兵庫県のヤード規制は2003年から 廃棄物に当たらない使用済自動車も1台から囲いが必要

兵庫県のヤード規制は2003年から 廃棄物に当たらない使用済自動車も1台から囲いが必要

兵庫県には「ヤード条例」という名前の条例はありません。それでも、使用済自動車・使用済みの自動車用タイヤ・使用済特定家庭用機器を屋外に置くなら、囲いを設けることが義務です。しかも面積にも台数にも下限がありません。1台でもかかります。

そして、その囲いに保管物の荷重が直接かかる構造であるなら、その荷重に対して構造耐力上安全でなければなりません。

この決まりが施行されたのは、2003年(平成15年)12月15日です。千葉県や茨城県の条例施行より、20年以上前に、兵庫県はもう書いていました。

この記事は、条例・施行規則の条文から順にたどります。兵庫県の条文には、他県のヤード条例にある「50パーセント勾配」も「5メートル上限」も出てきません。そこを混ぜないように読み進めます。

条例の名前に「ヤード」も「再生資源物」も入っていません

囲いの義務は2003年からあります
囲いの義務は2003年からあります

正式には「産業廃棄物等の不適正な処理の防止に関する条例」(平成15年兵庫県条例第23号)といいます。目的の条文はこうです。

第1条 この条例は、県民の生活環境の保全上の支障を生じ、又は災害を発生させるおそれのある産業廃棄物、使用済自動車その他の特定物及び土砂等の不適正な処理の防止について必要な事項を定めることにより、県民の生活環境を保全するとともに、県民の生活の安全を確保することを目的とする。

守備範囲が3つあります。産業廃棄物、特定物、土砂等です。千葉県や福島県の条例が「再生資源物のヤード」という1つの対象を相手にしているのとは、建て付けが違います。

ヤードの話にあたるのは、このうち第4章(特定物)です。囲いも、掲示板も、積み上げの高さも、すべてここから出てきます。

対象は3品目だけです。金属スクラップ全般は入りません

対象は3品目だけです
対象は3品目だけです

まず、誰にかかるのかを確かめます。

2 この条例において「特定物」とは、次に掲げる物で廃棄物処理法第2条第1項に規定する廃棄物(以下「廃棄物」という。)に該当しないものをいう。
(1) 使用済自動車(道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車(次号において「自動車」という。)で運行の用に供することを終了したものをいう。以下同じ。)
(2) 使用済みの自動車用タイヤ
(3) 使用済特定家庭用機器(特定家庭用機器再商品化法(平成10年法律第97号)第2条第4項に規定する特定家庭用機器で本来の用途に供することを終了したものをいう。以下同じ。)

3つだけです。使用済自動車、使用済みの自動車用タイヤ、使用済特定家庭用機器(家電4品目)。

金属くず一般、雑品スクラップ、建設廃材、バッテリー、基板類は、条文の列挙に入っていません。千葉県の「再生資源物」や茨城県の「特定再生資源物」が金属スクラップを正面から取り込んでいるのと、ここが決定的に違います。

もうひとつ大事な限定があります。「廃棄物に該当しないもの」です。廃棄物に該当するものは、この条例上の「特定物」には当たりません。廃棄物処理法などに基づく判断になります。

囲いの義務に、面積も台数もありません

囲いの義務に面積も台数もありません
囲いの義務に面積も台数もありません

義務そのものは、条例の一文で決まります。

第17条 特定物の保管をする者(以下「特定物保管者」という。)は、規則で定める特定物の保管方法に関する基準(以下「特定物保管基準」という。)に従い、特定物の保管をしなければならない。

「特定物の保管をする者」とだけ書いてあります。面積が何平方メートル以上とも、何台以上とも書いていません。

これが兵庫県のいちばん大きな特徴です。

他県の入口は一様ではありません。千葉県は面積の下限を置かず、扱っている物・屋外かどうか・使っている機械で、対象業に当たるかを見ます。埼玉県・群馬県・茨城県・福島県・山梨県は、敷地面積100平方メートルを基準にしています(隣接する事業場は合計で判定)。

ところが兵庫県の保管基準には、その入口がありません。

使用済自動車を1台置けば、その時点で特定物保管者です。

そして「規則で定める基準」の中身が、これです。

(1) 保管をする土地の周囲に囲い(保管をする特定物の荷重が直接当該囲いにかかる構造である場合にあっては、当該荷重に対して構造耐力上安全であるものに限る。)を設けること。

施行規則第9条第1号。条例・規則を通じて、「囲い」という語が出てくるのはこの1か所だけです。

「直接かかる構造である場合」——「おそれ」ではありません

直接かかる構造である場合に限られます
直接かかる構造である場合に限られます

括弧の中をもう一度読みます。

保管をする特定物の荷重が直接当該囲いにかかる構造である場合にあっては、当該荷重に対して構造耐力上安全であるものに限る。

「直接かかる構造である場合」です。「かかるおそれがある場合」とは書かれていません。

ここは県によって書き分けが違うところなので、並べておきます。

  • 兵庫県——荷重が直接かかる構造である場合
  • 鳥取県——使用済物品の荷重が直接かかる構造である場合(規則第5条第3項第1号カ)
  • 山梨県——荷重がかかるおそれがある場合を含む書き方

条文どおりに読めば、囲いから離して積み、荷重が囲いにかからない置き方をするなら、構造耐力の縛りは条文上かかりません。逆に、囲いに寄せて積むなら、その荷重に耐えられる囲いでなければならない、ということになります。

なお、同じ規則の中でも書き分けがあります。汚水の条文(第9条第3号ウ)は「汚水が生ずるおそれがある場合」で発動します。囲いの荷重だけが「直接かかる構造である場合」なのは、書き分けた結果だと読めます。

囲いの高さは、決まっていません

囲いの高さ・材質の定めはありません
囲いの高さ・材質の定めはありません

規則第9条第1号が囲いについて書いているのは、「保管をする土地の周囲に」設けることと、荷重が直接かかる構造なら構造耐力上安全であることの2点だけです。

高さの数値はありません。材質の指定もありません。構造の仕様もありません。

この点は、同じく囲いを義務づけている鳥取県と対照的です。鳥取県は規則で「地盤面より1メートル80センチメートル以上の高さ」「素材が鋼製ネットフェンス、波形亜鉛引鉄板又はこれらに類するもの」と、はっきり数値と材質を書いています。兵庫県には、それがありません。

「兵庫県は囲いの高さを1.8メートル以上と定めている」と書いてある解説を見かけたら、条文に当たってください。兵庫県の条文には書かれていません。

積み上げは3.5メートルと3メートル。勾配ではありません

積み上げは3.5メートルと3メートル
積み上げは3.5メートルと3メートル

高さの決まりは、囲いではなく積み重ねの側にあります。

(4) 積み重ねて特定物の保管をする場合にあっては、次のとおりとすること。
ア 使用済自動車、使用済みの自動車用タイヤ又は使用済特定家庭用機器をそれぞれ分別して保管すること。
イ 特定物の崩落を防止するための措置を講ずること。
ウ 使用済自動車については、積み重ねられた高さが3.5メートルを超えないようにするとともに、1の使用済自動車の上部に2以上の使用済自動車を積み重ねないこと。
エ 使用済みの自動車用タイヤ又は使用済特定家庭用機器については、積み重ねられた高さが3メートルを超えないようにすること。

絶対値です。使用済自動車は3.5メートル、タイヤと家電は3メートル。

ここが、今回比べている6県との最大の違いです。近年の各県条例には、囲いからの距離などに応じて高さを算定する勾配式があります。直接負荷部分の上端から下方50センチメートルの基準線、水平距離2メートル、50パーセントの勾配。

ただし、算定の方法も、5メートルという上限がどこにかかるかも、県や保管物の区分によって違います。たとえば千葉県では、一律5メートルの上限がかかるのは雑品スクラップだけで、金属スクラップとプラスチック類は、勾配・囲いの構成・施設や敷地境界線までの距離で上限が決まります。

兵庫県の条文には、勾配も、基準線も、5メートルも、一度も出てきません。

そして勾配式にはない縛りが1つあります。「1の使用済自動車の上部に2以上の使用済自動車を積み重ねない」。高さが3.5メートル以内でも、積み方そのものに制限がかかるということです。

この一文を、行政がどう整理しているかも見ておきます。神戸市の案内は、こう書いています。

指定された高さを超えて保管しないこと。(自動車:3台以下及び3.5m以下。自動車用タイヤ及び家電製品:3m以下。

「3台以下」です。条文の書きぶりと、市の整理を並べておきます。実際の判断は、届出先の窓口にご確認ください。

掲示板は縦横60センチメートル以上

そのほかの基準と、無い基準
そのほかの基準と、無い基準

(2) 保管をする土地の見やすい箇所に次に掲げる要件を備えた掲示板を設けること。
ア 縦及び横それぞれ60センチメートル以上であること。
イ 次に掲げる事項を表示したものであること。
(ア) 使用済自動車、使用済みの自動車用タイヤ又は使用済特定家庭用機器の保管の場所である旨及び保管をする特定物の種類ごとの最大数量
(イ) 届出者の氏名又は名称及び連絡先

大きさは廃棄物処理法の産廃保管場所の掲示板と同じ60センチメートル以上ですが、書く中身は同じではありません。この規則が求めているのは「種類ごとの最大数量」と「届出者の氏名又は名称及び連絡先」です。

ここで、条文の書きぶりに1つ引っかかりがあります。掲示板の義務は特定物を保管する者全員にかかりますが、多量保管に達していない人は届出をしないので、条文上の「届出者」ではありません。その場合に掲示板へ誰の氏名を書くのかは、条文からは読み取れません。管轄の窓口にご確認ください。

汚水、火災、ねずみ。騒音と振動はありません

残りの保管基準を並べます。まず第3号は、飛散・流出・地下浸透・悪臭をまとめて相手にしています。

(3) 保管をする場所から特定物の破片又は油等が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発生しないように次に掲げる措置を講ずること。
ア 特定物の保管に伴い特定物の破片が飛散するおそれがある場合にあっては、シート掛けを行うこと。
イ 特定物の保管に伴い特定物の油等が流出するおそれがある場合にあっては、あらかじめ当該油等の除去を行うこと。
(略)
エ その他必要な措置

破片が飛ぶおそれがあるならシート掛け。油が流れるおそれがあるなら、あらかじめ抜いておく。どちらも「おそれがある場合」で発動します。そしてエに「その他必要な措置」が置かれているので、ア〜ウをやれば終わり、という作りではありません。

省いたウが、汚水です。

ウ 特定物の保管に伴い汚水が生ずるおそれがある場合にあっては、当該汚水による公共の水域及び地下水の汚染を防止するために必要な排水溝その他の設備を設けるとともに、底面を不浸透性の材料で覆うこと。

(5) 火災の発生を防止するための措置を講ずること。

(6) 保管の場所には、ねずみが生息し、及び蚊、はえその他の害虫が発生しないようにすること。

火災の条文は、この一行だけです。消火器の本数も、区画の面積も、堆積の島の間隔も書かれていません。

他県には、対象物や条件を限定したうえで、200平方メートル以下の保管の単位や2メートル以上の離隔を定める例があります。(千葉県では雑品スクラップに係る火災防止措置、福島県では保管の単位が金属のみなら200平方メートルの上限が外れる、といった形です。)兵庫県には、そうした数値がありません。

汚水は「不浸透性の材料」とだけあり、コンクリートの厚さなどの仕様は書かれていません。

そして騒音と振動の基準は、この条例にはありません。騒音規制法・振動規制法や、別の県条例の領域になります。

守らなければ、勧告ではなく命令です

第20条 知事は、特定物の適正な保管の実施を確保するため、特定物保管者が特定物保管基準を遵守していないと認めるときは、当該特定物保管者に対し、保管方法の変更その他必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

第20条には、命令の前に勧告を必須とする手続が置かれていません。基準を守っていないと認めれば、そのまま命令できる建て付けです。(土砂等の側は第34条が勧告、第35条が命令という二段構えです。)

届出が要るのは「多量保管」から

届出が要るのは多量保管から
届出が要るのは多量保管から

ここまでの囲い・掲示板・積み上げは全員にかかります。届出は、別の話です。

この条例において「多量保管」とは、面積が100平方メートル以上の土地における特定物の保管又は使用済自動車にあっては20台、使用済みの自動車用タイヤにあっては100本、使用済特定家庭用機器にあっては100台を下回らない範囲内で規則で定める数量以上の特定物の保管をいう。

そして規則が、その数量を下限どおりに確定させています。

第2条 条例第2条第3項に規定する規則で定める数量は、次の各号に掲げる特定物の区分に応じ、当該各号に定める数量とする。
(1) 使用済自動車20台
(2) 使用済みの自動車用タイヤ100本
(3) 使用済特定家庭用機器100台

「面積100平方メートル以上」か「この数量以上」の、どちらかに当たれば多量保管です。「かつ」ではありません。80平方メートルの土地に使用済自動車を25台置けば、面積では届かなくても台数で多量保管になります。

そして繰り返しますが、この数字は届出の入口であって、囲いの入口ではありません。19台なら囲いが要らない、ということではありません。

多量保管の届出には、次の図面が要ります。

(2) 多量保管をする土地及びその周辺の見取図(略)(5) 特定物の保管の状況を示す配置図及び断面図

囲いの構造耐力を証明する計算書の添付は、この条文には書かれていません。福島県が「新たに構造耐力上安全な囲いを設置する場合は構造図と設計計算書を添付」と手引きで求めているのとは、そこが違います。ただし、義務そのもの(構造耐力上安全であること)は変わりません。

もうひとつ、但し書きを付けておきます。同じ条文の第6号に「前各号に掲げるもののほか、知事が必要と認める書類又は図面」という包括の規定があります。個別の案件で追加の資料を求められないことまでを意味するものではありません。

届出をした者には、搬入搬出管理簿の義務も付いてきます。

(1) 搬入又は搬出を行った日(2) 特定物の種類ごとの搬入量、搬出量及び保管量(3) 搬出先の事業場等の名称
2 前項の搬入搬出管理簿は、1事業年度ごとに閉鎖するものとし、翌事業年度の初日から起算して5年間保存しなければならない。

5年の数え始めは、記録した日ではありません。事業年度ごとに閉鎖したあとの、翌事業年度の初日からです。実際には最長6年近く手元に残ります。

なお、この管理簿の義務は多量保管の届出をした者だけです。囲いと掲示板は全員、管理簿は多量保管から。対象が違います。

一部の市では、県条例による産廃保管届が外れます。ただし囲いは外れません

外れるのは産業廃棄物の章だけです
外れるのは産業廃棄物の章だけです

ここが兵庫県でいちばん間違えやすいところです。

条例の第42条に、一部の市の区域では第3章の規定を適用しないという定めがあります。第3章は産業廃棄物の保管の届出です。

理由を、西宮市がはっきり書いています。

県条例の規制対象地域は県下全域ですが、廃棄物処理法では産業廃棄物に係る規制権限は政令市にあることから、県条例のうち産業廃棄物(自社廃棄物)の保管行為に関する条例については、本市は県条例の対象から除かれています。このため本市でも、県と同様の自社廃棄物の保管に関する規制を行う条例を制定しています。

産業廃棄物の規制権限を持つ市だから、県条例の産廃の章が外れる。そういう仕組みです。

いま除かれている市は、5つです。姫路市の案内(2026年5月14日更新)が、そのまま書いています。

県条例の規制対象地域は県下全域ですが、産業廃棄物(建設資材廃棄物を含む。このページにおいて以下同じ。)に係る規定については、本市のほか、神戸市、尼崎市、西宮市および明石市が、廃棄物処理法により産業廃棄物に係る規制権限を有していることから、県条例の対象から除かれています。

姫路市・神戸市・尼崎市・西宮市・明石市の5市です。そして理由は「廃棄物処理法により産業廃棄物に係る規制権限を有していることから」。権限を持つ市が増えれば、顔ぶれも変わります。

なお、姫路市が公開している条例抜粋(旧版)の第42条は、こう書かれていました。

第42条 第3章の規定は、神戸市、姫路市、尼崎市及び西宮市の区域について、適用しない。

そして兵庫県公報(令和2年6月18日号外・条例第28号)が、第2項を足しています。

第42条中「ついて」を「ついては」に改め、同条に次の1項を加える。
2 前章の規定は、神戸市の区域については、適用しない。

第2項の「前章」は第5章(土砂等)にあたるので、神戸市の区域では、土砂等の特定事業の許可も県条例の対象外になります。

正直に書いておきます。第42条第1項の現行条文そのものは、取得できていません。県の例規集は条文が2ページに分かれていて、2ページ目が機械では読めない作りになっています(日本語が文字化けして返ってきます)。確かなのは、姫路市が現に「5市が除かれている」と案内していることと、その理由が廃棄物処理法上の権限にあることです。ご自分の所在地については、所在地の市にご確認ください。

そして「外れる」というのは、規制が無くなるという意味ではありません。対象外となる区域では、所在地の市が定める条例・制度を確認する必要があります。姫路市・尼崎市・西宮市では、県条例とほぼ同じ名前の独自条例が確認できます。

  • 姫路市産業廃棄物の不適正な処理の防止に関する条例
  • 尼崎市産業廃棄物の不適正な処理の防止に関する条例
  • 西宮市産業廃棄物の不適正な処理の防止に関する条例

いずれも各市のサイトで公開されています。県条例が外れた区域では、その市の条例を読むことになります。中身は県条例と同じとは限りません。

「県条例が外れる市」と「県の仕事を市がやる市」は別です

外れる市と市がやる市は別です
外れる市と市がやる市は別です

ここを混ぜている資料が多いので、はっきり分けます。「どの条文がかかるか」と「誰が受け付け、誰が命令するか」は、別の話です。

同じ令和2年の改正で、県は「知事の権限に属する事務に係る事務処理の特例に関する条例」も改めました。特定物にかかわる部分を引きます。

ア 条例第18条第1項の規定による届出の受理に関する事務
イ 条例第19条において準用する条例第10条第1項又は第2項の規定による届出の受理に関する事務
ウ 条例第19条において準用する条例第11条の規定による届出の受理に関する事務
エ 条例第20条の規定による命令に関する事務
オ 条例第21条において準用する条例第14条第1項の規定による命令に関する事務
カ 条例第39条の規定による報告の徴収に関する事務(略)
キ 条例第40条第1項の規定による立入検査、質問及び収去に関する事務
ク 条例第41条の規定による公表に関する事務
神戸市、姫路市、尼崎市、明石市及び西宮市

神戸市、姫路市、尼崎市、明石市及び西宮市。この5市の長が、特定物の多量保管届の受理、第20条の命令、立入検査、公表を行います。

整理すると、こうなります。

  • どの条文がかかるか(適用範囲)——産業廃棄物に係る規定は、姫路市の案内では5市で対象外特定物に係る規定は外れません
  • 誰が受け付け、誰が命令するか(執行主体)——特定物の届出の受理や命令等の事務は、事務処理の特例により市の長が行います

県条例の適用範囲と、届出の受理や命令等をどの自治体が行うかは、分けて確認する必要があります。「政令市・中核市だから県条例は関係ない」という思い込みが、いちばん危ないのはここです。

そのうえで、ここが肝心です。外れるのは産業廃棄物の章です。特定物の章は、外れていません。現に西宮市は、同じページで特定物多量保管届の様式を配っています。同市はこう書いています——「県条例についても、一部西宮市が実施しています。」

つまり——

  • 囲い、掲示板、積み上げ高さ、多量保管の届出は、兵庫県内どこでもかかります
  • 外れるのは産業廃棄物の保管の届出です

「政令市・中核市だから県条例は全部関係ない」と一般化すると、ヤードの本丸を落とします。産業廃棄物の届出が外れても、使用済自動車・タイヤ・家電の囲いは残ります。

罰則と、資料を読むときの落とし穴

罰則は第7章(第45条から第48条まで)にあります。西宮市が、現行の刑名で一覧にしています。

  • 届出義務の違反等——30万円以下の罰金
  • 命令違反(搬入一時停止命令、改善命令)——6ヶ月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
  • 命令違反(措置命令等)——2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金

そして「行為者への罰則のほか、法人に対しても罰金刑が科されます。(両罰規定)」(第48条)。会社にも来ます。

特定物の話に引きつけて、どれがどれか整理しておきます。

  • 多量保管の届出をしない、搬入搬出管理簿を作らない・保存しない——30万円以下の罰金の側
  • 第20条の命令(保管方法の変更その他必要な措置)に違反——改善命令の違反にあたり、6ヶ月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の側(旧版の条文では第46条に分類されています)
  • 2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金は、措置命令等の違反や、土砂等の特定事業の無許可など、別の場面です

特定物の保管基準を守っていないというだけで、いきなり最も重い罰則がかかるわけではありません。

ここで1つ、資料を読むときの注意があります。刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)により、2025年6月1日から、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。兵庫県の条例も、令和7年3月25日条例第8号によって令和7年6月1日から改められています。

ところが、市が公開している抜粋PDFなど、ネット上に残る資料の多くは、まだ「懲役」と書かれた古い版です。刑名を書き写すときは、日付を確かめてください。

「昔からやっている」は、理由になりません

施行のときの経過措置は、こうでした。

3 この条例の施行の際現に多量保管をしている者については、多量保管をしようとしているものとみなして、第18条第1項の規定を適用する。この場合において、同項中「あらかじめ」とあるのは、「この条例の施行の日から起算して3月を経過する日までに」とする。

3か月です。2003年12月15日の施行時にすでに多量保管をしていた人は、開始前ではなく施行から3か月以内に届け出ればよい、という意味でした。

期限は2004年3月に来ています。この附則は、既得権として保護する条文ではありません。届出の期限を後ろにずらしただけです。いまはもう、その猶予はありません。

もうひとつ、混同されやすい点を書いておきます。兵庫県で「許可」が要るのは、土砂等の特定事業だけです。

第23条 特定事業を行おうとする者は、あらかじめ、知事の許可を受けなければならない。

産業廃棄物の保管も、特定物の多量保管も、届出です。「兵庫県はヤードを許可制にしている」は誤りです。

土地オーナー向けの注意も1つ。土地所有者等に対する措置命令(第16条)が、特定物の保管に準用されることは、条文上確認できません。特定物の章が準用しているのは変更届・廃止届・搬入搬出管理簿の条文です。

ただし、責務が一切ないわけではありません。

第4条 土地の所有者、占有者又は管理者(以下「土地所有者等」という。)は、産業廃棄物等の処理を行う者に対して土地を使用させるときは、当該土地において産業廃棄物等の不適正な処理が行われないよう配意するとともに、産業廃棄物等の不適正な処理を行うおそれがある者に対して当該土地を使用させることのないようにしなければならない。
2 土地所有者等は、その所有し、占有し、又は管理する土地において産業廃棄物等の不適正な処理が行われていることを知ったときは、地域の生活環境の保全及び生活の安全の確保のために、必要な措置を講じなければならない。

貸すときに配意する義務と、知ったときに措置を講じる義務。命令の対象になるかどうかとは別に、こちらは土地を持っている側にかかります。

2003年の兵庫と、2024年からの6県

2003年の兵庫と、2024年からの6県
2003年の兵庫と、2024年からの6県

いま「ヤード規制」と呼ばれているものは、2024年以降、各県で相次いで施行されました。千葉県と茨城県が2024年4月1日、山梨県が同年7月1日、埼玉県と福島県が2025年1月1日。群馬県は2026年10月1日に施行予定です。

ですが、「ヤードの規制は2024年に始まった」と書くと、事実と食い違います。

もう一度、兵庫県の規則第9条第1号を読んでください。

保管をする土地の周囲に囲い(保管をする特定物の荷重が直接当該囲いにかかる構造である場合にあっては、当該荷重に対して構造耐力上安全であるものに限る。)を設けること。

そして鳥取県の規則第5条第3項第1号カ。

カ 使用済物品の荷重が直接かかる構造である場合にあっては、当該荷重に対して構造耐力上安全であること。

ほぼ同じ文です。兵庫県は2003年、鳥取県は2016年。「囲いを設けよ。荷重が直接かかるなら、その荷重に耐えられる囲いにせよ」という考え方そのものは、20年以上前からありました。

2024年からの6県が新しく持ち込んだのは、そこではありません。金属スクラップを「再生資源物」として正面から名指ししたこと、勾配式の積み上げ高さ、火災についての具体的な基準、そして許可制を採る県が多いこと(6県中5県。山梨県は届出制)です。

言い方を変えると、こうなります。骨格は2003年にできていて、2024年から肉が付いた。

並べると、こうです。

兵庫鳥取2024年以降の6県(群馬は2026年10月1日施行予定)
施行2003年12月15日2016年4月1日2024〜2026年
制度届出(多量保管)届出許可5県/届出1県
対象特定物3品目使用済物品8類型再生資源物等(範囲は県ごとに異なる)
囲いありありあり
構造耐力あり(直接かかる構造)あり(直接かかる構造)あり
囲いの高さ定めなし1.8メートル以上県により異なる
積み上げ3.5メートル/3メートル廃掃法の勾配勾配式等(5m上限の対象・算定方法は県や保管物ごとに異なる)
火災の数値なしなし具体的な数値を持つ県があるが、対象物・条件は県ごとに異なる
囲いの下限なし屋外保管なら全部面積で切る県が多い

いま、確かめておくこと

いま、確かめておくこと
いま、確かめておくこと
  • まず、廃棄物に該当するかを確かめる。該当するなら廃棄物処理法などの対象になります。廃棄物に該当しないものが、この条例の特定物です(使用済自動車・使用済みの自動車用タイヤ・使用済特定家庭用機器の3品目)
  • 当たるなら、台数や面積に関係なく保管をする土地の周囲に囲いがあるか
  • その囲いに保管物の荷重が直接かかる構造になっていないか。なっているなら、その荷重に対して構造耐力上安全だと示せるか
  • 縦横それぞれ60センチメートル以上の掲示板に、種類ごとの最大数量届出者の氏名または名称・連絡先が書かれているか
  • 積み重ねているなら、使用済自動車3.5メートル・タイヤ/家電3メートルを超えていないか。積み方は「1の使用済自動車の上部に2以上を積み重ねない」(神戸市の案内は「3台以下」と整理)。分別しているか
  • 面積100平方メートル以上の土地か、使用済自動車20台・タイヤ100本・家電100台のいずれかに達しているか。達しているなら多量保管の届出搬入搬出管理簿(翌事業年度の初日から5年)が要る
  • 破片が飛散するおそれがあるならシート掛け油等が流出するおそれがあるならあらかじめ除去しているか
  • 汚水が生ずるおそれがあるなら、排水溝その他の設備底面の不浸透性材料があるか
  • 崩落を防止するための措置を講じているか(規則第9条第4号イ)
  • 火災の発生を防止するための措置を講じているか(同第5号)
  • ねずみが生息せず、蚊・はえその他の害虫が発生しないようにしているか(同第6号)
  • 破片・油等の飛散・流出・地下浸透・悪臭の防止について、その他必要な措置(同第3号エ)も含めて手当てできているか
  • 土地を貸している側なら、条例第4条の責務(貸すときに配意する/不適正な処理を知ったときに必要な措置を講じる)を果たしているか
  • 所在地が姫路市・神戸市・尼崎市・西宮市・明石市なら、産業廃棄物に係る規定は県条例の対象外(姫路市の案内)。ただし、その市が同じ名前の市条例を持っています。神戸市はさらに土砂等も対象外(第42条第2項)。ただし特定物の囲い・掲示板・積み上げ・多量保管届は、そのままかかります
  • 特定物の届出の受理・命令・立入検査・公表は、事務処理の特例により神戸市・姫路市・尼崎市・明石市・西宮市の長が行う適用範囲の話とは別。窓口を確かめる)
  • 「昔からやっているから」は理由になりません。経過措置は2004年3月で終わっています

手続きや解釈の判断は、兵庫県環境部環境整備課、または保管をする土地を管轄する県民局・県民センターにご確認ください。


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