羽曳野市のヤードには、届出の期限が迫っています。条例が施行されたのは2026年4月1日で、すでに営業していた事業者の届出の期限は、そこから6か月です。
附則には、こう書かれています。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に屋外保管をしている者は、第5条第1項の規定にかかわらず、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)から起算して6月を経過する日までに、同項の規定による届出をしなければならない。
羽曳野市は、この期限の具体的な日付を公表していません。市のお知らせページにも、条例の概要にも、28ページある事業者手引きにも、「令和8年○月○日まで」という書き方は見当たりませんでした(2026年8月22日に確認)。
期間の計算は、民法138条から143条によります。参議院法制局も「4月1日から起算する1年間は翌年3月31日に満了する」と説明しています。同じ数え方をすると、施行日の2026年4月1日から起算した6か月は2026年9月30日にあたります。
つまり、通常の期間計算では、届出の期限は2026年9月30日です。ただし羽曳野市は具体的な日付を明記していないので、念のため環境保全課にも確認してください。いずれにしても期限は目前です。まだ出していないなら、いま動くところです。
そして、この条例には罰則が1条もありません。あとで見ます。
この記事は、羽曳野市再生資源物の屋外保管に関する条例(令和7年羽曳野市条例第44号)と同施行規則(同市規則第58号)を、市が公開しているPDFの条文から順にたどります。


羽曳野市の条例は、届出制です
許可ではなく、届出です。ただし、届け出れば済むという話ではありません。保管の基準は、届出の要否と関係なくかかります。
目的の条文を見ます。
(目的)
第1条 この条例は、屋外における再生資源物の保管所が増加していることに鑑み、屋外における再生資源物の適正な保管を図るため、当該保管所における火災、延焼、再生資源物の崩落及び飛散その他の事故の発生を防止するとともに、再生資源物の屋外保管に伴う騒音及び振動の発生を防止し、又は軽減するために必要な措置について定め、もって市民生活の安全の確保及び良好な生活環境の保全に寄与することを目的とする。
ここでも火災が最初に来ます。そして騒音と振動が、目的に正面から書かれています。これは後で数値になって出てきます。
対象は7つの材質。ただし列挙のしかたが少し違います
(1) 再生資源物 本来の用途以外の用途に供するための木材、ゴム、金属、ガラス、コンクリート、陶磁器又はプラスチックを原材料とする物及びこれらの物の混合物(それらの物であって、分解、破砕、圧縮等の処理がされたものを含む。)をいう。ただし、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃掃法」という。)第2条第1項に規定する廃棄物(法令の規定により当該廃棄物とみなされるものを含む。)及び廃掃法第17条の2第1項に規定する有害使用済機器に該当するものを除く。
7つの材質が並んでいます。ここに「その他これらに類する材質」は付いていません。そして頭に「本来の用途以外の用途に供するための」という限定が置かれています。列挙された7つと、その混合物が対象です。
除外は廃棄物と有害使用済機器。ここは共通です。
面積のしきい値はなく、指定された機械を使うことが「屋外保管」の要件です

ここが羽曳野市のいちばん変わっているところです。「屋外保管」の定義を読んでください。
(3) 屋外保管 屋外において、規則で定める機械を使用して再生資源物を積み上げ、保管すること(再生資源物を保管するために行う分解、破砕、圧縮、選別、積替えその他の作業を含む。)を業として行うことをいう。
その「規則で定める機械」が、これです。
(再生資源物の積み上げに使用する機械)
第2条 条例第2条第3号の規則で定める機械は、次に掲げるものとする。
(1) バックホウその他これに類する機械
(2) フォークリフト
(3) クレーンその他これに類する機械
バックホウその他これに類する機械、フォークリフト、クレーンその他これに類する機械。「その他これに類する機械」が付くのはバックホウとクレーンで、フォークリフトには付きません。この3つ——バックホウその他これに類する機械・フォークリフト・クレーンその他これに類する機械——を使って積み上げることが、条例上の「屋外保管」の要件になっています。この形は、この連載で読んできた12の自治体のどこにもありませんでした。
そして面積のしきい値がありません。届出の条文を見ます。
(屋外保管の届出)
第5条 屋外保管をしようとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ、次に掲げる事項その他規則で定める事項を市長に届け出なければならない。
(1) 屋外保管事業者の氏名及び住所(屋外保管事業者が法人その他の団体であるときは、その名称、所在地及び代表者の氏名)
(2) 屋外保管事業場の所在地及び敷地面積
(3) 屋外保管をする再生資源物の種類
敷地面積は「届け出る事項」として出てきますが、「何平方メートル以上なら届出」という条文はありません。市も、こう案内しています。
届出の対象者は?
敷地面積の大きさにかかわらず、収集された使用済みの金属(鉄、非鉄など)やガラスなどの「再生資源物」を屋外での保管を業として実施している事業者です。
したがって、処分品を一時的に屋外で保管している店舗や工場等は届出の対象ではありません。
100平方メートル超、200平方メートル以上といった線がありません。面積では切らず、指定された機械を使うかどうかで入口が決まります。隣接する事業場を合算する規定もありません。
そして「その他規則で定める事項」が、条例の3つより多い。規則第3条第1項に8つ並んでいます。
第3条 条例第5条第1項の規則で定める事項は、次に掲げるものとする。
(1) 屋外保管をしようとする者(以下この項において「設置者」という。)の連絡先
(2) 屋外保管事業場の責任者の氏名、住所及び連絡先
(3) 緊急時における連絡先であって、前号に規定する連絡先以外のもの
(4) 再生資源物の積み上げに使用する機械の種類
(5) 計画上の屋外保管事業場における再生資源物の配置図
(6) 条例第6条第2項第1号の囲いの計画上の高さ及び材質
(7) 第6条第3号の仕切り板を設置する場合にあっては、その材質
(8) 条例第6条第2項第2号の標識の掲示位置
「緊急時における連絡先」は、責任者の連絡先とは別の番号です。条文が「前号に規定する連絡先以外のもの」と書いています。市の記入例も「責任者の連絡先とは異なる番号を記入してください」と注意書きを入れています。
機械は「種類」ですが、市の様式は台数まで書かせます。記入例はバックホウ(ショベル)1、バックホウ(ツメ)1、フォークリフト1と書いた形になっています。囲いは「計画上の高さ」と「材質」——記入例では高さ5メートル・材質は鋼鉄。標識の掲示位置は、記入例だと「事業場南側搬入・搬出口西側囲い2メートル、高さ1メートルの位置」のように、場所を文で書いています(別紙で写真等を出すこともできる、とあります)。
添付は2つです。
2 条例第5条第1項の規定による届出は、前項各号に掲げる事項を記載した届出書に次に掲げる書類を添付して行うものとする。
(1) 設置者の住民票の写し(設置者が法人であるときは、登記事項証明書及び定款等並びに役員の住民票の写し)
(2) 設置者が屋外保管事業場の敷地を占有する権原を有することを証する書類
法人なら、役員全員の住民票の写しが要ります。取り寄せに日数がかかるものです。借地なら、賃貸借契約書など占有の権原を示すものも。期限は2026年9月30日です。いま手配してください。
届け出た事項に変更があったときは、変更のあった日から14日以内(規則第4条)。屋外保管を廃止したときは、廃止の日から14日以内(規則第5条)。そして許可ではなく届出で、有効期間も更新もありません。
変更届も廃止届も、市が記入例を出しています。変更届は新・旧を並べて書き、変更の理由と変更(予定)年月日まで書く形。記入例は「作業効率の向上を目的として機械を追加するため」と書いた例です。
囲うのは「屋外保管事業場」の周囲です

2 屋外保管事業場は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
(1) 周囲に囲い(保管する再生資源物の荷重が直接当該囲いにかかる構造である場合にあっては、当該荷重に対して構造耐力上安全であるものに限る。)が設けられていること。
(2) 規則で定めるところにより、公衆の見やすい箇所に屋外保管事業場である旨その他規則で定める事項を記載した標識が掲げられていること。
主語が「屋外保管事業場は」です。そして条例第2条第4号は、「屋外保管事業場」を「本市の区域内において屋外保管をする場所」と定義しています。届け出るのは「屋外保管事業場の所在地及び敷地面積」(第5条第1項第2号)、添えるのは「屋外保管事業場の敷地を占有する権原を有することを証する書類」(規則第3条第2項第2号)、騒音を測るのは「屋外保管事業場の敷地である土地とそれ以外の土地との境界線上」(規則第7条備考10)。条例は、事業場を敷地の単位で書いています。
荷重の条文は「直接当該囲いにかかる構造である場合」までで、「かかるおそれ」は入っていません。条例で「おそれ」が出てくるのは第7条(事故時の措置)の1か所だけで、荷重にはかかっていません。ただしこれは、「いま荷が当たっているかどうか」の話ではありません。条文が問うているのは「かかる構造であるかどうか」です。壁に寄せて積む前提の囲いなら、今日そこに何も積んでいなくても「かかる構造」に当たり得ます。そして市のお知らせページは、ここに「又はかかるおそれがある構造」まで書いています。次の節で、その差を見ます。
市のお知らせページと、条文の書き方が違います
ここは注意してください。羽曳野市がウェブサイトに載せているお知らせには、こう書かれています。
・屋外保管の場所の周囲に囲いを設けること。再生資源物の荷重が直接囲いにかかり、又はかかるおそれがある構造である場合は、当該荷重に対して当該囲いが構造耐力上安全であるようにすること。
並べると2か所ですが、重さが違います。上の行は、条例が定義した言葉を、市がふだんの言葉に開いたものとも読めます——条例第2条第4号は「屋外保管事業場」を「屋外保管をする場所」と定義しているからです。意味が変わるのは、下の行です。
| 市のお知らせページ | 条例 第6条第2項第1号 | |
|---|---|---|
| 囲う場所 | 屋外保管の場所の周囲 | 屋外保管事業場は…周囲に囲い |
| 荷重 | 直接かかり、又はかかるおそれがある構造 | 直接当該囲いにかかる構造である場合 |
この「かかるおそれ」は、市が書き足した言葉ではありません。国の廃棄物処理法施行令第16条の3第1号ロ(1)が、有害使用済機器の保管について「保管する有害使用済機器の荷重が直接囲いにかかり、又はかかるおそれがある構造である場合にあつては、当該荷重に対して当該囲いが構造耐力上安全であること」と定めていて、市のお知らせはこれと同じ言い回しです。同じページは積み上げ高さについても「この基準は『廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則』に規定する基準と同じです」と書いています。市は、国の基準の言葉で説明しています。
どちらの言葉で判断されるかを、この記事では決めません。条例の条文はいま引いたとおりで、市のお知らせはそう書いてある、という事実だけを並べます。ただし、囲いは後から作り直せません。市に確認がとれるまでは、「現に荷重がかかる構造だけが対象」という狭いほうで足りると決めてしまわないでください。自分のところがどちらで判断されるのかは、羽曳野市環境保全課に確認してください。
なお、囲いの高さや材質の指定は、条例にも規則にもありません。ただし届出のときに「囲いの計画上の高さ及び材質」を書きます(規則第3条第1項第6号)。
当社製品のご案内
以下は当社製品の情報です。ヤードン単体で条例への適合や許可の取得が決まるものではありません。条例上の取扱いは、事業場全体の配置、保管物、積み方、地盤、囲いの構成その他の条件をもとに、担当行政庁へ確認してください。許可を要する事業場では、事業場全体の計画が行政庁の審査対象になります。
この条例の囲いとして、ヤード擁壁「ヤードン」を検討する場合
ヤードンは、壁際への載荷条件を確認して設計するプレキャストコンクリートの自立壁です(逆T型・L型)。当社の設計条件への適用可否を確認できた案件では、見積書・製品部分の設計計算書・展開図を無料で用意します。条例上の適合可否を当社が判定するものではありません。事業場全体の条件をもとに、担当行政庁へご確認ください。
羽曳野市は、条例本文と市の案内ページで表現に差があります。条例本文は「屋外保管事業場は……周囲に囲い」「荷重が直接当該囲いにかかる構造」と書き、市の案内は「屋外保管の場所の周囲に囲い」「直接かかり、又はかかるおそれがある構造」と説明しています。ヤードンを外周の囲い・保管の場所の囲いのどちらで検討する場合も、市にご確認ください。火災の号の不燃材料の仕切り板について、コンクリートは材質上の候補ですが、仕切り板として必要な構成を満たすかも市にご確認ください。
▶ ヤード擁壁「ヤードン」——壁際への載荷条件を確認して設計するプレキャストコンクリート自立壁・逆T型/L型
▶ ヤードンの設計条件を確認する(設計条件の表・第1版 2026年8月28日更新)
▶ 事業場の場所、保管物、予定する積み方を添えて、製品の配置案と見積を相談する
積み上げの高さは、勾配で決まります

(3) 容器を用いずに屋外保管をする場合は、積み上げられた再生資源物の高さが規則で定める高さを超えないようにすること。
その規則が、これです。まず荷重がかからない場合。
(1) 条例第6条第2項第1号の囲いに再生資源物の荷重が直接かかる構造である部分(以下この条において「直接負荷部分」という。)がない場合 屋外保管事業場内の任意の点ごとに、地盤面から、当該点を通る鉛直線と当該囲いの下端(当該下端が地盤面に接していない場合にあっては、当該下端を鉛直方向に延長した面と地盤面との交線)を通り水平面に対し上方に50パーセントの勾配を有する面との交点(当該交点が2以上ある場合にあっては、最も地盤面に近いもの)までの高さ
次に、荷重がかかる場合。ここが2つに分かれます。
ア 直接負荷部分の上端から下方に垂直距離50センチメートルの線(直接負荷部分に係る囲いの高さが50センチメートルに満たない場合にあっては、その下端)(以下この条において「基準線」という。)から屋外保管事業場内の再生資源物が置かれる場所の側に水平距離2メートル以内の部分 (略)
(ア) 地盤面から、当該点を通る鉛直線と当該鉛直線への水平距離が最も小さい基準線を通る水平面との交点までの高さ
イ 基準線から当該保管の場所の側に水平距離2メートルを超える部分 (略)
(ア) 当該点から、当該点を通る鉛直線と、基準線から当該保管の場所の側に水平距離2メートルの線を通り水平面に対し上方に50パーセントの勾配を有する面との交点(当該交点が2以上ある場合にあっては、最も地盤面に近いもの)までの高さ
囲いから2メートルまでは基準線の高さで頭打ち、そこから先は勾配で上がっていく——という作りです。
ただし、離れるほど高く積める、とは限りません。ア・イのどちらにも、上で「(略)」とした部分に条件が入っています——囲いに直接負荷部分でない部分がある場合は、(ア)と(イ)に規定する高さのうちいずれか低いものを採ります((イ)は第1号=囲いの下端からの50パーセントの勾配の高さです)。荷重のかかる囲いと、かからない囲いが混ざっている事業場では、各地点で低いほうが上限になります。基準線側だけを見て積むと、規則の高さを超えます。
そして、「何メートルまで」という数値の規定がありません。規則第8条には上限の数値がなく、囲いの下端や基準線を起点とする勾配の面だけで高さが決まります。「何メートルまでなら安全」という数字は、条文からは出てきません。
市も「この基準は『廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則』に規定する基準と同じです」と説明しています。
火災は3号。そして騒音・振動に数字があります

(延焼防止措置)
第6条 条例第6条第1項第1号の規則で定める措置は、次に掲げるものとする。
(1) 再生資源物に揮発油類、灯油類、軽油類及びこれらに類する油類並びに電池(以下「電池等」という。)が含まれている場合は、技術的及び経済的に可能な限り、当該再生資源物から電池等を分離し、分離された電池等を適正に処分すること。
(2) 屋外保管事業場内における再生資源物の保管に供する部分の延べ面積が200平方メートルを超えるときは、当該部分を各区画の面積が200平方メートル以下となるように区画すること。
(3) 前号の区画と区画の間に2メートル以上の間隔を保つこと。ただし、当該区画と区画の間に不燃材料(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号の不燃材料をいう。)の仕切り板が設置されている場合は、この限りでない。
200平方メートル・2メートル・不燃材料の仕切り板。「雑品スクラップ」という区分はありません。条例にも規則にも、その語は出てきません。置いているものの種類で基準が変わることはない、ということです。
羽曳野市で目立つのは、騒音と振動に数字があることです。
(騒音又は振動の基準)
第7条 条例第6条第1項第2号の規則で定める基準は、次に各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定めるものとする。
(1) 騒音に関する基準 次の表の第1欄に掲げる区域の区分に応じ、同表の第2欄から第5欄までに掲げる基準を超えないこととする。
| 騒音(上限) | 朝 | 昼間 | 夕 | 夜間 |
|---|---|---|---|---|
| 第1種区域 | 45デシベル | 50デシベル | 45デシベル | 40デシベル |
| 第2種区域 | 50デシベル | 55デシベル | 50デシベル | 45デシベル |
| 第3種区域 | 60デシベル | 65デシベル | 60デシベル | 55デシベル |
時間の区切りは、規則の備考にこう書かれています。
備考
1 「朝」とは、午前6時から午前8時までをいう。
2 「昼間」とは、午前8時から午後6時までをいう。
3 「夕」とは、午後6時から午後9時までをいう。
市のお知らせページの表は「昼間(8-18時)」「夕(18-21時)」となっていて、規則の備考と同じです。ただし市の「条例の概要」PDFには別の時間が書かれている箇所があるので、効力があるのは規則の本文だと押さえておいてください。
市の説明によれば、この数値は「大阪府生活環境の保全等に関する条例施行規則」に規定するものと同じです。「第○種区域」は都市計画法の用途地域を指します。
標識はありますが、記録・帳簿はありません
(標識の掲示)
第9条 条例第6条第2項第2号の規則で定める事項は、次に掲げるものとする。
(1) 屋外保管事業者の氏名又は名称
(2) 屋外保管する再生資源物の種類
2 屋外保管事業者は、前項の事項に変更が生じたときは、遅滞なく、標識の記載事項を書き換えなければならない。
寸法の指定はありません。条文にも規則にも、標識の大きさは書かれていません。掲示する位置は届出のときに書きます(規則第3条第1項第8号)。
そして、記録や帳簿の条文がありません。取引の年月日、取引先、品目、数量——そうした記録の作成・保存を求める条文は、羽曳野市の条例にも規則にも見当たりませんでした。ただし、これは「記録を取らなくていい」という意味ではありません。金属を買い取っているなら、国の法律と大阪府の条例が別にかかります。
金属くずを買い取っているなら、国の届出が別にあります
金属盗対策法——正式名称は「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」(令和7年法律第75号)のうち、特定金属くず買受業に係る措置(第2章)が、2026年6月1日から施行されています。屋外保管の条例でも、廃棄物の法律でもありません。防犯の法律で、所管は公安委員会です。法の全体が同じ日に施行されたわけではありません。指定金属切断工具の隠匿携帯の禁止などは、2025年9月1日から施行されています(同法附則第1条第2号、同法施行令附則)。
かかるのは「特定金属くず買受業」——特定金属くずの買受け(買受けの対価として金銭以外の財産上の利益を提供する場合を含みます)を行う営業です(第2条第4号)。特定金属くずは「主として特定金属により構成されている金属くず」で、物品を製造する過程において生ずるものと、古物営業法の古物に当たるものは除かれます(第2条第3号)。特定金属は「銅その他……政令で定めるもの」(第2条第1号)で、施行令(令和7年政令第301号)に銅以外の金属を定めた条はありません。大阪府警察は「切断された銅線は、本来の用途では使用不可能なものと解釈される」として、切断された銅線や破壊された室外機を特定金属くずの例に挙げています。
届出は営業所ごとに、その営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会へ出します(第3条第1項)。大阪府警察は、届出先は原則、営業所ごとに管轄する警察署で、時期は営業開始の前日までと案内しています。
2026年6月1日の時点ですでにこの営業を営んでいた事業者の届出期限は、2026年8月31日です。附則第2条が「この法律の施行の日から起算して三月を経過する日までに」と定めていて、施行日の6月1日から数えて満了するのがこの日です。まだ出していないなら、期限の前後を問わず、すぐに営業所の所在地を管轄する警察署へ相談してください。
買受けの相手方の本人確認(第7条)、本人確認記録と取引記録の作成、そしてそれぞれ買受けの行われた日から3年間の保存(第8条第2項・第9条第2項)も義務です。届出をしないで営むと、6月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、またはその併科です(第23条第1号)。
そして、大阪府金属くず営業条例の許可を持っていても、この届出は別に要ります。法第20条は、この法律のほかに地方公共団体が条例で規制を定めることを妨げないと定めています。大阪府警察は「大阪府金属くず営業条例の許可者も届出の対象となる」と明記し、「条例の許可がある場合においても、法の届出をしていなければ『無届営業』となる」と説明しています。同じ資料の比較表では、府条例は金属全般を対象とする許可制で帳簿の保存は1年、法は届出制で記録の保存は3年と整理されています。羽曳野市の条例に記録の条文が無いことと、これらは関係がありません。
報告の義務があるのは、事故が起きたときだけです。
(事故時の措置)
第7条 屋外保管事業者は、屋外保管に起因する事故により市民生活の安全及び良好な生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、当該支障の除去又は防止のために必要な措置を講ずるとともに速やかに当該事故の状況、講じた措置の内容等を市長に報告しなければならない。
罰則が、1条もありません

この条例は全10条です。第1条 目的、第2条 定義、第3条 屋外保管事業者の責務、第4条 土地所有者の責務、第5条 屋外保管の届出、第6条 基準、第7条 事故時の措置、第8条 資料提出等の要求、第9条 指導及び助言、第10条 委任。
この条例の条文には、罰則の章も条も見当たりませんでした。「懲役」「拘禁刑」「罰金」「過料」——条例にも規則にも、一度も出てきません(2026年8月22日に、市が公開しているPDFで確認)。
これは「この条例に罰則が無い」という意味です。廃棄物処理法や消防法など、ほかの法令が別にかかることとは関係ありません。
市長にあるのは、次の3つだけです。
2 市長は、前項の規定による報告を受けた場合において、同項の支障の除去又は防止のために必要があると認めるときは、その必要な限度において、屋外保管事業者に対し、期限を定めて、当該支障の除去又は防止のために必要な措置を講ずるよう求めることができる。
(資料提出等の要求)
第8条 市長は、屋外保管事業者及び屋外保管事業者であると思料される者に、その事業所、事務所その他の施設への立入検査に対する協力を求め、又は資料の提供、説明その他この条例の施行に関し必要な協力を求めることができる。
(指導及び助言)
第9条 市長は、屋外保管事業者又は屋外保管をしようとする者に対し、市民生活の安全及び良好な生活環境の保全に必要な指導及び助言を行うことができる。
改善命令も、措置命令も、氏名の公表もありません。第8条も「立入検査に対する協力を求め」であって、立入検査そのものの権限を定めた条文ではありません。
この条例には、罰則・改善命令・公表の規定がありません。第8条の立入検査や資料の提供も、強制ではなく協力を求める形です。
ただし、義務が無いという意味ではありません。届出(第5条)、保管と構造の基準(第6条)、事故時の措置と報告(第7条第1項)は、いずれも「しなければならない」と書かれた義務規定です。
届出は猶予されましたが、基準は猶予されていません

ここが、この記事でいちばん見落としやすいところだと思います。もう一度、附則を読みます。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に屋外保管をしている者は、第5条第1項の規定にかかわらず、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)から起算して6月を経過する日までに、同項の規定による届出をしなければならない。
猶予されているのは「第5条第1項」——届出だけです。
囲い、積み上げの高さ、延焼防止措置、騒音・振動、標識——第6条の基準には、経過措置の条文がありません。文言のうえでは、既存の事業者にも2026年4月1日から第6条がかかる形になっています。
「届出の期限まで猶予されている」と読むと、危ないところです。この読み方で合っているかどうかも、市に確認してください。
もうひとつ、施行前に出しておける条文もありました。
(準備行為)
3 屋外保管をしようとする者は、施行日前においても、第5条第1項の規定の例により、届出をすることができる。この場合において、その届出をした者は、施行日において同項の規定による届出をしたものとみなす。
いま、確かめておくこと

急ぐのは、上の3つです。
- ① 2026年4月1日より前から屋外保管をしているなら、届出の期限が迫っています。条文は「施行日から起算して6月を経過する日までに」で、通常の期間計算では2026年9月30日です。市は具体的な日付を明記していないので、念のため環境保全課にも確認してください
- ② バックホウその他これに類する機械・フォークリフト・クレーンその他これに類する機械を使って積み上げているか。「その他これに類する機械」が付くのはバックホウとクレーンで、フォークリフトには付きません(規則第2条)。条例の「屋外保管」の定義は、この機械を使うことを要件にしています。面積は入口の条件になっていません
- ③ 第6条の基準には、経過措置がありません。猶予されているのは届出(第5条第1項)だけです。囲い・高さ・延焼防止・騒音振動・標識は、文言のうえでは2026年4月1日からかかっています
そのうえで、残りを順に。
- 届出の要否を分ける面積のしきい値(○○平方メートル以上、など)がありません。市も「敷地面積の大きさにかかわらず」と案内しています(敷地面積そのものは、届け出る事項には入っています)
- ただし「業として行う」ことが要件です。処分品を一時的に置いている店舗や工場は対象ではないと市は案内しています
- 扱っているものが木材・ゴム・金属・ガラス・コンクリート・陶磁器・プラスチックとその混合物か。廃棄物と有害使用済機器は除かれます
- 屋内なら対象外です。ただし市は「屋根及び三方に壁を有する工作物」で、キャノピー構造やブルーシート・テントの屋根は「屋内」にならないと案内しています。なお条例第2条第2号の「建物」は「屋根、柱、壁及び床を有するもの」で、市の説明とは表現が違います
- 事業場の周囲に囲いがあるか。荷重が直接かかる構造なら、構造耐力上安全だと示せるか。市のお知らせページは「保管の場所の周囲」「かかるおそれ」と書いており、条文と表現が違います。市に確認してください
- 積み上げが50パーセント勾配・基準線・囲いから2メートルの範囲か。上限のメートル数は条文にありません
- 保管に供する部分が200平方メートルを超えるなら、200平方メートル以下に区画し、区画の間を2メートル以上あけているか(不燃材料の仕切り板があれば、この限りでない)
- 揮発油類・灯油類・軽油類・油類・電池が混じっていないか。混じっているなら技術的及び経済的に可能な限り分離して適正に処分
- 敷地の境界で、騒音と振動が基準を超えていないか。用途地域によって上限が変わります
- 標識を、公衆の見やすい箇所に掲げているか。氏名又は名称と、保管する再生資源物の種類。変わったら遅滞なく書き換え
- 届出書に書くのは、条例の3つだけではありません。規則第3条の8つ——連絡先、責任者の氏名・住所・連絡先、責任者とは別の緊急時の連絡先、積み上げに使う機械の種類、配置図、囲いの計画上の高さと材質、仕切り板の材質、標識の掲示位置
- 添付は、設置者の住民票の写し(法人なら登記事項証明書及び定款等並びに役員の住民票の写し)と、敷地を占有する権原を有することを証する書類。取り寄せに日数がかかります
- 市が届出書・変更届出書・廃止届出書の様式と記入例を出しています。先に記入例を見てください
- 届け出た事項が変わったら14日以内、廃止したら14日以内
手続きや解釈の判断は、羽曳野市市民生活部環境保全課にご確認ください。
出典
