保有空地は、2026年4月4日から条件つきで狭められます。危険物の倉庫やタンクの周りに取る空き地のことです。取れない部分に耐火構造の塀などと散水設備を設け、消防活動のための空地を残します。そのうえで輻射熱の要件を満たせば、幅を減らすか、取らないことができます。6月30日には、高引火点危険物の施設にも同じ特例が広がりました。
当社の「火の守」は、工場で造る鉄筋コンクリートの防火塀です。
当社の製品
空地が取れない辺の塀を、工場で造った鉄筋コンクリートで。防火塀「火の守」
狭められる?
保有空地は、耐火構造の塀で狭められますか
塀と散水と消防の空地をそろえ、要件を満たせば狭められます。保有空地は、危険物を置く倉庫やタンク、取り扱う建物の周りに取る空き地です。幅は、施設の種類と危険物の量で決まります。
これまで規則で空地を減らせたのは、隣り合う屋内貯蔵所どうしや、作業工程が続く製造所に隔壁を設けたときなど、限られた場合でした。2026年4月4日に施行された改正(令和8年政令第115号・総務省令第60号・総務省告示第181号)で、塀による道が加わりました。
要件を満たす範囲で幅を減らすか、要件を満たせば空地を取らないこともできます(危険物の規制に関する規則 第13条〜第16条)。6月30日施行の改正(総務省令第83号)で、引火点100度以上の第4類だけを扱う施設の特例にも、同じ道が開きました。
どの施設に使える?
保有空地の特例は、どの施設に使えますか
保有空地の決まりがある5つの施設です。製造所・一般取扱所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋外貯蔵所が当たります。
| 施設 | どんな所か | 空地の決まり(政令) | 特例(規則) |
|---|---|---|---|
| 製造所 | 危険物を造る | 第9条第1項第2号 | 第13条 |
| 一般取扱所 | 危険物を使う作業場など | 第19条(第9条の準用) | 第13条 |
| 屋内貯蔵所 | 建物の中に置く倉庫 | 第10条第1項第2号 | 第14条 |
| 屋外タンク貯蔵所 | 屋外のタンク | 第11条第1項第2号 | 第15条 |
| 屋外貯蔵所 | 屋外の置き場 | 第16条第1項第4号 | 第16条 |
ガソリンスタンド(給油取扱所)には、保有空地の決まりがありません。周りの塀は、高さ2m以上などの別の決まりです(政令第17条第1項第19号)。くわしくは「給油取扱所の塀又は壁の決まり」に書きました。水素や天然ガスのスタンドの防火壁は、高圧ガス保安法の側の決まりです(「水素・天然ガスのスタンドの防火壁」)。
いまの幅は何m?
いまの保有空地は、何m要りますか
施設の種類と、指定数量の倍数で決まります。指定数量の倍数は、置く危険物の量が、その品名の指定数量の何倍かを表す数です。許可を受けたときの書類に書いてあります。
屋外タンク貯蔵所なら、倍数が500以下で3m以上、1,000以下で5m以上、2,000以下で9m以上です。量が増えるほど広くなり、4,000を超えるとタンクの直径か高さの大きいほう(15m以上)になります。
5つの施設の幅を、下の表にまとめました。屋内貯蔵所は、建物の壁・柱・床が耐火構造かどうかでも変わります。
| 施設 | 指定数量の倍数 | 保有空地の幅 |
|---|---|---|
| 製造所・一般取扱所 | 10以下/10を超える | 3m以上/5m以上 |
| 屋内貯蔵所(壁・柱・床が耐火構造/それ以外) | 5以下 | 空欄(幅の定めなし)/0.5m以上 |
| 同上 | 5を超え10以下 | 1m以上/1.5m以上 |
| 同上 | 10を超え20以下 | 2m以上/3m以上 |
| 同上 | 20を超え50以下 | 3m以上/5m以上 |
| 同上 | 50を超え200以下 | 5m以上/10m以上 |
| 同上 | 200を超える | 10m以上/15m以上 |
| 屋外タンク貯蔵所 | 500以下/1,000以下/2,000以下 | 3m以上/5m以上/9m以上 |
| 同上 | 3,000以下/4,000以下 | 12m以上/15m以上 |
| 同上 | 4,000を超える | タンクの直径(横型は横の長さ)か高さの大きいほう。15m以上 |
| 屋外貯蔵所 | 10以下/20以下/50以下 | 3m以上/6m以上/10m以上 |
| 同上 | 200以下/200を超える | 20m以上/30m以上 |
出典は危険物の規制に関する政令の表です(第9条第1項第2号・第10条第1項第2号・第11条第1項第2号・第16条第1項第4号)。4月の改正で、この表の数字は変わっていません。変わったのは、ただし書きです。
何をすれば狭められる?
保有空地を狭めるには、何が要りますか
塀だけでは足りません。3つをそろえます。規則が求める措置は、塀などと散水設備、消防活動のための空地です。そのうえで、告示の要件を満たすことを確かめます。
- 空地が取れない部分に、耐火構造の塀などの防火上有効な措置を講じる
- 同じ部分に、延焼を防ぐために冷やす散水設備等を設ける
- 主要な出入口の周辺(出入口が無ければ、消防活動に要る道路などに面する部分)に、消防活動のための空地を残す。タンクや屋外の置き場では、残す場所の決め方が少し違います
告示の要件は2つです。1つは、自分の施設で火事が起きても、その輻射熱(炎から離れた所へ届く熱)で隣の建物などの外壁等が燃えず、防火上・構造耐力上支障のある損傷を生じないこと。もう1つは逆向きで、隣の建物などの火事の輻射熱で、自分の施設の外壁等が燃えず、支障のある損傷を生じないことです(告示第2条の4ほか)。
消防庁は、この「外壁等」には外壁の窓などの開口部も含む、と通知しています(消防危第63号)。隣の火事のときに確かめる相手は、屋外タンク貯蔵所ではタンク、屋外貯蔵所では危険物の容器や架台です。
何mまで狭められる?
保有空地は、何mまで狭められますか
決まった数字はありません。現場ごとに確かめます。規則にも告示にも、何m減らせるか、塀の高さや厚さは何mか、という数字は書いていません。
告示が求めているのは、燃えず、防火上・構造耐力上支障のある損傷を生じない、という結果です。火事の大きさ、隣の建物までの距離、塀の高さと位置を入れて、輻射熱を計算や評価で確かめ、そこから空地の幅が決まります。確かめるのに第三者機関の評価を使ってよい、と消防庁は通知しています(消防危第63号)。
目安になる数字が1つあります。保安距離を考えるために、国の検討会の報告書(令和7年3月)が載せた試算です。タンクの防油堤の火災を想定し、火炎から10m先の対象物の最高温度が、塀なしで約765℃でした。火炎から5mの所に高さ5m・厚さ0.2mの耐火構造の塀を置くと、約463℃に下がりました。条件を1つ決めた試算で、どの現場にも当てはまる数字ではありません。
これまでの道も残っています。政令第23条(基準の特例)で空地を減らしてもらっている施設は、引き続きその扱いでよい、と消防庁は通知しています。許可を出すのは市町村長等で、相談先は所轄の消防本部です。いまある施設で特例を使うときの手続も、計画の前に消防本部に確かめます。
隣が高圧ガスなら?
隣が高圧ガスの施設なら、距離は縮められますか
20mの保安距離も、塀などで縮められるようになりました。危険物の施設は、高圧ガスの施設などとの間を20m以上離す決まりです。4月の改正で、耐火構造の塀などを設け、告示の要件を満たす距離にできるようになりました(規則第12条第2項)。
危険物の施設の火事で、高圧ガスの施設の外壁等が燃えず支障のある損傷を生じず、保安の設備が働き、ガスの温度と圧力が上がりすぎないこと。逆に、高圧ガスの施設の火事や爆発で、危険物の施設の側も同じであることが要件です(告示第2条の3)。
今回の特例は、高圧ガスの施設などとの距離だけです。住居・学校・重要文化財などとの距離は、前からある別の道で縮めます(不燃材料で造った防火上有効な塀などを設け、市町村長等が安全と認めた距離)。
| 相手 | 保安距離 | 塀などで縮める道 |
|---|---|---|
| 住居(同じ敷地を除く) | 10m以上 | 前から:不燃材料で造った防火上有効な塀など。市町村長等が認めた距離 |
| 学校・病院・劇場など | 30m以上 | 同上 |
| 重要文化財など | 50m以上 | 同上 |
| 高圧ガスの施設など | 20m以上 | 2026年4月から:耐火構造の塀などで、告示の要件を満たす距離 |
| 特別高圧架空電線 | 7,000Vを超え35,000V以下は水平距離3m以上、35,000Vを超えると5m以上 | 政令にただし書きなし |
火の守は使える?
防火塀「火の守」は、この塀に使えますか
鉄筋コンクリート・壁厚150mmの防火塀です。特例の塀として使えるかは、所轄の消防本部が審査で判断します。火の守は、壁と底版を工場で一体に造ったL型で、地上高さは2〜2.5m、鉄筋のかぶりは40mm以上、開口部はありません。据えたその日から、底版で自立します。

| 項目 | 火の守の標準 |
|---|---|
| 構造 | L型のプレキャストコンクリート(鉄筋コンクリート) |
| 壁厚・底版厚 | 150mm・150mm |
| 鉄筋のかぶり | 40mm以上 |
| 地上高さ(製品高さ) | 2〜2.5m(2.5〜3m) |
| 底版幅・根入れ | 製品高2.5mで1,300mm・500mm、3mで1,700mm・500mm |
| 標準の長さ | 2m |
| 開口部 | なし |
耐火構造の告示(平成12年建設省告示第1399号)は、2時間の耐火性能の間仕切壁に、厚さ10cm以上の鉄筋コンクリート造を挙げています。火の守の150mmは、この厚さを上回ります。ただ、これは建物の壁の決まりです。空地を何mにできるかも、消防本部の審査で決まります。
塀の配置と高さが決まれば、製品図面と構造計算書(地震や風で倒れないことの計算)を当社でご準備できます。輻射熱の評価に使う製品の高さや厚さの数字も、当社からお出しします。
当社の製品
塀の位置と高さが決まったら、その高さの製品図面と見積を。防火塀「火の守」
全国に配送します(沖縄・北海道・離島を除く)
見積の頼み方
見積を頼むには、何を送ればいいですか
配置図と、施設の種類・量が分かれば始められます。図面が無ければ、手書きの絵と写真で大丈夫です。製品の見積と簡易展開図(製品の並べ方を描いた施工図)は無料です。

次の4つを送ってください。
- 配置図か手書きの絵:危険物の施設、敷地の境界、隣の建物までの距離、空地が取れない辺
- 施設の種類と指定数量の倍数(許可を受けたときの書類に書いてあります)
- 写真:塀を建てたい辺の全体と、隣の建物
- 場所(住所)
お問い合わせフォームからどうぞ。お電話は0120-1181-46(平日9:00〜18:00)です。
当社の製品
据付3工程、開口部なし、地上高さ2〜2.5m。プレキャスト防火塀「火の守」
全国に配送します(沖縄・北海道・離島を除く)
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- 火事に強い塀とは何か 塀のねっこマニアックス-6
- 防火塀「火の守」の仕様
危険物の規制に関する政令 第9条第1項第1号・第2号、第10条第1項第2号、第11条第1項第2号、第16条第1項第4号、第17条第1項第19号、第19条第1項、第23条 e-Gov法令検索(2026年4月4日施行の版) 原文(第10条第1項第2号ロ):「耐火構造の塀の設置その他の防火上有効な措置として総務省令で定める措置を講じたとき。」
危険物の規制に関する規則 第12条、第13条、第14条、第15条、第16条 e-Gov法令検索(2026年6月30日施行の版) 原文(第13条第1項第2号イ):「危険物を取り扱う建築物その他の工作物(危険物を移送するための配管その他これに準ずる工作物を除く。以下この条において「危険物を取り扱う建築物等」という。)の周囲で令第九条第一項第二号の表に定める幅の空地を保有することができない部分に、耐火構造の塀の設置その他の防火上有効な措置を講ずるとともに、延焼防止上有効に冷却するための散水設備等を設けること。」 原文(第13条第1項第2号ロ):「危険物を取り扱う建築物等の主要な出入口(出入口がない場合には、当該建築物等の消防活動のために必要な道路等に面する部分)の周辺に、消防活動のための空地を保有すること。」 原文(第12条第2項):「令第九条第一項第一号ニの総務省令で定める距離は、二十メートル以上とする。ただし、耐火構造の塀の設置その他の防火上有効な措置を講じた場合には、告示で定める要件を満たす距離を当該距離とすることができる。」
危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示 第2条の3、第2条の4、第4条の2の2、第4条の2の2の2、第4条の2の2の3 消防庁(統合版) 原文(第2条の4第1号):「製造所又は一般取扱所で火災が発生するものとした場合において、当該火災の輻射熱により、当該製造所又は一般取扱所に隣接する建築物又は工作物(第四条の二の四を除き、以下「建築物等」という。)の外壁等が、燃焼せず、かつ、防火上又は構造耐力上支障のある損傷を生じないこと。」
消防庁 令和8年4月3日 消防危第56号(改正の公布)・消防危第63号(運用)、令和8年6月29日 消防危第156号 消防危第63号(PDF) 原文(消防危第63号 1⑷):「製造所等が告示第2条の3から第4条の2の2の3までに定める要件を満たすかどうかの確認に当たっては、第三者機関の評価を活用することとして差し支えないこと。」
消防庁「水素等のGX新技術に係る危険物規制に関する検討会」報告書(令和7年3月)資料2の試算 掲載ページ
総務省 報道資料(令和8年6月29日、危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の公布) 掲載ページ
耐火構造の構造方法を定める件(平成12年建設省告示第1399号)第1第一号イ 国土交通省(PDF)
当社の製品ページ 防火塀「火の守」(壁厚150mm・底版厚150mm・鉄筋のかぶり40mm以上・地上高さ2〜2.5m)

