L型擁壁(Lがたようへき)とは、断面がアルファベットのLの形をした鉄筋コンクリートの擁壁です。立てた壁の下から、支える土の側へ底版(ていばん)を伸ばし、その上に載った土の重さを借りて、倒れにくく、滑りにくくしています。
答えを先に
- 後ろに底版を出せない場所では、底版を前に出す逆L型が候補です。前の用地・地盤・荷重を見て設計で決めます。
- 高さ2mを超えると建築基準法の工作物です。2m以下でも、盛土規制法の許可が要る工事や、崖の近くのがけ条例の決まりがかかることがあります。
- 市の標準図は、条件が合うときだけ使えます。値段は高さ・上に載るもの・地盤などで決まります。
倒れない理由
L型擁壁は、なぜ薄い壁でも倒れないのですか
底版の上に載った土が、重しになるからです。
いまある擁壁のひびや傾きが心配なときは、擁壁の選び方の「直すか、造り直すかで迷ったとき」をご覧ください。
当社の製品
工場で造るL型擁壁「土のねっこ」。図面と構造計算書は当社でご準備できます。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます
当社は擁壁のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。図面が無ければ、段差の高さと長さ、現場の写真と住所から始められます。
お電話は ☎ 0120-1181-46(平日9:00〜18:00)。
擁壁の後ろの土は、いつも擁壁を前へ押しています。L型擁壁では、底版と、その上の土がひとかたまりになって、この押す力に逆らいます。コンクリートの重さだけで支える重力式擁壁より壁を薄くできるかわりに、壁と底版には鉄筋を入れて曲げに耐えさせます。
底版の幅も壁の厚さも、構造計算で決めます。盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)の許可が要る工事で崖面を擁壁で覆うなら、鉄筋コンクリートの擁壁は、壊れない・倒れない・滑らない・沈まないの4つを計算で確かめます。倒そうと回す力は踏ん張る側の3分の2以下、滑らせる力は止める力の3分の2以下と、余裕の幅も決まっています。
条文の原文を見る(宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第9条第1項・第2項)
前条第一項第二号の鉄筋コンクリート造又は無筋コンクリート造の擁壁の構造は、構造計算によつて次の各号のいずれにも該当することを確かめたものでなければならない。/一 土圧、水圧及び自重(以下この条及び第十四条第二号ロにおいて「土圧等」という。)によつて擁壁が破壊されないこと。/二 土圧等によつて擁壁が転倒しないこと。/三 土圧等によつて擁壁の基礎が滑らないこと。/四 土圧等によつて擁壁が沈下しないこと。
宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第9条第1項
二 土圧等による擁壁の転倒モーメントが擁壁の安定モーメントの三分の二以下であることを確かめること。/三 土圧等による擁壁の基礎の滑り出す力が擁壁の基礎の地盤に対する最大摩擦抵抗力その他の抵抗力の三分の二以下であることを確かめること。
宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 第9条第2項第2号・第3号
e-Gov法令検索(2026年9月28日閲覧)
ほかの擁壁との違い
逆L型・重力式・もたれ式と、どう違いますか
違いは、土の押す力を何で受けるかです。
| 種類 | 土の力を何で受けるか | 使われる場所・気をつけること |
|---|---|---|
| L型擁壁 | 底版を土の側へ出し、その上の土の重さを借りる | 壁の前に土地の境界があり、前へ底版を出せない場所。後ろに底版を入れる場所が要る |
| 逆L型擁壁 | 底版を前へ出して踏ん張る | 後ろに底版を出せない場所。前に用地が要り、同じ高さでも断面が大きくなることがある |
| 重力式擁壁 | コンクリートそのものの重さ | 基礎の地盤が良い場所。断面が厚くなる |
| もたれ式擁壁 | 後ろの地山(もとの地盤)に寄りかかる | 主に切土の場所。自分だけでは立たない |
| 練積み擁壁(間知ブロックなど) | 石やブロックを斜めに積み、コンクリートで固める | 法令の表で、勾配ごとに高さの上限(5mまで)がある |
L型の底版は、壁の後ろの土の下に入ります。後ろに隣の土地の境界、建物の基礎、杭、配管があると、底版を入れられないことがあります。そういう場所では、底版を前へ出す逆L型(当社なら「土のねっこ 逆L」)を考えます。どちらにするかは、用地だけでなく地盤と荷重を見て設計で決めます。
L型によく似た逆T型擁壁は、底版を前にも出した形です。L型は前に底版(つま先)を出さないので、三重県の開発許可の手引きは、L型擁壁を「壁面に土地境界が接している場合等、つま先版が設けられない場合に用いられる」としています。
PDF(2026年9月28日閲覧)
重力式・もたれ式・L型の「使われる場所」:表3の記述による(「基礎地盤が良好である場合に使用される」「主として切土部に用いられる」「自立はできない」など)
逆L型の行、「断面が大きくなる」「断面が厚くなる」「後ろに底版を入れる場所が要る」:当社の説明
練積み擁壁の高さの上限:宅地造成及び特定盛土等規制法施行令 別表第四
工場製と現場打ち
プレキャストと現場打ちは、何が違いますか
どちらも鉄筋コンクリートで、構造計算をしてから造ります。プレキャストは工場で造って運んで据えるので、コンクリートが固まるのを現場で待つ日数が、擁壁の本体には要りません。現場打ちは現場の形に合わせやすいかわりに、鉄筋を覆うコンクリートの厚さ(かぶり)や、固まるまでの手入れ(養生)を現場で管理します。
プレキャストでは、敷地の角や曲がった境界をどう納めるかが分かれ目です。「土のねっこ」は、角には90度までのコーナーの製品、細かい折れ目には端部がRの製品を使って、境界に沿わせて据えます。
プレキャストと現場打ちを表で比べる
| 比べること | プレキャスト | 現場打ち |
|---|---|---|
| 造る場所 | 工場で造り、現場へ運んで据える | 現場で型枠と鉄筋を組み、コンクリートを流す |
| 現場の日数 | 据え付けが中心 | 固まるまで養生する日数が要る |
| 形 | 製品の寸法から選ぶ。角や曲がりはコーナー・端部の製品で | 現場の形に合わせて造りやすい |
| 現場で確かめること | トラックとクレーンが入れるか | 型枠を組む場所と、コンクリートの車が入れるか |
| どちらも要るもの | 地盤・基礎・裏込め(壁の後ろに詰める砕石など)・排水の計画 | |
当社の製品
申請に使う図面と構造計算書は、当社でご準備できます。「土のねっこ」は高さ500〜3,000mmの鉄筋コンクリートのL型擁壁で、宅地造成擁壁として利用できます。底版を土の側へ出せない場所には「土のねっこ 逆L」をご検討ください。全国に配送します(沖縄・北海道・離島を除く)。大臣認定擁壁を求められる土地では、大臣認定擁壁を当社で手配します。
当社は擁壁のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。図面が無ければ、段差の高さと長さ、現場の写真と住所から始められます。
お電話は ☎ 0120-1181-46(平日9:00〜18:00)。
かかる決まり
宅地にL型擁壁を造るとき、どんな決まりがかかりますか
高さ2mを超えると建築基準法の工作物になります。2m以下でも、盛土規制法の許可が要る工事や、崖の近くのがけ条例がかかることがあります。3つが重なることもあります。
- 高さ2mを超える擁壁:建築基準法でいう工作物になります。都市計画区域の中などでは、工事の前に確認申請(役所などに図面を出して審査を受ける手続き)が要ります。盛土規制法や都市計画法の許可を受ける工事の擁壁は、確認申請ではなく、その許可の審査で見られます。
- 盛土規制法の許可が要る工事:盛土・切土でできた崖面は、原則として擁壁で覆います。その擁壁をL型にするなら、高さ2m以下でも上の4つを構造計算で確かめます。大臣認定擁壁(国土交通大臣が、法令の決まりと同等以上の効力があると認めた擁壁)は、造り方や計算の決まりが当てはまらないので、使えるかどうかを窓口で確かめます。窓口は、都道府県や市の、盛土規制法か開発許可の担当課です。
- 崖の近くに家を建てる:都道府県や市のがけ条例が、擁壁の要件を別に決めていることがあります。がけ条例の一覧から、土地のある所の条例を探せます。
「超える」なので、ちょうど2mは入りません。くわしくは擁壁の高さ、何mから構造計算が要るかと、盛土規制法——許可が要る工事と、擁壁の基準にまとめています。許可が要るかの目安は盛土規制法 かんたん判定で分かります。
条文の原文を見る(建築基準法施行令 第138条第1項第5号)
五 高さが二メートルを超える擁壁
建築基準法施行令 第138条第1項第5号
標準図とは
「L型擁壁の標準図」は、誰の標準図ですか
市の開発許可の窓口、国や道路の管理者、メーカーが、それぞれの条件で出している図です。法令が決めた全国共通の標準図ではありません。盛土規制法も建築基準法も、L型擁壁の寸法は決めておらず、構造計算で形を決めます。
- 市の開発許可の窓口:開発許可の申請に使える擁壁の図を、高さごとに出している市があります(例:京都市)。
- 国や道路の管理者:公共土木施設向けです(例:四国地方整備局のプレキャストL型擁壁のマニュアル)。三重県の手引きは、擁壁の設計は「宅地防災マニュアルの解説」を参考にするとしたうえで、道路などの公共施設や公的に管理する擁壁、そのマニュアルによることが困難または不適当な場合は、国土交通省制定の「土木構造物標準設計」なども参考にできる、としています。
- メーカー:自社の製品について、高さごとの寸法と使える条件を出しています。
四国地方整備局のマニュアル(平成13年12月改訂版)に載っている論文は、当時四国で売られていたL型擁壁は宅地造成用に作られたものが主で、公共の土木施設に使うには設計条件が異なり、検討し直しが必要だったと書いています。
国土交通省四国地方整備局「プレキャストL型擁壁設計施工マニュアル(案)」改訂版(平成13年12月)巻末の論文「プレキャスト擁壁対応の車道用防護柵基礎」(本文の印刷ページ番号71、PDFファイルの74ページ目) PDF(2026年9月28日閲覧)
論文の言葉:「宅地造成用として開発されたものが主であり、公共土木施設への使用においては設計条件が異なるため再検討が必要となり」
三重県「開発許可制度の手引き」第9章 擁壁 9-2-2 擁壁選定上の留意事項(本文の印刷ページ番号9-3、PDFファイルの5ページ目) PDF(2026年9月28日閲覧)
「土木構造物標準設計 第2巻数値表:擁壁類:逆T型擁壁・L型擁壁」(建設省監修、全日本建設技術協会、2000年9月、第3回改定) 国立国会図書館サーチ(2026年9月28日閲覧)
京都市の標準構造図(高さ1.0〜4.0mのL型擁壁)は、上に載る重さ(地表面載荷重)を1㎡あたり10kN(約1トン)とし、後ろが平らで、地盤が図の地耐力(地盤が支えられる重さ)を満たすことを条件にしています。天端(壁のいちばん上)にフェンスや壁を載せるときは使えません。
標準構造図を用いて許可申請を行う場合、構造の安全性を確認する構造計算書の添付は不要とする。
京都市「鉄筋コンクリート造擁壁の標準構造図」
PDF(2026年9月28日閲覧)・京都市のページ
条件:「使用上の注意」の記述による(「地表面載荷重は、10kN/m2とし、擁壁背面は、平坦とすること。」など)
「約1トン」:当社で10kNを重さに直した目安
標準図があるか、どんな条件か、使えば計算書を省けるかは、土地のある所の開発許可や盛土規制法の担当窓口で確かめてください。条件が合わない現場でも、「土のねっこ」が使えるかを、図面か現場の情報から確かめます。天端にフェンスを立てる計画は、そのことを添えて送ってください。図面か現場の情報を送って、使える製品と概算を聞く(無料)
値段の決まり方
L型擁壁の値段は、何で決まりますか
高さ、上に載るもの、地盤と水、長さと運び方で決まります。
- 高さ:土の重さで押す力は、ほかの条件が同じなら高さの2乗で大きくなります。高さが2倍なら、およそ4倍です。
- 上に載るもの:車が通る、家が建つ、フェンスを立てる。重いほど断面が大きくなります。
- 地盤と水:地盤が弱ければ底版を広げるか、地盤を良くします。水がたまる土地なら、水抜き穴と透水層(水を通す砕石の層)も要ります。
- 長さと運び方:プレキャストは決まった長さの製品を並べ、トラックとクレーンで据えます。角や曲がりには、コーナーや短い製品が入ります。
単価の一例として、大分県の「地域資材単価」(令和5年1月)に、車道用のL型擁壁の製品1個(長さ2m)の単価が載っています。
| 規格(車道用・通常品) | 単価(1個) | 重さ |
|---|---|---|
| 高さ1.0m×長さ2.0m | 36,500円 | 800kg |
| 高さ2.0m×長さ2.0m | 93,200円 | 1,910kg |
| 高さ3.0m×長さ2.0m | 182,000円 | 3,840kg |
PDF(2026年9月28日閲覧)
表の3行:同資料より
税込か税別か、運搬費が単価に入っているかは、この資料に書かれていません
高さ1mと2mを比べると、値段も重さも2倍を超えます。表にあるのは製品1個の単価で、据える・掘る・裏込めの費用は別に要ります。令和5年1月の道路用の価格です。いまの相場でも、宅地用の価格でもありません。使えるのは、高さが上がると値段がどれだけ増えるか、だけです。
当社の価格は、ここには書きません。同じ高さでも、上に載るもの、地盤、水の条件で要る形が変わるからです。下の5つが分かれば、概算をお出しします。
当社の製品
図面か現場の情報から、候補のL型擁壁と概算をお出しします
工場で造るL型擁壁「土のねっこ」「土のねっこ 逆L」で考えます。図面と構造計算書は当社でご準備できます。全国に配送します(沖縄・北海道・離島を除く)。大臣認定擁壁も手配できます。
図面が無いときに送っていただくもの
- 段差の高さと長さ(メジャーで測った数字で十分です)
- 段差の上に何が載るか(家・車・塀・人が歩くだけ)
- 後ろに隣の境界・建物の基礎・配管がどこまで迫っているか(L型か逆L型かが分かれます)
- 土地の住所(盛土規制法の区域や都市計画区域を調べます)
- 現場の写真(正面と横から。トラックが入る道も)
使えるかどうかは、そのあと地盤や水の条件を確かめて、図面と構造計算で決めます。
当社は擁壁のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。図面が無ければ、段差の高さと長さ、現場の写真と住所から始められます。
お電話は ☎ 0120-1181-46(平日9:00〜18:00)。
お問い合わせ
相談と見積(無料)
土のねっこが使えるか、図面か、段差の高さと長さ・現場の写真・住所からお答えします。図面と構造計算書は当社でご準備できます。
当社は擁壁のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。
全国に配送します(沖縄・北海道・離島を除く)
お電話でも受け付けています。☎ 0120-1181-46(平日9:00〜18:00)
出典
- 宅地造成及び特定盛土等規制法施行令(e-Gov法令検索。第8条第1項、第9条、第10条・別表第四、第17条)
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索。第138条第1項第5号、第142条)
- 建築基準法(e-Gov法令検索。第88条第1項・第4項)
- 京都市「鉄筋コンクリート造擁壁の標準構造図」/三重県「開発許可制度の手引き」第9章
- 国土交通省四国地方整備局「プレキャストL型擁壁設計施工マニュアル(案)」/大分県「地域資材単価」/国立国会図書館サーチ「土木構造物標準設計 第2巻数値表」
条文と資料は、2026年9月28日時点のものです。


