RETAINING WALL GUIDE
擁壁の選び方
擁壁は、高低差のある土地で土を支える構造物です。主な種類と、製品を選ぶ前に確認したい条件を解説します。

WHAT IS A RETAINING WALL?
擁壁とは、土地の高低差で土が崩れないように支える構造物です
擁壁(ようへき)は、切土や盛土によって生じる土圧に抵抗し、斜面や段差を安定させるための構造物です。土を留めることから「土留め」と呼ばれることもあります。
身近な例では、棚田の石積みが段ごとの高低差を支えています。住宅地や道路の造成では、必要な高さ、土地の使い方、地盤、背面の荷重、排水などに応じて、L型擁壁、重力式擁壁、間知ブロック積みなどを使い分けます。
見た目が似ていても、土を支える擁壁と、境界・目隠しを目的とする塀では役割と設計条件が異なります。既存構造物の状態を判断するときも、外観だけでなく図面、築造時期、地盤、排水、変状の有無を確認することが重要です。
FIRST CHECK
種類より先に確認すること
高低差と必要高さ
擁壁で支える土の高さ、敷地の形状、上下の土地との関係を確認します。
地盤・荷重・排水
地盤、建物・車両などの荷重、排水計画は構造と製品選定に影響します。
法規・設計条件
宅地造成、道路、隣地などの条件により、必要な確認事項が変わります。
WHY RETAINING WALLS
写真で見る、擁壁が必要になる場所
土地に高低差があると、土を安定して支える構造が必要になります。身近な地形と住宅造成地の例から、役割を確認できます。


WALL TYPES
主な擁壁・法面保護の種類
どの方法が適するかは、地盤・高さ・排水・法規・設計条件を踏まえて判断します。
L型擁壁
L字形の鉄筋コンクリート構造で土を支えます。現場打ちとプレキャストがあり、宅地造成などで検討されます。
重力式擁壁
構造物自体の重さで土圧に抵抗する考え方の擁壁です。
間知ブロック・石積み
斜面にもたれかかるように積み上げる方法です。既存の状態、背面、排水の確認が重要です。
張りブロック
緩い勾配の法面を保護する方法です。土を支える擁壁とは役割が異なります。
塀
塀は境界、防犯、目隠しなどが主な役割です。土を支える擁壁とは構造・確認条件が異なります。
SHAPE GUIDE
形で見る主な種類

壁と底版がL字形につながり、底版上の土の重さも利用して土圧に抵抗します。

断面を厚く取り、構造物自体の重さで土圧に抵抗します。

勾配や背面条件に応じ、積み上げる構造と法面表面を保護する構造を使い分けます。
PRECAST OR CAST-IN-PLACE
プレキャストと現場打ちの違い
鉄筋コンクリート製の擁壁には、工場で製品をつくって現場へ運ぶプレキャストと、現場で型枠・鉄筋を組み、コンクリートを打設する現場打ちがあります。
| 比較項目 | プレキャスト | 現場打ち |
|---|---|---|
| 製造 | 管理された工場で製造し、完成品を現場へ搬入します。 | 現場で型枠・配筋・打設・養生を行います。 |
| 工程 | 据え付けを中心に工程を組みやすく、現場作業の短縮につながります。 | 形状への対応幅が広い一方、打設と養生の期間が必要です。 |
| 品質管理 | 工場の製造工程で材料、配筋、寸法、強度などを管理します。 | 天候や施工条件を踏まえ、現場ごとの管理が重要になります。 |
| 計画時の確認 | どちらも、構造計算、地盤、基礎、排水、搬入・施工条件、関係法令や許認可の確認が必要です。 | |
プレキャストは「置けば終わり」という製品ではありません。規格への適合だけでなく、現場条件に合う設計、基礎、接合、背面処理、排水、据え付け管理まで含めて計画します。
USE AND RULES
用途によって確認先と設計条件が変わります
外観が似たプレキャストL型擁壁でも、宅地造成・開発向けと道路向けでは、想定する用途、確認する基準、製品仕様が異なります。道路向け製品を宅地へ、または宅地向け製品を道路へ自動的に転用できるとは限りません。認定書、製品仕様書、設計条件をそろえ、計画地を管轄する自治体、道路管理者、設計者などへ早い段階で確認してください。
| 用途区分 | 主な確認先 | 確認資料・条件の例 |
|---|---|---|
| 宅地造成・開発 | 自治体の宅地・開発・建築関係窓口、設計者 | 盛土規制法(正式名称:宅地造成及び特定盛土等規制法)、建築基準法、自治体の条例・技術基準、認定条件、許可や確認の要否など。 |
| 道路・道路付帯施設 | 道路管理者、設計者 | 道路土工構造物技術基準と関連する指針、製品仕様、荷重・排水・維持管理条件など。 |
| 既存擁壁の利用 | 自治体、設計者、調査・診断の専門家 | 図面や検査記録、劣化・傾き・ひび割れ・ふくらみ・排水状態、現在の計画で安全性を確認できるかなど。 |
大臣認定擁壁とは
盛土規制法施行令第17条に基づき、特殊な材料や構法を用いる擁壁について、国土交通大臣が同施行令に定める擁壁と同等以上の効力があると認める制度です。認定の有無だけで現場への適否が決まるものではなく、認定条件、設計条件、自治体の審査、施工・品質管理を合わせて確認します。
国土交通省「大臣認定擁壁」(外部サイト) 国土交通省「盛土規制法に関する法令等」(外部サイト) e-Gov法令検索「宅地造成及び特定盛土等規制法」(外部サイト) e-Gov法令検索「宅地造成及び特定盛土等規制法施行令」(外部サイト) 国土交通省「道路土工構造物技術基準」(外部サイト)
法令、告示、自治体の運用、技術基準は改定されることがあります。実際の計画では必ず最新情報をご確認ください。
WALL OR RETAINING WALL
塀と擁壁は、支えるものが違います
| 比較項目 | 塀 | 擁壁 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 境界の表示、目隠し、防犯など。 | 高低差のある土地で土圧に抵抗し、土を支えること。 |
| 見え方 | 通常は両側が地上に見えます。 | 片側が背面土に接し、表から見えない部分があります。 |
| 設計で重視する条件 | 自重、風圧、地震時の安全性、基礎など。 | 土圧、上載荷重、地盤、滑動・転倒・支持力、排水など。 |
擁壁の上へ塀を設ける場合は、擁壁と塀を別々に考えるだけでは不十分です。追加される荷重や基礎の納まりを含め、全体として確認してください。
PRODUCT SELECTION
用途から見る関連製品
PRODUCT CONSULTATION
擁壁製品と設計条件を相談する
高低差、地盤調査、図面、必要高さ、排水計画など、分かる範囲でお知らせください。コンクレタスは製品と適用条件の相談を承りますが、現在、擁壁工事の施工は請け負っていません。