確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらい、その図面を持って、条例の扱いを確かめる——確認申請を指定確認検査機関へ出す計画なら、まずその機関へ。それ以外は、所管の建築行政の窓口へです。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。
まず、自分の土地にがけ条例がかかりそうかを確かめる。崖の高さ・角度と建物までの距離を入れると、条例の数字に当たりそうかと、相談先が分かります。結果は窓口に持っていけるPDFにできます(無料・登録不要)。
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見積・相談を依頼する(無料)☎ 0120-1181-46(平日9〜18時)
窓口に行く前に。擁壁の図面と構造計算書は当社が用意します。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます。窓口には、その図面を持って行けます。 土のねっこ(L型擁壁) やまがみ(土砂待受擁壁) 擁壁を相談する ☎ 0120-1181-46
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擁壁の形や寸法の一般的な考え方は、擁壁の選び方にまとめています(この条の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。
大分県の「がけ条例」とは、建築基準法施行条例 第2条のことです。高さ2メートルを超え、30度を超える崖の近くに建てるときは、原則として崖から一定の距離を保つことが求められます。
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プレキャストコンクリートの擁壁「土のねっこ」(L型・逆L型)。高さ1メートル以下なら「土地分け丸」が向いています。レッドゾーンの土砂を受ける塀は「やまがみ」です。条例への当てはめは窓口で決まります——製品で適合が決まるものではありません。
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大分県では、居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)のある建物を「がけ」(高さ2メートル超・勾配30度超で、硬岩盤(こうがんばん。風化の著しいものは除かれます。硬岩盤に当たるかどうかは地質資料・調査で確かめます)以外)に近接して建てるとき、がけの上なら下端(かたん=がけの下側の縁。斜面がふもとの地面と接するところ)から、がけの下なら上端(じょうたん=がけの上側の縁。斜面が上の平らな地面と接するところ)から、水平距離で「がけの高さの2倍以上」を保たなければなりません。鉄筋コンクリート造など重い建物をがけの上に建てるなら、この距離をさらに増やさなければなりません(第2条第2項)。そして、擁壁(ようへき=がけの土が崩れないよう支える壁)の設置などにより安全上支障がない場合には、距離の規定を適用しない定めがあります(第3項)。2倍以上が取れなくても、道はあります——擁壁の設置などにより安全上支障がないと認められれば、第2条については原則として建てられます。ただし、それは「この土地に家が建つ」という意味ではありません——ほかの区域の指定、法第19条第4項、そしてその擁壁や補強の工事が実際にできるか・いくらかかるかは、別に確かめることになります。第3項は第1項と第2項の両方にかかるので、重い建物についての第2項の増大も同じ判断で外れます——逆に、第3項に当たらなければ第2項の増大は残ります。ただし、災害危険区域・土砂災害の区域・建築基準法第19条第4項は別に確認してください(災害危険区域は第25条・第26条です)。安全上支障がないことは、まず設計者が資料で根拠を示します——確認申請を要する計画では、建築主事・建築副主事または指定確認検査機関が、原則としてその適合を審査します——ただし確認特例(法第6条の4・令第10条)により審査が省略される場合があり、省略されても適合の義務は残ります。確認申請が要らない計画もあり、窓口が個別の設計の安全性を代わりに決める制度ではありません。運用上の疑義は、申請先または所管行政庁へ確かめてください。数字はどちらも「超える」です——こう配は「30度を超える」で30.0度ちょうどは当たらず、高さは「2メートルを超える」で2.0メートルちょうども当たりません(「以上」ではありません)——これは高さと角度の話です。保つ距離の「2倍以上」は「以上」なので、ちょうど2倍なら満たします。ここで外れるのは条例第2条だけです——がけ崩れ等による被害を受けるおそれがあれば、法第19条第4項の措置は別に残ります。
正式な名は大分県建築基準法施行条例(昭和46年条例第27号)。がけの規定は第2条で、これとは別に、知事が指定した区域には第25条・第26条(災害危険区域)がかかります。条例の最終改正は、令和6年4月1日の施行です。対象を居室のある建物に限る現在の形になったのは、県の解説によれば平成13年4月1日の改正からです。
「がけ条例」という名前の条例はありません。大分県では大分県建築基準法施行条例の第2条(がけ)と第25条・第26条(災害危険区域)です。
「がけ条例」の実体は、建築基準法施行条例の第2条です



第2条第1項は、対象を「建築物(居室を有する建築物に限る。以下この条において同じ。)」と定めています。用途の名前で決まるのではなく、居室があるかどうかで決まります——事務室のような居室を併せ持つ倉庫・車庫は、対象になり得ます。なお、法第19条第4項の措置義務は、居室の有無で分かれていません。

制度の話が続きますが、迷ったときの聞き先は決まっています——設計を頼む予定の建築士か、確認申請を出す予定の先(指定確認検査機関または所管の建築行政の窓口)です。そこから必要に応じて行政庁へ照会されます。この先を読み切らないと動けない、ということはありません。


「がけ条例」は通称です。建築基準法第39条(災害危険区域)・第40条(条例による制限の附加)などの委任を受けた大分県建築基準法施行条例が実体で(第1条)、がけの規制は第2条に、災害危険区域の仕組みは第25条・第26条にあります。建築確認の対象となる計画では、この条例への適合も原則として確認審査の対象です。確認特例の適用は、建築物・設計者の区分に応じて建築基準法第6条の4・施行令第10条で決まり、法第39条から第41条までに基づく条例規定のうち特定行政庁(原則として、建築主事または建築副主事を置く市町村の区域ではその市町村長、それ以外の区域では都道府県知事)が規則で定めた規定が審査省略の対象になり得ます。この「原則として」には、ただし書があります——限定特定行政庁(げんていとくていぎょうせいちょう=扱える建築物の範囲が限られる行政庁のことです。法第97条の2第1項・第2項により、政令で定める事務に限って建築主事等を置く市町村)の区域内では、政令で定める建築物は都道府県知事が特定行政庁です(法第2条第35号ただし書・令第2条の2第1項)。同じ市の中でも、建築物の規模で行き先が分かれます。条例への適合義務は、審査の範囲とは別に生じます。そして、確認申請の提出先は行政庁だけではありません——建築確認は、業務区域・業務範囲に対応する指定確認検査機関にも申請できます(建築基準法第6条の2)。条例の当てはめやただし書の扱いをどこへ相談するかは、申請先によって変わります——指定確認検査機関へ申請するなら、まずその機関へ。審査上の疑義は、機関から所管の行政庁へ照会される扱いです。また、大分市の案内では、第2条のがけ規制は、当たる区域があらかじめ地図で定められているのではなく、現地に該当するがけがあり、そのがけに近接して建築する場合に適用されるとされています——第2条は現地のがけで決まり、第25条・第26条の災害危険区域は、知事が指定した区域で決まる、という区分です。
どこからが「がけ」か——高さ2メートル超・勾配30度超・硬岩盤(風化の著しいものを除く)以外

高さの2メートル超は、本則の適用条件ではなく「がけ」の定義そのものに入っています。土質は「硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外」——二重の除外です。


第2条 建築物(居室を有する建築物に限る。以下この条において同じ。)をがけ(高さが2メートルを超え、かつ、地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地で、硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外のものをいう。以下この条において同じ。)に近接して建築しようとする場合において、がけの上に建築しようとするときはそのがけの下端からの水平距離を、がけの下に建築しようとするときはそのがけの上端からの水平距離をそれぞれそのがけの高さの2倍以上保たなければならない。
大分県建築基準法施行条例 第2条第1項
この条例の「がけ」は、①高さが2メートルを超え、②地表面が水平面に対して30度を超える角度をなす土地で、③硬岩盤ではない(ただし、風化の著しい硬岩盤は「硬岩盤」から除かれる=がけに含まれ得ます)の3つがそろった土地です。県の解説には、30度以下の部分を挟む地形や2段のがけなど、「がけ」に当たる形・当たらない形の図が示されています。
ただし、第2条の「がけ」に当たらない斜面や、距離が取れている場合でも、安全の検討が不要になるわけではありません。建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれがあると判断される場合には、建築基準法第19条第4項により、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければなりません。個別の計画がその「おそれのある場合」に当たるかは、がけの状態・距離・地盤・建物の計画などによって判断されます。第2条の数字は「条例の離隔義務の入口」であって、「安全検討の入口」ではありません。


義務の形は「2倍以上、離す」。がけの上の重量建築物なら、さらに離します

「前項の基準を安全上支障がない程度に増大しなければならない」——いくつにするかは条文に書かれていません。「前項の基準」は、第1項が求める「がけの高さの2倍以上」という距離のことです。その距離を、さらに2倍にするという意味ではありません。

対象は居室を有する建築物です。「居室」とは、居住・執務・作業・集会・娯楽などの目的のために継続的に使用する室をいいます(建築基準法第2条第4号)。住宅に限らず、事務所や店舗の部屋も当たり得ます。ここでいう「建築」には新築だけでなく、増築・改築・移転も含まれます(同条第13号)。工事を伴わない用途変更でも、建築基準法第87条第2項により、第39条第2項・第40条に基づく条例の規定が準用されます。法第3条第2項により法第87条第3項が列挙する規定(またはそれらに基づく条例規定)の適用を受けない建築物の用途変更については、同項により原則としてこれらの規定が準用されます。増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替をする場合や、政令で指定する類似の用途相互間の変更で一定の条件(同項第2号)を満たす場合はこの準用から除かれます。号ごとに結論が違います——第1号(増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替を伴う場合)は、用途変更の側ではなく法第3条第3項で判断します。第2号(政令で指定する類似の用途相互間で、修繕・模様替をしないか、それが大規模でない場合)は、その用途変更だけを理由に条例が遡って適用されることはありません。第3号は法第48条(用途地域)に関する例外で、がけの規定には関わりません。居室のない建物を居室のある用途に変える場合や、既存不適格建築物の増築・改築などでは、適用関係を窓口で確認してください。
保つ距離は、がけの上に建てるなら「下端からの水平距離」、がけの下に建てるなら「上端からの水平距離」で、それぞれ「がけの高さの2倍以上」。たとえば高さ4メートルのがけなら8メートル以上です。県の解説では、この距離は建物の外壁の外側で測るものとされています。庇(ひさし)・バルコニー・ポーチなど、外壁より外に出る部分がある計画では、どこを測点にするかを図面に示して、申請先または所管の建築行政の窓口で確かめてください。



2 鉄筋コンクリート造等の重量建築物をがけの上に建築しようとする場合は、前項の基準を安全上支障がない程度に増大しなければならない。
同 第2条第2項・第3項
3 前2項の規定は、建築物の規模若しくは構造、擁壁の設置又はがけの状況により建築物の安全上支障がない場合には、適用しない。
第2項では——鉄筋コンクリート造などの重い建物をがけの上に建てるときは、第1項の距離を「安全上支障がない程度に」さらに増やさなければなりません。増やす量の一律の数値は条文にありません。


第3項——「擁壁の設置」などで安全上支障がなければ、距離の規定は適用されません

「擁壁の設置」が明文で書かれています——安全上支障がないという結果だけでなく、その手段が条文に名指しされています。第2条に、許可や認定の手続は置かれていません——ただし、それは施主が自分で「支障がない」と決めてよいという意味ではありません。設計する側が資料で根拠を示し、確認審査の対象となる計画では、その適合が審査されます。
この土地の擁壁を検討する方へ
「安全な擁壁」の図面と構造計算書を、当社でご準備できます。工場で造る鉄筋コンクリートのL型擁壁「土のねっこ」(高さ500〜3,000mm)。高さ1メートル以下なら「土地分け丸」。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます。この条に合うかどうかは、窓口で決まります。
当社は擁壁のメーカーです。工事は施工業者さんにお願いしています(地域によっては、業者さんのご紹介もできます)。図面が無ければ、段差の高さと長さ、現場の写真と住所から始められます。


擁壁を設けるという行為だけで外れるのではありません——第3項は、建築物の規模若しくは構造、擁壁の設置、がけの状況により安全上支障がない場合に適用しない定めです。外れるのも第2条第1項・第2項だけで、条例の全部ではありません。
第3項により、①建築物の規模若しくは構造、②擁壁の設置、③がけの状況のいずれかにより建築物の安全上支障がない場合は、第1項・第2項の距離の規定は適用されません(条文は、誰が認めるかを書いていません)——2倍以上を離さなくても、安全上支障がないと認められれば、第2条については原則として建てられます(第2条の距離の話です。災害危険区域・土砂災害の区域・法第19条第4項は別に残ります)。ただし、「擁壁があるから、①〜③のどれかに当たるから」と、読者が自分で当てはめて決められるものではありません。「安全上支障がない」に当たるかは言い分だけでは決まらず、設計側が資料で根拠を示します。当該事項が確認審査の対象となる計画では、その適合が審査されます(確認の特例で、条例の規定の審査が省かれる場合があります(省かれるのは、特定行政庁が規則で定めた規定に限られます。令第10条第三号ハ・第四号ハ)——省かれても、適合の義務は残ります)。県はこの第3項の運用について、「がけに近接する建築物の運用基準」(平成13年10月12日付け建築住宅第1456号通知)を定めており、県が公開する条例の解説(平成22年3月作成)に、基準の本文・参考図・解説と「がけに近接する建築物の報告書」の様式が収録されています。
次の6つは、施主が自分に当てはまるものを選ぶための一覧ではありません。どれを使うかを組み立て、資料をそろえるのは建築士など設計する側です。ここは「そういう道が用意されている」と知っておくための一覧として読んでください。基準が挙げる「安全上支障のない場合」は6つの類型です。
①擁壁・杭・グランドアンカー・のり面保護等の措置で支障がない場合。
②「地質調査等に関する資格者」による地質調査で崩壊のおそれがない場合。
③がけの上では、基礎の底部(地盤改良をした場合はその部分を含み、杭なら先端)が、下端を通る30度の面——地質調査で崩壊のおそれがない地層を確認できる場合はその地層——より下方に達する場合(解説では、玄関ポーチ等の部分的な柱基礎は対象外です)。この30度の面を断面図に引き、基礎がそれより下に達しているかを判定するのは、設計する側の仕事です——断面図を用いて、設計側と窓口で確かめてください。
④盛土によるがけ面以外で、土質別の表の勾配条件を満たす場合。ここでいう表は、県解説p.24「資料1・第1 四」の土質別表で、左欄に土質、中欄に「擁壁等を要しない勾配の上限」、右欄に「擁壁等を要する勾配の下限」が掲げられています(表の中欄の勾配を超えるときは、右欄の勾配以下で、かつそのがけ面の下端からの垂直高さが5メートル以内であることが条件です)。
⑤がけの上端(がけ上のとき)・下端(がけ下のとき)から水平距離10メートル以上離れている場合——ここは起点が第1項と逆です。第1項はがけの上なら下端から測りますが、⑤はがけの上なら上端から、がけの下なら下端からです。どちらの端から測るのかを、必ず確かめてください。


⑥がけの崩壊に伴う敷地への土砂の流入に対して、構造計算等により建築物の安全性が確保されている場合——その方法として、土留施設を設けるか、がけに面する外壁のうち基準が指定する部分(下端から水平距離10メートルの地点を含む30度面以下の部分、または建物の1階部分)を開口部のない壁とし、鉄筋コンクリート造または土砂の衝突で破壊されるおそれのない構造とすることが示されています(解説では、外壁をRC造とする場合、衝突破壊のおそれがないことの構造計算は不要とされています)。——同一棟の増築では、その建築物の既存部分に基準を適用しない附則もあります。
なお、県の解説では、①の工法・施工範囲は設計者(建築士に限る)または「地質等に関する資格者」の調査により決定し、④のがけ面の土質・勾配の調査者も、設計者または同資格者とされています(②の「地質調査等に関する資格者」と同じ区分を指すのかは、この記事が読んだ県の資料からは決められませんでした——どの資格の人に調べてもらえば足りるかは、報告書を出す前に窓口へ)。同じ解説は、この「がけに近接する建築物の報告書」を、大分県建築基準法施行細則第14条に基づく「がけの形状、土質等を示す図書」として、建築確認申請書の添付図書としています——見るだけの参考資料ではなく、出す書類です。まず基準と報告書様式を確認したうえで、個別の計画への当てはめは窓口で確認してください。規制の範囲に既に擁壁がある場合も、その擁壁で「安全上支障がない」といえるか(検査済証等の資料と現況)の確認からです。
急傾斜地崩壊危険区域は「災害危険区域」——住居は原則として建てられません。例外は3つあります

第25条は急傾斜地崩壊危険区域をそのまま災害危険区域としています。第26条で住居の用に供する建築物は原則として建築できません。


第26条 前条の災害危険区域内においては、住居の用に供する建築物は、建築してはならない。ただし、建築物の構造若しくは敷地の状況又は急傾斜地崩壊防止工事等の施工により建築物の安全上支障がない場合は、この限りでない。
同 第26条
大分県は、急傾斜地崩壊危険区域(急傾斜地法に基づき知事が指定する区域)を、建築基準法第39条の「災害危険区域」としています(第25条)。区域内で住居の用に供する建築物を計画する場合、建築は原則禁止で(敷地や建物が区域の境界にかかるときは、建物の位置だけでは決められず、建築基準法第91条の取扱いも問題になります——区域図と計画図を示して窓口で確認してください)、例外は、建築物の構造・敷地の状況・急傾斜地崩壊防止工事等の施工のいずれかにより安全上支障がない場合です。県の解説は、その例として主要構造部を鉄筋コンクリート造かこれに準ずる構造とした場合や、防止工事の施工により支障がない場合を挙げており、設計者が安全上支障がない旨を確認したうえで、建築できるかどうかを急傾斜の担当部署と事前に協議することとされています。また、区域内での切土・盛土や工作物の設置などは、条例とは別に急傾斜地法第7条第1項により知事の許可が必要になることがあります。第2条のがけ規制とは別の決まりとして、重なってかかることがあります。
罰則は第29条、両罰は第30条。適合の義務は、審査の有無にかかわらず残ります

第29条第1項です。名宛人は設計者——設計図書を用いず、または従わずに施工したときは工事施工者です。第30条の両罰にはただし書があります——代理人・使用人その他の従業者の違反について、法人または人が防止のため相当の注意・監督を尽くしたと証明できたときは、その法人・人には刑を科されません。


名宛人(なあてにん=罰を受ける人)は、3つに分かれます。第29条第1項は原則として設計者、建築主には同条第2項(違反が建築主の故意によるとき)、法人・人には第30条(両罰)が、それぞれ当たり得ます。そして、是正命令(法第9条第1項)は罰則とはまた別です——除却・使用禁止を命じられ得るのは建築主・所有者などで、故意は要件ではありません。第29条第1項は、第2条第1項・第2項や第26条を含む列挙規定への違反について、当該建築物の設計者(設計図書を用いずに施工した場合、または設計図書に従わずに施工した場合は工事の施工者)を20万円以下の罰金に処すると定めています。違反が建築主の故意によるときは、その建築主にも同じ刑が科されることがあります(同条第2項)。法人の代表者や、法人又は人の代理人・使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して違反行為をした場合は、行為者を罰するほか、その法人又は人にも同条第1項の刑(20万円以下の罰金)が科されます(第30条)——ただし書で除かれるのは、代理人・使用人その他の従業者の違反について、法人・人が防止のため相当の注意・監督を尽くしたと証明できた場合の法人・人への刑だけです。
そして建築確認の対象となる計画では、第2条・第26条への適合も原則として確認審査の対象です。確認特例(法第6条の4・令第10条)による審査省略は、建築物・設計者の区分と、法第39条から第41条までに基づく条例規定のうち特定行政庁が規則で定めた規定の範囲で決まります——適合義務は、審査の範囲とは別に生じます。この条例のがけの規定に、都市計画区域内に限る旨の定めはありません。建築確認が不要なことだけを理由に、第2条が適用外になるわけでもありません——ただし、建築基準法第3条第2項によりこの条例の適用を受けない建築物について増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替を行う場合に、知事が建築物・敷地の状況からやむを得ないと認めたときに条例の適用を緩和できる特例(第27条)や、法第85条第6項・第7項または第87条の3第6項・第7項の許可を受けた建築物に第二章・第三章を適用しない特例(第28条)は別です。このほか、法第3条第1項(文化財建築物等)や、法第85条第1項・第2項の要件を満たす応急仮設建築物・工事現場の仮設事務所等への国法上の適用除外もあります。


ここから先は、災害時の応急仮設建築物や工事現場の仮設事務所などについての補足です。土地を買う・家を建てる話からは離れるので、必要な方だけお読みください。法第85条の第1項と第2項は、形がまるで違います。第1項は、特定行政庁が指定する非常災害区域等の中で、災害により破損した建築物の応急の修繕、または災害が発生した日から1か月以内に工事に着手する応急仮設建築物——国・地方公共団体・日本赤十字社が災害救助のために建築するものか、被災者が自ら使用するもので延べ面積30平方メートル以内のもの——について、建築基準法令の規定を広く適用しないものです。ただし、防火地域内に建築する場合は、この適用除外はありません。第2項は全部を外すのではなく、列挙された規定だけを外す形で、対象は公益上必要な用途の応急仮設建築物と、工事現場の事務所・下小屋・材料置場等です(防火地域・準防火地域内で延べ面積50平方メートルを超えるものには、法第62条の適用があります)。違反すれば是正命令(建築基準法第9条。除却・使用禁止などの措置を含みます)や罰則の対象になり得ます——除却・使用禁止を命じられ得るのは建築主・所有者などで、故意は要件ではありません。法第9条第1項が名宛人に挙げるのは、建築主、工事の請負人(下請人を含む)・現場管理者、建築物・敷地の所有者・管理者・占有者です。
土砂災害の区域の話は、別の法律です

この条例とは別の法律——土砂災害防止法です。入口も基準も別物で、最新の指定は県が公表する指定の図書で確かめます。

がけの近くの土地は、この条例とは別に、土砂災害防止法の土砂災害警戒区域(イエローゾーン)または土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されていることがあります。警戒区域では警戒避難体制の整備などが行われ、特別警戒区域では、住宅(自己の居住の用に供するものを除く)や、高齢者・障害者・乳幼児その他の特に防災上の配慮を要する者が利用する社会福祉施設・学校・医療施設(政令で定めるものに限る)——用途が未定など、これら以外の用途であることが確定していない予定建築物も含みます(第10条第2項が「以外の用途でないもの」と定めているため)——を建てるための土地の区画形質の変更(特定開発行為=土砂法第10条第1項)の許可や、居室を有する建築物の構造規制などが問題になります。入口も基準もこの条例とは別物です。最新の指定状況と区域の境界は、県が公表する指定の図書で確認してください。市町村のハザードマップは避難の確認に有用ですが、作成時点より後の指定が反映されていないことがあります。次に書くのは、構造規制の考え方だけです——開発許可の要否、区域の範囲、予定建築物の用途の扱いは、これとは別に確かめることになりますし、どちらの方法を採れるかは、設計者と窓口で確かめるものです。レッドゾーン内の居室を有する建築物について、令第80条の3に対応する2つの方法——外壁等(外壁・構造耐力上主要な部分のうち、土石等の高さ等以下で、土砂災害の原因となる自然現象〔河道閉塞による湛水を除く〕により衝撃が作用すると想定される部分)を所定の構造にするか、土石等の高さ等以上の高さで、外壁等と同等以上の耐力を有するものとして国土交通大臣が定めた構造方法による門・塀を、衝撃を遮るように設けるか——と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。擁壁の形や寸法の一般的な考え方は擁壁の選び方にまとめています(条例の第2条の当てはめは、この記事に書いた窓口で確かめてください)。
レッドゾーンでどんな構造が求められるかは、土砂災害特別警戒区域で求められる構造にまとめています(区域に入るかどうかの判定と、この条例の当てはめは、上の窓口で確かめてください)。
売買契約の前に、専門家と確かめること

「硬岩盤以外」には、条文の留保があります。風化の著しい硬岩盤は「硬岩盤」から除かれるので、高さ2メートル超・勾配30度超という残りの要件も満たせば、「がけ」に当たり得ます(第2条第1項)。硬岩盤かどうか、風化が著しいかどうかは、地質の判断を伴います——建築士と窓口で確かめてください。「2倍以上」で終わりでもありません。鉄筋コンクリート造など重い建物をがけの上に建てるなら、距離はさらに増えます(第2条第2項)。第2条の「がけ」に当たらない場合も、2倍以上が取れている場合も、法第19条第4項の措置は別に残ります。
窓口に行く前に。擁壁の図面と構造計算書は当社が用意します。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます。窓口には、その図面を持って行けます。 土のねっこ(L型擁壁) やまがみ(土砂待受擁壁) 擁壁を相談する ☎ 0120-1181-46

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に。買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。この一覧は、自分で判定するためのものではありません——測って図にするのは建築士です。条例の扱いは、申請先となる指定確認検査機関、または所管の建築行政の窓口に確かめてください。大分市内の計画なら、がけ条例の相談は大分市役所開発建築指導課が窓口です(同市の「よくある質問」。2026年9月6日に確認しました)。大分市以外なら、計画地の市町村か、県の建築行政の担当に「がけ規制の相談先」を聞いてください——課の名前は市町村ごとに違います。


- ① 計画地の周辺に、「高さ2メートル超・勾配30度超」のがけがあるか(第2条第1項。硬岩盤は除く——ただし風化の著しいものは除かれない。2段のがけ等の形は県の解説の図へ)
- ② 居室のある建物の外壁(の外側)から、がけの上なら下端まで・がけの下なら上端までの水平距離が、がけの高さの2倍以上あるか(同項。条文は水平距離だけで定めており、敷地の境界による限定はありません)
- ③ ①で第2条の「がけ」に当たらない場合や、②の距離が取れている場合でも、がけ崩れ等の被害を受けるおそれがないかは別に確認。おそれがあると判断される場合は、建築基準法第19条第4項の安全上適当な措置が必要です
- ④ 鉄筋コンクリート造など重い建物をがけの上に建てるなら、距離をさらに増やす(第2条第2項。増やす量は条文に一律の数値がなく、設計側で安全の根拠を示します。確認申請で当該事項が審査対象となる場合は、その適合が審査されます)
- ⑤ 距離が取れないなら、第3項——建物の規模・構造/擁壁の設置/がけの状況のいずれかで「安全上支障がない」といえるか。県が公開する運用基準(建築住宅第1456号。崩壊防止の措置・地質調査等に関する資格者の地質調査・基礎の位置・土質と勾配の基準・10メートル離隔〔起点は第1項と逆で、がけ上なら上端から・がけ下なら下端から〕・構造計算等による土砂流入への安全性確保〔土留施設または防護外壁〕の6類型)と報告書様式を確認したうえで、個別の計画への適用は窓口へ。既にある擁壁は、資料(検査済証等)と現況の確認から
- ⑥ 敷地や、住居の用に供する建築物が、急傾斜地崩壊危険区域(=災害危険区域)の内外にまたがらないか。区域内に建てるなら原則建築禁止——境界にかかる場合は、建物の位置だけで判断せず、建築基準法第91条を含む適用関係を窓口で確認します。構造・敷地の状況・防止工事等で安全上支障がない場合が例外です。設計者の確認と、急傾斜の担当部署との事前協議を(第25条・第26条)
- ⑦ 建築確認が不要なことだけを理由に、第2条が適用外になるわけではありません(ただし、法第3条第1項の文化財建築物等や法第85条第1項・第2項の国法上の適用除外、第27条の緩和〔法第3条第2項の建築物の対象の増築等で、知事がやむを得ないと認めたとき〕、第28条の特例〔法第85条第6項・第7項または第87条の3第6項・第7項の許可建築物〕は別です)。違反すれば是正命令(除却・使用禁止などを含む建築基準法第9条の措置)や罰則の対象になり得ます
- ⑧ 土砂災害警戒区域・特別警戒区域に入っていないか。こちらは別の法律です。最新の指定は、県が公表する指定の図書で確認(ハザードマップは作成時点の指定のことがあります)
個別の敷地でどう当たるかの判断は、建築士と、県・市の建築指導の窓口にご確認ください。大分県は、条例の全文と解説(建築住宅課編)を県のページで公開しています——条文と併せて読むと、県の運用がわかりやすくなります。
出典
- 大分県建築基準法施行条例(県公式PDF・現行)
- 大分県建築基準法施行条例の解説(大分県建築住宅課編・平成22年3月作成・県公式PDF)
- 大分県 建築基準法施行条例の案内ページ
- 大分市 開発建築指導課のよくある質問(がけ条例の適用と窓口)
- 建築基準法(e-Gov法令検索・第2条・第3条・第6条の4・第9条・第19条第4項・第39条・第40条・第85条・第87条・第87条の3・第91条)
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索・第10条・第80条の3)
- 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(e-Gov法令検索)
- 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(e-Gov法令検索)
大分県のレッドゾーン(土砂災害特別警戒区域)については、区域図の調べ方・建築の決まり・待ち受け擁壁・補助金・相談先を大分県のレッドゾーンのページにまとめています。
擁壁・図面・見積のご相談
個人の方(土地をお持ちの方)からのご相談も承ります。擁壁の図面と構造計算書は当社でご準備できます。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます。がけの高さ・角度と、現場の写真があれば、使える製品と概算をお答えします。
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