万年塀(まんねんべい)は、コンクリートの柱を立て、柱の溝にコンクリートの板を上から差し込んで積んだ塀です。
メーカーの施工要領書でも板は柱にボルトで留めない作りなので、柱が沈んだり傾いたりすると、板がゆるんで抜け落ちることがあります。
柱の傾き・板のすき間・根元・ひびを離れた所から見て、気になれば施工業者か建築士に相談し、撤去の補助金も確かめてください。
どんな塀か
万年塀とは、どんな塀か
万年塀の安全性が気になる方は、図面か、作りたい塀の高さと長さ、現場の写真と住所をお送りください。当社は安全なコンクリート塀「塀のねっこ」のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。図面と構造計算書は当社でご準備できます(全国対応・お電話 0120-1181-46)。
正式な名前は「鉄筋コンクリート組立塀」で、部材の規格は JIS A 5409(鉄筋コンクリート組立塀構成材)です。地面に立てる柱、柱の間にはめる板、上にのせるかさ木の3つを組み立てます。家のまわりのほかにも、工場や神社、鉄道の線路ぎわなどで使われています。
メーカーのカタログでは、柱の間隔は1,810mm(柱の中心から中心まで)、板(並板)は長さ1,720mm・高さ297mm・厚さ30mmで、重さは1枚37kgです。
PDF(2026年9月28日閲覧)
メーカーの施工要領書では、柱1本ごとに穴を掘って柱を立て、根元にコンクリートを打って固めます(根固め)。板は柱の溝に上から落とし込み、段ごとに目地のモルタルを敷いて積みます。板入れの手順に板をボルトで柱に留める手順はなく、下の板を支える金物としてアンカーが挙がっているだけです。
施工要領書の原文を見る(板入れ)
最下段の板をセットする際には、板が下がらないように板の下端にコンクリートを打設 若しくは柱溝にオールアンカーを打設するなどの措置をとる/板を柱溝に挿し落とし、板墨に合わせ、天端に目地モルタルを敷き載せることを繰り返す
万代商会「万代塀[JIS A5409 鉄筋コンクリート組立塀構成材]施工要領書」板入れ
PDF(2026年9月28日閲覧)
文字を取り出せない画像のPDFのため、当社で目で読んで写しました。掘る深さ615mm・根固めのコンクリートの高さ500mmは同じ表の数字です
押す力と基礎
なぜ危ないと言われるのか
1. 塀を押す力が、柱1本ずつの小さな基礎に集まる
板は柱の間にはめてあるだけなので、風や地震で塀が押されると、その力は柱へ、柱の下の基礎へ伝わります。施工要領書どおりなら、基礎は柱1本ずつ別々のコンクリートの塊で、塀の下を一続きに支えてはいません。塊ごとに地面の固さは違うので、1本の下だけが沈むと(不同沈下)、その柱が傾きます。
あるメーカーは、地盤を固めずに建てると、年月とともに塀全体が自分の重さで傾くことがある、と弱点に挙げています。昭和中期に建てられた万年塀の多くは、控付柱(控えの付いた柱)を決まった間隔で使っていない、柱が土に埋まっているだけ、根固めをしていない、とも書いています。
メーカーの原文を見る
適切な地盤改良をせず建ててしまうと、時間の経過とともに塀全体が自重で傾いてしまうことがあります。本来の施工方法はしっかりと地盤を締め固め、柱をコンクリートで根固めすれば防げますが、昭和中期に建てられた万年塀の多くは、【一定の間隔で控付柱を使用してない】【柱が土に埋まっているだけ】【コンクリートで根固めしてない】という非常に問題のある状態です。
鉄筋コンクリート組立塀ドットコム(都建材工業)「鉄筋コンクリート組立塀の弱点?」
Webページ(2026年9月28日閲覧)
板が抜ける
2. 柱が傾くと、板が抜け落ちることがある
板の両端は柱の溝に入っていますが、溝と板の間には遊びがあります(カタログでは「柱と板の空すきは10mm」)。柱が傾くと溝の位置がずれ、目地のモルタルが割れて、板がゆるんだり抜けたりするおそれがあります。抜けるのはコンクリートの板で、カタログの並板なら1枚37kgです。
板の両側は、柱が押さえています。解体業者のリプロは、万年塀はかさ木、板、支柱の順に外し、先に支柱を外すと残った板がバラけて危ない、と書いています。
Webページ(2026年9月28日閲覧)
原文:「先に支柱を撤去してしまうと中に残った板がバラけてしまい大変危険です。」
柱が傾いてきた塀には、近づかないでください。離れたところから写真を撮り、早めに施工業者か建築士に見てもらってください。
板が欠ける
3. 板が薄く、古くなると欠けて落ちる
カタログの並板は厚さ30mmで、中の鉄筋をおおうコンクリートも薄くなります。ひびから入った水で鉄筋がさびると、さびはふくらんで、まわりのコンクリートを内側から割ります。
2023年12月3日の早朝には、西武池袋線の保谷第3号踏切道の近く(東京都西東京市)で、線路ぎわの万年塀の上部が壊れて落ちているのが見つかりました。落ちたのは重さ18.8kgのコンクリートで、西武鉄道が発表した原因は「経年による劣化」です。けがをした方の申し出はなく、周りの万年塀は点検して問題がないことを確かめた、とされています。
PDF(2026年9月28日閲覧)
原文:「4.落下物 コンクリート製 万年塀上部(重さ18.8 ㎏)」「5.原因 経年による劣化」
あるメーカーは、製品ページで、部材を「最大瞬間風速60m/secの台風にも安全」「震度VIIの激震にも安全」であるように設計・製造している、としています。これは新しく作る部材の設計の話です。年月がたった塀や、メーカーの決めた作り方どおりに建てていない塀が、この強さを保っているとは限りません。
Webページ(2026年9月28日閲覧)
原文:「万代塀各構成材は、最大瞬間風速60m/secの台風にも安全であるように設計・製造されています。」「万代塀各構成材は、震度VIIの激震にも安全であるように設計・製造されています。」
法律での扱い
法律では、どう扱われているか
家に附属する塀は、建築基準法では建築物に入ります(第2条第一号)。ただ、施行令で塀の高さ・控壁(塀を横から支える短い壁)・根入れ(基礎を地面に埋める深さ)を数字で決めているのは、組積造の塀(第61条)とブロック塀(第62条の8)の2つの条です(施行令で「塀」「へい」が出てくる条を見た範囲)。
万年塀は、鉄筋コンクリートの柱と板でできた塀です。施行令の鉄筋コンクリート造の節が高さ3m以下の塀に当てはめるのは、材料・養生・かぶり厚さ(鉄筋をおおうコンクリートの厚さ)の3つの条だけで、高さや控壁、根入れの数字はありません。
条文の原文を見る(建築基準法 第2条第一号・施行令 第71条第2項)
土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
建築基準法 第2条第一号
高さが四メートル以下で、かつ、延べ面積が三十平方メートル以内の建築物又は高さが三メートル以下のへいについては、この節の規定中第七十二条、第七十五条及び第七十九条の規定に限り適用する。
建築基準法施行令 第71条第2項
第72条はコンクリートの材料、第75条は養生、第79条は鉄筋のかぶり厚さの決まりです。
e-Gov法令検索で第2条(2026年9月28日閲覧)
e-Gov法令検索で第71条(2026年9月28日閲覧)
国土交通省が2018年に出した塀の点検の呼びかけも、対象は「ブロック塀や組積造の塀」で、万年塀の名前は出てきません。一方で東京都は、都の施設の点検結果で万年塀を分けて数え、合わない塀がある施設は万年塀361、補強コンクリートブロック造610、組積造83でした(1つの施設に何種類もの塀がある場合があります)。
写し(都のサイトの移転で元のURLは開けないため、Internet Archive の2024年10月14日の写し)(2026年9月28日閲覧)
注の原文:「※一施設で複数の構造の塀を持つ施設が有ります。」
倒れたときの責任
万年塀が倒れて人にけがをさせたら、誰が責任を負いますか
それでも、塀の欠陥(瑕疵)で倒れて人にけがをさせれば、民法第717条で持ち主の責任が問われます。自宅を所有して住んでいる方は、占有者と所有者が同じなので、注意していたとしても所有者として賠償の責任を負うことになります。塀の法律上の扱いは、市区町村の建築の窓口(建築指導課など)で確かめてください。
条文の原文を見る(民法 第717条第1項)
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
民法 第717条第1項
第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
占有者には「必要な注意をしたとき」の免責が書かれていますが、所有者には書かれていません。建築基準法第8条も、所有者などに建築物を「常時適法な状態に維持するように努めなければならない」と定めています。
見るところ
うちの万年塀、どこを見るか
国の点検表はブロック塀と組積造の塀のためのものです。万年塀は、柱と板の組み方に合わせて次の4つを、離れた所から見てください。傾きや落ちそうな所があれば、近づかないでください。
- 1. 柱が傾いていないか 塀の端から柱の並びを見通すと分かります。
- 2. 板と柱の間にすき間やずれが無いか 板の端が溝から浮いていないか、目地のモルタルが割れていないか。
- 3. 柱の根元の土 柱のまわりだけ土がへこんでいないか、えぐれていないか。
- 4. ひび・さび汁・見えている鉄筋 茶色いさび汁の筋は、中の鉄筋がさびている疑いのしるしです。
どれか1つでも当てはまれば、塀に寄りかかったり物を立てかけたりせず、施工業者か建築士に見てもらってください。頼む先は、外構(エクステリア)の施工業者か建築士事務所です。根固めがあるか、柱がどれだけ埋まっているかは外からは分からないので、どれにも当てはまらなくても、台風や地震のあとにはもう一度見てください。
建て替えを考えるときは、作りたい塀の高さと長さ、現場の写真と住所から相談を始められます。当社は安全なコンクリート塀「塀のねっこ」のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。
撤去の補助金
撤去の補助金は、万年塀も対象になることがある
万年塀を撤去の補助の対象にはっきり書いている市区を、2026年9月28日に5つ確かめました。全国は調べていません。
| 市区 | 対象の塀(ページの書き方) | 主な条件と額 |
|---|---|---|
| 世田谷区 | 「コンクリートブロック塀、鉄筋コンクリート組立塀(万年塀)、大谷石塀、その他組積造の構造の塀」 | 道路に面し、道路面から高さ80cmを超える塀など。上限50万円 |
| 練馬区 | 「コンクリートブロック塀、万年塀、組積造塀(大谷石やレンガ等の石材を積み上げて造られた塀)その他これらに類する門柱および塀」 | 区内の道路等に面し、高さ80cm以上、区の危険度チェックリストで1つ以上当てはまる塀。額は1mあたりで決まる |
| 海老名市 | 「道路に面したブロック塀や万年塀、大谷石など、石材を用いて築造された塀や門柱であること」 | 上限は通学路などに面する場合30万円、それ以外20万円 |
| 川崎市 | 「ブロック塀・石積塀・レンガ積塀・万年塀等」 | 道路または公園に面し、安全性の確認ができない高さ1.2m超の塀。撤去費の1/2、上限あり(最大30万円) |
| 江戸川区 | 「ブロック塀、レンガ塀、石塀、万年塀、その他これらに類する塀」 | 区内の道路に面し、高さ1.2m以上の塀。個人は撤去費の2/3か、延長×25,000円/mの低いほう |
世田谷区「ブロック塀等の撤去工事費用に対する助成制度について」(最終更新日 2026年6月5日) 開く
練馬区「ブロック塀等撤去費用助成について」(更新日 2026年4月1日) 開く
海老名市「ブロック塀等撤去費補助事業」(更新日 令和8年4月1日) 開く
川崎市「ブロック塀等の撤去の助成制度・塀の安全点検について」(更新日 2026年7月1日) 開く
江戸川区「ブロック塀等撤去費助成」(更新日 2025年6月3日) Webページ(2026年9月28日閲覧)
世田谷区・海老名市・川崎市・江戸川区は、工事の契約や着工の前の申請が条件です。見積をとったら、工事の前に窓口へ行ってください。ほかの市区町村の窓口は「ブロック塀の補助金 全国の窓口一覧」にまとめています。
建て替えるなら
建て替えるなら、基礎と壁が一体の塀を
当社の塀のねっこは、基礎(底版)と壁をひと続きに工場で作った、L型のコンクリート塀です。柱の溝に板をはめる所がないので、柱が傾いて板が抜け落ちることはありません。塀の重さは、柱の下の小さな塊ではなく、製品ごとの底版から地面に伝わります。
標準では、製品高2,000mm(地上に出る高さは最大1,500mm)で底版幅950mm、地上高2,000mmなら製品高2,500mm・底版幅1,300mmです。長さは標準2,000mmで、敷地に合わせた長さでも作れます。地盤や基礎がその場所に合うかは、計画ごとに確かめます。
製品ページ(2026年9月28日閲覧)
2019年12月には、金沢工業大学との共同研究で、実物大の塀のねっこに、熊本地震で震度7を記録した益城町の揺れ(再現波)を加える実験をしました。その揺れで、損傷はありませんでした。実験の条件と記録は「技術・検証・実績」にまとめています。
記録のページ(2026年9月28日閲覧)
底版を入れる幅が取れない現場には、ブロック塀・フェンスの基礎「土地分け丸」があります。塀の種類ごとの違いは「コンクリート塀の選び方」にまとめています。
建て替えのご相談は、図面か、作りたい塀の高さと長さ、境界ぎわに取れる幅(境界から建物や段差までの幅)、現場の写真と住所をお送りください。据え付けの工事は地元の施工業者さんにお願いしていて、地域によっては業者さんのご紹介もできます。図面と構造計算書は当社でご準備でき、全国対応で、お電話(0120-1181-46)でも受け付けています。
お問い合わせ
相談と見積(無料)
塀のねっこが使えるか、場所(住所)・塀の高さと長さ・現場の写真からお答えします。図面が無くても大丈夫です。見積と簡易展開図(施工図)は無料です。
当社は擁壁のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。
全国に配送します(沖縄・北海道・離島を除く)
お電話でも受け付けています。☎ 0120-1181-46(平日9:00〜18:00)
▶ 塀とは(種類・役割・高さの決まり)
▶ プレキャストコンクリートの塀とは(工場で造って据える塀)
▶ 地震で塀が倒れるのはなぜか(塀のねっこマニアックス-2)
▶ 塀のねっこガイド(寸法・設計条件・搬入・値段のよくある質問)
建築基準法上の扱いは、特定行政庁(お住まいの市区町村または都道府県の建築指導課など)が判断します。補助金の条件と額は年度で変わることがあるので、申請の前に各市区町村で確かめてください。

