宮城で崖の近くに家を建てる・土地を買う前に、確かめること。
宮城県の「がけ条例」とは、建築基準条例 第5条のことです。崖の近くに建てるときは、原則として擁壁を設けることが求められます。
がけ条例がかかっても、建てられないと決まったわけではありません。まず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、擁壁(ようへき=がけの土が崩れないよう支える壁)の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って計画地を所管する建築行政の窓口へ、条例の当てはめを事前に相談する。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。
①宮城の「がけ条例」は、建築基準条例(昭和35年7月21日 宮城県条例第24号)の第5条です。②第5条第1項の擁壁の規制がかかるのは、崖(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地)で高さが2メートルを超えるものの、下端(かたん)から水平距離が崖の高さの2倍以内の土地の区域です(第3条第1項第1号の区域は、この範囲から除かれます——後述)。③崖の上に建てても、下に建てても、起点は「崖の下端」の一本——上端に入れ替わる書き方は、条文にありません。④第1項の対象は、居室を有する建築物です(居室=きょしつ。居住・執務・作業などに継続して使う部屋)。ただし、居室がなくても、第2項の排水の措置は別に確認します——第2項が求めるのは、崖への流水・浸水を防ぐ措置で、高さ・距離・居室の限定がありません。法第19条第4項も、がけ崩れ等による被害を受けるおそれがあれば、原則として、居室の有無を問わずかかります(法第3条・第41条・第85条による適用除外・緩和は後述します)。⑤条文が求めるのは、離れることではありません。第1項の原則は「安全上支障がない擁壁又は擁壁の類」の設置です(擁壁=ようへき。崖の土が崩れないように支える構造物で、塀とは役割が違います)。ただし崖の下に建てるときは、擁壁のほかの道もあります——建物の構造耐力上主要な部分を鉄筋コンクリート造等にする、崖から相当の距離に位置する、崖との間に崖崩れに対して有効な防護壁を設ける。どれが使えるかは、個別に判断します。安全上支障がない擁壁又は擁壁の類を設ければ、第5条第1項については原則として建てられます。ただし、第2項の排水の措置と、災害危険区域・土砂災害の区域・法第19条第4項は別に確認してください。⑥仙台市でも、第5条はかかります。条文は2026年9月1日に、宮城県の例規検索システム(内容現在=令和8年7月31日)と、県建築宅地課の解説で確認しました。
「がけ条例」の実体は、建築基準条例の第5条です

「がけ条例」という名前の条例はありません。宮城県では、建築基準条例の第5条(崖付近の建築物)がその中身です。仙台市も、市のFAQで「がけ条例とは、宮城県建築基準条例第5条による崖付近の建築物に関する制限となります」と書いています。
正式な題名は「建築基準条例」ですが、県や仙台市の案内では「宮城県建築基準条例」とも呼ばれます。この記事では、同じ条例を指しています。
根拠は建築基準法第40条です——地方公共団体が、条例で建築物の敷地・構造の制限を付け加えられる、という規定です。県の解説も、第5条を「法第40条の規定を根拠にし、法第19条第4項を補完する規定」と位置づけています。第5条の条文に「都市計画区域内」の限定はありません。用途地域の外でも、崖と距離の条件に当たれば働きます。
「崖」は角度30度超——高さ2メートル超は第5条第1項の条件です
「崖」の定義は、角度30度を超えることだけです——条例は崖を「地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地」と定めています。高さ2メートル超は、崖の定義ではありません——第5条第1項の擁壁の規制が働くための条件です。第2項には、高さの条件がありません。
(崖付近の建築物)
建築基準条例 第5条第1項(本文)
第5条 高さが2メートルを超える崖(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地をいう。以下同じ。)の下端からの水平距離が、崖の高さの2倍以内の土地の区域(第3条第1項第1号の区域を除く。)に居室を有する建築物を建築する場合においては、安全上支障がない擁壁又は擁壁の類を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この限りでない。
押さえるところは3つです。①角度は「30度を超える」——30.0度ちょうどは当たりません。②高さは「2メートルを超える」——2.0メートルちょうどは、第1項の擁壁規制には当たりません(「以上」ではありません)。ただし第2項には、高さの条件がありません——崖に、または崖に近接して建てるなら、排水の措置は別に確認します。③条文の括弧書きに硬岩盤(こうがんばん=かたい岩の地盤。風化の程度を含め、該当するかどうかは地質資料・調査で確かめます)を外す定めはありません。岩かどうかは、あとに出るただし書の第1号の中で扱われます。
仙台市のFAQは「高さ2m以上の崖に近接して」と書いていますが、条例の言い方は「2メートルを超える」です。数字がぎりぎりの土地では、この違いが効きます。実際の高さは、現況の測量図と断面図で測ります。
崖の高さの測り方について、県の解説はこう書いています。
高さが2メートルを超えるがけについて本条の規定が適用されるわけであるが、このがけの高さとはがけの下端からその下端を通る30度の勾配の線を超える最も高い部分までの垂直距離である
宮城県建築基準条例第5条について(県建築宅地課)3(「がけの高さ」の定義)
この解説は「がけ」(ひらがな)で書かれています。いまの条文は「崖」(漢字)です。指しているものは同じですが、引用のときは字が変わります。
解説は、崖が小段(こだん=斜面の途中にある平らな段)・道路・建築敷地などを挟んで上下に分かれている場合の数え方も図で示しています(第1図・第2図)。どこまでを1つの崖と数えるかで、高さが変わります。ここは目測では決まりません。
かかる範囲は「崖の下端から、崖の高さの2倍以内」——上でも下でも、起点は下端です
宮城の第5条は、起点が一本です。崖の上に建てるときも、崖の下に建てるときも、測るのは崖の下端からの水平距離です。下端(かたん)は、崖のいちばん下で、傾きが30度を超えはじめるところを指します。県の解説の第5図も、下端を真ん中に置いて、低いほうへ2H、高いほうへ2H(Hは崖の高さ)の範囲を示しています。
高さ2メートルを少し超える崖なら、下端から4メートルあまり。高さ5メートルの崖なら、下端から10メートルです。崖の上端(じょうたん=崖のいちばん上)は、起点ではありません。ただし、断面のどこを上端・下端に取るかは、言葉だけでは決まりません——県の解説(PDF)は、第4図で上端の取り方を(候補が2つあるとき、どちらを上端とするかを)図で示し、第3図で崖の高さの測り方を、第1図・第2図で小段などを挟んで上下に分かれる崖の数え方を示しています。現況の断面図を、この図に当てて確かめてください。上端は、あとに出るただし書第1号の解説③の「上端から下方に垂直距離5メートル以内」の算定と、第2号の当てはめでも使います。
「2倍以内」は、規制が働く範囲を示す言葉です。範囲に入ること自体は禁止ではありません。条文が命じているのは擁壁を設けることで、「2倍以上離しなさい」ではありません。
第5条第1項の対象は「居室を有する建築物」です——外れるのは、第1項だけです
第5条第1項は「居室を有する建築物を建築する場合においては」と書いています。居室がないと確かめられた物置や倉庫なら、第5条第1項の対象から外れます。居室の有無と、別に残る排水・安全上の措置は、設計者と窓口で確かめてください。建築基準法第2条第4号は、居室を「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と定めています。
ただし、外れるのは第5条第1項だけです。崖崩れ等による被害を受けるおそれがあるなら、建築基準法第19条第4項の措置は別に要ります(後述)。また、第5条第2項の排水の措置には、居室の限定がありません——崖に、または崖に近接して建築物を建てるなら、居室があってもなくてもかかります。
敷地の造成については、県の解説が「建築物の敷地を造成しようとする場合で、前記のような位置に建築物が建築されると想定されるときは、あらかじめ造成段階で擁壁を設置することが望ましい」と書いています。解説の言葉は「望ましい」で、条文の義務ではありません。造成の段階で擁壁を入れておけるかは、設計者と相談しておくところです。
どうすれば建てられるか——原則は「安全上支障がない擁壁又は擁壁の類」です
第5条第1項だけを見れば、適合する擁壁等を設けるのが原則です。——設ければ、第5条第1項については原則として建てられます。条件は、条例の言う「安全上支障がない擁壁又は擁壁の類」であること。県の解説は「擁壁の類」を「のり枠工等がけの崩壊を抑止する構造物」と説明しています。コンクリートの壁だけが答えではありません。ただし、第2項の排水の措置、法第19条第4項、災害危険区域、土砂災害の区域などは別に確認します——擁壁だけで、建築の可否が決まるわけではありません。
崖の下に建てるなら、答えはもう一つあります。第1項第3号が、「崖との間に崖崩れに対して有効な防護壁があり」、崖崩れに対して安全である場合を挙げているからです。防護壁は、条文が擁壁と並べて書いている道です。ここでいう防護壁は、通常の境界塀やブロック塀ではありません。県の解説は、崩土又は落石の衝撃力に対して安全である「待受け擁壁等」を挙げ、その崩土を防護できる十分な容量を確保した場合は崖崩れに対して安全とみなされる、としています——流れ込む土砂を受け止めるよう、個別に設計する構造物です。同じ号は、構造耐力上主要な部分を鉄筋コンクリート造若しくはこれに類する構造とする道と、崖から相当の距離に位置する道も挙げています。いずれも「崖崩れに対して安全である」ことが条件です——どれかに当てはまれば、擁壁がなくても、第5条第1項については原則として建てられます。第2項の排水の措置は、別に残ります。土質調査・構造検討は設計者が行い、事前相談は所管する建築行政の窓口へ。確認申請上の適合判断は、申請先の建築主事等又は指定確認検査機関です。
擁壁の構造について、解説はこう整理しています。建築基準法施行令第3章第8節(構造計算)の適用はなく、建築基準法施行規則も構造計算書の添付を義務づけていない。それでも法第20条(構造耐力)は準用されるので、構造耐力上の安全性の確認は求められる。計算の方法は、①「宅造法」(解説の表記。旧・宅地造成等規制法)、②その他の関係法令等に定められた技術基準、③現在汎用化している規準(日本建築学会規準等)のいずれかによる、としています。①は旧法の名前のままです——同法はいまの宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)に改められているので、実際に当てる条番号と数値は、設計者と窓口に確かめてください。なお、設ける擁壁自身の高さが2メートルを超え、建築基準法第88条第1項・建築基準法施行令第138条第1項第5号の工作物として扱われる場合は、令第142条も確認します。同条第1項が求めるのは、掲げる基準に適合する構造方法です。あわせて、これと同等以上に擁壁の破壊及び転倒を防止することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法も認めています——大臣が定めた方法でなければならない、という意味ではありません。
ここで外れるのは、条例第5条第1項の擁壁の義務です。崖崩れのおそれがあれば、法第19条第4項の措置は別に要ります。土砂災害の区域や、県が指定した災害危険区域の制限も、それぞれ別に残ります。建築の可否そのものを、この1点で保証するものではありません。
擁壁を設けずに済む道は、ただし書の3つの号です
3つのどれかに当てはまれば、擁壁も擁壁の類も要らなくなります——第5条第1項については原則として建てられます——外れるのは第5条第1項の擁壁の義務だけで、第2項の排水の措置と、法第19条第4項は別に残ります。どれに当たるかを決めるのは読者ではありません。土質を調べて図にするのは設計者、条例についての事前相談は所管の建築行政の窓口へ。確認申請上の適合判断は、申請先の建築主事等又は指定確認検査機関が行います。
(1) 崖の形状又は土質により崖崩れのおそれがない場合
建築基準条例 第5条第1項(ただし書 第1号〜第3号)
(2) 崖又は崖の上に建築物を建築する場合において、当該建築物が崖崩れに対して安全であり、かつ、崖の安全性に影響を及ぼさない場合
(3) 崖の下に建築物を建築する場合において、当該建築物の構造耐力上主要な部分(崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分を除く。)が鉄筋コンクリート造若しくはこれに類する構造であり、又は当該建築物が崖から相当の距離に位置し、若しくは崖との間に崖崩れに対して有効な防護壁があり、崖崩れに対して安全である場合
擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(この条の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。
第1号——崖の形や土質から、崖崩れのおそれがない場合
県の解説は、この号に当たるものを4つ挙げています。解説は旧「宅地造成等規制法」の施行令に準じて書かれています——同法はその後、宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)に改められ、条番号が置き換わりました。いま同じことを定めているのは盛土規制法施行令 第8条第1項第1号イと別表第一で、角度は現行の別表第一と同じです——軟岩(風化の著しいものを除く。)60度・80度、風化の著しい岩40度・50度、砂利・真砂土・関東ローム・硬質粘土その他これらに類するもの35度・45度。解説に書かれた条番号は旧法のままなので、根拠の条を引くときは現行の政令で確かめてください。
- ①硬岩盤(風化の著しいものを除く)の崖
- ②土質が下の表の左欄に当たり、かつ勾配が右欄の角度以内の崖
- ③土質が表の左欄に当たり勾配が表の角度の崖で、その上端から下方に垂直距離5メートル以内の部分(この場合の角度は別の表によります)。②に当たる崖の部分によって上下に分離されているときは、その②の部分を、5メートルの算定から除きます(解説の第6図。上の部分と下の部分の合計が5メートルになります)
- ④土質試験等に基づいて地盤の安定計算をした結果、崖の安定を保つために擁壁の設置が必要でないことが確かめられた崖
| 土質 | 勾配(解説の第1表) |
|---|---|
| 軟岩(風化の著しいものを除く) | 60度以内 |
| 風化の著しい岩 | 40度以内 |
| 砂利、真砂土、関東ローム、硬質粘土その他これらに類するもの | 35度以内 |
③の「上端から下方5メートル以内の部分」については、解説の第2表が軟岩60〜80度、風化の著しい岩40〜50度、砂利・真砂土・関東ローム・硬質粘土その他これらに類するもの35〜45度を挙げています。
どれに当たるかを決めるのは、読者ではありません。解説自身が、風化が著しいかどうかは「実際上、風化が著しいか著しくないかを判定することは困難」と書いています。土質を調べて計算するのは設計者です。条例についての事前相談は所管の建築行政の窓口、確認申請上の適合判断は建築主事等又は指定確認検査機関です。「うちは岩だから外れる」と、図面なしで決めないでください。
第2号——崖の上、または崖に建てる場合
建築物が崖崩れに対して安全で、かつ崖の安全性に影響を及ぼさないことが要ります。解説は、木造又は工業化認定軽量鉄骨造の3階建以下の住宅等の軽易な建築物について、次の基準に適合する場合は「通常支障がないものと考えられる」としています。「工業化認定軽量鉄骨造」は、一般の軽量鉄骨造とは別です——該当する認定の有無は、設計者が確かめます。
- 小規模な建築物で、基礎が鉄筋コンクリート造であること
- その形態を連続基礎、布基礎(ぬのぎそ=壁の下に帯のように連続させる基礎)など荷重が平均に地盤に伝わるようにすること
- がけ上端から基礎先端までの水平距離を1.5m以上とすること
- がけ下端から基礎の先端までの水平距離を、がけの高さの0.7倍以上とすること
- がけの下端と建築物の基礎とを結ぶ線の勾配を、上の第1表の角度以下とすること
これは解説が示す「目安」で、条文そのものではありません。杭基礎の場合、崖の中腹に建てる場合には、別の検討が要ります。崖の中腹では片側が崖面に接するため、解説は偏土圧(へんどあつ=片側だけからかかる土の圧力)による転倒が起こらないことの確認を求めています。
第3号——崖の下に建てる場合の、3つの道
第3号は、崖の下に建てるときだけの号です。道は3つあります。①構造耐力上主要な部分(建築基準法施行令第1条第3号=基礎・基礎ぐい・壁・柱・小屋組・土台・筋かい等の斜材・床版・屋根版・はり等の横架材のうち、建築物の自重や積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧、水圧、地震その他の震動・衝撃を支えるもの。建築基準法の「主要構造部」とは別の言葉です。なお、いま見ている条例第5条第1項第3号の括弧書きにより、崖崩れによる被害を受けるおそれのない部分は除かれます)を鉄筋コンクリート造か、これに類する構造とする。②建築物が崖から相当の距離に位置する。③崖との間に崖崩れに対して有効な防護壁がある。いずれの場合も、崖崩れに対して安全であることが要ります。
②の「相当の距離」について、解説はこう書いています。
「がけから相当の距離」とは、過去のがけ崩れによる災害の実態調査等によると崩土の到達距離ががけの下端から50〜60メートルを超える崩壊が著しく少ないことから、おおむね60メートルが判断の目安となろう。
宮城県建築基準条例第5条について(県建築宅地課)9(第1項第三号:防護措置をした建築)
「おおむね60メートル」は、解説の目安です。条文には距離の数字がありません。かかる範囲の「2倍以内」とは、別の話です——第3号は、崖の下に建てる場合に擁壁を設けずに済む道の一つで、その「相当の距離」の目安が60メートルです。③については、解説は「崩土又は落石の衝撃力に対して安全である待受け擁壁等を設置し、その崩土を防護できる十分な容量を確保した場合は、がけ崩れに対して安全とみなされる」としています。
第2項の排水の措置は、ただし書では外れません
2 崖に又は崖に近接して建築物を建築する場合においては、地表水等を有効に排出することができる排水施設を設ける等崖への流水及び浸水を防止するための適当な措置を講じなければならない。
建築基準条例 第5条第2項
ただし書は第1項にかかるものです。第2項は「崖に又は崖に近接して建築物を建築する場合」を独立に定めており、第1項のただし書の第1号から第3号に当たっても、この項が外れるという定めはありません。擁壁が要らなくなっても、排水の措置は別に残ります。
第2項には、距離の数字がありません。第1項にある「高さが2メートルを超える」も、「下端から崖の高さの2倍以内」も、第2項には書かれていません(崖=地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地、という定義だけは、第1項の括弧書きの「以下同じ」で及びます)。どこからが「近接」かは、条文にも県の解説にも数字がありません——断面図と排水の計画を見て確かめることになります。第1項の範囲に入らない土地でも、この第2項を売買契約の前の相談に含めてください。
解説は「適当な措置」を「例えば雨水その他の地表水をがけ面に流出させないよう誘導するための排水溝の設置等」と説明し、第7図で崖肩・崖尻のコンクリート打ち、U字側溝、崖面の保護、そして崖からできるだけ離した処分槽等の設置例を示しています。
県指定の災害危険区域では、第4条も確認します
第5条第1項の括弧書きは、かかる範囲から「第3条第1項第1号の区域を除く」と書いています。この区域は、条例第3条が定める災害危険区域(建築基準法第39条第1項による指定)の一つです。
これは「第5条を見なくてよい」という意味ではありません。括弧書きが除いているのは、第5条第1項(擁壁の義務)だけです。第1号の区域では第5条第1項が外れ、代わりに第4条第1項がかかりますが、第5条第2項の排水の措置は残ります——第2項に、この区域を除く定めはありません。第2号の区域は括弧書きに入っていないので、第4条と第5条の両方を確認します。
| 号 | 県が災害危険区域に指定する区域 |
|---|---|
| 第1号 | 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第3条第1項により指定された急傾斜地崩壊危険区域内で、急傾斜地の崩壊による危険の著しい区域として知事が指定する区域 |
| 第2号 | 地すべり等防止法第3条第1項により指定された地すべり防止区域内で、地すべりによる危険の著しい区域として知事が指定する区域 |
県が条例で指定するのは、この2つだけです。津波は入っていません。急傾斜地崩壊危険区域や地すべり防止区域に入っていれば自動でかかる、というものでもありません——その中で、さらに知事が指定した区域であることが要ります。指定の有無は、計画地を所管する窓口で確かめてください。
第1号の区域の中では、条例第4条第1項が働きます。居室を有する建築物を建てる場合は、①構造耐力上主要な部分が鉄筋コンクリート造又はこれに類する構造であること、②急傾斜地または急傾斜地の上に建てる場合は急傾斜地の崩壊に対して安全で、急傾斜地の安全性に影響を及ぼさないこと、③急傾斜地の下に建てる場合は居室の開口部が直接急傾斜地に面しないこと。擁壁を設ければ足りる、という形ではありません。
第2号の区域(地すべり)については、第4条第2項が住居の用に供する建築物の建築を、原則として禁じています。それ以外で居室を有する建築物を建てる場合は、第3項が構造と基礎の条件を定めています。この禁止も、第4条第4項で外れることがあります——防止施設・防護施設の設置により安全上支障がない場合か、知事が安全上支障がないと認めた場合です(すぐ下に書きます)。第5条の括弧書きが除いているのは第1号の区域だけなので、第2号の区域では、第4条と第5条の両方を見ることになります。
第4条にも、外れる道があります。第4条第4項は、次のどちらかに当たる場合は前3項の規定は適用しないと定めています。①急傾斜地の崩壊及び地すべりに対する防止施設又は防護施設の設置により安全上支障がない場合。②建築物の構造若しくは敷地の状況又は地形、地質等周辺の土地の状況により、知事が安全上支障がないと認めた場合。②は知事が認めるものです。①も、施設があれば自動で外れるという書き方ではありません——安全上支障がないかを、設計者と窓口で確かめます。
県のウェブサイトは、別に市町村の条例による災害危険区域の一覧も載せています(14市町村)。建築基準法第39条第1項は「津波、高潮、出水等による危険の著しい区域」と定めており、市町村ごとに区域の中身が違います。お住まいの市町村に指定があるかは、県の「災害危険区域について」と、その市町村の窓口で確かめてください。
仙台市でも、第5条はかかります——外れるのは第2章だけです
(適用除外)
建築基準条例 第25条第1項
第25条 法第39条、第40条(第88条において準用する場合を含む。)、第43条第3項又は第56条の2第1項の規定に基づく市町村の条例の適用を受けるものについては、規則で定めるところにより、この条例の規定の全部又は一部を適用しない。ただし、当該市町村の条例の適用では法の目的を達成することが困難になると知事が認めるときは、この限りでない。
「規則で定めるところにより」の規則が、建築基準法施行細則です。その第46条の2は、こう書いています。
(適用除外)
建築基準法施行細則(昭和46年3月30日 宮城県規則第21号)第46条の2
第46条の2 条例第25条の規定により、仙台市の区域における法第39条第1項の規定による指定及び建築物については、条例第2章の規定は、適用しない。
外れるのは第2章(第3条・第4条=災害危険区域)だけです。第5条は第3章にあり、仙台市の区域でも外れません。仙台市のFAQも、がけ条例を「宮城県建築基準条例第5条による崖付近の建築物に関する制限」と説明し、相談先として各区役所の街並み形成課を案内しています。
仙台市には、市自身の災害危険区域の条例があります(施行日は昭和49年12月19日、改正は平成23年12月16日)。県の第2章が外れるのは、市の条例が働くからです。県のページの一覧によれば、区域は宮城野区・若林区の各一部、太白区緑ヶ丘4丁目の一部、泉区松森字陣ケ原の一部です。区域の細かいところは、市の告示で確かめてください。
罰則の相手方と、是正命令の相手方は別です——どちらも、建築主に及ぶことがあります
罰金は原則、設計者に科されます——ただし、違反が建築主の故意によるときは、その建築主にも同じ刑が科されることがあります(第26条第2項)。是正命令のほうは、故意を要件としません——建築主、工事の請負人(下請人を含む)・現場管理者、建築物・敷地の所有者・管理者・占有者に出ることがあります(建築基準法第9条第1項)。
(罰則)
建築基準条例 第26条第1項
第26条 第4条第1項から第3項まで、第5条から第9条まで、第10条第1項若しくは第2項、第11条第1項又は第12条第1項若しくは第2項の規定に違反した場合、その建築物又は工作物の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、その建築物又は工作物の工事施工者)は、20万円以下の罰金に処する。
列挙の中に「第5条」が入っています——第1項の擁壁の義務と、第2項の排水の措置の両方が対象です。名宛人(なあてにん=この罰則を受ける人)は原則、設計者。設計図書を用いずに、または設計図書に従わずに工事を施工した場合は工事施工者です。
第26条第2項は、その違反が建築主、又は工作物の築造主の故意によるものであるときは、設計者または工事施工者を罰するほか、その建築主等にも同項の刑を科すると定めています。第27条は両罰規定です——法人の代表者や、法人・人の代理人、使用人その他の従業者が業務に関して違反したときは、行為者を罰するほか、その法人または人にも同じ刑を科します。ただし、法人または人の代理人・使用人その他の従業者の違反行為を防止するため、その業務に対し相当の注意及び監督がなされたことの証明があったときは、その法人または人については除かれます。除かれるのは、代理人・使用人その他の従業者の違反行為についての、法人または人への刑だけです——法人の代表者自身の違反行為は、このただし書に入っていません。行為者への刑も残ります。
是正命令の相手方は、建築主・請負人・現場管理者・所有者等です(法第9条第1項)
罰則の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、当該建築物の建築主、工事の請負人(下請人を含みます)、現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者(占有者=せんゆうしゃ。借りて住んでいる人など、実際に使っている人)に対して、工事の施工の停止を命じ、または相当の猶予期限を付けて除却(じょきゃく=取り壊し)・移転・改築・増築・修繕・模様替・使用禁止・使用制限その他の是正に必要な措置を命ずることができる、と定めています。取り壊しが必ず来る、という規定ではありません——命じられる措置は、この中から選ばれます。故意は要件ではありません。設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていませんが、設計者が現場管理者を兼ねていれば名宛人になり得ます。命令に違反した場合は、法第98条第1項第一号により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
すでに建っている家については、建築基準法第3条第2項が、規定の施行・適用のときに現に存する建築物には当該規定を適用しないと定めています。これが既存不適格(きそんふてきかく=建てたときは適法だった建物)です。ただし増築・改築・移転や大規模の修繕・大規模の模様替をするときは、同条第3項第三号により、原則として現行規定の検討が必要になります。
一律に外れるわけではありません。建築基準条例第24条(既存の建築物に対する制限の緩和)は、法第3条第2項によりこの条例の適用を受けない建築物について、別に定める範囲内で増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替を行う場合に、第4条及び第3章の規定は適用しないと定めています——崖の第5条は、その第3章にあります。その「範囲」は特定行政庁ごとの細則で定まります(特定行政庁=建築確認や是正命令を受け持つ人。市町村長か都道府県知事)。たとえば大崎市建築基準法施行細則第29条は、増築後の延べ面積が基準時(きじゅんじ=その建築物が条例の規定の適用を受けなくなった時点)の1.2倍を超えないこと、改築に係る部分の床面積の合計が基準時の延べ面積の合計の5分の1を超えないこと、大規模の修繕・大規模の模様替についてはそのすべて、としています。移転については、建築基準法第86条の7第4項が、政令で定める範囲内の移転に建築基準法令の規定(法・命令・条例)を適用しないと定めています。既存部分にどこまで現行規定が及ぶかは、工事の内容ごとに確認してください。
条例が外れても、崖崩れ等による被害を受けるおそれがあれば建築基準法第19条第4項の措置が要ります
4 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。
建築基準法 第19条第4項
これは、がけ崩れ等への安全措置を定めた国の法律の規定です。(ただし、この規定にも、適用されない場合と、条例で緩和される場合があります——くわしくは、すぐ下の「この規定が働かない場合」をご覧ください。)条例第5条に当たらない土地でも、崖崩れ等による被害を受けるおそれがあるなら、擁壁の設置その他安全上適当な措置が要ります。求められているのは擁壁だけではなく「その他安全上適当な措置」を含みます。「2メートルを超えないから何もしなくてよい」とは読めません。おそれの有無も、どの措置で足りるかも、あなたが決めるものではありません——崖と地盤を調べて図にするのは建築士等、条例と法の当てはめを判断するのは所管の建築行政の窓口と申請先です。
この規定が働かない場合——法第19条第4項にも、次の例外があります。法第3条第1項の文化財等の建築物。法第3条第2項の、その規定の施行・適用の際にすでに存在していた建築物や敷地(いわゆる既存不適格。ただし同条第3項各号に当たるものは除かれ、第一号は「改正後の規定の適用の際、これに相当する従前の規定に違反していたもの」です)。法第85条第1項の、非常災害区域等で災害の発生した日から1か月以内に工事に着手する応急の修繕・応急仮設建築物(防火地域内は除きます。応急仮設建築物は、国・地方公共団体・日本赤十字社が災害救助のために建てるものと、被災者が自ら使う延べ面積30平方メートル以内のものです)。法第85条第2項の、災害時の公益上必要な応急仮設建築物と、工事現場の事務所・下小屋・材料置場などの仮設建築物。第85条は、第1項と第2項で対象も要件も違います——「応急仮設建築物なら外れる」とは読めません。
もうひとつ、条例で外したり緩めたりできる仕組みがあります。法第41条は、法第6条第1項第三号の区域の外(都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区・知事が指定する区域の、いずれにも入らない土地)で、市町村が国土交通大臣の承認を得て条例を定め、区域を限って法第19条を適用しない、または制限を緩和することを認めています(法第6条第1項第一号の建築物と、同項第二号の建築物のうち木造以外のものには使えません)。自分の土地がどれに当たるかは、窓口で確かめてください。
県の解説も、第5条の目的を「法第19条第4項を補完する規定」と書いています。条例は法を補うもので、法に代わるものではありません。
土砂災害の区域は、条例とは別に確かめます
宮城県は、令和7年度末までに9,761箇所の土砂災害警戒区域等の指定を実施しました。土砂災害警戒区域(イエローゾーン)と土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は、条例第5条とは別の制度です。県は確認の方法を3つ案内しています——①告示図書(指定箇所のページに最新の指定図面)、②宮城県砂防総合情報システム(MIDSKI)の確認マップや重ねるハザードマップ、③shp形式のGISデータ(申請が要ります)。
レッドゾーンでどんな構造が求められるかは、土砂災害特別警戒区域で求められる構造にまとめています(区域に入るかどうかの判定と、この条例の当てはめは、上の窓口で確かめてください)。
県は、地図だけで判断しないよう注意しています——更新時点が最新でない場合があるため、必ず告示図書を併せて確認を、と書いています。区域指定の有無の相談先は、管轄の土木事務所行政班です。
レッドゾーンに指定されると、県のページによれば建築基準法に基づく建築物の構造規制などがかかります——居室を有する建築物は、作用すると想定される衝撃に対して安全な構造としなければなりません。ただし、この適合が建築確認で審査されるとは限りません——建築士が設計する新3号建築物など、次に見る建築確認の特例の条件を満たす場合には、審査の対象から外れます——木造戸建てというだけでは、外れません(次の段落で書きます)。審査されなくても、適合させる義務は残ります。条例第5条とは、根拠も中身も別の話です。
ただし、県は同じページで念を押しています——木造一戸建て建築物などの場合は建築確認の特例により、居室を有する建築物についての建築基準法施行令第80条の3が確認審査の対象外となるため、設計者の責任がより大きくなる、と。「確認で見てもらえるから」と任せきりにできる話ではありません。ただし、県のこの書き方には、いまの法律の条件が入っていません。令和7年4月1日に施行された改正のあと、確認の特例で令第80条の3の審査が省略されるのは、建築士が設計する新3号建築物などです(法第6条の4第1項第3号、令第10条第3号・第4号)。新3号は法第6条第1項第3号の建築物——平屋かつ延べ面積200平方メートル以下で、都市計画区域等の中にあるものです。一般的な木造2階建て住宅は、法第6条第1項第2号(2以上の階数を有し、または延べ面積が200平方メートルを超える建築物)に当たるので、木造戸建てというだけでは、審査省略の対象になりません。型式認定による特例(法第6条の4第1項第1号・第2号)は、これとは別にあります。計画の規模と、どこまで審査されるかは、申請先に確かめてください。レッドゾーン内の居室を有する建築物について、令第80条の3に対応する2つの方法——外壁等(外壁・構造耐力上主要な部分のうち、土石等の高さ等以下で、土砂災害の原因となる自然現象〔河道閉塞による湛水を除く〕により衝撃が作用すると想定される部分)を所定の構造にするか、土石等の高さ等以上の高さで、外壁等と同等以上の耐力を有するものとして国土交通大臣が定めた構造方法による門・塀を、衝撃を遮るように設けるか——と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。
申請に添える図面には、崖の高さ・勾配・土質と、下端からの距離を書きます
申請に添える図書は、特定行政庁ごとの細則・様式を確認します。宮城県が特定行政庁となる区域では、宮城県建築基準法施行細則第25条第1項の表が、崖に接する場所を敷地とする建築物について、縦断面図、横断面図及び詳細図を添えることを求めています。そこに明示する事項は、縮尺、崖の高さ、勾配及び土質、崖の下端から建築物までの水平距離、擁壁の材料の種類及び寸法です。仙台市・石巻市・塩竈市・大崎市では、各市の細則と様式を確認してください——中身が同じでも条番号が違います(塩竈市建築基準法施行細則は第21条、大崎市建築基準法施行細則は第22条)。
この5つが、そのまま「測っておくこと」の一覧です。崖の高さ・勾配・土質・下端からの距離・擁壁の材料と寸法。どれも、現地を見て図面にしないと出てきません。まず建築士に相談し、必要な現況測量の手配を含めて、断面図と配置案をまとめてもらいます。
相談の窓口は、5つの特定行政庁です
宮城県内で特定行政庁(原則として、建築主事または建築副主事を置く市町村の区域ではその市町村長、それ以外の区域では都道府県知事。ただし、法第97条の2第1項・第2項により建築主事等を置く市町村(限定特定行政庁)では、その区域内の政令で定める建築物については都道府県知事)となるのは、宮城県・仙台市・石巻市・塩竈市・大崎市の5つです。令和8年4月1日現在、県内に限定特定行政庁はありません(法第97条の2)——全国建築審査会協議会の特定行政庁一覧で確かめました。建物の規模で、県と市が入れ替わることはありません。県が特定行政庁となる区域では、平成20年4月1日から、県への申請の提出先が各市町村を所管する県土木事務所に変わっています。
| 行政庁 | 窓口 | 担当区域 | 電話 |
|---|---|---|---|
| 宮城県 | 大河原土木事務所 建築班 | 白石市、角田市、蔵王町、七ヶ宿町、大河原町、村田町、柴田町、川崎町、丸森町 | 0224-53-3918 |
| 宮城県 | 仙台土木事務所 建築部 建築第一班・建築第二班 | 名取市、岩沼市、亘理町、山元町、富谷市、大和町、大郷町、大衡村、多賀城市、松島町、七ヶ浜町、利府町、塩竈市(都市計画法のみ) | 022-297-4347・4348 |
| 宮城県 | 北部土木事務所 建築班 | 加美町、色麻町、涌谷町、美里町、栗原市 | 0229-91-0737 |
| 宮城県 | 東部土木事務所 建築班 | 東松島市、女川町、登米市 | 0225-94-8691 |
| 宮城県 | 気仙沼土木事務所 建築班 | 気仙沼市、南三陸町 | 0226-24-2538 |
| 仙台市 | 各区役所 建設部街並み形成課 | 青葉区・宮城野区・若林区・太白区・泉区 | 022-225-7211(青葉区)/022-291-2111(宮城野区)/022-282-1111(若林区)/022-247-1111(太白区)/022-372-3111(泉区)。いずれも区役所の代表番号 |
| 塩竈市 | 産業建設部まちづくり・建築課 | 塩竈市 | 022-364-1126 |
| 石巻市 | 建設部建築指導課 | 石巻市 | 0225-95-1111(代) |
| 大崎市 | 建設部建築指導課 | 大崎市 | 0229-23-2111(代) |
全県の総括は宮城県 土木部 建築宅地課 建築指導班(仙台市青葉区本町三丁目8番1号・県行政庁舎9階南側/022-211-3243)です。県の土木事務所が担当する区域でも、1ヘクタール以上の開発行為と、市街化調整区域での建築・開発行為は、県土木部建築宅地課開発防災班(022-211-3244)が所管します。
建築確認そのものは、業務の範囲内であれば指定確認検査機関(民間の確認検査機関)にも申請できます。仙台市のFAQも、条例への適合について「設計者(建築士)による調査をもとに、確認申請を審査する指定確認検査機関が判断することとなります」と書いています。役割を分けて考えてください。土質調査・構造検討は設計者が行います。条例についての事前相談は、所管する建築行政の窓口(上の表)へ。確認申請上の適合判断は、申請先の建築主事等又は指定確認検査機関が行います。知事の認定が必要な事項は、知事の判断になります。
売買契約の前に、専門家と確かめること
この一覧は、自分で判定するためのものではありません——測って図にするのは建築士、条例の事前相談は所管の建築行政の窓口、確認申請上の適合判断は建築主事等又は指定確認検査機関です。個別の判断は、建築士と窓口にご確認ください。
- ①その土地は、県・仙台市・石巻市・塩竈市・大崎市のどこが特定行政庁か。県なら、上の表の土木事務所です
- ②第1項の確認——敷地内や隣接地に限らず、計画する建物の周辺に、角度30度を超え、高さ2メートルを超える崖があるか。目測ではなく、現況の測量図と断面図で
- ③第2項の確認——高さ2メートル以下でも、角度30度を超える崖に、または崖に近接して建てる計画か。崖への流水・浸水を防ぐ排水の措置が要ります。第2項に、高さ・距離・居室の限定はありません
- ④建てる位置が、崖の下端から水平距離で崖の高さの2倍以内に入るか。崖の上でも下でも、起点は下端です
- ⑤建てるものに居室があるか。居室がなくても、第2項の排水の措置は別に残ります。崖崩れ等による被害を受けるおそれがあれば、法第19条第4項の措置も要ります(おそれの有無を判断するのは建築士と窓口です)。第2項に、高さや距離の数字はありません
- ⑥ただし書の第1号から第3号のどれかに当たるか。土質・勾配・構造・距離・防護壁のどれで通すかを、設計者と決める
- ⑦すでに擁壁があるなら、「安全上支障がない擁壁又は擁壁の類」と言えるか。設計者による安全性の確認が要ります
- ⑧その土地が県の災害危険区域(知事の指定)や、急傾斜地崩壊危険区域・地すべり防止区域に入っていないか
- ⑨その土地が土砂災害警戒区域・特別警戒区域に入っていないか。地図だけでなく、告示図書と併せて
- ⑩市町村の災害危険区域の条例があるか(県内14市町村)。仙台市では、県の第2章に代わって市の条例が働きます
- ⑪申請に添える図面に、縮尺・崖の高さ・勾配・土質・下端からの水平距離・擁壁の材料と寸法が書けるか。様式と条番号は、特定行政庁ごとの細則で確かめます(宮城県の細則では第25条)
確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に。崖の高さと、崖の下端からの距離は、現況の測量図と断面図がないと判断できません——測量と図面は建築士に、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口に、お尋ねください。
出典
- 宮城県建築基準条例関係(県建築宅地課。県例規検索システムへの入口。例規検索システムは条文への固定URLを持ちません。建築基準条例=昭和35年7月21日 宮城県条例第24号/建築基準法施行細則=昭和46年3月30日 宮城県規則第21号。内容現在=令和8年7月31日。附則第2項で、旧「宮城県建築基準条例」(昭和26年宮城県条例第19号)を廃止しています——県名が付くのは、その廃止された旧条例のほうです)
- 宮城県例規集(条例・規則の正文。内容現在=令和8年7月31日。検索語「建築基準条例」「建築基準法施行細則」でそれぞれ1件。正文の表記は「崖」の漢字・号は「(1)(2)(3)」。下の逐条解説PDFは「がけ」「一・二・三」で条文を再掲していますが、第2項は正文が「有効に排出する」、PDFが「有効に排水する」で、表記のほかに1字だけ字句が違います。この記事の引用は正文(この例規集)に合わせています)
- 宮城県建築基準条例第5条について(PDF・県建築宅地課。第5条の逐条解説。第1図〜第7図、第1表・第2表)
- 災害危険区域について(宮城県。市町村の災害危険区域条例による建築制限の実施状況の一覧)
- 平成20年4月1日から建築確認申請の提出先等が変更になりました(宮城県)
- 担当業務・担当区域・建築相談等について(仙台土木事務所建築部)(宮城県。「県内の建築行政組織」の表=窓口・担当区域・電話)
- 宮城県建築基準(宮城県。特定行政庁と指定確認検査機関の一覧)
- 特定行政庁一覧(全国建築審査会協議会・令和8年4月1日現在。宮城=法第4条第1項 仙台市/法第4条第2項 石巻市・塩竈市・大崎市/法第97条の2 該当なし)
- 土砂災害特別警戒区域の確認方法について(宮城県建築宅地課)
- 土砂災害防止法(宮城県防災砂防課。令和7年度末までに9,761箇所の指定)
- いわゆる「がけ条例」について教えてください。(仙台市FAQ・2026年1月20日更新)
- 建築基準法(e-Gov法令検索・第2条第4号・第3条・第9条第1項・第19条第4項・第20条・第39条・第40条・第86条の7・第88条・第98条)
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索・第1条第3号・第3章第8節・第80条の3・第138条・第142条)
- 塩竈市建築基準法施行細則(塩竈市。第21条=確認申請書に添える図書)
- 大崎市建築基準法施行細則(大崎市。第22条=確認申請書等に添える図書/第29条=既存の建築物に対する制限の緩和)
- 規制内容に関するお問い合わせ窓口(仙台市都市計画情報インターネット提供サービス。各区役所建設部街並み形成課の代表番号)
- 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(e-Gov法令検索・第3条第1項)
- 地すべり等防止法(e-Gov法令検索・第3条第1項)
- 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(e-Gov法令検索)
- 宅地造成及び特定盛土等規制法(e-Gov法令検索。県の解説が引く「宅地造成等規制法」の現行法)
- 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(e-Gov法令検索)
条文は2026年9月1日に、宮城県の例規検索システム(内容現在=令和8年7月31日)で、建築基準条例の第3条・第4条・第5条・第25条・第26条・第27条・附則第2項と、建築基準法施行細則の第25条・第46条の2を確認しました。既存の建築物の緩和(条例第24条)は、2026年8月29日に同じ例規検索システムで確認しています。解説は、県建築宅地課の「宮城県建築基準条例第5条について」(PDF・8ページ)を読みました。塩竈市建築基準法施行細則(第21条)と大崎市建築基準法施行細則(第22条・第29条)は、2026年9月2日に各市の例規集で本文を確認しました。仙台市・石巻市の例規は、この記事では読んでいません——様式と条番号は、各市の窓口でご確認ください。また、市町村14本の災害危険区域条例の本文も読んでいません——県のページの一覧で施行日と区域名を確かめただけです。県の解説が引く技術基準は、旧「宅地造成等規制法」の施行令にもとづくものです。いまの盛土規制法での条番号と数値は、窓口と建築士にご確認ください。
