福岡県条例が適用される区域で、第5条第1項から第3項までが適用される計画では、水平面に対して30度を超える「がけ」の高さが3メートルを超える場合、その上下それぞれ、がけの高さの2倍に相当する水平距離以内と、がけそのものに、居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)のある建物を原則建てられません。
先にすることは、3つです。がけ条例がかかっても、建てられないと決まったわけではありません。まず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って計画地を所管する建築行政の窓口へ、条例の当てはめを確かめる。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。確かめる中身は、この記事の最後の「売買契約の前に、専門家と確かめること」にまとめてあります。
第5条第1項ただし書の例外は5つあり、その第1号が「擁壁の設置」による安全確保です。擁壁(ようへき)は、がけの土が崩れないように支える構造物です。塀とは役割が違います。これとは別に、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内では、同条第4項により第1項から第3項までは適用されません。さらに、急傾斜地崩壊危険区域は「災害危険区域」とされ、居室のある建物は原則建築禁止——県条例では、二段構えになっています。
この記事は、いわゆる福岡県の「がけ条例」——正式には福岡県建築基準法施行条例(昭和46年条例第29号)第5条と、対になる第3条・第4条(災害危険区域)——を読んだ整理です。現行の条文は県の例規全集データベースで確認でき、この記事の条文確認には、県建築指導課編集の「福岡県建築基準法施行条例〔改正経過〕」(令和3年版・収録は令和2年3月31日の改正まで)と、その後の改正の公報(令和4年6月24日条例第28号=第26条の項番号、令和6年6月28日条例第39号=第13条第1項・第15条・第21条第3項、令和8年6月30日=第18条・防火関係)を併せて使いました。第5条の現行は平成27年7月21日からで、これらの改正でも変わっていません。
先にひとつ、大事な区分です。この記事は福岡県条例が適用される区域の話です。県条例第26条の2により、建築主事を置く市町村が建築基準法第39条・第40条等に基づき条例を定めたときは、その市町村の区域では県条例は適用されません——たとえば福岡市には市の建築基準法施行条例があり、がけの規制は市条例(第5条)の側です。数値の骨格は近くても、認定の窓口や罰則の条番号は市条例によるので、敷地のある市町村でどちらの条例かを最初に確認してください。
「がけ条例」の実体は、建築基準法施行条例の第5条です

「がけ条例」は通称です。建築基準法第39条(災害危険区域)・第40条(条例による制限の附加)などの委任を受けた福岡県建築基準法施行条例が実体で(第1条)、がけの規制は第5条に、災害危険区域の仕組みは第3条・第4条にあります。建築確認の対象となる計画では、この条例への適合も原則として確認審査の対象です。確認特例の適用は、建築物・設計者の区分に応じて建築基準法第6条の4・施行令第10条で決まり、法第39条から第41条までに基づく条例規定のうち特定行政庁(建築確認を担当する県または市町村)が規則で定めた規定が審査省略の対象になり得ます。その計画に適用される条例規定への適合義務は、確認審査で直接確認されるかどうかとは別に生じます。そして、確認申請の提出先は行政庁だけではありません——建築確認は、業務区域・業務範囲に対応する指定確認検査機関(民間の確認検査機関)にも申請できます(建築基準法第6条の2)。条例の当てはめやただし書の扱いをどこへ相談するかは、申請先によって変わります——指定確認検査機関へ申請するなら、まずその機関へ。審査上の疑義は、機関から所管の行政庁へ照会される扱いです。
「がけ」の定義は30度超。第5条第1項の建築制限の高さ要件が3メートル超

第五条 がけ(地表面が水平面に対し三十度を超える傾斜度をなす土地をいう。以下同じ。)の高さ(がけの上端と下端との垂直距離をいう。以下同じ。)が三メートルを超える場合においては、当該がけの上にあつては当該がけの下端から、下にあつては当該がけの上端から水平距離が当該がけの高さの二倍に相当する距離以内の位置及び当該がけには、居室を有する建築物を建築してはならない。
福岡県建築基準法施行条例 第5条第1項本文
「がけ」は地表面が水平面に対して30度を超える傾斜の土地、高さはがけの上端(じょうたん)と下端(かたん)との垂直距離で、これが3メートルを超えると、第5条第1項の建築制限の対象です——30.0度ちょうど・3.0メートルちょうどは、当たりません(条文はどちらも「超える」です)。測り方の補いも条文にあります——がけの上に接して30度以下のゆるい土地が続く場合は、下端を含む30度の面より上にある部分に限ってがけの一部とみなされ(第2項)、小段などで上下に分かれたがけも、下の段の下端から30度の角度をなす面より上に、上の段の下端があるときは、一体のがけとみなされます(第3項)。
ただし、第5条の「がけ」に当たらない斜面でも、「がけ」だが高さ3メートル以下の場合でも、第1項の2倍の範囲・がけ面の外でも、安全の検討が不要になるわけではありません。建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合には、建築基準法第19条第4項により、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければなりません。個別の計画がその「おそれのある場合」に当たるかは、がけの状態・距離・地盤・建物の計画などによって判断されます。第5条の数字は「条例の建築制限の入口」であって、「安全検討の入口」ではありません。
かかる範囲——上下それぞれ2倍。がけそのものにも、居室のある建物は原則建てられません

範囲は、がけの上に建てるなら下端から、がけの下に建てるなら上端から、それぞれがけの高さの2倍に相当する水平距離以内——そして条文は「及び当該がけには」と続きます。がけの斜面そのものに、居室のある建物を建てることも原則できません。たとえば高さ4メートルのがけなら、上下それぞれ8メートル以内が範囲です。
禁止されるのは「居室を有する建築物」の建築です。「居室」とは、居住・執務・作業・集会・娯楽などの目的のために継続的に使用する室をいいます(建築基準法第2条第4号)。住宅に限らず、事務所や店舗の部屋も当たり得ます。また、ここでいう「建築」には新築だけでなく、増築・改築・移転も含まれます(同条第13号)。工事を伴わない用途変更も、建築基準法第87条第2項により、第39条第2項・第40条に基づく条例の規定が準用されることがあります(同条第3項などの例外もあります)。居室のない建物を居室のある用途に変える場合などは、適用関係を窓口で確認してください。
第5条第1項ただし書の例外は5つ。第1号が「擁壁の設置」です

ただし、次の各号の一に該当する場合においては、この限りでない。
同 第5条第1項ただし書
一 擁壁の設置により、がけの崩壊(建築物の安全性を損なうおそれがあるものに限る。次号において同じ。)が発生しないと認められること。
二 地盤が強固であり、がけの崩壊が発生しないと認められること。
三 がけの上に建築物を建築する場合にあつては、がけの崩壊により当該建築物が自重によつて損壊、転倒、滑動又は沈下しない構造であると認められること。
四 がけの下に建築物を建築する場合にあつては、次のいずれかにより、がけの崩壊に伴う当該建築物の敷地への土砂の流入に対して当該建築物の居室の部分の安全性が確保されていると認められること。
イ 土留施設を設置すること。
ロ 建築物のがけに面する壁を開口部のない壁とし、かつ、当該建築物の居室の部分を当該建築物への土砂の衝突により破壊されるおそれがないと認められる構造とすること。
五 がけに建築物を建築する場合にあつては、前二号に該当すること。
- 第1号——擁壁の設置により、がけの崩壊(建物の安全性を損なうおそれのあるものに限ります。第2号も同じ)が発生しないと認められること。県の解説(2020年掲載)では擁壁の技術基準への準拠が示されています——旧法令名の参照を含むため、いま適合確認に使う基準は窓口で確認を
- 第2号——地盤が強固で、崩壊が発生しないと認められること。解説の例は、硬岩盤であることが地質調査で確認されたもの等です
- 第3号(がけの上に建てる)——崩壊があっても、建物が自重によって損壊・転倒・滑動・沈下しない構造と認められること。解説の例は、基礎や基礎杭の支持地盤が安定勾配の内側にあるもの等です
- 第4号(がけの下に建てる)——イ(土留施設の設置)またはロ(がけに面する壁を開口部のない壁とし、居室部分を土砂の衝突で破壊されない構造とする)のいずれかにより、土砂の流入に対して居室部分の安全が確保されていると認められること。解説では、レッドゾーン用の構造方法(建築基準法施行令第80条の3)への準拠が挙げられています
- 第5号(がけそのものに建てる)——第3号と第4号の両方に該当すること
第1号から第4号には「認められる」という言葉が付き、第5号は第3号・第4号の両方に該当することを求めています——言い分だけでは決まらず、例外への該当は地質・構造等の資料で裏付けます。確認特例により当該条例規定の審査が省略されない計画では、その資料をもとに確認審査の中で確認されます。審査が省略される場合でも、適用される条例規定への適合義務は残ります。規制の範囲に既に擁壁がある場合も、その擁壁で第1号に当たるといえるか(資料の有無・現況)の確認からです。がけのある計画は、早い段階で建築士と、県・市町村の建築指導窓口に相談してください。
レッドゾーン内では第5条第1〜3項が不適用。特定開発行為の許可と令第80条の3は、別に確認します

4 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成十二年法律第五十七号)第九条第一項の規定により知事が指定した土砂災害特別警戒区域内においては、前三項の規定は、適用しない。
同 第5条第4項
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の中では、第5条第1項の建築制限と、第2項・第3項のみなし規定は適用されません。条例の他の規定まで外れるわけではなく、急傾斜地崩壊危険区域にも重なる場合は、第4条(災害危険区域)の適用関係も別に確認します。規制が無くなるわけではありません。
ただし、レッドゾーンに入れば必ず特定開発行為の許可が要る、というものでもありません——許可が必要になるのは、都市計画法上の開発行為に当たり、予定建築物が制限用途(住宅(自己居住用を除く)や、高齢者・障害者・乳幼児など特に防災上の配慮を要する人が利用する社会福祉施設・学校・医療施設(政令で定めるもの)=土砂災害防止法第10条)で、適用除外に当たらない場合です。その適用除外は、非常災害のために必要な応急措置として行う開発行為と、仮設建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為です(同条第1項ただし書、同法施行令第5条)。開発区域がレッドゾーンの内外にまたがる場合、レッドゾーン外に建築が予定されている建築物は、同条の「予定建築物」から除かれます——開発区域だけでなく、各建築物の予定位置も確認が必要です。
これとは別に、居室を有する建築物の構造規制(建築基準法施行令第80条の3)の適用関係を確認します。レッドゾーン内の居室を有する建築物について、令第80条の3に対応する2つの方法——外壁等(外壁・構造耐力上主要な部分のうち、土石等の高さ等以下で、土砂災害の原因となる自然現象〔河道閉塞による湛水を除く〕により衝撃が作用すると想定される部分)を所定の構造にするか、土石等の高さ等以上の高さで、外壁等と同等以上の耐力を有するものとして国土交通大臣が定めた構造方法による門・塀を、衝撃を遮るように設けるか——と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。
急傾斜地崩壊危険区域は「災害危険区域」。原則、居室のある建物は建てられません

第四条 災害危険区域内においては、居室を有する建築物を建築してはならない。ただし、災害防止上必要な措置を講ずることにより特定行政庁が建築物の安全上支障がないと認めた場合においては、この限りでない。
同 第4条
福岡県は、急傾斜地崩壊危険区域を、建築基準法第39条の「災害危険区域」としています(第3条)。県の解説では、急傾斜地崩壊危険区域が指定されると、自動的にその区域が災害危険区域となるとされています。その区域内では居室のある建物の建築が原則禁止で、例外は災害防止上必要な措置を講じて、特定行政庁が安全上支障がないと認めた場合だけです。県の解説では、この措置は擁壁の設置・法面保護工等——急傾斜地法に基づく急傾斜地崩壊防止工事——とされています。県所管区域の「福岡県建築確認申請の手引き2024年版」は、ただし書の認定基準として、次の4つのすべてに該当することを掲げています——①建築物に影響を及ぼすおそれのある範囲が、急傾斜地法第12条第1項又は第13条の崩壊防止工事で施工済みであること、②同法第7条の許可を受けているか、許可を要しないこと、③同法第8条〜第10条の命令・勧告を受けていないこと(受けた場合は必要な措置を完了していること)、④崩壊防止工事の土留施設に、崩壊につながるおそれのある損傷・劣化等が目視で認められないこと。認定を受けるには、建築確認とは別に、県細則第26条の認定申請書(様式第12号関係)に必要図書を添えて、所管の行政庁——県所管区域なら県土整備事務所建築指導課、市が所管行政庁となる区域では、その市へ申請します(手引きが示す通常の基準です。個別の認定の可否は、所管の特定行政庁に確認してください)。第5条のがけ規制とは別の決まりとして、重なってかかることがあります。なお、区域内での切土・盛土や工作物の設置などは、この認定とは別に、急傾斜地法第7条第1項により知事の許可が必要になることがあります——建築指導の窓口だけでなく、急傾斜(砂防)の担当窓口にも確認してください。
なお、現在の制限範囲内に既存の建物があるだけで、直ちに違反になるわけではありません。条例の施行・改正や区域の指定で、後から基準に合わなくなった建築物・敷地は、建築基準法第3条第2項により既存不適格(きそんふてきかく=建てたときは適法だった建物)となる場合があります。その後に増築・改築・移転・大規模の修繕・模様替えや用途変更等を行うときは、同条第3項・第86条の7・第87条の適用関係を確認してください。
県条例が適用される区域では、罰則は第27条・第28条。適用される規定への適合義務は、審査とは別に残ります

第27条第1項は、第4条・第5条を含む列挙規定(「第4条から第18条まで及び第20条から第24条まで」)への違反について、当該建築物の設計者(設計図書を用いずに施工した場合、または設計図書に従わずに施工した場合は工事施工者)を20万円以下の罰金に処すると定めています。違反が建築主の故意によるときは、その建築主にも同じ刑が科されることがあります(同条第2項)。法人の代表者や従業者等が業務に関して違反したときは、行為者を罰するほか、その法人・人にも罰金刑が科されます(第28条)——ただし書で除かれるのは、代理人・使用人その他の従業者の違反について、法人・人が防止のため相当の注意・監督を尽くしたと証明できた場合の法人・人への刑だけです。
そして建築確認の対象となる計画では、第4条・第5条への適合も原則として確認審査の対象です。確認特例(法第6条の4・令第10条)による審査省略は、建築物・設計者の区分と、法第39条から第41条までに基づく条例規定のうち特定行政庁が規則で定めた規定の範囲で決まります——その計画に適用される条例規定への適合義務は、審査の範囲とは別に生じます。第5条には都市計画区域内に限る旨の定めはありません。建築確認が不要なことだけを理由に、第5条が外れるわけではなく、違反すれば是正命令(建築基準法第9条。除却(じょきゃく=取り壊し)・使用禁止などの措置を含みます)や罰則の対象になり得ます——ただし、建築基準法第85条第6項・第7項の許可を受けた仮設建築物等と、法第87条の3第6項・第7項の許可を受けた建築物に、第5条を含む「第3章から前条まで」を適用しない定め(第26条。令和4年条例第28号による改正後の項番号)があります——第2章の第3条・第4条(災害危険区域)は、この不適用の範囲に含まれません。第5条第4項に当たる場合も別です。そして冒頭のとおり、建築主事を置く市町村が法第39条・第40条等に基づく条例を定めた区域では、県条例ではなく市町村の条例です(第26条の2)——どちらのがけ規制がかかるかは、建築指導の窓口で確認してください。
是正命令は、建築主・所有者などに来ます(法第9条第1項)
罰則の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、当該建築物の建築主、工事の請負人(下請人を含みます)・現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者に対して措置を命ずることができる、と定めています。故意かどうかは、この条の要件ではありません。命じられるのは工事の施工の停止のほか、除却・移転・改築・増築・修繕・模様替・使用禁止・使用制限その他、違反を是正するために必要な措置です。建てたあとに除却や使用禁止を命じられ得るのは、建築主・所有者などです——設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていません。命令に従わないと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(法第98条第1項第一号)。条例の罰則は罰金だけですが、こちらは拘禁刑もあります。
土砂災害の区域の確認は、県の公表資料で

がけの近くの土地は、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)または土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されていることがあります。警戒区域では警戒避難体制の整備などが行われ、特別警戒区域では上で見たとおり、第5条第1項から第3項までが適用されず(第4項は残ります)、計画に応じて特定開発行為の許可(土砂災害防止法第10条。要件を満たす場合)と、居室を有する建築物の構造規制(建築基準法施行令第80条の3)を別々に確認します。急傾斜地崩壊危険区域にも重なる場合は、第4条の適用関係も別に確認します。最新の指定状況と区域の境界は、県が公表する指定の図書で確認してください。市町村のハザードマップは避難の確認に有用ですが、作成時点より後の指定が反映されていないことがあります。擁壁の選び方も合わせてどうぞ。
売買契約の前に、専門家と確かめること

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。がけの高さと、がけからの距離は、現況の測量図と断面図がないと自分では判断できません——測量と図面は建築士に、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口に確かめてください。どこを上端・下端とみるかも、窓口に確かめてください。
- ① 計画地の周辺に、水平面に対し30度を超える「がけ」があり、その高さが3メートルを超えるか。敷地の中・隣地に限りません。高さは上端と下端の垂直距離。がけの上のゆるい土地の一部算入(第2項)や、小段がけの一体視(第3項)のみなし規定があります
- ② 建てたい位置は、がけの上下それぞれ、がけの高さの2倍に相当する水平距離以内か、がけそのものか(第1項。水平距離で判定。道路・水路・別の敷地を挟んでいても入り得ます)
- ③ ①の斜面が第5条の「がけ」に当たらない場合も、「がけ」だが高さ3メートル以下の場合も、②の範囲の外でも、がけ崩れ等の被害を受けるおそれがないかは別に確認。おそれのある場合は、建築基準法第19条第4項の安全上適当な措置が必要です(同項に3メートルの高さ要件はありません)
- ④ 居室のある建物の建築予定位置が、急傾斜地崩壊危険区域(=災害危険区域)に入らないか。区域内に建てるなら原則建築禁止——災害防止上必要な措置を講じて、特定行政庁が安全上支障がないと認めた場合が例外の道です。県所管区域では、手引きが示す通常の認定基準4項目のすべて——①建築物に影響を及ぼすおそれのある範囲が急傾斜地法第12条第1項又は第13条の崩壊防止工事で施工済み、②同法第7条の許可を受けているか許可を要しない、③第8条〜第10条の命令・勧告を受けていない(受けた場合は必要な措置を完了)、④土留施設に崩壊につながるおそれのある損傷・劣化等がない——と、県細則第26条の認定申請を確認(特殊な事情による別取扱いの可否は、所管の特定行政庁へ)。切土・盛土・工作物の設置などは、別に急傾斜地法第7条の知事の許可が必要になることがあります(第3条・第4条)
- ⑤ レッドゾーンと、建築予定部分・開発区域・各予定建築物との位置関係を確認。第5条第1〜3項が適用されないのはレッドゾーン内です(第4項)。そのうえで、特定開発行為の許可の要否(開発行為か・制限用途か・適用除外か。開発区域が区域の内外にまたがる場合は、レッドゾーン内に制限用途の建築物が予定されているか)と、令第80条の3の構造規制を、分けて確認します
- ⑥ 第5条第1〜3項が適用される計画で、居室を有する建築物を①・②の範囲に建てるなら、例外5つ——擁壁の設置/強固な地盤/がけ上の構造/がけ下は土留施設、または開口部のない壁+居室部分を土砂の衝突で破壊されない構造/がけ面は第3号・第4号の両方——のどれかに当たるか。第1〜4号は「認められる」が条文の言葉で、第5号は第3号・第4号の両方への該当。名前や工法を採用しただけで、例外と認められるわけではありません。既にある擁壁は、第1号に当たるといえるか(資料と現況)の確認から
- ⑦ 敷地のある市町村が建築主事を置き、法第39条・第40条等に基づく条例を定めていて、県条例第26条の2の対象にならないか。市町村の建築指導窓口へ
- ⑧ 建築確認が不要なことだけを理由に、条例の適用が外れるわけではありません。既存の建物は、法第3条第2項の既存不適格に当たるかを先に確認します。そのうえで、第5条第4項・第26条・第26条の2の適用関係は別に確認します。違反建築物は是正命令(除却・使用禁止などを含む建築基準法第9条の措置)の対象になり得ます。罰則は、設計者・一定の場合の工事施工者・故意の建築主等について、第27条・第28条の要件を満たす場合です
- 確認申請の提出先は、行政庁だけではありません。建築確認は、業務区域・業務範囲に対応する指定確認検査機関にも申請できます(建築基準法第6条の2)。どこへ相談するかは申請先によって変わります——指定確認検査機関へ申請するなら、まずその機関へ。
個別の敷地でどう当たるかの判断は、建築士と、県・市町村の建築指導窓口にご確認ください。福岡県は、条例の全文〔改正経過〕と解説を県のページで公開しています——解説は、条例の目的・意図・補足等をとりまとめた資料で、条文と併せて読むと理解しやすくなります。現行の審査で用いる基準・取扱いは、県・市町村の建築指導窓口で確認してください。
出典
- 福岡県建築基準法施行条例〔改正経過〕令和3年版(県建築指導課編集・県公式PDF。過去の改正履歴の確認用)
- 福岡県公報 令和4年6月24日 第309号増刊①(条例第28号=第26条の改正)(県公式PDF)
- 福岡県公報 令和6年6月28日(条例第39号=第13条・第15条・第21条第3項の改正)(県公式PDF)
- 福岡県建築確認申請の手引き2024年版(県公式PDF・第4条ただし書の認定基準ほか)
- 建築物を建てる時などに必要な各種届出・申請書(福岡県公式)
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索・第10条・第80条の3)
- 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(e-Gov法令検索・第9条・第10条)
- 同法施行令(e-Gov法令検索・第5条・第6条)
- 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(e-Gov法令検索・第3条・第7条〜第10条・第12条第1項・第13条)
- 福岡県建築基準法施行条例・施行細則の案内(県公式・細則第26条)
- 福岡市建築基準法施行条例(市例規)
- 福岡県建築基準法施行条例の解説(県公式PDF)
- 福岡県建築基準法施行条例の一部改正について(令和8年6月30日公布・施行)
- 建築基準法(e-Gov法令検索・第2条・第3条・第6条の4・第9条・第19条第4項・第39条・第40条・第85条・第86条の7・第87条・第87条の3)
擁壁の形や種類については、擁壁の選び方にまとめています。条例に当てはまるかどうかは、この記事に書いた窓口で確かめてください。
