不適正な保管や再生によって人の健康または生活環境に被害を生ずるおそれがある一定の使用済金属・プラスチック物品について、保管業・再生業の許可制を導入する改正法が、2026年6月19日に公布されました。許可制の施行日は、まだ決まっていません。正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律」(令和8年法律第43号)。単独の新法ではなく、廃棄物処理法を含む複数の関連法をまとめて改正するもので、廃棄物処理法に第四章の二(第24条の7〜第24条の36)が加わります。「スクラップヤード法」という名前の法律は存在しないので、条文は廃棄物処理法の改正として探すことになります。あわせて、これまでの有害使用済機器の届出制度は廃止されます。
法律で決まったのは制度の基本構造と主な義務です。一方でいつから始まるのか、どの規模から許可が要るのか、囲いなどの基準はどうなるのかは、まだ決まっていません。この記事は2026年8月17日時点で公表されている条文と資料をもとに書いています。以下、時点を指す表現は「本稿執筆時点」と書きます。第1回は「うちは許可が必要になるのか」を扱います。


まず確かめる5つ

- 事業場ごとの面積の資料——登記簿、公図、地積測量図、賃貸借の図面、現況の配置図をそろえ、敷地の境界、契約の範囲、保管場所、処理設備、通路などの配置を把握しておく。条文の基準は、保管業なら「保管の用に供する事業場の敷地面積」、再生業なら「再生及び保管の用に供する事業場の敷地面積」。登記上の一筆の面積と一致するとは限らず、具体的な算定方法は政令等の公表を待つ必要があります
- 扱っている物と仕入れの条件——買い取っているのか、処理費を受け取って引き取っているのか。ただし金銭の流れだけで廃棄物かどうかは決まりません(後述)
- ヤードでしている作業——受入、保管、選別、切断、破砕、圧縮、解体のどれをどの程度しているか。保管業と再生業のどちらか一方、または両方に当たるかの判断材料になります
- 持っている許可・認定——廃棄物処理業の許可(種類と品目)、各リサイクル法の認定。特例の対象になるか、なる場合もどの範囲までかが変わります
- 所在地の条例——国より先に条例で規制している県・市がある(第9回で扱います)
何が対象になるのか

新しい許可は廃棄物ではないものを相手にしています。条文(第2条第7項)は「使用済金属・プラスチック物品」を、使用を終了して収集された物品で全部または一部が金属またはプラスチックから成るもの、ただし、廃棄物並びに放射性物質及びこれによって汚染された物は除くと定義しています。

ただし、これに当たれば全部が許可対象になるわけではありません。母集団は「廃棄物を除く使用済金属・プラスチック物品」で、そのうち、不適正な保管または再生によって人の健康や生活環境に被害を生ずるおそれがあるもの——条文でいう「要適正保管使用済金属・プラスチック物品」「要適正再生使用済金属・プラスチック物品」——です(第2条第8項・第9項)。そのうえで許可がかかるのは、「要適正保管使用済金属・プラスチック物品」を譲渡のために業として保管する場合(第24条の7第1項)と、「要適正再生使用済金属・プラスチック物品」を業として再生し、そのために保管する場合(第24条の15第1項)です。売買や運搬をしているだけで、ただちにこの許可がかかるわけではありません。


ここで注意が必要です。「買い取っていれば有価物、処理費をもらっていれば廃棄物」という単純な二分では決まりません。廃棄物にあたるかどうかは、物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無、占有者の意思などを総合的に判断するというのが行政の考え方です。金銭の流れは重要な判断材料のひとつですが、それだけで結論は出ません。自社の取引がどちらに当たるかは、実際の取引条件と保管の実態を示したうえで、所管の行政庁に確認するのが確実です。
| ヤードにあるもの | かかる制度 | 許可を出すのは |
|---|---|---|
| 廃棄物にあたるもの(性状・排出状況・取引価値・占有者の意思などから総合的に判断) | 従来どおりの廃棄物処理法。他人の廃棄物の収集運搬・処分を業として行う場合に処理業の許可を確認する | 一般廃棄物は市町村長、産業廃棄物は都道府県知事等 |
| 廃棄物にあたらない使用済金属・プラスチック物品のうち、不適正な保管・再生で被害のおそれがあるもの(要適正保管物品・要適正再生物品) | 原則として、今回の改正で新設される保管業・再生業の許可 ※面積による除外、既存の許可・認定による特例あり | 都道府県知事(第24条の33により、事務の一部を政令で定める市の長が行う場合がある) |
| 放射性物質とそれに汚染された物 | 対象外(第2条第7項で除外) | — |
なお、廃棄物にあたらない物がこれまで完全に無規制だったわけではありません。廃棄物処理業の許可の対象ではなかったが、一部の有害使用済機器には、既に届出制度と保管・処分の基準が設けられていました。今回はその制度を廃止し、対象を組み直した許可制が導入される、という関係です。

対象の基本的な定義は、法律そのものに置かれています。ただし対象品目を政令で一覧指定する方式ではないため、具体例や判断の考え方が今後のガイドライン等でどう示されるかを確認する必要があります。今後、面積、許可が要らない者、更新期間、保管・再生の基準などは政令で、施設・能力の許可基準、申請事項、帳簿の記載事項などは環境省令で定められます。
許可は2種類ある

新設される許可は「保管業」と「再生業」の2つです。おおまかに言えば、受け入れて置いておき、そのまま売るのが保管業。手を加えるのが再生業という分かれ方ですが、境目はまだはっきりしていません。破砕・圧縮・解体などは再生業にあたる可能性が高い一方、選別がどちらに入るかは確定していません。環境省の検討会資料では、再生の例に選別が挙がる一方、保管業の帳簿の例にも選別が出てきます。選別だけで再生業に当たるかは、今後の政省令・ガイドラインを確認する必要があります。
| 保管業(第24条の7) | 再生業(第24条の15) | |
|---|---|---|
| 何をする事業か | 要適正保管使用済金属・プラスチック物品の保管(譲渡のためのものに限る) | 要適正再生使用済金属・プラスチック物品の再生と、そのために行う保管 |
| 許可を出す人 | 都道府県知事(第24条の33により、事務の一部を政令で定める市の長が行う場合がある) | |
| 許可が要らない場合 | 「保管の用に供する事業場の敷地面積」が政令で定める面積以下の者、その他政令で定める者 | 「再生及び保管の用に供する事業場の敷地面積」が政令で定める面積以下の者、その他政令で定める者 + 完成品の製造における工程の一部として行われる再生とそのための保管 |
| 有効期間 | 「五年を下らない期間であつて…政令で定める期間」ごとに更新(年数は政令待ち) | |
| 守る基準 | 政令で定める保管基準(未制定)+帳簿の備付け・保存 | 政令で定める再生・保管基準(未制定)+帳簿の備付け・保存 |

保管業の条文(第24条の7第1項)は、保管を「譲渡のためのものに限る」と限定しています。譲渡を目的としない保管については、再生業に当たるか、完成品の製造工程に関する除外に当たるかを含め、個別に確認する必要があります。
新制度の許可が要らない場合は、3つの種類に分かれる

「許可が要らない」と一口に言っても、理由が3種類あります。自分がどれに当たるかで、確認すべき法令と要件が変わります。
① そもそも新制度の対象外——扱っている物が廃棄物にあたる場合と、放射性物質とその汚染物の場合。廃棄物にあたるときは、この新制度ではなく、従来の廃棄物処理法にもとづく処理業の許可や処理基準の適用を別途確認することになります。また再生業では、完成品の製造工程の一部として行う再生とそのための保管が対象から外れます(第24条の15第1項)。環境省の資料では製鉄・精錬などが例に挙がっているが、どこまでが「工程の一部」かは検討中とされています。
② 政令による除外——事業場の敷地面積が政令で定める面積以下のとき、およびその他政令で定める者(保管業は第24条の7第1項ただし書、再生業は第24条の15第1項ただし書)。環境省の整理では国や自治体などが挙げられているが、面積も対象者も政令が出ていないので確定していません。
③ 既存の許可・認定による特例——廃棄物処理業の許可を持つ事業者や、各リサイクル法の認定等を受けた事業者は、許可を重ねて取らずに行える範囲があります(第24条の12・第24条の19、および改正法第2条〜第6条)。この③は範囲が限定されています。以下に挙げるのは廃棄物処理法上の既存許可に関する特例で、各リサイクル法の認定等による特例は、認定計画等の範囲に限って別に設けられています。

- 廃棄物処理法第24条の12による保管業の特例は8類型——一般廃棄物の収集運搬業者・処分業者・処理施設設置者(第8条第1項の許可を受けた者に限る)、産業廃棄物の収集運搬業者・処分業者、特別管理産業廃棄物の収集運搬業者・処分業者、産業廃棄物処理施設の設置者
- 廃棄物処理法第24条の19による再生業の特例は5類型——一般廃棄物処分業者、一般廃棄物処理施設設置者(第8条第1項の許可を受けた者に限る)、産業廃棄物処分業者、特別管理産業廃棄物処分業者、産業廃棄物処理施設設置者。収集運搬業の許可は再生業の特例に入っていません
- 保管業の特例で行えるのは、既存の許可に係る廃棄物について行う保管と生活環境の保全上同等の保管(譲渡のためのものに限る)に該当する行為(第24条の12第1項)
- 再生業の特例で行えるのは、既存の許可に係る廃棄物の処分およびその処分のために行う保管と生活環境の保全上同等の再生・保管に該当する行為(第24条の19第1項)

この特例に当たる範囲では、新制度の許可申請は不要になります。ただし、特例を使ってその行為を行う場合も、保管・再生の基準、帳簿の備付け、名義貸しの禁止、改善命令といった規定は適用されます(第24条の12第2項・第24条の19第2項)。産廃の許可を持っていても、その行為をするなら新しい基準に対応する必要があります。
肝心の面積は、まだ決まっていない

「敷地面積が政令で定める面積以下」——この面積が何㎡なのかは法律に書かれていません。政令で定めるとされており、その政令は本稿執筆時点で制定されていません。
参考になるものが2つあります。環境省が2026年7月27日に開いたスクラップヤード環境対策技術検討会の資料に「100㎡を超えない面積」としてはどうかという案があることです。もう1つは先行する自治体条例で、千葉市の条例は敷地面積100㎡を超えない屋外保管事業場を許可不要としています。ただし100㎡は案であって、確定した数値ではありません。


判定の単位にも注意が必要です。条文は「保管の用に供する事業場の敷地面積」(再生業は「再生及び保管の用に供する事業場の敷地面積」)と書いています。会社全体ではなく事業場単位です。現行の有害使用済機器の基準でも、2以上の事業場を持つ者は各事業場で判定するとされています。なお千葉市の条例には、敷地が隣接する事業場は各敷地面積の合計で見るという規定があります。国の政令がどう書かれるかは分かりませんが、隣どうしに分ければ小さく数えられる、とは限りません。


この記事は公表されている条文と資料を読んだ整理であって、個別の判断ではありません。許可の要否は事業場ごとの実態で決まるため、実際の判断は所在地の都道府県または市の担当窓口に確認してください。第24条の33により、事務の一部を政令で定める市の長が行う場合があります。
出典
- 衆議院 議案審議経過情報
- 参議院 議案情報(第221回国会 閣法第59号)
- 国立国会図書館 日本法令索引
- 環境省 改正法案 案文・理由(PDF)
- 環境省 改正法案 要綱(PDF)
- 環境省 改正法案 参考資料(PDF)
- 環境省 スクラップヤード環境対策技術検討会 資料3(PDF)
- e-Gov法令検索 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
- 環境省「行政処分の指針について」(廃棄物該当性の判断)
- 千葉市 再生資源物の屋外保管に関する条例
次回(2)は「いつから始まるのか、今何をすべきか」を扱います。施行日と、公布日から既に効力を持っている事前申請の話です。

