兵庫県では(神戸市は別に市の条例があります——後述)、30度を超える斜面——「がけ」——に近接して建築物を建築する場合、がけの表面の中心線から、がけの上・がけの下それぞれの建物まで、水平距離で「がけの高さの1.5倍」以上を離さなければなりません(がけの高さが2メートル以下の場合、またはがけの地質により安全上支障がない場合は1倍以上)。
先にすることは、3つです。がけ条例がかかっても、建てられないと決まったわけではありません。まず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って計画地を所管する建築行政の窓口へ、条例の当てはめを確かめる。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。確かめる中身は、この記事の最後の「売買契約の前に、専門家と確かめること」にまとめてあります。
対象は居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)の有無を問わず、建築物全般です(建築する場合の規制で、既存の建物の扱い——既存不適格(きそんふてきかく=建てたときは適法だった建物)——は後述の節で確認してください)。例外は2系統——がけの性質によるもの(岩盤・擁壁等)と、建物の用途・構造によるもの。どちらも「安全上支障がない」が条件です。擁壁(ようへき)は、がけの土が崩れないように支える構造物です。塀とは役割が違います。そして災害危険区域の建築制限は、別の条例が定めています——区域に入っても、第2条の距離の規制が外れるわけではありません。
この記事は、いわゆる兵庫県の「がけ条例」——正式には建築基準条例(昭和46年兵庫県条例第32号)第2条(がけ地の安全措置)——を、県の「建築基準条例及びその解説」(令和7年4月1日版)と県法規集の現行条文から読んだ整理です。この条例は建築基準法第40条などの委任によるもので(第1条)、災害危険区域(法第39条)は、この条例ではなく「災害危険区域に関する条例」(昭和46年兵庫県条例第62号)が定めています。適用区域について、県の解説は「本条例が適用される区域は、神戸市を除く兵庫県内全域である」と明記しています——神戸市は市の条例です(第27条の12。詳しくは後半の神戸市の節で)。建築確認の対象となる計画では、この条例への適合も原則として確認審査の対象です。確認特例(建築基準法第6条の4。建築士が設計した一定区分の建築物が対象で、区分は令和7年4月1日施行の改正で変わりました)で審査が省略される規定は施行令第10条が定めており、条例の規定は、特定行政庁(建築確認を担当する県または市町村)が規則で定めたものに限って省略されます——所管の窓口で確認してください。条例への適合義務は、審査の範囲とは別に生じます。
どこからが「がけ」か——30度超。高さのしきい値はありません

第2条 がけ地(がけ(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地をいう。以下この条において同じ。)を有し、又はがけに接する建築物の敷地をいう。)に建築物を建築する場合においては、がけの表面の中心線から、がけ上及びがけ下の建築物までの水平距離は、それぞれのがけの高さの1.5倍(がけの高さが2メートル以下の場合又はがけの地質により安全上支障がない場合においては、1倍)以上としなければならない。ただし、がけが岩盤若しくは擁壁等で構成されているため安全上支障がない場合又は建築物の用途若しくは構造により安全上支障がない場合においては、この限りでない。
建築基準条例(兵庫県)第2条
2 がけの下部に擁壁等がある場合においては、その擁壁等の頂部に接し、がけ下の建築物の敷地があるものとみなして、前項本文の規定を適用する。
3 がけ上の建築物の敷地には、地盤の保全及びがけ面への流水防止のため、適当な排水施設をしなければならない。
条文の「がけ」は地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地で、定義に高さのしきい値はありません(30.0度ちょうどの斜面は「がけ」に当たりません——条文は「超える」です)——「2メートル」は、がけの定義ではなく離す距離の倍率の分かれ目として出てきます——高さ2メートル以下のがけも規制の対象で、倍率が1倍になるだけです。規制の場面は「がけ地」=がけを有する敷地、またはがけに接する敷地に建築物を建築する場合です。県の解説では、小段等によって上下に分離されたがけも、下層のがけ面の下端(かたん)を含み水平面に対し30度の角度をなす面の上方に上層のがけ面の下端があるときは一体のがけとみなすとされ、「がけの高さ」はがけの上端(じょうたん)と下端の垂直距離とされています。
距離は「がけの表面の中心線」から測ります——がけの上も下も、それぞれ1.5倍以上

距離の起点は、がけの下端でも上端でもなく、「がけの表面の中心線」です。そこからがけ上の建物までも、がけ下の建物までも、それぞれ水平距離でがけの高さの1.5倍以上——がけの高さが2メートル以下の場合、またはがけの地質により安全上支障がない場合は1倍以上です。県の解説の図解も、がけの中心線から両側に「1.5×H」(2メートル以下等の場合は「1.0×H」)を取る形で描いています。
第2項は、がけの下部に擁壁(ようへき=がけの土が崩れないように支える構造物。塀とは役割が違います)等がある場合——その擁壁等の頂部に接して、がけ下の建築物の敷地があるものとみなして第1項本文を適用します。県の解説の図解(第2項)は、がけの高さHを、上端から擁壁等の頂部までで取り、中心線も擁壁より上のがけ面を二分する位置に置いて、そこから1.0×H/1.5×Hを測る形で描いています——擁壁の高さの分は、Hに入りません。実際の当てはめは、断面図を持って所管の窓口で確かめてください。第3項はがけ上の排水——がけ上の建築物の敷地には、地盤の保全とがけ面への流水防止のため、適当な排水施設を設けなければなりません。県の解説は、この排水を、がけの上に建築する場合だけでなく建築物の敷地を造成する場合も含めて、雨水・汚水ががけ面を流下したり擁壁の裏側やがけに浸透したりしてがけ崩れを誘発しないための義務と説明しています。
例外は2系統——がけの性質と、建物の用途・構造。どちらも「安全上支障がない」が条件です

ただし書は号立てではなく、前段=がけが岩盤若しくは擁壁等で構成されているため安全上支障がない場合と、後段=建築物の用途若しくは構造により安全上支障がない場合の一文です。県の解説は、前段の該当例として次の4つを挙げています——①法第88条第1項の規定に基づき確認等を受けた擁壁を設置したもの、②宅地造成等規制法に基づき擁壁等を設置したもの(擁壁の設置を要しないがけで、がけ面を石張り・芝張り等によって法面保護の措置を講じたものを含む)、③風化の著しくない硬岩盤、④公的機関等で安全性の判定を受けた擁壁等。いずれも「建築物を建築する場合においても、その安全性に支障がないもの」が該当する、という書き方です。なお②の法令名は解説の記載のままです——宅地造成等規制法は現在の盛土規制法に改正されているため、現行の手続との対応は窓口で確認してください。
後段の「用途により」は、解説ではがけ下に建築する、居室を有しない規模が軽微な建築物(例:納屋・器具庫等)とされています。「構造により」は2つ——がけ上なら、外見上支障のないがけで、がけ下から水平面と30度をなす角度まで、建築物の基礎その他これに類するもの(基礎ぐい、セメント系固化材で改良された地盤の改良体など)を、がけに影響のない方法で下げた場合。がけ下なら、土圧・衝撃等に対して構造耐力上支障のない鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造その他これらに類する構造のもの。どれも条文の要件は「安全上支障がない」ことで、構造種別の名前や擁壁があることだけで自動的に例外になるわけではありません——個別の計画への当てはめは、確認審査と窓口で判断されます。
条例の距離が取れていても、建築基準法第19条第4項は残ります

県の解説は、第2条を建築基準法第19条第4項を補完するものと位置づけています。建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合には、同項により、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければなりません。第2条の距離やただし書の例外に当たるかどうかとは別に、個別の敷地の状況——がけの状態・地質・水の道——に応じた安全の検討が要ります。
仮設でも、用途変更でも、増築でも——第2条の残り方が違います

雑則の章に、第2条がどう残るかの定めがあります(以下は、令和7年4月1日版の解説に収録された条文を通読した範囲の整理です)。①仮設興行場等(法第85条第6項・第7項の許可)——適用除外(第27条の5)の列挙に第2条は含まれていません。県の解説の対応表も、仮設興行場等に「適用される規定」の側に法第19条→第2条を挙げています。
ここは法第85条第6項・第7項の許可仮設の話です——工事現場に設ける事務所・下小屋・材料置場等と、災害時の公益上必要な用途(停車場・官公署等)の応急仮設建築物には、法第85条第2項により法第40条(この条例の委任の根拠のひとつ)を含む規定を適用しない特例が別にあります。応急仮設住宅は、国の整理では法第85条第2項の「公益上必要な用途に供する応急仮設建築物」に含まれるとされ、設置の主体・区域・着工時期によっては同条第1項の対象になる場合もあります——第1項の対象は、特定行政庁が指定する非常災害区域等の内での、①被災建築物の応急の修繕——破損した部分の修繕は工事の着手時期を問わず適用されると国土交通省の通知が示しています——と、災害発生の日から1か月以内に着工する②国・地方公共団体・日本赤十字社が災害救助のために建築する応急仮設建築物、③被災者が自ら使用する延べ面積30平方メートル以内の応急仮設建築物です(防火地域内の除外は②③に掛かります)。
第1項・第2項の応急仮設建築物を工事完了後3か月を超えて存続させるには、その日前に特定行政庁の許可が必要です(同条第3項。期限前に申請し、期限までに処分がされないときは、処分がされるまで存続できます——同項ただし書。許可は、特定行政庁が安全上・防火上・衛生上支障がないと認めるときに、2年以内の期間を限って行われます〔第4項〕。被災者の需要に応ずるに足りる適当な建築物が不足するなどの特別の必要があり、安全上・防火上・衛生上支障がなく、かつ公益上やむを得ないと認める場合は、1年を超えない範囲での延長・再延長があり得ます〔第5項〕。この期間延長には、あらかじめ建築審査会の同意が必要です(官公署・病院・学校その他の公益上特に必要なものとして国土交通省令で定める用途の応急仮設建築物の延長は除きます)〔第8項〕)。
②既存不適格の建物の用途変更——用途変更では、建築基準法第87条第3項による条例規定の遡及適用が問題になります。兵庫はここで、法第3条第2項により第2条の適用を受けない建築物の用途を変更する場合は第27条の9第1項により第2条を適用しないと明記しています。用途を変更して一時的に興行場等・特別興行場等として使用する場合(法第87条の3第6項・第7項の許可)も、第27条の10により第2条は適用されません。
③同じ既存不適格でも、増築・改築をする場合は、法第3条第3項第3号・第4号により第2条が建築物全体に適用されます——既存の建築物に対する制限の緩和(第27条の8)の対象条文に第2条は含まれておらず、増築等について第2条を緩和する定めは、この条例にはありません。県の解説の対応表には、大規模の修繕・大規模の模様替の場合は、第2条の規定上、適用されないとの注記があります。
④移転——既存不適格建築物の移転には、法第86条の7第4項・施行令第137条の16の特例があります。同一敷地内の移転か、特定行政庁が交通上・安全上・防火上・避難上・衛生上・市街地の環境の保全上支障がないと認める移転では、法第3条第3項にかかわらず、従前から適用されていない規定が引き続き適用されない場合があります——増築・改築とは別に判定します。なお、第27条の8又は第27条の9により一部の条例規定が適用されない既存不適格建築物について増築等・用途変更をする場合でも、所有者・管理者・占有者は、がけ地の安全措置(第1章の2)を含む基準の内容に配慮するものとされています(第27条の11)。個別の当てはめは窓口で確認してください。
罰則は第29条——設計者等に30万円以下。適合の義務は、審査の有無にかかわらず残ります

第29条 第2条第1項若しくは第3項又は第24条の規定に違反した場合における当該建築物の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物の工事施工者)は、30万円以下の罰金に処する。
同 第29条
第2条第1項(距離)・第3項(排水)の違反は、当該建築物の設計者——設計図書を用いずに施工した場合、または設計図書に従わずに施工した場合は工事施工者——に30万円以下の罰金です(第29条。第28条の50万円以下の罰金の対象条文の列挙に、第2条は含まれていません)。違反が建築主の故意によるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、建築主にも、違反した条の刑(第28条・第29条それぞれの罰金)が科されます(第30条)。法人の代表者や、法人・人の代理人・使用人その他の従業員が、その法人・人の業務に関して違反行為をした場合は、行為者を罰するほか、その法人・人にも罰金刑——ただし免責の対象は限られています。代理人・使用人その他の従業員の違反行為について、その防止のため当該業務に対し相当の注意・監督が尽くされたことの証明があった場合に、その法人・人に科されないだけです(第31条ただし書。代表者自身の違反行為には、このただし書は働きません)。そして確認審査で見られるかどうかと、条例への適合義務は別です——冒頭に書いたとおりです。違反建築物は是正命令(建築基準法第9条。除却(じょきゃく=取り壊し)・使用禁止などの措置を含みます)の対象になり得ます。
是正命令は、建築主・所有者などに来ます(法第9条第1項)
罰則の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、当該建築物の建築主、工事の請負人(下請人を含みます)・現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者に対して措置を命ずることができる、と定めています。故意かどうかは、この条の要件ではありません。命じられるのは工事の施工の停止のほか、除却・移転・改築・増築・修繕・模様替・使用禁止・使用制限その他、違反を是正するために必要な措置です。建てたあとに除却や使用禁止を命じられ得るのは、建築主・所有者などです——設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていません。命令に従わないと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(法第98条第1項第一号)。条例の罰則は罰金だけですが、こちらは拘禁刑もあります。
災害危険区域は、別の条例です——住居系は原則建築禁止(建築主事を置く市町を除く)

第7条 災害危険区域内においては、住宅(併用住宅、共同住宅及び長屋を含む。)、寄宿舎、下宿その他規則で定める建築物は、建築してはならない。ただし、知事が次のいずれかに該当する場合で、安全上又は避難上支障がないと認めて許可したときは、この限りでない。(略)
災害危険区域に関する条例(兵庫県)第7条
兵庫県の災害危険区域は、「災害危険区域に関する条例」(昭和46年兵庫県条例第62号)で知事が指定します——高潮・波浪/出水/地すべり/急傾斜地の崩壊の4類型(第3条)。「急傾斜地」の定義は傾斜度が30度以上である土地です(第2条第1号。がけ条例の「がけ」は30度超、こちらは30度以上——ちょうど30度の斜面で扱いが分かれます)。区域内では、住宅(併用住宅・共同住宅・長屋を含む)・寄宿舎・下宿と、規則で定める老人福祉施設・有料老人ホームの建築が原則禁止(第7条)。例外は知事の許可で、条文は5つの場合を挙げています——基礎・主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段。建物の構造上重要な部分)が鉄筋コンクリート造・補強コンクリートブロック造・鉄骨造その他これらに類する構造/高潮・出水の区域では耐水性の構造(平家建は避難設備が条件)/防護施設・防止施設の設置/居室を有しない附属建築物/地形・地物等周囲の状況によりやむを得ない場合。第7条の対象以外でも、居室を有する建築物には構造の定めがあります(第8条——波浪・地すべり・急傾斜地の崩壊の区域では、水圧・土圧・衝撃等に対して構造耐力上支障のないRC造等。高潮・出水の区域では耐水性の構造で、平家建は避難設備を設けたものに限ります。知事が安全上・避難上支障がないと認めたときは適用されず、承認の手続は規則にあります)。罰則は第7条違反の建築主に20万円以下の罰金(第11条。第12条に両罰規定)です。
災害危険区域に関する条例には、大事な適用範囲の定めがあります——「この条例は、建築主事を置く市町の区域については、適用しない」(第9条)。一方、がけ条例(第2条)のほうは、神戸市を除く県内全域で、建築主事を置く市町でも外れません。そして災害危険区域に入っても、第2条の距離の規制が外れるわけではありません——区域の建築制限と距離の規制は、それぞれ確認します。区域の一覧・図は県のページで公開されています。計画地が区域に入るか、その市町でどの定めがかかるかは、建築指導の窓口で確認してください。
土砂災害の区域の話は、別の法律です

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は、土砂災害防止法に基づく別の制度です。レッドゾーン内で居室を有する建築物には、建築基準法施行令第80条の3の構造規制が働きます(対象は、外壁・構造耐力上主要な部分のうち、土石等の高さ等以下で衝撃が作用すると想定される部分——条文の括弧書きの限定です。土石等の高さ等以上の高さの門・塀(外壁等と同等以上の耐力をもつ、大臣が定めた構造方法のもの)が、想定される衝撃を遮るように設けられている場合は、同条ただし書により適用されません)。区域指定の際に既に存する建築物が同条に適合していない場合は、建築基準法第3条第2項により既存不適格となる場合があり、指定されたことだけで直ちに現行基準への改修義務が生じるとは限りません——増築・改築等を行う場合の適用は、別に確認してください。また、レッドゾーン内で区画形質の変更を伴う開発行為(都市計画法第4条第12項)をして、予定建築物が制限用途であるもの=特定開発行為には、都道府県知事の許可が必要です(土砂災害防止法第10条第1項。非常災害のために必要な応急措置として行う開発行為と、仮設建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為は除かれます(同項ただし書、同法施行令第5条))。制限用途は住宅(自己の居住の用に供するものを除く——分譲住宅・賃貸住宅など)と、高齢者・障害者・乳幼児その他特に防災上の配慮を要する人が利用する社会福祉施設・学校・医療施設のうち政令で定めるものです(同条第2項)。開発行為を伴わない建築だけの場合は、この許可の対象ではありません。第2条に、土砂災害の警戒区域等による適用除外の定めはありません——第2条の距離を満たしても土砂災害防止法側の規制は別に残り、逆も同じです。それぞれ確認します。いま書いた2つの道の中身と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。
神戸市は、市の条例です——市の案内では、1メートル超の高低差から検討

第27条の12と規則(平成11年兵庫県規則第13号)により、神戸市の区域には県の建築基準条例を適用しません。神戸市では神戸市建築物の安全性の確保等に関する条例第20条(斜面地建築物の安全措置)と同施行規則が受け持ちます。同じ30度・1.5倍という数字を使いますが、県条例では離すべき距離の基準として、神戸市では構造措置の対象を切り出す線として働きます——求められるのは距離ではなく構造措置です。
市の案内では、敷地内および周囲に1メートルを超える高低差がある敷地で建築物を計画する場合、用途・規模にかかわらず検討が必要とされ、がけ上は土質に応じた安息角への基礎の根入れ、がけ下はRC造等や擁壁といった構造措置を中心に定めています(同施行規則第10条。がけ上とがけ下で、使える方法と除外が別です——がけ上は、土質に応じた基礎等の根入れによるほか、所定の擁壁等の対象となるがけ(令第142条の擁壁で覆われたがけ、盛土規制法の許可工事・都市計画法の許可開発の対象となるがけ)の上でかつ建築物の安全上支障がないものであること、構造計算・実験により構造耐力上安全であることを確認する方法があります〔規則第10条第2号〕。がけ下は、RC造・SRC造とするか擁壁の設置等の措置によりがけ崩れに対して構造耐力上の安全性を確保できるものとすることが原則です——ただし納屋・器具庫その他の居室を有しない建築物は、この第3号本文の対象から除かれます(高さ1メートルを超えるがけの下では、がけの安全性が外見上確保されている場合に限ります)。これとは別に、がけの高さが2メートル以下の場合など、同条第3号ただし書に該当する「当該部分」は措置が不要になります。がけの安全性が外見上確保されていることの確認も定められており、その判断は設計者がします)。なお、令第142条第1項が求めるのは、掲げる基準に適合する構造方法です。あわせて、これと同等以上に擁壁の破壊及び転倒を防止することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法も認めています。基準に適合していれば足ります——大臣が定めた構造方法でなければならない、という意味ではありません。
さらに条例第20条第2項は、第1項各号の建築物に加え、片側土圧を受ける面の高さの合計が2メートルを超えるもの・周囲の地面と接する位置の高低差が10メートルを超えるもの・がけの地表面の中心線からがけ上の建築物までの水平距離ががけの高さの1.5倍未満のものについて、規則第11条に定める全10項目——土質定数・土圧・設計用荷重及び外力の評価、水圧、排水、滑動・転倒に対する安全性、斜面の安定性、支持力の低減、地盤沈下、壁・建築物の剛性、段差基礎の剛性と水平力の分担、斜面の劣化・風化——を実況に応じて考慮した構造設計を求めています(逐条解説は、構造耐力上の安全性の検討では原則として「神戸市斜面地建築物技術指針」を活用し、規則第11条に定めのない事項も検討するよう示しています)——第1項・規則第10条の措置が不要となる場合でも、この第2項は別に確認します。
市への届出は不要で、確認申請の審査の中で見られるとされています。神戸市内の計画は、市の建築指導の窓口へ。
売買契約の前に、専門家と確かめること

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。がけの高さと、がけからの距離は、現況の測量図と断面図がないと自分では判断できません——測量と図面は建築士に、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口に確かめてください。どこを上端・下端とみるかも、窓口に確かめてください。
- ① 計画地の中や周りに、30度を超える斜面があるか。高さは問いません。小段で分かれたがけを一体とみなす扱いも確認します(県の解説)
- ② がけの表面の中心線から、建物までの水平距離が「がけの高さの1.5倍」以上あるか——がけの上も下も、それぞれ。がけの高さが2メートル以下の場合、またはがけの地質により安全上支障がない場合は1倍以上です(第2条第1項。「地質により」の判断は自分でせず、1.5倍を基本に、1倍でよいかは審査・窓口で)
- ③ 距離が取れないなら、ただし書——がけ側か、建物側か。がけ側=①法第88条第1項に基づき確認等を受けた擁壁、②宅地造成等規制法に基づき設置された擁壁等(同法上、擁壁の設置を要しないがけに講じた石張り・芝張り等の法面保護を含む。県の解説の法令名による整理で、現行の盛土規制法との対応は窓口で確認)、③風化の著しくない硬岩盤、④公的機関等で安全性の判定を受けた擁壁等(県の解説が挙げる例)。建物側=がけ下の居室のない軽微な建物(用途)/がけ上の基礎を30度面まで下げる・がけ下のRC造等(構造)。どれも「安全上支障がない」が条文の要件で、名前だけで自動的に例外にはなりません
- ④ がけの下部に擁壁等があるなら——その頂部にがけ下の敷地があるとみなして測ります(第2項)。県の解説の図解では、がけの高さHは上端から擁壁の頂部までで、擁壁の分は入りません——中心線も、擁壁より上のがけ面の真ん中に置かれています
- ⑤ がけ上に建てる・敷地を造成するなら、排水施設(第3項。がけ崩れを誘発しない排水の義務)
- ⑥ 建築物を建てる場合は、①②の範囲の外でも、その建物ががけ崩れ等の被害を受けるおそれがないかを別に確認。おそれのある場合は、建築基準法第19条第4項の安全上適当な措置が必要です
- ⑦ 敷地が災害危険区域に入らないか。入るなら別条例——住居系は原則禁止で、知事の許可が例外の道です。建築主事を置く市町の区域には県の災害危険区域条例は適用されません——扱いはその市町の窓口へ。区域に入っても、第2条の距離の規制は別に残ります
- ⑧ イエローゾーン・レッドゾーンとの位置関係を確認(土砂災害防止法)。令第80条の3の構造規制はレッドゾーンの規定です。既存の建物は、区域指定の時期・建築の時期と、これから行う工事を含めて既存不適格の扱いを確認(第2条とは別の制度です)
- ⑨ 神戸市内なら、市の条例第20条。市の案内では、1メートルを超える高低差があれば用途・規模にかかわらず検討が必要です——検討の入口であって、措置が必ず要る意味ではありません。がけ上=高さ1m以下のがけを除き、がけの外見上の安全性を確認したうえで〔規則第10条第1号〕、根入れ/所定の擁壁等の対象となるがけで、かつ建築物の安全上支障がないこと/構造計算・実験のいずれか〔同条第2号〕/がけ下=RC造等・擁壁の設置等によりがけ崩れに対する構造耐力上の安全性を確保できること(納屋・器具庫など居室のない建物は本文の対象外になる場合あり〔高さ1m超のがけは外見上の安全確保が条件〕。がけ高2m以下等は同条第3号ただし書で「当該部分」の措置不要——その場合も、市の案内は、がけの外見上の安全性の確認を求めています)と、上下で方法と除外が別です。条例第20条第2項・規則第11条の全10事項を、実況に応じて考慮した構造設計も別に確認(原則として市の斜面地建築物技術指針を活用し、規則に定めのない事項も検討——逐条解説)——対象は、第1項各号のがけ上・がけ下の建築物に加えて、片側土圧2m超・高低差10m超・がけ上1.5倍未満の建築物。市の窓口へ
- ⑩ 建築確認が不要なことだけを理由に、第2条が外れるわけではありません。適合の義務は審査の有無にかかわらず残ります。違反は是正命令(建築基準法第9条の措置)の対象になり得て、罰則は第29条〜第31条の要件を満たす場合です
個別の敷地でどう当たるかの判断は、建築士と、建築地を所管する建築指導の窓口にご確認ください。兵庫県は条例と解説の一体版〔令和7年4月1日版〕を公開しています——条文と併せて読むと、規制の趣旨がつかみやすくなります。現行の審査の取扱いは、建築指導の窓口で確認してください。
出典
- 建築基準条例及びその解説〔令和7年4月1日版〕(兵庫県公式PDF)
- 建築基準条例及びその解説の案内ページ(兵庫県公式)
- 建築基準条例(兵庫県法規集・現行条文。開けない環境では上の解説PDFから)
- 災害危険区域に関する条例(兵庫県法規集・現行条文)
- 災害危険区域に関する条例施行規則(兵庫県法規集・現行条文)
- 災害危険区域について(兵庫県公式・区域の一覧)
- 神戸市のがけ条例の案内ページ(市公式)
- がけ条例のご案内(神戸市公式PDF・令和7年4月)
- 神戸市建築物の安全性の確保等に関する条例第20条・同施行規則(抜粋・市公式PDF)
- 建築基準法(e-Gov法令検索・第3条・第6条の4・第9条・第19条第4項・第39条・第40条・第85条・第86条の7・第87条・第87条の3・第88条)
- 建築基準法施行規則(e-Gov法令検索・第10条の15の8)
- 災害により破損した建築物の応急の修繕に係る建築基準法の取扱いについて(国住指第27号・国土交通省通知PDF)
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索・第10条・第80条の3・第137条の16)
- 国土交通省「第三次答申に向けた主な審議事項と議論の方向性(資料編)」32頁・仮設建築物に関する制限の緩和(法第85条)の概要(PDF)
- 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(e-Gov法令検索・第10条)
擁壁の形や種類については、擁壁の選び方にまとめています。条例に当てはまるかどうかは、この記事に書いた窓口で確かめてください。
