スクラップヤードに許可制が入る(2) いつから始まるのか、今何をすべきか

スクラップヤードに許可制が入る(2) いつから始まるのか、今何をすべきか

第1回では「うちのヤードは許可が必要になるのか」を扱いました。第2回は「いつから始まるのか」です。結論から書くと、許可制の本体が始まる日は、まだ決まっていません。ただし、一部の規定は2026年6月19日の公布の日から、すでに動いています

この記事は2026年8月18日時点で公表されている条文と資料をもとに書いています。条文は国会に提出された法律案の本文と、e-Gov法令検索に収録されている現行の廃棄物処理法で確認しました。公布日(2026年6月19日)と法律番号(令和8年法律第43号)は、衆議院の議案審議経過情報など別の資料によります。以下、時点を指す表現は「本稿執筆時点」と書きます。

施行日は1つではありません

いつから始まるのか、まだ決まっていません
いつから始まるのか、まだ決まっていません

改正法の附則第1条は、施行期日を三段構えで定めています。原則は「公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日」です。公布は2026年6月19日ですから、許可制の本体は、遅くとも2028年12月ごろまでに始まることになります。正確な日付は期間の数え方によって前後しますので、確定的な日付は政令の公布を待って確認してください。

施行日は3つに分かれています
施行日は3つに分かれています

ここで注意がいります。条文にあるのは「二年六月を超えない範囲内」という上限だけで、「これより早くは施行しない」という下限はありません。ですから「2028年の暮れまでは何もしなくてよい」とは読めません。しかも、許可の申請そのものは、施行日を待つ必要がありません。詳しくは次の節で扱います。

上限だけで、下限はありません
上限だけで、下限はありません

一方で、附則第1条のただし書は、公布の日から施行する規定(第1号)と、公布の日から起算して3か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する規定(第2号)を分けて挙げています。後者の日は、附則第3条第1項の括弧書きで「第二号施行日」と定義されています。この語が使われるのは附則第3条と第4条だけで、いずれも中間貯蔵・環境安全事業株式会社に関する手続の規定です。ヤードの許可制は、この3か月の組には入っていません。

表1 施行日は1つではありません(改正法附則第1条)
いつ何が動くか状態
公布の日
2026年6月19日
許可の事前申請と、都道府県知事による事前の許可(附則第2条第1項・第2項=保管業、第4項・第5項=再生業)、附則第3条・第4条・第6条 すでに施行済み
公布から3か月を超えない範囲内の政令日 非常災害廃棄物関係を中心とする廃棄物処理法等の一部の規定と、関連法の条項ずれの修正など(附則第1条第2号)。スクラップヤードの許可の特例を新設する部分は含まれません 政令待ち
公布から2年6か月を超えない範囲内の政令日 許可制の本体。保管業・再生業の許可、保管・再生の基準、帳簿、罰則、有害使用済機器の届出制度の廃止、そして附則第2条第3項・第6項 政令待ち

公布の日から、すでに動いていること

公布の日から施行されている規定のうち、ヤードの事業者に直接関わるのは附則第2条の第1項・第2項(保管業)と第4項・第5項(再生業)です。ここには、施行日を待たずに許可の申請ができること、そして都道府県知事が施行日前に許可を与えることができることが書かれています。

条文はこう定めています。保管業について、第24条の7第1項の許可を受けて、要適正保管使用済金属・プラスチック物品の同項本文に規定する保管(同項の括弧書きで「譲渡のためのものに限る」とされています)を業として行おうとする者は、「この法律の施行の日……前においても、同項の規定の例により、その許可の申請をすることができる」(附則第2条第1項)。再生業についても同じ建て付けの規定が置かれています。ただし対象は、要適正再生使用済金属・プラスチック物品の「再生及び保管」(再生と、その再生のために行う保管)を業として行おうとする者です(同条第4項)。

都道府県知事の側も同様です。申請があった場合には「施行日前においても、新廃棄物処理法第二十四条の七第五項及び第六項の規定の例により、その許可を与えることができる」とされ、その許可を受けた者は、施行日において許可を受けたものとみなされます(保管業は附則第2条第2項。再生業は同条第5項で、第24条の15第5項及び第6項が引かれます)。

事前の許可も、基準に合うことが条件です
事前の許可も、基準に合うことが条件です

ここで引かれている第5項は、許可の基準です。都道府県知事は、申請が「次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ」許可をしてはならないとされ、その第1号は施設と申請者の能力が環境省令で定める基準に適合すること、第2号は欠格要件に当たらないことです。第6項は、許可に生活環境の保全上必要な条件を付けることができるという規定です。つまり施行日前の許可であっても、基準に適合すると認められることが条文上の条件で、その基準の中身が環境省令に委ねられている、ということになります。

なお、同じ附則第2条でも、第3項と第6項は、公布の日からは施行されていません。附則第1条第1号に挙げられているのは第1項・第2項・第4項・第5項だけで、第3項・第6項はどちらの号にも入っていないからです。ですから原則どおり、許可制の本体と同じ日から施行されます。実際、e-Gov法令検索に収録されている現行の廃棄物処理法の附則には、第1項・第2項・第4項・第5項だけが載っていて、第3項・第6項は載っていません

表2 施行日をまたぐときの扱い(改正法附則第2条)
場面条文が定めていること根拠と、いま効いているか
施行日前に申請する施行日前でも、許可の申請ができます 附則第2条第1項(保管業)・第4項(再生業)
公布の日から施行済み
施行日前に許可が出る都道府県知事は施行日前でも許可を与えることができ、その許可を受けた者は施行日において許可を受けたものとみなされます。ただし許可の基準に適合すると認められることが条件です 附則第2条第2項(保管業)・第5項(再生業)
公布の日から施行済み
施行の際に処分が出ていないその処分が行われるまでの間、申請した者は許可を受けたものとみなされます 附則第2条第3項(保管業)・第6項(再生業)
施行日から(まだ効いていません)
申請しないまま施行日を迎える附則第2条から第5条までに、これを救う定めはありません。許可が要る事業なら、無許可で営むことになります 附則第6条が「必要な経過措置は政令で定める」としているため、政令で手当てされる余地は残ります
施行日をまたぐときの4つの場面
施行日をまたぐときの4つの場面

では、いま申請できるのか

いま申請すれば早い、とはなりません
いま申請すれば早い、とはなりません

ここは慎重に書きます。条文上、申請の道は公布の日から開いています。しかし、実際に申請が受け付けられ、審査が進むかどうかは別の問題です。

許可の基準のうち、施設と申請者の能力に関する基準は環境省令に委ねられており、本稿執筆時点で制定されていません(第24条の7第5項第1号。再生業も同じ文言で第24条の15第5項第1号)。また条文は、事業場の敷地面積が「政令で定める面積以下である者」のほかに、「保管を適正かつ確実に行うことができる者として政令で定める者」も許可の対象から外すとしています(第24条の7第1項ただし書。再生業は第24条の15第1項ただし書で「再生及び保管を適正かつ確実に行うことができる者」)。面積の線引きも、それ以外の除外の類型も、この政令が出るまでは分かりません。

したがって、「いま申請すれば早く許可が取れる」と考えるのは早計です。ただし、今日できることがないわけではありません。窓口に一度電話をかけておく価値があります。聞くことは3つです。

窓口に聞くことは、3つだけです
窓口に聞くことは、3つだけです
  1. 保管業・再生業の許可について、施行日前の申請の受付はもう始まっているか
  2. まだなら、受付の開始や説明会の案内はどこで知らせてもらえるか(ホームページか、業界団体か、郵送か)
  3. 受付が始まるまでの間、いま出している届出や条例に基づく手続はどうしておけばよいか

かける先は、まず事業場の所在地を管轄する都道府県の担当課です。施行日前の申請と事前の許可について、附則第2条第2項・第5項が名指ししているのは都道府県知事だからです。あわせて「うちの市が窓口になるのか」も聞いておいてください。第24条の33第1項は、この章の規定により都道府県知事の権限に属する事務の一部を、政令で定めるところにより政令で定める市の長が行うこととすることができる、としていますが、どの市がこれに当たるかは政令で決まり、この規定自体も許可制の本体と同じ日から施行されます。

この時点では「基準も様式もまだなので答えられない」という返答になることはあり得ます。それでも、担当課の名前と電話番号を控え、受付が始まったら案内が届くようにしておく——今日できるのはここまでですが、ここまではできます。

施行の際に処分が出ていなかったら

申請したものの、施行日までに許可・不許可の処分が出ないことも考えられます。この場合について、附則第2条第3項は、「この法律の施行の際処分が行われていない場合においては、その処分が行われるまでの間は、当該申請を行った者は……許可を受けたものとみなす」と定めています。再生業も同じです(同条第6項)。

つまり、施行日前に申請をして、施行の際にまだ許可・不許可の処分が出ていなければ、処分が出るまでの間は許可を受けたものとみなされ、その間に無許可の状態になることはありません。ただし、条文がみなしを認めているのは「施行の際処分が行われていない場合」ですから、施行日より前に不許可の処分を受けていたときは、この規定は働きません

なお、このみなしが働くには、附則第2条第1項または第4項に基づく「許可の申請」として扱われていることが前提です。資料を送っただけで当然にみなしの対象になるとは限りません。

また、この第3項・第6項は施行日を迎えた時点ではじめて働く規定で、許可制の本体と同じ日から施行されます。いま先に申請しておく側の手順が変わるわけではありません。

許可は一度取れば終わりではありません

許可は5年を下らない期間ごとに更新です
許可は5年を下らない期間ごとに更新です

もう一つ、政令待ちの事項があります。許可の更新です。条文は「前項の許可は、五年を下らない期間であつて当該許可に係る事業の実施に関する能力及び実績を勘案して政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う」と定めています(保管業は第24条の7第2項、再生業は第24条の15第2項。同じ書き方です)。5年を下回ることはありませんが、実際に何年ごとになるかは政令が定めます。

なお、更新を申請したのに有効期間の満了日までに処分が出ないときは、従前の許可は処分がされるまでの間は効力を持ち続けます(第24条の7第3項・第24条の15第3項)。施行日前の申請の場合と同じ考え方です。

いまの届出は、そのまま許可になりません

届出は、いますぐ止めないでください
届出は、いますぐ止めないでください

現在、有害使用済機器の保管等について届出をしている事業者がいます。この届出制度(現行の廃棄物処理法第17条の2)は、今回の改正で廃止されます。条文は「第十七条の二を削る。」と定めています。

ただし、廃止されるのは施行日からです。この改正規定は附則第1条の第1号にも第2号にも挙げられていません。それどころか第2号は、第24条の4の改正規定のうち「第十七条の二第一項……を削る部分を除く」とわざわざ書いて、第17条の2に関わる削除を3か月後の施行から外しています。ですから原則どおり、公布の日から起算して2年6か月を超えない範囲内で政令が定める日に、はじめて効力を生じます。その日が来るまでは、いまの届出の義務がそのまま続きます。「どうせ無くなる制度だから」と手続を止めてしまわないでください。

届出が、そのまま許可になる規定はありません
届出が、そのまま許可になる規定はありません

では届出をしていた人は、施行日に自動的に許可を受けたことになるのか。改正法の附則を読むかぎり、届出者を許可を受けた者とみなす規定は置かれていません。附則で経過措置として定められているのは、許可の準備行為(第2条)、中間貯蔵・環境安全事業株式会社に関する準備行為(第3条・第4条)、罰則に関する経過措置(第5条)です。

ただし、附則第6条は「この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める」としています。既存の届出者の扱いが政令で定められる可能性は残ります。現時点で言えるのは、法律の本体と附則には、届出から許可への自動的な移行を定めた条文が見当たらないということです。届出をしている事業者は、この点を窓口で確認しておくことをおすすめします。

いま動いている政令案は、ヤードのものではありません

関連して、廃棄物処理法施行令の一部を改正する政令案が、本稿執筆時点で意見公募(パブリックコメント)にかかっています(意見の受付は2026年8月23日まで)。ただし内容は、非常災害廃棄物の処理の委託基準の整備、届出の特例の対象となる施設、非常災害時の最終処分場の指定の更新期間などです。根拠条項は改正後の第6条の2、第9条の3の3及び第9条の3の4で、表1でいう3か月の組にあたります。スクラップヤードの許可制の面積や基準を定める政令案ではありません

「政令が出た」という話を聞いても、それがヤードの政令とは限りません。案件名と根拠条項を見て、第24条の7や第24条の15に関わるものかどうかを確かめてください。

政令を待つ間にできること

本稿執筆時点では、申請の事項や様式、施設・能力の審査基準がまだ整っていません。このため、正式な申請書を完成させて実際に提出できる段階にあるかは、所在地の都道府県に確認する必要があります。それでも、待っている間に動かせるものはあります。政令が出てから慌てないための準備です。

  1. 事業場ごとの敷地面積を把握する——登記簿、公図、地積測量図、賃貸借の図面、現況の配置図をそろえます。判定は会社単位ではなく事業場単位です
  2. 受入から出荷までの作業を書き出す——受入、保管、選別、切断、破砕、圧縮、解体のどれをどこでしているか。保管業と再生業のどちらか一方、または両方に当たるかの判断材料になります
  3. 既存の許可・認定を棚卸しする——廃棄物処理業の許可の種類と対象品目、各リサイクル法の認定。特例の範囲に入るかが変わります(第1回で扱いました)
  4. 所在地の条例を確認する——国より先に条例で規制している県・市があります。条例の許可が国の許可に自動的に引き継がれるとは限りません。別途申請が必要かは、今後の政令・経過措置と自治体の案内を確認します(第9回で扱います)
  5. 帳簿として何を残せるかを確認する——受入日、品目、数量、相手方などを、いまの伝票や日報から再現できるかを見ておきます。帳簿の記載事項は環境省令で定められます
表3 いま動かせること/政令・省令を待つこと(カッコ内は、その事項を定める命令の種類です)
いま動かせること待つこと
事業場ごとの敷地面積の把握
受入から出荷までの作業の書き出し
既存の許可・認定の棚卸し
所在地の条例の確認
帳簿として何を残せるかの確認
担当窓口への一報
施行日(政令)
許可が要らない面積・その他の者(政令)
許可の更新期間(政令)
保管・再生の基準(政令)
施設・能力の許可基準(環境省令)
申請事項・帳簿の記載事項(環境省令)
既存の届出者・条例許可者に対する経過措置(政令・自治体の案内)
「譲渡のための保管」「選別」の判断(ガイドライン等)
いま動かせること/待つこと
いま動かせること/待つこと

この記事は公表されている条文と資料を読んだ整理であって、個別の判断ではありません。施行日、申請の受付、経過措置の扱いは、所在地の都道府県の担当窓口に確認してください。

出典


次回(3)は「囲いは本当に義務になるのか」を扱います。検討会で示された基準案と、現行の有害使用済機器の基準、先行する条例の3つを並べて読みます。

第1回 うちのヤードは許可が必要になるのか

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