長野でがけの近くに家を建てる・買う人へ——最初に答えから。
先にすることは、3つです。長野県の条例に「がけ」の字はありませんが、それで外れたとは限りません。まず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、擁壁(ようへき=がけの土が崩れないように支える構造物。塀とは役割が違います)の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って計画地の窓口へ、条例と法の当てはめを確かめる。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。
その「窓口」は、長野県ではこう分かれます。長野市・松本市・上田市は、各市の建築指導の担当課。岡谷市・飯田市・諏訪市・塩尻市は、建築物等の区分により各市の建築指導の担当課または所管の県建設事務所。それ以外の市町村は、所管の県建設事務所です(この記事の6町村は、すべてここ)。あわせて、計画地の市町村の例規と担当課で、独自の条例・規則・取扱基準の有無も確かめてください。担当課の名前は、組織の変更で変わることがあります——電話でいまの担当を聞いてから出向いてください。
①長野県には、県全域にかかる「がけ条例」がありません——長野県建築基準条例(昭和46年7月13日条例第40号)の本文に、「がけ」も「崖」も一度も出てきません。②確認できた範囲では、少なくとも次の6町村に独自のがけ条例があります——喬木村(たかぎむら)・南木曽町(なぎそまち)・王滝村(おうたきむら)・麻績村(おみむら)・生坂村(いくさかむら)・小川村(おがわむら)です。6町村以外でも、独自の条例や取扱基準がないとは限りません。③この6本がかかるのは居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋。住宅なら、ふつう当てはまります)を有する建築物(建物)だけです——傾斜度30度以上・高低差2メートル以上(南木曽町・麻績村・生坂村・小川村は3メートル以上)のがけから、がけの高さの2倍以内(ただし、2倍が50メートルを超えるときは50メートルまで)の位置にそれを建てる場合と、その敷地を造成(ぞうせい=切土・盛土で土地の形を変えること)する場合です。④義務の形は「建築物を建築し又は建築物の敷地を造成してはならない」という禁止です(禁止の条は喬木村・生坂村が第4条、ほかの4町村が第3条)。がけの形状・土質、または建築物の位置・規模・構造に応じて安全で、かつ令第142条の基準に適合する擁壁等を設ければ、各条例の第1号を満たし、その第1項の禁止は適用されません(喬木村の条文は「安全な措置」。麻績村・小川村は、村長が安全上支障がないと認めることも要ります)。外れるのは、その第1項の禁止だけです——がけの上に建てるなら、生坂村を除く5町村の排水の義務が別に残ります。災害危険区域・土砂災害の区域・法第19条第4項と、盛土規制法(造成の許可・届出)も別に確かめてください(開発許可の要否も別です)。⑤災害危険区域内にあるがけには、6本とも適用されません——ただし県の条例(第4条・第5条)がかかるのは、計画建築物の位置が区域内にある場合です。⑥そして県内のどこであっても、がけ崩れ等による被害を受けるおそれがあれば、建築基準法第19条第4項の措置が要ります。条文は2026年9月1日に、長野県法規集と各町村の例規集で確認しました。
長野県の条例に、「がけ」の字は一度も出てきません——それでも規制はあります

建築基準法第40条(地方公共団体の条例による制限の附加)は、地方公共団体が条例で建築物の敷地・構造などの制限を付け加えることを認めています。長野県建築基準条例には、がけ付近の建築物の条がありません。章立ては、第1章 総則/第2章 災害危険区域/第3章 特殊建築物の構造及び敷地/第4章 都市計画区域及び準都市計画区域内の敷地等と道路との関係/第5章 適用除外等/第6章 日影による中高層の建築物の高さの制限/第7章 補則/第8章 罰則です。
県が公表している「長野県建築基準条例の解説」も同じで、解説の全文にも「がけ」「崖」は出てきません。解説の3ページには、この条例の根拠となる法の条項を並べたあとに、「なお、本条例は長野県全域に適用されます。」と書かれています。県全域にかかる条例が、がけを扱っていない——長野県はそういう県です。
ただし、「規制が無い」とは違います。少なくとも、次の3つが長野でも働きます(このほかに、土砂災害の区域・急傾斜地崩壊危険区域・盛土規制法もあります。いずれも下に書きました)。ひとつは、この記事の本題である6町村のがけ条例。ふたつめは、県の条例の第2章 災害危険区域(知事が指定した区域では、住居の用に供する建築物の建築が原則として禁止されます)。みっつめは、建築基準法第19条第4項——がけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合にかかる規定で、長野県内のどこでも働きます。
確認できた範囲では、少なくとも6町村に自前のがけ条例があります
6本とも、根拠は建築基準法第40条です。県ではなく、町村が自分で制限を付け加えています。6町村とも、建築主事を置いていません——だから、条例の当てはめの相談は所管の県建設事務所です。建築確認の申請先も同じ建設事務所ですが、民間の指定確認検査機関が扱う場合もあります。そして麻績村・小川村では、村長が安全上支障がないと認めることも必要です——手続の窓口と申し込みの方法は、村役場にお確かめください。
| 町村 | 条例名と番号 | がけの高さ | 違反時の定め |
|---|---|---|---|
| 喬木村 | がけにおける建築物等の規制に関する条例(昭和53年4月15日条例第14号) | 2メートル以上 | 5万円以下の罰金 |
| 南木曽町 | がけ附近における建物等の規制に関する条例(昭和51年3月12日条例第6号) | 3メートル以上 | 5万円以下の罰金 |
| 王滝村 | がけ付近における建築物等の規制に関する条例(昭和59年12月24日条例第122号) | 2メートル以上 | 10万円以下の罰金 |
| 麻績村 | がけにおける建築物等の規制に関する条例(昭和57年12月22日条例第16号) | 3メートル以上 | 取り壊し・工事中止の命令(罰金の定めなし) |
| 生坂村 | がけにおける建築物等の規制に関する条例(昭和60年9月26日条例第13号) | 3メートル以上 | 取り壊し・工事中止の命令(罰金の定めなし) |
| 小川村 | がけにおける建築物等の規制に関する条例(昭和56年9月28日条例第20号) | 3メートル以上 | 取り壊し・工事中止の命令(罰金の定めなし) |
6本とも第1条で、対象を「がけ付近の建築物(居室を有する建築物に限る。以下同じ。)」のように書いています(麻績村・小川村は「居室を有する建物に限る」)。居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)のある建築物、という限定です。「物置」「車庫」という名称だけでは決まりません——その中に継続して使う部屋があるかを、平面図と実際の使い方で確認します。判断に迷うときは窓口で確かめてください。
また、6本とも都市計画区域の内か外かで区切っていません。用途地域の外でも、がけと距離の条件に当たれば働きます。
どこからが「がけ」か——「30度以上」「○メートル以上」。ちょうども含まれます
(1) がけ 傾斜度が30度以上であって、上端と下端との高低差が2メートル以上の土地(別図)をいう。
喬木村がけにおける建築物等の規制に関する条例 第2条第1号・第2号
(2) がけの高さ がけの下端を通る勾配30度の斜線を超える部分について、がけの下端からその最も高い部分までの高さ(別図)をいう。
6町村の条例は、いずれも「以上」です——「30度以上」「○メートル以上」で、「超える」ではありません。つまりちょうど30度も、がけに含まれます。ちょうど2メートル(3メートル)も同じです。「30.0度だから外れる」「2.00メートルだから外れる」とは読めません。
「上端(じょうたん)」はがけの上のふち、「下端(かたん)」はがけの下のふちを指します。がけの高さは、下端を通る勾配30度の斜線を超える部分について、下端からいちばん高いところまでを測ります。斜面の全部を足すのではありません。30度の斜線より上に出ている部分だけが数えられます。
どこまでを1つのがけと数えるかで、高さが変わります。段々に続く斜面や、途中に平場がある斜面は、目測では決まりません——現況の測量図と断面図が要ります。喬木村の条例は、この測り方を「別図」で示しています。
なお、条文には硬岩盤を外す定めがありません(硬岩盤=こうがんばん。硬い岩の地盤)。「うちは岩だから外れる」とは、6本のどれからも読めません。岩かどうかは、このあとのただし書の第2号(がけの形状又は土質により安全上支障がない場合)の中で扱われます。
かかる範囲は「がけの高さの2倍以内・上限50メートル」——起点は、上と下で入れ替わります
第3条 がけの下端(がけの下にあっては、がけの上端)からの水平距離が、がけの高さの2倍以内(50メートルを超えるときは50メートルを限度とする。)の位置には、建築物を建築し、又は建築物の敷地を造成してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合については、この限りでない。
王滝村がけ付近における建築物等の規制に関する条例 第3条第1項(本文)
この括弧書きが、6本のいちばんの山場です。起点が、建てる場所によって入れ替わります。
- がけの上に建てるとき——起点はがけの下端(がけの下のふち)
- がけの下に建てるとき——起点はがけの上端(がけの上のふち)
どちらの場合も、そこからの水平距離で、がけの高さの2倍までが範囲です。高さ2メートルのがけなら4メートル。高さ5メートルなら10メートル。がけが高いほど、範囲は遠くまで届きます。ただし2倍が50メートルを超えるときは、50メートルで頭打ちです(がけの高さが25メートルを超える場合)。
この範囲に入るのは、建物を建てる場合だけではありません。条文は「建築物を建築し、又は建築物の敷地を造成してはならない」と書いています——建物より前の、敷地の造成の段階から対象です。
各条例の例外要件を満たせば、第1項の禁止は外れます——排水などの別の項は残ります
6本の義務は禁止の形です。2倍以内では原則禁止ですが、第1号から第3号のいずれかに当たれば、その第1項の禁止は外れます。道は3つで、麻績村・小川村では村長の認定も必要です。外れるのは、その第1項だけです——がけの上に建てるなら、排水の措置を定めた項が別に残ります(生坂村を除く5町村)。
(1) がけの形状若しくは土質、又は建築物の位置、規模、若しくは構造に応じて安全な擁壁(令第142条の規準に適合したもの)を設けた場合
南木曽町がけ附近における建物等の規制に関する条例 第3条第1項各号
(2) がけの形状、又は土質により、安全上支障がない場合
(3) がけの下に建築物を建築する場合であって、当該建築物の主要構造部(がけくずれによる被害をうけるおそれのない部分を除く。)を鉄筋コンクリート造りとし、又はがけと当該建築物との間に適当な流土止めを設けたとき。
第1号が求めるのは、2つをともに満たすことです。ひとつはがけの形状・土質、または建築物の位置・規模・構造に応じて安全であること。もうひとつは建築基準法施行令第142条(擁壁)の基準に適合することです。令第142条に適合した一般的な擁壁でも、その現場・その建物に対する安全までが自動で満たされるわけではありません。また、設けるものであって、離れることではありません。「がけの高さの2倍以内」は、規制が働く範囲を示す言葉であって、「2倍以上離しなさい」という意味ではありません。条文の言葉は町村で違い、喬木村は「安全な措置」、ほかの5町村は各条例に記された「安全な擁壁」「安全擁壁」です。なお、令第142条第1項が認める道は、次の二つのどちらかです——①掲げる基準に適合する構造方法、②これと同等以上に擁壁の破壊及び転倒を防止することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法。②は必須ではありません。第1号の2つ——現場に応じた安全と、令第142条への適合——をともに満たす擁壁等を設ければ、その第1項の禁止は外れます(麻績村・小川村は、村長の認定も要ります)——その条の第1項の禁止については、原則として建てられます。
ただし、外れるのはその条の第1項の禁止だけです。がけの上に建てるなら、同じ条の排水の項は残ります(生坂村を除く5町村)。建築基準法第19条第4項の措置も、別に残ります。土砂災害の区域、災害危険区域、盛土規制法、開発許可なども、それぞれ別に確かめる必要があります。「擁壁を設ければ、何もかも通る」ではありません。
第3号は、がけの下に建てるときだけの道です。主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段。構造上重要でない間仕切壁・間柱・最下階の床などは除かれます。法第2条第5号)のうち、がけ崩れによる被害を受けるおそれのない部分を除いた部分を鉄筋コンクリート造とするか、がけと建物のあいだに流土止めを設けるかのどちらかです——どちらかに当てはまれば、その第1項の禁止が外れます(麻績村・小川村は、さらに村長の認定が必要です)。流土止め(りゅうどどめ)は崩れた土を受け止めるためのものですが、条例に定義も構造の基準もありません——何をもって足りるかは窓口でお確かめください。
第1号の言い回しは、町村ごとに少し違います。南木曽町・王滝村・麻績村・小川村は「安全な擁壁」、生坂村は「安全擁壁」です(喬木村は上に書いたとおり「安全な措置」)。括弧書きの令第142条は、喬木村・王滝村・生坂村が「基準」、南木曽町・麻績村・小川村が「規準」と書いています。
麻績村と小川村は、村長の認定も要ります
ただし、次の各号のいずれかに該当する場合で、村長が安全上支障がないと認めた場合は、この限りでない。
麻績村がけにおける建築物等の規制に関する条例 第3条第1項(ただし書)/小川村の条例も同じ言い回し
「該当する場合」と「村長が認めた場合」の両方が要ります。ほかの4町村のように、号に当たれば自動で外れる書き方ではありません。麻績村・小川村で計画するなら、村への確認を工程に入れてください。
南木曽町と王滝村は、申請書に見取図を付けます
南木曽町の第4条と王滝村の第5条は、町村内に新たに住宅を建てようとする者に、建築基準法第6条第1項の申請書などへ建築敷地の周辺50メートル範囲の見取図を添付するよう求めています。確認した6条例の中では、この2町村です。南木曽町はあわせて、町長が特に危険が生じないための指導をすることができる、とも定めています。
南木曽町にはもうひとつ、移転の助成の定めがあります——既存の建物でがけ附近にあって特に危険とみなされるものについて、町長が県と協議のうえ必要と認めたときは、移転に対し助成をすることができる(第5条第2項)。金額や条件は条文にありませんので、町へお尋ねください。
がけの上に建てるなら、排水の措置も要ります——生坂村の条例には、この定めがありません
喬木村・南木曽町・王滝村・麻績村・小川村の5本は、がけの上に建築物を建てる場合には、敷地面に排水施設(排水設備)を設けるなど、適当な措置を講じなければならないと定めています。生坂村の条例には、この項がありません。とはいえ、生坂村なら排水を考えなくてよい、という意味ではありません——建築基準法第19条第3項が、建築物の敷地に雨水と汚水を排出・処理する施設(下水管・下水溝・ためますなど)を設けることを求めており、これは県内のどこでも働きます。
この排水の義務は、ただし書では外れません。ただし書は禁止の条文(第1項)にかかるもので、排水は別の項に置かれています。第1号などの要件を満たして第1項の禁止が外れても——排水の措置は残ります。麻績村・小川村では、村長が安全上支障がないと認めることも必要です。
罰金があるのは3町村。ほかの3村は取り壊し・工事中止の命令です
喬木村・南木曽町は5万円以下の罰金、王滝村は10万円以下の罰金です。名宛人(なあてにん=この罰則を受ける人)はその建築物・工作物の設計者——設計図書を用いないで工事を施工した場合、または設計図書に従わないで施工した場合は、工事施行者です。建築主や築造主は、その違反が故意によるとき(故意=こい。わざと、という意味です)に、同じ刑が科されます。喬木村にはさらに、法人にも同じ罰金を科す規定(第9条)があります——ただし書があり、法人・人の代理人、使用人その他の従業者の違反行為を防ぐため、その業務に対し相当の注意及び監督がつくされたことの証明があったときは、その法人・人は罰金の対象になりません。法人の代表者自身の違反まで外れるわけではありません。
麻績村・生坂村・小川村の3村には、罰金の定めがありません。かわりに、条例に違反して建築物または工作物を建築・築造した場合、その建築物・工作物の取り壊し、または工事の中止を命ずることができると定めています。相手方は、麻績村・小川村が「施行主」、生坂村が「建築主又は築造主」です。条文の見出しは「勧告」ですが、本文は「命ずることができる」と書かれています。
是正命令は、建築主・所有者などに来ます(法第9条第1項)
条例の罰金の名宛人が設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、建築主、工事の請負人(下請人を含みます)、現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者に対して、工事の施工の停止や、除却(じょきゃく=取り壊し)・移転・改築・使用禁止その他の是正に必要な措置を命ずることができる、と定めています。故意は要件ではありません。設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていませんが、設計者が現場管理者を兼ねていれば名宛人になり得ます。命令に違反した場合は、法第98条第1項第一号により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
ここは、家を買う人・持つ人に直接かかります。設計者や施工者に罰金が科されるかどうかとは別に、所有者や占有者に使用禁止や除却が来ることがあります。
条例より前からある家は、増築・改築の累計10平方メートル未満——南木曽町だけ、外れる条が違います
6本とも、条例ができる前からある建物(既存不適格=きそんふてきかく。建てたときは適法だった建物)について、増築・改築の扱いを置いています。条例の適用の日以後に行う増築・改築に係る部分の床面積の累計が10平方メートルに達するまでは、「前条の規定は適用しない」という定めです。「累計」です——1回ごとの面積ではありません。条例の適用の日以後に行った増築・改築を足していき、合計が10平方メートルに達した時点で、除外は終わります——ちょうど10.00平方メートルは、もう除外されません(条文は「10平方メートルに達するまでの間」です)。9平方メートルの増築を2回すれば、2回目で10平方メートルを超えます。なお、この10平方メートルは条例の話です。建築確認のほうにも同じ「10平方メートル」が出てきますが(法第6条第2項——防火地域・準防火地域の外で、増築等に係る部分の床面積の合計が10平方メートル以内なら確認は要りません)、条件も数え方も違います。条例のほうは条例の適用の日以後の累計です——2つを混ぜないでください。
ここで、「前条」が指す条は、6本で同じではありません。喬木村・王滝村・麻績村・生坂村・小川村の5本では、前条が禁止の条に当たります。南木曽町だけは、前条が第4条(添付書類)です。条の並びは、第3条が禁止、第4条が見取図の添付、第5条が既存建築物の処置です。この並びのまま読むと、累計10平方メートル未満の間に外れるのは添付書類の義務で、禁止そのものは外れません。王滝村は同じ添付書類の定めを第5条に置いており、条の並びが違います。どちらの読み方で運用しているかは、条文からは分かりません——南木曽町で増築・改築を計画するなら、町と所管の建設事務所にお確かめください。
もうひとつ、根拠の条も割れています。5町村は法第3条第2項(適用の除外。既存不適格を定める条)を参照しています。生坂村の条例本文は法第8条第2項を参照していますが、現行法の第8条は「維持保全」の条で、参照先の内容と整合しません。誤記・改正漏れ・運用上の取扱いのいずれなのかは、確認できていません——生坂村で増築・改築を計画するなら、村と所管の建設事務所にお確かめください。
6町村とも、知事が指定した災害危険区域内のがけは外れます
第6条 この条例は、長野県建築基準条例(昭和46年長野県条例第40号)第2条第1項の規定により、長野県知事が災害危険区域として指定した区域内にあるがけについては適用しない。
喬木村がけにおける建築物等の規制に関する条例 第6条(適用除外)
これは「規制が軽くなる」という意味ではありません。ただし、外れた分をそのまま県の条例が引き継ぐ、という関係でもありません。場所の見方が違います——町村条例が適用外になるのはがけ自体が災害危険区域内にある場合。県条例第4条・第5条がかかるのは計画建築物の位置が区域内にある場合です。がけが区域内でも、建てる位置まで区域内とは限りません。がけと建築位置の双方について、区域の境界を確かめてください。喬木村・麻績村・小川村・生坂村は独立した「適用除外」の条で、南木曽町・王滝村は「がけ」の定義そのもののただし書で、同じ内容を書いています。なお南木曽町・生坂村・小川村は、旧称の「建築基準法施行条例」と書いています(平成13年に「長野県建築基準条例」へ題名が改められました。条例番号は同じです)。
その県の条例の入口が、第2条第1項です。
第2条 法第39条第1項の規定による災害危険区域は、地すべり、出水(土石流を含む。)又は急傾斜地(傾斜度が30度以上であつて、上端と下端との高低差が5メートル以上の土地をいう。)の崩壊により、既存の又は将来建築される建築物に係る災害の発生する危険の著しい区域であつて知事が指定するものとする。
長野県建築基準条例 第2条第1項
ここも「30度以上」「5メートル以上」です。ただしこの条は、条件に当たれば自動でかかるものではありません——知事が区域を指定して告示したときに、はじめて効力を生じます(第2条第3項・第4項)。指定した区域には、その旨を表示する標識が設置されます(第3条)。
県の解説によると、令和2年4月1日現在の指定は9区域です——佐久市御馬寄第2号(急傾斜)、南佐久郡北相木村川又(急傾斜)、南佐久郡南相木村祝平(急傾斜)、飯田市芋平(地すべり)、飯田市南信濃小嵐(地すべり)、飯田市南信濃小瀬戸(急傾斜)、長野市豊野町大倉(急傾斜)、長野市鬼無里古在家(地すべり)、長野市七二会倉並(地すべり)。これとは別に、市町村条例による指定が1区域あります(中野市壁田西之台・出水・平成20年4月1日)。
6町村は、この一覧に入っていません。とはいえ指定は変わり得ますので、いまの指定状況は窓口で確かめてください。
第4条 災害危険区域内においては、住居の用に供する建築物は建築してはならない。ただし、次の各号の一に該当する場合であつて知事が安全上支障がないと認めて許可したときは、この限りでない。
長野県建築基準条例 第4条
(1) 建築物の主要構造部を鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造とする場合
(2) 地形、地物その他周囲の状況に適合した防護処置を講じた場合
住居の用に供する建築物は、原則として建てられません。県の解説は、住宅・共同住宅・長屋・寄宿舎・老人ホーム等がこれに当たるとしています。建てる道は、知事の許可を受けること——第1号か第2号に当たり、かつ知事が安全上支障がないと認めた場合です。建築確認の申請が要る行為なら、その申請の前に許可を受ける必要があります。解説によれば、この許可は、解説の作成時の旧・法第6条第1項第4号の区域(都市計画区域・準都市計画区域など。2025年4月1日以後は現行の第三号に相当します)の外であっても要ります。なお、大規模の修繕・大規模の模様替は、第4条の「建築してはならない」の対象ではありません——建築確認その他の規制は、別に確かめる必要があります。
住居以外でも、居室を有する建築物は、主要構造部を鉄骨鉄筋コンクリート造か鉄筋コンクリート造にしなければなりません(第5条。知事の許可があれば別)。増築・改築の床面積の累計が10平方メートルに達するまでは適用しない、という既存建築物の定めもあります(第6条)。
罰則は第44条です。第4条・第5条を含む条を列挙したうえで、設計者(設計図書によらない施工なら工事施工者)を20万円以下の罰金に処すると定めています。建築主・築造主の故意なら第2項でその者にも科され、第45条に両罰(りょうばつ=行為をした人のほかに、その法人にも罰金を科す定め)の規定があります——こちらにもただし書があり、法人又は人の代理人が、使用人その他の従業者の違反行為を防ぐため、その業務に対し相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があったときは、その法人・人については科されません(法人の代表者や代理人自身の違反は、このただし書の対象ではありません)。この列挙に、がけに関する条は入っていません——県の条例に、その条が無いからです。
長野県のどこでも働くのは、建築基準法第19条第4項です
4 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。
建築基準法 第19条第4項
建築基準法第19条第4項は、長野県内のすべての市町村で適用され得ます——ただし、かかるのは「がけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合」です。お住まいの市町村にがけ条例が見当たらないことは、「がけの下に何を建ててもよい」という意味ではありません。
条文の要件は「がけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合」だけで、角度も高さも距離も書かれていません。数字で線が引かれていないので、当てはめは個別の判断になります。求められているのは擁壁だけでなく、「その他安全上適当な措置」も含みます。「2メートルに届かないから何もしなくてよい」とは読めません。
おそれがあるかどうかを決めるのは、読者ではありません。地盤や斜面を調べ、安全上の措置を設計するのは建築士等です。建築確認が必要な場合は、建築主事または指定確認検査機関(民間の確認検査機関)が審査します。行政相談や違反の是正については、所管の特定行政庁(原則として、建築主事又は建築副主事を置く市町村の区域はその市町村長、それ以外の区域は都道府県知事。ただし、建築主事の事務の権限を一部だけ与えられた市(限定特定行政庁)の区域内の政令で定める建築物は都道府県知事)へ確認します。長野県では、岡谷市・飯田市・諏訪市・塩尻市が限定特定行政庁です。
開発許可の条例の「がけ」は、数字も除外も違います
長野県には、都市計画法の開発許可のほうに「がけ」の定義があります。これは建築の規制ではありません。混ぜて読むと、数字を取り違えます。
2 条例第3条第1項の規則で定めるがけは、地表面が水平面に対し30度を超える角度を成す土地(地表面が硬岩盤であるものを除く。)とする。
都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例施行規則 第2条第2項
違いは、少なくとも4つあります。①この定義が働くのは、切土または盛土によって生じたがけについてです——条例第3条第1項が、そのがけに小段を設けよと求めており、その「がけ」を規則が定めています。②角度は「30度を超える」——ちょうど30度は当たりません。6町村の条例は「30度以上」なので、ちょうど30度も含まれます。③この定義には高低差の下限がありません——2メートル・3メートルという線が引かれていません。④この定義には硬岩盤を外す括弧書きがありますが、6町村の条例には、硬岩盤を外す定めがありません。
開発許可の話を、がけ条例に持ち込まないでください。「岩だから外れる」「ちょうど30度だから外れる」は、6町村の建築の規制については成り立ちません。
造成を伴うなら、盛土規制法も別に確かめます
長野県は令和7年5月26日から、宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)にもとづく規制を始めました。同じ日に、長野市・松本市を除く75市町村について規制区域を指定しています(長野市・松本市の規制区域は、それぞれの市が公表しています)。この6町村は長野市・松本市ではないので、規制区域を指定したのは県です。自分の敷地が規制区域に入るかどうかは、区域図で確かめてください(県が地域ごとの図を公開しています)。県の説明では、規制区域の中で行う一定規模以上の盛土や切土、一時的な土石の堆積に関する工事が、許可または届出の対象になります。がけ条例の造成の話とは別の法律ですので、両方を確かめてください。
建築確認にも関わります。県は、規制区域の指定にともない、建築確認で、盛土規制法の規定に適合していることを証する書面の添付が必要になると案内しています。許可の対象に当たらない場合に、その書面として使えるものとして、県は「盛土規制法許可不要チェックシート」を用意しており、設計者が許可対象外であることを確認して、建築確認申請時に提出します。許可の対象に当たるかどうかは、申請地を管轄する建設事務所の維持管理課(長野市・松本市は各市)にお尋ねください——がけ条例を相談する建築課とは、別の課です。喬木村は飯田建設事務所(0265-53-0450)、南木曽町・王滝村は木曽建設事務所(0264-25-2241)、麻績村・生坂村は松本建設事務所(0263-40-1963)、小川村は長野建設事務所(026-234-9539)の維持管理課です。土地の売買契約や、造成計画を固める前に確かめてください。
土砂災害の区域は、砂防の窓口で確かめます
土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域は、がけ条例や災害危険区域とは別の制度です。県は信州 砂防情報マップで区域を公開していますが、そのページに注記を付けています。
※正式に区域を確認する際は、必ず県庁建設部砂防課または区域を所管する建設事務所、砂防事務所及び区域の存する市町村で図面によりご確認ください
長野県「土砂災害のおそれのある場所」(情報の入手)
もうひとつ、急傾斜地崩壊危険区域という別の区域があります。急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第3条第1項により知事が指定するもので、その区域内では、のり切・切土・掘さく・盛土、水を放流し又は停滞させる行為、工作物の設置又は改造、立木竹の伐採などに、知事の許可が要ります(同法第7条第1項)。建築の窓口とは別の窓口です。この記事では、長野県内の指定状況までは調べていません。なお、同項ただし書により、非常災害のために必要な応急措置として行う行為、区域の指定の際すでに着手している行為、政令で定めるその他の行為は、許可の対象から外れます。ただし、許可が要らないことと、届出が要らないことは違います——区域が指定されたとき、すでにその行為に着手していた人は、指定の日から起算して14日以内に、国土交通省令で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければなりません(同条第3項。非常災害のために必要な応急措置として行う行為と、第1項ただし書の政令で定めるその他の行為を除きます)。国または地方公共団体は、同条第4項により許可ではなく協議によります。
「指定の日」がいつで、14日をどう数えるか——ここでいう「指定の日」は、区域の指定が公示によって効力を生じた日です。知事は指定をするとき国土交通省令で定めるところにより区域を公示し(同法第3条第3項)、指定は、その公示によって効力を生じます(同条第4項)。数え方の目印は、条文の「その指定の日から起算して」という書き方です——日にちが際どいときは、指定の公示日と提出期限を、その区域を所管する窓口で確かめてください。民法第140条は期間の初日は算入しないと定めていますが、法令が「から起算して」と書くのは、その原則を明文で外し、その日を1日目として数える書き方です(指定の日を算入するかどうかは確かめきれていません。公示の日と提出の期限は、所管の窓口で確かめてください)。ただし、この届出について、国や県が数え方を示した資料は見つかりませんでした。日にちが際どいときは、区域を所管する県の窓口(急傾斜地法の許可の窓口)に、指定の公示日と提出期限を確かめてください。なお、この届出をしなかったり、うその届出をしたりすると、同法第29条第2号により1万円以下の罰金です。
地図で見て終わりにしないでください。指定の告示文は長野県報に載り、区域の図面は県の砂防課・建設事務所・砂防事務所の窓口で見ることができます。
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)では、居室を有する建築物の外壁等の構造が、建築基準法施行令第80条の3で規制されます。また、都市計画区域の外などでふだんは建築確認が要らない居室を有する建築物でも、その建築物の全部または一部が同区域内にあり、かつ敷地の過半が同区域内にある場合は、土砂災害防止法第25条により建築確認が必要になります(正式名は、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)。
第25条には、外れるものも書かれています。特別警戒区域のうち建築基準法第6条第1項第3号に規定する区域は除かれ、建築物のうち同項第1号又は第2号に掲げるものも除かれます。どちらももともと法第6条で建築確認が要るものですので、第25条によらず、法第6条そのもので確認が要ります。
「敷地の過半」は第25条の条文には書かれていません——第25条が適用する建築基準法第91条が、敷地が区域の内外にわたるときは敷地の過半の属する区域の規定によると定めているからです(ちょうど半分は「過半」ではありません)。敷地の過半が区域外なら、第25条による追加の確認は要りません。ただし令第80条の3は、確認の要否とは別に置かれた構造の規定で、条文は「特別警戒区域内における居室を有する建築物」を主語にしています——敷地だけでなく、建物の位置も区域図に重ねて確かめてください。砂防課は026-235-7315です。
令第80条の3に応える道は、2つあります。ひとつは、外壁等(外壁・構造耐力上主要な部分のうち、土石等の高さ等以下で、土砂災害の原因となる自然現象〔河道閉塞による湛水を除く〕により衝撃が作用すると想定される部分)を、所定の構造にすること。もうひとつは、土石等の高さ等以上の高さで、外壁等と同等以上の耐力を有するものとして国土交通大臣が定めた構造方法による門・塀を、衝撃を遮るように設けることです。
窓口は、行政相談・村長の認定・建築確認申請で分かれます
長野県で建築確認を自前で担当しているのは、長野市・松本市・上田市(全部の事務)と、岡谷市・飯田市・諏訪市・塩尻市(限定特定行政庁=一部の事務だけを扱う市)です。6町村はいずれもこれに当たりません——所管の県建設事務所が受け持ちます。県内全体では、こう分かれます。長野市・松本市・上田市は各市の建築指導の担当課。岡谷市・飯田市・諏訪市・塩尻市は、建築物等の区分により各市の建築指導の担当課または所管の建設事務所。その他の市町村は所管の建設事務所です。地階を除く階数が5階以上かつ延べ面積5,000平方メートル以上の建築物は、県庁の建築住宅課(指導審査係)が問い合わせ先です(所管の一覧は、下の出典の県のページにあります)。
| 町村 | 窓口 | 電話 |
|---|---|---|
| 喬木村 | 飯田建設事務所 建築課 | 0265-53-0433 |
| 南木曽町・王滝村 | 木曽建設事務所 整備・建築課 | 0264-25-2229 |
| 麻績村・生坂村 | 松本建設事務所 建築課 | 0263-40-1935 |
| 小川村 | 長野建設事務所 建築課 | 026-234-9530 |
全県の総括は長野県 建設部建築住宅課(026-235-7319)です。県は令和7年11月25日から、窓口・電話の受付時間を9時00分〜16時30分とする取組を試行しています。麻績村・小川村は、村長が安全上支障がないと認めることも要ります——県の建設事務所だけでは終わりません。手続の窓口と申し込みの方法は、村役場にお確かめください。なお建築確認は、民間の指定確認検査機関が扱う場合もあります。
売買契約の前に、専門家と確かめること
このチェックリストは、自分で判定するためのものではありません——測って図にするのは建築士、条例と法の当てはめは所管の窓口です。個別の判断は、建築士と窓口にご確認ください。
- ①まず、計画地の市町村の例規と所管の窓口で、独自の条例・規則・取扱基準の有無を確かめる。確認できた範囲では、喬木村・南木曽町・王滝村・麻績村・生坂村・小川村にがけ条例があります
- ②その計画は、居室のある建築物か(6本とも、居室を有する建築物・建物に限られます)。敷地の中や隣に、傾斜度30度以上・高低差2メートル以上のがけ(町村により3メートル以上)があるか。目測ではなく、現況の測量図と断面図で
- ③建てる位置が、がけの高さの2倍以内(ただし、2倍が50メートルを超えるときは50メートルまで)に入るか。がけの上なら下端から、がけの下なら上端から——起点が入れ替わります
- ④町村条例は、敷地の造成だけでも対象です。建物より先に造成する計画なら、その段階から
- ⑤造成を伴うなら、盛土規制法も別に確かめる。長野県では令和7年5月26日から規制が始まり、規制区域内の一定規模以上の盛土・切土・土石の一時堆積が許可または届出の対象です。建築確認を申請する場合は、盛土規制法への適合を示す書面等が要ります——許可の対象外なら、許可不要チェックシート、または同等の事項を記載した図面等を用います。窓口は所管の建設事務所 維持管理課(長野市・松本市は各市)
- ⑥禁止が外れる3つの道を、建築士と窓口で比べる。①現場に応じて安全で、令第142条の基準に適合する擁壁等を設ける ②がけの形状・土質により安全上支障がないと認められる ③がけの下なら、被害を受けるおそれのある部分の主要構造部を鉄筋コンクリート造とするか、がけと建物の間に流土止めを設ける。麻績村・小川村は、村長が安全上支障がないと認めることも必要
- ⑦がけの上に建てるなら、排水の措置も要ります(条例は生坂村を除く5町村。ただし法第19条第3項の敷地の排水は、どこでも要ります)。擁壁で禁止が外れても、これは残ります
- ⑧災害危険区域は、がけ自体と計画建築物の位置を別々に区域図へ重ねる(町村条例が外れるのはがけ自体が区域内のとき、県条例第4条・第5条がかかるのは計画建築物の位置が区域内のとき)。土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域についても、地番だけでなく計画位置を最新の指定図書で確認する——それぞれ別の窓口です
- ⑨6町村の外でも、がけ崩れ等による被害を受けるおそれがあれば、建築基準法第19条第4項の措置が別に要ります。がけ条例が見当たらないことは、安全の保証ではありません
確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に。がけの高さと、がけからの距離は、現況の測量図と断面図がないと自分では判断できません——測量と図面は建築士に、条例と法の当てはめは所管の窓口に、お尋ねください(建築確認は、民間の指定確認検査機関が扱う場合もあります)。
レッドゾーン内の居室を有する建築物の構造と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(がけ条例の当てはめ——禁止の条は町村で違います(喬木村・生坂村は第4条、南木曽町・王滝村・麻績村・小川村は第3条)——は、この記事に書いた窓口で確かめてください)。
出典
- 長野県建築基準条例(長野県法規集・昭和46年7月13日条例第40号、最終改正 令和6年3月21日条例第28号)
- 長野県建築基準条例の解説(長野県建設部建築住宅課・令和2年4月1日版。巻末の改正経緯に令和2年3月19日公布・条例第20号まで載っています——令和6年3月21日条例第28号は反映されていません)
- 喬木村がけにおける建築物等の規制に関する条例(昭和53年4月15日条例第14号)
- 南木曽町がけ附近における建物等の規制に関する条例(昭和51年3月12日条例第6号)
- 王滝村がけ付近における建築物等の規制に関する条例(昭和59年12月24日条例第122号)
- 麻績村がけにおける建築物等の規制に関する条例(昭和57年12月22日条例第16号)
- 生坂村がけにおける建築物等の規制に関する条例(昭和60年9月26日条例第13号)
- 小川村がけにおける建築物等の規制に関する条例(昭和56年9月28日条例第20号)
- 都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例施行規則(長野県法規集・平成16年6月28日規則第36号・第2条第2項)
- 建築基準法(e-Gov法令検索・第9条第1項・第19条第4項・第39条・第40条・第91条・第98条)
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索・第80条の3・第142条・第148条)
- 建築基準法施行規則(e-Gov法令検索・第1条の3)
- 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(e-Gov法令検索・第7条・第9条・第25条)
- 宅地造成及び特定盛土等規制法(e-Gov法令検索・通称「盛土規制法」)
- 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(e-Gov法令検索・第3条・第7条)
- 建築基準法・構造計算・建築士法(長野県)(建築主事を置く現地機関と所管市町村・電話番号・受付時間、盛土規制法の適合性確認と許可不要チェックシート)
- 盛土規制法について(長野県)(規制の開始日・規制区域の指定・許可等の対象)
- 盛土規制法の申請について(長野県)(申請・相談窓口=各市町村を管轄する建設事務所維持管理課)
- 土砂災害のおそれのある場所(長野県)(区域の確認方法・砂防課の連絡先)
- 信州 砂防情報マップ(土砂災害警戒区域等の地図)
条文は2026年9月1日に、長野県法規集(長野県建築基準条例・開発許可等の基準に関する条例施行規則)、喬木村・南木曽町・王滝村・麻績村・生坂村・小川村の各例規集、およびe-Gov法令検索で確認しました。読んでいない範囲を書いておきます。①この6町村以外の市町村の例規は、網羅して読んでいません——長野市・松本市・上田市など、建築確認を自前で担当する市の取扱い基準も含みます。②「がけ条例を持つのは6町村だけ」と言い切れるだけの網羅調査はしていません。県が全市町村の条例を一覧にした資料は見つけられませんでした。お住まいの市町村については、その市町村と所管の窓口にお確かめください。盛土規制法についての長野県の運用(規制の開始日・規制区域の指定・建築確認での適合性の確認・申請と相談の窓口)は、2026年9月3日に長野県のページで確認しました。③県の解説は令和2年4月1日版で、巻末の改正経緯により令和2年3月19日条例第20号までは反映済みと確かめました——令和6年3月21日条例第28号は反映されていません。条文は長野県法規集の本文で確認しました。
