長崎文化放送によると、10月25日、佐世保市白木町で「空き家の裏の崖が崩れています」と119番通報がありました。消防の話では、コンクリート塀が幅約7m、高さ3mにわたって崩れ、すぐそばの建物に倒れ込んでいます。けが人はいませんでした。
遠方の実家を相続した方も、塀に欠陥があって隣の建物を壊せば、民法717条で管理している人(占有者)か持ち主が賠償責任を問われます。塀を見てもらう人を決めておけば、崩れる前に直す所が分かります。佐世保市なら、市役所 住宅政策課(0956-24-1111)です。
空き家の塀が隣を壊したら、持ち主の責任は
空き家でも、塀に欠陥があれば持ち主が賠償を問われます
長崎国際テレビとテレビ長崎も同じ場所の崩落を伝えていますが、大きさや何が崩れたかの言い方は局で違います。塀の造りも、持ち主も、倒れ込んだ建物の被害も、崩れた原因も、この3局の記事には出ていません。
塀は、民法717条の「土地の工作物」です。造り方や手入れ(設置や保存)に欠陥(瑕疵・かし)があって他人に損害を与えたときは、まず占有者(塀をふだん管理している人)が賠償します。占有者が必要な注意をしていたときは、所有者が賠償します。
占有者に当たる人が別にいなければ、問われるのは持ち主です。所有者が賠償する場合は、欠陥に気づいていなかったことや、注意していたことでは免れません(仙台地裁 昭和56年5月8日判決、兵庫県弁護士会の法律相談)。
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
民法 第717条第1項(e-Gov法令検索、令和8年6月24日施行の版)
第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
欠陥があったかは、塀の造りと手入れの状態を見て決まります。崩れた、というだけでは足りません。賠償額や判決、保険のくわしい話は、沖縄県石垣市の塀のニュースの記事「塀が隣の家を壊したら賠償は誰が」にまとめました。空き家の塀の事故が加入している保険で出るかは、保険会社に聞いてください。もう隣を壊してしまった方は、その場で弁償の約束をせず、まず保険会社に連絡してください。

空家は所有者や管理者等の責任において、適切に管理をしていただくものです。空家の倒壊や落下物等により、通行人がけがをした場合は、所有者や管理者等は損害賠償などの管理責任を問われる場合があります。
また、空家を含めお隣同士の問題は、民法上の問題となってしまうため、当事者間で解決していただくことが原則となります。
佐世保市「空家の適正管理は所有者等の責務です」(PDF)
相続を放棄しても、そのとき実家を現に占有している(住んでいるなど)と、義務は残ります。次の相続人や清算人に引き渡すまで、自分の物と同じ注意で守る義務です(民法940条)。放棄を考えている方は、手続きの前に司法書士さんや弁護士さんに相談してください。
崩れてから賠償の話になる前に、塀を直す、倒れにくい塀に建て替える、という選択もあります。
当社の製品
コンクリートの塀を立てるなら、基礎と塀が一体の「塀のねっこ」
放っておくと、市から何が来るか
放っておくと指導から始まり、勧告で固定資産税の軽減が外れます
空き家の塀は、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)の「空家等」に入ります。国の基本指針が、法でいう建築物に「これに附属する門又は塀等」を含めているからです。第5条は、持ち主に、周りに迷惑をかけないよう管理に努めることを求めています。
空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する空家等に関する施策に協力するよう努めなければならない。
空家等対策の推進に関する特別措置法 第5条(e-Gov法令検索、令和8年9月3日施行の版)
塀の基礎や壁(構造部材)が壊れたまま放っておくと、市は「管理不全空家等」として指導し、直らなければ勧告できます(第13条)。「特定空家等」になると、市は助言・指導、勧告、命令、代執行(市が持ち主に代わって措置をとる)まで進められます(第22条)。命令に従わないと、50万円以下の過料です(第30条)。どちらに当たるかは、市が総合的に判断します。
勧告を受けると、住宅用地特例(住宅の敷地の固定資産税と都市計画税を軽くする仕組み)で軽減を受けている敷地は、その対象から外れます。管理不全空家等でも特定空家等でも同じです(国土交通省のガイドライン)。いま軽減を受けているかは毎年の納税通知書で見て、増える額は市の固定資産税の窓口に聞いてください。
ガイドラインの別紙に、塀と擁壁(崖の土を支える壁)の例があります。
- 特定空家等の例:「倒壊のおそれがあるほどの著しい門、塀、屋外階段等の傾斜」「擁壁の一部の崩壊又は著しい土砂の流出」
- 管理不全空家等の例:「構造部材の破損、腐朽、蟻害、腐食等」「擁壁の水抜き穴の清掃等がなされておらず、排水不良が認められる状態」
市にできるのは、基本的に「お願い」までです。
通常、法律に即した「お願い」となるため「強制力」はありません。倒壊等の著しい危険があり不特定多数への被害が想定されるものについては、勧告や命令、行政代執行といった措置を行う場合があります。
佐世保市「空家の適正管理は所有者等の責務です」(PDF)
市が動かなくても、塀が隣を壊せば民法の賠償は別にあります。
空き家の塀と崖は、誰に見てもらい、どこを見るか
地震や大雨のあとは、塀の傾きと擁壁の水抜き穴を見ます
地震、強風、大雨、著しい降雪等の後には、次の①から④に掲げる点検対象となる事象が生じていないかの確認が必要である。また、強風、大雨、著しい降雪等の前には、部材の剥落など当該事象の兆候が生じていないかを確認しておくことが望ましい。
空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針(総務省・国土交通省、最終改正 令和8年9月3日)
遠くに住んでいて自分で行けない方は、見に行く人を先に決めます。指針にも、点検や補修は専門性が要ることがあるので、管理や点検の事業者に任せる方法がある、とあります。佐世保市の相談先は次の3つです(市の「空家に関する相談窓口」、2026年7月9日更新)。
- 佐世保市役所 住宅政策課:危険な空き家などの相談。0956-24-1111(内線2814・2815)、平日8:30〜17:15(12:00〜13:00を除く)
- 佐世保市シルバー人材センター:空き家の管理サービス(有料)の申し込み。0956-24-4045、平日10:00〜17:00(12:00〜13:00を除く)
- 長崎県建築士会 佐世保支部:建物の診断・保存、リフォーム設計の相談。0956-22-8329、平日10:00〜17:00(12:00〜13:00を除く)
ほかの市町村なら、市役所の空き家の窓口に聞いてください。
塀で見るのは、傾きと、構造部材(基礎や壁など、塀を支える部分)の破損やずれです。擁壁があれば、一部の崩れ、土砂の流出、ひび割れ、水のしみ出し、水抜き穴(壁面にあいた排水の穴)の詰まりを見ます。水抜き穴の掃除は定期的に、と指針にもあります。
崖そのものは、長崎県が崩れる前触れとして「がけに割れ目が見える」「がけから水が湧き出ている」「がけから小石がぱらぱらと落ちてくる」を挙げています。見つけたら土砂災害の危険が迫っています。すぐに安全な場所へ避難し、市や町の窓口(土砂災害110番)に連絡してください(県の案内)。
ブロック塀なら、国土交通省のチェックポイントのうち、外から見える5つを見ます。
- 高さ:地盤から2.2m以下か
- 厚さ:10cm以上か(高さが2mを超えるなら15cm以上)
- 控え壁(塀を横から支える壁):高さ1.2mを超えるなら、長さ3.4m以下ごとに、高さの1/5以上突き出した控え壁があるか
- 基礎:コンクリートの基礎があるか(地面の下なので、見えなければ「分からない」に数える)
- 健全か:傾き、ひび割れはないか
1つでも外れた所や分からない所があれば、建築士さんに相談してください。鉄筋が入っているかは外から見えません。配筋図や工事の写真を探して、建築士さんに見てもらってください。
管理を頼んだ人には、塀を正面と横から離れて撮った写真と、擁壁の水抜き穴の写真を送ってもらうと、傾きや詰まりの目安になります。崖の下や塀の足元には入らず、離れて撮ってもらってください。
当社の製品
ブロック塀・フェンス基礎「土地分け丸」
当社はコンクリート製品のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。図面が無ければ、手書きの絵と写真で大丈夫です。住所も添えてください。お電話は ☎ 0120-1181-46(平日9:00〜18:00)。
崖の近くの塀を建て替えるなら
塀なら、倒れにくい塀のねっこか土地分け丸が候補です
建て替える前に、「塀」か「擁壁」かを分けます。崖の土を支えている壁は擁壁で、設計は建築士さんの仕事です。土を支えず、敷地の境に立っているだけの壁が塀です。崖そのものが崩れているなら、塀より先に崖を見てもらってください。当社はコンクリート製品のメーカーで、塀には塀のねっこ、ブロック塀やフェンスの基礎には土地分け丸をお出ししています。
塀のねっこは、工場で造るプレキャストのコンクリート塀です。基礎と壁が一体で、鉄筋は上から下まで一本なので、倒れにくい塀です。高さは地上2.5mまで。控え壁なしで自立するので、敷地を狭くしません。表も裏も平らです。
2019年には金沢工業大学で、実物大の耐震振動実験をしました。プレキャストコンクリート塀として日本初です。熊本地震(益城町)の揺れをそのまま加えても、損傷はありませんでした。くわしくは技術・検証・実績のページにあります。

使えるかは、現場の写真と住所で確かめます。底版(塀を支える足の板)の幅より少し広く掘れる場所と、クレーン車が入る道が要ります。掘る幅がとりにくいときは、ブロック塀・フェンス基礎「土地分け丸」です。土地分け丸の基礎の上に決まりどおりにブロックを積めば、法令順守の安全なブロック塀や目隠しフェンスにできます。基礎の地上部を含めて1.2mを超える塀は、控え壁が要ります。
佐世保市のページには「現在補助金はありません」とあります(「ブロック塀の安全点検をしましょう」、2025年5月20日更新)。長崎県のブロック塀補助金のページには、五島市・南島原市・雲仙市の市のページをまとめています。ほかの市町は、市町の窓口に聞いてください。
崖の近くで建てるときは、長崎県のがけ条例(建築基準条例第3条)の対象になることがあります。高さ2mを超え30度を超える崖から、崖の高さの1.5倍の距離を取る決まりです。塀の建て替えに当たるかは、佐世保市の建築の窓口(あんしん建築課 0956-25-9629)に確かめてください。条例の中身は長崎県のがけ条例の記事に、自分の土地が当たるかはがけ条例かんたん判定で調べられます。

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見積を頼む(無料)
塀のねっこと土地分け丸の見積
空き家の塀を建て替える方、新しく建てる方には、塀のねっこや土地分け丸の見積を無料でお出しします。図面が無ければ、手書きの絵と写真で大丈夫です。絵に塀の高さと長さを書き込み、住所も添えてください。見積の写真も、管理を頼んだ人に撮ってもらえます。
当社はコンクリート製品のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。
全国に配送します(沖縄・北海道・離島を除く)
お電話でも受け付けています。☎ 0120-1181-46(平日9:00〜18:00)
出典
- 長崎文化放送「コンクリート塀が幅7mにわたって崩落 「空き家の裏の壁が崩れている」佐世保市」(2026年10月26日)https://www.ncctv.co.jp/news/article/16994928(2026年10月26日閲覧)
- 長崎国際テレビ「元台風と前線の影響による被害「南島原市で船見回り漁師が死亡 佐世保市では住宅裏の塀崩壊」《長崎》」(Yahoo!ニュース、2026年10月26日)https://news.yahoo.co.jp/articles/9c6d384627181d43e58eef2ee9240fd225c06b4b(2026年10月26日閲覧)
- テレビ長崎「平戸の総雨量は10月平均の3倍超…台風30号は温帯低気圧に変わるも各地で大雨 海の便は欠航相次ぎ、船を見に行った男性が死亡」(2026年10月26日)http://www.ktn.co.jp/news/detail.php?id=20261026004(2026年10月26日閲覧)
- e-Gov法令検索「民法」第717条・第940条(令和8年6月24日施行の版)https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年10月26日閲覧)
- 仙台地方裁判所 昭和56年5月8日判決(昭和53年(ワ)第1076号、宮城県沖地震損害賠償事件)判例タイムズ446号48頁、判例時報1007号30頁
- 兵庫県弁護士会「くらしの法律相談」(神戸新聞 2018年8月15日掲載)https://www.hyogoben.or.jp/kurashi/2018-2/0815-02/(2026年10月26日閲覧)
- e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」第2条・第5条・第13条・第22条・第30条(令和8年9月3日施行の版)https://laws.e-gov.go.jp/law/426AC1000000127(2026年10月26日閲覧)
- 総務省・国土交通省「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」(最終改正 令和8年9月3日、PDF)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/002020062.pdf(2026年10月26日閲覧)
- 国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」(最終改正 令和8年9月3日、PDF)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/002019841.pdf(2026年10月26日閲覧)
- 佐世保市「空家の適正管理は所有者等の責務です」(PDF)https://www.city.sasebo.lg.jp/documents/19800/qa.pdf(2026年10月26日閲覧)
- 佐世保市「空家に関する相談窓口」(2026年7月9日更新)https://www.city.sasebo.lg.jp/tosiseibi/jyutak/akiya_soudanmadoguchi_2907.html(2026年10月27日閲覧)
- 佐世保市「ブロック塀の安全点検をしましょう」(2025年5月20日更新)https://www.city.sasebo.lg.jp/tosiseibi/kentiku/block_hei_anzentenken.html(2026年10月26日閲覧)
- 長崎県砂防課「前兆現象」https://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/anzen-anshin/bosai-kokuminhogo/dosha-saigai/saigai/zennchou/(2026年10月26日閲覧)
- 国土交通省「ブロック塀等の点検のチェックポイント」(PDF)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/001461325.pdf(2026年10月26日閲覧)
- 長崎県土木部建築課「長崎県建築基準条例の解説」(令和6年4月1日一部改訂、PDF)第3条https://www.pref.nagasaki.lg.jp/uploads/2024/03/1711694631.pdf(2026年10月26日閲覧)

