端・下端とみるかも、窓口に確かめてください。

  • ① 計画地の周辺に、勾配が30度を超える傾斜地があり、その高さが3メートルを超えるか(第5条。3メートルちょうど・30度ちょうどは「超える」に当たりません。第5条の条文に硬岩盤を除く定めはありません)。敷地の中・隣地に限りません
  • ② 建てる位置が、崖の下なら崖の上端から、崖の上なら崖の下端から、水平距離で崖の高さの2倍以内に入るか。入るなら、離すのではなく、原則として「崖の形状又は土質に応じて安全な擁壁」を設けるのが条文の求めです——ただし、第1号から第3号までのいずれかに当たる場合は、この限りではありません(ちょうど2倍の位置も範囲の中)
  • ③ ただし書の3つの号(第1号=崖の形状又は土質により安全上支障がない/第2号=崖の上で基礎等が崖の安全性に影響を及ぼさない/第3号=崖の下で主要構造部〔崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分を除く〕を鉄筋コンクリート造その他これに類する構造とする)に当たるか。当たるかどうかは設計者が判断し、建築確認を要する場合は、その判断がされていることを建築主事が確認する——と県が明記しています。その判断をどの図書で示すかは、申請先に確かめます
  • ④ 確認申請には、崖の上端又は下端から建築物までの水平距離・崖の形状・崖の土質を示す図書を添える(細則第3条)。図書の種類や記載の仕方は、申請先に確かめます——細則第3条は、水平距離・崖の形状・土質を示す図書を求めているだけで、測量図と土質の資料を別々の図書にすることまでは定めていません
  • ⑤ 第5条の「崖」に当たらない斜面でも、がけ崩れ等による被害を受けるおそれがないかは別に確認。おそれがある場合は、建築基準法第19条第4項の安全上適当な措置が必要です(高さの下限はありません)
  • ⑥ 擁壁を作る造成が、盛土規制法の許可の対象規模になるか。県内全域(岩礁及び無人島を除く)が規制区域で、対象規模なら確認済証の発行に許可証の写しの添付が必要と県が案内しています。高知県建築指導課への確認申請にはセルフチェックシートの添付を、手続きが要る場合は県都市計画課への事前相談を。高知市内は高知市長が規制区域を指定し、許可等を行います
  • ⑦ 計画地がレッドゾーン・イエローゾーンに入っていないか。レッドゾーン内で居室を有する建築物を建てるなら令第80条の3の構造規制と、土砂災害防止法第25条による建築確認の要否(敷地の過半がどちらに属するかを含む)を確認。条例第5条には、レッドゾーンを除く規定がありません——両方かかる計画になるかは、区域の図と計画図を持って所管の窓口へ。土砂法第10条第1項の特定開発行為(住宅は自己の居住の用に供するものを除く)の許可が要る計画かも別に確認します
  • ⑧ 建てるのが「住居の用に供する建築物」なら、災害危険区域(条例第3条)の指定に入らないか。入るなら原則建築禁止で、例外は構造・敷地の状況・災害防止措置の状況の3つがそろって安全上支障がない場合です(「及び」)。急傾斜地崩壊危険区域に入っていること自体は災害危険区域を意味しません——知事の指定の告示・図面で確認します。高知市のFAQでは令和7年4月時点で指定なし——最新の指定状況は高知市建築指導課に確かめます。日高村は村の別条例で、床の高さの規制と着工前の村長の認定があります
  • ⑨ 既存の建物の増築・改築・移転・用途変更は、適用関係を所管窓口で。条例第19条の緩和は第4章(第11条〜第17条)だけに効くもので、がけの第5条・災害危険区域の第4条には及びません。法第3条第2項・第3項と、法第87条第2項・第3項の適用関係を(増築・改築でも、法第86条の7第1項の法定緩和はこの条例には届きません。届くのは移転の第4項・施行令第137条の16です)、図面と経緯の資料を持って確認します
  • ⑩ 窓口は計画地で分かれます。高知市は高知市建築指導課。宿毛市・土佐清水市・四万十市・幡多郡大月町・三原村・黒潮町は県幡多土木事務所の建築指導担当。それ以外は県土木部建築指導課です。書面による確認申請書等の受理は、都市計画区域を有する市町村(高知市を除く)と日高村に移されています(条例第34条)。電子情報処理組織を使用して行う申請等は、この移譲の対象外です(同条第1項ただし書・第2項ただし書)。指定確認検査機関へ申請する場合も別です

個別の敷地でどう当たるかの判断は、建築士と、建築地を所管する建築指導の窓口にご確認ください。ここで挙げているのは、行政の相談窓口です。建築確認そのものは、業務の範囲内であれば指定確認検査機関にも申請できます——その確認は法第6条第1項の確認とみなされます(法第6条の2第1項)。ただし条例の当てはめやただし書の判断は、所管の行政庁にも確かめてください。高知県は確認申請等に関する事前相談の案内を公開しています。土砂災害警戒区域等の区域・数字は県土木部防災砂防課、盛土規制法は県土木部都市計画課(高知市内は高知市)が窓口です。

出典

  • 条例・取り扱い(建築基準法)/高知県土木部建築指導課
  • 建築指導課の条例・要綱(高知市・更新日2025年3月31日)
  • 建築基準法第39条の災害危険区域の指定はありますか。(高知市コールセンターFAQ)
  • 盛土規制法(高知県土木部都市計画課。規制区域・技術的基準のPDFの掲載元)
  • 高知県土砂災害危険度情報(危険箇所マップ)
  • レッドゾーン内における建築について(須崎市住宅・建築課)
  • 建築基準法(e-Gov法令検索・第2条・第3条・第6条・第6条の4・第9条・第19条第4項・第39条・第40条・第85条・第86条の7・第87条・第87条の3・第91条)

擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(条例の第5条の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。

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