逆T型擁壁は、壁の前後に底版を出した鉄筋コンクリートの擁壁です。底版は、壁の足もとの板です。壁が底版の真ん中寄りに立つので、据えたそのままでも倒れにくく、L型に比べて原理的に安定した形状です。土や荷が乗れば、その重さでさらに踏ん張ります。壁は重力式より薄く、東京都の標準断面の比較では地盤への負担もL型より小さい。向くのは、両側から積むヤードの仕切りと、前に余地のある所です。
宅地の土留めは、主にL型の「土のねっこ」です(逆T型は低い側につま先版が出て使いにくい)。ヤードや資材置場の囲いと仕切りは、置くだけで建つ逆T型の「ヤードン」。保管物・積む高さ・地盤は、見積のときに当社で確かめます。
逆T型とは?
逆T型擁壁とは
たて壁の前と後ろ、両方に底版を出した形です。壁の、土が無い側を前、土の側を後ろと呼びます。底版が後ろ(土の側)へ出ればL型、前へ出れば逆L型、両方へ出れば逆T型です。
壁と底版を鉄筋コンクリートで一体に造った形を、片持ばり式と呼びます。宮城県の道路設計の手引(2004年版)では、片持ばり式は「たて壁の位置により逆T型擁壁,L型擁壁および逆L型擁壁の三つの形式に分類される」とあります。前に出た底版がつま先版、後ろに出た底版がかかと版です。

重力式やもたれ式は、壁の重さで支える別の仲間です。こうした形の名前は、盛土規制法(宅地や盛土の工事の安全を決めた法律)の施行令には出てきません。施行令が分けるのは材料で、鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート造・練積み造の3つ。逆T型やL型という呼び方は、県や市の手引と、国土交通省の土木構造物標準設計のものです。
| 形 | 何で支えるか | 鉄筋 | 底版 | 使う所 |
|---|---|---|---|---|
| 逆T型 | 壁と底版の重さに、かかと版の上の土の重さを合わせる | 入れる | 前後の両方 | 前に余地がある所。両側から積む仕切り、地盤への負担を抑えたい所 |
| L型 | 壁と底版の重さに、かかと版の上の土の重さを合わせる | 入れる | 後ろ(土の側)だけ | 壁面が境界に接する所。宅地の土留めの主な形 |
| 逆L型 | 壁と底版の重さ(片持ばり式) | 入れる | 前だけ | 後ろに底版を出せない所 |
| 重力式 | 壁の重さ | 入れない(無筋) | なし。厚い台形 | 基礎の地盤が良い所 |
| もたれ式 | 壁の重さ。後ろの地山にもたれる | 無筋のものも、鉄筋を入れるものもある | なし | 主に切土の所。自分だけでは立たない |
置くだけで倒れない?
逆T型が据えたそのままで倒れにくい理由
壁が底版の真ん中寄りに立ち、重心が底版の端から遠いからです。土も荷も無い据えたそのままで、横から押されても倒れにくい形です。倒れるかどうかは、形と重さで決まります。壁の薄さは、折れるかどうかの話です。鉄筋コンクリートのたて壁と底版が、片持ちばり(根元だけで支える板)として土圧(土が押す力)に耐えます。
ヤードン H3000(高さ3,000mm、長さ2m)で重心の位置を計算すると、逆T型は底版の前端から約0.82m内側に来ます。壁の前面は底版の前端から600mm、底版は端から端まで2,000mmです。同じ底版の前端に壁を立てたL型だと、約0.47m内側。ハンチ(壁と底版の付け根の三角のふくらみ)は三角形で近似した、当社の計算です。
倒れにくさは、重さに、重心から近い端までの距離を掛けたものです。土も荷も無いとき、同じ高さを横から押して倒すのに要る力は、逆T型がL型の約1.75倍になります。
この比べ方は、土も荷も無く置いただけのときです。土を乗せて使うL型は、後ろの土の重さも合わせて踏ん張る形で、その土の重さを入れた構造計算で安全を確かめます。国土交通省四国地方整備局のL型擁壁の手引にも、「土圧に対して躯体自重と裏込め土砂重量で抵抗し,転倒,滑動に対し安定を図る構造である」とあります。裏込め土は、壁の後ろに埋め戻す土のことです。
土が乗れば、底版の上の土の重さも壁の重さに数えます。これは手引の決まりです。三重県の開発許可の手引では、設計に使う自重は「躯体重量のほか、逆T型、L型擁壁等の片持ばり式擁壁の場合には、かかと版上の土砂重量を含む」。浜松市の技術的基準も、「かかと版上の載荷土を躯体の一部とみなし土の重量を含めること」としています。
重力式は、壁そのものの重さで土圧に耐えます。三重県の手引では「擁壁自体の重量により土圧に抵抗する擁壁」で、基礎の地盤が良い所で使うもの。壁の重さだけで支える半重力式は、同じ手引が「高い高さの擁壁として用いることは不経済である」と書いています。
逆T型とL型を同じ条件で比べた公的な数字は、東京都の手引の参考計算書にあります。条件は、上に載る重さ5kN/m²(1m²あたり約0.5トン)、背面の土はシルト・粘土(粘り気のある細かい土)、基礎地盤は関東ローム。この同じ条件で、同じ高さの両方を計算したものです。
擁壁が地盤を押す力が地盤反力、それに耐えるために地盤に求める強さが許容地耐力です。要る許容地耐力は、逆T型がL型の0.64〜0.80倍。この比較では、地盤への負担がL型より小さくなります。底版の幅は、断面ごとに違います。
| 全高さ | 逆T型 | L型 | 逆T型÷L型 |
|---|---|---|---|
| 1.45m | 35kN/m² | 55kN/m² | 0.64 |
| 1.85m | 50kN/m² | 75kN/m² | 0.67 |
| 2.40m | 65kN/m² | 90kN/m² | 0.72 |
| 2.95m | 85kN/m² | 110kN/m² | 0.77 |
| 3.55m | 100kN/m² | 125kN/m² | 0.80 |
逆T型・L型・逆L型の違いは?
逆T型・L型・逆L型、3つの形の違い
違いは底版の向きです。前が境界ぎりぎりならL型です。壁の向こう(土の側)が隣の土地なら、逆L型。前に余地があって、両側から積む所や、地盤への負担を抑えたい所は逆T型。土を乗せる土留めなら、東京都の標準断面の比較では、材料の数量はL型が有利です。
三重県の開発許可の手引に、「L型擁壁は、壁面に土地境界が接している場合等、つま先版が設けられない場合に用いられる」とあります。宮城県の道路設計の手引も同じです。L型を使うのは「擁壁が用地境界に接している場合,その他つま先版を設けることができない場合等」としています。
逆T型は前にもつま先版が出ます。つま先版の先を境界に合わせると、壁はつま先版の幅だけ境界から下がります。壁面を境界にぴったり付けたい所には向きません。そこはL型です。
壁の向こう(後ろ、土の側)が隣の土地なら、逆L型です。底版は前にだけ出て、自分の土地の下に収まります。逆T型は、かかと版を向こうへ出せないので、壁がかかと版の長さだけ前に出てしまいます。宅地の許可での扱いは、境界ぎわの逆L擁壁、宅造の許可で使える?にまとめています。
| 逆T型 | 逆L型 | L型 | |
|---|---|---|---|
| 底版 | 前後の両方 | 前だけ | 後ろ(土の側)だけ |
| 境界との関係 | 壁の前に、つま先版の幅が要る | 後ろに底版を出せない所に使う | 壁面を境界に接して立てられる |
| 据えたそのままの重心(当社の計算、同じ底版幅) | 底版の前端から約0.82m内側 | — | 約0.47m内側 |
| 土を乗せる土留めの数量(東京都の標準断面) | 底版が0.2〜0.25m広く、コンクリート3〜6%増。地盤反力は15〜30%減 | — | 底版が狭く、コンクリートが少ない |
| 当社の製品 | ヤードン(ヤード)。土のねっこにも逆T型 | 土のねっこ(宅地) | 土のねっこ(宅地の主な形)、ヤードンのL型(ヤード) |
土を乗せる土留めで比べると、L型のほうが底版が狭く、コンクリートも少なくて済みます。東京都の手引の参考計算書(逆T型・L型、高さ1.45〜3.55m)の数字です。底版の幅を決めているのは、滑動(擁壁が前へずれる動き)の検討です。
同じ底版の幅なら、つま先の無いL型はかかとが長く、土が多く載ります。東京都の断面では、逆T型はつま先0.25mのぶん底版が0.2〜0.25m広く、コンクリートが3〜6%多い。かかとの上の土の量は、ほぼ同じです。
逆T型の得は、地盤にかかる力(地盤反力)です。同じ条件の比較で、最大がL型より15〜30%小さい(数字の取れた4つの高さ)。地盤への負担を抑えたい所で効いてきます。
次の表で底版が高さより広いのは、背面の土がシルト・粘土、底面の摩擦係数0.3、上に載る重さ5kN/m²で計算した断面だからです。土の条件が変われば、底版の幅も変わります。
| 形 | 全高 | 底版幅 | コンクリート(1mあたり) | かかとの上の土(1mあたり) | 地盤反力の最大 |
|---|---|---|---|---|---|
| L型 | 1.45m | 2.00m | 0.650m³ | 36.0kN | 42.0kN/m² |
| 逆T型 | 1.45m | 2.20m | 0.690m³ | 35.0kN | 29.4kN/m² |
| L型 | 2.40m | 3.10m | 1.560m³ | 94.1kN | 66.6kN/m² |
| 逆T型 | 2.40m | 3.30m | 1.620m³ | 92.4kN | 52.9kN/m² |
| L型 | 3.55m | 4.40m | 3.375m³ | 195.9kN | 97.1kN/m² |
| 逆T型 | 3.55m | 4.60m | 3.465m³ | 193.4kN | 82.7kN/m² |
ヤードの境界ぎわは、ヤードンのL型です(「ヤードの仕切りは?」のタブ)。
何mまで造れる?
逆T型擁壁は何mまで造れる?
横須賀市は1.0〜5.0m、東京都は1.45〜3.55mです。どちらも、標準構造図に載っている逆T型の高さです。標準構造図は、県や市が地盤や上に載る重さの条件を決めて用意した断面の図で、使えるかは土地のある市や県の許可の窓口で確かめます。東京都の高さは「全高さ」、つまり擁壁全体の高さです。地面から見える段差の高さとは数え方が違います。
逆T型だけの高さの上限を決めた手引は、三重・宮城・浜松・東京・横須賀・香川の6種には見当たりません。擁壁の種類で分けていない上限なら、吹田市の宅地造成等に関する工事の技術的基準(令和6年7月)にあります。擁壁の高さ(基礎の底から壁の上端まで)は10m以下です。工場製のヤードンは1.5mから3mです。
| 資料 | 逆T型の高さ |
|---|---|
| 横須賀市の鉄筋コンクリート造の擁壁標準構造図 | 1.0〜5.0m(0.5mきざみ。3.0mはAとBの2種)。粘性土と砂質土の2通り |
| 東京都の盛土規制法の手引(擁壁の標準断面図) | 1.45・1.85・2.40・2.95・3.55m。図の前提に合えば構造計算が要らない |
| 香川県の開発許可の手引(擁壁の技術的細目) | 全高5mを超えると、大地震の検討が要る(L型も同じ) |
| 宮城県の道路設計の手引(2004年版) | 直高2.7〜3.2m程度を超えると、重力式より片持ばり式が有利(1.0〜5.0mの範囲の比較) |
| 工場製のヤードン(ヤードの囲いと仕切り) | 1.5・2.0・2.5・3.0m |
横須賀市の標準構造図(2022年4月18日更新)は、天端(壁の上の面)にフェンスが付くことを見込んだ図です。改正の理由は、「造成工事の完了後、建物を建築する際に外構工事として、擁壁の天端にフェンスを設置することが散見され」たこと。
5mを超えると、検討が1つ増えます。香川県の手引に、「L型擁壁(逆T型も同様)の場合で全高が5mを超える場合には大地震の検討を行うこと。」とあります。大地震の検討は、大きな地震のときの安全を別に計算すること。5mを超える逆T型は、設計者に頼んでください。
費用の面の目安もあります。宮城県の道路設計の手引(2004年版)では、直高(擁壁の垂直の高さ)2.7〜3.2m程度を超えると、重力式より片持ばり式(逆T)が有利です。宮城県独自の、直高1.0〜5.0mの範囲での比較で、2025年の版にはありません。
現場で打つ逆T型の寸法の目安は、宮城県の手引(2004年版)が「道路土工-擁壁工指針」から引いて載せています。
| 部分 | 目安(現場で打つ擁壁) |
|---|---|
| たて壁の形 | 「規模の大きい擁壁を除き等厚が望ましい」 |
| 底版の上面 | 「施工性の点から水平とすることが望ましい」 |
| たて壁と底版の最小厚 | 「施工性を考慮して30cmとする」(2025年版は40cm以上) |
| つま先版の長さ | 「底版幅(B)の1/5程度」(直接基礎のとき) |
最小厚30cm(2025年版は40cm)は「施工性を考慮して」の数字です。現場で型枠を組んで打つときの目安です。工場製は型枠が決まっていて、厚さは製品ごとの設計計算で決めます。ヤードンは150mmと200mmです。
宅地で使える?
宅地造成の擁壁に、逆T型は使えますか
許可の形式としては使えますが、宅地では使いにくい形です。前の低い側につま先版が出るからです。宅地の擁壁は、前が境界・お隣・道路のことが多く、三重県・宮城県の手引も、境界に接する所はL型としています。土を乗せる土留めなら、L型のほうが底版が狭く、コンクリートも少なくて済みます(「逆T型・L型・逆L型の違いは?」のタブの表)。
許可の上では、逆T型も鉄筋コンクリート造の擁壁の一つで、構造計算で確かめます。盛土規制法は、宅地や盛土の工事の安全を決めた法律です。その施行令第9条に、鉄筋コンクリート造の擁壁は構造計算で「次の各号のいずれにも該当することを確かめたものでなければならない」とあります。
許可が要るかどうかは、土地のある県や市の宅地造成・盛土の許可の窓口が決めます。浜松市の審査基準なら、擁壁の形式が「鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造、練積み造又は大臣認定擁壁のいずれかに該当することを確認します」と書いてあります。
工場製の逆T型を宅地で使う道は2つ、認定品か構造計算かです。大臣認定擁壁とは、施行令の決まり(第8条第1項第2号、第9条から第12条)どおりには造らない擁壁を、同等以上と国土交通大臣が認めたもの(第17条)。国土交通省の一覧(令和8年3月現在)で、名称に「逆T」を含む認定擁壁は0件です。ただ、一覧に断面の形は載っていないので、逆T型の認定品が無いとは言い切れません。
認定品でない工場製の逆T型は、鉄筋コンクリート造として構造計算で確かめます。出す書類や工場の確認のしかたを決めた公的な資料は、見つかっていません。図面と構造計算書は当社が用意し、それを持って許可の窓口へ出す流れです。
標準の図どおりに造れば、計算書が要らない扱いもあります。東京都の手引は、逆T型とL型の標準断面図を載せて、「以下の標準断面図を使用する場合は、構造計算を不要とする。」としています。香川県の手引でも、国の「土木構造物標準設計」などによる擁壁は、使用条件が合えば構造計算を省けます。
東京都の図の前提は、参考計算書の条件です。必要な許容地耐力は高さで違います(「置くだけで倒れない?」のタブの表のとおり)。ご自分の土地が前提に合うかは、東京都の許可の窓口で確かめます。
| 逆T型の造り方 | 宅地の許可での扱い |
|---|---|
| 現場で打つ | 鉄筋コンクリート造。構造計算書を付ける |
| 東京都の標準断面図のとおり | 構造計算が不要(東京都の手引)。土質・地盤・上に載る重さの前提は、参考計算書の条件。合うかは許可の窓口で確かめる |
| 大臣認定擁壁 | 認定条件に合うことを確認(浜松市)。一覧の名称に「逆T」を含むものは無い(令和8年3月現在) |
| 工場製(認定なし) | 鉄筋コンクリート造として構造計算。運用は窓口で確かめる |
宅地の土留めは、主にL型の当社「土のねっこ」をご検討ください。構造計算で安全を確かめて使う鉄筋コンクリート造の擁壁で、宅地造成擁壁として利用できます(大分県・大分市にて確認済み)。ほかの土地では、使えるかを当社が窓口に確かめます。
形はL型が主で、逆L型・逆T型もあります。高さは500〜3,000mm。図面と構造計算書は、当社でご準備できます。工場製の擁壁に大臣認定品を求める県や市では、大臣認定擁壁を当社で手配します。
宅地の方の進め方は、次の順です。
- 段差の高さと長さを書き込んだ手書きの絵、現場の写真、場所(住所)を当社に送る(「見積の頼み方」のタブ)
- 当社が、盛土規制法の規制区域に入るかを調べ、図面と構造計算書を用意する
- その図面と構造計算書を持って、許可の窓口へ
当社の製品
土のねっこ
当社はコンクリート製品のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。図面が無ければ、手書きの絵と写真で大丈夫です。住所も添えてください。お電話は ☎ 0120-1181-46(平日9:00〜18:00)。
宅地の擁壁の決まり全体は、宅地造成の擁壁は何を使う?とRC擁壁とは?にあります。
どこで使う?
逆T型擁壁の使い所
両側から積むヤードの仕切りと、前に余地のある所です。東京都の現場打ちの断面の比較では、地盤への負担もL型より小さくなります。荷が無いときもある置き場でも、据えたそのままで立ちます。宅地の土留めは、つま先版が前に出るので使いにくく、L型が主です。県や市の手引には鉄筋コンクリート造の形式として載り、標準構造図もあります。道路では、宮城県の手引に片持ばり式の一つとして載っています。
現場で打つか工場で造るか(現場打ちとプレキャスト、どちらにする?)でも、使い所が分かれます。三重県の手引に、「現場打ちの逆T、L型擁壁は、杭基礎が必要な場合やプレキャストの適用が難しい場合に用いられる」とあります。工場製(プレキャスト)については「L型の形状が主体である」とし、2m程度の製品を連続して並べるものもある、と書いています。
ストックヤードや資材置場の仕切りには、当社の逆T型ヤードンを使っています。宅地の擁壁は後ろの土を支えますが、仕切り壁には積む物(砂利や廃材など)が両側から当たります。三重・宮城・浜松・東京・横須賀・香川の手引に、両側から積む壁は載っていません。設計は当社の設計条件で行います(「ヤードの仕切りは?」のタブ)。
| 使う所 | 逆T型の使われ方 | 出所 |
|---|---|---|
| ストックヤード・資材置場 | 工場製の逆T型を仕切りに置く。両側から積め、荷が無いときも立つ | 当社の製品ページと事例 |
| 地盤への負担を抑えたい所 | 東京都の標準断面の比較で、地盤反力の最大がL型より15〜30%小さい | 東京都の手引の参考計算書 |
| 宅地の造成 | 形式として載り、標準構造図もある。前につま先版が出るので使いにくく、L型が主 | 三重県・浜松市の手引、横須賀市・東京都の標準図 |
| 道路 | 片持ばり式の形式の一つ。つま先版は底版幅の1/5程度が目安 | 宮城県の道路設計の手引 |
| 杭基礎が要る所、工場製が合わない所 | 現場で打つ逆T型・L型 | 三重県の手引 |
大分市の産廃処理場では、壁高3,000mm・厚さ200mmの逆T型で置き場を2つに分けました。

この現場の写真と記録は、施工例(大分市の産廃処理場)にあります。仕切り壁の決まりと設計は、資材置場やストックヤードの仕切り壁は、何で造れば崩れない?で書いています。
全国に配送します(沖縄・北海道・離島を除く)
ヤードの仕切りは?
ヤードの仕切りは、置くだけのヤードンで
安定した地盤に据えるだけ。表裏どちらに積んでも安定します。整地して、クレーンで吊って置きます。ヤードンは工場製のコンクリート壁で、底版が両側に出る逆T型と、片側だけのL型があります。逆T型は壁が底版の真ん中寄りに立つので、荷が無くても据えたそのままで倒れにくい。どちら側に積んでも、積んだ側の底版に荷の重さが乗って壁を押さえます。地盤が合うかと設計の条件(砂利・砂)は、見積のときに当社が確かめます。
1日に10〜20本ずつ建ちます。レイアウトが変われば、吊って動かせます。壁の高さは1.5mから3mです。

壁は垂直で、厚さは上から下まで同じです(付け根のハンチを除く)。当社ではこれを鉛直等厚と呼んでいます。壁も底版も、高さ2mは150mm、2.5mと3mは200mmです。
- たて壁が完全に垂直なので据えやすく、据えるときの垂直出しが簡単です。
- 型枠の融通が利くので高さを合わせやすく、標準にない高さでも3,000mmまで作れます。長さも1〜2mの範囲で短く加工できます。
- 上端まで同じ厚さで頂部が厚くて頑丈なので、天端(壁の上の面)に支柱を差してフェンスやネットを付けられます(オプション)。

据えたそのままの重心の位置と、同じ条件での地耐力の比較は、「置くだけで倒れない?」のタブにあります。

| 壁高 H | 壁と底版の厚さ | つま先幅 B1 | 底版幅 B(かかと側) | 底版の端から端まで(B1+B) | 参考重量(直線) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2,000mm | 150mm | 400mm | 900mm | 1,300mm | 2,363kg |
| 2,500mm | 200mm | 500mm | 1,150mm | 1,650mm | 3,929kg |
| 3,000mm | 200mm | 600mm | 1,400mm | 2,000mm | 4,745kg |
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 積む物(計算上の土質) | 砂利または砂 |
| 内部摩擦角(崩れずに踏ん張る角度の目安) | 35°以上 |
| 単位体積重量 | 18kN/m³(約1.8トン/m³) |
| 盛土の勾配 | 1割5分(水平に1.5進んで1上がる傾き) |
| 余盛土高(壁の上端より上に盛る高さ) | 製品高の1割まで(高さ3mなら300mm) |
| 基礎の摩擦係数 | 0.6 |
| 水平震度(地震の力の大きさ) | 0.2/0.25(宅地防災マニュアル準拠) |
砂利・砂以外(がれき、廃材、金属くずなど)を積むとき、重機が壁に当たる使い方のときは、個別に設計します(オプション)。積む物と使い方をお聞かせください。
敷地の境界ぎりぎりに立てたいときは、底版が片側だけのL型を検討します。底版は保管物の側に向けて埋め込みます。条例などで空地や後退距離が求められない場所なら、境界寄りの配置を検討できます。
製品の性能は、当社の実験や計算での値です。お客様の現場に合うかは、地盤・基礎・高さと長さを見て、図面と構造計算でお示しします。
本数と並べ方は、ヤードンの並べ方・本数を調べるプログラムで先に確かめられます。
見積の頼み方
見積を頼むには、何を送ればいいですか
図面が無ければ、手書きの絵と写真で大丈夫です。製品の見積と簡易展開図(製品の並べ方を描いた施工図)は無料です。工事の見積は施工業者さんからになります。大分県内と関西圏は、施工業者さんを紹介できます。
ヤードや資材置場(ヤードン)なら、次の3つです。
- 手書きの絵:ヤードを上から見た図に、壁の長さと仕切りの位置(歩幅で測った長さでも)
- 写真:置き場の全体と、トラックの入る道
- 積む物と積み高さ、場所(住所)。地盤が分かれば、それも
宅地の擁壁(土のねっこ)なら、次の3つです。
- 手書きの絵:横から見た図に段差の高さ、上から見た図に長さ
- 写真:段差の全体と両端。地盤調査の結果や造成の計画図があれば、それも
- 場所(住所)。盛土規制法の規制区域に入るかは、当社で調べます

据え付けにはクレーンを使います(ヤードンの参考重量は、標準品H2000〜H3000で1本2.4〜4.7トン)。原則1〜2営業日以内にご返信します。ヤードンの問い合わせフォーム、土のねっこの問い合わせフォームからどうぞ。お電話は0120-1181-46(平日9:00〜18:00)です。
全国に配送します(沖縄・北海道・離島を除く)
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- 擁壁の選び方
- ヤードン(製品ページ)
- 土のねっこ(製品ページ)
宮城県「道路設計の手引」第5章 擁壁工(2004年作成の版。道路土工-擁壁工指針 平成11年3月と、建設省土木構造物標準設計を引く。経済性の比較は「宮城県独自」) PDF 原文:「片持ばり式擁壁は,それを構成するたて壁と底版の各々が外力に対して片持ちばりとして抵抗する構造であり,たて壁の位置により逆T型擁壁,L型擁壁および逆L型擁壁の三つの形式に分類される。」「L型擁壁は,擁壁が用地境界に接している場合,その他つま先版を設けることができない場合等に用いられる。」「たて壁の形状は,施工性を考慮して,規模の大きい擁壁を除き等厚が望ましい。」「底版の上面は,施工性の点から水平とすることが望ましい。」「たて壁および底版の最小厚は,施工性を考慮して30cmとする。」「直接基礎の条件に対するつま先版の長さ(b)は,底版幅(B)の1/5程度にする。」「直高H=1.0m~5.0mの場合」「ブロック積工がすべてに対して優位である」「重力式擁壁,もたれ式擁壁,片持ばり式(逆T)について比較してみると,直高H=2.7~3.2m程度(土質により差が生ずる)までは重力式擁壁が優位であるが,これを越えると片持ばり式擁壁が優位である。」/同 2025年8月作成の版 PDF(経済性の比較と「安定度」の文は無い。最小厚は40cm以上。表5-4:片持ばり式擁壁(逆T型,L型.逆L型,控え壁式)「躯体自重とかかと版上の土の重量によって土圧に抵抗する。」)
国土交通省四国地方整備局「プレキャストL型擁壁設計施工マニュアル(案) 改訂版」(令和7年12月)2.1 対象構造【解説】(1) PDF 原文:「L型式擁壁は,たて壁と底版とからなり,土圧に対して躯体自重と裏込め土砂重量で抵抗し,転倒,滑動に対し安定を図る構造である。」
当社の計算(2026年11月8日):ヤードン H3000・長さ2m・ハンチは三角形で近似。逆T型(壁の前面が底版の前端から600mm、底版の端から端まで2,000mm)の重心は底版の前端から約0.82m内側、同じ底版幅で壁を前端に立てたL型は約0.47m内側。倒れにくさ(重さ×重心から近い端までの距離)は逆T型が約1.75倍。同じ高さを横から押すなら、倒すのに要る力も同じ比
当社の計算(2026年11月8日):東京都の参考計算書10断面(逆T型・L型 各5)の底版幅・かかと・つま先・コンクリート量・かかと上の土・許容地耐力・滑動の安全率・地盤反力の最大。コンクリート量は壁厚×(全高−底版厚)+底版幅×底版厚(ハンチなし)。滑動の安全率は、数字の取れた9断面(逆T型 H2.95mを除く)で1.51〜1.53(基準1.5)、底版の幅は滑動で決まっている。逆T型はつま先0.25mのぶん底版が0.2〜0.25m広く、コンクリートが3〜6%多い。地盤反力の最大は、逆T型が15〜30%小さい(H2.95mを除く4組)。金額は含まない
三重県「開発許可制度の手引き」第9章 擁壁(表2・表3。本文は旧法の条番号で書かれた版) PDF 原文:「片持ばり式擁壁は、たて壁と底版からなる。」「この構造形式の擁壁は、逆T型とL型等がある。壁体は鉄筋コンクリート構造で、水平荷重に対しては、片持ちばりとして抵抗し、底盤上の土の重量を安定に利用できる。」「擁壁の設計に用いる自重は、躯体重量のほか、逆T型、L型擁壁等の片持ばり式擁壁の場合には、かかと版上の土砂重量を含む。」「L型擁壁は、壁面に土地境界が接している場合等、つま先版が設けられない場合に用いられる。」「擁壁自体の重量により土圧に抵抗する擁壁で、壁体内にコンクリート許容引張力以上の引張力が生じないように設計する。基礎地盤が良好である場合に使用される。」「地山あるいは裏込め土などに支えられながら自重によって対抗するものであり、自立はできない。主として切土部に用いられる。」「このためこの種の擁壁を、高い高さの擁壁として用いることは不経済である。」(半重力式)「現場打ちの逆T、L型擁壁は、杭基礎が必要な場合やプレキャストの適用が難しい場合に用いられる。」「工場によるプレキャスト部材で、L型の形状が主体である。寸法的にはL=2m程度を連続的に配置するものもある。」
浜松市「第8章 擁壁に関する技術的基準」(宅地造成及び特定盛土等規制法の技術的基準・設計編) PDF 原文:「(13) 片持ばり式擁壁の自重については、躯体重量のほか、かかと版上の載荷土を躯体の一部とみなし土の重量を含めること。」「図面等により、設置する擁壁の構造形式が鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造、練積み造又は大臣認定擁壁のいずれかに該当することを確認します。大臣認定擁壁を用いる場合は、認定条件に適合していることを確認します。」
宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第8条第1項第2号、第9条第1項、第17条 e-Gov法令検索 原文(第9条第1項):「前条第一項第二号の鉄筋コンクリート造又は無筋コンクリート造の擁壁の構造は、構造計算によつて次の各号のいずれにも該当することを確かめたものでなければならない。」 施行令の全文に「逆」「片持」「L型」「重力式」の語は無い(e-Gov法令検索の全文、2026年11月8日閲覧)
横須賀市「鉄筋コンクリート造の擁壁標準構造図」(2022年4月18日更新) Web 原文:「造成工事の完了後、建物を建築する際に外構工事として、擁壁の天端にフェンスを設置することが散見され」
東京都「盛土規制法 手引」第18章 擁壁の標準断面図(18.1)と、参考の構造計算書(18.2) PDF 原文:「以下の標準断面図を使用する場合は、構造計算を不要とする。」 参考計算書(逆T型 H=1.45/1.85/2.40/2.95/3.55m)の設計条件:上載荷重 q=5.0kN/m²、背面土は「シルト、粘土、又はそれらを多く含む土(政令別表第二に準拠)」γ=16.0kN/m³、基礎地盤は関東ローム、許容地耐力 35.0/50.0/65.0/85.0/100.0kN/m²(L型は 55.0/75.0/90.0/110.0/125.0kN/m²)
香川県「開発許可の手引 擁壁の技術的細目」(ファイル名は令和8年4月1日版) PDF 原文:「L型擁壁(逆T型も同様)の場合で全高が5mを超える場合には大地震の検討を行うこと。」
吹田市「宅地造成等に関する工事の技術的基準」(令和6年7月、吹田市都市計画部開発審査室)p.13「ウ 擁壁の構造について」① PDF 原文:「擁壁の軀体高さ(基礎底面下端から縦壁上端までの高さ)は10m以下とすること。」(「軀体」は原文の字。擁壁の種類で分けていない。逆T型だけの数字ではない)
国土交通省「宅地擁壁について」 Web 原文:「大臣認定擁壁とは、宅地造成及び特定盛土等規制法施行令第17条の規定により、構造材料又は構造方法が同施行令第8条第1項第2号及び第9条から第12条までの規定によらず、国土交通大臣がこれらの規定による擁壁と同等以上の効力があると認めた擁壁のことです。」/「宅地造成及び特定盛土等規制法施行令第17条に基づく認定擁壁一覧表(令和8年3月現在)」 PDF(名称欄に「逆T」を含むものは0件。名称・認定取得者・認定番号・認定日だけで、断面の形は載っていない)
当社の製品ページ ヤードン(寸法表、設計条件、逆T型とL型、据え方、境界寄りの配置の条件、見積)/土のねっこ(宅地造成擁壁として利用できます(大分県・大分市にて確認済み)、形はL型・逆L型・逆T型、寸法表9(逆T型・砂質土相当)、図面と構造計算書)

