宮崎県のがけ条例とレッドゾーン——崖の近くに建てられるか

宮崎県のがけは、第5条

宮崎で崖の近くに家を建てる・買う人へ——最初に答えから。

宮崎県の「がけ条例」とは、建築基準法施行条例 第5条のことです。崖の近くに建てるときは、原則として崖から一定の距離を保つことが求められます。

先にすることは、3つです。がけ条例がかかっても、建てられないと決まったわけではありませんまず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、崖から離す配置や擁壁(ようへき=崖の土が崩れないように留めるコンクリートなどの壁)の費用を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って建築行政の窓口へ、条例の当てはめを確かめる。相談先は、土地のある市町村で分かれます——宮崎市・都城市・延岡市・日向市なら、その市の建築担当部局。それ以外の市町村は、県の土木事務所か西臼杵支庁です(この記事の窓口の節に表を置きました)。指定確認検査機関(民間の確認検査機関)へ確認申請を出す予定なら、その機関にも相談できます。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。

擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(この条の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。

①宮崎の「がけ条例」は、建築基準法施行条例(昭和46年宮崎県条例第35号)の第5条です。②かかるのは、建築物が、高さ2メートルを超える崖に近接する場合——崖とは地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地で、硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外のもの及びこれに類する土地で、土質または地形により崩壊するおそれがあると認められるものです(硬岩盤〔こうがんばん〕に当たるかどうかは、風化の程度を含めて、地質資料・調査で確かめます)。③そのとき条文が求めるのは擁壁ではなく、崖の高さの2倍以上の水平距離を保つこと。④どこから測るかは、崖の上か下かで入れ替わります——崖の上にあるなら崖の下端(かたん=斜面がふもとの地面と接するところ)から、崖の下にあるなら崖の上端(じょうたん=斜面が上の平らな地面と接するところ)から。⑤上下に分かれた崖は、条件に当たれば一体に数えます(第5条第2項)——高さが倍になることがあります。⑥崖の上に建てる重い建物は、2倍より広く取ることになります(第3項)。⑦距離が取れなくても、道はあります。第4項——建築物の用途、規模若しくは構造、擁壁の設置または崖の状況により、建築物の安全上支障がないと認められる場合は、第1項と第3項を適用しない、と条文が定めています。県は、その当てはめ方を「崖条例(建築基準法施行条例第5条)の取扱いについて」(令和7年4月1日)で例示しています。当てはまれば、第1項の距離の義務も第3項の割増しも外れます——距離が取れないことは、そのまま「建てられない」ではありません当てはまると認めるのは、あなたではありません——県は、第4項の適用を受ける場合は建設地を所管する各土木事務所又は西臼杵支庁の建築担当窓口へ事前に相談するよう求めています(宮崎市・都城市・延岡市・日向市では、その市の建築担当部局へ)。図面を出して確かめてもらう手続きが要ります。ただし第2項の「一体とみなす」は外れません(第2項は崖の高さを数えるための規定です——一体として数える定めが残る、という意味です。第2項だけで、新しく距離の義務が生じるわけではありません)。⑧災害危険区域・土砂災害の区域・法第19条第4項は、別に確認してください。⑨県内で県の条例が適用されない市町村はありません——宮崎市・都城市・延岡市・日向市を含めて、県内26市町村すべてに第5条がかかります。条文は2026年9月4日に、宮崎県法規集の本文と、県が公表している取扱いのPDFの2つを突き合わせて確認しました。

「がけ条例」の実体は、建築基準法施行条例の第5条です

「がけ条例」の実体は、建築基準法施行条例の第5条です
建築基準法施行条例 第5条。満たせるのはこの条まで。ほかの区域・法令は別に確認

「がけ条例」という題名の条例はありません。宮崎県では、建築基準法施行条例(昭和46年7月21日 宮崎県条例第35号)の第5条(崖に近接する建築物)がその中身です。県自身が、公表している資料の題名を「崖条例(建築基準法施行条例第5条)の取扱いについて」としており、宮崎市の資料も「一般的に崖条例と言われています」と書いています。題名に「宮崎県」が付きません——法規集での題名は「建築基準法施行条例」だけです。

根拠は建築基準法第40条——その地方の気候・風土の特殊性などにより、法第2章(建築物の敷地・構造・建築設備)の規定やこれに基づく命令の規定だけでは建築物の安全・防火・衛生の目的を十分に達しがたいと認める場合に、地方公共団体が条例で建築物の敷地・構造・建築設備の制限を付け加えられる、という規定です。条例第1条は、この法第40条を含む4つ(ほかに法第39条、法第43条第3項、法第56条の2第1項)と、建築審査会の根拠である法第83条を挙げています。第5条が置かれているのは、第3章「建築物の敷地及び構造」の先頭です。

都市計画区域の外でも、第5条はかかります

第19条の区域限定は、第5章についての規定です——条文は「この章の規定は、都市計画区域及び準都市計画区域内に限り、適用する」と書いており、第19条は第5章(都市計画区域及び準都市計画区域内の建築物の敷地等と道路との関係)の中にあります。第5条は第3章(建築物の敷地及び構造)にあります——この区域限定はかかりません。なお、第25条の4も区域を指定していますが、これは日影による中高層の建築物の高さの制限(第5章の2)についてのもので、第5条には関わりません。つまり都市計画区域の外でも、準都市計画区域の外でも、第5条は働きます。用途地域のない山あいの土地でも、高さ・角度・距離の条件に当たれば対象です。

どこからが「崖」か——高さ2メートル、勾配30度。どちらも「超える」です(これに類する土地も含みます)

(崖に近接する建築物)
第5条 建築物が高さ2メートルを超える崖(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地で、硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外のもの及びこれに類する土地で、土質又は地形により崩壊するおそれがあると認められるものをいう。以下この条において同じ。)に近接する場合には、崖の上にあっては崖の下端から、崖の下にあっては崖の上端から当該建築物との間に、当該崖の高さの2倍以上の水平距離を保たなければならない。
2 上下に分離された崖がある場合において、下層の崖面の下端を含み、かつ、水平面に対し30度の角度をなす面の上方に上層の崖面の下端があるときは、その上下の崖は一体のものとみなす。
3 組積造、補強コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の重量の大きい建築物を崖の上に建築しようとする場合は、第1項の数値を安全上支障がない程度に増大しなければならない。
4 第1項及び前項の規定は、建築物の用途、規模若しくは構造、擁壁の設置又は崖の状況により建築物の安全上支障がないと認められる場合は、適用しない。

建築基準法施行条例(宮崎県) 第5条

押さえるところは4つあります。①高さは「2メートルを超える」——2.0メートルちょうどは当たりません(「以上」ではありません)。②勾配は「30度を超える」——ただし、「30度以下だから崖ではない」とは、条文からは言えません数字だけで、自分で外さないでください(条文は「これに類する土地で、土質又は地形により崩壊するおそれがあると認められるもの」まで崖に含めています。30.0度ちょうどが「超える」に当たらないのは、条文の書き方です)。③硬岩盤は、崖の定義から外れます——条文が「硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外のもの」と書いているからです。④ただし、この除き方には「風化の著しいものを除く。」という限定が付いています。風化が著しい岩は、硬岩盤から外され、崖に当たり得ます。

「岩だから大丈夫」で終わらないでください。目の前の斜面が硬岩盤か、風化が著しいかは、見ただけでは決まりません。調べて図にするのは地盤調査と建築士、条例の当てはめを判断するのは、あとに出てくる建築行政の窓口か、確認申請を出す先です。条文はさらに、硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外のもの「及びこれに類する土地で、土質又は地形により崩壊するおそれがあると認められるもの」まで崖に含めています。宮崎市の資料は第1項を「高さが2メートルを超える硬岩盤以外の崖や安全性が確認できない擁壁などには建築制限範囲があります」と説明しています(ここでいう硬岩盤も、風化の著しいものを除いたものです)。擁壁があっても、安全性が確認できなければ、制限の側に立ちます。

ここで外れても、条例第5条から外れるだけです。崖崩れ等による被害を受けるおそれがあれば、建築基準法第19条第4項の措置は別に残ります(あとの節で扱います)。

第2項——上下に分かれた崖は、条件に当たれば一体に数えます

第2項は、下層の崖面の下端を含み、かつ水平面に対し30度の角度をなす面を引き、その上方に上層の崖面の下端があるときは、その上下の崖は一体のものとみなすと定めています。崖と崖のあいだに小段や通路があっても、条件に当たれば1つの崖として高さを数えます。高さが2つ合わさると、必要な距離もその2倍になります。

崖の高さの数え方は、宮崎市の資料が図で示しています(県の取扱いは2ページとも文章で、図はありません)。単独の崖では、市の資料は「崖の高さの取扱いは、勾配が30度を超える部分の高さにより判断します」と書いています。ただし、第2項により上下の崖を一体とみなす場合は違います——市の資料の4ページ下段左の図「上下の崖は一体とみなす」は、一体とみなした崖の高さHを、下側の崖の下端から上側の崖の上端までの高低差として示しています。間の緩い斜面の高低差を除いて急な部分だけを足すわけではありません。ここは目測では決まりません——現況の測量図と断面図が要ります。

第2項は、第4項では外れません。第4項が適用しないと書いているのは「第1項及び前項」——つまり第1項と第3項です。崖をどう数えるかの第2項は、そのまま働きます。

かかる範囲は「崖の高さの2倍」——起点が、崖の上と下で入れ替わります

がけの上に建てるとき、距離をどこから測るか
がけの上に建てるとき、距離をどこから測るか

言葉を決めておきます。下端(かたん)は、崖の斜面がふもとで下の地面と接するところ。上端(じょうたん)は、崖の斜面が上の平らな地面と接するところです。断面図の上で、どこが下端でどこが上端かが決まります。

がけの下に建てるとき、距離をどこから測るか
がけの下に建てるとき、距離をどこから測るか

そのうえで、条文は起点を「崖の上にあっては」「崖の下にあっては」で分けています。崖の上にあるなら、起点は「崖の下端」崖の下にあるなら、起点は「崖の上端」。言いかえると、起点は、いつも自分がいる側とは反対側の端です。

建築物の位置距離の起点保つ距離
崖のにある崖の下端から崖の高さの2倍以上
崖のにある崖の上端から崖の高さの2倍以上

起点を取り違えると、建築の制限がかかる範囲を誤って見積もります。崖の上にあるときの起点は、手前の上端ではなく反対側の下端です——ですから斜面の水平幅も、この水平距離に算入されます。手前の上端から4メートル空けたつもりでも、下端から測る距離は「上端からの距離+斜面の水平幅」にしかならないので、崖が高いと足りていないことがあります——たとえば高さ4メートル・斜面の水平幅2メートルの崖なら、必要なのは下端から8メートル(2倍)。上端から4メートルは下端から6メートルにしかならず、足りません。逆に、手前の端から同じ倍率を取ると、範囲を実際より広く見積もり、使えるはずの土地を外してしまうこともあります。高さ2メートルを少し超える崖なら下端から4メートルあまり、高さ5メートルの崖なら下端から10メートルです。上下に分かれた崖を一体に数えるなら、その高低差の2倍になります。どちらに転ぶかは、現況の測量図と断面図の上でしか決まりません。

第3項——崖の上の重い建物は、2倍より広く取ることになります

第3項は、組積造(そせきぞう=れんが・石・コンクリートブロックなどを積み上げる構造)、補強コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の重量の大きい建築物を崖の上に建築しようとする場合に、第1項の数値を安全上支障がない程度に増大しなければならないと定めています。2倍が上限ではありません。

どこまで増やすかの数値は、条文にありません。宮崎市の資料は、この第3項について「重量の大きい建築物を崖の上に建築しようとする場合は、通常、設計者が地質調査や構造計算により安全性を確かめているため、その中で建築制限範囲の割増しの必要性についても検討を行う必要があります」と書いています。決めるのは設計者の検討と、申請先の判断です。

義務の形は「離す」です——擁壁は、義務が外れる道のひとつ

条文が命じているのは「水平距離を保たなければならない」です。「擁壁を設けなさい」とは書いていません。擁壁は、第5条第4項の中に「擁壁の設置」という形で出てきます——擁壁を設ければ、第4項に当たり得ます——義務そのものではなく、義務が外れる側の手がかりとして置かれています。

だから、読む順番はこうなります。①まず、2倍の距離を取れるか(重い建物なら、それ以上)。取れれば第5条第1項・第3項に適合します。②取れないなら、第4項に当てはめる——建築物の用途・規模・構造、擁壁の設置、または崖の状況により、建築物の安全上支障がないと認められること。③どちらにも当てはまらないときは、その配置案では第5条に適合しません——配置を変える、擁壁を設ける、建物の構造を変える余地は残ります。

第4項——県が例示している「安全上支障がないと認められる場合」

条文は「安全上支障がないと認められる場合」としか書いていません。中身を例示しているのが、県の「崖条例(建築基準法施行条例第5条)の取扱いについて」(令和7年4月1日・県土整備部建築住宅課)です。以下は、県が所管する区域の取扱いです——宮崎市・都城市・延岡市・日向市では、各市の取扱いを確かめてください。県はこの例示に「第4項の規定により安全上支障がないと認められる場合の例」という見出しを付けています。条例の条文ではなく、県が示している取扱いです。

まず、県の取扱いの(1)——崖の上または崖の下に建築する建築物について、次の4つ(ア〜エ)です。

  • ア 敷地が、都市計画法第29条第1項または第2項の許可を受けて造成(崖面の保護等の措置を含む)され、かつ同法第36条第2項に規定する工事完了の検査済証が交付されている場合(当該崖面の保護等の措置が経年劣化等により損傷が著しいと判断されるものを除く
  • イ 当該建築物が、居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋。住宅なら、ふつう当てはまります)を有しない小規模なものである場合
  • ウ 崖の崩壊を防止するための擁壁工事等を施工したことにより、当該建築物が被害を受けるおそれがないと認められる場合
  • エ 当該建築物の接する崖が、都市計画法施行規則第23条第1項第1号または第2号に該当し、過去において災害の発生がなく、崖の崩壊の危険がないと認められる場合

つぎに、県の取扱いの(2)——崖の下に建築する建築物について、次の5つ(ア〜オ)です。

  • ア 外壁及び構造耐力上主要な部分(建物を支える柱・梁・床・壁・基礎など。どこが当たるかは設計者が判断します)が、鉄筋コンクリート造もしくは鉄骨鉄筋コンクリート造またはこれに準ずる構造で、崖の崩壊により破壊を生じない場合
  • イ 外壁及び構造耐力上主要な部分の構造が、崖の崩壊により想定される衝撃が作用した場合においても破壊を生じないものとして建築基準法施行令第80条の3の規定に基づき国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものである場合
  • ウ 崖の崩壊により生じる土石等の高さまたは土石流の高さ以上の門または塀(同じく令第80条の3に基づき大臣が定めた構造方法を用いるものに限る)が、当該建築物に作用すると想定される衝撃を遮るように設けられている場合
  • エ 外壁及び構造耐力上主要な部分の構造が、イと同等の構造方法を用いるものである場合
  • オ ウと同等の門または塀が設けられている場合

県は、(1)ウの擁壁の構造について「建築基準法施行令第142条の規定による他、県土木構造標準図、国土交通省土木構造物標準設計第2巻によるものとする」と注記し、あわせて「第4項の適用を受ける場合には、建設地を所管する各土木事務所又は西臼杵支庁の建築担当窓口へ事前にご相談ください」と書いています。「事前に」です。計画を固める前に相談してください。

「居室を有しない小規模なもの」の意味も、県が書いています——「小規模」とは、建築基準法第6条第1項第1号又は第2号に該当しないことを限度とし、適用に当たっては建築物の用途や構造、周辺の状況等を踏まえ、個別の計画に応じて判断します、と。居室を有しない畜舎等については、これに限らず個別に判断する、とも書いています。宮崎市の資料は、具体例として倉庫、車庫、便所、畜舎などを挙げ、崖の上に建てる場合は崖崩れなどにより周辺に悪影響を及ぼす可能性があるため、事前に別途協議が必要としています。

これらのどれかに当たると認められれば、第1項の距離の義務も第3項の割増しも外れます——ただし、崖をどう数えるかの第2項は外れません「認められれば」の主語は、あなたではありません——自分で当てはめて決められるものではありません。県は、第4項の適用を受ける場合は建設地を所管する各土木事務所又は西臼杵支庁の建築担当窓口へ事前に相談するよう求めています(宮崎市・都城市・延岡市・日向市では、その市の建築担当部局へ)。第4項の適用が認められる場合であっても、「崖に近接する敷地においては、建築物の計画や使用方法等について、安全上十分な配慮が必要であることには変わりがない」と念を押しています。災害危険区域・土砂災害の区域・法第19条第4項は、別に確認してください。

土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)——令第80条の3の構造規制は、第5条とは別に残ります

名前のよく似た2つを分けておきます。土砂災害警戒区域(イエロー)と土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は、「特別」の2字しか違いませんが、別のものです。この記事で「レッドゾーン」と書くのは、「特別」が付くほうだけです。県は令和8年3月末時点で、県内26市町村の土砂災害警戒区域等の箇所数を警戒区域15,327・特別警戒区域13,834(内訳は土石流3,476・2,470、急傾斜地の崩壊11,607・11,364、地すべり244・0)とし、そのうち指定済みの箇所数を警戒区域15,327・特別警戒区域13,578としています。

レッドゾーンの中で居室を有する建築物を建てる場合、建築基準法施行令第80条の3が、外壁及び構造耐力上主要な部分(土石等の高さ等以下で、衝撃が作用すると想定される部分。条文は「外壁等」と呼びます)を、知事が定めた最大の力の大きさ等と土石等の高さ等に応じて、想定される衝撃が作用しても破壊を生じないものとして国土交通大臣が定めた構造方法にするよう求めています。ただし書は、土石等の高さ等以上の高さの門または塀(外壁等と同等以上の耐力を有するものとして大臣が定めた構造方法によるものに限る)を、衝撃を遮るように設ければ、この限りでないとしています。日向市の資料は、この構造制限を平成13年国土交通省告示第383号と結びつけ、「都市計画区域外でも建築確認申請を要する」と注記しています——土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第25条の定めです。これは、レッド区域内に居室のある建物を建てる場合の話です。同条は、対象となる特別警戒区域から建築基準法第6条第1項第3号に規定する区域を除いたうえで(都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区・知事が指定する区域のことで、そこはもともと同号で確認の対象です)、法第6条第1項第1号・第2号に掲げる建築物を除いており、それらはもともと確認の対象です。また、確認が要るのは原則としてで、法第6条第2項は、防火地域及び準防火地域外での増築・改築・移転で、その部分の床面積の合計が10平方メートル以内のときは第1項を適用しないとしています。

この構造規制は、条例第5条とは別の規定です——2倍の距離を取って第5条第1項に適合していても、レッドゾーン内の居室のある建物には残ります。逆に、県の取扱いの(2)イ・ウは、崖の下でこの構造方法を用いることを、第4項の適用が認められる場合のひとつに数えています。同じ令第80条の3が、条例の側では「外す道」、法令の側では「別に残る義務」として出てきます。

レッドゾーンでどんな構造が求められるかは、土砂災害特別警戒区域で求められる構造にまとめています(区域に入るかどうかの判定と、この条例の当てはめは、上の窓口で確かめてください)。

区域は、2026年8月31日にも増えました——延岡市で1か所

指定は、いまも続いています——直近で確かめられたのは、2026年8月31日の告示です。宮崎県公報 第742号(令和8年8月31日)は、宮崎県告示第619号で土砂災害警戒区域を、宮崎県告示第620号で土砂災害特別警戒区域を、それぞれ延岡市「古川第10-1」(渓流番号または箇所番号 Ⅱ−1−7433−1、土砂災害の発生原因となる自然現象の種類は急傾斜地の崩壊)について指定したことを告示しています。同じ箇所(渓流番号 Ⅱ−1−7433−1)が、同じ日に、警戒区域と特別警戒区域の両方に指定されました。ただし、2つの区域は、範囲まで同じではありません——特別警戒区域は、警戒区域のうち一定の要件に当たる区域について指定されるものです(土砂災害防止法第9条第1項)。どこまでがどちらの区域かは、告示ごとの図面で確かめてください——告示では「次の図」が省略されており、図面は宮崎県県土整備部砂防課と延岡土木事務所で縦覧できます。

告示は「『次の図』は、省略し、その図面を宮崎県県土整備部砂防課及び延岡土木事務所に備え置いて縦覧に供する。」としています。区域がどこまでかは、公報の文字だけでは分かりません——砂防課か延岡土木事務所で図面を見ることになります。土地を買う前に確かめるなら、地番と位置図を用意して、砂防課か延岡土木事務所で縦覧するのが確かな方法です。

県は、地図で見るための土砂災害警戒区域等情報マップを公開していますが、同時に「指定区域、調査結果について、土砂災害警戒区域等マップや本HPに状況が反映されるまで、一定の時間を要します。最新の状況については、所管の土木事務所又は西臼杵支庁へお問合せください。」と断っています。地図に出ていないことは、指定されていないことの証明になりません。土地を買う前なら、不動産会社にも「この区域に入るか」を確かめてください。レッドゾーン内の居室を有する建築物について、令第80条の3に対応する2つの方法と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。

都市計画法の開発許可を受けた造成でできた崖は、第4項の(1)アで見ます

第5条には、許可を受けた工事として造られた崖を、条文そのもので第5条の外に置く定めがありません。受け止めているのは、県の取扱いの(1)アです——都市計画法第29条第1項・第2項の開発許可を受けて造成され、同法第36条第2項の工事完了の検査済証が交付されている場合。ただし、崖面の保護等の措置が経年劣化等により損傷が著しいと判断されるものは除かれます。「許可を受けた造成だから安心」ではありません——いまの状態が見られます。

だから、すでにある擁壁については、いつ・どの許可(または確認)で造られたかを、設計者に確かめてもらってください。宮崎市の資料は、安全上支障がないと認められる擁壁として、令第142条に規定する擁壁(高さが2メートルを超える擁壁を築造する場合は建築確認申請が必要)、開発行為による擁壁(都市計画法第29条の許可を受けたもの)、土地区画整理事業による擁壁急傾斜地法に定められた技術基準による擁壁(崖の上に建築する建築物にあっては、崩壊を防止するためのものに限る)、道路事業・河川事業などの公共事業で整備されたもの、県土木構造標準図・国土交通省土木構造物標準設計第2巻による擁壁(写真等で構造が確認できるものに限る)などを挙げています。(括弧の中は宮崎市の資料の言葉です。高さ2メートルを超える擁壁の確認は原則として必要ですが、盛土規制法や都市計画法などの許可を受けなければならない場合の擁壁には、建築基準法第88条第4項により確認の規定が適用されません——どの許可で造るかで変わるので、申請先に確かめてください。)擁壁に代わる措置として、アンカー工軟岩のモルタル・コンクリート吹付工崖と建築物の間に設ける鉄筋コンクリート造の流土止め(りゅうどどめ=崩れた土砂を建物の手前で受け止める構造物)も挙げ、いずれも事前協議が要るとしています。これは宮崎市の取扱いです——ほかの申請先で同じかは、その申請先に確かめてください。

盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)の側は、別に見ます。県は令和7年5月1日に、県内ほぼ全域で規制区域の指定を行いました——県は、県内ほぼ全域を「宅地造成等工事規制区域」または「特定盛土等規制区域」のいずれかに指定しています。県が区域図を示しているのは都城市・延岡市・日南市・小林市・日向市・串間市・西都市・えびの市・三股町・高原町・国富町・綾町・高鍋町・新富町・西米良村・木城町・川南町・都農町・門川町・諸塚村・椎葉村・美郷町・高千穂町・日之影町・五ヶ瀬町で、宮崎市は中核市のため、市で区域指定を行っています(市の指定日は令和7年5月1日)。盛土や切土を伴う計画なら、建築の窓口とは別に、盛土の窓口にも当たってください——県は盛土対策課(電話0985-33-9262)、宮崎市は市の窓口です。崖の工事に許可が要るかどうかと、建築物が第5条に適合するかどうかは、別の判断です——片方が通っても、もう片方が自動で通るわけではありません。

罰金の名宛人は原則、設計者。違反建築物には、建築主・所有者らへ除却等の是正命令が出ることがあります

第34条第1項は、違反した規定を列挙したうえで、当該建築物又は工作物の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、または設計図書に従わないで工事を施工した場合は工事施工者)を20万円以下の罰金に処する、と定めています。列挙の先頭は「第4条、第5条第1項若しくは第3項」です——災害危険区域の第4条と、崖の第5条第1項・第3項が入っています(そのあとに第6条から第24条までの各条が続きます)。第5条第2項と第4項は、この列挙に入っていません(第2項は数え方の定め、第4項は適用除外の定めです)。第34条第2項は、その違反が建築主または工作物の築造主の故意によるものであるときは、設計者または工事施工者を罰するほか、建築主または築造主にも同じ刑を科すると定めています。名宛人(なあてにん=この罰則を受ける人)は、ここまでが条例の側です。

第35条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して、前条の違反行為をした場合においては、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して前条の罰金刑を科する。ただし、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し、相当の注意及び監督が尽されたことの証明があったときは、その法人又は人については、この限りでない。

建築基準法施行条例(宮崎県) 第35条

第35条は両罰規定です——行為者を罰するほか、その法人または人にも第34条の罰金刑を科します。ただし書の免責には、範囲があります。免責されるのは、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の違反行為について、防止のため相当の注意及び監督が尽されたことの証明があったときです。法人の代表者自身の違反は、このただし書に含まれていません——条文が「代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため」と書いているからです。

仮設の建築物には、別の定めがあります。第33条は、第3章から第5章の2までの規定は、法第85条第6項若しくは第7項の規定による許可を受けた仮設建築物、または法第87条の3第6項若しくは第7項の規定による許可を受けた建築物については、適用しないとしています。第5条は第3章にありますので、これらの許可を受けたものには第5条はかかりません。第32条には緩和の定めもあり、法第3条第2項により第3章から第5章の2までの規定の適用を受けない建築物について増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替をする場合に、特定行政庁(とくていぎょうせいちょう=建築確認や是正命令を受け持つ役所の長。あとの窓口の節にあります)がその建築物及び敷地の状況によりやむを得ないと認めるものについては、法第3条第3項第3号及び第4号の規定にかかわらず、この条例の規定の適用を緩和することができるとしています。これは特定行政庁が認めたときの話で、自分で当てはめて外せるものではありません。なお、第32条・第33条が掛かるのは第3章から第5章の2までです——第2章にある災害危険区域の第4条は、どちらの対象にもなりません。

是正命令は、建築主・所有者などが相手方になり得ます(法第9条第1項)

罰金の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、建築主、工事の請負人(下請人を含みます)、現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者に対して、工事の施工の停止を命じ、または相当の猶予期限を付けて除却(じょきゃく=取り壊し)・移転・改築・使用禁止その他の是正に必要な措置を命ずることができる、と定めています。故意は要件ではありません。設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていませんが、設計者が現場管理者を兼ねていれば名宛人になり得ます。命令に違反した場合は、建築基準法第98条第1項第一号により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。

この記事が扱っているのは、これから建てる場合です(新築・増築・改築・移転)。すでに建っている家を崖から離す・建て替えることについては、県の「建築基準法等質疑応答」が「住宅・建築物安全ストック形成事業(がけ地近接等危険住宅移転事業)」を案内しています——レッドゾーン内であって既存建築物が土砂災害に対する構造耐力上の安全性を有していない場合に、区域外の安全な場所へ移転するための費用に対する補助です。県は「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内であっても、過去に急傾斜地崩壊対策事業等により何らかの対策施設が整備されている場合は、補助の対象とならない場合もあります」と断り、詳細はお住まいの市町村の担当窓口に相談するよう案内しています。

第5条の距離の義務が外れても、崖崩れ等による被害を受けるおそれがあれば建築基準法第19条第4項の措置が要ります

4 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。

建築基準法 第19条第4項

宮崎市の資料は、崖の取扱いを定めた理由の最初に、この第19条第4項を置いています——「建物の安全を担保できる擁壁設置等の安全対策が求められています。しかし、既存擁壁の中には安全性を確認出来ないものも多数存在しており、このような擁壁の安全性をいかに確認するかが大きな課題となっています。安全確認には一定の方法があるわけでなく、現地の状況を調査・確認した上で総合的に判断することになります。」と。

この規定は、県内のどこでも働きます(法第85条の応急仮設建築物など、法が適用されない場合を除きます)。条例の第5条に当たらない土地でも、崖崩れ等による被害を受けるおそれがあるなら、擁壁の設置その他安全上適当な措置が要ります。求められているのは擁壁だけではなく、「その他安全上適当な措置」を含みます。「2メートルを超えないから何もしなくてよい」とは読めません。おそれの有無も、どの措置で足りるかも、読者が決めるものではありません——崖と地盤を調べて図にするのは建築士等、条例と法の当てはめを判断するのは所管の建築行政の窓口と申請先です。宮崎市の資料も、崖に関係する法令等として、法第19条第4項・法第40条・条例第3条/第4条・条例第5条・急傾斜地法・土砂災害防止法・盛土規制法の7つを並べ、「全ての基準を満たす必要があります」と書いています。

擁壁を工作物として造るときは、建築基準法施行令第142条第1項が道を2つ書いています。ひとつは、同項各号に掲げる基準に適合する構造方法——鉄筋コンクリート造、石造その他これらに類する腐食しない材料を用いた構造とすること、擁壁の裏面に水抜穴を設けること、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算で安全性を確かめること、などです。もうひとつは、これと同等以上に擁壁の破壊及び転倒を防止することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法。条文はこの2つを「又は」でつないでいます——大臣が定めた構造方法でなければならない、ではありません。どちらの道を使うかは、擁壁の設計を頼む建築士に確かめてください。

4つの市も、県の条例の第5条です——市の独自の崖の条例は、当たった範囲で見当たりません

この条例には、建築主事を置く市の区域には適用しない、という条がありません。条例を通して読んだ範囲では、区域や市町村で適用を外す定めは見当たりませんでした。宮崎市・都城市・延岡市・日向市にも、県の条例の第5条がかかります。

市の側の資料が、それを裏づけています。宮崎市の「崖の取扱いについて」(令和7年4月改正・宮崎市建築行政課)は、「本取扱いでは、崖に関係する法令等のうち『宮崎県建築基準法施行条例 第5条』(一般的に崖条例と言われています。)を中心に崖の取扱いを定め、窓口相談及び確認審査業務の円滑化を図ることを目的としています」と書いています。市の条例ではなく、県の条例の運用の資料です。日向市の「がけに近接する建築物の制限について」(日向市建築住宅課・令和7年4月改正)も、県条例第5条の条文をそのまま掲げ、第4項の緩和を『建築基準法施行条例「ただし書き」運用基準』によるものとして説明しています。

都城市は、市のページで、建築基準法施行条例は県が定めるものとしたうえで、市が定めているのは都城市建築基準法施行細則だとしています。この記事が当たった範囲では、市が示している数値は法第22条区域の指定、地震力の算定係数、基準風速、積雪荷重の垂直積雪量で、崖についての独自の定めは見当たりませんでした延岡市についても、市の独自の崖の条例は、当たった範囲では見当たりませんでした。

ただし、これは「無い」と言い切れる範囲ではありません。読んだのは4市が公表している崖・建築の案内と、宮崎市・日向市の取扱いの資料です。4市の例規集を1本ずつ通して読んではいません。市の建築担当部局に、市独自の定めや指導要綱が無いかを確かめてください。

災害危険区域——急傾斜地崩壊危険区域は、この条例では災害危険区域です

(災害危険区域の指定)
第3条 法第39条第1項に規定する災害危険区域は、次に掲げる区域とする。
(1) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の規定に基づき指定された急傾斜地崩壊危険区域
(2) 前号の急傾斜地崩壊危険区域に隣接する区域で、急傾斜地の崩壊による危険の著しい区域につき関係市町村長の意見を聞いて知事が告示で指定する区域
(3) 前2号に定める区域を除くほか、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域につき関係市長村長の意見を聞いて知事が告示で指定する区域

建築基準法施行条例(宮崎県) 第3条

(建築制限)
第4条 前条の災害危険区域内においては、住居の用に供する建築物を建築してはならない。ただし、当該建築物の位置若しくは構造又は地盤のかさ上げ、擁壁の設置等災害防止上有効な措置を講ずることにより建築物の安全上支障がないと認められる場合は、この限りでない。

建築基準法施行条例(宮崎県) 第4条

第3号の「関係市長村長」は、県法規集の本文どおりです(原文ママ)。同じ条の第2号は「関係市町村長」で、条の中で表記がずれています。ここは黙って直さず、原文のまま引きました。

建築基準法第39条第1項は、地方公共団体が条例で津波・高潮・出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定できると定め、同法第39条第2項は、その区域内での住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、その条例で定めるとしています。宮崎県の条例は、第3条第1号で、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第3条第1項により指定された急傾斜地崩壊危険区域を、そのまま災害危険区域にしています。知事の告示による別の指定を待たずに、急傾斜地崩壊危険区域に指定された時点で、災害危険区域になります。

この第4条は、第5条より重い制限です。第5条は距離を保てば第1項に適合しますが、第4条は住居の用に供する建築物そのものを禁じています。ただし書は、当該建築物の位置もしくは構造、または地盤のかさ上げ・擁壁の設置等、災害防止上有効な措置を講ずることにより建築物の安全上支障がないと認められる場合は、この限りでないとしています。原則は禁止で、そのうえでただし書に当たるかを見る、という順番です。

区域の中では、建築の窓口とは別に、砂防の窓口も関わります。急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第7条第1項により、区域内でののり切り・掘削・盛土・立木竹の伐採などには知事の許可が要ります。設計の初めの段階で、建築の窓口と、土木事務所の砂防の担当の両方に当たってください——あとから許可が要ると分かると、日程が動きます。この記事では、県内の急傾斜地崩壊危険区域の指定箇所数を確かめられませんでした。

窓口は、4つの市の担当部局と、県の土木事務所・西臼杵支庁に分かれます

特定行政庁は、役所ではなく人です——建築主事または建築副主事を置く市町村の区域ではその市町村長、それ以外の区域では都道府県知事をいいます(建築基準法第2条第35号)。同号にはただし書があり、法第97条の2第1項若しくは第2項または法第97条の3第1項若しくは第2項の規定により建築主事等を置く市町村の区域内の政令で定める建築物については都道府県知事が特定行政庁です(法第97条の3は特別区に関する規定なので、宮崎県内では働きません)。宮崎県内なら、4市の市長か、宮崎県知事です。

県が公表している建築窓口一覧(令和8年5月1日更新)は、「宮崎市、都城市、延岡市、日向市については、それぞれの市の建築担当部局が窓口です」と注記しています。一覧に「限定特定行政庁」の記載はありません——県のページを読んだ範囲では、限定である旨の注記は見当たりませんでした。県の側の窓口は、次のとおりです。

県の窓口(知事が特定行政庁)所管する地域電話
宮崎土木事務所(本務事務所)—(県の一覧は「-」。高岡土木事務所の相談先です)0985-26-7287
高岡土木事務所国富町・綾町0985-82-1155
高鍋土木事務所(本務事務所)高鍋町・新富町・木城町・川南町・都農町0983-31-1030
西都土木事務所西都市・西米良村・椎葉村大字大河内のうち字大河内、野々首、矢立、大藪、大桑の木、平、丸野及び城0983-43-2221
日南土木事務所(本務事務所)日南市0987-23-4662
串間土木事務所串間市0987-72-0134
都城土木事務所三股町0986-23-5840
小林土木事務所(本務事務所)小林市・えびの市・高原町0984-23-5179
日向土木事務所(本務事務所)門川町・諸塚村・椎葉村(西都土木事務所の所管区域を除く)・美郷町0982-52-0309
延岡土木事務所—(県の一覧は「-」。相談先は日向土木事務所です)0982-21-6143
西臼杵支庁高千穂町・日之影町・五ヶ瀬町0982-72-3191

窓口の時間に、注意が要ります。県は、本務事務所の窓口時間を毎日9時~12時・13時~17時来庁の前に、電話で開いているかを確かめてください)とする一方、高岡・西都・串間・延岡の4つの土木事務所については「特に曜日・時間を定めておりません」とし、本務事務所に相談するよう案内しています。県はさらに「窓口時間であっても、現場検査等により建築職員が不在で対応できない場合もありますので、相談等で事務所にお越しの際には、事前に本務事務所まで御連絡くださるようお願いします」と書いています(都城土木事務所と西臼杵支庁管内は直接窓口へ連絡)。ふらりと行って相談できるとは限りません。

4つの市の窓口は、それぞれの市の建築担当部局です。この記事が市の公表物で確かめられたのは、宮崎市の都市整備部建築行政課(電話0985-21-1813)と、都城市の建築対策課(本庁舎3階。審査担当 電話0986-23-2584、建築指導担当 電話0986-23-2585)です。延岡市都市建設部 建築指導課 建築審査係(電話0982-22-7034)日向市建設部 建築住宅課 建築指導係(電話0982-66-1032)です。日向市は、建築相談や証明書等の申請について前日の正午までの予約を求め、相談時間は原則午前中としています。県全体のことは、県土整備部建築住宅課建築指導担当(電話0985-26-7195)が受けています。

確認申請には、崖及び敷地の断面図が要ります

3 条例第5条に規定する崖に近接する敷地に建築物を建築しようとする場合にあっては、法第6条第1項の規定による建築物の確認申請書には、崖及び敷地の断面図を添えなければならない。

建築基準法施行細則(宮崎県) 第2条第3項

県の細則(昭和46年9月25日 宮崎県規則第37号)は、第2条第3項で崖及び敷地の断面図を確認申請書に添えるよう定めています。この断面図が、建築士に用意してもらうものの中身です。条例の当てはめは、この断面図の上で決まります。だから、目測では決まりません。

売買契約の前に、専門家と確かめること

この表は、自分で判定するためのものではありません——測って図にするのは建築士、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口です。個別の判断は、建築士と窓口にご確認ください。

  • ①その土地の建築確認を扱うのは、4市のどれか、県か。県なら、どの土木事務所が本務事務所か。指定確認検査機関に出す予定なら、その機関へも。行く前に電話で連絡を
  • ②敷地の中や隣に、勾配30度を超え、高さ2メートルを超える崖があるか。目測ではなく、現況の測量図と断面図で。単独の崖なら高さは30度を超える部分で数えますが、第2項で一体とみなす場合は、下側の下端から上側の上端までの高低差です。条文は「これに類する土地で、土質又は地形により崩壊するおそれがあると認められるもの」も崖に含めています——数字を外れたからといって、自分で外さないでください
  • 上下に分かれた崖が、一体に数えられないか(第5条第2項)。下層の下端から30度の面を引いて、その上に上層の下端があるかで決まります
  • ④建てる位置が、崖の高さの2倍の範囲に入るか。起点は、崖の上なら下端、崖の下なら上端
  • ⑤建てるのが崖の上の重量の大きい建築物(組積造・補強コンクリートブロック造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造等)なら、2倍より広く取ることになります(第3項)
  • ⑥距離が取れないなら、県の取扱いにある(1)ア〜エ、(2)ア〜オのどれで確かめるか(条例第5条第4項の当てはめの例です)。県は「事前にご相談ください」としています
  • ⑦すでに擁壁があるなら、いつ・どの許可(または確認)で造られたか。開発許可なら工事完了の検査済証があるか。崖面の保護等の措置に著しい損傷が出ていないか
  • 売主に、擁壁の書類が残っているかを聞く。契約後でも確認はできますが、購入判断や価格交渉に反映するため、契約の前に聞いてください
  • ⑨その土地が急傾斜地崩壊危険区域に入っていないか。入っていれば、この条例では災害危険区域で、住居の用に供する建築物は原則として建築できません(第4条)——ただし書に当たると認められた場合に限り、第4条の禁止の例外になります認めるのは特定行政庁(県が所管する地域は知事、宮崎市・都城市・延岡市・日向市はその市)で、自分で当てはめて決められるものではありません。なお宮崎市と延岡市には、市の災害危険区域の条例もあります——どちらも河川の出水・洪水についてのもので、崖についてのものではありません。宮崎市災害危険区域に関する条例(平成18年宮崎市条例第88号)は、区域内で居住室を有する建築物・病院・児童福祉施設等を建てるには、あらかじめ市長の認定が要るとしています。延岡市災害危険区域に関する条例も、氾濫を許容する区域で住居の用に供する建築物を建てるには市長の認定が要るとしています
  • ⑩その土地が土砂災害警戒区域(イエロー)・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に入っていないか。マップに反映されるまで時間がかかるので、土木事務所か西臼杵支庁に確かめる
  • ⑪延岡市の古川第10-1の周辺なら、令和8年8月31日の指定(県告示第619号・第620号)にかかっていないか。図面は砂防課と延岡土木事務所で縦覧
  • ⑫レッドゾーンの中で居室のある建物を建てるなら、令第80条の3の構造規制(平成13年国土交通省告示第383号)。都市計画区域の外でも、原則として建築確認が要ります(防火地域・準防火地域外での増築・改築・移転で、その部分の床面積の合計が10平方メートル以内のときは除かれます。敷地が区域の内外にまたがるときは、土砂災害防止法第25条があわせて適用する建築基準法第91条により、敷地の過半がどちらに属するかで決まります——構造の規制が敷地の過半で外れる、という意味ではありません)
  • ⑬盛土や切土を伴うなら、盛土規制法の規制区域に入っていないか。県は盛土対策課、宮崎市は市が窓口です
  • ⑭第5条第1項・第3項の義務が外れても、崖崩れ等による被害を受けるおそれがあれば、建築基準法第19条第4項の措置が別に要ります(調べて図にするのは建築士、当てはめを判断するのは窓口と申請先です)。高さ2.0メートルちょうどの崖も、第19条第4項からは外れません

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、崖から離す配置や擁壁の費用を、土地の値段に織り込みにくくなります。すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に。崖の高さと、崖からの距離は、現況の測量図と断面図がないと自分では判断できません——測量と図面は建築士に、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口に、お尋ねください。どれくらい日数がかかるかは、崖の状態と計画で変わりますので、この記事では示せません。建築士と窓口に、最初に「いつごろ答えが出るか」を聞いてください——それが分かって初めて、売買契約の日取りを動かせます。

出典

確かめきれなかったこと

条文は2026年9月4日に、宮崎県法規集の本文と、県の「崖条例(建築基準法施行条例第5条)の取扱いについて」(PDF)に掲げられた条文の2つを突き合わせて確認しました。第5条の文言は両者で一致しています。日向市の資料も同じ条文を「がけ」の表記で掲げており、県の法規集と県のPDFは「崖」、日向市の資料は「がけ」です。法律・政令は同じ日にe-Gov法令検索で、県の細則・窓口一覧・土砂災害の指定状況・公報・盛土規制法のページ、宮崎市・日向市・都城市の資料は、同じ日にそれぞれの公表元で読みました。そのうえで、確かめきれていないことが7つあります。

  • ひとつ、延岡市・日向市の市独自の崖の取扱い資料があるかは当たっていません(読んだのは日向市の「がけに近接する建築物の制限について」までです)
  • ふたつ、4市の例規集を1本ずつ通しては読んでいません。読んだのは4市が公表している崖・建築の案内と、宮崎市・日向市の取扱いの資料です。市独自の条例・指導要綱が無いとは言い切れません
  • みっつ、県内の急傾斜地崩壊危険区域の指定箇所数は、県の公表物では確かめられませんでした
  • よっつ、日向市の資料がいう『建築基準法施行条例「ただし書き」運用基準』の本文は読んでいません。読んだのは県の「取扱いについて」と、宮崎市・日向市の資料に引かれた条文です
  • いつつ、県の「崖条例の取扱いについて」が令和7年4月1日版のまま最新かは、県のページの更新日(2025年3月17日)をもって現行と扱いました
  • むっつ、宮崎市・延岡市のほかに、法第39条に基づく独自の災害危険区域の条例を持つ市町村があるかは当たっていません(宮崎市・延岡市の2本は、市の公表物で確かめました)
  • ななつ、盛土規制法の規制区域から外れる場所があるかは当たっていません。県は「県内ほぼ全域」と書いており、「ほぼ」の外がどこかは示していません

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