2018年6月18日の大阪府北部地震では、登校中の9歳の児童が小学校のブロック塀の倒壊に巻き込まれて亡くなった。地震の発生は朝7時58分、通学の時間帯だった。この事故をきっかけに国土交通省は既設の塀の安全点検を全国に呼びかけ、「ブロック塀の点検のチェックポイント」を公表している。
もうすぐ2学期が始まる。7月28日の熊本地震でも各地で塀の倒壊が確認されており、通学が再開する前のこの時期は、自宅の塀と通学路の塀を一度見ておくのに良いタイミングだ。
外観でわかる5項目(国土交通省のチェックポイント)
チェックポイントでは、まず外観で次の5項目を確認し、ひとつでも不適合があるか、分からないことがあれば専門家に相談するとされている。
- 高さ ― 塀の高さは地盤から2.2m以下か
- 厚さ ― 塀の厚さは10cm以上か(高さ2m超2.2m以下の場合は15cm以上)
- 控え壁 ― 高さ1.2m超の塀では、長さ3.4m以下ごとに、塀の高さの1/5以上突出した控え壁があるか
- 基礎 ― コンクリートの基礎があるか
- 健全性 ― 塀に傾き、ひび割れはないか
なお、れんが造・石造・鉄筋のないブロック造(組積造)の塀は基準がさらに厳しく、高さは1.2m以下とされている。
6項目めの「鉄筋」は外から見えない
6項目めは塀の中の鉄筋だ。直径9mm以上の鉄筋が縦横とも80cm間隔以下で入り、縦筋が壁頂部と基礎の横筋にかぎ掛けされているか。基礎の根入れは30cm以上か(高さ1.2m超の場合)。これらは外観では確認できないため、専門家の領域になる。
見えないことの怖さは、先月の熊本地震で実例が出た。震度7の宇城市では、控え壁が付いているのに倒れた塀が調査で報告されている。控え壁の中の鉄筋が錆びて破断した形跡があったという(日本建築学会掲載の被害調査速報)。1〜5が合格に見えても、6が原因で倒れることがある。
撤去には補助金を使える自治体が多い
点検して危ないと分かった塀の撤去には、多くの自治体が補助制度を設けている。たとえば——
- 岡山市: 撤去費の2/3(上限15万円)。受付は令和8年11月30日まで、先着順で予算がなくなり次第締め切り
- 名古屋市: 撤去費の1/2以内(1mあたり6,000円、上限10万円)。完了実績報告の提出は2月末日まで
金額・締切・対象条件は自治体ごとに違う。「市区町村名 ブロック塀 補助金」で検索するか、役所の建築担当窓口で確認してほしい。
通学路は、子どもが毎日同じ時間に同じ場所を歩く道だ。点検は外観を見る範囲にとどめ、傾きやひび割れのある塀には近づかないこと。心配な塀を見つけたら、所有者か自治体に相談してほしい。
出典
- 国土交通省「ブロック塀等の安全対策について」
- ブロック塀の点検のチェックポイント(国土交通省作成・千葉県掲載PDF)
- 岡山市「ブロック塀等の撤去補助制度について」
- 名古屋市「ブロック塀等撤去費助成」
- 日本建築学会 災害委員会「令和8年熊本地震に関連する調査等について」
- 当サイト「令和8年熊本地震とブロック塀」
