山梨県のヤード条例は届出制 荷重がかかるおそれのある囲いは、保管物の接触上端+50cmを超える高さが必要です

山梨県のヤード条例 届出制です 囲いには高さの義務があります

山梨県のヤード条例は、2024年(令和6年)7月1日から施行されています。この記事を書いた時点で読んでいた6県のなかでは、山梨県だけが届出制でした。群馬・千葉・埼玉・茨城・福島は、いずれも知事の許可が要ります。その後この連載で読んだ鳥取県と羽曳野市も届出制です。「許可か届出か」は、自治体によって分かれます。

ただし、届出制だから緩い、という条例ではありません。むしろ囲いについては、その5県には無い義務があります。

イ 保管する特定収集物の荷重が直接囲いにかかり、又はかかるおそれがある構造である場合にあっては、当該囲いが、当該荷重に対して構造耐力上安全であり、かつ、その高さが規則で定める高さを超えるようにすること。

囲いの「高さ」そのものが義務になっています。そしてその高さは、こう決まっています。

2 条例第十四条第二号イの規定による規則で定める高さは、保管する特定収集物が囲いに接する部分の上端から上方に鉛直距離で五十センチメートルを加えた高さとする。

積んだ山が囲いに接している、その一番上から50センチメートル。囲いはそれを超えていなければなりません。ただし、これは保管物の荷重が囲いに直接かかる、またはかかるおそれがある構造の場合の話です。荷重がかからない囲いには、この+50センチメートルは直接には適用されません。荷重をかけて高く積むなら、そのぶん囲いも高くする、ということです。

この記事は、条例・施行規則・県の手引き・説明会資料・質疑回答一覧の条文から、順にたどります。

6県で唯一の届出制です
6県で唯一の届出制です
届出制ですが、緩い条例ではありません
届出制ですが、緩い条例ではありません

いつから、何が変わったのか

条例の名前は「山梨県再生資源物の不適正保管等の防止及び産業廃棄物の適正管理の促進に関する条例」。令和5年12月26日公布(山梨県条例第35号)、令和6年7月1日施行です。

目的は第1条です。

この条例は、再生資源物の不適正な保管及び処理の防止並びに産業廃棄物の適正な管理に関し、県及び保管等事業者の責務等を明らかにするとともに、必要な事項を定め、再生資源物の適正な保管及び処理の推進により生活環境の保全を図り、あわせて産業廃棄物の適正な管理を促進し、もって現在及び将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

守ろうとしているのは生活環境の保全です。リサイクルの促進ではありません。事業者にかかる義務は、周りに支障を出さないための義務として組み立てられています。

既存事業者の期限は、届出が1か月、基準が6か月でした

第三条 この条例の施行の際現に第十二条第一項の規定による届出を要する特定収集物の保管又は処理を行っている者に係る同項の規定の適用については、同項中「あらかじめ」とあるのは、「この条例の施行の日から起算して一月を経過する日までに」とし、第十四条の規定は、この条例の施行の日から起算して六月を経過する日までの間は、適用しない。

施行が2024年7月1日で、条例は「施行の日から1月を経過する日までに」としています。県の案内は「令和6年7月31日までに届け出なければなりません」と書き、同じ県の図では「届出規定適用開始日 令和6年8月1日」となっています。1日ずれていますが、どちらにしても、とうに過ぎています。

保管等基準への適合は2025年1月1日からで、こちらも過ぎています(県の図の「基準適用開始日 令和7年1月1日」)。

「起算して○月を経過する日」の数え方は、自治体によって公表される日付が割れます。千葉市は応当日(施行2021年11月1日の「1月を経過する日」を2021年12月1日)、さいたま市はその前日(施行2024年2月1日の「6月を経過する日」を2024年7月31日)としています。期日は、自分で計算せず、その自治体に確認してください。

届出だけが1か月、設備を直す時間は別に6か月。群馬県の二段(維持管理6か月・構造1年)とも、福島県の一律1年とも、長さも区切り方も違います。

そして管理簿には猶予がありません。猶予が置かれているのは第14条(保管等基準)だけです。管理簿の第15条は、施行日から必要でした。

うちは対象になるのか

うちは対象になるのか
うちは対象になるのか

まず、扱っている物。「特定収集物」の定義は第2条第4項です。

4 この条例において「特定収集物」とは、次に掲げる物(廃棄物、法第十七条の二第一項に規定する有害使用済機器並びに使用済自動車の再資源化等に関する法律(略)第二条第二項に規定する使用済自動車、同条第三項に規定する解体自動車及び同条第四項に規定する特定再資源化物品を除く。)をいう。
一 収集された物品のうち、その使用を終了し、かつ、原材料として利用され得るものであって、その全部又は一部に金属が用いられているもの(次号に該当するものを除く。)
二 収集された自動車用のタイヤ本邦における自動車への装着を目的とした商品を除く。
三 その他前二号に掲げる物と一体として保管されている物

タイヤが正面から入っています。福島県のように「タイヤ」の語が一度も出てこない県とは、そこが違います。ただし国内で車に履かせるために売る商品は、かっこ書きで外れます。

第1号は「その全部又は一部に金属が用いられているもの」です。一部でも金属が使われていれば入ります。そして第3号があるので、それらと一体で置いてあるものも巻き込まれます。

除かれるのは、廃棄物、有害使用済機器、そして自動車リサイクル法の使用済自動車・解体自動車・特定再資源化物品です。

次に、届出が要るかどうか。第12条第1項です。

第十二条 特定収集物の保管又は処理(次に掲げる保管又は処理を除く。)を業として行う場合において、当該保管又は処理を行う者(以下「特定収集物保管等事業者」という。)は、当該業の用に供する一団の土地(以下この条及び次条において「事業場」という。)ごとに、あらかじめ、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。
一 事業場の面積が百平方メートルを超えない場所において行う特定収集物の保管又は処理
二 特定収集物の保管又は処理以外の事業をその本来の業務として行う事業者が、当該本来の業務に付随して行う特定収集物の一時的な保管

「一団の土地」ごとです。面積の合算を、他の県のように「隣接する事業場は合計」と条文に書くのではなく、この定義で処理しています。県の手引きは、こう説明しています。

・「一体的に利用」とは、土地の管理者が同一であり、土地が相互に連続するひとまとまりの土地として、現に一体の土地を構成している又は一体として利用できることをいい、道路や河川により分断されているか否かは関係ありません。

100㎡以下なら、届出・保管等基準・管理簿の対象外です

100㎡以下なら届出・基準・管理簿の対象外
100㎡以下なら届出・基準・管理簿の対象外

ここが、山梨県といちばん取り違えやすいところです。

茨城県と福島県では、100㎡以下でも囲いと掲示板が外れるだけで、積み上げ高さも火災も汚水も残ります。山梨県は逆です。

もう一度、第12条第1項を読んでください。かっこ書きで各号を除いたうえで、「当該保管又は処理を行う者」を「特定収集物保管等事業者」と定義しています。

そして保管等基準の第14条は「特定収集物保管等事業者は」で始まり、管理簿の第15条も「特定収集物保管等事業者は」で始まります。

つまり、100㎡を超えない事業場は、そもそも「特定収集物保管等事業者」に当たりません。特定収集物に係る届出も、保管等基準も、管理簿も、かかりません。

ただし、条例そのものの外に出るわけではありません。第4条の保管等事業者の責務は「保管等事業者」——再生資源物の保管若しくは処理を行い、又は産業廃棄物の保管を行う事業者——にかかります。そして第19条の報告徴収と第20条の立入検査は、「再生資源物若しくはその疑いのある物」の保管等を行う者その他の関係者を広く対象にしています。報告を求められることも、立入検査を受けることもあります。

他県の「100㎡以下でも基準はかかる」という説明を、山梨県に持ち込まないでください。逆に、山梨県のこの整理を他県に持ち込むこともできません。そして「規制がまるごと外れる」とも言い切れません。外れるのは、特定収集物に係る届出・保管等基準・管理簿です。

そして、縮小したときにも手続きがあります。県の手引きです。

④届出が必要な事業場を廃止したとき(事業場の面積が100㎡以下になった場合)保管等廃止届出

事業をやめていなくても、100㎡以下に縮小したら廃止届です。期限は、事業場を廃止した日から30日以内(第13条第3項)。

もうひとつの線、300㎡

山梨県の条例は、金属スクラップだけを扱っているわけではありません。面積の線が2つあります。

第八条 特定処理物の保管(次に掲げる保管を除く。)の用に供する場所の面積が三百平方メートル以上である場所において、当該保管を行う者

特定処理物は、産業廃棄物を再生した土砂状のもの、陶磁器くずを破砕したもの、ガラスを破砕したものなどです。特定処理物を300平方メートル以上保管する場合、または条例で定める種類の産業廃棄物を、発生した事業場の外で自ら300平方メートル以上保管する場合は、適用除外に当たらなければ、別枠の届出の対象になります。どちらにも適用除外があります。

数字の切り方が逆なので、注意してください。特定収集物は「100平方メートルを超えない」(100㎡ちょうどは対象外)、特定処理物と産業廃棄物は「300平方メートル以上」(300㎡ちょうどは対象)です。

ヤードの構内でこうしたものを置いている場合は、適用除外に当たらないかを含めて、別枠の届出が要るかどうかを確かめてください。

荷重がかかる囲いには、高さの義務があります

荷重がかかる囲いは接触上端+50cm超
荷重がかかる囲いは接触上端+50cm超

保管等基準は第14条です。囲いは第1号イ、荷重は第2号イです。

一 次に掲げる要件を満たす場所で保管すること。
イ 保管する場所の周囲に囲いが設けられていること。
ロ 規則で定めるところにより、外部から見やすい箇所に特定収集物を保管する場所である旨その他特定収集物の保管に関し必要な事項を表示した掲示板が設けられていること。
二 保管又は処理を行う場所から特定収集物が飛散し、及び流出しないように次に掲げる措置を講ずること。
イ 保管する特定収集物の荷重が直接囲いにかかり、又はかかるおそれがある構造である場合にあっては、当該囲いが、当該荷重に対して構造耐力上安全であり、かつ、その高さが規則で定める高さを超えるようにすること。
ロ 屋外において特定収集物を容器を用いずに保管する場合にあっては、積み上げられた特定収集物の高さが規則で定める高さを超えないようにすること。

イとロは別の話です。イは囲いの高さ、ロは積み上げの高さ。イには「構造耐力上安全であり、かつ」と書かれていて、2つの条件が並んでいます。

イの高さは、規則第13条第2項です。

荷重をかけるなら積んだ高さが囲いを決めます
荷重をかけるなら積んだ高さが囲いを決めます

2 条例第十四条第二号イの規定による規則で定める高さは、保管する特定収集物が囲いに接する部分の上端から上方に鉛直距離で五十センチメートルを加えた高さとする。

基準にする点は、山の頂上ではありません。「囲いに接している部分の上端」です。寄りかかっている一番上のところから50センチメートル。囲いはそれを超えていなければなりません。

ここは、茨城県・福島県と数字が同じでも、向きが逆です。茨城県と福島県の50センチメートルは、囲いの上端から下げて積める高さを決める線です。山梨県の50センチメートルは、積んだ高さから上げて囲いの高さを決める義務です。

荷重をかけて高く積むなら、そのぶん囲いも高くする。これが山梨県の作りです。県の質疑回答一覧に、こんなやりとりが載っています。

条例で届出が必要な金属スクラップヤードをするに当たり、保管基準にもある5m程度の壁を設置検討している。壁の設置に近隣の同意が必要か。
当条例においては、近隣の同意は不要。なお、他法令において、近隣の同意が必要な場合もあるので留意されたい。

なお、囲いの材質については、条例にも規則にも規定がありません。群馬県の「波型の亜鉛メッキ鋼板又はこれと同等以上」のような指定はありません。

掲示板は、規則第13条第1項です。

条例第十四条第一号ロの規定による掲示板は、縦及び横それぞれ六十センチメートル以上であり、かつ、次に掲げる事項を表示したものでなければならない。
一 特定収集物の処理を行う場合にあっては、特定収集物を保管する場所である旨に加えて、特定収集物を処理する場所である旨
二 保管する場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先
三 屋外において特定収集物を容器を用いずに保管する場合にあっては、第三項に定める高さのうち最高のもの

福島県のような「現場責任者を置く」義務は、山梨県にはありません。掲示板に書くのは「管理者」の氏名と連絡先です。人を張り付ける義務がない、という違いになります。

荷重をかけるなら、構造耐力上安全であることが要ります

第14条第2号イは、囲いの高さと並べて「構造耐力上安全であり」を求めています。「かかる」だけでなく「かかるおそれがある」も対象です。

ただし、どこまでを示せばよいかについて、県は踏み込んだ回答をしています。

保管基準にある堅牢な壁とは。
廃掃法の基準と同様で、構造耐力の計算までは求めていない。なお、特定収集物等が寄りかかり壁等が変形・損壊している場合は、基準不適合となる。

山梨県は、囲いの構造計算そのものは求めていません。ただし結果として変形・損壊していれば基準不適合です。計算書を出さなくてよい、ということと、壊れてよい、ということは違います。

なお、届出の添付書類にある設計計算書は、囲いのものではありません。規則第11条第2号です。

二 事業の用に供する施設を設置する場合にあっては、当該施設の処理方式、構造及び設備の概要、構造を明らかにする平面図、立面図、断面図、構造図及び設計計算書並びに当該施設の付近の見取図

「事業の用に供する施設」——圧縮機や破砕施設などのことです。囲いの届出書類として設計計算書が要る、という条文ではありません。

そして、届出書に書く事項に高さが入っています(条例第12条第2項第7号)。

七 屋外において特定収集物を容器を用いずに保管する場合にあっては、その旨及び規則で定める高さのうち最高のもの

ただし、これは囲いの高さとは別の計算です。届出書と掲示板に書くのは、規則第13条第3項で算定した積み上げ高さの上限。囲いの必要な高さは、規則第13条第2項で、荷重がかかる場合に接する部分の上端+50センチメートルを超えること。条文の項が違います。

当社の擁壁型の囲い「ヤードン」は、逆T型で自立し、製品部分の設計計算書をお出しできます。ただし、山梨県は囲いの構造耐力の計算までは求めていません。計算書が届出の書類として必要になるかは、事業場の条件を示したうえで県にご確認ください。山梨県で効いてくるのは、寄りかかっても変形・損壊しないこと、そして接する部分の上端+50センチメートルを超える高さです。詳しくはヤードンのページをご覧ください。

積み上げ高さは3つに分かれます。全部金属なら5メートルの上限が外れます

全部金属なら、5メートルの上限が外れます
全部金属なら、5メートルの上限が外れます

積み上げの高さは、規則第13条第3項です。まず、ただし書から読んでください。

3 条例第十四条第二号ロの規定による規則で定める高さは、次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める高さとする。ただし、条例第二条第四項第一号に規定する物のうち全部に金属が用いられているもののみを保管する場合には、第七条第三項に定める高さとする。

「全部に金属が用いられているもののみ」を保管する場合は、特定処理物の側の規則(第7条第3項)が適用されます。

ここは、単に5メートルが外れる、という話ではありません。第13条第3項の計算をそのまま使って5メートルだけ取り除くのではなく、第7条第3項の計算基準そのものに切り替わります。

第7条第3項では、荷重がかかる場合が2つに分かれます。直接負荷部分から水平距離2メートル以内は基準線まで。2メートルを超える部分は、そこから50パーセント勾配による高さまで。そして5メートルの上限は置かれていません。

「いずれも5メートルが上限」という茨城県・福島県の整理とは、正面から違います。

ただし、プラスチック混じりの雑品を同じ区画に入れた瞬間に、5メートルの上限が戻ります。県の手引きは、この条件を「常時、金属以外のものを含まない特定収集物を、他の特定収集物と区分して保管する場合」と説明しています。

ただし書に当たらない場合の3つは、こうです。

一 保管する場所の囲いに保管する特定収集物の荷重が直接かかる構造である部分(次号及び第三号において「直接負荷部分」という。)がない場合 当該保管の場所の任意の点ごとに、地盤面から、当該点を通る鉛直線と当該保管の場所の囲いの下端(略)を通り水平面に対し上方に五十パーセントの勾配を有する面との交点(当該交点が二以上ある場合にあっては、最も地盤面に近いもの)までの高さ又は五メートルのうちいずれか低いもの

二 保管する場所の囲いに直接負荷部分がある場合(次号に掲げる場合を除く。) 直接負荷部分の上端から下方に垂直距離五十センチメートルの線(イ及び次号ロにおいて「基準線」という。)から当該保管の場所の側の任意の点ごとに、次のイに規定する高さ(当該保管の場所の囲いに直接負荷部分でない部分がある場合にあっては、イ又はロに規定する高さのうちいずれか低いもの)又は五メートルのうちいずれか低いもの
イ 地盤面から、当該点を通る鉛直線と当該鉛直線への水平距離が最も小さい基準線を通る水平面との交点までの高さ
ロ 前号に規定する高さ

三 保管する場所の三方の囲いに直接負荷部分がある場合 次のイからハまでに規定する高さのうちいずれか低いもの又は前号に規定する高さ
イ 当該保管の場所の当該三方以外の方向から、事業の用に供する施設(当該保管の場所を除く。)又は事業場の敷地の境界線への水平距離のうち最小のものの二分の一に相当する高さ
ロ 当該直接負荷部分の基準線の高さ
ハ 五メートル

三方の第3号イに注意してください。測る先が「敷地の境界線」だけではありません。「事業の用に供する施設(当該保管の場所を除く。)」も入っています。破砕機などの事業の用に供する施設が敷地の境界より手前にあれば、そこまでの距離で切られます。

茨城県の三方は「屋外保管事業場の敷地の境界線」までです。開口している方向に事業の用に供する施設があり、それが敷地の境界より近い場合は、山梨県のほうが低い上限になることがあります。

山梨県条例には、火災防止の200㎡・2m基準はありません

条例に火災防止の200㎡・2m基準はありません
条例に火災防止の200㎡・2m基準はありません

五 保管又は処理を行う場所において特定収集物に電池、潤滑油その他の火災の発生のおそれがあるものが含まれる場合にあっては、火災が発生しないように技術的に可能な範囲でこれらを適正に回収し、又は処分すること。

条文は「電池、潤滑油その他の火災の発生のおそれがあるもの」です。電池と潤滑油に限られるわけではありません。

ただし、茨城県・群馬県・千葉県・福島県にある「一の保管の単位200平方メートル以下」「隣接する間隔2メートル以上」という数値の基準は、山梨県の保管等基準にひとつもありません。消防法など他の法令や、県の個別の指導は別の話です。

県の手引きに「仕切」という語が1か所出てきますが、それは「(参考)産業廃棄物処理基準」の章です。廃棄物処理法の紹介であって、山梨県条例が再生資源物について仕切りを求めた規定ではありません。

汚水は、排水溝と底面の両方が要ります

三 特定収集物の保管又は処理に伴い汚水が生ずるおそれがある場合にあっては、当該汚水が公共の水域に流出し、及び地下に浸透しないように、必要な排水溝その他の設備を設けるとともに、底面を不浸透性の材料で覆うこと。
四 保管又は処理を行う場所から悪臭が発散するおそれがある場合にあっては、悪臭の発散により生活環境の保全上の支障が生じないように必要な措置を講ずること。

「とともに」でつながっています。排水溝だけでも、底面の被覆だけでも、基準を満たしません。

条例本文には「油水分離槽」という設備名は書かれていません。ただし県の手引きは、汚水が公共用水域に流出しないようにするための措置の例として、「排水溝やそれと接続する油水分離槽等の設置など」を挙げています。必要な設備は、保管物や発生する汚水の性状に応じて判断されます。福島県のように条例本文に書かれている県とは、書きぶりが違うということです。

事前の住民説明・近隣同意の手続きはありません

事前の住民説明の手続きはありません
事前の住民説明の手続きはありません

千葉県・埼玉県・福島県には300メートルの住民周知があり、群馬県には事前協議規程の手続きがあります。山梨県の条例・規則には、事前の住民説明会や近隣同意を求める規定がありません。

先ほどの質疑回答一覧のとおり、「当条例においては、近隣の同意は不要」です。ただし、県自身がこう続けています。

なお、他法令において、近隣の同意が必要な場合もあるので留意されたい。

都市計画法、農地法、地元の協定は別の話です。条例で不要だからといって、どこにも同意が要らないという意味ではありません。

そして、掲示板の設置は義務です。県の手引きは、その目的をこう説明しています。

管理責任者を明確にするとともに、条例に基づく手続きがなされている場所であることを周辺の住民に周知するためにも、事業場の入り口など、外部(略)

掲示板には、条例に基づく手続きが行われている場所であることを周辺住民に周知する役割もある、ということです。

管理簿は「1年ごとに閉鎖し、閉鎖後5年間」

第十五条 特定収集物保管等事業者は、その保管する特定収集物の種類ごとの搬入及び搬出の状況について管理簿を備え、規則で定める事項を記載しなければならない。
2 前項の管理簿は、一年ごとに閉鎖し、閉鎖後五年間保存しなければならない。

1年ごとに閉鎖し、閉鎖後5年間です。「一年ごと」であって、4月から翌年3月までの年度とは限りません。1件ごとに5年を数える福島県(作成の日から5年間)とは、起算点が違います。個々の記録で見ると、実際の保存期間は最長で約6年になります。

そして、これは産業廃棄物の事業場外保管についての回答ですが、廃棄物処理法で届出をしている事業者でも、条例の管理簿は別に要る場合があります。質疑回答一覧です。

建設工事の解体業を行っており、産業廃棄物の事業場外保管の届出をしているが、条例適用となるのか。
届出は不要だが、管理簿の備え付けは必要。

「届出が不要」と「条例の対象外」は違います。

罰則は、現行の県例規集では「懲役」と表記されています

罰則は例規集で「懲役」と表記されています
罰則は例規集で「懲役」と表記されています

第二十五条 第二十二条の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第二十六条 第二十一条の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

いちばん重いのが1年以下で、しかも措置命令違反です。茨城県・福島県の最上位は2年以下ですから、そこも違います。

無届出、虚偽の届出、報告拒否、立入検査拒否は、いずれも第27条の30万円以下の罰金です。無届出そのものの罰則は30万円以下の罰金で、自由刑は、措置命令などへの違反について設けられています。

そして刑名です。福島県は令和6年条例第82号により令和7年6月1日から拘禁刑に改まっていますが、山梨県の現行の県例規集では「懲役」と表記されています(本稿執筆時点で確認)。両県を並べた表で、刑名をそろえてしまわないでください。

県の質疑回答が、実務のところを答えています

県は、届出説明会での質疑回答を一覧で公表しています。条文だけでは決まらないところが、ここで決まっています。

届出制なので、更新はありません。

8 許可制ではなく届出制のため更新は不要か
 お見込みのとおり

区画が分かれていても、届出は一つです。ただし高さは区画ごとに計算します。

9 金属くずの保管場所はアルミなど金属の種類ごとに区画が分かれており、届出は区画ごととするのか、それとも一纏まりとするのか。また、高さ制限はどうなるのか
 一纏まりとし届出。高さ制限はそれぞれの区画で算出

壁に、構造計算までは求められていません。

7 保管基準にある堅牢な壁とは
 廃掃法の基準と同様で構造耐力の計算までは求めていない。なお、特定収集物等が寄りかかり、壁等が変形・損壊している場合は基準不適合となる

計算書は要らないが、寄りかかって変形していたらアウト、ということです。

管理簿の搬出先は、正確に書きます。小売販売で個人客に売った場合に顧客の住所地でよいか、住所が不明なら省略してよいかという質問に対し、県は「特定処理物等の適正な管理を図るため正確な搬出先を記載されたい」と答えています。省略は認められていません。

産業廃棄物の事業場外保管の届出をしていても、管理簿は要ります。

4 建設工事の解体業を行っており、産業廃棄物の事業場外保管の届出をしているが条例適用となるのか
 届出は不要だが管理簿の備え付けは必要

そして量は関係ありません——「量に関係なく規制の対象」(質疑5)。断面図は施設の最大能力を確認するため保管場所ごとに必要ですが、高さ等が同様の保管場所はまとめてよいとされています(質疑6)。

既存事業者の届出の出し方についても、答えがあります。基準を満たす工事が届出のあとになる場合、本来は現状で届け出て、変更前にあらかじめ変更届を出すことになりますが——

 基準順守期限が設定された既設の改善であることを考慮し、次のパターンも可とする。現状の状況に加え、変更事項と変更予定年月日を記載した保管届を提出当該変更事項に係る変更届は不要

「いつまでにこう直します」と書いて出せば、あとから変更届を出さなくてよいという扱いです。

甲府市内なら、届出書の提出先は甲府市です

届出は知事あてですが、出す先は保管場所の所在地で分かれます。県の手引きに、こう書かれています。

○届出書は保管場所の所在地を管轄する林務環境事務所へ提出してください。ただし甲府市内に保管場所を有する場合は甲府市に届出書を提出してください。

甲府市内は甲府市。それ以外は、中北・峡東・峡南・富士東部の各林務環境事務所です。これは県条例が適用されなくなるという話ではありません。かかる条例は同じで、窓口が違うだけです。

この点は県によって作りが違います。千葉県では千葉市と袖ケ浦市がそれぞれの市条例、埼玉県ではさいたま市と越谷市が独自条例で、そもそも県条例が適用されません。山梨県はそうではなく、県条例のまま、窓口だけが分かれます。

いま、確かめておくこと

いま、確かめておくこと
いま、確かめておくこと
  • 届出制なので更新はありません(県の質疑回答8)
  • 区画が分かれていても届出は一つ。ただし高さ制限は区画ごとに算出します(同9)
  • 堅牢な壁に構造耐力の計算までは求められていません。ただし寄りかかって変形・損壊していれば基準不適合です(同7)
  • 管理簿の搬出先は、正確に。個人客でも省略は認められていません(同2)
  • 産業廃棄物の事業場外保管の届出をしていても、管理簿は要ります(同4)
  • 扱う物は収集された物品のうち、使用を終了し、原材料として利用され得るもので、全部又は一部に金属が用いられているもの、収集された自動車用のタイヤ、それらと一体で保管されている物か
  • 廃棄物、有害使用済機器、使用済自動車・解体自動車・特定再資源化物品は除かれる
  • 事業場(一団の土地)の面積は100㎡を超えるか。道路や河川で分断されていても一体なら合わせて見る
  • 100㎡を超えないなら、特定収集物に係る届出も保管等基準も管理簿もかからない(他県と正反対)。ただし第4条の責務、第19条の報告徴収、第20条の立入検査は残る
  • 縮小して100㎡以下になったら廃止届。事業場を廃止した日から30日以内
  • 特定処理物を300㎡以上保管、または条例で定める産業廃棄物を発生事業場の外で自ら300㎡以上保管していないか。適用除外に当たらないかを含めて、別枠の届出を確認する
  • 保管する場所の周囲に囲いがあるか。材質の指定はない
  • 囲いに荷重が直接かかる、またはかかるおそれがあるか。あるなら構造耐力上安全であることと、 保管物が囲いに接する部分の上端+50cmを超える高さの両方を満たすか(県は構造耐力の計算までは求めていない。ただし変形・損壊は基準不適合
  • 積み上げ高さは、荷重がかからないなら囲いの下端から50パーセント勾配かかるなら基準線三方なら、施設または敷地の境界線までの最小水平距離の2分の1
  • 全部に金属が用いられているものだけを区分保管するなら、規則第7条第3項の計算基準に切り替わり、5メートルの上限は置かれていない(規則第13条第3項ただし書)
  • 掲示板は縦横それぞれ60cm以上で、管理者の氏名・連絡先と高さのうち最高のものを表示しているか(説明会の代わりに、周辺住民への周知の役も担う
  • 電池、潤滑油その他の火災のおそれがあるものを、技術的に可能な範囲で回収・処分しているか
  • 汚水が生ずるおそれがあるなら、排水溝その他の設備と、底面の不浸透性材料の両方があるか
  • 保管場所が甲府市内なら、届出書の提出先は甲府市。それ以外は所在地を管轄する林務環境事務所県条例が外れるわけではなく、窓口が違うだけ
  • 管理簿を備え、1年ごとに閉鎖して閉鎖後5年間保存しているか
  • 廃棄物処理法の届出をしていても、条例の管理簿は別に要る場合がある

手続きや解釈の判断は、山梨県環境・エネルギー部環境整備課(甲府市内の事業場は甲府市)にご確認ください。


出典

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