【耐用年数】擁壁の耐用年数は何年?国税庁の表と、国交省の点検の目安

擁壁の耐用年数は?——ひびとサビ汁の出た古い鉄筋コンクリートの擁壁

家の下の擁壁、あと何年もつのか。

あと何年もつか

家の下の擁壁は、あと何年もちますか

答えを先に。
①税金の年数(法定耐用年数)は省令の表で決まり、同じ鉄筋コンクリートでも30〜60年に分かれます(住まいの擁壁ならほぼ関係ありません)。
②実際にあと何年もつかは年数では決まらず、国のマニュアルに沿って、ひび・傾き・水抜き穴の詰まりといった傷みを点数にして判定します。
③擁壁の傷みは、国土交通省の「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」(Ⅱ編、26ページ・PDFの28ページ目)で「高・中・低」の3段階に判定します(「低」がいちばん危ない)。まだ判定を受けたことが無いなら、市区町村の窓口に電話して、見てもらえるか聞いてください。「低」と判定されたら、すぐ造り直すか補強するかを相談してください。

当社の製品

造り直すなら、図面と構造計算書は当社でご準備できます。全国対応。大臣認定擁壁も手配できます

当社は擁壁のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。図面が無ければ、段差の高さと長さ、現場の写真と住所から始められます。お電話は ☎ 0120-1181-46(平日9:00〜18:00)。

税金の耐用年数

税法の耐用年数は、何年ですか

住まいの擁壁なら、この年数を使う場面はほとんどありません。事業に使う土地の擁壁を、経費として償却するときに使う年数です。

税法の年数、何年?
税法の年数、何年?
税金の年数は使い道で変わる
税金の年数は使い道で変わる

税金の計算に使う耐用年数は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表で決まっています。

擁壁が入るのは別表第一の「構築物」ですが、この省令の別表(第一〜第六)に「擁壁」という語は出てきません。あるのは材料と使い道で分けた行で、同じ鉄筋コンクリートでも「防壁」の行なら50年、「へい」の行なら30年、「その他のもの」なら60年です。へいが短いのは、両側から雨や日を受けるからだと、当社は考えています(省令に理由は書かれていません)。

省令 別表第一の該当行を見る
材料(省令の区分)細目(省令の文言)耐用年数
鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造のもの岸壁、さん橋、防壁(爆発物用のものを除く。)、堤防、防波堤、塔、やぐら、上水道、水そう及び用水用ダム50年
高架道路、製塩用ちんでん池、飼育場及びへい30年
その他のもの60年
コンクリート造又はコンクリートブロツク造のもの岸壁、さん橋、防壁(爆発物用のものを除く。)、堤防、防波堤、トンネル、上水道及び水そう30年
下水道、飼育場及びへい15年
その他のもの40年
石造のもの岸壁、さん橋、防壁(爆発物用のものを除く。)、堤防、防波堤、上水道及び用水池50年
下水道、へい及び爆発物用防壁35年
その他のもの50年
土造のものへい20年
省令 別表第一「構築物」の、材料ごとの行(抜き出し)
出典 「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(昭和40年大蔵省令第15号)別表第一「構築物」
e-Gov法令検索で現行条文(2026年9月28日閲覧)

どの行を使うかで毎年の償却の額が変わるので、申告の前に、擁壁の材料と何を支えているかを税理士に伝えて確かめてください。

宅地の擁壁は、土地の値段に入ることがあります

土地を造るために擁壁を築いた費用は、土地の取得価額に含めるのが原則です。規模や構造から見て土地と分けるのが適当な擁壁は、構築物として上の表の年数で償却できます。個人が土地を売るときの取得費の計算にも、同じ考え方の通達があります(所得税基本通達38-10)。個人の毎年の償却の扱いは、税理士に確かめてください。

国税庁の通達の原文を読む

埋立て、地盛り、地ならし、切土、防壁工事その他土地の造成又は改良のために要した費用の額はその土地の取得価額に算入するのであるが、土地についてした防壁、石垣積み等であっても、その規模、構造等からみて土地と区分して構築物とすることが適当と認められるものの費用の額は、土地の取得価額に算入しないで、構築物の取得価額とすることができる。

法人税基本通達 7-3-4(国税庁、2026年9月28日閲覧)

もつかどうか

税法の年数が過ぎたら、造り直すのですか

この擁壁、何年もつ?
この擁壁、何年もつ?
年数より、傷みを見る
年数より、傷みを見る

税法の耐用年数を過ぎただけでは、造り直しません。省令の名前のとおり、これは減価償却のための年数です。30年を過ぎたら危ない、60年までは大丈夫、という年数ではありません。法律で決まっているこの「法定耐用年数」は、日本建築学会が建築物の耐久性について示している年数とは別のものです(建築学会の年数は、この記事では確かめていません)。

擁壁がもつかどうかは、設計が土の重さと地盤に合っているか、そのとおりに造られたか、そして裏の水が抜けているかで変わります。国土交通省の「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」(Ⅱ編、7ページ・PDFの9ページ目)は、水抜き穴の不具合による地下水位の上昇が擁壁の劣化に大きな影響を及ぼすと書いています。水抜き穴が詰まって裏に水がたまると、擁壁は土だけでなく水の圧力も受けます。

水抜き穴についての原文を読む

・湧水(湿潤・しみ出し・流出等も含む)の量と変状量は相関性が高い。
・排水施設、水抜き穴の不具合による地下水位の上昇は擁壁の劣化に大きな影響を及ぼす。

国土交通省「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」(令和4年4月)Ⅱ編 1.2 基礎点項目(印刷7ページ、PDFの9ページ目)(2026年9月28日閲覧)

傷みの見かた

うちの擁壁は、どこを見れば傷みが分かりますか

国土交通省のマニュアルは、目で見て調べることを基本に、擁壁の傷みを点数にします。持ち主が自分で見ておけるのは下の6つですが、何も見つからなくても、判定の代わりにはなりません。

  1. 傾き・ずれ。擁壁が前に傾いていないか、継ぎ目(目地)が開いたりずれたりしていないか
  2. ひび。縦のひび、横のひび、角に斜めに入るひび。幅が広がっていないか
  3. サビ汁。鉄筋コンクリートの擁壁で、ひびから茶色い汁が出ていないか(中の鉄筋がさびているしるし)
  4. はらみ。壁が前へふくらんでいないか(石積みやブロック積みの擁壁で、特に見ます)
  5. 水抜き穴。水抜き穴は、擁壁に絶対に必要です。まず、穴があるか。当社が見てきた擁壁でも、水抜き穴の無いものが多くあります。穴が無いと、裏にたまった水の逃げ場がありません。穴があれば、土や草で詰まっていないか
  6. 裏の地面の沈み。擁壁のすぐ裏(上)の地面が小さく陥没していないか
ひびから茶色い汁は鉄筋のさび
ひびから茶色い汁は鉄筋のさび

鉄筋コンクリートの擁壁は、中に鉄筋が入っている点がブロック塀と同じで、ひびやサビ汁の見方は共通です(ブロック塀の点検の仕方)。傷みを見つけたら、日付を入れて写真を撮り、市区町村の窓口か設計者に見てもらってください。点数のつけ方は擁壁の種類ごとに細かく決まっているので、判定は自分でつけず、窓口や設計者に頼んでください。

判定の点数と区分表(表Ⅱ-18)を見る
基礎点+変状点健全度判定内容(原文)
5.0点未満高小さなクラック等の変状を必要に応じて補修し、雨水の浸透を防止すれば、当面の危険性はないと考えられる宅地擁壁である。
5.0点以上~9.0点未満中変状程度の著しい宅地擁壁であるが、必要に応じて補修を実施したうえで、経過観察で対応する。その結果、変状が進行性のものとなった場合は継続的に点検を行うものとする。また、変状等の内容及び規模により、必要に応じて勧告・改善命令の発令を検討し、予防保全対策の必要性についても検討を行う必要がある。
9.0点以上低変状等の程度が特に顕著で、危険な宅地擁壁である。早急に所有者等に対しての勧告・改善命令の発令を検討する必要があり、予防保全対策を行うとともに、周辺に被害を及ぼさないよう指導する。
国交省マニュアル 表Ⅱ-18(判定内容欄は原文どおり。予防保全対策=造り直し・補強・補修の総称。Ⅲ編1.の定義)
出典 国土交通省「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」(令和4年4月)Ⅱ編 2. 健全度の判定区分(表Ⅱ-18、印刷26ページ、PDFの28ページ目)
PDF(2026年9月28日閲覧)

「低」と判定されたら、すぐ相談してください。工事までの間どう安全を保てばいいか、判定した人や市区町村の窓口に聞いてください。

見直しの間隔

判定のあと、どのくらいの間隔で見直しますか

判定を受けたことが無い方は、先に市区町村の窓口か設計者に判定を頼んでください。判定のあとは、マニュアルの目安で見直します。

判定次に見る目安すること
高5年に1回程度、判定し直す小さなひびは必要に応じて補修し、雨水がしみ込まないようにする
中補修したあと、1年に1回程度ひびや継ぎ目の開きが広がっていないかを見る。広がっていれば判定し直す
低すぐ専門家や市区町村の窓口に相談し、造り直すか補強するかを決める
判定ごとの、次に見る目安
見直しの間隔についての原文を読む

宅地擁壁の健全度判定は、健全度「高」と判定された場合でも、5 年に1 回程度を目安に定期的に実施することが望ましい。

国土交通省「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」(令和4年4月)Ⅲ編 4. 維持管理(印刷64ページ、PDFの66ページ目)(2026年9月28日閲覧)

気をつける擁壁

築年数に関係なく気をつける擁壁は、どれですか

マニュアルは、宅地造成等規制法などの技術的基準に適合しない擁壁として、空石積み(野面石積み・玉石積みなどを含む)、増積み擁壁、二段擁壁、張出し床版付擁壁などを図で示し、「不適格擁壁」と呼んでいます。うちの擁壁がこの形なら、築年数が浅くても、地震や大雨のあとに前の6つを見てください。

不適格擁壁についての原文を読む

宅地造成等規制法等の技術的基準に適合しない空石積み擁壁、増積み擁壁、二段擁壁、張出し床版付擁壁などの不適格擁壁は、構造の一体性や安定性が低いとされていることから、定期的な健全度判定に加えて、地震や大雨直後に変状の進行や新たな変状の有無を確認することが望ましい。

国土交通省「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」(令和4年4月)Ⅲ編 4. 維持管理(印刷64ページ、PDFの66ページ目)(2026年9月28日閲覧)

擁壁の種類の見分け方は擁壁の選び方に写真つきで書いています。

当社の製品

造り直す擁壁の図面と構造計算書は、当社でご準備できます。曲がる擁壁「土のねっこ」は、宅地造成擁壁として利用できるL型擁壁です。裏側を掘れない現場には「土のねっこ 逆L」があります。

当社は擁壁のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。図面が無ければ、段差の高さと長さ、現場の写真と住所から始められます。

直すか造り直すか

直すか、造り直すかは、どう決めますか

補修?造り直す?
補修?造り直す?
「中」は補修して様子見
「中」は補修して様子見

「低」になったら、造り直すか補強するかを決めます。どちらにするかは、擁壁の種類、傷みの形、工事の場所がとれるかで設計者が決めます。

手の入れ方3つの定義(原文)を見る

・擁壁再構築:宅地擁壁を全面的または部分的に解体・撤去し、宅地造成等規制法または建築基準法の技術基準に適合する新しい擁壁(以下、適合擁壁)を、改めて築造する対策工。
・擁壁補強工:既存の宅地擁壁の強度を高め、適合擁壁と同等以上に機能回復または機能向上を図る対策工。
・擁壁補修工:宅地擁壁の変状を部分的または全面的に手当し、変状進行防止あるいは変状が生じる前の状態程度まで機能回復を図る対策工。

国土交通省「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」(令和4年4月)Ⅲ編 1. 予防保全対策工の分類(印刷40ページ、PDFの42ページ目)(2026年9月28日閲覧)

マニュアルに載っている概算の工事費(高さ3mの擁壁、10mあたり)は擁壁工事の費用にまとめました。判定をする前に、築造したときの図面・構造計算書・検査済証(工事が終わったときに役所や検査機関が出す書類)が手もとに無いか探してください。無ければ、いまの擁壁を測って調べることになります。

造り直すときは、手続も確かめます。高さ2mを超える擁壁は、ふつう建築確認が要ります。盛土規制法の許可が要る工事なら、建築確認の代わりに許可の審査を受けます。どの手続が要るかは、市区町村の建築の窓口と盛土規制法の窓口で確かめてください。

くわしくは擁壁の高さ、何mから構造計算が要るかに書きました。

当社の製品

造り直すと決めたら、図面か現場の情報を送ってください

いまの擁壁の写真と、場所(住所)・高さ・長さが分かれば、工場で造る擁壁「土のねっこ」「土のねっこ 逆L」で使える製品と概算をお返しします。申請に要る図面と構造計算書も、当社でご準備できます。全国に配送します(沖縄・北海道・離島を除く)。大臣認定擁壁が要る土地では、当社で手配します。擁壁をやめて法面(のりめん。斜めの土の面)で納められる場所には、張りブロック「ヒルズブロック」もあります。張りブロックは斜面の表面を覆うもので、土を支える壁ではありません。法面で納められるかは、土地の形を見て設計者が決めます。

当社は擁壁のメーカーです。大分県内と関西圏では、施工業者をご紹介できます。それ以外の地域は、地域の施工業者さんにお願いしていただく形です。

  1. 擁壁の写真を、住所・高さ・長さと一緒に送る(図面があれば図面も)
  2. 当社から、使える製品と概算をお返しし、決まれば製品の図面と構造計算書を作ります
  3. 依頼する施工業者さんが決まっていなければ、ご相談時にお伝えください。紹介できる地域か確認します
  4. 申請が要る工事では、設計者・施工業者さんが申請を出し、確認・許可が下りてから工事に進みます

お急ぎの方は電話でも大丈夫です。☎ 0120-1181-46(平日9:00〜18:00)。

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