和歌山県では、崖の上端(じょうたん)からの水平距離がその下端(かたん)方向に対して、または崖の下端からの水平距離がその上端方向に対して、それぞれ「崖の高さの2倍未満」の土地の区域内において、建築物を建築してはならないと決められています(和歌山県建築基準法施行条例第4条)。
先にすることは、3つです。がけ条例がかかっても、建てられないと決まったわけではありません。まず、土地の売買契約を結ぶ前に動く(すでにお持ちの土地なら、設計を始める前に)——買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。つぎに、建築士に現況の測量図・断面図・配置案を用意してもらう。そのうえで、その図面を持って計画地を所管する建築行政の窓口へ、条例の当てはめを確かめる。高さも角度も距離も、目測で判断しないでください。確かめる中身は、この記事の最後の「売買契約の前に、専門家と確かめること」にまとめてあります。
条文は建築主に距離の確保を命じる書き方ではなく、2倍未満の土地の区域を建築禁止にする書き方です。規制がかかる崖は高さが2メートルを超えるもので、地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地のうち硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外のもの。第4条が対象にするのは「建築物」で、用途の限定も、居室(きょしつ=居住・執務・作業などに継続して使う部屋)の有無の限定もありません(同じ条例でも、災害危険区域の第3条は「建築物(居室を有しないものを除く。)」と限定しています——別の条です)。ただし書に4つの号があり、罰則の名宛人(なあてにん=命令や罰則を受ける人)はまず設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合は工事施工者)で、50万円以下の罰金です(第18条第1項)——違反が建築主等の故意による場合や、法人の業務として行われた場合は、建築主等や法人にも罰金刑が及ぶことがあります(同条第2項・第3項)。
崖の規制は、県内どこで建てても同じ県条例第4条です。先に決めるのは、計画地が和歌山市か、それ以外か。県が公開する申請先の一覧は「行政庁に建築確認申請等を行なう場合」の提出先で、和歌山市の区域は和歌山市建築指導課(073-435-1100)、それ以外の市町村は県——県庁建築住宅課(073-441-3185。海南市・紀美野町)と、那賀・伊都・有田・日高・西牟婁の各振興局建設部建築グループ、東牟婁振興局の串本建設部・新宮建設部——に分かれています(同ページは「建築場所の所在地によって申請先が異なりますのでご注意ください。詳細については、各申請先に直接お問い合わせください。」と案内しています)。この記事は、県の例規集が現行として掲載する和歌山県建築基準法施行条例(平成13年3月27日条例第23号/令和7年12月26日施行)と同施行細則(昭和47年9月1日規則第98号/令和7年9月12日施行)の正文、および県(県土整備部都市住宅局建築住宅課)と和歌山市(都市建設局都市計画部建築指導課)の連名監修による「和歌山県内 建築基準法取扱い集」(令和7年12月)から読んだ整理です。
「がけ条例」の実体は、和歌山県建築基準法施行条例の第4条です

「がけ条例」は通称です。実体は和歌山県建築基準法施行条例で、条の見出しは「崖付近の建築物」。第1条(趣旨)は、この条例が建築基準法第39条、第40条、第43条第3項、第56条の2第1項及び第107条の規定に基づき、災害危険区域の指定とその区域内の建築制限、建築物の敷地、構造又は建築設備に関する制限の付加などを定めるものだとしています。第1条が挙げる根拠のうち、条例で「建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を附加する」ことを認めているのは法第40条(地方公共団体の条例による制限の附加)です。崖の規定である第4条は第3章「建築物の敷地及び構造」に置かれているので、この記事では法第40条を受けた制限の付加として扱います(第4条の条文には、根拠となる法の条は書かれていません)。災害危険区域は法第39条第1項を明示して受けた第2章(第2条・第3条)で、別の仕組みです。
この条例は、和歌山市の区域を含めて県内に適用されます。条例には、特定の市の区域について第4条を適用しない旨の定めがありません。県の施行細則が和歌山市の区域を除いているのは第11条(屎し尿浄化槽を設ける区域のうち、衛生上特に支障があると認める区域の指定)と第12条(垂直積雪量)の2か所で、どちらも条例第4条とは関係がありません(条例第1条から第18条までと、細則の全条文を通して確認した範囲)。和歌山市建築指導課のページの「条例・規則・要綱」の欄には、市の「和歌山市建築基準法施行細則」と並んで「和歌山県建築基準法施行条例」が外部リンクで置かれています(同欄に掲げられている市の条例は「和歌山市建築物における駐車施設の附置等に関する条例」で、崖に関する市の条例は掲げられていません)。県と和歌山市の連名監修による「取扱い集」も、第5章の章題が「県条例」で、その501が「県条例第4条」です。異なるのは申請先です。個別の計画への当てはめは、建築地の申請先に確認してください。
どこからが「崖」か——高さ2メートルを超える・30度を超える角度・硬岩盤(風化の著しいものを除く)以外

(崖付近の建築物)
和歌山県建築基準法施行条例 第4条(本文)
第4条 高さが2メートルを超える崖(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地で硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外のものをいう。以下同じ。)の上端からの水平距離がその下端方向に対して、又は当該崖の下端からの水平距離がその上端方向に対して、それぞれ当該崖の高さの2倍未満(崖の地表面が垂直である場合にあっては、当該崖からの水平距離が当該崖の高さの2倍未満)の土地の区域内においては、建築物を建築してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
この条例の「崖」は、①地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地で、②硬岩盤ではないもの(ただし、風化の著しい硬岩盤は「硬岩盤」から除かれる=崖に含まれ得ます)をいい、規制がかかるのは高さが2メートルを超える崖です。「2メートルを超える」ので、高さ2メートルちょうどは入りません。「30度を超える角度」なので、30度ちょうども入りません。この定義は第4条の括弧書きの中に置かれていて、他の法令の「がけ」の定義を借りていません。第4条に当たるかどうかは、この括弧書きの言葉で判断します。
第4条の「崖」に当たらない斜面でも、区域の外でも、安全の検討が不要になるわけではありません。建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれがある場合には、建築基準法第19条第4項により、擁壁(ようへき=がけの土が崩れないように支える構造物。塀とは役割が違います)の設置その他安全上適当な措置を講じなければなりません。個別の計画がその「おそれのある場合」に当たるかは、崖の状態・距離・地盤・建物の計画などによって判断されます。第4条の数字は条例の禁止区域の入口であって、安全検討の入口ではありません。
義務の形は、距離の確保ではなく区域の禁止——2倍未満の土地の区域内では建築してはなりません

条文は、建築主に距離の確保を命じる形ではなく、一定の区域を建築禁止にする形で書かれています。禁止される区域は次の2本の帯を合わせた範囲です。
- 崖の上端からの水平距離が、その下端方向に対して崖の高さの2倍未満の土地(=低い側に広がる帯)
- 崖の下端からの水平距離が、その上端方向に対して崖の高さの2倍未満の土地(=高い側に広がる帯)
- 崖の地表面が垂直である場合は、上端と下端が平面で重なるため、条文が別に定めています——当該崖からの水平距離が当該崖の高さの2倍未満
建てる側の立場に置き換えると——崖の下に建てるなら崖の「上端」から、崖の上に建てるなら崖の「下端」から、それぞれ崖の高さの2倍未満のところが、禁止される区域です。測る起点が、自分の立っている側の端ではなく、向こう側の端になるところを取り違えないでください。
県と和歌山市の連名監修による「取扱い集」の501「建築物の制限がかかる崖の範囲」(県条例第4条)は、この範囲を1枚の図で示しています。
崖に近接して建築物の建築が制限されるのは下図に示す範囲となる。
和歌山県内 建築基準法取扱い集(令和7年12月)501「建築物の制限がかかる崖の範囲」【内 容】
図には「H>2m」「30°を超える角度」「崖の上端」「崖の下端」の注記があり(Hの寸法線は上端と下端の間に縦に引かれており、崖の上端と下端の高低差=鉛直の高さを指すものと読めます——斜面に沿った長さではありません。図に文言での説明は付いていません)、崖の上端から低い側へ伸びる「2H」の矢印と、崖の下端から高い側へ伸びる「2H」の矢印が引かれ、この2本の外側どうしを結ぶ形で「原則として建築が制限される範囲」の矢印が引かれています——崖の斜面の部分も、この範囲の中にあります。高さ4メートルの崖なら、2倍は8メートル。上端から低い側へ8メートル未満、下端から高い側へ8メートル未満の土地が、禁止される区域です(条文は「2倍未満」なので、8メートルちょうどの位置は、この禁止区域には当たりません)。
建築物のどの部分で区域の内外を見るのか(外壁面、柱、基礎、軒など)は、条文にも取扱い集501の図にも書かれていません。条文は「土地の区域内においては、建築物を建築してはならない」とだけ定めており、501の図にも建築物は描かれていません。今回確認した県の公開資料の範囲では、この測り方を示す資料は見つかりませんでした。計画の断面図と崖の実測値を持って、建築地の申請先(和歌山市の区域は市建築指導課、それ以外は県庁建築住宅課または所管の振興局)に、どの面で見るかを確認してください。
対象は「建築物」。用途も、居室の有無も問いません

第4条が対象にするのは「建築物」で、住居に限る書き方も、居室を有するものに限る書き方もありません。建築基準法上の「建築物」に該当する物置・倉庫・車庫であっても、2倍未満の区域内であれば本文の禁止がかかり、ただし書のいずれかに当たるかを見ることになります。床面積や階数による除外も、条文には置かれていません(第4条を通して読んだ範囲)。「建築」には新築だけでなく、増築・改築・移転も含まれます(建築基準法第2条第13号)。
工事を伴わない用途変更でも、建築基準法第87条第2項により、法第40条の規定に基づく条例の規定が準用されます。法第3条第2項によりこれらの規定の適用を受けない建築物(既存不適格(きそんふてきかく=建てたときは適法だった建物))の用途変更は法第87条第3項が別に定めていて、原則は準用です。準用されないのは各号の場合——①増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替をする場合、②政令で指定する類似の用途相互間の変更であって、修繕・模様替をしないか、その修繕・模様替が大規模でない場合、③法第48条第1項から第14項までの規定に関して用途の変更が政令で定める範囲内である場合(③は法第48条関係だけの除外で、この条例の規定には関わりません)。②に当たる場合は、その用途変更だけを理由に第4条が遡って適用されることはありません。①は「規制が外れる」意味ではありません——増築等をすれば法第3条第3項第3号により既存不適格の扱い自体が切れるのが原則で、その場合に何が求められるかは別に判断されます。もっとも、増築等については、法第86条の7第1項の法定緩和がこの条例には届きません——同項が列挙しているのは法第20条・第21条・第48条といった法自身の条で、法第39条・第40条に基づく条例の規定は入っていません(同条第2項・第3項も同じです)。施行令第137条の2以下も、それぞれ法の個別の条に対応するものです。条例に届くのは移転です——法第86条の7第4項が対象にする「建築基準法令の規定」には条例が含まれ(法第6条第1項の定義)、施行令第137条の16の範囲(同一敷地内の移転か、交通上・安全上・防火上・避難上・衛生上及び市街地の環境の保全上支障がないと特定行政庁(建築確認を担当する県または市町村)が認める移転)であれば、法第3条第3項にかかわらず適用されません。ただし、法第3条第2項で適用を受けないのはその建築物が適合しなくなった、その規定についてであって、条例のほかの規定まで外れるわけではありません。増築をすれば条例第4条が当然に外れる、という読み方はできません。
この条例には、法第3条第3項第3号・第4号にかかわらず既存の建築物の増築等について適用を緩和できる、といった条例独自の定めは置かれていません。第6章(雑則)に置かれているのは第17条(建築計画概要書等の写しの交付)1条で、第1条から第18条までを通して読んだ範囲では、そうした条はありませんでした。
ただし書は4つ。第4号は「崖の下に建築物を建築する場合」に限られます

(1) 崖が擁壁により構成されているため安全上支障のない場合
同 第4条ただし書 第1号〜第4号
(2) 崖がのり枠工法等の工事が施行されているため安全上支障のない場合
(3) 崖の形状及び土質により崖崩れのおそれのない場合
(4) 崖の下に建築物を建築する場合で、次のいずれかに該当するとき。
ア 当該建築物の外壁及び構造耐力上主要な部分(崖崩れによる衝撃が作用すると想定される部分に限る。以下この号において「外壁等」という。)の構造が、崖崩れにより想定される衝撃が作用した場合においても破壊を生じない構造方法を用いるものであるとき。
イ アに定める構造方法を用いる外壁等と同等以上の耐力を有する構造方法を用いている門又は塀を、崖崩れにより当該建築物の外壁等に作用すると想定される衝撃を遮るように設けるとき。
第1号から第3号は、崖の状態、施工済みの対策及び安全性を見る除外です。第1号は崖が擁壁により構成されているため安全上支障のない場合、第2号は崖がのり枠工法等の工事が施行されているため安全上支障のない場合、第3号は崖の形状及び土質により崖崩れのおそれのない場合。第2号の「のり枠工法等」の「等」に何が入るかは、条文に定義がありません。
第4号は、崖の下に建築物を建築する場合にしか使えません。崖の上に建てる計画では、第4号のアもイも根拠にできず、第1号から第3号のいずれかに当たるか、区域の外に出るかになります。第4号の中身は2つで——アは、当該建築物の外壁及び構造耐力上主要な部分(崖崩れによる衝撃が作用すると想定される部分に限る=「外壁等」)の構造が、崖崩れにより想定される衝撃が作用した場合においても破壊を生じない構造方法を用いるものであるとき。イは、アに定める構造方法を用いる外壁等と同等以上の耐力を有する構造方法を用いている門又は塀を、崖崩れにより当該建築物の外壁等に作用すると想定される衝撃を遮るように設けるとき。建物本体で受けるか、手前の門または塀で遮るか、という2つの道が条文に書かれています。
第1号から第3号の「安全上支障のない場合」「おそれのない場合」を、誰がどのように判断するのかは、条文に書かれていません。擁壁の適合をどの資料で確かめるのか(工作物の確認済証・検査済証、宅地造成に関する技術的基準への適合、大臣認定、既設の間知ブロック積の扱いなど)、のり枠工法等の「等」の範囲、第3号の「形状及び土質」の調べ方——いずれも、今回確認した県の公開資料の範囲では、判断の基準や手順を示す資料が見当たりませんでした。当たったのは、県の「建築関係条例・規則集」ページに掲載されたリンクの全件、県例規集の条例・細則の正文、および取扱い集PDFの全ページです。その範囲では、第4条について取扱い集501の1ページ(図。図と【内 容】の1文だけで、判断の基準や手順の記載はなし)以外の運用資料はありませんでした。県が公表していない資料を持っていないかまでは確かめていません。既にある擁壁を第1号の根拠にしたい場合は、その擁壁の確認済証・検査済証・許可と完了検査の書類、現況の写真と実測値を用意して、建築地の申請先に、何をもって「安全上支障のない場合」とするかを聞いてください。
県の細則は、確認申請書に「崖の形状及び土質を示す図書」を求めています(第2条第1号)

第2条 法第6条第1項(法第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による確認の申請書(以下「確認申請書」という。)には、省令第1条の3及び省令第3条に規定する図書のほか、次の各号に定める図書を添付しなければならない。
和歌山県建築基準法施行細則 第2条(確認申請書に添付する図書)第1号
(1) 条例第4条に規定する土地の区域並びに崖の形状及び土質を示す図書
第4条は、確認申請の添付図書に現れます。県の細則は、確認申請書に、省令第1条の3・第3条の図書のほか「条例第4条に規定する土地の区域並びに崖の形状及び土質を示す図書」を添付しなければならないと定めています。崖の有無と、その形状・土質の判断が、申請の入口で図書として求められます。第3号の「崖の形状及び土質により崖崩れのおそれのない場合」を使う計画なら、この図書は判断のための資料の一つになります。ただし、この図書だけで「崖崩れのおそれがない」と認められるとは、条例にも細則にも書かれていません——細則には知事が必要と認める図書を求める定めもあり、地質調査・安定計算・専門家の調査報告などが別に要ることがあります。必要な調査と追加資料は申請先に確かめてください。
この規定がかかるのは、細則が書いているとおり法第6条第1項(法第87条第1項において準用する場合を含む。)の規定による確認の申請書です。指定確認検査機関(民間の確認検査機関)に確認を申請する場合にどの図書が求められるかは、申請先の機関と、建築地を所管する建築指導の窓口に確認してください。
これは県の規則です。和歌山市の区域については、市の建築基準法施行細則に同じ添付規定があるかを、今回は確認できていません(市の例規集がログインを必要とする形で公開されているため)。これは、市の添付規定を確認できていないという意味であって、和歌山市の区域で崖の判断が要らなくなるという意味ではありません——条例第4条そのものは、和歌山市の区域にもかかります。和歌山市の区域で計画する場合は、市建築指導課に添付図書を確認してください。
土砂災害の区域は別の法律です——条例に、レッドゾーンを理由とする適用除外はありません

崖の近くの土地は、この条例とは別に、土砂災害防止法の土砂災害警戒区域(イエローゾーン)または土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されていることがあります。県砂防課がまとめた「土砂災害警戒区域等の指定状況(令和8年7月28日時点)」では、県内の指定区域数は合計21,960、うち特別警戒区域は20,354。内訳は急傾斜地の崩壊15,814(うち特別警戒15,545)、土石流5,579(うち特別警戒4,809)、地すべり567(うち特別警戒0)で、地すべりを原因とする567区域には特別警戒区域が含まれていません。
そして、この条例には、レッドゾーンの指定を理由に第4条を適用しないとする定めがありません。条例の適用除外は第5章の2条で、対象が明示されています——第15条(特定の建築物の敷地に対する適用除外)は第6条、第8条、第9条、第12条及び第13条、第16条(特定の建築物に対する適用除外)は第5条から第14条まで。第4条は、どちらの列挙にも入っていません。条文の読みとしては、土砂災害の区域指定の有無にかかわらず第4条は独立してかかります。実務でこの第4条と土砂災害防止法の手続をどう重ねているかを示す資料は、今回確認した県の公開資料の範囲では見つけられませんでした——重なる敷地では、建築の窓口と砂防の窓口の両方に当たってください。
レッドゾーンでは、居室を有する建築物について建築確認の制度が適用され、建築物の構造が土砂災害を防止・軽減するための基準を満たすものとなっているかについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受けることが必要になると県砂防課が案内しています——県ページは建築主事の確認と案内していますが、確認申請そのものは、業務の範囲内であれば指定確認検査機関にも提出できます(法第6条の2)。取扱い集601「その他の法令」の表は、土砂災害防止法第25条の対象を「都市計画区域外で、居室を有する建築物が特別警戒区域にかかっており、かつ、敷地の過半が特別警戒区域内にあるもの」とし、必要手続き等を「確認申請」としています——敷地の過半が特別警戒区域内でなければ、この第25条による確認申請の対象にはなりません。ただし、建築基準法第6条等による通常の確認の要否と、令第80条の3の構造規制は別に判断します。第25条は、こういう仕組みです(条文そのものではなく、要点です)——特別警戒区域(建築基準法第6条第1項第3号に規定する区域を除く。)内における居室を有する建築物(同項第一号又は第二号に掲げるものを除く。)を、同項第3号の区域内の建築物とみなして、法第6条から第7条の5まで・第18条・第89条・第91条・第93条を適用します。「敷地の過半」は、第25条の条文には書かれていません——第25条が適用する法第91条が、敷地が区域の内外にわたる場合は敷地の過半の属する区域の規定によると定めています(ちょうど半分は「過半」ではありません)。
また、住宅(自己の居住の用に供するものを除く)や、高齢者・障害者・乳幼児など特に防災上の配慮を要する人が利用する社会福祉施設・学校・医療施設(政令で定めるもの)を建てるための土地の区画形質の変更(特定開発行為)には、土砂災害防止法第10条第1項により知事の許可が要ります(申請の手続は第11条、許可の基準は第12条、工事完了の検査等は第18条)。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う開発行為と、仮設建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為には、許可が要りません(同項ただし書、同法施行令第5条)。特定開発行為でなくなるわけではありません。同条第2項は制限用途を「予定建築物の用途で、住宅(自己の居住の用に供するものを除く。)並びに高齢者、障害者、乳幼児その他の特に防災上の配慮を要する者が利用する社会福祉施設、学校及び医療施設(政令で定めるものに限る。)以外の用途でないもの」と定めています——「以外の用途でないもの」なので、用途が決まっていない予定建築物も外れません。
レッドゾーン内の居室を有する建築物について、令第80条の3に対応する2つの方法——外壁等(外壁・構造耐力上主要な部分のうち、土石等の高さ等以下で、土砂災害の原因となる自然現象〔河道閉塞による湛水を除く〕により衝撃が作用すると想定される部分)を所定の構造にするか、土石等の高さ等以上の高さで、外壁等と同等以上の耐力を有するものとして国土交通大臣が定めた構造方法による門・塀を、衝撃を遮るように設けるか——と、改修への補助の枠組みは、レッドゾーンの家と土地で整理しています。
県砂防課は、危険な建築物の所有者等への移転等の勧告と、支援措置(住宅金融支援機構の融資のほか、特別警戒区域内にある構造基準に適合していない住宅〔既存不適格住宅〕を特別警戒区域から移転し、代替家屋の建設を行うものに対する、住宅、建築物耐震改修等事業による補助——危険住宅の除去等に要する費用及び危険住宅に代わる住宅の建設に要する費用の一部)も案内しています。最新の指定状況と区域の境界は、県が公表する指定の図書で確認してください。市町村のハザードマップは避難の確認に有用ですが、作成時点より後の指定が反映されていないことがあります。
災害危険区域は同じ条例の第2条・第3条。田辺市・新宮市には市の条例があります

(災害危険区域)
同 第2条第1項
第2条 法第39条第1項に規定する災害危険区域は、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の規定により指定された急傾斜地崩壊危険区域及びその周辺の地域、地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第3条第1項の規定により指定された地すべり防止区域及びその周辺の地域並びに津波、高潮又は出水等により人命に著しい危険を及ぼすおそれのある区域のうちから、知事が指定するものとする。
(建築の制限)
同 第3条
第3条 前条第1項の災害危険区域内においては、知事が災害防止工事の施行状況及び土地の状況により被害を受けるおそれがないと認めた場合を除き、建築物(居室を有しないものを除く。)を建築してはならない。
災害危険区域は、崖の規定と同じ1本の条例の中にあります。急傾斜地崩壊危険区域や地すべり防止区域が、そのまま災害危険区域になるわけではありません。これらは知事が指定する母集団で(「及びその周辺の地域」を含みます)、指定は告示によってその効力を生ずるとされています(第2条第4項)。指定しようとするときは、あらかじめ関係市町村長の意見を聴かなければならず(第2項)、指定したときは告示と関係市町村長への通知(第3項)、解除にも同じ手順が準用されます(第5項)。
区域内で禁止されるのは建築物(居室を有しないものを除く。)の建築です——住居に限らず、居室を有する建築物が対象で、車庫や物置のような居室を有しないものは除かれます。例外は、知事が災害防止工事の施行状況及び土地の状況により被害を受けるおそれがないと認めた場合です。第4条(崖)と第3条(災害危険区域)は対象も要件も別で、同じ敷地に重なってかかることがあります。
県の建築住宅課が公開する「災害危険区域について」は、県内で地方公共団体が指定した災害危険区域の地名地番の概要として、次の3件を掲げています(同ページは「詳細は所管行政庁へご確認ください」と断っています)。
- 和歌山県指定(昭和58年3月10日 和歌山県告示第152号)——橋本市清水 字中垣内の18の地番。区域の詳細の問い合わせ先として、県ページは伊都振興局建設部建築グループ、または県建築住宅課を案内しています
- 田辺市指定(平成21年7月31日 田辺市告示第165号)——田辺市本宮町本宮 字髙川原・産田前・新町・本町
- 新宮市指定(平成25年6月28日 新宮市告示第65号)——新宮市熊野川町 日足・能城山本の各一部。災害危険基準高 TP(東京湾平均海面)+33.1m
この和歌山県指定は昭和58年3月10日の告示です。現行の条例は平成13年4月1日から施行され、附則第2項で「和歌山県建築基準法施行条例(昭和35年和歌山県条例第31号)は、廃止する。」としています——昭和58年の告示がどの条例に基づくものかは、今回確認した資料では追えていません。指定の有無と区域の詳細は、県ページが案内する窓口で確認してください。
田辺市と新宮市の分は、県ページに「田辺市指定」「新宮市指定」として載っており、両市には市長が区域を指定する条例があります。いずれも法第39条に基づく熊野川の出水の災害危険区域で、田辺市熊野川出水災害危険区域に関する条例(平成21年7月10日条例第28号)と新宮市熊野川出水災害危険区域に関する条例(平成25年6月28日条例第18号)です。どちらも第3条で「災害危険区域内においては、住居の用に供する建築物(以下単に「建築物」という。)を建築してはならない。ただし、次に掲げる建築物については、この限りでない。」とし、ただし書に3つの号を置いています。
第1号は2市で書きぶりが違います——田辺市は「地盤面の高さを規則で定める災害危険基準高(次号において「基準高」という。)以上とする建築物」でそこまで、新宮市は「地盤面の高さを規則で定める災害危険基準高(この号及び次号において「基準高」という。)以上とし、基準高に0.5メートルを加えた高さ未満の部分を住居の用に供しない建築物」と、0.5メートルの条件が続きます。第2号は2市とも同じで、主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段。建物の構造上重要な部分)について「主要構造部(屋根及び階段を除く。)が鉄筋コンクリート造又は鉄骨造その他これらに準ずる構造であり、基準高に0.5メートルを加えた高さ未満の部分を住居の用に供しない建築物」、第3号も同じで「季節的な仮設の建築物で市長が特に認めるもの」です。
災害危険基準高は、田辺市の規則が「東京湾平均海面+58.5メートルの高さ」と定め(施行規則第4条)、新宮市の規則は「災害危険区域ごとにTP(東京湾平均海面)を基準に定め、災害危険基準高を定めた場合は、条例第2条第2項の告示に併せて告示する」としています(施行規則第4条。県のページに載るTP+33.1mは、この告示で定められた値です)。
ただし書に当たる建築物を建てる場合も、当該建築工事に着手する前に、あらかじめ市長に申請して認定を受けなければなりません(両条例とも第4条)。認定に当たっての立入調査(第5条)、認定を受けずに、または虚偽の申請により認定を受けて建築し、または建築しようとした者への勧告(第6条)まで定められています。両条例とも、第1条から第7条までのどこにも罰則の条は置かれていません(他の法令による規制は別です)。市の条例が対象にするのは「住居の用に供する建築物」で、県条例第3条の「建築物(居室を有しないものを除く。)」とは対象が違います。
罰則は第18条。名宛人はまず設計者です

第18条 第3条から第13条までの規定(第8条第2項及び第3項の規定を除く。)に違反した場合における当該建築物、工作物又は建築設備の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物、工作物又は建築設備の工事施工者)は、50万円以下の罰金に処する。
同 第18条第1項
罰則の対象は第3条から第13条までなので、第3条(災害危険区域の建築制限)も第4条(崖付近の建築物)も入ります。名宛人はまず設計者で、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合には工事施工者。違反が建築主、工作物の築造主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、設計者または工事施工者を罰するほか、その建築主等にも同項の刑が科されます(第2項)。法人の代表者や、法人・人の代理人・使用人その他の従業者が、その法人・人の業務に関して違反行為をした場合は、行為者を罰するほか、その法人又は人にも罰金刑が科されます(第3項)——ただし書で除かれるのは、代理人・使用人その他の従業者の違反行為について、相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があったときの、法人・人への刑だけです。
建築確認の対象となる計画では、第4条への適合も原則として確認審査の対象です。確認特例の適用は、建築物・設計者の区分に応じて建築基準法第6条の4・施行令第10条で決まり、法第39条から第41条までに基づく条例規定のうち特定行政庁が規則で定めた規定が審査省略の対象になり得ます。条例への適合義務は、審査の範囲とは別に生じます。建築確認が不要なことだけを理由に、第4条が適用外になるわけでもありません。そして条例第16条(特定の建築物に対する適用除外)は第5条から第14条までを対象にしているので、法第85条第6項・第7項の許可を受けた仮設興行場等については、第4条は外れません。ただし、法第87条の3は別です。同条第1項(非常災害区域等で用途変更して災害救助用建築物として使用する場合。災害発生の日から1か月以内に着手するもの)は、建築基準法令の規定を適用しないと定めています(非常災害区域等のうち防火地域内は除かれます)。同条第2項(用途変更して学校・集会場等の公益的建築物として使用する場合)は、適用しない規定の列挙に法第40条と、法第87条第1項・第2項を挙げています。条例第4条が用途変更に及ぶ経路は法第87条第2項なので、その経路が外れる以上、これらに当たる一時的な用途変更それ自体を理由として第4条が適用されることはありません。また、同条第6項(建築物の用途を変更して興行場・博覧会建築物・店舗等とする場合の許可)の後段は、適用しない規定として法第87条第2項を挙げています。第7項(1年を超えて使用する特別興行場等の許可)にも、第6項後段の規定が準用されます。このため、第6項・第7項に当たる一時的な用途変更についても、用途変更それ自体を理由として第4条が適用されることはありません。条例第16条は、国法の適用除外を打ち消す規定ではありません。増築・改築等をあわせて行う場合、その建築行為は別に判断します。
ただし、建築基準法の側の特例は別です。法第85条第1項により、特定行政庁が指定する非常災害区域等(非常災害が発生した区域又はこれに隣接する区域)の内側で、①災害により破損した部分を応急に修繕する場合は、工事の着手時期にかかわらず建築基準法令の規定が適用されません(国土交通省の通知)。また、②国・地方公共団体・日本赤十字社が災害救助のために建築する応急仮設建築物、③被災者が自ら使用するために建築する延べ面積30平方メートル以内の応急仮設建築物は、その災害が発生した日から1月以内に工事に着手する場合に同じ特例を受けます(ただし書により、防火地域内に建築する場合は除かれます)。第1項・第2項の応急仮設建築物を工事完了後3月を超えて存続させるには、その超えることとなる日前に同条第3項の特定行政庁の許可が必要です(許可の申請をした場合において、その超えることとなる日前に処分がされないときは、同項ただし書により、処分がされるまでの間は存続できます)。許可は安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときに2年以内の期間を限って(第4項)、特別の必要がある応急仮設建築物については、支障がなく、かつ公益上やむを得ないと認める場合に、更に1年を超えない範囲内で延長できます(第5項。再延長も同様)。そして、災害があつた場合において建築する停車場、官公署その他これらに類する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物又は工事を施工するために現場に設ける事務所、下小屋、材料置場その他これらに類する仮設建築物には、法第85条第2項により法第39条及び第40条を含む規定が適用されません。この第2項の列挙には、法第19条も入っています——これに当たる仮設建築物には、さきに書いた法第19条第4項の措置義務も及びません。なお第2項にもただし書があり、防火地域又は準防火地域内にある延べ面積50平方メートルを超えるものには、法第62条の適用があります。第4条を、さきに見たとおり法第40条を受けた制限の付加として読むなら、第4条もこの場合には及びません。これらの特例に当たらず、第4条に違反した場合は、是正命令(建築基準法第9条。除却(じょきゃく=取り壊し)・使用禁止などの措置を含みます)や罰則の対象になり得ます。
是正命令は、建築主・所有者などに来ます(法第9条第1項)
罰則の名宛人が原則として設計者でも、是正命令の相手方は別です。建築基準法第9条第1項は、違反した建築物・敷地について、当該建築物の建築主、工事の請負人(下請人を含みます)・現場管理者、建築物または敷地の所有者・管理者・占有者に対して措置を命ずることができる、と定めています。故意かどうかは、この条の要件ではありません。命じられるのは工事の施工の停止のほか、除却・移転・改築・増築・修繕・模様替・使用禁止・使用制限その他、違反を是正するために必要な措置です。建てたあとに除却や使用禁止を命じられ得るのは、建築主・所有者などです——設計者は、設計者であることだけでは名宛人に挙げられていません。命令に従わないと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(法第98条第1項第一号)。条例の罰則は罰金だけですが、こちらは拘禁刑もあります。
売買契約の前に、専門家と確かめること

確かめるのは、土地の売買契約を結ぶ前です。買ったあとでは、擁壁の費用や配置の制約を、土地の値段に織り込みにくくなります。がけの高さと、がけからの距離は、現況の測量図と断面図がないと自分では判断できません——測量と図面は建築士に、条例の当てはめは所管の建築行政の窓口に確かめてください。どこを上端・下端とみるかも、窓口に確かめてください。
- ① 計画地の周辺に、地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地で、高さが2メートルを超えるものがあるか(第4条。硬岩盤は「崖」から除かれますが、風化の著しい硬岩盤は除かれません=崖に含まれ得ます。敷地の中・隣地に限りません)
- ② 崖の鉛直高さH(上端と下端の高低差。斜面に沿った長さではありません)を実測し、上端から低い側へ2H未満、下端から高い側へ2H未満の帯を図面に落とす(崖の下に建てるなら上端から、崖の上に建てるなら下端から——測る起点は向こう側の端です)。建てる位置がその区域内なら、本文の禁止がかかります(崖の地表面が垂直なら、崖からの水平距離が2H未満の区域)。建築物のどの面で区域の内外を見るかは条文にも取扱い集の図にも示されていないので、断面図を持って申請先に確認
- ③ ②で区域の外でも、また①で「崖」に当たらない斜面でも、がけ崩れ等の被害を受けるおそれがないかは別に確認。おそれがある場合は、建築基準法第19条第4項により擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければなりません
- ④ 区域内なら、ただし書の4つのどれで抜けるかを決める。第1号(擁壁により構成)・第2号(のり枠工法等)・第3号(形状及び土質)は、崖の状態、施工済みの対策及び安全性を見るもの、第4号は「崖の下に建築物を建築する場合」に限られ、崖の上には使えません
- ⑤ 第1号を使うなら、既にある擁壁の書類を先に集める——工作物の確認済証・検査済証、造成時の許可・完了検査の書類、築造年、現況の写真と実測値。何をもって「安全上支障のない場合」とするかは条文に書かれていないので、資料を揃えたうえで申請先に確認(県庁建築住宅課 073-441-3185、または所管の振興局。和歌山市の区域は市建築指導課 073-435-1100)
- ⑥ 崖の下に建てるなら、第4号ア(外壁等を、想定される衝撃が作用しても破壊を生じない構造方法とする)か、イ(アと同等以上の耐力を有する構造方法を用いた門又は塀を、衝撃を遮るように設ける)かを、設計者と決める。イを選ぶなら、門・塀の位置・高さ・構造を、遮る対象(外壁等)との関係で示せる図面を用意します
- ⑦ 法第6条第1項の確認申請書には「条例第4条に規定する土地の区域並びに崖の形状及び土質を示す図書」が要ります(県細則第2条第1号)。和歌山市の区域については市の細則の添付規定を市建築指導課に、指定確認検査機関に出す場合は申請先の機関に、それぞれ確認してください
- ⑧ 建てる位置が災害危険区域に入らないか。県のページが概要として掲げているのは、和歌山県指定(橋本市清水 字中垣内)・田辺市指定(本宮町本宮)・新宮市指定(熊野川町日足・能城山本の各一部)の3件です(同ページは「詳細は所管行政庁へご確認ください」と断っています——正確な境界・地番は、所管行政庁で確認してください)。県条例第3条なら対象は建築物(居室を有しないものを除く。)で、知事が被害を受けるおそれがないと認めた場合を除いて建築禁止。市の条例なら対象は住居の用に供する建築物で、ただし書に当たる場合も着工前に市長の認定が要ります
- ⑨ 土砂災害警戒区域・特別警戒区域に入っていないか。こちらは別の法律で、条例第4条の適用が外れるわけではありません(条例第15条・第16条の適用除外に第4条は入っていません)。レッドゾーンなら、居室を有する建築物についての令第80条の3の構造規制と、土砂災害防止法第25条による確認申請の要否(建築基準法第6条第1項第3号に規定する区域の外で、同項第1号・第2号に掲げるもの以外の居室を有する建築物が特別警戒区域にかかり、かつ敷地の過半が特別警戒区域内)、同法第10条第1項の特定開発行為の許可の要否を確認。最新の指定は県が公表する指定の図書で(ハザードマップは作成時点の指定のことがあります)
- ⑩ 建築確認が不要なことだけを理由に、第4条が適用外になるわけではありません。条例第16条の適用除外に第4条は入っていないため、法第85条第6項・第7項の許可を受けた仮設興行場等でも第4条は生きています(法第85条第1項・第2項に当たる場合は、法の側の特例により別です)。違反すれば是正命令(除却・使用禁止などを含む建築基準法第9条の措置)や、条例第18条の罰則の対象になり得ます
- 2H未満の区域内では、建築禁止が原則です。第4条ただし書のいずれかに当たれば、その禁止は適用されません——擁壁は第1号の道で、第2号から第4号による場合もあります。第4条には、擁壁を原則として設置させる規定はありません。建築基準法第19条第4項による安全措置(「擁壁の設置その他安全上適当な措置」)の要否は、これとは別に確かめてください。
個別の敷地でどう当たるかの判断は、建築士と、建築地を所管する行政庁(和歌山市の区域は和歌山市建築指導課、それ以外は県庁建築住宅課または所管の振興局建設部建築グループ)にご確認ください。ここで挙げているのは、行政の相談窓口です。建築確認そのものは、業務の範囲内であれば指定確認検査機関にも申請できます——その確認は法第6条第1項の確認とみなされます(法第6条の2第1項)。ただし条例の当てはめやただし書の判断は、所管の行政庁にも確かめてください。和歌山県は、条例・細則の正文を県例規集で、県と和歌山市の連名監修による「和歌山県内 建築基準法取扱い集」を県のページで公開しています。擁壁の選び方も合わせてどうぞ。
出典
- 和歌山県建築基準法施行条例(県例規集・正文。第1条・第2条・第3条・第4条・第15条・第16条・第17条・第18条・附則第1項及び第2項)
- 和歌山県建築基準法施行細則(県例規集・正文。第2条第1号・第11条・第12条)
- 和歌山県内 建築基準法取扱い集(令和7年12月・県公式PDF。501「建築物の制限がかかる崖の範囲」/601「その他の法令」)
- 和歌山県 建築関係条例・規則集(掲載元ページ)
- 和歌山県 建築物を建てる際の手続きについて(確認申請等の申請先一覧)
- 和歌山県 災害危険区域について(県建築住宅課・指定区域の地名地番の概要)
- 和歌山市 建築基準法関係の案内ページ
- 田辺市熊野川出水災害危険区域に関する条例(田辺市例規集)
- 田辺市熊野川出水災害危険区域に関する条例施行規則(田辺市例規集・第4条)
- 新宮市熊野川出水災害危険区域に関する条例(新宮市例規集)
- 新宮市熊野川出水災害危険区域に関する条例施行規則(新宮市例規集・第4条)
- 和歌山県砂防課 土砂災害特別警戒区域について
- 土砂災害警戒区域等の指定状況(令和8年7月28日時点・県砂防課PDF)
- 和歌山県砂防課 土砂災害警戒区域等の指定状況(掲載元ページ)
- 建築基準法(e-Gov法令検索・第2条第13号・第3条・第6条・第6条の2・第6条の4・第9条・第19条第4項・第39条・第40条・第85条・第86条の7・第87条・第87条の3・第91条)
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索・第10条・第80条の3・第137条の2以下・第137条の16)
- 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(e-Gov法令検索・第10条第1項及び第2項・第11条・第12条・第18条・第25条・第26条)
- 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(e-Gov法令検索・第3条第1項。条例第2条の引用に出てきます)
- 地すべり等防止法(e-Gov法令検索・第3条第1項。条例第2条の引用に出てきます)
- 災害により破損した建築物の応急の修繕に係る建築基準法の取扱いについて(国住指第27号・国土交通省通知PDF)
擁壁の形や種類については、擁壁の選び方にまとめています。条例に当てはまるかどうかは、この記事に書いた窓口で確かめてください。
