大阪で崖の近くに家を建てる・買う人へ——最初に答えから。
大阪府には、崖からの距離で建築を縛る、いわゆる「がけ条例」に当たる条文がありません。代わりに効くのは、大阪府建築基準法施行条例 第3条・第4条の災害危険区域です。
先にすることは、3つです。条文が無くても、災害危険区域、市の条例、建築基準法第19条第4項などの規制は別にあります。まず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、擁壁(ようへき=高低差のある土地で、土が崩れるのを防ぐための壁状の構造物)や構造の費用を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って計画地を所管する建築行政の窓口へ、区域の指定と当てはめを確かめる。窓口は、一つではありません——建築行政(条例と建築確認)、河川・土木(土砂災害の区域と急傾斜地の許可)、市の開発(開発の条例)の三系統に分かれます。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。
①大阪府の条例には、崖からの距離で建築を縛る条文がありません——府の例規集で大阪府建築基準法施行条例(昭和46年3月11日 大阪府条例第4号)の全文を検索しても、「がけ」「崖」は1か所も出てきません。②府も公式にそう答えています(大阪府「建築基準法に関するよくあるお問合せ集(FAQ)」の「がけ条例はありますか?」。この記事の出典にもリンクがあります)。③代わりに効くのが災害危険区域(同条例第3条・第4条)で、第一種地区は住居の用に供する建築物の建築が原則禁止ですが、知事の許可による例外があります——許可するかどうかは、崩壊防止工事の施行の状況や土地の状況等からみて知事が判断します。第二種地区は住居の用に供する建築物の主要構造部の指定が原則ですが、建築物または建築物の周囲に急傾斜地の崩壊に対して安全上適当な防護措置が講じられている場合は、その指定から外れます——安全上適当かどうかを決めるのは、所管の窓口です。④土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に入れば、建築基準法施行令第80条の3の構造規制が別に働きます。レッドゾーンで見るのは、令第80条の3だけではありません——土砂災害防止法第25条により、レッドゾーンのうち建築基準法第6条第1項第3号の区域(都市計画区域など)の外にある部分でも、居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)を有する建築物はその区域内のものとみなされ、建築確認などの規定がかかります(建築基準法第6条から第7条の5まで、第18条など)。同法第6条第1項第1号・第2号の建築物は、もともと区域に関係なく確認の対象なので、第25条が追加する対象からは除かれます。この第25条による追加の建築確認は、同じ第25条が適用する建築基準法第91条により、敷地の過半がレッドゾーン内にある場合にかかります。建築確認が要るかどうかは、これだけでは決まりません——区域・用途・規模とあわせて窓口で確かめてください。ただし、この過半の判定は、令第80条の3の構造の規制まで外しません——敷地の過半が区域外でも、建築物がレッドゾーン内にかかるなら、構造の規制は別に確かめます。計画によっては、土砂災害防止法第10条第1項の特定開発行為の許可も確かめます。⑤崖からの距離の数字が出てくるのは急傾斜地崩壊危険区域の許可基準で、これは建築基準法ではありません。⑥そして市によって、当たる条例が変わります。⑦どの区域の外でも、崖崩れのおそれがあれば建築基準法第19条第4項の措置の検討が残ります。⑧第一種地区・第二種地区・レッドゾーンには、それぞれ建てるための道があります——第一種地区は知事の許可を受ければ、府条例第4条第1項の建築禁止が外れます。第二種地区は主要構造部を鉄筋コンクリート造などにするか、安全上適当な防護措置で同条第2項の指定を満たせます。レッドゾーンは令第80条の3への適合でその構造の規制を満たせます。ここで外れる・満たせるのは、それぞれの規定だけで、建築可否の全体を保証するものではありません。ただし、市の条例・急傾斜地法の許可・建築基準法第19条第4項は別に確認してください。条文は2026年9月1日に、大阪府例規集(令和8年4月1日施行の版)で確認しました。なお、令第80条の3ただし書により、土石等の高さ等以上の高さの門または塀(外壁等と同等以上の耐力を有するものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものに限ります)が、その衝撃を遮るように設けられている場合は、この限りではありません。
大阪府の条例に「がけ」の条はありません——府が公式にそう答えています
大阪府建築基準法施行条例の全文を、府の例規集で検索しました。「がけ」も「崖」も、1か所も出てきません。崖の高さや、崖からの水平距離で建築を制限する条は、この条例には置かれていません。
府自身も、建築基準法のFAQで同じことを書いています。
1.がけ条例はありますか?
大阪府「建築基準法に関するよくあるお問合せ集(FAQ)」I.関係法令
大阪府が特定行政庁の市町村にはありません。
ただし、がけ地に関する規定として、「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」、「災害危険区域」という区域の指定を受けている場合、それぞれ関係規定に適合する必要があります。
「がけ条例が無い」は、「規制が無い」ではありません。府の答えは、そのすぐあとでレッドゾーンと災害危険区域を挙げています。府条例第4条の制限は、崖からの距離ではなく区域の種別で決まります。ただし、急傾斜地法の許可基準の離隔や、建築基準法第19条第4項は別に残ります。
まず、計画地の市町村名で分けてください。大阪の特定行政庁は、17市の市長と、その他26市町村を所管する大阪府知事です(17市+26市町村=府内の全43市町村)。「府にはない」という答えは、この26市町村についての答えです。特定行政庁とは、原則として、建築主事または建築副主事を置く市町村の区域ではその市町村長、それ以外の区域では都道府県知事のことです。ただし、法第97条の2第1項・第2項により建築主事等を置く市町村(限定特定行政庁)では、その区域内の政令で定める建築物については都道府県知事になります。
市が特定行政庁の17市——大阪市、豊中市、堺市、東大阪市、吹田市、高槻市、守口市、枚方市、八尾市、寝屋川市、茨木市、岸和田市、門真市、箕面市、和泉市、池田市、羽曳野市。この17市は、いずれも建築基準法第4条第1項又は第2項により建築主事等を置く市で、第97条の2による限定特定行政庁ではありません(全国建築審査会協議会「特定行政庁一覧」令和8年4月1日現在)——計画の規模によって、市と府が入れ替わることはありません。
府が特定行政庁の26市町村——泉大津市、泉佐野市、大阪狭山市、貝塚市、柏原市、交野市、河南町、河内長野市、熊取町、四條畷市、島本町、摂津市、泉南市、太子町、大東市、高石市、田尻町、忠岡町、千早赤阪村、豊能町、富田林市、能勢町、阪南市、藤井寺市、松原市、岬町。17市・26市町村のどちらに入っても、市の条例・開発の条例と、土木の窓口(急傾斜地の許可・土砂災害の区域)は、別に確かめてください。
代わりに効くのは、災害危険区域です(府条例第3条・第4条)
根拠は建築基準法第39条です。第1項で地方公共団体は条例で災害危険区域を指定できるとし、第2項でその区域内の住居の用に供する建築物の建築の禁止その他の制限を、その条例で定めるとしています。大阪府はこれを受けて、条例第3条で区域を指定し、第4条で制限を置きました。
(災害危険区域)
大阪府建築基準法施行条例 第3条第1項
第三条 災害危険区域は、急傾斜地崩壊危険区域及び急傾斜地崩壊危険区域以外の区域で急傾斜地の崩壊による危険の著しい区域として知事が指定するものとする。
制限は「崖からの距離」ではなく、「区域の中かどうか」で決まります。知事が指定した区域の線の内か外か——それが分かれ目です。指定は公示によって効力を生じます(第3条第4項)。
指定されている区域は、府が一覧表で公表しています。区域が載っている市町村は27(令和6年9月18日更新の一覧表)。種別の欄はほとんどが「1種」で、「2種」は表の中で10行です。区域図のPDFも、区域ごとに置かれています。ただし府は「区域図については指定当時の図面となります」と断っています——区域図は、指定した当時の地形・地物を写した図面です。現況との対応は、最新の測量図を持って窓口で確かめてください。
そして府は、こう注記しています。
高槻市及び和泉市並びに箕面市の一部については、各市の市条例による指定となりますので、詳細については各市にお問い合わせください。
大阪府「災害危険区域の指定状況」(令和6年9月18日更新)
第一種地区では、住居の用に供する建築物は原則禁止。知事が崩壊防止工事の施行の状況等をみて許可した場合に建てられます
(建築に関する制限)
大阪府建築基準法施行条例 第4条第1項
第四条 災害危険区域のうち、急傾斜地崩壊危険区域及び災害防止のため特に必要があると認めて知事が指定する区域(以下これらを「第一種地区」という。)内においては、住居の用に供する建築物を建築してはならない。ただし、急傾斜地崩壊防止工事の施行の状況、土地の状況等からみて急傾斜地の崩壊による被害を受けるおそれがないと認めて知事が許可した場合は、この限りでない。
本文だけを読むと「建てられない」で終わります。ただし書に、建てる道が書いてあります。府はこの道を、自分のページでこう説明しています。
災害危険区域のうち、第一種地区内では、住居の用に供する建築物を建築してはならないと規定されています。
大阪府「災害危険区域内の建築許可について」
ただし、急傾斜地崩壊防止工事が施工されている場合は、知事の許可により建築することができます。
崩壊防止工事が済んでも、自動では建てられません。工事の施行の状況や土地の状況等からみて被害を受けるおそれがないと知事が認め、許可した場合に建築できます。許可の申請には、様式第15号の申請書に付近見取図・現況図・配置図・各階平面図・立面図・断面図と、崩壊防止工事が施行されているのが確認できる写真を添えます。現況図には、敷地の外周から50メートルの範囲の地形、建築物及び工作物の位置及び構造、立木竹の位置、道路の幅員及び位置、崩壊防止工事の施行位置を明示します。これで足りるとは限りません——細則第33条第4項は、知事が必要と認める場合には、参考となる図書又は書面を添付させることがあると定めています。
正本1部・副本2部を作り、市町村を経由したうえで、正本1部・副本1部を大阪府審査指導課確認・検査グループへ持参します。府条例第4条第1項ただし書のこの許可は、府条例が適用される区域では大阪府に申請します——府のFAQ H-2は「高槻市・和泉市以外の市町村内」と書いています。ただし府は箕面市の一部も市条例による指定としています。高槻市・和泉市・箕面市の市条例に基づく指定区域については、各市の条例と申請窓口を確かめてください。この許可は、建築確認とは別の手続です。建築確認そのものは、業務の範囲内であれば指定確認検査機関(民間の確認検査機関)にも申請できますが、この許可は知事のものです。ただし、すべての計画に建築確認が要るとは限りません——都市計画区域などの外では、原則として第1号の特殊建築物か、階数2以上または延べ面積200平方メートル超のものが確認の対象です(法第6条第1項第1号・第2号)。確認が要るかどうかは、区域・階数・床面積と、土砂災害防止法第25条の適用を含めて窓口に確かめてください。建築確認が必要な場合は、確認だけでなく、この許可も別に要ります。建築確認が要らない計画でも、府条例第4条第1項の禁止は働きます——この許可は別に要ります。許可をいつ取るかも(建築確認の前かどうかを含めて)、窓口に確かめてください。
擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(この条の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。
第二種地区は、住居の用に供する建築物の主要構造部を鉄筋コンクリート造などにすれば、原則として建てられます(満たせるのは第4条だけ)
2 災害危険区域のうち、第一種地区に含まれない区域(以下「第二種地区」という。)内においては、住居の用に供する建築物の主要構造部は、鉄筋コンクリート造その他規則で定めるこれと同程度以上の耐力を有する構造としなければならない。ただし、建築物又は建築物の周囲に急傾斜地の崩壊に対して安全上適当な防護措置が講ぜられている場合は、この限りでない。
大阪府建築基準法施行条例 第4条第2項
第二種地区は、禁止ではありません。第4条第2項が構造を指定しているのは住居の用に供する建築物の主要構造部です。主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段。構造上重要でない間仕切壁・間柱・最下階の床などは除かれます。法第2条第5号)を定められた構造にすれば、原則として建てられます——ただし満たせるのは条例第4条だけで、ほかの規制は別に確認が要ります。「その他規則で定めるこれと同程度以上の耐力を有する構造」は、大阪府建築基準法施行細則の第35条が3つ挙げています。
- プレキャストコンクリート造
- 鉄骨鉄筋コンクリート造
- 前二号のほか、衝撃に対して構造耐力上安全であると認められる構造
第2項のただし書も、建てる道です。建築物または建築物の周囲に、急傾斜地の崩壊に対して安全上適当な防護措置が講じられていれば、構造の指定は外れます。大阪府内建築行政連絡協議会(府がFAQで参考先として挙げている団体)が出している条例の解説は、この「防護措置」の例として法令により行われたがけ地の改修工事で工事が完了したもの等を挙げています。どの構造で足りるか、防護措置が足りているか——決めるのは、読者ではありません——設計するのは建築士、当てはめを判断するのは所管の窓口です。
第一種も第二種も、かかるのは「住居の用に供する建築物」だけです
条文はどちらも「住居の用に供する建築物」と書いています。この解説も、はっきり書いています——「第1種地区及び第2種地区とも住居の用に供する建築物以外の建築物についてはこの規定の適用は受けない」。
これは「安全だ」という意味ではありません。倉庫も車庫も工場も、崩れてくる土砂を避けられるわけではありません。外れるのは条例第4条の制限だけで、あとに出る建築基準法第19条第4項は、用途を問わず残ります。住居かどうかの線引きも、目測では決まりません——用途の判断は所管の窓口です。
区域の指定の前から適法にあった建築物が、指定と同時に直ちに使用禁止となるわけではありません。建築基準法第3条第2項は、この法律・命令・条例の規定の施行または適用の際に現に存する建築物がその規定に適合しない場合、その規定は適用しないと定めています。指定によって新たに規定へ適合しなくなった建築物や敷地は、原則として既存不適格(きそんふてきかく=建てたときは適法だった建物)となります。ただし、違反建築物を適法にする制度ではありません——同条第3項第一号は、従前の規定に違反している建築物には第2項を適用しないと定めています。増築・改築・建替え、用途変更等は別に確認が必要です。区域内に現に存する既存不適格で住居の用に供するものについては、移転に「がけ地近接等危険住宅移転事業」という国庫補助制度が設けられていると書かれています。使えるかどうかは市町村ごとです——お住まいの市町村にお尋ねください。
レッドゾーンは別の規制です——令第80条の3は、外壁等で受けるか門・塀で遮るかで満たせます(確認と開発の許可は別)
災害危険区域と土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は、別の制度です。指定の法的根拠・要件・効果が異なります。府が指定する区域については、いずれも知事が指定します——レッドゾーンは土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の第9条第1項で、都道府県知事が指定します。大阪府内では、令和8年7月24日までに警戒区域8,384箇所・特別警戒区域7,775箇所が指定されています。
レッドゾーンで確かめるのは3つです——①令第80条の3の構造の規制、②土砂災害防止法第25条による建築確認の扱い、そして計画によっては③同法第10条の特定開発行為の許可。①の令第80条の3がかかるのは、居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)を有する建築物の構造です。根拠は建築基準法施行令第80条の3。府のFAQは、答えの側から書いています。
「居室」を有する建築物については、建築基準法施行令第80条の3に適合した計画とすれば、建築することができます。
大阪府「建築基準法に関するよくあるお問合せ集(FAQ)」C.構造規定 2
建築基準法施行令第80条の3に適合させるには、以下の2つのうち、どちらかを守らなければなりません。
A:土砂崩れが起きた時に土砂によって建築物が押しつぶされないように、土砂の当たる外壁を鉄筋コンクリート造とすること。
B:土砂崩れが起きた時に建築物をガードする鉄筋コンクリート造の塀を敷地内の適切な位置に築造すること。
外壁か、塀か——どちらかで令第80条の3を満たせます。区域ごとに定められた力の大きさと土石等の高さを使い、令第80条の3に適合する外壁等または門・塀を設計できれば、という意味です。どちらの方法が使えるかは、区域ごとの数値と計画をもとに設計者が検討し、所管の窓口で確かめます——読者が選ぶメニューではありません。満たせるのは令第80条の3だけで、ほかの規制は別に残ります。災害危険区域の制限も、開発の許可も、別に確かめてください。
「力の大きさ」や「土砂の堆積する高さ」は、区域ごとに知事が定めた数値です。府は、指定した区域を示す図面等が河川室河川環境課管理グループ、地域の土木事務所、そして市町村役場で縦覧できると案内しています。設計に入る前に、その数値を取りにいく必要があります。
レッドゾーンには、もうひとつ開発の側の制限があります。同法第10条第1項は、区域内で制限用途の建築物が予定される開発行為(特定開発行為)に知事の許可を要すると定めています。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為その他の政令で定める行為については、この限りではありません(同項ただし書)。制限用途は同条第2項で、住宅(自己の居住の用に供するものを除く)と、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に防災上の配慮を要する者が利用する社会福祉施設・学校・医療施設(政令で定めるものに限る)と定められています。ここでいう開発行為は、第1項が引く都市計画法第4条第12項のもの——主として建築物の建築等の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更です。分譲計画のうち、開発行為に当たる場合は特定開発行為の許可を確かめます。登記上の分筆だけで直ちに該当するとは限りません。なお、令第80条の3に対応する2つの方法(外壁等を所定の構造にするか、門・塀で衝撃を遮るか)と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。
レッドゾーンでどんな構造が求められるかは、土砂災害特別警戒区域で求められる構造にまとめています(区域に入るかどうかの判定と、この条例の当てはめは、上の窓口で確かめてください)。
距離の数字が出るのは、急傾斜地崩壊危険区域の許可基準です
この記事で読んだ府の文書のうち、崖の上端・下端からの距離が数字で出てくるのは、次の1つだけです。急傾斜地崩壊危険区域内の行為の許可の審査基準——根拠は急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律の第7条第1項で、建築基準法ではありません。許可の権限は知事で、委任先は土木事務所長。申請先は各土木事務所管理課です。許可が要る行為は、切土・盛土だけではありません——のり切・切土・掘さく・盛土、急傾斜地崩壊防止施設以外の施設・工作物の設置または改造、立木竹の伐採、木竹の滑下・地引による搬出、土石の採取または集積、水のしん透を助長する行為、そのほか政令で定めるものが各号に並びます。なお、同項ただし書により、非常災害のために必要な応急措置として行う行為、区域の指定の際すでに着手している行為、政令で定めるその他の行為は、許可の対象から外れます。ただし、許可が要らないことと、届出が要らないことは違います——区域が指定されたとき、すでにその行為に着手していた人は、指定の日から起算して14日以内に、国土交通省令で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければなりません(同条第3項。非常災害のために必要な応急措置として行う行為と、第1項ただし書の政令で定めるその他の行為を除きます)。国または地方公共団体は、同条第4項により許可ではなく協議によります。
「指定の日」がいつで、14日をどう数えるか——ここでいう「指定の日」は、区域の指定が公示によって効力を生じた日です。知事は指定をするとき国土交通省令で定めるところにより区域を公示し(同法第3条第3項)、指定は、その公示によって効力を生じます(同条第4項)。数え方の目印は、条文の「その指定の日から起算して」という書き方です。民法第140条は期間の初日は算入しないと定めていますが、法令が「から起算して」と書くときは、一般にその原則を明文で外し、その日を1日目として数えます。ただし、この届出について、国や府が数え方を示した資料は見つかりませんでした。日にちが際どいときは、区域を所管する府の窓口(急傾斜地法の許可の窓口)に、指定の公示日と提出期限を確かめてください。なお、この届出をしなかったり、うその届出をしたりすると、同法第29条第2号により1万円以下の罰金です。
数字を見る前に、押さえるところがあります。審査基準は、区域内での行為は原則として禁止とし、「ただし、急傾斜地崩壊対策施設が既に完成している場合、又は必要な対策を講じればこのかぎりではない」と書いています。この距離だけで許可される、という形ではありません。審査は、行為の内容が崩壊を助長し、又は誘発するおそれがないことを見ますし、既にある対策施設を損傷し、又はその機能を低下させる行為は禁止されています。対策施設が無くても、必要な対策を講じる道はあります。
下端(かたん)は崖のいちばん下、上端(じょうたん)はいちばん上。ただし起点は、崖の上と下で違います——崖の上に建てるときは「がけ上端」から、崖の下に建てるときは「がけ下端の急傾斜地崩壊対策施設構造物」から測る、と審査基準は書いています。
(2)急傾斜地(以下「がけ」という)の下に建築を計画する場合は、原則としてがけ下端の急傾斜地崩壊対策施設構造物より1.5m以上離し、建築物の基礎は深さ50cm以内とするが、十分な離隔が得られる場合はこのかぎりではない。
大阪府「急傾斜地崩壊危険区域内の行為の許可」審査基準 3 建築に関する基準
(3)がけの上に建築を計画する場合
①がけ面の上端まで法枠工等の急傾斜地崩壊対策施設が設置されている場合、原則としてがけ上端より1.5m以上離し、建築物の基礎は深さ50cm以内とするとともに鉄筋コンクリート造(布基礎等)とするが、十分な離隔が得られる場合はこのかぎりではない。
審査基準の②が言うのは「前項①以外の自然斜面」——つまりがけ面の上端まで対策施設が設置されている場合以外です。対策施設が全く無い場合だけではありません。そのときは、自然斜面の下端から安定勾配(別表)を超える土地での行為は避けるのが原則です(安定勾配=土質ごとに別表で定められた傾き。自然斜面の下端からその傾きで引いた線が安定勾配線です)。安定勾配線ががけ上端より2.0メートル以内なら最小限2.0メートル以上、がけ上端より5.0メートル以上なら最小限5.0メートル以上離して計画し、基礎は深さ50センチメートル以下かつ鉄筋コンクリート造(布基礎等)とする——ただし十分な離隔が得られる場合はこのかぎりではない、と書かれています。排水は、崖の付近に影響を及ぼさないようコンクリート造水路とすること。安定勾配線が、がけ上端より2.0メートルを超え5.0メートル未満のときは、審査基準の文に数字がありません——ここに当たるなら、離隔をいくつ取るかは土木事務所に確かめてください。安定勾配線を土質から決めて図面に引くのは、設計者です。また、対策施設が無い斜面でも、必要な対策を講じる道はあります(上に書いた基本原則)。ただし、どの対策を講じたかで、当たる基準が変わります——上に引いた①のとおり、がけ面の上端まで対策施設が設けられている場合でも、原則としてがけ上端から1.5メートル以上の離隔と基礎の条件が残ります(十分な離隔が得られる場合を除きます)。対策のあとにどの基準が当たるかは、断面図と対策の計画を示して土木事務所に確かめてください。なお、崖の上に建てる場合のコンクリート造水路による排水の処理は、審査基準3(3)の③として①②と並んで置かれています——対策施設がある場合と自然斜面の場合の双方について確かめます。
| 土質 | 勾配 | 角度 |
|---|---|---|
| 軟岩(風化の著しいものを除く) | 1:0.58 | 60度以下 |
| 風化の著しい岩 | 1:1.19 | 40度以下 |
| 砂利、真砂土、硬質粘土その他これに類するもの | 1:1.43 | 35度以下 |
この審査基準は、建築物の建築に関する制限については、大阪府建築基準法施行条例第4条を適用するとも書いています。大阪府条例が適用される区域では、急傾斜地崩壊危険区域は第一種地区です。条例第3条が急傾斜地崩壊危険区域を災害危険区域とし、第4条第1項がそれを第一種地区に含めています。つまり同じ土地に、急傾斜地法の行為の許可と府条例第4条の建築の制限が重なります。窓口も2つです。土木事務所と、建築行政の窓口。どちらか一方で「大丈夫」と言われても、もう一方は残ります。高槻市・和泉市・箕面市の市条例による指定区域は、各市の条例で確かめます。
数字の読み方をひとつ。急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律の第2条は、「急傾斜地」とは傾斜度が三十度以上である土地と定めています。「以上」なので、30.0度ちょうども入ります。次に出る細則の「2メートルを超える」とは、線の引き方が違います。
条文に「崖」が出てくるのは、図面を出せという細則です
条例には無い「崖」の字が、大阪府建築基準法施行細則(昭和25年11月22日 大阪府規則第111号)には出てきます。確認申請に添える図書を並べた第6条第1項の、第4号です。
四 高さ二メートルを超える崖(がけ)に近接して建築物を建築し、又は工作物を築造する場合は、崖の上下端から当該建築物又は工作物までの水平距離、崖の形状、土質等を示す図書
大阪府建築基準法施行細則 第6条第1項第4号
引用の「(がけ)」は、例規集が「崖」に付けているふりがなです。そして、これは制限ではありません。「離しなさい」とも「擁壁を設けなさい」とも書いていません。書いてあるのは、図面を出しなさい、ということだけです。同じ内容の号は、計画の変更や全体計画認定の申請にも置かれています(第10条の2第1項第4号、第29条の11第1項第6号)。
ただし、軽い規定だと読まないでください。この図面が出れば、窓口は崖の高さ・形状・土質と、建物までの水平距離を見ます。そこから災害危険区域や、建築基準法第19条第4項の話につながります。図面を出す段になって初めて気づくのでは、遅いのです。
数字は「高さ二メートルを超える」です。2.0メートルちょうどは当たりません(「以上」ではありません)。「超える」と「以上」は、同じ土地で結論が変わります。
市によって、当たる条例が変わります
以下は全市調査ではなく、例示です。この記事で条例・細則を読んだのは、府と大阪市・堺市・羽曳野市・枚方市までです。府の条例には、市町村が同じ事項の条例を作ったときの規定があります。
(市町村が条例を定める場合の適用除外)
大阪府建築基準法施行条例 第80条
第八十条 市町村が法第三十九条、第四十条、第四十三条第三項、第五十六条の二第一項又は第百七条の規定に基づき制定する条例に規定する事項がこの条例に規定する事項と同一の事項である場合にあっては、知事が規則で定めるところにより市町村を指定してこの条例の当該同一の事項に係る規定は、当該市町村の区域において適用しないこととする。
その「指定する市」は、細則の第49条にあります——大阪市、豊中市、吹田市、高槻市、和泉市及び箕面市の6市です。外れるのは「当該同一の事項に係る規定」だけで、条例まるごとではありません。この6市では、市の条例と府の条例の両方を見る必要があります。どの規定が「同一の事項」に当たるかは、市と府の窓口で確かめてください。
大阪市は、自分のページでこう書いています——「大阪市内においては、大阪市建築基準法施行条例、大阪府建築基準法施行条例の両方が適用されます。」その大阪市建築基準法施行条例(平成12年4月1日 条例第62号、最近改正 令和7年12月15日 条例第55号)と、大阪市建築基準法施行細則(昭和35年6月30日 規則第42号、最近改正 令和8年3月27日 規則第11号)を全文で見ても、「がけ」「崖」は1か所もありません。
堺市は、数字が府と違います。堺市建築基準法施行細則(昭和44年3月31日 規則第15号)の第8条第1項第4号は、「高さ1メートルを超える崖」について図書を求めています。府は2メートル超、堺市は1メートル超——府では要らない図面が、堺市では要ります。同じ内容の号は第9条の6第1項第3号にもあります。羽曳野市も同じで、羽曳野市建築基準法施行細則(平成16年3月26日 規則第7号)の第3条第4号が「高さ1メートルを超える崖」について同じ図書を求めています。
枚方市は、建築基準法ではなく開発の条例で措置を義務づけています。枚方市開発事業等の手続等に関する条例の第9条第1項第8号は、「開発事業によって影響を受けるおそれがある区域にがけ面が存する場合は、擁壁の設置等がけ崩れの防止のために必要な措置を講ずること。」と定めています。建築の窓口だけを見ていると、これを取りこぼします。
| どこ | 崖について何がある |
|---|---|
| 大阪府(条例) | 崖の条は無い。効くのは災害危険区域(第3条・第4条) |
| 大阪府(細則) | 高さ2メートル超の崖に近接するとき、図書の添付(第6条第1項第4号) |
| 大阪市(条例・細則) | どちらにも崖の条は無い。府条例と両方が適用される |
| 堺市・羽曳野市(細則) | 高さ1メートル超の崖について図書(堺市 第8条第1項第4号/羽曳野市 第3条第4号) |
| 高槻市・和泉市・箕面市の一部 | 災害危険区域を各市の条例で指定(府の注記) |
| 枚方市 | 開発の条例でがけ面の措置(第9条第1項第8号) |
この表に載っていない市町村を、「何も無い」と読まないでください。この記事で条例・細則を読んだのは、府と、上に挙げた市までです。計画地の市町村の条例と規則は、その市町村の窓口で確かめてください。
罰則は第83条——50万円以下の罰金。第4条違反の名宛人は原則、設計者です
建築主にも、故意のときの罰則と、是正命令があり得ます。条例第83条第1項第一号は、違反した条を列挙したうえで、その建築物、工作物又は建築設備の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、その工事施工者)を50万円以下の罰金に処すると定めています。列挙の先頭に「第四条第一項若しくは第二項」が入っています——第一種地区の禁止と、第二種地区の構造の両方が対象です。
名宛人(なあてにん=この罰則を受ける人)は、この第一号では原則、設計者です(設計図書を用いないで工事を施工し、または設計図書に従わないで工事を施工した場合は、その工事施工者)。同項第二号の名宛人は違います——法第87条第3項において準用する条の違反については、当該建築物の所有者、管理者又は占有者です。さらに第2項があります——違反が建築主、工作物の築造主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、その設計者若しくは工事施工者又はその所有者、管理者若しくは占有者を罰するほか、その建築主・築造主・設置者にも同じ刑を科す、と定めています。法人については第84条の両罰規定があります。
是正命令は、建築主・所有者なども対象になり得ます(法第9条第1項)
第4条違反の罰則の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、当該建築物の建築主、工事の請負人(下請人を含みます)、現場管理者、建築物・敷地の所有者、管理者、占有者に対して、工事の施工の停止を命じ、または相当の猶予期限を付けて除却(じょきゃく=取り壊し)・移転・改築・増築・修繕・模様替・使用禁止・使用制限その他の是正に必要な措置を命ずることができる、と定めています。故意は要件ではありません。設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていませんが、設計者が現場管理者を兼ねていれば名宛人になり得ます。命令に違反した場合は、法第98条第1項第一号により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
条例が外れても、崖崩れ等による被害を受けるおそれがあれば建築基準法第19条第4項の措置が要ります
4 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。
建築基準法 第19条第4項
これは、がけ崩れ等への安全措置を定めた国の法律の規定です。(ただし、この規定にも、適用されない場合と、条例で緩和される場合があります——くわしくは、すぐ下の「この規定が働かない場合」をご覧ください。)大阪府に「がけ条例」が無くても、災害危険区域の外でも、レッドゾーンの外でも、崖崩れ等による被害を受けるおそれがあるなら、措置が要ります。求められているのは擁壁だけではなく「その他安全上適当な措置」を含みます。「大阪には条例が無いから何もしなくてよい」とは読めません。
この規定が働かない場合——法第19条第4項にも、次の例外があります。法第3条第1項の文化財等の建築物。法第3条第2項の、その規定の施行・適用の際にすでに存在していた建築物や敷地(いわゆる既存不適格。ただし同条第3項各号に当たるものは除かれ、第一号は「改正後の規定の適用の際、これに相当する従前の規定に違反していたもの」です)。法第85条第1項の、非常災害区域等で災害の発生した日から1か月以内に工事に着手する応急の修繕・応急仮設建築物(防火地域内は除きます。応急仮設建築物は、国・地方公共団体・日本赤十字社が災害救助のために建てるものと、被災者が自ら使う延べ面積30平方メートル以内のものです)。法第85条第2項の、災害時の公益上必要な応急仮設建築物と、工事現場の事務所・下小屋・材料置場などの仮設建築物。第85条は、第1項と第2項で対象も要件も違います——「応急仮設建築物なら外れる」とは読めません。
もうひとつ、条例で外したり緩めたりできる仕組みがあります。法第41条は、法第6条第1項第三号の区域の外(都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区・知事が指定する区域の、いずれにも入らない土地)で、市町村が国土交通大臣の承認を得て条例を定め、区域を限って法第19条を適用しない、または制限を緩和することを認めています(法第6条第1項第一号の建築物と、同項第二号の建築物のうち木造以外のものには使えません)。自分の土地がどれに当たるかは、窓口で確かめてください。
この第19条第4項は、条文に区域の限定を持ちません。指定の線の外でも、崖のそばなら考える必要があります。おそれがあるかどうか、どの措置で足りるかを判断するのは設計者と、所管の建築行政の窓口です。全国一律の定型の答えがあるわけではありません。工法の名前だけでは決まりません——敷地の断面、崖の状態、地質、建築物の位置と計画する措置を図面で示し、所管する特定行政庁に事前に確かめる必要があります。
相談の窓口
府が特定行政庁となる26市町村では、大阪府 都市整備部 住宅建築局 建築指導室 審査指導課(大阪府咲洲庁舎27階、大阪市住之江区南港北1丁目14-16)が受け持ちます。
| 用件 | 窓口 | 電話 |
|---|---|---|
| 災害危険区域の許可・建築確認・条例の当てはめ | 建築指導室 審査指導課 確認・検査グループ | 06-6210-9724 |
| 災害危険区域の指定状況・区域図 | 建築指導室 審査指導課 調整グループ | 06-6210-9720/9721 |
| レッドゾーンの数値・区域図の縦覧(土木事務所と市町村役場でも縦覧できます)/土砂災害・急傾斜地の制度と審査基準の問い合わせ | 都市整備部 河川室 河川環境課 管理グループ | 06-6941-0351(内線2930) |
| 急傾斜地法第7条の行為の許可の申請/土砂災害防止法第10条の特定開発行為の許可の申請 | 各土木事務所 管理課 | 各土木事務所へ |
窓口は、手続ごとに違います。市の建築確認と市の条例は各市、府条例の第一種地区の建築許可は高槻市・和泉市を除き大阪府(箕面市の一部は市条例による指定なので、市にも確かめてください)、急傾斜地法第7条の許可と土砂災害防止法第10条の特定開発行為の許可の申請は各土木事務所、レッドゾーンの区域図の縦覧は府の河川環境課・地域の土木事務所・市町村役場です。市の代表電話は、府の特定行政庁一覧に載っています。府の26市町村の一覧は大阪府が業務を行なう市町村一覧です。計画地がどちらに入るかを、いちばん先に確かめてください。
売買契約の前に、専門家と確かめること
この表は、自分で判定するためのものではありません——測って図にするのは建築士、条例と区域の当てはめは所管の建築行政の窓口です。個別の判断は、建築士と窓口にご確認ください。
- ①その土地の特定行政庁は、府か、17市のどれかか。市なら、その市の条例と規則を見ます
- ②その土地が災害危険区域に入っていないか。入るなら第一種か、第二種か。府の一覧表と区域図で
- ③高槻市・和泉市及び箕面市の一部なら、市の条例による指定があります。市に直接
- ④その土地が土砂災害警戒区域・特別警戒区域に入っていないか。入るなら力の大きさと土石等の高さの数値も。レッドゾーンで見るのは令第80条の3だけではありません——居室を有する建築物については、土砂災害防止法第25条による建築確認等の適用も確かめます(都市計画区域などの外でも、敷地の過半が区域内なら、確認が要る扱いになります)
- ⑤その土地が急傾斜地崩壊危険区域に入っていないか。入るなら、切土・盛土・工作物の設置だけでなく、立木竹の伐採、土石の採取・集積、水のしん透を助長する行為なども知事の許可が要ります(法第7条第1項ただし書の例外があります)
- ⑥敷地の中や隣に崖があるか。確認申請に崖の図書を添付する基準は、大阪府細則では高さ2メートル超、堺市・羽曳野市の細則では高さ1メートル超です——その他の特定行政庁は、各市の現行細則を確かめてください。これは建築禁止や離隔距離の基準ではありません。目測ではなく、現況の測量図と断面図で
- ⑦建てるものが住居の用に供する建築物か。条例第4条がかかるのは、住居だけです
- ⑧すでに擁壁や崩壊防止工事があるなら、いつ誰が造り、いま適切に管理されているか。写真と書類で
- ⑨開発を伴う計画なら、市の開発の条例も。枚方市のようにがけ面の措置を義務づける市があります
- ⑩レッドゾーンの中で制限用途(自己の居住の用に供するものを除く住宅と、社会福祉施設・学校・医療施設のうち政令で定めるもの)の建築物が予定される開発行為なら、土砂災害防止法第10条第1項の特定開発行為に当たらないか。当たるなら、同項ただし書の例外を除き、事前に知事の許可が要ります
- ⑪造成や擁壁の築造、切土・盛土、土石の堆積を伴う計画なら、盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)の規制区域の内外と、規模による許可の要否も。開始日は所管ごとに違います——大阪府の所管区域(政令市・中核市を除く)は令和6年4月1日、堺市は令和6年7月1日、大阪市は令和7年4月1日です
- ⑫どの区域にも入らなくても、崖崩れ等による被害を受けるおそれがある場合は、建築基準法第19条第4項の措置が別に必要です
確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、構造や防護措置の費用を、土地の値段に織り込みにくくなります。すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に。区域の内か外か、崖の高さと崖からの距離は、現況の測量図と断面図がないと自分では判断できません——測量と図面は建築士に、区域と条例の当てはめは所管の建築行政の窓口に、お尋ねください。
擁壁を設けるなら、その擁壁そのものにも構造の基準があります。令第138条第1項第5号に掲げる擁壁(高さが2メートルを超える擁壁)については、建築基準法施行令第142条が構造の基準を定めています。同条各号の基準に適合する構造方法によるのが基本です。ただし、これと同等以上に擁壁の破壊及び転倒を防止することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いることもできます。この構造方法は代替の経路であり、必須ではありません。
出典
- 大阪府建築基準法施行条例(大阪府例規集・第3条・第4条・第80条・第83条・第84条/令和8年4月1日施行)
- 大阪府建築基準法施行細則(大阪府例規集・第6条第1項第4号・第33条・第35条・第49条)
- 建築基準法に関するよくあるお問合せ集(FAQ)(大阪府建築指導室審査指導課・「がけ条例はありますか?」ほか)
- 災害危険区域の指定状況(大阪府・区域一覧表と区域図/令和6年9月18日更新)
- 災害危険区域内の建築許可について(大阪府・第一種地区の許可の手続と添付図書)
- 急傾斜地崩壊危険区域内の行為の許可(大阪府・審査基準と別表/2023年4月21日改正)
- 土砂災害警戒区域等の指定状況(大阪府・令和8年7月24日現在の箇所数)
- 特定行政庁一覧(全国建築審査会協議会・令和8年4月1日現在。大阪=法第4条第1項 9市/法第4条第2項 8市/法第97条の2 該当なし)
- 特定行政庁一覧(大阪府・17市と代表電話)
- 大阪府が業務を行なう市町村一覧(大阪府・26市町村)
- 大阪府建築基準法施行条例解説(大阪府内建築行政連絡協議会・第3条/第4条の解説。府はFAQで同協議会を参考先に挙げつつ、こうした文献は「法改正などにより最新情報ではない可能性があります」と断っています)
- 大阪市建築基準法施行条例(大阪市・令和7年12月15日改正の全文)
- 大阪市建築基準法施行細則(大阪市・令和8年4月1日現在の全文)
- 宅地建物取引業者の方へ(大阪市計画調整局・府市の条例が両方適用される旨)
- 堺市建築基準法施行細則(堺市例規集・第8条第1項第4号)
- 羽曳野市建築基準法施行細則(羽曳野市・第3条第4号/令和7年7月1日施行)
- 枚方市開発事業等の手続等に関する条例(枚方市・第9条第1項第8号)
- 建築基準法(e-Gov法令検索・第3条第2項・第3項・第6条第1項第3号・第9条第1項・第19条第4項・第39条・第98条)
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索・第80条の3・第138条第1項第5号・第142条)
- 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(e-Gov法令検索・第9条・第10条・第24条・第25条)
- 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(e-Gov法令検索・第2条・第3条・第7条)
- 都市計画法(e-Gov法令検索・第4条第12項の開発行為の定義)
- 宅地造成及び特定盛土等規制法に基づく宅地造成等工事許可制度(大阪府・政令市と中核市を除く府所管分は令和6年4月1日運用開始)
- 盛土規制法の施行に伴う大阪市の対応について(大阪市・令和7年4月1日付で市全域を宅地造成等工事規制区域に指定)
- 宅地造成等規制法の改正(盛土規制法)に伴う堺市の取り扱いについて(堺市・令和6年7月1日に市域全域を宅地造成等工事規制区域に指定)
条文は2026年9月1日に、大阪府例規集(令和8年4月1日施行の版)で確認しました。「がけ」「崖」が0件であることは、条例の全文を機械で検索して確かめました。読んでいない範囲を書きます——高槻市・和泉市・箕面市の災害危険区域の条例そのものは、読んでいません。条例・細則を全文で読んだのは、府と大阪市・堺市(細則)・羽曳野市(細則)・枚方市(開発の条例)までで、残る13市の条例・細則は読んでいません。盛土規制法は、府所管区域・大阪市・堺市の運用開始日までは確かめましたが、規制区域の範囲と規模の基準は確かめていません。残る市町村の開始日も確かめていません。また、急傾斜地崩壊危険区域の審査基準は、安定勾配線ががけ上端より2.0メートルを超え5.0メートル未満のときの離隔を書いていません——府に問い合わせて確かめたわけではありません。災害危険区域の区域図PDF、土砂災害の区域の告示図書、レッドゾーンの区域ごとの数値も、見ていません。
