新潟のがけ条例——新潟県建築基準条例第8条

新潟のがけの決まりは第8条です

新潟で、がけの近くに家を建てる・買う人へ——最初に答えから。

先にすることは、3つです。がけ条例がかかっても、建てられないと決まったわけではありませんまず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って計画地を所管する建築行政の窓口へ、条例の当てはめを確かめる。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。確かめる中身は、この記事の最後の「売買契約の前に、専門家と確かめること」にまとめてあります。

①新潟のがけ条例は、新潟県建築基準条例(昭和47年新潟県条例第13号)の第8条です。②高さ5メートルをこえるがけに近接する建築物は、がけの上に建てるならがけの下端(かたん)と、がけの下に建てるならがけの上端(じょうたん)と、建築物との間にそのがけの高さの2倍以上の水平距離を保たなければなりません。がけとはこう配が30度を超える傾斜地(第7条第3項の括弧書き)。第8条が定める例外(本則ただし書)は、本則のただし書——堅固な地盤又は擁壁(ようへき=がけの土が崩れないように支える構造物。塀とは役割が違います)を設けたもの等で安全上支障がない場合——で、号を立てた例外の列挙はありません。③窓口は県の7つの地域振興局地域整備部建築課と、独自に建築主事を設置している6市(新潟市・長岡市・上越市・柏崎市・三条市・新発田市)に分かれます。

条文は県の例規集の現行版(表示は令和7年12月25日施行・最終改正 令和7年条例第47号)から、運用は県土木部都市局建築住宅課・砂防課のページと、そこに置かれているPDFから引きました(条例・施行細則・県のPDF・県の各ページは、2026年8月29日に原文を取得して確認しています)。

「がけ条例」の実体は、新潟県建築基準条例の第8条です

新潟のがけの決まりは第8条です
「がけ条例」という名前の条例はありません。新潟では新潟県建築基準条例(昭和47年新潟県条例第13号)の第8条です。第8条は法第40条に基づく敷地・構造の制限の付加とされています(条例の条文自体は根拠条を名指ししていません)。第22条により、市町村が同じ根拠で条例を定めれば、相当する県条例の規定は適用されません(知事が告示した場合を除く)——新潟市・長岡市は県条例第8条をそのまま適用していることを市の公式資料で確かめられました。ほかの市町村は確かめきれていません。

「がけ条例」という名前の条例はありません。条例第1条(趣旨)は、この条例が建築基準法第39条(災害危険区域)法第40条(建築物の敷地、構造又は建築設備に関する制限の付加)、法第43条第3項、法第56条の2第1項、政令第144条の4第2項に基づくものだと定めています(このほか、手数料の徴収と、地方自治法第252条の17の2第1項に基づく県の事務処理の特例も、同じ第1条が受けています)。第8条は、建築基準法第40条に基づき、がけに近接する建築物の敷地・構造に関する制限を付加する条例規定です——新潟市の現行の案内も、県条例第8条を法第40条に基づく規定として説明しています(条例の条文自体は、第8条がどの根拠条に当たるかを名指ししていません)。

どの区域にかかるか。「◯◯市の区域には県条例を適用しない」という名指しの除外は、条例の本文にも施行細則にも見当たりませんでした(両方の全文を「適用しない」「市の区域」と6市の市名で検索した範囲。条例の本文に市名は1件も出てきません。施行細則で6市の行政区域を除いているのは、第4条=地区建築主事の所管区域と、第13条の2=し尿浄化槽又は合併処理浄化槽の性能に係る区域指定の2か所で、どちらもがけ・災害危険区域とは関わりません)。代わりに置かれているのが、次の一般則です。

(市町村の条例との関係)
第22条 法第39条、第40条、第43条第3項若しくは第56条の2第1項又は政令第144条の4第2項(省令第10条の3第2項において準用する場合を含む。)の規定に基づき市町村が条例を定めた場合にあつては、当該条例の規定に相当するこの条例の規定は、適用しない。ただし、当該条例が法の目的を充分に達し難いと知事が認めて告示した場合は、この限りでない。

新潟県建築基準条例 第22条

つまり、市町村が同じ根拠で条例を定めれば、それに相当する県条例の規定は適用されません(知事が告示した場合を除く)。建築主事を設置している6市のうち、県条例第8条をそのまま適用していることを市の公式資料で確かめられたのは、新潟市と長岡市です。ほかの市町村の建築基準条例は、この記事では確かめきれていません。県自身は、がけ地近接等危険住宅移転事業の案内で「新潟県建築基準条例第8条で建築を制限しているがけ付近の区域」を対象区域に挙げています。長岡市・見附市の移転事業の案内も、同じく条例第8条を対象区域の根拠に挙げています(長岡市は「建築を制限している区域内の住宅」、見附市は「建築を規制している区域内の住宅」と、言い回しはそれぞれ違います)。ただし上越市・柏崎市・三条市・新発田市が独自の建築基準条例を持っているかは、各市の例規集に届かず確かめきれませんでした——「県内に県条例第8条を外す市町村は無い」とは書けません。条例第22条の主語は「市町村」で、建築主事を置く6市に限られていません——建築主事を設置している6市では市の担当課、それ以外の市町村では県の所管地域振興局と当該市町村に、市町村独自のがけ規制条例の有無を確かめてください。

窓口は、県が「地域機関建築課の所管区域、連絡先」のページで一覧にしています。県側は新発田・新潟・三条・長岡・南魚沼・上越・佐渡の7つの地域振興局地域整備部建築課。6市は市の担当課で、同じ一覧では新潟市=建築行政課、長岡市=建築・開発審査課、上越市=建築住宅課、柏崎市=建築住宅課、三条市=建築課、新発田市=建築課と案内されています。このページの更新日は2021年1月7日です——所轄区域と連絡先は、そのページで最新の表示を見てから電話してください。

どこからが「がけ」か——こう配が30度を超える傾斜地。高さ5メートル超は第8条本則の条件です

「がけ」は30度を超える傾斜地
定義は第7条第3項の括弧書き「がけ(こう配が30度を超える傾斜地をいう。次条において同じ。)」で、こう配だけで決めています高さ5メートルをこえるは定義ではなく、第8条本則の適用条件です。境目なら現況測量で確かめてください。第8条に当たらない斜面でも、がけ崩れ等のおそれがあれば法第19条第4項により擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければなりません(高さ・こう配の下限はありません)。

第8条の中に「がけ」の定義はありません。定義は、その1つ前の第7条第3項の括弧書きにあり、そこに「次条において同じ」と書かれています。「次条」が第8条です。

当該建築物の居室を直接がけ(こう配が30度を超える傾斜地をいう。次条において同じ。)に面して設けてはならない。

新潟県建築基準条例 第7条第3項(抜粋)

この括弧書きは、こう配だけで「がけ」を定めています——土質や岩盤による除外の書き方はありません。そして「30度を超える」であって「30度以上」ではありません。ちょうど30度の斜面は、この定義には当たらない書き方です。

混同しやすいのが高さです。「高さ5メートルをこえる」は、がけの定義の側ではなく、第8条本則の適用条件です。第7条第3項の「がけ」に高さの条件は付いていません——災害危険区域(第6条第1項第2号)の中で居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)を有する建築物にかかる構造規制は、がけの高さを問いません。第8条の距離の話と、災害危険区域の構造の話を、同じ「がけ」で結んでしまわないことです。県は「新潟県建築基準条例第8条(がけの説明図)」という1ページの図を公開しており(県のページ上の表示は「新潟県建築基準条例第8条に規定する崖について」)、そこにも「A(高さ5.0mを超えるがけ)」「30°を超える傾斜地」の記載があります——数値と「超える」の向きは、条文と同じです

第8条に当たらない斜面や、2倍以上の距離が取れている場合でも、安全の検討が不要になるわけではありません。建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれがある場合には、建築基準法第19条第4項により、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければなりません。こちらに高さ・こう配の下限はありません。

義務の形は「2倍以上、離す」——起点は、がけの反対側の端です

2倍以上、離せば原則建てられます
そのがけの高さの2倍以上の水平距離。上下で数字の別はありません——高さ6メートルのがけなら、上でも下でも12メートル以上です。対象は「建築物」で、条文は用途でも居室の有無でも絞っていません。「建築」には増築・改築・移転も含まれます(法第2条第13号)。第8条は1項だけの条文で、重い建築物に距離を上乗せする規定はありません。建築物のどこで測るか(外壁の外面か柱の外面か)を書いた県の文書は、見た範囲では見つかりませんでした。「建てられます」は、第8条の義務を満たすという意味です——法第19条第4項・災害危険区域・土砂災害の区域は、別に確認してください。

(がけ附近の建築物)
第8条 高さ5メートルをこえるがけに近接する建築物を、がけの上に建築する場合はがけの下端と、がけの下に建築する場合はがけの上端と、当該建築物との間にそのがけの高さの2倍以上の水平距離を保たなければならない。ただし、堅固な地盤又は擁壁を設けたもの等で安全上支障がない場合は、この限りでない。

新潟県建築基準条例 第8条

近づけない義務、つまり離す義務です。距離を測る起点は、がけの反対側の端になります——がけの上に建てるなら「がけの下端」から、がけの下に建てるなら「がけの上端」から。上端から下端までの水平の広がりを含めて測る形なので、上に建てる場合と下に建てる場合で起点が入れ替わります。倍率はそのがけの高さの2倍以上で、上下で数字の別はありません。高さ6メートルのがけなら、上でも下でも12メートル以上です。

対象は「建築物」です。条文は用途でも居室の有無でも絞っていません——建築基準法と県条例が通常どおり適用される建築物なら、住宅も、倉庫も、車庫も同じ条文の下にあります(畜舎特例法の認定畜舎等は、同法と県の別条例によります)。「建築」には新築だけでなく、増築・改築・移転も含まれます(建築基準法第2条第13号)。また第8条は1項だけの条文で、鉄筋コンクリート造など重い建築物をがけの上に建てる場合に距離を上乗せする規定は、この条には置かれていません。

距離を建築物のどこで測るか(外壁の外面か、柱の外面か)を書いた県の文書は、県の「建築基準法に関する運用、取扱い等」のページに載る資料(PDF・例規リンク42本)を見た範囲では見つかりませんでした。境目になる計画では、測り方から所管の窓口に確認してください——配置図・断面図と、がけの上端・下端が読める現況測量を持って行くと話が早く進みます。

第8条本文が明記する例外は、ただし書です——法令上の適用除外や市町村条例との関係は別です

取れないならただし書で扱えるか事前確認
ただし書は「堅固な地盤又は擁壁を設けたもの等で安全上支障がない場合は、この限りでない」の1文で、「等」が入っています——堅固な地盤と擁壁に限る書き方ではありません。号を立てた例外の列挙もありません。どういう擁壁なら足りるのかを書いた県の文書は、見た範囲では見つかりませんでした——「基準が無い」ではなく「公開されている資料の中には見つからなかった」ということです。条例の中で第8条を名指しで外す条もありません。これとは別に、法令上の適用除外(法第85条第2項)と、第22条の市町村条例との関係があります。

本則のただし書は「堅固な地盤又は擁壁を設けたもの等で安全上支障がない場合は、この限りでない」の1文です。「等」が入っているので、堅固な地盤と擁壁に限る書き方ではありません。号を立てて例外を並べる形ではありません。

そして、どういう擁壁なら足りるのかを、条文は書いていません。擁壁の構造・検査済証の要否、既にある間知ブロック積みの扱い、「堅固な地盤」の判断、深基礎や杭で足りるか——これらを書いた文書は、上記の資料42本を見た範囲では見つかりませんでした。「基準が無い」ではなく「公開されている資料の中には見つからなかった」ということです。県土木部都市局建築住宅課 建築指導係、または建築地を所管する地域振興局の建築課に照会してください——持って行くものは、①配置図・断面図(がけの高さと水平距離を記入したもの)、②既設擁壁があれば工作物の確認済証・検査済証、または開発許可・宅地造成の検査に合格したことが分かる書類、③擁壁の断面図・現況写真、④地盤調査の結果。聞くことは「この擁壁(またはこの地盤)で、第8条ただし書の『安全上支障がない場合』として扱えるか。扱えるとすれば、何をどこまで示す必要があるか」です。

条例の中で、第8条を名指しで外している条は見当たりません。規定を名指しで外す条が4つありますが、いずれも第8条を挙げていません——第2条(都市計画区域及び準都市計画区域外の建築物に対する適用除外)、第3条(法第43条第2項第2号の許可を受けた建築物に対する適用除外)、第4条(仮設建築物等に対する適用除外)、第5条(敷地と道路との関係等に係る制限の緩和=知事の認定)。第3章の第21条(一定の複数建築物に対する制限の特例)にも第8条は入っていません。読める結論は3つです。

  • 都市計画区域・準都市計画区域の内外を問わず、第8条はかかります(第2条の除外列挙に第8条が無いため)
  • 法第85条第6項・第7項の許可を受けた仮設興行場等や、法第87条の3第6項・第7項の許可を受けた建築物でも、第8条はかかります(第4条の除外列挙に第8条が無いため)
  • 条例第5条の知事の認定は、敷地と道路との関係等に係る制限を対象にするもので、第8条は対象に含まれません

ただし、これを「新潟県全域」とまでは書けません——第22条により、市町村が同じ根拠で条例を定めた区域では、相当する県条例の規定が外れうるからです(前述のとおり、該当する市町村は確かめきれていません)。

既存の建物・用途変更・仮設——適用の分かれ目

増築・改築をするとかかります
法第3条第2項の既存不適格(この条例の施行日は昭和47年6月1日)。外れるのはその適合しなくなった規定だけです。②増築・改築・移転等をすると法第3条第3項で緩和が切れ、法第86条の7第1項の緩和の列挙に、法第39条・第40条に基づく条例の規定は入っていません。③ただし法第85条第2項の対象になる仮設建築物には法第40条が適用されず、第8条も適用されません——同項の列挙には法第19条も入っています

①既存不適格(きそんふてきかく=建てたときは適法だった建物)——条例の規定の施行・改正のときに適法に存在し、または工事中で、その施行・改正によって適合しなくなった建築物には、建築基準法第3条第2項により、その適合しなくなった規定が原則として適用されません(条例の全部が外れる意味ではありません)。この条例の施行日は昭和47年6月1日です(附則1)。ただし増築・改築・移転・大規模の修繕・模様替をすると、法第3条第3項第3号・第4号により緩和が切れて条例が適用されるのが原則で、ただし法第86条の7第1項の緩和は、同項が列挙する法の規定に限られ、法第39条・第40条に基づく条例の規定は入っていません。施行令第137条の2以下も、それぞれ法の個別の条に対応するものです。移転には法第86条の7第4項・施行令第137条の16による別の緩和があります——同項で移転後も適用されないのは、移転の前から法第3条第2項により適用を受けていなかった規定のうち、政令で定める範囲に限られます。移転後に現行の法令全体が適用されなくなる制度ではありません。また、増築等を二以上の工事に分けて行う場合には法第86条の8、用途変更に伴う工事を二以上に分けて行う場合には法第87条の2の全体計画認定の制度が別にあります。なお、既存不適格の建築物の増築等について特定行政庁(建築確認を担当する県または市町村)がやむを得ないと認めて条例の適用を緩和する条は、条例の全文を見た範囲では見当たりませんでした(「第3条第3項」の文字列は条例の全文に1件もありません。「やむを得ない」が出てくるのは第9条の2=道に関する基準のすみ切りの箇所で、第8条とは関わりません)——法定の緩和に当たるかどうかで判断されることになります。

②用途変更——工事を伴わない用途変更でも、建築基準法第87条第2項により、法第39条第2項・第40条に基づく条例の規定は準用されます。既存不適格の建物の用途変更は法第87条第3項が別に定めており、原則は準用です。準用から除かれるのは各号の場合——①増築・改築・大規模の修繕・模様替をする場合(同項第1号)、②政令で指定する類似の用途相互間の変更で、修繕・模様替をしないか、大規模でない場合(同項第2号)、③法第48条関係で政令の範囲内の場合(同項第3号。この号は法第48条関係だけの除外で、がけの条例規定には関わりません)。①は「規制が外れる」意味ではありません——増築等をすれば法第3条第3項により緩和自体が切れ、条例が適用されるのが原則です。

③仮設・災害時——条例第4条の適用除外に第8条は入っていないので、許可を受けた仮設興行場等でも第8条はかかります。これとは別に、国の法律の側の特例はあります。特定行政庁が指定する非常災害区域等の内では、法第85条第1項により、災害により破損した部分の応急の修繕は工事の着手時期にかかわらず(国土交通省の通知)、国・地方公共団体・日本赤十字社の災害救助用と、被災者が自ら使用する延べ面積30平方メートル以内の応急仮設建築物は災害発生の日から1か月以内に工事に着手する場合に、建築基準法令の規定が適用されません(防火地域内の除外は応急仮設建築物の建築に掛かります)。これらの応急仮設建築物を工事完了後3か月を超えて存続させるには、その日前に特定行政庁の許可が必要です(同条第3項。期限前に申請し、期限までに処分がされないときは、処分がされるまで存続できます——同項ただし書)。工事現場に設ける事務所・下小屋・材料置場等と、災害時の公益上必要な用途に供する応急仮設建築物には、法第85条第2項により法第40条を含む規定が適用されません——第8条は法第40条に基づく条例規定です——条例第1条(趣旨)が、法第39条(災害危険区域)、法第40条(建築物の敷地、構造又は建築設備に関する制限の付加)、法第43条第3項(道路との関係)、法第56条の2第1項(日影)を根拠として挙げており、がけの第8条は敷地・構造の制限の付加に当たります。したがって、法第85条第2項の対象になる仮設建築物には、第8条も適用されません。確かめるべきなのは第8条の根拠ではなく、個別の建築物が同項の対象に当たるかのほうです——所管の建築課に確認してください。この第2項の列挙には、法第19条も入っています——これに当たる仮設建築物には、さきに書いた法第19条第4項の措置義務も及びません。なお第2項にもただし書があり、防火地域又は準防火地域内にある延べ面積50平方メートルを超えるものには、法第62条の適用があります。

レッドゾーンは別の法律です——第8条を外す定めは、条例に見当たりません

レッドゾーンでも外す定めは無い
条例に「レッドゾーンなら第8条は適用しない」という定めは見当たりませんでした。施行細則第6条の調査書は、災害危険区域・がけ(第8条)・レッドゾーンを別々の欄で並べています。レッドゾーン内の居室を有する建築物には建築基準法施行令第80条の3の構造規制が別にかかります。ただし「両方かかる」と明言した県の文書は見つけていません——重なる敷地では、所管の建築課に確かめてください。

この条例に「レッドゾーンなら第8条は適用しない」という定めは見当たりませんでした。条例の本則・附則を通して「土砂災害」という語は1件も出てきません(本文テキストを全文検索した結果)。第8条のただし書も土砂災害防止法に触れていません。レッドゾーンが県の建築の手続に出てくるのは、施行細則の調査書の記載事項です。

(8) 法第39条第1項に規定する災害危険区域の指定の有無

(10) 条例第8条に規定するがけの有無
(11) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第9条第1項に規定する土砂災害特別警戒区域の指定の有無

新潟県建築基準法施行細則 第6条(敷地に係る調査書・抜粋)

災害危険区域・がけ(第8条)・レッドゾーンが、別々の欄で並びます。条例の側にレッドゾーンを理由とする適用除外が無い以上、レッドゾーン内では、建築基準法施行令第80条の3の構造規制と、条例第8条の距離の規定が、それぞれ別にかかると読めます——調査書が3つを別の欄で並べているのも、それと矛盾しません。ただし「両方かかる」と明言した県の文書は見つけていません——重なる敷地では、所管の建築課に「第8条とレッドゾーンの構造規制が重なる場合、どちらをどう満たすか」を確認してください。

レッドゾーンの側の手続は県が整理しています。都市計画区域等——法第6条第1項第3号の区域——の中では、同号によって確認申請が要ります。その区域の外にある土砂災害特別警戒区域では、法第6条第1項第1号・第2号以外の居室を有する建築物について、建築物が区域内にあり、かつ敷地の過半が区域内にある場合に、土砂災害防止法第25条により同項第3号の確認規定が適用されます。法第6条第1項第1号・第2号に当たる建築物は、レッドゾーンに関係なく原則として確認申請が必要です——ただし、防火地域・準防火地域の外で行う増築・改築・移転について、その部分の床面積の合計が10平方メートル以内の場合は、同条第2項の適用除外があります(新築にこの除外はありません)。第1号は「別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるもの」——すべての特殊建築物ではなく、(い)欄の用途に限られます第2号は「二以上の階数を有し、又は延べ面積が200平方メートルを超える建築物」——「又は」なので、両方を満たす必要はありません。都市計画区域等の中は、法第6条第1項第3号そのものが働きます。県は、次の注意も出しています。

敷地の過半が土砂災害特別警戒区域外のため確認申請が不要であっても、新築等する住宅が土砂災害特別警戒区域内にあるときは、建築構造の規制を受けます。

新潟県「土砂災害特別警戒区域内における建築物の構造規制について」

県内の指定は、県土木部砂防課のページ(2026年8月14日更新)が土砂災害警戒区域(イエローゾーン)14,116箇所、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)8,934箇所としています。同じページの令和8年8月14日現在の市町村別の表には、「複数の市町村にまたがって指定されている区域については、主たる市町村の指定区域数に計上しています(重複を除いた純指定数)」という注記が付いており、重複を含めた指定数は同課が別のPDFで公表しています——どちらの数を見ているかで値が変わります。レッドゾーンでは、住宅(自己の居住の用に供するものを除く)や、高齢者・障害者・乳幼児など特に防災上の配慮を要する人が利用する社会福祉施設・学校・医療施設(政令で定めるもの)を建てるための土地の区画形質の変更(特定開発行為)に、土砂災害防止法第10条第1項の知事の許可が必要になることがあります(申請は第11条、許可基準は第12条、完了検査は第18条)。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う開発行為と、仮設建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為には、許可が要りません(同項ただし書、同法施行令第5条)。特定開発行為でなくなるわけではありません。用途が未確定で、これら以外の用途であることが確定していない予定建築物も、制限用途に含まれます。

レッドゾーン内の居室を有する建築物について、令第80条の3に対応する2つの方法——外壁等(外壁・構造耐力上主要な部分のうち、土石等の高さ等以下で、土砂災害の原因となる自然現象〔河道閉塞による湛水を除く〕により衝撃が作用すると想定される部分)を所定の構造にするか、土石等の高さ等以上の高さで、外壁等と同等以上の耐力を有するものとして国土交通大臣が定めた構造方法による門・塀を、衝撃を遮るように設けるか——と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。擁壁の選び方も合わせてどうぞ。

災害危険区域は第6条・第7条——第1号区域と第2号区域で、かかる決まりが違います

災害危険区域は第1号と第2号で違う
第6条第1項が2つの区域を定め、第7条が別々の制限を掛けます。第1号区域は住居の用に供する建築物が原則建築禁止(第1項)、住居以外で居室を有する建築物は鉄筋コンクリート造り又はこれと同等以上に堅固な構造(第2項)。第2号区域は条例第7条の文言上は第3項の構造規制です——ただし県の現行ページは区域を分けずに「住居の用に供する建築物を建築することができません」と書いていて、公開資料の間で扱いが一致していません。書面で確かめてください。指定箇所一覧は令和8年4月1日時点。

(災害危険区域の指定)
第6条 法第39条第1項の規定による災害危険区域は、次の各号に掲げる区域とする。
(1) 地すべり、土石流又は雪崩による危険の著しい区域として知事が指定する区域
(2) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の規定により知事が指定した急傾斜地崩壊危険区域及び知事が別に指定するこれに準ずる危険の著しい区域

新潟県建築基準条例 第6条第1項

第7条が、この2つの区域に別々の制限を掛けています。

(災害危険区域内の建築の制限)
第7条 前条第1項第1号の災害危険区域内においては、住居の用に供する建築物を建築してはならない。ただし、建築物の構造若しくは敷地の状況又は防護施設若しくは防止施設の設置の状況により安全上支障がない場合は、この限りでない。
2 前条第1項第1号の災害危険区域内において居室を有する建築物(住居の用に供する建築物を除く。)を建築する場合は、当該建築物の基礎及び主要構造部を鉄筋コンクリート造り又はこれと同等以上に堅固な構造とし、かつ、当該建築物の居室を直接地すべり、土石流又は雪崩の危険のある傾斜地に面して設けてはならない。ただし、当該建築物の敷地の状況又は防護施設若しくは防止施設の設置の状況により安全上支障がない場合は、この限りでない。
3 前条第1項第2号の災害危険区域内において居室を有する建築物を建築する場合は、当該建築物の基礎及び主要構造部を鉄筋コンクリート造り又はこれと同等以上に堅固な構造とし、かつ、当該建築物の居室を直接がけ(こう配が30度を超える傾斜地をいう。次条において同じ。)に面して設けてはならない。ただし、当該建築物の敷地の状況又は防護施設若しくは防止施設の設置の状況により安全上支障がない場合は、この限りでない。

新潟県建築基準条例 第7条

条文どおりに読むと、住居の建築禁止は第1号区域(第7条第1項)だけに掛かり、第2号区域にかかるのは第3項の構造規制です。ただし県の概要ページも新潟市の取扱基準も、区域を分けずに「住居の用に供する建築物を建築することができません」と書いています。第2号区域で住宅を計画するなら、県土木部都市局建築住宅課 建築指導係または所管の建築課に、この区域が第1号・第2号のどちらか、第2号区域で住居の用に供する建築物を建てられるかを先に確かめてください。第1号区域では、住居の用に供する建築物は原則建築禁止(第1項)。住居以外で居室を有する建築物は、基礎及び主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段。建物の構造上重要な部分)を鉄筋コンクリート造り又はこれと同等以上に堅固な構造とし、居室を直接、地すべり・土石流・雪崩の危険のある傾斜地に面して設けない(第2項)。これに対し第2号区域(急傾斜地崩壊危険区域及び知事が別に指定するこれに準ずる危険の著しい区域)は、条例第7条の文言上、住居禁止の条項の対象ではなく、第3項の構造規制の対象です(ただし県の現行ページは第1号・第2号を分けずに「住居の用に供する建築物を建築することができません」と説明していて、公開資料の間で扱いが一致していません。第2号区域で住宅を計画するなら、所管行政庁に書面で確かめてください)——居室を有する建築物について、同じRC造り等の構造と、居室を直接がけに面して設けないことが求められます(第3項)。県の概要ページは第1号・第2号を分けずに「災害危険区域内において、住居の用に供する建築物を建築することができません」と書いているので、建築地がどちらの区域に当たるかは、県が公表している指定箇所一覧(令和8年4月1日時点)と区域図で確かめてください。区域図の詳細は、区域を所管する地域振興局が窓口です。

第7条のただし書の読み方については、県が昭和56年7月18日付け建第1090号(新潟県土木部長通知)を公開しています。そこでは、防護施設とは雪崩等の衝撃を受け止めて阻止する防護壁・スノーシェードその他これらに類するもの、防止施設とは雪崩等の発生を未然に防止するための階段工法・柵工法・雪庇防止工法・雪崩防止林・地すべり防止施設その他これらに類するものとされ、「鉄筋コンクリート造り又はこれと同等以上に堅固な構造」について「部材断面の大きさ、構造形式によっては、たとえ木造でも該当するものがあり得ること」と書かれています。この通知は第7条のただし書についてのもので、第8条(がけ)には触れていません。また昭和56年の通知で、宛先の課名は現在のものと異なります——連絡先は、県の現行の窓口一覧で確かめてください。通知が参照している別紙「災害危険区域指定基準」は、公開されているPDFに付いていません。

なお、急傾斜地崩壊危険区域内での切土・盛土や工作物の設置などは、この条例とは別に急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第7条第1項により知事の許可が必要になることがあります(砂防担当の窓口へ)。

罰則は第31条・第32条——名宛人は、まず設計者です

罰金は原則設計者、命令は建築主・所有者等
第31条です。第7条、第8条、第10条、第11条、第13条から第15条まで、第17条から第20条までの違反が対象。名宛人は原則設計者で、設計図書を用いないで工事を施工した場合、または設計図書に従わないで工事を施工した場合は工事施工者に替わります。第32条が両罰を定めており、相当の注意及び監督が尽されたことの証明があったときは、その法人又は人には科されません。罰金が建築主等に及ぶのは故意のとき。是正命令(法第9条第1項)の相手方は建築主・工事の請負人・現場管理者・所有者・管理者・占有者で、故意は要件ではありません——命令違反は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法第98条第1項第一号)。

(罰則)
第31条 第7条、第8条、第10条、第11条、第13条から第15条まで、第17条から第20条までの規定に違反した場合における当該建築物、工作物又は建築設備の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物、工作物又は建築設備の工事施工者)は、20万円以下の罰金に処する。
2 前項に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主、工作物の築造主又は建築設備の設置者の故意によるものである場合においては、その設計者、工事施工者を罰するほか、当該建築主、工作物の築造主又は建築設備の設置者に対して前項の刑を科する。

新潟県建築基準条例 第31条

刑名は罰金で、上限は20万円です。名宛人(なあてにん=命令や罰則を受ける人)は原則設計者——設計図書を用いないで工事を施工した場合、または設計図書に従わないで工事を施工した場合は、工事施工者に替わります。違反が建築主等の故意によるときは、建築主等にも同じ刑が科されます(第2項)。がけの第8条も、災害危険区域の第7条も、どちらも罰則の対象です。法人等については第32条が両罰を定めており、法人又は人の代理人・使用人その他の従業者の違反行為を防止するため、当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があったときは、その法人又は人については科されません(同条ただし書)。

そして、建築確認の対象となる計画では、第8条への適合も原則として確認審査の対象です。確認特例による審査省略は、建築物・設計者の区分に応じて建築基準法第6条の4・施行令第10条で決まり、法第39条から第41条までに基づく条例規定のうち特定行政庁が規則で定めた規定が省略の対象になり得ます——条例への適合義務は、審査の範囲とは別に生じます。建築確認が不要なことだけを理由に、第8条が適用外になるわけでもありません。違反すれば是正命令(建築基準法第9条。除却(じょきゃく=取り壊し)・使用禁止などの措置を含みます)や罰則の対象になり得ます。

是正命令は、建築主・所有者などに来ます(法第9条第1項)

罰則の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、当該建築物の建築主、工事の請負人(下請人を含みます)・現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者に対して措置を命ずることができる、と定めています。故意かどうかは、この条の要件ではありません。命じられるのは工事の施工の停止のほか、除却・移転・改築・増築・修繕・模様替・使用禁止・使用制限その他、違反を是正するために必要な措置です。建てたあとに除却や使用禁止を命じられ得るのは、建築主・所有者などです——設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていません命令に従わないと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(法第98条第1項第一号)。条例の罰則は罰金だけですが、こちらは拘禁刑もあります。

がけ付近の既存の住宅には、移転の補助の枠組みがあります

要件に当たれば移転補助の対象になり得ます
がけ地近接等危険住宅移転事業。事業主体は市町村で、対象区域も費目も市町村ごとに違います補助限度額が載る県のページの更新日は2019年4月1日です——金額と要件は、居住地の市町村建築担当課で今の値を確かめてください。市町村の案内には、がけの傾斜を「30度以上」と書いているものがありますが、条例第8条の「がけ」は「こう配が30度を超える傾斜地」です(第7条第3項の括弧書き)。

県は市町村と共同でがけ地近接等危険住宅移転事業を行っており、対象となる危険住宅として、①条例第6条で指定した災害危険区域、②「新潟県建築基準条例第8条で建築を制限しているがけ付近の区域」、③土砂災害防止法第9条の規定に基づき知事が指定した土砂災害特別警戒区域に存する既存不適格住宅等を挙げています。事業主体は市町村で、危険住宅の除却・引越費用等と、安全な区域に設ける移転先住宅の建設・購入・改修の資金を借り入れた場合の利子相当額などが補助の対象です(建設費・購入費そのものへの直接補助ではありません)。対象区域も費目も市町村ごとに違います。補助限度額は県のページに載っていますが、そのページの更新日は2019年4月1日です——金額と要件は、居住地の市町村建築担当課で今の値を確かめてください。

ひとつ、読み合わせに注意が要ります。市町村が出している移転事業の案内には、がけの傾斜を「30度以上」と書いているものがあります(長岡市・見附市の案内)。条例第8条の「がけ」は、第7条第3項の括弧書きにより「こう配が30度を超える傾斜地」です。ちょうど30度前後の斜面が問題になる計画では、条例の適用(所管の建築課)と、移転事業の対象判定(市町村の建築担当課)を、分けて確認してください。

売買契約の前に、専門家と確かめること

売買契約の前に、専門家と確かめること
法第19条第4項(がけ崩れ等のおそれ)と、土砂災害警戒区域・特別警戒区域も別に確認します。★この表は、自分で判定するためのものではありません——測って図にするのは建築士条例の当てはめは所管の建築行政の窓口です。建築主事を置く6市(新潟市・長岡市・上越市・柏崎市・三条市・新発田市)は市の担当課、それ以外は県の地域振興局地域整備部建築課(新発田・新潟・三条・長岡・南魚沼・上越・佐渡の7局)。第22条の主語は「市町村」で、建築主事の設置の有無を問いません。第8条に当たらない場合や距離が取れている場合でも、がけ崩れ等のおそれがあれば法第19条第4項の措置義務があります。上越市・柏崎市・三条市・新発田市が独自の建築基準条例を持っているかは、各市の例規集に届かず確かめきれませんでした。個別の判断は、建築士と、申請する予定の窓口へ。

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。がけの高さと、がけからの距離は、現況の測量図と断面図がないと自分では判断できません——測量と図面は建築士に、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口に確かめてください。どこを上端・下端とみるかも、窓口に確かめてください。

  • ① 建築地の所管はどこか。新潟市・長岡市・上越市・柏崎市・三条市・新発田市は独自に建築主事を設置しており、窓口は市の担当課です。それ以外は県の地域振興局地域整備部建築課(新発田・新潟・三条・長岡・南魚沼・上越・佐渡の7局)。建築主事を置く6市では各市の担当課、それ以外では県の所管地域振興局と当該市町村の双方に、市町村独自のがけ規制の条例の有無を確かめます——第22条の主語は「市町村」で、建築主事の設置の有無を問いません。相当する条例があれば、第22条により相当する県条例の規定は適用されません
  • ② 建築地の周辺に、こう配が30度を超える傾斜地があり、その高さが5メートルをこえるか。敷地の中に限りません。「30度を超える」「5メートルをこえる」で、ちょうど30度・ちょうど5.0メートルは条文の文言に当たりません——境目なら現況測量で確かめます
  • ③ がけの上に建てるならがけの下端から、がけの下に建てるならがけの上端から、建築物との間に「がけの高さの2倍以上」の水平距離が取れているか(第8条)。起点はがけの反対側の端です。測る位置(外壁の外面か柱の外面か)を書いた県の資料は見つからなかったので、境目の計画は測り方から窓口で確認します
  • ④ 距離が取れないなら、ただし書——「堅固な地盤又は擁壁を設けたもの等で安全上支障がない場合」に当たるといえるか。擁壁の確認済証・検査済証、断面図と現況写真、地盤調査の結果をそろえて、所管の建築課に「これで第8条ただし書として扱えるか、何をどこまで示す必要があるか」を照会します(県は建築住宅課 建築指導係)
  • ⑤ ②で第8条に当たらない場合や、③の距離が取れている場合でも、がけ崩れ等の被害を受けるおそれがないかは別に確認。おそれのある場合は、建築基準法第19条第4項により、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければなりません
  • ⑥ 建築地が災害危険区域に入らないか。入るなら、第1号区域か第2号区域か。第1号区域(地すべり・土石流・雪崩)は住居の用に供する建築物が原則建築禁止。第2号区域(急傾斜地崩壊危険区域等)は、条例第7条の文言上は第3項の構造規制の対象(RC造り等+居室を直接がけに面して設けない)。ただし県の現行ページは区域を分けずに住居の建築ができないと説明しており、扱いが一致していません——書面で確かめます。指定箇所一覧(令和8年4月1日時点)と区域図で確かめます
  • ⑦ 土砂災害警戒区域・特別警戒区域に入っていないか。こちらは別の法律です。法第6条第1項第3号の区域の外にあるレッドゾーンでは、同項第1号・第2号以外の居室を有する建築物について、建築物がレッドゾーン内にあり、かつ敷地の過半がレッドゾーン内にあるかを確かめます——当たれば、土砂災害防止法第25条により同項第3号の確認規定が適用されます。あわせて令第80条の3の構造規制も。確認申請が不要でも、居室を有する建築物が区域内にあれば構造の規制を受けます(県は「新築等する住宅が土砂災害特別警戒区域内にあるとき」と注意しています)。宅地分譲や要配慮者施設等の計画なら、特定開発行為の許可(同法第10条第1項)の要否も
  • ⑧ 既存の建物の増築・改築・移転・用途変更を考えているなら、適用関係を先に窓口で。既存不適格の建築物の増築等について特定行政庁がやむを得ないと認めて緩和する条は、条例の全文を見た範囲では見当たりませんでした。法第3条第2項の既存不適格、法第86条の7・施行令第137条の2以下、法第87条第2項・第3項の準用のどれに当たるかで結論が変わります
  • ⑨ 建築確認が不要なことだけを理由に、第8条が適用外になるわけではありません。許可を受けた仮設興行場等でも、条例第4条の除外列挙に第8条は入っていません。違反すれば是正命令(建築基準法第9条)や、20万円以下の罰金の対象になり得ます(名宛人はまず設計者)
  • ⑩ すでに危険住宅に住んでいて、住宅を除却し、安全な区域への移転を考えているなら、がけ地近接等危険住宅移転事業の対象になるかを、居住地の市町村建築担当課に確認(対象区域・費目・上限額は市町村ごとに違います。県のページが挙げているのは、条例第6条の災害危険区域、条例第8条で建築を制限しているがけ付近の区域、レッドゾーンの3つですが、そのページの更新日は2019年4月1日です)

条例の解釈や第8条ただし書の事前相談は、特定行政庁または県の所管建築課が窓口です。建築確認の申請そのものは、建築主事等のほか、業務区域・業務範囲に対応する指定確認検査機関(民間の確認検査機関)にも提出できます。個別の敷地でどう当たるかの判断は、建築士と、申請する予定の窓口にご確認ください。新潟県は、条例と施行細則の本文を例規集で、第8条の説明図と災害危険区域の指定箇所一覧を建築住宅課のページで公開しています。

出典

  • 新潟県建築基準条例(県例規集・第1条・第2条〜第5条・第6条〜第8条・第21条・第22条・第31条・第32条・附則)
  • 新潟県 建築基準法に関する運用、取扱い等(条例・細則・関係資料の入口)
  • 新潟県 災害危険区域内における建築構造規制の概要(指定箇所一覧・区域図の入口)
  • 新潟県 土砂災害特別警戒区域内における建築物の構造規制について
  • 新潟県 地域機関建築課の所管区域、連絡先(7つの地域振興局と、建築主事を設置している6市)
  • 新潟県 建築課の業務について(6市は独自に建築主事を設置)
  • 新潟県 がけ地近接等危険住宅移転事業の概要(対象となる危険住宅・補助限度額)
  • 長岡市 がけ地近接等危険住宅移転事業(対象住宅の概念図PDF)
  • 見附市 【別紙2】新潟県建築基準条例第8条の建築制限区域及び住宅について(市公式PDF)
  • 建築基準法(e-Gov法令検索・第2条・第3条・第6条・第6条の2・第6条の4・第9条・第19条第4項・第39条・第40条・第85条・第86条の7・第86条の8・第87条・第87条の2・第87条の3・第91条)

擁壁の形や種類については、擁壁の選び方にまとめています。条例に当てはまるかどうかは、この記事に書いた窓口で確かめてください。

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