秋田で崖の近くに家を建てる・買う人へ、最初に答えから。
先にすることは、3つです。がけ条例がかかっても、建てられないと決まったわけではありません。まず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、擁壁(ようへき=がけの土が崩れないよう支える壁)の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう——まだ建築士に心当たりが無いなら、先に売主・仲介の不動産会社へ「測量図と、がけの高さが分かる資料はありますか」と聞くところから。そのうえで、その図面を持って計画地を所管する建築行政の窓口へ、条例の当てはめを確かめる。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。確かめる中身は、この記事の最後の「売買契約の前に、専門家と確かめること」にまとめてあります。
①決まりは秋田県建築基準条例(昭和35年8月1日 秋田県条例第27号)の第4条です。②かかるのは、高さ3メートルを超える崖(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす傾斜地)の上または下に建築物を建築する場合で、建築物の位置が、崖の上にあっては崖の下端(かたん)から、崖の下にあっては崖の上端(じょうたん)から、水平距離が崖の高さの2倍以内にあるとき。③そのとき条文が求めるのは離れることではなく、「建築物の安全を確保するために必要な擁壁を設けなければならない」——擁壁(ようへき=がけの土が崩れないように支える構造物。塀とは役割が違います)の設置です。第4条第1項本文の擁壁設置義務を、同条の中で外す例外はただし書の3つの号で、第4条に許可・認定の手続はありません。これとは別に、条例第15条による市町村の区域での適用調整と、建築基準法第85条による適用除外があります(後述)。条例に合う擁壁を設ければ、第4条第1項の関係では原則として建てられます——ただし、設ける擁壁の構造には、同じ条の第2項がかかります(建築基準法施行令第142条・盛土規制法施行令第9条・第10条によること。安全上支障がないと認められる場合のただし書があります)。災害危険区域・土砂災害の区域・法第19条第4項も別に確認してください。この記事には「県の資料は見つけられませんでした」が何度か出てきます——秋田県は第4条について公表された審査基準を持っていないので、決めるのは紙ではなく、窓口の人です。断面図と土質の資料を持っていけば、その場で当てはめの話ができます。④行政への相談窓口は、県の7つの地域振興局建設部建築課か、秋田市・横手市(全ての建築物)か、大館市・大仙市(小規模な建築物等だけ。それ以外は県)です。建築確認そのものは、業務の範囲内であれば指定確認検査機関(民間の確認検査機関)にも申請できます(法第6条の2)。条文は2026年8月29日に、県と各市の例規集で確認しました。
「がけ条例」の実体は、秋田県建築基準条例の第4条です

「がけ条例」という名前の条例はありません。秋田県では、秋田県建築基準条例の第4条(崖付近の建築物)がその中身です。秋田市都市整備部建築指導課が公開しているチェックシートは、「崖(がけ)付近の建築物」の項に「(建築基準法第40条、秋田県建築基準条例第4条)」と添えて案内しています。第4条の条文に「都市計画区域内」の限定はありません——道路との関係を定める第6条から第11条までは「都市計画区域内にある」と限っていますが、第4条は限っていません。用途地域の外でも、崖と距離の条件に当たれば働きます。
そして秋田市・横手市・大館市・大仙市に、崖の数字を独自に定めた建築基準条例はありません(4市の例規集の建築・住宅の章を見た範囲)。4市とも、建築基準法施行細則で県条例第4条と同じ数字——高さ3メートルを超える崖・30度を超える傾斜地・崖の高さの2倍以内——を挙げて、確認の申請で崖の位置と高低差を明示することを求めています。大館市の建築基準法施行細則第1条は、その規則自身を秋田県建築基準条例の施行に関し必要な事項を定めるものと位置づけ、横手市がけ地近接等危険住宅移転事業に関する規則第2条は、危険住宅を「秋田県建築基準条例(昭和35年秋田県条例第27号)で、建築の制限を受ける地域」に存する既存不適格(きそんふてきかく=建てたときは適法だった建物)住宅と定義しています。
ただし、条例には市町村との調整の条があります。
(市町村条例との調整)
第十五条 法第三十九条、法第四十条、法第四十三条第三項又は法第五十六条の二第一項の規定に基づく条例を制定している市町村の区域については、規則で定めるところにより、この条例の規定の全部又は一部を適用しない。秋田県建築基準条例 第15条
県の建築基準法施行細則(全28条)を読んでも、市町村の区域を適用除外にする条はありません(本文に「適用しない」は0件)。例規集の建築住宅の章(30件)と五十音目次の全ページ(例規本文へのリンク延べ1,086件)を当たっても、「秋田県建築基準条例施行規則」に当たる例規は見つけられませんでした。前の段落の4市の細則・規則は、いずれも第4条が働いていることを前提にした書き方です。それでも「県内全域に適用される」と言い切れるのは、例規集に載る形の規則についてだけで、第15条が適用除外の形式として定めているのは「規則」です——公表されている現行の県規則の中には、第15条に基づく市町村区域の適用除外を確認できませんでした。読者がすることは1つです——窓口で「第15条の規則はありますか」と一言聞いてください。
どこからが「崖」か——高さ3メートルを「超える」、30度を「超える」

(崖付近の建築物)
第四条 高さ三メートルを超える崖(地表面が水平面に対し三十度を超える角度をなす傾斜地をいう。以下この項において同じ。)の上又は下に建築物を建築する場合であつて、当該建築物の位置が、崖の上にあつては崖の下端から、崖の下にあつては崖の上端からの水平距離が崖の高さの二倍以内にあるときは、建築物の安全を確保するために必要な擁壁を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 崖の土質又は形状により建築物の安全上支障がないと認められるとき。
二 崖の上に建築物を建築する場合であつて、建築物の基礎が崖に影響を及ぼさないと認められるとき。
三 崖の下に建築物を建築する場合であつて、建築物の主要構造部(崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分を除く。)を鉄筋コンクリート造その他これと同等の耐力を有する構造とすることにより、又は崖と建築物との間に流土止を設けること等により建築物の安全上支障がないと認められるとき。秋田県建築基準条例 第4条第1項
条例の表記は「崖」です(市の施行細則は「がけ」と書くものもありますが、数字は同じです)。押さえるところは3つ。①高さは「三メートルを超える」——3.0メートルちょうどは当たりません。②角度は「三十度を超える角度をなす傾斜地」——30.0度ちょうどは当たりません。ちょうどかどうかは、測量しないと決まりません——決めるのは、図面を見た申請先です。③この項の「崖」の意味は、条文の括弧書きが自分で定めています。括弧書きが挙げているのは傾斜地の角度だけで、土質による除外を置いていません(土質が出てくるのは、ただし書の第一号のほうです)。第2項が引いている宅地造成及び特定盛土等規制法施行令には、同令第1条に別の「崖」の定義がありますが、第4条第1項の括弧書きはその定義を引いていません。岩の斜面を実務でどう扱っているかを示す県の資料は見つけられませんでした——現地の斜面が第4条の「崖」に当たるかは、断面と土質の資料を持って所管の窓口で確かめてください。
定義の効力が及ぶ範囲は「以下この項において同じ」——第4条第1項の中だけです。なお、崖の高さをどこからどこまで測るのか、建築物のどの点で水平距離を測るのかを示す県の資料も、見つけられませんでした。秋田市のチェックシートは「がけの高さや角度は、建築計画がある敷地ごとに、設計者などが各自確認を行う必要があります。」としています。これは秋田市の資料で、ほかの所管の運用は別に確かめる必要があります。
義務の形は「離す」ではなく、「擁壁を設ける」です

第4条第1項が求めているのは、崖から高さの2倍の距離を取ることではありません。「崖の高さの二倍以内」は規制が働く範囲を示す言葉で、建築物の位置がその範囲に入るときに、「建築物の安全を確保するために必要な擁壁を設けなければならない」という義務が生じます。たとえば高さ4メートルの崖なら、崖の上に建てるなら下端から、崖の下に建てるなら上端から、水平距離8メートル以内が範囲です。範囲に入ること自体は禁止ではなく、ただし書各号に当たる場合を除き、原則として擁壁の設置が必要になります——秋田市のチェックシートも「下図のように建築物の安全を確保できる擁壁や基礎を設けることで、建築が可能になる場合があります。詳細については、当課窓口にて相談をお願いします。」と書いています。第1項の「建築物の安全を確保するために必要な擁壁」を、第2項の基準(令第142条・盛土規制法施行令第9条・第10条)により設ければ、第4条第1項の関係では原則として建てられます——法第19条第4項・災害危険区域・土砂災害の区域は、別に確認してください。
起点は上下で逆向きです——崖の上に建てるなら崖の下端から、崖の下に建てるなら崖の上端から。倍率は上でも下でも2倍で、建築物の構造や重さによって範囲を増やす規定は、第4条にはありません。
かかる相手は「建築物」です。第4条は、用途でも居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)の有無でも絞っていません——住宅に限らず、事務所も、倉庫も、車庫も、条件に当たれば対象です(同じ条例でも、災害危険区域の第3条のほうは「居室を有する建築物」と絞っています)。また「建築」には、新築だけでなく、増築・改築・移転も含まれます(建築基準法第2条第13号)。
この範囲の外でも、建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合には、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければなりません(建築基準法第19条第4項。高さの下限はありません)。第4条の数字は条例の擁壁設置義務の入口であって、安全の検討が要るかどうかの入口ではありません。
設ける擁壁は、原則として令第142条と盛土規制法施行令第9条・第10条によります

2 前項の擁壁については、建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号。第六条第二号において「令」という。)第百四十二条並びに宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(昭和三十七年政令第十六号)第九条及び第十条の規定によらなければならない。ただし、建築物の安全上支障がないと認められる場合においては、この限りでない。
秋田県建築基準条例 第4条第2項
引かれている3本の中身です。建築基準法施行令第142条は、令第138条第1項第5号に掲げる擁壁について、法第88条第1項において読み替えて準用する法第20条第1項の政令で定める技術的基準を定めた条です。「次に掲げる基準に適合する構造方法又はこれと同等以上に擁壁の破壊及び転倒を防止することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法」のどちらかを用いる形で、掲げられているのは、鉄筋コンクリート造・石造その他これらに類する腐食しない材料を用いた構造とすること、石造はコンクリートを用いて裏込めし石と石とを十分に結合すること、裏面の排水を良くするための水抜穴と周辺の砂利、準用規定への適合、そして国土交通大臣が定める基準に従った構造計算で安全性が確かめられること、の5つです。
宅地造成及び特定盛土等規制法施行令第9条は鉄筋コンクリート造又は無筋コンクリート造の擁壁の条で、構造計算によって、土圧・水圧・自重によって擁壁が破壊されない・転倒しない・基礎が滑らない・沈下しないことを確かめたものでなければならないとします。同令第10条は間知石練積み造その他の練積み造の擁壁の条で、崖の土質に応じた別表第四の勾配・高さ・下端部分の厚さのほか、上端の厚さは土質により40センチメートル以上または70センチメートル以上、石材その他の組積材の控え長さは30センチメートル以上でコンクリートを用いて一体とし背面を裏込めすること、はらみ出しのおそれがあるときは鉄筋コンクリート造の控え壁等、そして前面の根入れ(ねいれ=擁壁の底を地中に埋める深さ)の深さが並びます。擁壁を作れば足りるのではなく、第2項ただし書に当たる場合を除き、原則としてこの基準による擁壁が要ります。
第2項にもただし書があり、建築物の安全上支障がないと認められる場合には、この構造の規定によらないことができます。
例外は、ただし書の3つの号——第4条に許可の手続はありません

第4条第1項のただし書は、次の3つの場合に擁壁の設置義務を外します。結び方は同じではありません。第一号と第三号は「〜により建築物の安全上支障がないと認められるとき」、第二号は「建築物の基礎が崖に影響を及ぼさないと認められるとき」です。どの号も、挙げられている工法や条件それ自体が免除の条件ではありません——条文が挙げる理由(第一号は崖の土質・形状、第三号は主要構造部の構造か流土止等)によって、そう認められることが条件です。条文が挙げる理由でそう認められれば、擁壁の義務は外れます。
- 第一号(崖の上でも下でも)——「崖の土質又は形状により建築物の安全上支障がないと認められるとき。」
- 第二号(崖の上に建てる場合)——「建築物の基礎が崖に影響を及ぼさないと認められるとき。」
- 第三号(崖の下に建てる場合)——「建築物の主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段。建物の構造上重要な部分)(崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分を除く。)を鉄筋コンクリート造その他これと同等の耐力を有する構造とすることにより、又は崖と建築物との間に流土止を設けること等により建築物の安全上支障がないと認められるとき。」
第三号の「流土止」は、この条例の中では第1項本文・第2項の「擁壁」とは別の語として置かれています。崖と建築物の間に設けるものが、条文に名指しで書かれている形です。ただし条例は「流土止」の意味を定義していません——何をもって流土止とするかは、所管の窓口で確かめてください。また第三号は、主要構造部から「崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分」を除いて読みます。
そして第4条には、知事や特定行政庁(原則として、建築主事または建築副主事を置く市町村の区域ではその市町村長、それ以外の区域では都道府県知事。ただし、法第97条の2により建築主事または建築副主事を置く市町村(限定特定行政庁)の区域内では、政令で定める建築物の特定行政庁は都道府県知事です——法第2条第35号ただし書)の許可・認定を受ける手続がありません。条例第12条(制限の緩和)は、特定行政庁が支障がないと認めた場合に規定を適用せず、または制限を緩和できる定めですが、その対象は「第六条から前条まで」=第6条から第11条まで(道路との関係の条)で、第4条は入っていません。第4条第1項本文の擁壁設置義務を、同条の中で外す例外は、ただし書の3つの号です。これとは別に、条例第15条(市町村条例との調整)があります——同条は「法第三十九条、法第四十条、法第四十三条第三項又は法第五十六条の二第一項の規定に基づく条例を制定している市町村の区域については、規則で定めるところにより、この条例の規定の全部又は一部を適用しない。」と定めています。この規則の有無と中身は、確かめられませんでした——所管の窓口で確かめてください。これとは別に、建築基準法第85条第1項・第2項の仮設建築物については法令上の適用除外があり、その列挙に法第40条が入っています(この記事の後ろで扱います)。誰が「認められる」と判断するかを定めた条文もありません。条例には、独立した許可・認定の手続や提出資料の定めがありません——実務上は、設計者が安全性の根拠資料を整理し、確認申請の審査者や所管の行政庁へ事前に相談するのが安全です。何をもって示すかの県の審査基準・技術資料は、見つけられませんでした。
行政への相談窓口は県か4市——確認申請は指定確認検査機関にも出せます。添える図書も決まっています

県が公開している建築確認申請の窓口一覧によると、こうなっています。
- 県——7つの地域振興局建設部建築課。鹿角(鹿角市・鹿角郡)/北秋田(大館市※・北秋田市・北秋田郡)/山本(能代市・山本郡)/秋田(男鹿市・潟上市・南秋田郡)/由利(由利本荘市・にかほ市)/仙北(大仙市※・仙北市・仙北郡)/雄勝(湯沢市・雄勝郡)
- 秋田市——都市整備部建築指導課。全ての建築物
- 横手市——建設部建築住宅課(指導担当)。全ての建築物
- 大館市・大仙市——市が扱うのは、窓口一覧が「小規模な建築物等」とする範囲に限られます。それ以外は※印のとおり、県(北秋田・仙北の各地域振興局建設部建築課)が窓口です
大館市・大仙市が扱う「小規模な建築物等」の範囲は、窓口一覧の注記では「2階建てで床面積が300㎡以下の木造建築物」や「平屋建てで床面積が200㎡以下の非木造住宅」等とされています。「等」で締められていて、線引きが条文の形では示されていません——自分の計画がどちらの窓口かは、階数・構造・床面積を伝えて確かめてください。適用される県条例第4条の条文は、どちらの窓口でも同じです。ただし、ただし書の判断資料や事前相談の取扱いまで同一かどうかは、確かめられませんでした。
添える図書も決まっています。県の建築基準法施行細則第3条第3項第1号は、崖の上にあっては下端から、崖の下にあっては上端からの水平距離が崖の高さの2倍以内にあるとき、確認の申請書に「当該崖の位置及び高低差を明示した図書」を添えなければならないとしています。同じ内容の規定が、秋田市(施行細則第3条第2項。配置図に「当該がけの位置および高低差を明示」)、横手市(同第4条第1項第4号。「当該崖の位置及び高低差を明示した配置図」)、大館市(同第7条第3項第1号。「当該崖の位置及び高低差を明示した図面」)、大仙市(同第4条第3項第1号。「当該がけの位置及び高低差を明示した図書」)にもあります。崖の位置と高低差が分かる図面は、確認申請の前に用意しておくものです。
災害危険区域は条例第2条・第3条——「居室を有する建築物は、建築してはならない」

第4条とは別に、条例には災害危険区域の条があります。区域を指定するのは知事です——急傾斜地崩壊危険区域の「うち」急傾斜地の崩壊による危険の著しい区域として知事が指定する区域(第2条第1項第1号)、地すべり防止区域の「うち」地すべりによる危険の著しい区域として知事が指定する区域(同項第2号)、そのほか危険の著しい区域として知事が指定する区域(同項第3号)。急傾斜地崩壊危険区域や地すべり防止区域が、そのまま災害危険区域になるのではありません。指定は告示によって効力を生じます(同条第4項)。
(災害危険区域内における建築の制限)
第三条 災害危険区域内においては、居室を有する建築物は、建築してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するものと認めて知事が許可した場合においては、この限りでない。
一 建築物の基礎及び主要構造部が鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造で、開口部が直接急傾斜地に面していないものであつて、かつ、基礎の底部(基礎ぐいを使用する場合においては、当該基礎ぐいの先端)が良好な地盤に達している等急傾斜地の崩壊又は地すべりに対して安全上必要な措置を講じる場合
二 急傾斜地の崩壊又は地すべりに対して安全上必要な防護施設又は防止施設を設置する場合
三 敷地の状況、周辺の土地の状況等により安全上支障がないと認められる場合秋田県建築基準条例 第3条
禁止されるのは「居室を有する建築物」の建築で、住居の用途に限られていません。「居室」とは、居住・執務・作業・集会・娯楽などの目的のために継続的に使用する室をいいます(建築基準法第2条第4号)。逃げ道は知事の許可——認定ではなく許可で、3つの号のいずれかに該当すると認められた場合です。その3つは、こういうものです——第1号は、基礎及び主要構造部が鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造で、開口部が直接急傾斜地に面しておらず、かつ基礎の底部(基礎ぐいを使う場合はその先端)が良好な地盤に達している等、急傾斜地の崩壊または地すべりに対して安全上必要な措置を講じる場合。第2号は、急傾斜地の崩壊または地すべりに対して安全上必要な防護施設または防止施設を設置する場合。第3号は、敷地の状況、周辺の土地の状況等により安全上支障がないと認められる場合です。建物の側を固める道だけではありません——第2号は、がけと建物のあいだに施設を設ける道です。どの道で通すか、そもそも許可が下りるかは、設計者と県の窓口で確かめてください。手続は県の建築基準法施行細則第15条第3項にあり、災害危険区域建築許可申請書に、省令第1条の3第1項の表1の(い)項・(ろ)項に掲げる図書と、敷地の形状、周辺の土地の状況等により安全上支障がないことを証する図書を添えて、知事に提出します。
なお、この第2条による指定の告示を、県例規集の中には見つけられませんでした(急傾斜地法に基づく急傾斜地崩壊危険区域の指定告示のほうは、例規集に載っています)。「県は災害危険区域を指定していない」という意味ではありません。指定の有無と区域は、県建設部建築住宅課(建築指導 018-860-2565)または計画地を受け持つ地域振興局建設部建築課で確かめてください。
市の「災害危険区域に関する条例」は、崖の条例ではありません(秋田市・横手市・大仙市)

秋田市・横手市・大仙市には、建築基準法第39条に基づく市の条例があります。3つとも崖の条例ではありませんが、住居の建築が制限される区域なので、敷地が入っていないかは別に確かめます。
- 秋田市災害危険区域に関する条例——「出水、土石流その他の災害による危険が特に著しい区域」として、別表に掲げる区域内で市長が指定する区域(第2条)。区域内では住居の用に供する建築物は建築してはならない(第3条)。ただし書の市長の認定は「別表第2号に掲げる区域に係る災害危険区域において」と限られていて、条件は、地盤面の高さが災害危険基準高以上であること、または主要構造部(屋根および階段を除く)が鉄筋コンクリート造その他これに類する構造で、災害危険基準高以下の部分に居室を有しないこと。別表は第1号が河辺地区、第2号が雄和地区です——号による扱いの違いは市の窓口で確かめてください
- 横手市災害危険区域に関する条例——区域は「横手市山内南郷字下南郷160番地」(第3条)。住居の用に供する建築物は建築してはならない。ただし市長が建築物の構造又は敷地の状況により、被害を受けるおそれがないと認めて許可した場合は別(第4条)
- 大仙市災害危険区域に関する条例——市長が「河川の出水による危険が著しいと認める区域」を指定(第2条)。常時住居の用に供する建築物は建築してはならない。ただし3つの号——計画高水位に60センチメートルを加えた高さ(災害危険基準高)より下の部分に地盤面を有しない/主要構造部(屋根及び階段を除く)が鉄筋コンクリート造その他これに類する構造で災害危険基準高以下の部分を居室に供しない/敷地、周囲の状況等により安全上支障がないと認められる——に当たれば別(第3条)。ただし区域内で建てるときは、3つの号のどれかに当たる旨の市長の認定を、工事に着手する前に受けなければなりません(第4条)
大館市には、建築基準法第39条に基づく条例が見当たりませんでした(例規集の関係する章を通覧した範囲)。そして4市の例規集の建築・住宅の章を見た範囲では、崖について県条例第4条を置き換える市の条例はありませんでした。
土砂災害のイエロー・レッドは、この条例の外の話です

崖の近くの土地は、この条例とは別に、土砂災害防止法の土砂災害警戒区域(イエローゾーン)または土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されていることがあります。秋田県建築基準条例には、土砂災害防止法との関係を定めた条がありません——条文に「土砂」「警戒区域」「特別警戒」の語は出てきません。区域に指定されていることを理由に第4条の擁壁の義務が外れる、という定めは条例にありません。第4条は、区域の指定の有無とは関わりなく、崖と距離の条件で働きます。2つは別々にかかると考えて、両方を確かめることになります。
レッドゾーンでは、居室を有する建築物の構造規制(建築基準法施行令第80条の3)と、特定開発行為の許可が問題になります。特定開発行為とは、住宅(自己の居住の用に供するものを除く)や、高齢者・障害者・乳幼児その他の特に防災上の配慮を要する人が利用する社会福祉施設・学校・医療施設(政令で定めるもの)の建築のための土地の区画形質の変更で、用途が未確定で、これら以外の用途であることが確定していない予定建築物も含みます。許可は土砂災害防止法第10条第1項、申請は第11条、許可基準は第12条、完了検査は第18条です。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う開発行為と、仮設建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為には、許可が要りません(同項ただし書、同法施行令第5条)。特定開発行為でなくなるわけではありません。また、居室を有する建築物(建築基準法第6条第1項第1号又は第2号に掲げるものを除きます)がレッドゾーン内にあり、かつ敷地の過半がレッドゾーン内にある場合は、同法第25条により建築確認が必要になります(敷地の過半が区域外なら、この第25条による追加の確認対象にはなりません。建築基準法第6条による別の確認要件がある場合は別です。なお第25条は、建築基準法第6条第1項第3号に規定する区域を除く特別警戒区域が対象です)。最新の指定状況と区域の境界は、県が公表する指定の告示図書で確認してください(県建設部河川砂防課 018-860-2511が所管し、市町村・現象別のページに告示図書が並びます)。市町村のハザードマップは避難の確認に有用ですが、作成時点より後の指定が反映されていないことがあります。レッドゾーン内の居室を有する建築物について、令第80条の3に対応する2つの方法——外壁等(外壁・構造耐力上主要な部分のうち、土石等の高さ等以下で、土砂災害の原因となる自然現象〔河道閉塞による湛水を除く〕により衝撃が作用すると想定される部分)を所定の構造にするか、土石等の高さ等以上の高さで、外壁等と同等以上の耐力を有するものとして国土交通大臣が定めた構造方法による門・塀を、衝撃を遮るように設けるか——と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。
仮設・既存不適格・用途変更——第4条は、条例第14条の適用除外に入っていません

★これから新しく家を建てる人は、①仮設を飛ばして構いません——②既存不適格は、建て替え・増築を考えている人が読むところです。①仮設——条例第14条は、法第85条第6項若しくは第7項の規定による許可を受けた仮設興行場等、または法第87条の3第6項若しくは第7項の規定による許可を受けた興行場等について、「第六条から前条まで」=第6条から第13条までの規定を適用しないと定めています。第3条(災害危険区域)も第4条(崖)も、この適用除外に入っていません。これとは別に、建築基準法第85条第1項・第2項の応急仮設建築物や工事現場の仮設事務所等については、法令上の適用除外があります。第1項と第2項は、形がまるで違います。第1項は、特定行政庁が指定する非常災害区域等の中で、災害により破損した建築物の応急の修繕、または災害が発生した日から1か月以内に工事に着手する応急仮設建築物——国・地方公共団体・日本赤十字社が災害救助のために建築するものか、被災者が自ら使用するもので延べ面積30平方メートル以内のもの——について、建築基準法令の規定を広く適用しないものです。ただし、防火地域内に建築する場合は、この適用除外はありません。第2項は全部を外すのではなく、列挙された規定だけを外す形で、対象は災害があった場合に建築する停車場・官公署その他これらに類する公益上必要な用途の応急仮設建築物と、工事を施工するために現場に設ける事務所・下小屋・材料置場等です(防火地域・準防火地域内で延べ面積50平方メートルを超えるものには、法第62条の適用があります)。第85条第2項は外す規定を列挙する形で、工事を施工するために現場に設ける事務所・下小屋・材料置場等については、その列挙の末尾が「第三十九条及び第四十条の規定並びに第三章の規定は、適用しない」です(外れる規定は、これだけではありません)。条例第4条は法第40条による付加制限なので、ここに当たれば第4条も外れると読めますが、条文は「第四十条の規定」とだけ書いていて、「同条に基づく条例の規定」とは書いていません(秋田県が公表している解釈は見つけられませんでした)。この第2項の列挙には、法第19条も入っています——これに当たる仮設建築物には、さきに書いた法第19条第4項の措置義務も及びません。なお第2項にもただし書があり、防火地域又は準防火地域内にある延べ面積50平方メートルを超えるものには、法第62条の適用があります。なお、第1項・第2項の応急仮設建築物を工事完了後3か月を超えて存続させるには、その日前に特定行政庁の許可が必要です(法第85条第3項)。期限前に申請し、期限までに処分がされないときは、処分がされるまで存続できます(同項ただし書)。この3か月の規定は、第2項に併記された工事現場の事務所・下小屋・材料置場等には及ばないと読めます——同項が対象にするのは「前二項の応急仮設建築物」だからです。現場事務所を2倍以内に置くなら、この扱いを所管の窓口で確かめてください。
②既存不適格——第4条は平成11年秋田県条例第85号で追加され、平成12年4月1日から施行されました。その後令和5年秋田県条例第19号で一部改正されています。この改正で、第4条第2項が引く政令の名前が「宅地造成等規制法施行令」から「宅地造成及び特定盛土等規制法施行令」に改まりました。附則も「宅地造成等規制法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令の施行の日(令和5年5月26日)から施行する」としています。変わったのは政令名だけではありません——現行の第4条第2項が引くのは第9条及び第10条で、建築基準法施行令の略称の置き場も「第6条第2号において『令』という。」に移っています。政令の番号(昭和37年政令第16号)は変わっていません。第4条第1項の3メートル・30度・2倍という数値は、現行条文にそのまま置かれています。(改正条例の改正文そのものは見ていません。ここに書いたのは、県例規集の現行条文と沿革から言えることです。)第4条第1項の擁壁の義務そのものは、平成12年4月1日から動いています。いつの時点で適合しなくなったかによって、基準になる日が変わります。その日に現に存在していた建築物、または現に工事中だった建築物で、その規定により適合しなくなったものについては、建築基準法第3条第2項によりその適合しなくなった規定が原則として適用されません(条例の全部が外れるという意味ではありません)。ただし増築・改築・移転・大規模の修繕・大規模の模様替をすると、法第3条第3項第3号・第4号により緩和が切れて適用されるのが原則です。もっとも増築・改築の側では、法第86条の7第1項の法定緩和がこの条例には届きません——同項が列挙しているのは法第20条・第21条・第48条といった法自身の条で、法第39条・第40条に基づく条例の規定は入っていません(同条第2項・第3項も同じです)。施行令第137条の2以下も、それぞれ法の個別の条に対応するものです。法第86条の7の中で、法第39条・第40条に基づく条例にも及ぶ緩和は、第4項の移転です(これとは別に、増築等を含む工事を二以上に分けて行う場合の法第86条の8の全体計画認定があります——最終的に現行規定へ適合させることが前提の制度です)——法第86条の7第4項が対象にする「建築基準法令の規定」には条例が含まれ(法第6条第1項の定義)、施行令第137条の16の範囲(同一敷地内の移転か、交通上・安全上・防火上・避難上・衛生上及び市街地の環境の保全上支障がないと特定行政庁が認める移転)であれば、法第3条第3項にかかわらず適用されません。なおこの条例には、既存不適格の建築物について制限を緩和する条がありません(条例の本文に「既存」の語が出てきません)。適用関係は、法の規定で判断することになります。
③用途変更——工事を伴わない用途変更でも、建築基準法第87条第2項により、法第39条第2項・第40条に基づく条例の規定は準用されます。秋田市の資料が第4条を建築基準法第40条に基づく制限として案内していることに従えば、用途変更にも準用が及びます。既存不適格の建築物の用途変更については、法第3条第2項により法第87条第3項が列挙する規定(またはそれらに基づく条例規定)の適用を受けない建築物について、同項により原則としてこれらの規定が準用されます。増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替をする場合や、政令で指定する類似の用途相互間の変更で一定の条件(同項第2号)を満たす場合はこの準用から除かれます。号ごとに結論が違います——第1号(増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替を伴う場合)は、用途変更の側ではなく法第3条第3項で判断します。第2号(政令で指定する類似の用途相互間で、修繕・模様替をしないか、それが大規模でない場合)は、その用途変更だけを理由に条例が遡って適用されることはありません。第3号は法第48条(用途地域)に関する例外で、がけの規定には関わりません。居室のない建物を居室のある用途に変える場合は、災害危険区域の第3条の対象にもなり得ます。適用関係は、所管の窓口で確かめてください。
罰則は第16条・第17条——名宛人は原則、設計者です

(罰則)
第十六条 第三条から第十一条までの規定に違反した場合においては、当該建築物、工作物又は建築設備の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物の工事施工者)は、五十万円以下の罰金に処する。
2 前項に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主に対して同項の刑を科する。秋田県建築基準条例 第16条
名宛人(なあてにん=命令や罰則を受ける人)は原則設計者で、設計図書を用いないで工事を施工した場合、または設計図書に従わないで工事を施工した場合は工事施工者に替わります。違反が建築主の故意によるときは、設計者または工事施工者を罰するほか、建築主にも同じ刑が科されます(第2項)。法人の代表者や、法人若しくは人の代理人・使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人にも同じ刑(第17条)——ただし書で除かれるのは、代理人・使用人その他の従業者の違反行為について、法人又は人が防止のため「相当の注意及び監督が尽くされたことの証明」があった場合の、法人・人への刑だけです。
罰則の対象は「第三条から第十一条まで」——災害危険区域の第3条も、崖の第4条も入ります。そして建築確認が要らない計画でも、第4条の適合義務は残ります。確認特例(法第6条の4・施行令第10条)による審査の省略は、建築物・設計者の区分と、法第39条から第41条までに基づく条例規定のうち特定行政庁が規則で定めた規定の範囲で決まり、審査が省略される場合でも適合の義務は別に生じます。違反すれば、建築基準法第9条の是正命令(除却(じょきゃく=取り壊し)・使用禁止などの措置を含みます)の対象にもなり得ます。
是正命令は、建築主・所有者などに来ます(法第9条第1項)
罰則の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、当該建築物の建築主、工事の請負人(下請人を含みます)・現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者に対して措置を命ずることができる、と定めています。故意かどうかは、この条の要件ではありません。命じられるのは工事の施工の停止のほか、除却・移転・改築・増築・修繕・模様替・使用禁止・使用制限その他、違反を是正するために必要な措置です。建てたあとに除却や使用禁止を命じられ得るのは、建築主・所有者などです——設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていません。命令に従わないと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(法第98条第1項第一号)。条例の罰則は罰金だけですが、こちらは拘禁刑もあります。
売買契約の前に、専門家と確かめること

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。もう契約したけれど、引渡し(決済)がまだなら、その前に。契約書にどんな条件が付いているかは、契約した不動産会社に確かめてください。測量図・断面図をそろえて相談するまでには、日数がかかります——契約日が決まっているなら、その日程を先に不動産会社へ伝えてください。がけの高さと、がけからの距離は、現況の測量図と断面図がないと自分では判断できません——測量と図面は建築士に、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口に確かめてください。どこを上端・下端とみるかも、窓口に確かめてください。
- ① 計画地の周りに、高さが3メートルを超え、地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす傾斜地があるか(第4条第1項。3.0メートルちょうど・30.0度ちょうどは「超える」に当たりません)。対象は用途を問わず「建築物」で、居室の有無では絞られていません。高さと角度は敷地ごとに設計者などが確認するもの、というのが秋田市のチェックシートの案内です
- ② 建築物の位置が、崖の上なら崖の下端から、崖の下なら崖の上端から、水平距離で崖の高さの2倍以内に入るか。入るなら、原則として擁壁の設置が要ります(離す義務ではありません)。崖の高さをどこで測るか・建築物のどの点で測るかを示す県の資料は見つけられませんでした——断面図を持って窓口で確かめてください
- ③ 設ける擁壁が、令第142条・盛土規制法施行令第9条(鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート造)・第10条(間知石練積み造その他の練積み造)によるか(第4条第2項。安全上支障がないと認められる場合のただし書あり)。すでに擁壁があるなら、その擁壁で足りるかを、検査済証等の資料と現況から確認します
- ④ ただし書の3つの号のどれで、何をもって「安全上支障がないと認められる」を示すか。第4条に許可・認定の手続はなく、第12条(制限の緩和)の対象にも入っていません。判断の基準を示す県の資料は見つけられませんでした——実務上は、設計者が安全性の根拠資料を整理し、確認申請の審査者や所管の行政庁へ事前に相談します
- ⑤ 確認の申請に添える図書——崖の位置と高低差を明示した図書(県の建築基準法施行細則第3条第3項第1号。秋田市第3条第2項・横手市第4条第1項第4号・大館市第7条第3項第1号・大仙市第4条第3項第1号にも同じ規定)
- ⑥ 行政への相談窓口はどこか。県の7つの地域振興局建設部建築課か、秋田市・横手市か、大館市・大仙市か。建築確認は、業務の範囲内であれば指定確認検査機関にも申請できます(法第6条の2)。大館市・大仙市は市が扱う範囲が規模で決まるので、階数・構造・床面積を伝えて確かめます。どちらか分からないときは、市と県のどちらに聞いても構いません——扱いが違えば、もう一方を教えてもらえます。あわせて「この市の区域で、県条例第4条を適用しない知事の規則はありますか」と聞いておくと確実です(条例第15条=市町村条例との調整。規則があれば、その区域では条例の全部または一部が適用されません)
- ⑦ 敷地が、県の災害危険区域(条例第2条により知事が指定する区域)に入っていないか。入っていれば居室を有する建築物は原則として建築禁止で、例外は知事の許可(第3条ただし書。災害危険区域建築許可申請書に、安全上支障がないことを証する図書を添えます)。指定の有無は県建築住宅課(018-860-2565)または地域振興局へ
- ⑧ 秋田市・横手市・大仙市の災害危険区域に関する条例に当たらないか(出水・土石流/1つの地番/河川の出水)。崖の規制ではありませんが、住居の用に供する建築物の建築が制限されます——秋田市・横手市は「住居の用に供する建築物」、大仙市は「住宅、併用住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿その他常時住居の用に供する建築物」で、対象の書き方が違います
- ⑨ 土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定を、県が公表する指定の告示図書で確認。レッドゾーンなら、居室を有する建築物についての令第80条の3の構造規制と、特定開発行為の許可(土砂災害防止法第10条第1項)・第25条による建築確認の要否も。区域に入っていても、第4条の擁壁の義務は別にかかります
- ⑩ 建築確認が不要なことだけを理由に、第4条が適用外になるわけではありません。違反は第16条の罰金(50万円以下。名宛人は原則、設計者)や建築基準法第9条の是正命令の対象になり得ます。建て替えができず移転を考えるなら、がけ地近接等危険住宅移転事業——秋田市はチェックシートの補助金欄で住宅政策課(018-888-5770)を案内し、横手市には規則、大館市・大仙市の例規にも同じ趣旨の規則・要綱があります
- 土砂災害防止法第25条による追加の建築確認は、建築物が区域内にあり、かつ敷地の過半が区域内にあるときです。敷地の過半が区域外なら、この第25条による追加の対象にはなりません(建築基準法第6条による別の確認要件がある場合は別です)。
個別の敷地でどう当たるかの判断は、建築士と、計画地を所管する建築確認の窓口にご確認ください。ここで挙げているのは、行政の相談窓口です。建築確認そのものは、業務の範囲内であれば指定確認検査機関にも申請できます——その確認は法第6条第1項の確認とみなされます(法第6条の2第1項)。ただし条例の当てはめやただし書の判断は、所管の行政庁にも確かめてください。秋田県が第4条について出している解説や取扱基準にあたる資料は、県の建築住宅課のページと建築確認申請の案内ページを見た範囲では、見つけられませんでした。この記事が原典で追えたのは、条文と、各市の施行細則・公開資料までです。だからこそ、断面図と土質の資料を先に用意して、窓口で当てはめを確かめるのが早道になります。
出典
- 秋田県建築基準条例(県例規集・第2条・第3条・第4条・第6条・第12条・第14条・第15条・第16条・第17条)
- 秋田県 建築基準法施行細則(県例規集・第3条第3項第1号=崖の添付図書/第15条第3項=災害危険区域建築許可申請書)
- 秋田県 建築確認申請の手続きについて(「4 問い合わせの窓口について(行政機関)」から「建築確認申請の窓口一覧(行政機関)」PDFへ。県・4市の受け持ちと「小規模な建築物等」の範囲)
- がけ地の付近に建築の計画をされているみなさまへ(秋田市 都市整備部 建築指導課・令和6年10月現在/PDF)
- 秋田市建築基準法施行細則(市例規集・第3条第2項)
- 秋田市災害危険区域に関する条例(市例規集・第2条・第3条・別表)
- 横手市建築基準法施行細則(市例規集・第4条第1項第4号)
- 横手市災害危険区域に関する条例(市例規集・第3条・第4条)
- 横手市がけ地近接等危険住宅移転事業に関する規則(市例規集・第2条)
- 大館市建築基準法施行細則(市例規集・第1条・第7条第3項第1号)
- 大仙市建築基準法施行細則(市例規集・第4条第3項第1号)
- 大仙市災害危険区域に関する条例(市例規集・第2条〜第4条)
- 秋田県 土砂災害警戒区域等の指定(秋田市・急傾斜地の崩壊/告示図書。所管=県建設部河川砂防課)
- 建築基準法(e-Gov法令検索・第2条第4号・第2条第13号・第3条・第6条の4・第9条・第19条第4項・第20条・第39条・第40条・第85条・第86条の7・第87条・第87条の3・第88条・第6条・第6条の2・第62条・第86条の8)
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索・第10条・第80条の3・第137条の2以下・第137条の16・第138条・第142条)
- 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(e-Gov法令検索・第1条・第9条・第10条・別表第四)
- 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(e-Gov法令検索・第10条・第11条・第12条・第18条・第25条)
- 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(e-Gov法令検索・第3条)
- 地すべり等防止法(e-Gov法令検索・第3条)
- 建築基準法施行規則(e-Gov法令検索・第1条の3=確認申請書の添付図書)
- 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律施行令(e-Gov法令検索・第5条=特定開発行為の制限の適用除外)
擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(条例の第4条の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。
