スクラップヤードに許可制が入る(3) 囲いは本当に義務になるのか

スクラップヤードに許可制が入る(3) 囲いは本当に義務になるのか

第3回は「囲い」です。改正法の話が出てから、囲いを作り直さなければいけないのか、という相談が増えていると聞きます。

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囲いは義務か

いま、ヤードの囲いは義務になっているのですか

先に結論を書きます。有害使用済機器の現行制度では、囲いはすでに義務です。その他のスクラップヤードでも、所在地の条例によって囲いが義務となっている場合があります。新制度で全国的にどのような囲いが求められるかは、まだ決まっていません。問題は「囲いが要るかどうか」ではなく、「どんな囲いが要るのか」だということになります。

この記事は2026年8月18日時点で公表されている条文と資料をもとに書いています。2026年9月15日に、検討会の第2回・第3回の内容を末尾に反映しました。囲いの案は変わっていません。

囲いを作り直すのか?
囲いを作り直すのか?
問題はどんな囲いか
問題はどんな囲いか

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囲いの3つの層

「囲い」の話は、3つの層に分かれています

いま出回っている数字は、出どころが3つあります。この3つを混ぜると、話が合わなくなります。

表1 「囲い」の話は3つの層に分かれています
層中身いまの効き方
①-a 国の現行法令
有害使用済機器
廃掃法施行令第16条の3第1号
保管の場所の周囲に囲いが設けられていること(イ(1))。荷重が直接囲いにかかり、又はかかるおそれがある構造である場合は、その荷重に対して囲いが構造耐力上安全であること(ロ(1)) 法令上の義務
いま効いています。ただし32品目にのみ
①-b 環境省の解説
ヤード環境対策検討会 報告書
令和7年3月
屋外で容器を用いずに保管する場合で、強風時等に飛散・流出のおそれがある場合は、フェンスを設けるなど保管の状況に応じた対策 行政の説明
①-aをどう満たすかの具体例で、条文そのものではありません
② 検討会の案
2026年7月27日 資料3
囲いの設置を規定してはどうか。荷重が直接かかるおそれがある構造の場合は構造耐力上安全であることを求めてはどうか。例示は「構造耐力上安全な強度、網フェンス設置等」 案です
決定ではありません
③ 自治体の条例
事業場のある県や市
所在地によっては、条例で囲いが要ります(後述) その区域でいま効いています
囲いの話は、出どころが3つ
囲いの話は、出どころが3つ

順番に見ていきます。

いまの国の基準

① いま効いている国の基準

今の基準の説明にもフェンス
今の基準の説明にもフェンス

有害使用済機器の保管について、環境省の報告書はこう書いています。

「有害使用済機器の保管に当たっては、みだりに人が入り込まないよう、また、機器やその一部が周辺環境へ飛散・流出しないよう管理するため、囲いを設け、保管の位置を明らかにする必要がある」

荷重がかかる場合については、続けてこうあります。

「囲いに荷重がかかるように有害使用済機器が保管されている場合、囲いが倒れ又は壊れること等により、有害使用済機器が周辺に崩落しないように、当該荷重に対して構造耐力上の安全が必要である」

そして、ここが大事なところです。

「屋外で容器を用いずに保管する場合で、強風時等に有害使用済機器やその一部が飛散・流出するおそれのある場合は、フェンスを設けるなど保管の状況に応じた対策が必要である」

「フェンスを設けるなど」——現行の基準の説明に、すでにフェンスが出てきます。囲いの材質は指定されていません。

ただし、この基準が及ぶのは有害使用済機器として政令で定められた32品目(家電4品目と小型家電28品目)だけです。金属スクラップ一般や雑品スクラップ一般には及びません。だから今回、包括的に網をかける改正が行われた、という関係になります。

いまの基準は32品目だけ
いまの基準は32品目だけ

検討会の案

② 検討会で示された案

検討会の案はまだ問いかけ
検討会の案はまだ問いかけ

環境省が2026年7月27日に開いた検討会の資料3に、囲いの案が載っています。原文を引きます。

「1. 保管等の事業場所の範囲を明確化するとともに、みだりに立ち入ることを制限するため、囲いの設置を規定してはどうか。」

「2. 保管する物品の荷重が直接囲いにかかるおそれがある構造である場合には、さらに飛散・流出防止の観点から、構造耐力上安全であることを求めてはどうか。」

同じ資料の別のページには、基準のイメージとしてこう書かれています。

「みだりに人が入り込まないよう、また、保管物が周辺環境へ飛散・流出・崩落しないよう囲いを設置する措置(構造耐力上安全な強度、網フェンス設置等)」

ここから3つ、読み取れます。

  1. 文の終わりがすべて「〜としてはどうか」です。決定ではなく、問いかけの段階です
  2. 構造耐力が出てくるのは「荷重が直接囲いにかかるおそれがある構造である場合」という条件付きです
  3. 例示に網フェンスが入っています。材質は限定されていません

検討会の第1回では、環境省の担当参事官が「発言がなかった点についても、これで確定ということではない」と述べています。いま出ている数字は、どれも確定ではありません。

高さの決まり方

高さの決まり方は、囲いの作り方で変わります

高さは囲いの作り方で変わる
高さは囲いの作り方で変わる

ここは誤解が多いところなので、丁寧に書きます。

現行の施行規則(第13条の6)は、容器を用いずに屋外で保管する場合の高さを、囲いに荷重がかかっているかどうかで3つに分けています。

  • 囲いに荷重がかかる部分がない場合(第1号)——囲いの下端から水平面に対し上方に50%の勾配を有する面との交点(交点が2以上あるときは、最も地盤面に近いもの)までの高さ、または5mのうち低いほう
  • 囲いに荷重がかかる部分がある場合(第2号)——その部分の上端から下に50cmの線(基準線)を基準にした高さ。ただし、囲いに直接負荷部分でない部分もあるときは、基準線側の高さと第1号の勾配側の高さの、いずれか低いほう。それと5mのうち低いほう
  • 三方の囲いに荷重がかかる部分がある場合(第3号)——その三方以外の方向から、事業の用に供する施設(その保管の場所を除く)または事業場の敷地の境界線への水平距離のうち最小のものの2分の1、基準線の高さ、5mのうち最も低いもの、または第2号の高さ

「いずれか低いほう」を落とさないでください。荷重のかかる囲いと、かからない囲いが同じ事業場に混ざっているときは、各地点で低いほうを採ります。基準線側だけを見ると、積んでよい高さを過大に読みます。条文の枝分かれをそのまま並べた表は、この連載の第4回に置いてあります。

読み方に注意がいります。これは「囲いを強くすれば高く積んでよい」という規定ではありません。囲いに荷重をかける積み方をするなら、その荷重に耐えられる囲いでなければならない、という順番です。強度は目的ではなく、その積み方を選んだことの結果です。

検討会の案も、この3分岐をほぼそのまま引き継いでいます。現時点の案は現行基準を下敷きにしている部分が多いのですが、対象範囲と最終的な基準は、まだ確定していません。対象は、現行の32品目から、法律上の「要適正保管使用済金属・プラスチック物品」「要適正再生使用済金属・プラスチック物品」へ広がることになります(第1回で扱いました)。すべての金属・プラスチックが無条件に対象になるわけではありません。

囲いと仕切り

「囲い」と「仕切り」は、条文上の役割が違います

囲いと仕切りは役目が違う
囲いと仕切りは役目が違う

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。

現行の施行規則には、第13条の8「有害使用済機器の保管に係る火災の発生又は延焼防止のための措置」という条文があります。中身はこうです。

  • 一 有害使用済機器がその他の物と混合するおそれのないように他の物と区分して保管すること
  • 二 電池、潤滑油その他の火災の発生又は延焼のおそれがあるものが含まれる場合は、技術的に可能な範囲でこれらを適正に回収し、処理すること
  • 三 一の保管の単位の面積を200㎡以下とすること
  • 四 隣接する保管の単位の間隔は2m以上とすること(当該保管の単位の間に仕切りが設けられている場合を除く)
延焼防止に2m空けるか、仕切る
延焼防止に2m空けるか、仕切る

見出しのとおり、この条文の目的は火災の発生と延焼の防止です。電池と潤滑油が名指しされています。

そして第4号——2m空けるか、仕切りを設けるか、という選択になっています。仕切りがあれば間隔は要りません。

表3 囲いと仕切りは、条文上の役割が違います
囲い仕切り
どこにあるか事業場や保管の場所の周囲保管の単位と単位のあいだ
何のためかみだりに人が入り込まないように。飛散・流出・崩落を防ぐため火災の発生又は延焼を防ぐため
条文施行令第16条の3、施行規則第13条の6施行規則第13条の8第4号
効き方設けること(義務)仕切りがあれば、2mの間隔が不要になる

囲いは事業場や保管の場所の周囲にあるもので、目的は立入りの制限と飛散・流出の防止です。仕切りは保管の単位と単位のあいだにあるもので、目的は延焼の防止です。条文の上では、置かれる場所も、求められる働きも違います。もっとも、一つの構造物が置かれ方や性能によって両方の役割を果たすことはあり得ます。

この区別は、まだ十分に整理されていません。第1回の検討会では、委員から「囲いと壁の区別が十分でないと感じる」「壁は寄りかかってもよい構造物、囲いは敷地境界を示すものといった区別をした方がよい」という意見が出ています。国の側でも、これからの論点です。

囲いと壁の区別はこれから
囲いと壁の区別はこれから

なお、現行の条文は仕切りの材質を定めていません。ただし、置かれている条文の見出しが「火災の発生又は延焼防止のための措置」であることは、読んでおいてよい事実だと思います。

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自治体の条例

③ 所在地の条例で、囲いが要ることがあります

国の新しい制度とは別に、県や市が先に条例を作っているところがあります。事業場がその県や市にあって、条例の対象に当たれば、その条例も守る必要があります。条例には、燃えない材料の囲いや、外から中が見える囲いを求めるものもあります。対象に当たるか、何が求められるかは、条例を所管する県や市の窓口で確かめてください。

当サイトで条文を読んだヤードの条例は、次のとおりです。ここに無い県や市にも、条例がある場合があります。

囲いの性能はまだ決まっていない
囲いの性能はまだ決まっていない

国の新しい基準が、囲いを燃えない材料にすることや、外から中が見えるようにすることまで求めるのかは、まだ決まっていません。

実際に起きること

実際に起きているのは、火災だけではありません

火事より多いのは騒音と飛散
火事より多いのは騒音と飛散

環境省の実態調査(令和6年9月30日時点)によると、再生資源物の保管等事業場は3,260件把握されています。ただし報告書には「129自治体のうち、47の自治体が事業場数を把握していないとして報告をしていないことから、実際は更に多くの事業場が存在している可能性がある」という注記がついています。

そのうち165の事業場で、211件の生活環境保全上の支障が確認されています。内訳はこうです。

  • 騒音・振動 87件
  • 飛散・流出 44件
  • 火災 27件
  • 水質汚濁 19件/悪臭 16件/土壌・地下水汚染 3件/崩落 3件/その他 12件

囲いや高さの規制は火災と崩落の話として語られがちですが、件数でいちばん多いのは騒音・振動、次いで飛散・流出です。囲いは、この飛散・流出にも効く設備だということになります。

確かめること

いま、確かめておくこと

いま確かめておくこと
いま確かめておくこと
  1. 自分の事業場に、いま条例がかかっているか——事業場のある県と市に条例があるか、あれば対象に当たるかを確かめる
  2. 囲いに荷重をかけて積んでいるか——ここが高さの計算の分かれ目です。かけているなら、その荷重に耐えられる囲いかどうかを見ておく必要があります
  3. 有害使用済機器を扱っている場合は、保管の単位が200㎡を超えていないか、2m空いているか——現行の国の基準です。仕切りがあれば間隔は不要です
  4. 有害使用済機器を扱っている場合は、電池や潤滑油が混ざる置き方になっていないか——条文が名指ししているのはここです
  5. 囲いの高さと、外から見えるかどうか——条例がかかるなら、囲いの決まり(高さ・材質・中が見えるか)を読んでおく

新制度の案だけを根拠に、先回りして仕様を決める段階ではありません。いっぽう、現行の有害使用済機器の基準や、所在地の条例に適合していない囲いは、いまの制度に従って是正が必要です。ただし、自分がどの分岐に入るかは、いまの時点でも確かめられます。

検討会のその後

検討会は第3回まで進みました。囲いの案は変わっていません

検討会は進んだが、囲いの案は同じ
検討会は進んだが、囲いの案は同じ

環境省は2026年9月2日に検討会の第2回を開き、第3回は9月15日です。第2回の議題は「完成品の製造工程」と「再生原料」の考え方、関連する環境・安全関係法令と規制の適用範囲、千葉県と三重県からの聞き取りでした。第3回は、電池・アルミニウム・鋳物・銅や鉛などの非鉄金属・鉄・プラスチック・自動車リサイクルの14団体からの聞き取りです。

囲いの案そのものは、この2回で変わっていません。第2回・第3回とも、政省令の規定事項の案は第1回の資料3の抜粋が参考資料として配られただけです。第1回の資料に対する意見は第2回の参考資料2にまとめられていて、囲いについては「囲いと壁の区別」「構造耐力の確認方法・目安の明確化」を求める声が載っています。保管・再生の基準の整理は第4回以降で、環境省の資料では、年度内をめどに検討結果をまとめて政省令の公布とガイドラインの策定につなげる予定とされています。

なお、9月15日に廃棄物処理法の政令が2つ公布されました(令和8年政令第278号・第279号)。どちらも非常災害廃棄物の側の政令で、ヤードの囲いや面積を決めるものではありません。詳しくは連載の(2)「いつから始まるのか、今何をすべきか」に書きました。

案より先に、今の基準と条例
案より先に、今の基準と条例

この記事は公表されている条文と資料を読んだ整理であって、個別の判断ではありません。自分の事業場に何が求められるかは、所在地の都道府県または市の担当窓口に確認してください。

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出典


次回(4)は「積み上げ高さは何mまでか」を扱います。50%の勾配、5m、単一素材なら上限を設けないという案を、順番に読みます。

▶ 第4回 積み上げ高さは何mまでか

▶ 第1回 うちのヤードは許可が必要になるのか

▶ 第2回 いつから始まるのか、今何をすべきか

ヤードンで区画したストックヤード

製品情報

ストックヤード用プレキャスト擁壁「ヤードン」

ヤードの区画・仕切りに使うコンクリート製品です。最大壁高3m、平置きで設置でき、レイアウト変更のときは動かせます。

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