台風25号 目黒・渋谷の住宅街で擁壁や塀が崩れる

台風25号 目黒・渋谷の住宅街で 擁壁や塀が崩れる

台風25号が関東に近づいた9月21日(月)、東京都目黒区東山と渋谷区富ヶ谷の住宅街で、擁壁(土地の段差で土を支える壁)や塀が崩れた。

TBSによると、同日午後5時ごろ、目黒区東山で「がけが崩れ、住宅の基礎が丸見えになっている」と、現場を見た女性から110番通報があった。警視庁によると、住宅街で擁壁が崩れ、土砂が隣の駐車場に止めてあった乗用車に当たった。けが人はいなかった。警視庁は台風による大雨の影響とみて調べている。日本テレビの中継によると、崩れた壁は高さ3メートルほどで、幅およそ3メートルの道路を完全にふさいでいた。

NHKによると、渋谷区富ヶ谷の住宅街でも塀が大きく崩れて道路がふさがれ、消防などが撤去にあたった。

家の擁壁と塀は、どこを見るか

ANNの取材に、地盤に詳しい芝浦工業大学の稲積真哉教授は「一番大事なのは擁壁の水抜き、排水がしっかりとなされているか」と話した。住宅街で起きる崩落について、水抜き穴が長年のうちに詰まり、役目を果たさなかった可能性も挙げた。

高さ2メートルを超える擁壁は、建築基準法施行令第142条第1項第3号で「擁壁の裏面の排水を良くするため、水抜穴を設け、かつ、擁壁の裏面の水抜穴の周辺に砂利その他これに類するものを詰めること」とされている。

大雨の最中や、レベル4土砂災害危険警報が出ているときは、擁壁や塀に近づかないでください。この警報は、2026年の大雨の時期から土砂災害警戒情報の名前が変わったもの。首相官邸は旧名の土砂災害警戒情報で、出たら安全な場所に避難するよう呼びかけている。見に行くのは、雨がやみ、警報も解けてから。まず壁の真下や前の道、擁壁の上の縁から離れた所で、全体にふくらみや傾きが無いかを見る。ふくらみや傾きがあれば、壁の下や前の道に近づかず、家族や近所の人にも知らせたうえで、市区町村の窓口に相談してください。水が湧き出す、小石が落ちてくるといった変化があれば、下の首相官邸の呼びかけのとおり、すぐその場を離れてください。

国土交通省の「我が家の擁壁チェックシート(案)」は、高さ1メートルを超える擁壁で見る点として、水抜き穴が無い・少ない、穴の詰まりや破損、いつも湿っている壁、水のしみ出し、ひび割れ、目地(壁の継ぎ目)のずれや開き、ふくらみ、傾きを挙げている。石を積んだだけのものや、もとの擁壁の上に積み増したものなどは「本来、宅地の擁壁として適さないもの」とし、ひびやふくらみ、傾きなどが無くても専門家に相談するよう勧める。そうした変化が出ていれば「非常に危険な状態ですので早急な対応が必要です」としている。

ブロック塀は、国交省の「ブロック塀等の点検のチェックポイント」で、高さ(地面から2.2メートル以下か。石やれんが、鉄筋の入っていないブロックの塀は1.2メートル以下)、厚さ、控え壁(塀を支える短い壁。ブロック塀は高さ1.2メートルを超えるとき、石やれんがの塀は高さにかかわらず要る)、基礎、傾きとひび割れを外から見る。国交省は「ひとつでも不適合があれば危険なので改善しましょう」とし、基準に合わない項目や分からないことがあれば専門家に相談するよう勧めている。塀の中の鉄筋と、基礎が地面に入っている深さは、専門家に見てもらう項目だ。擁壁の上に塀が立つ家は、両方を見てください。

首相官邸は、がけや地面にひび割れができる、がけや斜面から水が湧き出す、小石がバラバラと落ちてくるといった変化を土砂災害の前兆に挙げ、警報が出ていなくても「直ちに周りの人と安全な場所に避難し、市町村等に連絡してください」としている。家が土砂災害の区域に入っているかは、国土交通省のハザードマップポータルサイトや区の区域図で確かめられる。

すぐ避難する場面でなければ、相談先は市区町村の建築の窓口か、建築士や専門の工事業者。直す工事の契約は、助成があるかを窓口で聞いてからにしてください。下の目黒区のブロック塀も、港区・大田区の擁壁も、契約の前に申し込みや承認が要る。

目黒区では、擁壁やブロック塀の工事に助成はあるか

目黒区には、がけ・擁壁の改修と、ブロック塀の撤去・建て替えの助成がある。どちらも台風の前からある制度で、2026年度の申請受付は11月30日(月)まで(2026年9月24日に区のページで確認)。

擁壁の改修は、工事費の50パーセント以内で上限100万円。対象は高さ2メートルを超えるがけ・擁壁で、区長が改修の必要を認めたもの。崩れると住宅などの建物に被害が及ぶおそれがあることが条件で、区は例として、がけの下のはしから水平に測って高さの2倍以内に住宅などがある場合を挙げている。工事は、擁壁を造り直すときなどに取る工作物確認済証(計画が基準に合うと、区や検査機関に確かめてもらった書類。設計を頼む建築士などに相談して取る)のあるものに限る。売る・貸す事業のために持っているがけや、擁壁を車庫などの壁と兼ねている部分は対象にならない。

穴の掃除やひびの補修のように、確認済証を取らない工事は対象にならない。確認済証を取るには、先に擁壁の設計が要る。擁壁で区に聞くことは、対象になりそうか、11月30日までに何をそろえればよいか、崩れた擁壁にも使えるか。

ブロック塀は、撤去も建て替えも費用の50パーセント以内で、撤去は上限20万円(1メートルあたり9千円まで)、撤去したところに軽量フェンスなどを設ける建て替えは上限40万円(同1万8千円まで)。対象は、道路沿いの塀と道路内に倒れるおそれのある塀(ブロック塀、石やれんがを積んだ塀、鉄筋コンクリートの板を組み立てた万年塀)のうち、道路面からの高さが80センチメートルを超え、国交省のチェックポイントで安全が確かめられないもの。道路に面した部分をすべて撤去するのが条件で、建物の解体と一緒に行う工事は対象にならない。建て替えのフェンスには高さ2メートル以下などの決まりがあり、住民税(法人は法人税)と固定資産税を滞納していないことも求められる。

ブロック塀の助成は、区のページのフォームから写真を付けて仮受付をするところから始まる。区のパンフレットによると、2〜3週間ほどで区の職員が現地を確かめ、そのあと申請し、1週間ほどで「助成決定通知」が届く。業者との契約はそのあと。塀で聞くことは、11月30日に間に合う仮受付の期限と、台風で傷んだ塀を先に撤去しても助成が出るか。

どれも、工事を頼む前・仮受付の前に、目黒区建築課 耐震化促進・狭あい道路整備係(03-5722-9490)へ問い合わせてください。

渋谷区では、ブロック塀の撤去に助成はあるか

渋谷区にも、台風の前からブロック塀の撤去・建て替えの助成がある。区のページとパンフレットによると、対象は地震で倒れるおそれのある塀で、通学路や避難路など道路に面したもの(区のページは幅4メートル以上の道路としている)。道路面から塀の上端まで(擁壁や基礎の立ち上がりは含め、上に載せた軽量フェンスなどは含めない)が原則80センチメートルを超え、道路にはみ出していないなど法令違反の無いものに限る。

撤去は工事費の3分の2以内(1メートルあたり1万5千円まで)で上限60万円、軽量フェンスなどの設置は3分の2以内(同3万円まで)で上限120万円。まず事前相談書を出し、業者との契約は区の「承認通知」を受け取ってから。申請から承認通知までは、現地の確認を含めて1か月ほどかかる。受付の期限、対象の道かどうか、自分の塀が法令違反に当たるか、台風で傷んだ塀を先に撤去しても助成が出るか、擁壁に使える助成があるかは、木密・耐震整備課(03-3463-2647)に問い合わせてください。

ほかの市区町村では

がけ・擁壁の改修の助成は港区や大田区などにもあり、上限や条件は区ごとに違う。目黒区の額は目安にならない。港区は「申請が予算額に達した場合は、受付を終了します」としている。担当の名前も区ごとに違う(大田区は防災まちづくり課)。ブロック塀の助成の窓口は、下の一覧から探せる。

▶ 擁壁の種類と水抜き穴の決まり(擁壁の選び方)

▶ ブロック塀・基礎の安全情報

▶ 東京都のブロック塀補助金(40市区町村の公式ページと聞き方)

▶ ブロック塀の補助金 全国の窓口一覧(47都道府県)

※金額・条件・締切は2026年9月24日時点。

出典

  • TBS NEWS DIG「【台風25号】「住宅の基礎が丸見えに…」東京・目黒区で擁壁崩れる 土砂が乗用車を直撃…台風の影響か 中目黒駅から約800メートルの住宅地 警視庁」(2026年9月21日、Yahoo!ニュース)https://news.yahoo.co.jp/articles/8427ab2ec1193713970fc809995060c48057024b
  • 日テレNEWS NNN「【台風25号】住宅街の壁が突然崩れ…大雨により崩落か 東京・目黒区から中継」(2026年9月21日、Yahoo!ニュース)https://news.yahoo.co.jp/articles/6edcf8986d61d691d702763ecedf2552e723e3e2
  • テレビ朝日系(ANN)「台風25号で土砂崩れ 5人死亡6人不明 住宅街で崩落「排水口」に注意」(2026年9月22日、Yahoo!ニュース)https://news.yahoo.co.jp/articles/1bc0ff49cc8e13ad8c6ed8915d437355cd90bea5
  • NHK「台風25号 東京 渋谷区の住宅街で塀崩落か」(2026年9月21日)https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20260921de51712
  • 国土交通省「令和8年台風第25号による被害状況等について(第8報)」(令和8年9月24日9時00分現在)https://www.mlit.go.jp/common/002023939.pdf
  • 建築基準法施行令(第138条第1項第5号・第142条第1項第3号)e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
  • 気象庁「新たな防災気象情報の運用について」(令和7年12月16日)https://www.jma.go.jp/jma/press/2512/16a/20251216_taikeiseiri.html
  • 首相官邸「土砂災害から身を守るには」https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/doshyasaigai.html
  • 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」https://disaportal.gsi.go.jp/
  • 国土交通省「我が家の擁壁チェックシート(案)」https://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_tobou_tk_000067.html
  • 国土交通省「ブロック塀等の点検のチェックポイント」(渋谷区のページに掲載)https://files.city.shibuya.tokyo.jp/assets/12995aba8b194961be709ba879857f70/0aa8417a2f7949038e624c1c51d705d5/block_checkpoint.pdf
  • 目黒区「がけ・擁壁改修助成制度」(2026年5月21日更新)https://www.city.meguro.tokyo.jp/kenchiku/shigoto/kenchiku/youheki_josei_2023-06.html
  • 目黒区「ブロック塀等除却工事等に係る助成制度」(2026年4月1日更新)https://www.city.meguro.tokyo.jp/kenchiku/shigoto/kenchiku/burokku.html
  • 目黒区「耐震化助成制度のパンフレット(CB塀・がけ擁壁)」https://www.city.meguro.tokyo.jp/documents/5097/r6cb.pdf
  • 渋谷区「ブロック塀等安全化促進事業」(2026年4月23日更新)https://www.city.shibuya.tokyo.jp/bosai/josei/taishinjosei/block_anzen_jigyo.html
  • 渋谷区「渋谷区ブロック塀等安全化促進事業のご案内」(令和8年度版パンフレット)https://files.city.shibuya.tokyo.jp/assets/12995aba8b194961be709ba879857f70/08ec6d86ce0c4caa86f3befa7cc6c53e/R8block_panflet.pdf
  • 港区「がけ・擁壁改修工事等支援事業」(2026年4月1日更新)https://www.city.minato.tokyo.jp/jutakushien/gake/gakeyouheki.html
  • 大田区「がけ等の整備工事助成制度のご案内」(2026年4月1日更新)https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/sumaimachinami/sumai/j_josei/gaketounoseibikoujijosei.html

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