photo:住宅の建て替え時に古くなったブロック塀を撤去し、耐震コンクリート塀の設置を行った最初の施工現場。当時、最大高であった地上高1.6mでは不足していたため、目隠しフェンスを上部に設置し地上高2mに。これにより大型化を進め、現在では地上高2.5mまでの高さを達成した。

道路に面した部分にがっちりと構築し、家族の安全をしっかり守る意思表示をするコンクリート塀。 塀は家の中で一番はじめに目に入る部分であり、 家の印象を強く見る人に与える。 従来はコスト、工期、技術力が問題となり簡単にできなかったRC塀が塀のねっこで身近に。 写真のプレーンタイプはモダンでクリーンな印象を与え 杉板模様つきタイプは柔らかく、温かみのある印象となる。

塀の歴史

塀の始まり

塀は家と並び世界最古の建築物だろうと思われます。樹上生活をやめ地面に降りた古代の人類は様々な捕食動物から自らの身を守るために寝床の周りを木の枝などで囲ったことがそのスタートではないでしょうか。

アフリカに見る塀の原型

写真はアフリカタンザニアのマサイ族の家とそれを囲む木の枝で出来た「塀」であり、まさしく私の考える「塀の原型」です。

【塀の原型】東アフリカ タンザニアのマサイ族の家 木の枝で出来たフェンスに囲まれる

家を中心とした敷地の外周にトゲトゲ、イガイガした木の枝を重ね簡単には入れないようになっています。
狭いゲートがありここは夜になると戸をしめ野生の獣の侵入を有効に防ぐ物となっています。

樹上生活の時に持っていた、地上と木の上の高さという上下の防御空間を、塀を用いることにより家との水平の防御空間として、家族の安心を守るためのツールとしています。

古代の塀

その後、家や集落を守る塀(柵)として発達していきました。日本でみられる古い塀としては吉野ケ里遺跡にて集落を守る背の高い木の塀を確認することができます。

中世の塀

貴族や武士の時代には家を守る土塀が発達し敵の攻撃や侵入を防ぐ役割を担ってきました。木造建築の多い日本においては背の高い土塀は防火用途としても大いに期待されていたようです。

戦後の塀

近年では板塀や土塀の問題を解決したブロック塀が一気に普及。過密化に伴う火災対策などに一定の成果を上げましたが、地震に弱いことが露呈し、塀の無いオープン外構やよりライトなフェンスが増えてきました。

塀の役割

守る

「塀」は内と外を明確に分け外部からの脅威から、愛する人や大切な資産を守り、安全・幸せな生活を送るための役割があります。外からの脅威は火事・水害などの自然災害、車両の突入などの事故、泥棒・不法侵入などの犯罪、視線・騒音などのプライバシー侵害などがあります。

見る 魅せる

「塀」は家などの建築物の周りを囲います。多くは敷地ギリギリに建てられるため何よりも一番先に目に入ってきます。生垣、板塀、ブロック塀、アルミフェンスと多彩な素材がありその建物、土地の印象を大きく左右します。古都では様々な塀が見られ、土の塀、陶器の塀、竹林の塀、瓦の塀が街の印象をより強くしています。コンクリートの塀はその存在感とモダンでシンプルな美しさからこれまでコストと手間暇がかかる現場打コンクリート製しかなく非常に高価なものでした。プレキャストコンクリートの塀は手の届く価格で力強さと美しさを兼ね備えることができ、家の資産価値を高めることが期待できます。

現代の塀

オープン外構では外敵に対し家や家族が無防備で脆弱なことが徐々にわかってきました。家を守りたいがブロック塀では地震の時に危ない、というニーズが高まる中、塀のねっこは開発され、塀として日本初の耐震実験を行い、塀・フェンスの中でも最高峰の製品となりました。

自宅で過ごす時間が大切にされる今、家庭で安全に仕事ができる環境、遊べる環境が求められています。コンクリートの塀はこれらのリスクを軽減し、安全快適な生活を送ることができるようになります。

1.京都御所

京都御所を守る背の高い塀と、立派な門。門を中心に塀が御所を安全に取り巻く。御所の建物は屋根などの高い部分しか見えずプライバシーを十分に確保。門、塀はその立派な姿をあらわにし中の建物が見えなくてもその格の高さを表現している。

2.京都寺町の塀

京都寺町の石と土、瓦を組み合わせた塀。貴重な資産、人命を守るためにくまなく張り巡らされる。観光客が賑やかにすれ違うが、家と塀の狭間の空間でも圧迫感はなく安心感に囲まれる。

3.吉野ヶ里遺跡

京都寺町の石と土、瓦を組み合わせた塀。貴重な資産、人命を守るためにくまなく張り巡らされる。観光客が賑やかにすれ違うが、家と塀の狭間の空間でも圧迫感はなく安心感に囲まれる。

4.万年塀

苔むし、外観がなじんできた万年塀はなんとなく神社に似合う。柱に切り込みを入れ板を差し込む簡易な構造。柱に大きな重量がかかり、傾いている万年塀もまれに見かけられる。ウェット工法のブロック塀にくらべドライ工法で一歩進んでいるが、クレーンが高価な時代に開発された商品といえるだろう。

5.ブロック塀

震災や空襲の経験を活かし燃えやすい木造住宅を守るように作られたブロック塀。基礎がブロック塀より幅広くしっかりと露出し、透かしブロック2種類用いるなど、丁寧な施工により長寿を迎えた。しかしながら頂部の笠木の脱落などが見られ寿命を迎え始めている。

6.金属フェンス

現代の住宅で多く見られる金属製のフェンス。見通しがよく安価だが、プライバシー性能、耐久性、防犯性に劣るメッシュフェンス。外から丸見えのためカーテンを開けられず悩む家庭が多い。